ゆっくり命令していってね!(前) 56KB
虐待-凄惨 理不尽 実験・改造 赤子・子供 ゲス 現代 うんしー ぺにまむ チート
『ゆっくり命令していってね!』
※ただひたすら、ゆっくりにチートっぽいアイテムで実験をする話です
A主任は夢から覚めた。
変な夢を見ていた。ドスまりさとスケートリンクでフィギュアスケートをするという夢だ。
観客席を埋め尽くすゆっくりたちの、「ゆっくり!ゆっくり!ゆっくりすべってね!」という奇妙な歓声が今も耳に残っている。
華麗なスピンを決めるA。イナバウアーを見せつけるドスまりさ。
点数はオール3点。最高得点だったらしい。コーチのてんこと一緒に抱き合って喜んだところで目が醒めた。
「変な夢を見たねえ……。疲れが溜まっているのかな」
この前はきめぇ丸に誘惑される夢を見たばかりだ。黒のランジェリー姿のきめぇ丸が、「おお劣情劣情」と首をシェイクしながらセクシーポーズを取っていた。
じっと見ていると、次第にその顔が妻の顔に変わっていったのは悪夢だった。妻ときめぇ丸に共通点など何もないのに。
デスクで眠るのはやはりやめよう。これから疲れたら仮眠室を使った方がいいようだ。
Aはポットからマグカップにお湯を注ぎ、インスタントコーヒーを作った。眠気覚ましで一気飲みする。
熱くてむせた。ついでに、タッパーの蓋を開ける。
「……ぁじゅぃ……よ…たしゅ…け……」
「ゅっく…ち…しゃせ……ちぇ」
「ゅ゙っ…ゅ゙っ…ゅ゙っ」
アルミホイルの上に乗っているのは、すっかり冷めた赤れいむの唐揚げだった。油で揚げられた赤れいむたちは、どれも苦悶の表情で顔が固まっている。
中枢餡を吐いていないから、まだ生きているらしい。小さな声で助けを求めているのが聞こえてきた。
無視してA主任はタッパーを掴み、三つとも一口で食べた。揚げたてはかりっとした皮とあっさりとした餡子が絶妙なのだが、すっかり冷めていてまずい。
それにしても、作ったその場で食べられてもらえず、延々と全身火傷の痛みを味わい続けた赤ゆっくりたちは災難だっただろう。
「俺が寝てる間にちょっとは進展あったかねえ」
椅子にかけてあった、くしゃくしゃの白衣に袖を通し、Aは立ち上がった。
適当に伸びた髪といい、野獣のような目付きや口元といい、ステレオタイプの研究者とはかけ離れた外見をしている。
だが彼こそ、加工場に隣接するゆっくり生態研究所の主任であり、これまでいくつものゆっくり駆除の新製品を作り出してきた天才である。
今回の発明は、机の下に置いてあったメガホンだ。
外見はただの拡声器だが、かなり重量がある。Aは持ち上げる時にややきつそうな顔をした。今後は軽量化に力を入れる必要がありそうだ。
片手にメガホンを持ち、片手をポケットに突っ込み、A主任はかったるそうに自室から実験室へと向かった。
* * *
実験室に入ると、A主任はほかの研究員に挨拶しつつ一つの大型ケースに向かった。
F−15とナンバリングされたそこには、赤ゆっくりが10匹ほど入っている。
どれも明らかに飢えている。目は濁り、皮は垂れ下がって床に伸び、髪の毛はバサバサになっている。
Aが顔を近づけても、いつもの「ゆっくちしちぇいっちぇにぇ」の言葉も聞こえてこない。ちらりと恨めしそうな目で見るだけだ。
ここまではよくある光景に過ぎない。
Aは出勤する時、親の亡骸の前で泣いていた痩せた赤れいむが、帰宅する時には物言わぬカサカサの饅頭になっていたのを思い出した。
赤ゆっくりは、ただでさえ貧弱なゆっくりに輪をかけて貧弱だ。
よく動き回る上に燃費が悪く、数時間食べないでいるとあっという間に弱り、さらに放置すれば簡単に死んでしまう。
まして生まれてから10時間もの間、何も食べていない赤ゆっくりだ。一日保たないで餓死寸前なのも頷ける。
だがおかしいのはここからだ。
ケースの真ん中には、柔らかくておいしそうな餡子が山盛りにしてあるのだ。
赤ゆっくりは餡子の山の周りでうずくまっているが、一匹も食べる様子がない。
「餡子が劣化して食べないでいる、ということはないよね」
Aはケースの蓋を開け、手を伸ばして中の餡子をひとすくいした。そして、隣のケースで寝ているれいむの目の前に手を差し出す。
「ゆゆゆっ?なんだかおいしそうなにおいがするよ。あまあまさんだね。ゆっくりたべるよ!」
それまで「ゆぴー、ゆぴー」と熟睡していたれいむは、匂いで分かったのだろう。ぱちりと目を開くと、主任の手にあった餡子に目を輝かせて飛びついた。
「むーしゃむーしゃ、しあわせー!おいちいー♪」
はぐはぐ、もぐもぐと夢中で餡子を口の中にかき込んでいく。もみあげがピコピコと動くのがまた鬱陶しい。
今の光景を、虐待趣味のある人間が見たらストレスがマッハになるのは想像に難くない。
「主任、一匹死にますよ。ほら、このまりさです」
そばにいた助手が指さす赤まりさの頭から、帽子がパサリと床に落ちた。
やせ衰えてしわだらけになった赤まりさは、震えながらゆっくりと目を閉じ、やがて動かなくなった。
赤まりさの死に顔はそれはひどいものだった。飢え、恐怖、惨めさ、そういったものが全て凝縮されてデスマスクを作り上げている。
ゆっくりとした安らかな死、とは言えない死だ。周りの赤ゆっくりたちも、自分たちの末路を知ったのか一斉に涙をこぼし始めた。
か細い声で何か言っている。
「おねーしゃん…めをあけちぇにぇ…まりしゃとゆっくちしようょぉ…………」
「ゆっくち……しちゃいよぉ…あみゃあみゃしゃん……たべちゃいよぉ………」
「どうしちぇ……?どうしちぇ……?どうしちぇ、れいみゅたち……あみゃあみゃしゃんたべられにゃいにょ……?」
「おにゃか……しゅいちゃよ………もう……まりしゃ……しにゅん…だにぇ………」
口々に空腹を訴えている赤ゆっくりだが、誰も餡子にかぶりつくことはない。
効果があったようだ。死ぬと分かっていても、「命令」に背くことができないでいるらしい。
Aは自分の発明が成功したことを実感し、にやりと赤ゆっくりたちに笑いかけた。
当然のことだが、反応する赤ゆっくりはいなかった。
* * *
れいむが目を覚ますと、そこにはこれから目を覚ましそうとする妹たちがいた。
「ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!」
とれいむが言えば、すぐに返事が返ってきた。
「ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!」
「おねーしゃん、まりしゃとゆっくちしちぇにぇ」
「ゆーっ!ゆっくち!」
「ゆっくちしようにぇ」
一斉にこっちを向いて挨拶する妹たちに、れいむはすっかり嬉しくなった。
妹たちが沢山いる。こんなにいっぱいいるから、きっといっぱいゆっくりできるだろう。
れいむは、自分たちが実った直後に親から引き離され、オレンジジュースによって育てられたことを知らない。
生まれたと思ったらすぐに冷凍され、今ようやく解凍されたこともやはり知らないままだ。
「ゆ?おかーしゃんはどきょ?」
「おかーしゃーん!まりしゃはここにいるんだじぇ。へんじしてほしいんだじぇ!」
「おとーしゃんもいにゃいよ。おとーしゃんはどきょ?」
「れいみゅたちのおかーしゃんはどきょにゃにょ?かくれてにゃいででてきちぇにぇ?」
「ゆゆっ。ほんちょだにぇ。おかーしゃんとおとーしゃんがいにゃいよ」
赤ゆっくりたちには、親からの記憶が餡子を通じて受け継がれている。
赤ゆっくりたちが生まれると、そこには必ずお父さんとお母さんがいるはずだ。
お父さんとお母さんは優しくてゆっくりした、側にいるだけでゆっくりできるゆっくりだ。
れいむたちを、いっぱいかわいがってくれる両親がいるはずなのに。お母さんは、まずはれいむたちにおいしいものを食べさせてくれるはずなのに。
生まれたばかりなのに両親の姿が見えないことが、不安と同時に空腹を加速させる。
本来ならば、ここで赤ゆっくりたちは親の頭から生えた蔦を食べさせてもらえるはずだ。
「おなかしゅいちゃよ!おかーしゃん、かくれてないででてきちぇにぇ!」
「れいみゅおなかしゅいちゃ!なにかたべさせちぇにぇ!」
妹たちが口々に空腹を訴え始める。
どうしよう。一番最初に目覚めたことから、自分が姉だという自覚をしたれいむは周りを見回す。
不意に、おいしそうな匂いが上からした。
見上げると、ケースの蓋が開き、上からぼとぼとと何か黒いものが落ちてきた。
目の前にどっさりと盛られたそれは、赤ゆっくりからすると小山くらいの大きさだ。
食欲をそそられる、甘い香りが漂ってきた。
「ゆゆっ?あみゃあみゃしゃんのにおいがしゅるよ!」
「あみゃあみゃ?れいみゅたべちゃいよ~」
「あみゃあみゃたべちゃいんだじぇ!」
「あみゃあみゃよこちぇ~」
「よこちぇ~♪」
たちまち姉妹たちは、這って餡子の小山へと殺到した。
ゆっくりにとって最高の好物である、あまあまが目の前にどっさりと食べきれないくらいある。
きっとこれはお母さんがれいむたちにくれたものだ。いっぱい食べてゆっくりできるよう、お母さんが備えてくれたんだ。
れいむは勝手にそう判断すると、自分も餡子へと飛びついた。
「「「「ゆっくちいちゃだきましゅ!」」」」
赤ゆっくりたちが、涎をだらだらこぼしながら口を開けた。
口いっぱい、柔らかくて甘い餡子をかき込める幸せに、一匹残らず至福の表情を浮かべていた。
その時だった。突然上から「命令する!」という大声が響いた。
「ゆぴっっ!」
「ゆがっっ!」
「ぴぴぃっ!」
声を聞くと、なぜかれいむたちは体が動かなくなった。
大口を開けたまま、赤ゆっくりたちは一斉に動きを止めた。
「目の前のあまあまを絶対に食べるな!これは命令だ。あまあまを食べてはならない!」
何を馬鹿なことを言ってるんだ。れいむは声に怒りさえ感じた。
自分たちは空腹で死にそうなのに。目の前にこんなにおいしそうなあまあまがいっぱいあるのに。それを食べるなとは何様のつもりなんだろう。
(れいみゅたちおにゃかがしゅいちぇるんだよ!あみゃあみゃしゃんにゃんだよ!ばきゃにゃの?しにゅの?じぇったいにたべりゅんだからにぇ!ぴゅんぴゅん!)
れいむは声を無視し、餡子にかぶりつこうとした。
だが、その時異変は起こった。
「ゆゆゆぅ?た…たべられにゃいよ?」
たっぷりと唾液で満ちた口の中に餡子を頬張ろうとしたのに、口が勝手に閉じてしまったのだ。
むーしゃむーしゃもごっくんもしたいのに、餡子はかけらも口に入ってくれない。
「おくちしゃん!ゆっくちしちぇにゃいでたべしゃしぇてにぇ。いただきまーしゅ…………どうしちぇぇぇ?」
再び挑戦したのだが、やはり失敗する。
体は自由に動くし、喋ることもできる。なのにどんなに力を入れても、餡子を食べようとすると口が閉じてしまうのだ。
「ゆんやああ!おくちしゃんがいじわりゅしちぇたべられにゃいよぉ!」
れいむが気付くと妹たちも同様の事態になっていた。ほかのことはできるのに、食べることだけができない。
一生懸命餡子の山にかじりつこうとしても、直前で口は止まり勝手に閉じてしまう。
自分たちの目の前に小山のように沢山あるあまあまが、見て匂いを嗅ぐだけで絶対に食べられない。
食べられないゆっくりが行き着く先は……永遠にゆっくりすること。
れいむは恐怖で叫んだ。
「いやじゃあああ!あみゃあみゃたべちゃいよおお!」
* * *
それから先は、赤ゆっくりが生まれて初めて味わった生き地獄だった。
悲惨極まる話だ。赤ゆっくりは生まれてすぐ、ゆっくりもしあわせーも知らず、親からのすりすりもぺろぺろもされず、餓鬼道へと落とされたのだ。
「おくちしゃん!いじわりゅしにゃいでれいみゅにあみゃあみゃしゃんたべしゃせちぇ!たべしゃせちぇよお!」
「あみゃあみゃ!あみゃあみゃ!あみゃあみゃ!あみゃあみゃあああ!ゆんやあああ!」
「どうしちぇえええ!どうしちぇれいみゅあみゃあみゃしゃんがたべられにゃいのおおおお!こんにゃにたくしゃんあるにょにいいい!」
「よこちぇ!あみゃあみゃよこちぇ!……………………くだちゃい!あみゃあみゃくだちゃい!まりしゃにあみゃあみゃたべしゃしぇてくだちゃい!」
れいむは妹たちと、何度も何度も餡子を食べたくて挑戦し続けた。ありとあらゆる方法で餡子を口に入れるよう努力した。
赤ゆっくりらしからぬ知恵を使い、一匹が口を開け、もう一匹がそこに餡子を入れるという方法さえ考え出した。
結果はどれも失敗だった。いかなる方法を用いても、どれだけ口を閉じないように力を入れても、意志とは無関係に口は閉じ餡子は食べられない。
絶望で泣き叫んでも結果は変わらない。
れいむたちは一匹残らず、空腹に苦しみつつ、どんなに憧れても一口も食べられない餡子の山を何時間もひたすら見続けた。
見て、見て、見続けた。まるで見つめることによって、餡子を食べているかの如く。
羨望した。こんなにおいしそうなあまあまが食べられないのは間違っている。心の底から求めれば、絶対に食べられると信じた。
空腹は、体内の餡子を針で刺す痛みに変わった。
れいむたちは、体を折り曲げて苦しんだ。
懇願した。あまあまさん、どうか食べさせて下さい。れいむたちにゆっくり食べられて下さいと、何度もお願いした。
空腹は、体が二つに千切れる痛みに変わった。
れいむたちは、その場に転げ回って苦しんだ。
最後には恨んだ。食べられてくれないあまあまを憎み、あまあまの前では閉じてしまう自分の口を悔しく思った。
空腹は耐え難い痛みに変わった。
れいむたちは、苦しみながらついに動けなくなった。
それでもなお、ゆっくりたちはあまあまを食べられなかった。
既に一匹のまりさが息絶えた。妹たちはがたがた震えて、間近に迫った死に怯えている。
れいむはぽんぽんの激痛に悶えながら、これで何度目か分からない問いを投げかけた。
どうして?どうして自分たちはあまあまが食べられないの?
* * *
れいむたちが餡子の小山を食べられなかったのは、最初に聞こえたAの持つメガホンからの声が原因だった。
これこそ、A主任が開発した新製品である。
このメガホンは、人間の声にドスまりさの放つ特殊な周波数の音波をプラスしてスピーカーから放射するのだ。
そもそも、あの自分の欲望に忠実なゆっくりたちが、なぜドスまりさに従いドスまりさを中心にして群れを作るのだろうか。
その秘密が、ドスまりさが口と全身から放つ音波にある。
ドスまりさが放つゆっくりオーラ。これはゆっくりにのみ効果があり、人間はオーラを見ることさえできない。
それもそのはずだ。ゆっくりオーラとは、ドスまりさの体表から発せられる振動なのだ。
これを浴びたゆっくりは中枢餡に刺激を与えられ、ゆっくりの好むゆっくりした状態となる。単純なリラックス効果があるようだ。
ドスまりさはこれを、集束して口から声と一緒に放つこともする。こうすることによってゆっくりをゆっくりさせ、ドスまりさの言うことを聞きやすくするためだ。
Aが開発したのは、ドスまりさの放つ音波を極めて強力にし、さらに強く中枢餡に働きかけるようにしたものだ。
さしずめドスまりさが放つ音波が「お願い」なら、メガホンから放つ音波は「洗脳」に当たる。
効果は見ての通りだ。赤ゆっくりたちは、中枢餡に音波によって刷り込まれた「あまあまを食べてはならない」という命令に忠実に従わされた。
頭では命令を拒否している。あまあまを食べてゆっくりしたい。お腹いっぱいになりたいと思っている。体だけが従わないのだ。
中枢餡に働きかけるため、ゆっくりの五感に変化はない。あまあまを目で見ることも、全身で匂いを嗅ぐことも、味を想像することもできる。
体力が続く限り、あまあまを食べようと挑戦するのも自由だ。しかし決して食べることはできない。
ゆっくりを洗脳する超音波を放つ機械。これが、A主任の開発した新たな製品である。
* * *
メガホンから放たれる音波と命令は、基本的に上書きが可能だ。新しい命令の方が優先される。
主任はメガホンをケースに向け、命令する。
「お前たち。あまあまを食べてもいいぞ」
それまで生ゴミ同然の姿でへばっていた赤ゆっくりたちが、一斉にピクン、と体を震わせた。
死んだ魚のように濁っていた寒天の目に、生気が戻っていく。
「あ…あみゃあみゃ……あみゃあみゃたべれりゅよ……」
「おくちしゃん…うごくよ……むーちゃ……むーちゃ…………」
「あみゃいよ………ちあわしぇー…だよ………」
「あみゃあみゃ………あ…みゃ…みゃ」
ふらふらと赤ゆっくりたちは、目の前の餡子に口を付けると噛み付いた。その動きはもはやゆっくりではなく、餓鬼に近い。
どんなに食べたくても食べられなかった餡子が、ようやく口の中に入ってくれる。
むーしゃむーしゃと噛むと、待ちかねていた甘さが口の中いっぱいに広がった。
餓死寸前だった赤ゆっくりたちは、念願のあまあまを食べられた喜びで一斉に涙をこぼし始めた。
一匹もがつがつと食べるものはいない。口に入れて味わうだけで精一杯なのだ。極限まで中身を失い衰弱したゆっくりには、がっつくことなど不可能だ。
構わない。ようやくお口は動いてくれたのだ。
あまあまは食べきれないくらいある。これからゆっくりと味わって食べていけば、元気になれるだろう。
赤ゆっくりは涙と涎を流しながら、生きていることの喜びを実感していた。
生きているのは、あまあまを食べられるのは、なんて幸せなんだろう。
「やめろ。口に入れたあまあまを全部吐き出せ。二度とあまあまを食べてはならない」
だが無情にも、上から聞こえる命令は赤ゆっくりたちの喜びを奪い去った。
飲み込もうとした喉が閉じ、顎が意志に反して開かれていく。口が甘い餡子を吐き出そうとして動くことに赤ゆっくりたちは戦慄した。
「ゆげぇ…だめぇ……おくちしゃん……あみゃあみゃしゃんをはいちゃ…だめぇ……ゆげぇぇ」
「ゆげぇぇぇ……どうしちぇおくちしゃん……あみゃあみゃ…たべれにゃいよ」
「ゆげぇぇ……いやじゃぁ………またぽんぽんいたいのいやじゃぁ……ゆやぁぁぁ…………」
「ぁぁぁ………れいみゅ…にょ…あみゃ……みゃ……ぁぁぁ………」
「あ…みゃ…あみゃ……たべちゃ…かっちゃ……よ……」
「にゃん…で……?どう…し…ちぇ………ゅぁぁぁ……」
静かに抵抗もなく、赤ゆっくりたちは頬張ったものを口から吐いていく。
どの赤ゆっくりも、喜びの涙から絶望の涙に変わったものを目からおびただしく流している。
そうだろう。苦しい飢餓の果てに、ようやく動いてくれた口。食べたくてたまらなかったあまあまが、ついに口に入れることができた。
その瞬間に、再び口は反乱を起こしあまあまを吐き出したのだ。後もう少しで、食べることができたのに。
天国の扉は目の前で閉じ、苦痛に満ちた飢えの地獄へ逆戻りだ。
もはや呻く元気さえなくなった赤ゆっくりは、自分の唾液にまみれた飲み込むはずだった餡子を見て、無言で涙をこぼしている。
ひどすぎる。あまあまをお腹いっぱい食べられるはずだったのに。
なんで自分たちは食べられないのだろう。なんでこのまま死んでしまうんだろう。
赤ゆっくりたちの絶望と苦悶で染め上げられた目は、一匹残らずそう訴えているようだった。
その内に一匹、また一匹と目を閉じ、不規則な痙攣を起こすだけの状態になっていく。
苦しみの先にある餓死は間近だ。
赤ゆっくりたちは、幸せを夢見て誕生した。優しい両親、お腹いっぱい食べられる食事、ゆっくりだらけのゆん生を信じていた。
実際は凄惨なゆん生だ。赤ゆっくりの生涯は、山盛りのあまあまを目にしながら飢えに苛まれる拷問でしかなかった。
* * *
一通りの変化を見届けたA主任に、助手が話しかける。
「成功ですね。あの食欲旺盛な赤ゆっくりをここまで制御できるなんて」
「とりあえずね。でもさ、この命令、24時間がタイムリミットなんだよね。隣のれいむは一日は食べなかったけど、次の日になったら餡子を全部食べてたし」
Aは結果に満足しつつも不満を漏らす。改良点はまだ残っているのだ。
ドスまりさの音波をまねたメガホンから発せられる命令の効果範囲は、およそ1.5メートル。有効期間は24時間しかない。
たとえ中枢餡に刷り込まれる強い命令でも、ゆっくりは一日の間しか覚えていられないのだろうか。
「タイムリミットはそのうち解決するとして、今は命令がどこまでゆっくりを拘束できるのか試してみないとね。そうだ、ありすどうなった?」
「見て下さい。あれからずっと発情状態です。でもすっきりは一度もしていません」
助手を引き連れ、Aは少し離れたケースに近づく。
先程からずっと、中に入れられたゆっくりが暴れてガラスに体当たりしてるらしく、がたがたと揺れている。
「どれどれ。あーこりゃすごい」
「ですよね……」
心なしか助手の顔は青ざめている。普段は実験のためなら顔色一つ変えずにゆっくりの目を抉り、歯を抜き、リボンや帽子を燃やす彼が引いている。
ある程度の防音効果があるケースを貫いて、中のゆっくりの絶叫が聞こえてくる。
「ぼほおおおおおおおお!んんんんぼおおおおおお!!じゅっぎ!じゅっぎ!じゅっぎりいいいいい!じだいいいいいいいいい!」
ケースの中に入っていたのは、カチューシャと金髪が特徴的なありすのはずだった。
しかしそこにいるのは、誇張ではなく人間の腕ほどもあるぺにぺにを屹立させ、全身から粘液を噴出させている奇怪なクリーチャーだった。
「じだいいいいい!ざぜでえええええ!じだい!じだい!じゅっきり!ずっきり!じゅっぎり!ずっぎり!どぼじでえええええ!でぎないのおおおおおお!!」
全身のカスタードの内の半分が集中していると思われるご立派なぺにぺには、どんなゆっくりであろうとも一撃で物理的に昇天させてしまう特大サイズだ。
それを振り立て、ありすは涎をどばどば流しながら絶叫し続けている。
既に交尾の際に体から出す粘液で、ケースの床はびしょ濡れになっている。どれだけの量を出せばこうなるのか想像もつかない。
「びぎゅおおおおおお!!!ゆゆゆっびびいいいいい!じぬうううう!じなぜで!ずっぎりできないならいっぞじなぜでえええええ!」
ケースの前にはプロジェクターとスクリーンが置かれ、そこには可愛らしいれいむとまりさの映像がずっと流れている。
「れいむをおよめさんにしてほしいな。れいむとずっとゆっくりしようね」
「ま、まりさをおかあさんにしてほしいよ。おねがい、いっしょにすっきりしてね」
「あばばああああああああ!!!ありずどずっぎぢいいいいいいい!じでええええええええええ!」
れいぱーでなくても、こんな美しく可憐なゆっくりならば一緒にすっきりしたいと思うだろう。
ケースの中のありすはそれを見ながら、一向にぺにぺにからカスタードを放出してすっきりしようとはしない。
ありすは発情している。体は常に小刻みに振動し、いつでもすっきりできる状態に体は整っている。
なのに、ありすは絶対にすっきりしない。ぺにぺには以前形を保ち、膨大な量の粘液が流れ出している。
今すぐすっきりしたいのに。すっきりの寸前まで高まっているのに、絶対にすっきりできない。
苦しみはありすを半狂乱に陥らせ、既にありすはまともな思考ができないようだ。
このありすにはメガホンを通してこう命令してある。
「発情しろ。だが絶対にすっきりするな」
命令した瞬間、ありすは体を揺すって発情状態になった。
「ゆっ……ゆっゆっゆっ……いやぁ……みないでぇ……ありす……すっきりしちゃうよぉ…………」
ケースにいたありすは、レイパーではない。
飼いゆっくりを生産する場所からもらってきた個体だ。研究所に送られなければ、そのまま飼いゆっくりになっていただろう。
理性できちんと本能を制御できる、ごく普通のまともなありすだった。
それが、中枢餡に刻み付けられた命令で発情している。
「すっきり……すっきり……り……どうして?なんで……なんですっきりできないのおおおお!?」
ありすが収まらない自分のぺにぺにを見て驚愕したのが、ちょうどAが仮眠を取る直前の4時間前。
以来ありすは、発情しつつも決してすっきりできない地獄の釜の中にいる。
途中何度か助手がオレンジジュースを補給しなれば、とっくに干涸らびていただろう。
ありすはもがき、のたうち、暴れ、どうにかして荒れ狂う発情を収めようと懸命になっている。
ケースに体当たりする痛みで、すっきりできない苦しみを紛らわしているようだ。
ありすの発情は、既に限界を突破している。体内のカスタードは、熱でぐつぐつ沸騰しているかもしれない。
「成功だね。これ、レイパー対策でいいかも。例えば、家に侵入したレイパーに聞かせることによってすっきりによる死亡をなくしたりできるね」
「でも、そうすると飼いゆっくりも同様に苦しんでしまうのでは」
「そこなんだよね。何とかして、音波に指向性をもたせないとな。もしくは命令の内容を限定的にするか」
Aはおおよそ実験の結果に満足したようだ。ありすを苦しみから解放させる命令を、メガホンを使ってありすに伝えてやった。
「ありす、すっきりしていいよ」
「んんんんんんんんんんんほほほほほほほほほほほほほほほほほおおおおおおおおおおおおおお!!!
すすすすすすすすっっっっっっきききききききききりりりりりりりりりいいいいいいいいいい!!!」
彼が命令した瞬間、ありすの顔に浮かんだ表情は何だったのだろう。
歓喜。快楽。放心。安堵。どれでもない。全部が混じり一緒くたになったありすの表情は、まさに「涅槃」としか形容できなかった。
ありすの顔は一瞬だけ、限りなく透明だった。
それが、膨張し膨れ上がった欲情の渦に飲み込まれ、吹き上がり、溶けた。
爆弾が爆発する過程を、スローモーションで見ているかのようだった。
ありすのぺにぺには、爆発した。
先端は、あまりのカスタードの圧力で爆ぜた。
カスタードがしぶきを上げて吹き出す。
ウォーターカッターの要領で、ぺにぺにが先端から根本に向かって引き裂かれていく。
バナナが、皮ごと見えないミキサーで粉砕されていくかのようだ。
カスタードの花火が、ケースに咲いた。
ありすは自分の一番大事な器官が粉砕され、体内のカスタードが一滴残らず噴出していくのを、恍惚と恐怖の混じった顔で見ていた。
時間にして数秒。
終わってみればあっけない。ケースに残っているのは、ぺにぺにが根本からない潰れたありすの胴体と、ばらばらに散らばったぺにぺにの破片。
そして、ケースのガラス面を覆い尽くすカスタードだけだった。
ありすは、すっきりしながら死んでいった。
助手は自分の股間を無意識に押さえながら、主任の作ったメガホンが人間にまったく効果がないことを心から感謝していた。
* * *
A主任はありすの壮絶すぎる死に様を見ても、男性として特別思うところはなかったらしい。
「性欲はこれで完全に抑制可能、と。性欲に関しての実験はこれでいいね。問題はむしろ食欲の方だよ。
ゆっくりがゆっくりするのは、大抵ものを食べている時だからね。こちらは色々試して揺らぎがあるかどうか実験してみようか」
「はい……」
「顔色悪いけど、風邪引いたの?」
「いえ、何でもありません」
「そう。ならいいけどさ」
ちょっと一つもらうね、と言いながら、Aは実験室の机の上に置かれている煎餅を手に取り食べ始める。
ぼりぼりと音を立てて噛み、床にぼろぼろと破片がこぼれているが気にする様子はない。食べ方の汚さはゆっくりと同程度だ。
「餡子用意して。たくさん。アルコールランプと、この前作っておいた帽子が一つ。昨日引き取ったれいむとまりさを使おう。今からF−14番のケースで実験するから」
「はい。分かりました」
思いついた言葉をそのまま発しているAの指示に、助手はすぐに行動する。態度や見かけは悪いが、助手は主任を尊敬している。
F−14番のケースは、先程餓死した赤ゆっくりたちの隣のケース、つまり餡子をAが食べさせたれいむのいるケースだ。
そこに、助手はもう一匹れいむを放り込む。まりさは透明な箱に入れたままだ。
「おそらをとんでるみたい~♪ゆゆっ?れいむがいるよ。ゆっくりしていってね!」
「ゆっ?れいむがやってきたね。ゆっくりしていってね、れいむ」
ぐうぐう寝ていたれいむは、ゆっくりが突然ケースに投げ込まれたことで目を覚ました。
「れいむ、ここをふたりのゆっくりぷれいすにしようね。ゆっくり♪ゆっくり♪」
「いいよ。れいむといっしょにゆっくりしようね。ゆゆゆ~♪ゆっゆ~♪」
幸いのんびりした性格らしく、取り立てて「ここはれいむのおうちだよ」と騒ぎ立てることもなかった。
「さて、始めようか。ゆっくりたちの食欲をどれだけ操作できるか試さないと。まずは持ってきた餡子を全部ケースに入れて」
「はい」
助手は言われた通り、ビニール袋に入っている加工場産の餡子を全部ケースに流し込んだ。
ゆっくりの餌用に取り分けられている、質の悪い安物の餡子だ。中身は食用に適さなかった赤ゆっくり、ゲスの子ゆっくり、使い終わった親ゆっくりだ。
食べても毒ではないが、ぱさぱさしている上に甘みがどぎつく、二度と食べたいとは思わないだろう。
甘いものに目がないゆっくりたちは、そうではない。
助手がビニール袋を逆さにして流し込んだ大量の餡子に、二匹は目を丸くしている。さっきまですりすりしていた体が、ぴたりと停止した。
二匹の口ががばっと開き、だらだらとだらしなく涎がこぼれて胴体を濡らしていく。
食欲の権化。そのような表現がぴったりと当てはまる顔をしている。
「あまあま!あまあまだよ!おいしそうだね!ゆっくりたべるよ!」
「あまあまだよ!すごくおいしそうだよ!れいむいっぱいたべるね!」
二匹は我先にと餡子へと飛びつく。
「「ゆっくりいただきます!!!」」
同時に、Aはメガホンのスイッチを入れ、二匹に命令した。
「食べろ。食べ続けるんだ。どんなことがあってもな」
Aの命令が届いたかどうか。二匹のれいむは猛烈な勢いで、山と積まれた餡子にぱくつく。
「もぐっ、もぐもぐっ!はふっ、はふはふっ!うめっ!これめっちゃうめっ!はぐはぐっ!」
「むーちゃむーちゃ、しあわせー!しあわせー!あまあまがいっぱいでしあわせー!むーしゃむーしゃ!」
躾のされていない犬のように、二匹は顔面を餡子の山に突っ込んで食べている。
顔を振って餡子と涎を撒き散らし、こぼれたものを舌でべろべろ舐め、なおも口にかき込んでいく。
手を持たないから仕方がないが、あまりにも品性のない姿だった。
しかも食べながら喋るものだから、口からぼろぼろと餡子がこぼれて周囲を汚していく。
ゆっくりを調教するブリーダーが見たならば、尻をハエタタキで百回叩きたくなるような醜悪な光景が繰り広げられていく。
「ゆふぅーっ。もうれいむはおなかいっぱいだよ。あまあまさん、れいむにたべられてくれてありがとうね」
「れいむもぽんぽんくるしくなってきたよ。いっぱいたべられてれいむはごきげんだよ。げぇっぷ!げぇーぶっ!」
それまであまり血色の良くなかった二匹は、餡子をたらふく食べたことでまん丸なゆっくりに変化した。
元々人を小馬鹿にしたような表情のれいむの顔は、ぷっくりと頬が膨れ上がり実にふてぶてしくなっている。
これで二匹は満腹らしい。一匹に至っては、下品なげっぷをしていた。
普通ならば、いくら浅ましいゆっくりでもこれで食べるのを止める。
だが……。
「むーしゃ、むーしゃ、むーしゃ。だ、だめだよ、もうれいむたべられないよ。もういいから、もうおなかいっぱいだから!」
「むーしゃ、むーしゃ、むーしゃ、むーしゃ、あ、あれ?なんでれいむまだたべてるの?もうぽんぽんいっぱいだよ?」
二匹は食べるスピードが遅くなったが、食べるのを止めない。
一口、また一口と餡子をかじっては無理矢理飲み込んでいく。
「おくちさん!おくちさんとまって!れいむもうたべられないよ!おくちさんとまってよ!とまってよおおおお!」
「いやだああああ!あまあまさんもうたべたくないよおおお!どうしておくちさんとまってくれないのおおおおお!」
二匹はようやく、自分たちの体の異変に気付いたらしい。
体が思うように動かない。どんなに食べるのをやめようと思っても、勝手に口が動いて餡子を食べてしまう。
「うむうううう!むむむうううう!ぐるしい!もうだべれない!あああああおくちざんどまっでええええ!ゔゔゔゔゔんんんんん!」
「ぽんぽん!ぽんぽん!ぽんぽんがああ!ぽんぽんいだい!ぽんぽんぐるじいいよおおおおお!だべだくないのにい゙い゙い゙い゙!」
さっきまでの幸せいっぱい、あまあまいっぱいの様子はどこへやら。
限界を超えてなお動く口に、二匹は恐怖のあまり叫び声を上げた。二匹の体は、餡子をひたすら詰め込み膨れ上がっていく。
れいむたちは、なぜ自分の口がなおもあまあまを求めて動くのか分からない。
もうとっくの昔に満腹になっている。これ以上食べられないくらいに食べた。お腹が膨れて苦しくなるくらいに詰め込んだ。
それなのに、まだ口は餡子を頬張り、強引に喉に流し込み、飲み込んでいく。
「ぐる゙ぢい゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙!」
「だべる゙の゙い゙や゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!」
満腹の幸福は、想像を絶する内側からの苦痛に取って代わった。
れいむたちは、揃って白目を剥いて悶絶した。これまで一度も経験したことがない、全身の皮を引っ張られ、餡子を押し広げられる感覚。
注射されたことはある。ハエタタキで叩かれたことはある。火で軽くあぶられたこともある。
今味わっている苦痛は、それとはまったく別のものだ。人間にたとえるならば、内臓と脳と心臓を内側から強烈に圧迫される感覚だろう。
痛みという生やさしい言葉で表現することなど不可能だ。口を開ける度に、餡子を飲み込む度に苦しさで気を失いそうになる。
通常ならば気絶するはずなのに、それさえもできない。
れいむたちに許されているのは、悲鳴を上げながら口を開け、悲鳴と一緒に餡子を飲み込むことだけだ。
「やぶれりゅゔゔゔゔゔゔゔゔ!」
「やぶりぇるよお゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙!」
二匹の食べた餡子の量は、そろそろ体重の二倍にさしかかろうとしていた。
皮は薄く引き伸ばされ、中の餡子がうっすらと見えそうな気がする。両目はぎっしりと餡子が詰め込まれたせいで、今にも飛び出しそうになっていた。
「ゆ゙ぶっ!ゆ゙ぶっ!ゆ゙ぶぶぶっ!ゆ゙ぶぶぶぶぶぶぶぅぅ!」
「ゆ゙ぐっ!ゆ゙ぐうううううううう!ゆ゙ゔゔゔゔゔゔゔゔゔ!」
ぱんぱんに膨らんだ体で、なおもれいむたちは餡子を口に入れる。どれほど苦しいのか、口から餡子の色をした泡を吹き始めた。
体内で圧縮した餡子が、行き場を失い口に戻ってきたのだろう。それを強引に頬張った餡子もろとも飲み込んでいる。
そこにいるのはゆっくりではない。大量の餡子を包んだ超薄皮の動く饅頭だ。
「ぼっ!ぼうだべ!でいぶやぶれる!やぶれぢゃう!だべるのやだ!だべだくない!だべだらじんじゃう!じぬのやだああああ!」
「あ!あ!あっあっあっ!で!でいぶのがらだがああああ!だべで!だべでやぶれりゅ!ぼゔ!ぼゔだべええええええええ!」
ぽん、ぽん、というポップコーンが弾ける音に近い音がして、一匹のれいむの両目が圧力に耐えきれず眼窩から飛び出した。
「ゆがああああああああ!でいぶうううううううう!」
「ゆぎああああああ!でいぶのおべべがああああああ!」
隣にいたれいむは空っぽの眼窩を見て恐怖で絶叫し、目玉が飛び出したれいむは痛みで口を開けて叫ぶ。
盲目になったれいむは、それでも中枢餡が命じる「食べ続けろ」という命令に逆らえない。
これ以上はないくらいぱんぱんの体を動かし、匂いで餡子を探してそちらを向く。
床にある餡子の塊を食べようとしたらしい。
身を屈め、全身にぎっしり詰まった餡子のせいで少ししか開かない口を無理に開いたその時だった。
「あ…が…が……お…ぐ…ぢ…ざん………どぼ…じで……だべぢゃ……や゙ぶれ゙!や゙ぶれ゙!や゙!ぶ!れ゙!!!」
れいむが体を屈めたことで、限界ぎりぎりまで引き伸ばされていた背中の皮が、ついに張力に負けた。
プラスして、口を開けたことによって皮が伸びたのが災いしたのだろう。
れいむの背中の皮がぶちぶちと裂けた。
極限まで体内に閉じ込められた餡子の圧力が、裂けた背中の隙間に殺到する。
「ゆ゙っ!ゆ゙っ!ゆ゙でぶゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔ!」
れいむは、南斗紅鶴拳のように背中から破裂した。
詰まりに詰まった餡子を背中から、ぶしゃあああああ、と噴水のように吹き上げ、その勢いでれいむの上半身と下半身は分断した。
ペットボトルを使ったロケットを彷彿とさせる動きだ。
「あ゙っ!…あ゙っ!……でい…ぶの……がらだ…がらだが……どゔ……ぢ…で……」
辛うじて中枢餡をくっつけていた上半身は、自分の下半身が餡子まみれになって永遠にゆっくりしたことを理解し、涙を流していた。
れいむの口はそれでもなお動き、自分の餡子とも助手の入れた餡子ともつかないものを口に頬張り、咀嚼し、飲み込もうとしたところでようやく止まった。
中枢餡が、傷口から流れ出してしまったのだ。
目があったはずの空洞から餡子色の涙を流し、口に餡子を詰め込んだれいむの死に顔は、安らかなものとはとても言えないものだった。
「ゔあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!」
これまで一度も見たことがない凄まじい死に様のれいむをを見て、もう一匹のれいむは口に餡子を入れながら目を剥いて叫んでいる。
人間でも、目の前で人が一人引き裂かれるのを見れば同じように反応するだろう。
次はれいむだ。れいむもあんな風に弾けて死ぬんだ。
* * *
「やじゃあああああ!れいみゅじにだぐないいいいい!ぽんぽんやぶれでじぬのいやじゃああああ!」
あまりの恐怖に、れいむは幼児退行している。
「よし、もう食べなくていいぞ。そのままでいろ」
「ゆひっっ!!ゆゆゆゆゆゅゅゅ…………」
もう十分と判断したのか、A主任はメガホンで食事の中止を命令した。
生き残ったれいむは、口に入っていた餡子を吐き出し、安堵で涙を流している。
「はっ、はっ、はひっ!もう、ぼうだべだくない!あんごぼういい!ぼうだべ!ぶーじゃぶーじゃじなびでゆっぐりずる!ゆっぐりずるよおおお!」
しかしれいむの体は、破裂の一歩手前である。非常に薄くなった皮は何もしなくても激痛を生み、体の中は餡子でぎゅうぎゅうに圧迫されている。
れいむは目を白黒させながら、体を揺らして口を開けたり閉じたりしている。
「いだい!ぽんぽんいだいよおお!ぐるじい!いだい!ゆっぐり!ゆっぐりする!ゆっぐりぢだいよおお!」
口が食べるためではなく喋るためだけに使えるようになったことで、堰を切ってれいむは苦痛を訴えた。
誰かに何とかして欲しいのではなく、口に出して苦痛を紛らわしているのか。
「うううう!うんうん!ゆっくりうんうんするよおおおお!………どぼじででないのおお!?うんうんはやぐでいぶのおなががらででえええええ!」
しばらくして、少しでも楽になるには排便しかないと悟ったのか、れいむはうんうんをしようとした。
歯を食いしばって力んでいるが、一向にあにゃるからうんうんがひり出されてくる様子はない。
「うんうん!うんうん!ゔんゔんででええええ!!!!はやぐゔんゔんでないどれいぶじんじゃうよおおおおお!!!」
メガホンからAが命じた「そのままでいろ」という命令を忠実に守り、れいむは脱糞せずにぱんぱんに膨れたまま転がっている。
「があああああああ!ゆがああああああ!ゆっぐりじないでうんうんでろおおおおお!ぐるぢいいいいいい!!」
いっそひと思いに破裂した方が、まだれいむにとって楽だったかもしれない。
体が破裂しそうな苦痛に代わり、今のれいむを苦しめているのは便意を催しても排便できない苦痛だ。
れいむは叫び、悶え、涎を撒き散らし苦しむ。
人間で言うならば直腸に当たる部分に大量のうんうんが溜まり、体内の餡子を上に押し上げている。この苦しみは筆舌に尽くしがたい。
一刻も早くあにゃるから出したい。出してすっきりしたい。この圧迫感をなくしたい。
死ぬほど願っているのに、あにゃるは広がらずぴったりと閉じたままだ。
発狂しそうな苦しみに、れいむは理性さえなくして叫び続ける。
「うんうん!うんうん!うんゔん!うんゔん!ゔんゔん!ゔんゔん!ゔんゔん!ゔんゔんんんんんんんん!」
意味のある言葉を話せるだけの意識はとっくに失った。絶え間なく全身を押し潰す苦痛の前に、れいむの自我はあまりにも脆かった。
れいむは、ひたすら排泄することを渇望し、いまだに排泄できないでいるものの名前を狂ったように連呼する。
れいむの渇望は、さんざん苦しみ抜いた末に歪な形で叶えられた。
「排泄していいぞ。やめろというまで、ずっとだ」
「ぶびゅぼおおおおおおおおおおお!!!!うぅんうぅんでぇえりゅよおおおおおおおおおおお!!!
でぇぇいぶぅぅぅのぉぉぉ!!!ずぅぅぅぅばぁぁぁぁうぅぅぅんうぅぅぅんだぁぁぁぁぁいぃぃぃぃぃむぅぅぅぅうううううう!!!!!」
声がしたのと同時に、れいむは奇声を張り上げて狂喜の涙を流した。
あにゃるから、爆音を奏でつつうんうんが火山から噴き出すマグマとなって噴火した。
あにゃる周辺の饅頭皮を勢いで引き裂き、通常の三倍から五倍に広がった穴から、餡子が怒濤の如く排泄され床に山を作っていく。
「ゆあぁ………ゆほぉ……う、うんうんでてぇ……ち…ちあわしぇぇぇぇ…………………!!」
天を仰いで、苦痛がうんうんと一緒に体からなくなっていく快感に酔いしれるれいむ。
だらしなく弛緩した顔と、なおも下品な音を立てて排泄されるうんうんの山。そしてうんうんにまみれたゆっくりの姿。
匂わないし、人間にはただの生暖かい餡子である。それでも、この光景は正気の人間が見るには辛いものだった。
A主任がぼりぼり煎餅を食べながら見ている横で、助手は忘れていたはずの吐き気を催していた。
ゆっくりに実験をしていて吐き気を覚えたのは、どれほどぶりだろうか。
「うんうん……いっぱひでりゅよおおお………ちあわしぇえぇぇ………だよぉぉ…………!」
助手が顔をしかめるのを無視し、ケースの中のれいむは一緒にしーしーをたっぷり漏らしながら排泄の喜びを全身で表現していた。
虐待を趣味とする人でなくても、余裕でぶちのめしたくなる笑顔とポーズである。
れいむのだらしない顔が、突然驚愕で歪んだ。
「ゆゆゆうう!?うんうんとまらないよ!?うんうんとまってね!ゆっくりうんうんとまってね!……どうじでどまらないのおおおおお!?」
次なる異変は、あにゃるだった。
れいむの体からは、溜め込まれたうんうんは排泄された。今のれいむは普通のサイズのれいむに戻っている。
うんうんを全て排泄し終えればあにゃるは閉じ、うんうんは止まるはずだ。
しかしなぜかあにゃるは開きっぱなしで、妙な音を立てながら水っぽいうんうんがむりやりひり出されていく。
痛みが走る。体の栄養として取っておいた餡子が強制的に排泄されていくのは、あにゃる周辺と下半身にひどい痛みを生んだ。
「いだいいいいいい!いだっ!いだっ!うんうんがっ!うんうんがどまらなぐで!いだいいい!どまっでええええええ!!!」
さっきまでの喜びは消え去り、再びれいむを未体験の苦しみが襲った。
先程までのは体に餡子を詰め込まれる苦しみ。今度は体の餡子がひり出されていく苦しみである。
まったく違う苦しみに、れいむは恐怖と苦痛で歪んだ顔をケースに叩き付ける。
「だべえ゙え゙え゙え゙え゙!うんうんどまっでええええ!あんごが!でいぶのあんごがでぢゃうううううう!でぢゃだべええええええ!!!
いぎゃあああああ!いぎゃい!いぎゃいいいいい!ゔんゔんででいだいいいいいい!どばっで!おでがひだがらどばっでよおおおおおおおお!」
ゆっくりのうんうんは、古くなった餡子なのは周知の事実だ。
では、全部のうんうんを出し尽くした体が、それでも排泄しようとしてあにゃるから出すのは何だろうか。
答えは簡単だ。体内の正常な餡子である。
あにゃるからはいつの間にか、うんうんではなくれいむの体の餡子そのものが排泄されていた。
体の餡子をかき回され、強制的にあにゃるという狭い穴から出すという感覚は、どれほどの激痛と苦悶を生むのだろうか。
突然れいむは暴れるのを止め、うんうんを垂れ流しながら虚空を見据えた。
悲鳴ばかり上げていた口が、急に濁ってはいるが意味のある言葉を叫ぶ。
「おにいざあああんん!!!でいぶを!でいぶをだずげでぐだざい!でいぶはごごにいまず!もういぢどやりなおざぜでぐだざい!!
ごんどはでいぶはいいゆっぐりになりまず!いままでのごどはゆるじでぐだざい!おにいざんのやぐにだづゆっぐりになりまず!
ぜんぶでいぶがわるがっだでず!でいぶはおにいざんのだいぜづざにぎづがながっだばかでおろがなゆっぐりでず!はんぜいじまじだ!ごべんなざい!
だずげでぐだざあああいい!いだいのがらでいぶをだずげでぐだざああいい!いだいでず!ずごぐ、ずごぐいだいんでず!でいぶは!でいぶばあああああ!!!」
れいむの両目は、Aも助手も見ていない。
れいむにしか見えない誰かをれいむはじっと見据え、それに向かって泣きながら命乞いをしていた。
餡子が流れ出す内に、過去に飼われていた記憶を急に思い出したのだろうか。
「でっ!!ででででいぶぶぶぶぶぶぶぶっぶぶぶぶぶ……ぶぎ…ぶぎぃ……ぶっ…ぶっ……ぶぶっ」
あにゃるから、ついに中枢餡を排泄してしまったらしい。
れいむの目がぐるりと白目を剥き、四分の一くらいに軽くなった体がケースのガラスに倒れかかった。
顔がこちらを向いている。
助手はこれまで色々なゆっくりの死に顔を見てきた。そのなかでもこれは、断トツで悪夢に出てきそうな恐ろしい顔だった。
死ぬ間際まで、れいむの意識は苦痛以外何も感じなかったのだろう。ゆっくりすることを至上とするゆっくりにとって、これほど嫌な死に方もあるまい。
「わりとあっけなかったね」
メモを取りながら一部始終を見ていたA主任は、れいむの死に様に何も感じなかったようだ。
彼はマッドサイエンティストだ。ゆっくりがどれだけ死んでも、研究の成果が残せればそれでいいのだろう。
その成果は、無数のゆっくりのゆっくりできないゆん生を踏み台として徐々に誕生しようとしていた。
* * *
机の上でカタカタと音がする。
二人が目をやると、音源は透明な箱に入ったまりさだった。
まりさは二人の横という特等席で、二匹のれいむがゆっくりの小さな頭では及びもつかない方法で惨死したのを見てしまったらしい。
カタカタという音は、まりさの体が恐怖で震えているために箱が机にぶつかって立てていたのだ。
A主任の目がまりさの方を見る。小さな命を蹂躙できる快感はない。しかし、ゆっくりを慈しむ愛情もない。
彼の感情のない目で見つめられ、箱の中のまりさは「ゆひいっ!!」と悲鳴を上げて後ずさった。
金髪が逆立って、帽子を持ち上げるのが分かる。
彼が手を伸ばして透明な箱に触れると、まりさの恐怖は一気に倍増した。どたんばたんと箱をひっくり返さんばかりの勢いで暴れ始める。
「ゆがあっ!ぐるな!ぐるなあああ!ゆっぐりできないじじいはごっぢぐるなあああ!!」
まりさの口の下辺りに穴が空き、ちょろちょろとしーしーが流れ出して箱とまりさを濡らしていく。
あまりの恐ろしさに失禁したらしい。さらにAが近づくと、しーしーは量と勢いを増して撒き散らされた。
「大丈夫。まりさにはあんなことしないから。だって、もうデータ取れたしさ」
暴れ回るしーしーまみれのまりさを、A主任は嫌がる様子をちっとも見せず両手で掴んで持ち上げた。
「やべろおお!ばりざにざわるな!ざわるなああああ!じねえええ!れいむをごろじたじじいはいますぐじねえええ!」
恐ろしーしーを垂れ流したまま、歯をカチカチ鳴らすまりさをAはF−19と書かれた空っぽのケースに入れた。
そこには、火のついたアルコールランプが一つ置かれているだけで、ほかには何もない。
ケースに入れられたまりさは、火が恐いらしく反射的にケースの隅っこに逃げ込む。
「あっぢいげえええ!ばりざにぢかづくな!なにもいうな!いうななああああ!ばりざぎぎたくないいいいい!!!」
「元気いいねえ。これならいいデータが取れそうだ」
窮鼠猫を噛むと言った表情でこちらに牙を剥くまりさを、A主任は満足そうに眺める。
まりさの自分が殺されるかもという恐怖も、同族を無惨に殺された怒りも、理不尽な状況に置かれた混乱も、彼には関係ないらしい。
「まりさ。命令だよ」
「ゆがあっっ!」
野良犬のようにわめき散らすまりさが、メガホンからの命令で硬直する。
「君の大事にしているお帽子を、そのアルコールランプで燃やしなさい」
まりさの両目がかっと見開かれ、同時に口が限界まで大きく開いた。
何かA主任に言おうとしているが、声が出てこないらしい。
「い……い゙……い゙い゙い゙ぃ゙ぃ゙ぃ゙い゙や゙だあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!!」
ようやく声が出せたまりさは、断末魔の悲鳴を上回る絶叫を上げた。
まりさはゆっくりにしてはかなり賢い個体だったようだ。自分がこれからどうなるのか、何をするのか理解できてしまったらしい。
人間さんの言葉を聞くと、ゆっくりは無理矢理従わされる。
そのせいでれいむはぽんぽんが破裂するまであまあまを食べさせられ、永遠にゆっくりするまでうんうんを排泄させられた。
二匹の凄まじい死に方は、まりさの餡子の奥深くにまで刻まれた。きっと一生トラウマになって消えないことだろう。
それほどひどいことを、ゆっくりできないことを、酷すぎることを二人の人間さんは平気な顔をして行ったのだ。
どんなゆっくりであろうとも、この非道を許すゆっくりはいないだろう。ゆっくりの視点からすれば絶対に許されないことを、人間さんは平然とした。
怒りよりも、恐れの方がまりさの中で上回った。
できることならこの場から逃げ、声の聞こえないところで隠れたかった。
まりさの願いはゆっくりの神様に聞き届けられることなく、無慈悲にもまりさに命令が下される。
それは、自分の命と同じくらい大事なお帽子を、自分の手で燃やすようにという残酷なもの。
「な゙んでえ゙え゙え゙え゙え゙!お゙ぼゔじぼや゙じじゃっだら゙ばり゙ざゆ゙っぐり゙で゙ぎな゙い゙の゙に゙いい゙い゙い゙い゙い゙い゙!!」
あまりにも理不尽な命令に、パニックを起こしケースの中でまりさはのたうち回る。
まりさは分かってしまったのだ。
命令には逆らえない。
ずっと生まれた時から大事にしていたお帽子を、自分の手で燃やさなければならないことを。
取り上げられるのならば、まだあきらめがつく。自分から帽子を奪った相手を憎める。
でも、自分で帽子を燃やしてしまったならば、誰も怨むことはできない。
「いやぢゃっ!おぼうぢっ!ぼやすのやだ!おぼうぢないどゆっぐりできない!ゆっぐりじだい!おぼうぢだけはやべでっ!やべでぇぇぇ!!」
まりさは帽子を失った自分を想像し、口から餡子を吐きながら命令に抗おうと努力した。
たとえどれだけ拒否しても、中枢餡に刻まれた命令をキャンセルすることはできない。
猛烈な勢いで涙を流しつつ、まりさは起き上がると頭を揺すった。
ずっと自慢にしていた立派な黒い帽子が、あっさりと床に落ちる。
「やじゃあああああ!!やじゃやじゃやじゃあああああ!!!ばりざのおぼうじいいいいい!!おぼうぢいいいいいい!!!」
まりさの口が、大事にしていた帽子をくわえ、足が勝手に恐かったアルコールランプの方向へと歩き始めた。
口を塞いでしまったため、まりさは悲鳴を上げることもできない。ただ両目から甘い涙をぼろぼろとこぼしつつ、恐ろしい火へと向かうことしかできない。
どんなに足を止めようと力を入れても、意志に反して足は勝手にアルコールランプへと向かっていく。
口から帽子を離そうとしても、口は縫いつけられたかのように帽子を噛んだまま動かない。
死刑囚が13階段を登る足取りで、まりさはアルコールランプのすぐ側まで来た。
ブルブルと震えていたまりさの胴体が、ガタガタという大きな震えに変わった。
火への恐れと、帽子の末路の想像が、まりさの体を極限まで恐怖で痛めつけている。
まりさはさらに一歩前に進むと、口にくわえていた帽子の先端を、アルコールランプの火にくっつけた。
ゆっくりの体や髪の毛、それに帽子やリボンはなぜか非常に燃えやすい。火を付ければ簡単に燃え上がり、ゆっくりは焦げ饅頭になる。
まりさ本体は、すぐに口から帽子を離したため、自分が焼けることは免れた。
メガホンからの命令は、火に飛び込むよう命じるものではなかったからだ。
あるいは、そちらの方がまだ良心的だったのかもしれない。
* * *
まりさは元々は野良ゆっくりだったが、人間に拾われて飼いゆっくりになった経験がある。
それがこんな所にいるのは、ゲス化したからだ。
番のれいむが与えられ、子どもが生まれた辺りからまりさの態度はどんどんエスカレートした。
定番のおうち宣言。
「ここはおにいさんにはもったいないからまりさとれいむのゆっくりぷれいすにしてあげるよ。おにいさんはまりさたちのどれいになってね!」
「ほんとはでていってほしいくらいだけど、とくべつにれいむたちのどれいにさせてあげるからありがたくおもってね」
「おもってね!」
「おもっちぇにぇ!」
ご飯への駄目出し。
「まずいよ!こんなやすもののごはんさんがまりさたちのおくちにあうとおもってるの!?ばかなの?しぬの?さっさとどれいはあまあまよういしてね!」
「むのうなどれいのくせになまいきだよ!れいむとまりさのいうことだけきいていればいいんだよ。そんなこともりかいできないの?」
「あまあまさっさともってこい!」
「もっちぇこいくじゅ~!」
特にひどいのは子どもが絡んだ時だ。
「おちびちゃんみれてゆっくりできてるでしょおおお!?なんでそんなこというのおお!?くそどれいはおちびちゃんのせわができてこうえいなはずでしょおおお!!」
「ゆるさないよ!ぜったいにゆるさないからね!かわいいおちびちゃんをばかにしたくそどれいはさっさとしんでね!しね!くず!」
「れいむのかわいさがわからないなんて、ほんとにこのにんげんはくずだね。かわいくてごめんね!」
「れいみゅのうんうんかたじゅけられてありがちゃくおもっちぇにぇ!きゃわいくってごめんにぇ!」
人間を人間とも思わぬ言動の数々。
「なんなのそのめつきは!?おまえなんかだいきらいだからね!おまえなんかれいむとおちびちゃんのうんうんいかだよ!!いますぐまりさのめのまえからきえてしんでね!」
「くそどれい!れいむたちはおまえなんかどれいとしかおもってないからね。れいむたちのごはんをもってきてうんうんかたづければそれいがいかおをみせないでね」
「おまえなんかしけいだよ、このくず!!おかあさんとおとうさんがせいっさいしてやるからね!」
「しけいにしちぇやりゅよ!くじゅ~!」
こうなったのは甘やかしすぎた飼い主の責任なのだが、飼い主は自分が原因であることに気付くことはなかった。
可愛くて自分に懐いている間はいいペット。そうでなくなったら不要なゴミ。
勝手な飼い主に飼われたまりさたちは、気の毒なゆっくりだったのかもしれない。
せめて飼い主がしっかり躾をしていれば、ゲス化することもなく今も人間と仲良く暮らしていたかもしれなかったのに。
いずれにせよ、すっかりまりさたちに愛想を尽かした飼い主は、さっさと二匹と子ゆっくりを加工場に引き取らせた。
ちなみに番のれいむは、向こうでうんうんと一緒に中枢餡を排泄して悶死している。
子ゆっくりの末路は、ゆっくり駆除用に飼っているふらんの餌だった。
二匹のれいむは、ふらんによって両目を抉られた。
「……ゆっくりしね」
「いぢゃあああ!れいぶのおめめ!おめめがいぢゃいいいい!ぐらいよお!なんにもみえないよおお!」
「ぴぎゃあああああ!れいみゅのおめめがみえにゃい!まっくらでこわいよおおおおお!!おにいしゃあああああんん!!」
両親から引き離され、恐ろしい天敵にいたぶられ、暗黒の中で初めて二匹は理解した。
今まで散々馬鹿にしていた糞奴隷が、ゆっくりにとってかけがえのないお兄さんだったことを。
もうどれだけ助けを求めても、お兄さんには届かないことを。
「れいむがわるかったです!これからはいいゆっくりになっておにいさんにおんがえしします!おにいさんをゆっくりさせます!だからたすけてくださいいいいい!!」
「たしゅけちぇええ!おにいしゃんれいみゅをたしゅけちぇよおお!ごめんにゃしゃい!くしょどれいっていっちぇごめんなしゃい!わがままいってごめんにゃしゃいいい!!」
二匹の助けを求める声は、誰にも届くことはなかった。
ふらんは、二匹をすぐに殺すことはなかった。保存食として、皮を剥いで巣に持ち帰ったのだ。
「……おまえたちはあとでゆっくりたべる。したごしらえ」
「ゆぎゃああああああ!!!いだい!いだいのやだ!いだいのやべでええええ!れいぶのがわが!がわをはがしちゃやだあああああ!!!」
「ぴいぃぃぃ!!ゆぴっ!ゆぴぃぃぃ!!ぴぎゃあああああああ!!!」
そよ風が吹いただけで全身に激痛が走る状態で、今もれいむたちはひたすら死を願いながら生き続けている。
ふらんは最近駆除に忙しく、保存食を食べるのは当分先だろう。
案外、食べられることはないかもしれない。
「………れいむをころしてください……。わるいれいむはいきていてもしかたありません……いたいのもういやです………はやくしなせてください…………」
「ころちてくだちゃい……。れいみゅ、わるいことしちゃからもういきていたくありましぇん。……はやくれいみゅをしなせてくだしゃい…………」
* * *
家族を失い、ゆっくりプレイスを失い、プライドを失った。
全てが失われた中で、まりさの孤独をいやしてくれたのはお帽子だった。
まりさの大事なお帽子。ぴんと尖った先端や、歪んだところのない鍔、それにキュートな白いリボンはまりさの自慢だった。
まりさの半身と同じほど大事な帽子は、アルコールランプの火が燃え移り、小さな蝋燭となった。
「ま゙り゙ぢゃの゙お゙ぼゔぢい゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙!!!!」
帽子を離したことで自由になった口で、まりさは膨れ上がる絶望を悲鳴の形で吐き出した。
まりさの目の前で、大切な帽子が燃え上がっている。
「おぼうぢっ!ばりざのおぼうぢっ!!!ばりざのおぼうぢがあああああ!!!どうじでえええええ!!!」
火を消そうと思った。体当たりして帽子を床に押しつけ、ごろごろ転がって火を消したかった。
そうすれば、何とかかぶることができるくらいは残るはずだった。
熱いのはゆっくりできない。たとえそうでも、大事な帽子をなくすことに比べればどうということはないはずだった。
まりさにできるのは、その場を動かず泣きわめくだけ。
メガホンの命令は、帽子を燃やすというものだ。消していいとは一言も言っていない。
「ああ………まりさの……まりさの…おぼうし……おぼうしが…もえちゃった……おぼうしぃぃぃ」
小さな可燃性の帽子が燃え尽きるまで、たいして時間はかからない。
まりさは最初から最後まで、自分の宝物がこの世から消え去るのを目に焼き付けていた。
生まれた時から自分の頭にあって、しっくりと馴染んでいたもの。
頭を守ってくれる、同種のまりさもうらやむ帽子はもうどこにもないのだ。
まりさは涙をこぼしながら、半身が永遠に失われた悲しみを全身で表現していた。
* * *
人間の手がアルコールランプの火を消し、ケースの中から取り出すのをまりさは死んだ目で見ていた。
(もうどうでもいいや。おぼうしのないまりさなんて、ゆっくりできないんだもの。かってにして)
そう言いたげな目をしている。余程帽子を燃やすのがショックだったのだろう。今のまりさは、どんな拷問をしても耐えてみせるに違いない。
心がほぼ死んでいるため、苦痛を与えても他人事のように感じてしまうのだ。
もう饅頭と大差なくなったはずのまりさ。
それが、突然跳ね上がった。
「な、な、なにぞれええええええ!!!なにぞれっ!なにぞれぇぇぇぇえええええ!!!」
ありとあらゆる「負」の感情が、まりさの喉から発せられる。
数秒前までの、外界からの刺激を拒否した状態から一変して、まりさはしーしーを漏らしながらケースの隅に跳んでいく。
その様子は、アルコールランプの火を見せられた時をさらに数倍は上回っている。
まりさの恐怖の理由は単純なものだ。
人間の手は、アルコールランプをどけた後、変わって一つの帽子をケースに落とした。
今のまりさにちょうどぴったりの大きさの帽子。燃やしてしまった帽子と同じサイズだ。
違うのは、その帽子が入れられた瞬間、凄まじい死臭でケースがいっぱいになったことだ。
人間には分からない、ゆっくりのみが知覚できる死臭のあまりの濃度に、まりさは恐慌状態になる。
「どけてっ!それどけてっ!どげでええええええ!ぞれがあるどゆっぐりできない!ゆっぐりでぎないがらずぐどげでええええええ!!!」
その場でまりさはばたんばたんと跳躍し、床に顔をこすりつけ、壁に顔面をぶつけ、ありとあらゆるゆっくりできない仕草で暴れ回る。
見るのも嫌だ。触るのも嫌だ。じぶんでどけることなど到底できない。だから必死になってお願いする。
帽子がそこにあるだけで、まりさは決してゆっくりできない。
帽子から放たれる死臭に、まりさは窒息寸前にまで追い詰められる。
「分かるか。分かるよねー。作るのに結構手間がかかったんだよ。その帽子が完成するのに、まりさ二十匹が二十種類の仕方で死んだんだからね」
ケースの中で叫ぶまりさを見て、A主任はそんなことをつぶやく。
事実だ。ケースの中の帽子には、まりさ二十匹の死臭が染みついている。
この帽子を作るためだけに、二十匹のまりさがゆっくりと犠牲になったのだ。
あるまりさは、ゆっくりと五寸釘を刺されて死んだ。
あるまりさは、ゆっくりとバールで殴られて死んだ。
あるまりさは、ゆっくりと口から水を飲ませられて膨れ上がって死んだ。
あるまりさは、ゆっくりと餓死するまで何も食べさせてもらえず死んだ。
あるまりさは、ゆっくりとレイパーによってたかって輪姦されて死んだ。
あるまりさは、ゆっくりと………。
二十匹の二十種類の死が、帽子にはしっかりと染みつき、離れようとしない。
「まりさ、命令だよ。そのお帽子をかぶりなさい。かぶったら絶対に脱いだら駄目だよ」
絶叫が答えだった。
「びぎゃああああああああああ!!!あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!」
まりさは忠実に命令に従い、何度も拒絶しながら帽子に近寄り、泣いてやめてくれるようお願いしながら帽子を掴み、顎が外れるほど叫びながら帽子をかぶった。
そこには、かつてゲス化して自分が世界で一番偉いと思い上がったゆっくりの姿はなかった。
「よくできたね。えらいよ、まりさ」
「ゆ゙っ……ゆ゙っ……ゆ゙っ……ゆ゙っ……ゆ゙っ……」
A主任の賞賛はまりさにはもう届かない。
今のまりさは、死臭が渦巻く地獄の中を一人さ迷っている。
人間には分からない感覚なので説明しにくいが、きっとまりさは目の前で二十匹のまりさが殺され、その絶望と怨嗟に同調している状態だろう。
死臭を通じて、まりさは死んだ二十匹の断末魔を延々と見させられている。
「まりさ。これから俺が言う言葉を復唱しなさい。まずは『人間さん、まりさにすてきなお帽子ありがとうね』」
「ゆ゙っ……にんげんさんまりさにすてきなおぼうしありがとうね」
メガホンからの命令に、まりさの死んだ目に光が灯り、機械的にAの言葉を繰り返す。
心にもない言葉を、口が勝手に発するのにまりさは絶望した。
「まりさ、このお帽子すごく気に入ったよ。大事にするね」
「まりさこのおぼうしすごくきにいったよだいじにするね」
「これから一生宝物だよ。ずっとかぶって取らないからね」
「これからいっしょうたからものだよずっとかぶってとらないからね」
「絶対に離さないよ。これはまりさのお帽子だからね」
「ぜったいにはなさないよこれはまりさのおぼうしだからね」
「よし。もう復唱しなくていいよ」
まりさの心は崩壊寸前だった。
大事な宝物が、目の前で壊され、燃やされ、貶められ、否定された。
しかも自分の手で、そうすることを強制された。
代わりに与えられたのは、忌まわしい死臭で満ちたもの。
あまつさえ、そんなものを与えた人間に感謝の言葉さえ言わされたのだ。
「笑いなさい。嬉しそうに、お帽子がもらえてとても嬉しそうに笑いなさい」
「……ゆっ…ゆへへ………ゆふ…ゆふふふふ………ゆふふふふふふふふふ……」
まりさは微笑んだ。
かつて番のれいむの蔦に実っていた、赤ゆっくりに微笑みかけた時と同じように。
大嫌いな死臭付きの帽子を頭にかぶせられ、それがもらえた嬉しさを表現しろと言われてまりさは笑ったのだ。
笑いながら、まりさは涙を流した。
自分から、一切のゆっくりがなくなったことを自覚して。
「はい。もういいよ。帽子は絶対に脱がないでね」
「ゆ゙……ゆ゙……ゆげがあああああああ!!!おぼうぢ!おぼうぢいやああああああ!!!どっでね!ゆっぐりじないでごれどっでね!!!」
何もかもが終わったと分かった途端、まりさは再び絶叫した。
こんな恐ろしいものが頭の上にあるという事実だけで、まりさは死ぬよりも苦しい苦痛を味わっていた。
「おぼうぢどっでぐだざい!おねがいでずがらどっでぐだざい!どっでぐれだらばりざなんでもじであげまず!
ごどももあげまず!おべべもおぐぢもがみのげもいりまぜん!れいぱーにずっぎりざぜであげまず!ゔんゔんだっでだべまず!
おねがいでず!!ばりざのあだまがらごのおぼうじどっでぐだざい!どっでぐれだらばりざをごろじでいいでず!ごろじでいいでずううううう!!!」
まりさは叫びながら、ケースの中を転げ回る。
思いつく限りの言葉を使い、思いつく限りのお願いをして、頭から死臭付きの帽子を取ってもらおうと人間に訴える。
「おにいざん!ばりざのだいずぎなおにいざん!へんじをじでぐだざい!ばりざはおにいざんのごどがだいずぎでず!でいぶなんがよりもずっどずぎでず!
ばりざのりっばなゆっぐりじだすばらじいおにいざん!おねがいがありまず!!ばりざのあだまがらごの……おぼうじをどっでぐだざいいいい!!
ゆぎゃあああああ!!!おぼうぢがあるど、ばりざはゆっぐりできなぐなっぢゃいまず!ばりざをがわいぞうにおぼっだらだずげでぐだざあああああい!!
いままでばりざはだめなゆっぐりでじだ!!あやばりまず!ばりざはげずでず!ごぎぶりざんいがでず!ぎだないぐぞまんじゅうでず!!
ばりざはゆっぐりはんぜいじまじだ!ほんどうでず!ばりざはごごろをいれがえまじだ!だがらおぼうじを!おぼうぢを!おぼうじをおおおおおおお!!!」
その場で跳ね回り、狂ったように頭を振り、頭を叩き付けて土下座する。
自分を捨てた飼い主に助けを求めているのだが、その様子はあまりにも短絡的だった。
それだけ暴れてもなお、決して帽子は頭から落ちない。
「成功したね。ここまで拒絶してなお、命令を守るんだから。この個体は優秀だから、どれだけ帽子をかぶっていられるかこれから試してみよう」
「ええ。二十四時間以内に命令を常に更新するようにしておきます」
「そうしてね。それじゃ、車出して。山行くから」
「え?どうしてです」
「だってさ、このメガホンが本当に必要なのってさ、山から下りてきて人里で畑とかゴミ捨て場とか荒らすゆっくりじゃない。
野生のゆっくりに命令が同じように効くかどうか、ちゃんと確かめないとね。ほら、行くよ」
「は…はい。分かりました」
助手は立ち去るA主任の後を追う前に、一度だけ哀れなまりさの方を見た。
「どっでぐだざい!!ばでぃざのあだまがらごのおぼうじをどっでぐだざいいいい!!!どっでぐれだらいっじょにばでぃざをごろじでぐだざいいいいい!!!」
まりさは変わらず、凄まじい絶叫を上げながら誰かに帽子を取ってもらうことだけを懇願していた。
あの命令がある限り、まりさは二十四時間の間自殺することさえ許されない。自殺することは、命令に違反することにつながるからだ。
二十四時間が経ったとしても、まりさが帽子から解放されることはない。A主任はまりさに、永遠にゆっくりするまで命令によってかぶらせ続けることだろう。
助手は一瞬だけまりさを可哀想に思ったが、すぐに雑念を消し主任の後を追った。
まりさたちの犠牲によってゆっくり対策の新製品ができあがり、結果的にはゆっくりたちの為になるのだから。
(続)
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このSSへの感想
※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね!
- 現実世界にゆっくりがいたら欲しい道具の1つだね!
~しろ=それ以外の行動を禁止
~してはいけない=それ以外の行動に制限はない
後は効果範囲と時間に注意するだけ。やっぱり欲しい(懇願) -- 2018-02-09 12:55:03
- 89800円までなら買う -- 2016-09-14 17:05:23
- このメガホンすげぇな… -- 2016-01-09 17:18:54
- ゆっくりこっちに来いって言ったら来るんだろうな…虐待し放題じゃねぇか -- 2012-06-13 18:44:43
- あ、ありえねぇ…こいつは天才か!?なってまーべらすなSSなんだ!超ゆっくりできたよ!! -- 2012-05-06 08:34:07
- 此処まで鬼気迫る虐待は見た事がねぇええええ!
凄すぎるぜ、GJ! -- 2010-10-22 17:55:10
- 普通にプロレベルじゃねえかww
次回作超期待 -- 2010-08-12 21:37:14
- >れいむは、南斗紅鶴拳のように背中から破裂した。
固めの文章の中にさりげなくこんな表現があって吹いたw
-- 2010-08-12 20:35:11
- 素晴らしすぎるわこのSS!!あんた天才かあ!!!続きが見たくてしかたがねええええええ!!!! -- 2010-08-10 23:59:30
- んほぉぉぉぉ!!
とかいはなおにいさんねっ!!!! -- 2010-07-14 20:02:28
- ゆふー、さいっこうっにゆっくりできたよー -- 2010-07-07 17:01:20
- ヒャッハ―!すっきりー!
あんた最高だぁああああああ!この天才科学者! -- 2010-07-06 01:50:16
- ヒャッハー、最高の道具だぁ!! -- 2010-03-22 20:54:48
最終更新:2010年01月06日 16:50