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以下蛇足部分
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「待ちなさい」
今にも大きなワニに食われそうな時、そんな声が聞こえた
それは切羽詰った声でも、強い命令口調でもなかった
「……」
だが、大きなワニはそこで動きを止め、声の主を見た
「ぁ……あ……」
青年は視線を動かし、声の主を見る
赤のチェック柄のスカート
白く優雅な日傘
自然界ではありえない緑色の髪の毛
そして笑顔を浮かべて居る女性
青年は一瞬、それが自分の嫌いなゆうかに重なった
ワニ達はただ女性を眺めて居る
特に噛みつかず、進路も邪魔せず、ただ眺めて居る
女性はゆっくりと青年へと近づいて行く
女性が手を伸ばせば触れそうな距離で、立ち止まって日傘を閉じた
(助かった)
青年はただそう思った
「あ、ありが」
ザク
「!!!」
女性は青年の喉に、日傘を突き刺した
「ひゅうっ。ひゅうっ」
喉から空気が漏れる
青年は手を喉へ持って行き、止めようと抑えた
ズプ
ズプ
「!!!」
青年は声にならない叫びを上げる
女性はそのまま、青年の両目を突き刺した
青年は立て続けに起こった事に、何が何だか分からないと考えていた
何故こんな目に遭うのかと
どうして助けてくれないのかと
同じ人間なのに、どうしてと
叫ぶ事も出来ず、ただそう思う青年に
「もう良いわ。好きにしなさい」
女性はそう言った
それは死刑宣告以外の何ものでもなかった
「!!」
青年は必死に手を伸ばす
痛みに堪えて、恐怖に堪えて
その手で何を伝えたかったのか
バクリ
大きなワニの口に入った今では、もう分からない
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「ねえ貴方、名前はなんて言うのかしら?」
女性は日傘をさしなおして、大きなワニに問いかける
「名前はない?ふふ、博士の言っていた、猫みたいな答ね」
女性は笑顔を崩さずに言った
「貴方はこれからどうするの?このままだと、いずれ殺されるわよ?」
女性の問いに、大きなワニは首らしきものを傾げる
幾つかの小さなワニは、せわしなく動いて居る
「貴方さえ良ければ、私の所に来ないかしら?博士が実験材料とするかもしれないけど、このままよりは
良いと思うわ」
女性の言葉に、大きなワニは首らしきものを縦に振る
「わかったわ。ちょっと待っててね」
女性は嬉しそうに微笑んだ
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「気に入ったかしら?」
「とっても。まあ本物のビオラン○とは色々と違うけど」
「何?今のピーって音」
「流石にこれはまずいのよ。この前の得体の知れないものはともかく」
「なら、これも同じく?」
「ええ。私の記憶にある通り、消された存在の1つ。細部は違うけどね」
「気になるくらいに?」
「元は薔薇の筈だし、大きさも小さめ、そもそも放射線で変異した訳じゃないし……うつほが放射線を出
すかは別として」
「それでもオリジナルに近いのでしょ?」
「まあ、記憶が無い人間が作れる筈がない。偶然にしても似すぎているし、なによりゆっくりではない」
「それはそんなに重要かしら?」
「重要よ。既存生物を変異させたなんて……ゆっくりを変異するよりも難しい」
「なるほどね……」
「計画はより進む……偽神を殺して家に帰る……その為の兵器も証拠も」
「そういえば、この子を連れてくる時の話だけど……」
「なに?」
「悪魔が居たわ。つい殺したけど問題はないわよね?」
「目撃者はいないんでしょ?なら問題はないわ。天使も悪魔も。まあ天使の方は飼い主の許可が必要だけ
ど……いや、悪魔も組織の確認が必要かしら?」
「悪魔が組織に所属するの?」
「人間社会とはそういうものよ。生活で記録にも記憶にも残っては、ただ殺しては駄目。後始末をしない
と」
「調べないといけないわね」
「ま、そう対した問題は起こらないでしょうけど……どちらも消えてもいい存在。居なくて困るのは偽神
だけ」
「それと、この子の扱いはどうするの?」
「気になるのかしら?」
「ええ……」
「本能的に惹かれるのも無理は無いわ。貴女のオリジナルの二次創作で、絡みが有るもの」
「任せて貰えるかしら?」
「もちろん」
「ありがとう」
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後書き
好きに書けるというのは本当に楽しい
怖い話よりこっちが好き
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余談
ゆっくりに関係する怖い話の終幕
別エンディングを書くべきか書かないべきかで悩んでいます
最終更新:2009年12月25日 19:32