れいむとまりさがだーい好き!! 8KB
夏の季節がやって来た。
暑い日差し、多い雨、高い湿度。俺は夏が余り好きではない。
前述の要素も好みに多少関係しているのだが・・・・・・なんといっても、虫が出るのだ。
一応俺は一軒家に住んでいる。
マンションの上の階などに住んでおられる方には分からないだろうと思うが、結構この時期虫が出てくるのだ。
窓が開くため?地面に接しているから?排水溝とかを伝ってくる?恐らく全部だろう。
昔、眠っていた所を奴らと遭遇した時は暫くの間不眠症になってしまった。
しかし、人間の知恵と言うものは凄いもので。
そんな忌々しい奴らを暫くの間遠ざけてくれる物が存在する。
所謂殺虫剤と言うやつだ。
今日俺が買ってきたのは○ルサン。燻蒸式殺虫剤の代表格だ。
これを部屋の数だけ買い込み、全ての部屋に置いておく。
一部屋だけとかにすると奴らは別の部屋に移るだけなので、こうやって一気に殲滅しなくてはならないのだ。
まずは二階、最も奥の部屋から火を点けていく。
火を点けるといっても蓋でこするだけだ。科学の進歩とは素晴らしいね。
そんな感じでどんどん点火していき、一階へと降りた。
テキパキと点火していき、玄関まで来た。
後はここにも○ルサンを置いて、蓋を擦る。立ち上る白くて不可思議な匂いの煙。
ここに居るのは健康的な意味で危ない。さっさと家を出て、玄関に鍵をかける。
今頃家の中では、殺虫性のある煙が隅々まで行き渡っている事だろう。
そしてその煙は、家の中に潜む不埒者を苦悶の末殺すことになるはずだ。ちょっと後処理の事を考えて鬱になる。
まぁ少なくともこれで一ヶ月は奴らと出くわさくなると思えば軽いものだ。
さて、2時間。とりあえずそれまで飯でも食いながら時間潰しますかね。
そんなこんなであっという間に2時間。
暇つぶしを完了した俺は、早々に家へと帰り着いていた。
未だに中には入っていないが、それでもなんとなく何かが完了したと言う雰囲気が家から伝わってくる。
鍵を開け、ドアを引いてみると・・・うん、殺虫剤特有の、この匂い。あと視界がなんか白い。
恐らくは何か身体に有害な成分でも入っているのだろうが、それが何故か俺を安心させる。
あとは換気を済ませて、○ルサンを回収・・・と思ってみてみれば、案の定と言うかそいつらは転がっていた。
まず第一に、人の生首をデフォルメさせたかのようないい加減な球形。
そこに申し訳程度に付いた顔面が、断末魔の表情を浮かべていた。
大きさはおよそプチトマトからピンポン玉の中間程度。それが何匹も○ルサンの周りに斃れ伏している。
いきなり気持ち悪いもの見ちまった。
そう思いながら玄関に掛けておいた箒と塵取り、そしてビニール袋を取り出す。
こいつらを掃除しなければ。
赤い布切れらしき物を頭頂部に付けたコイツの名前は、通称赤バエ。
生きている時には何か触覚らしきものをぶんぶん振る様子から、この名前が付いた。勿論コイツ自体は飛べないのだが。
薄汚いツラを晒しているこの害虫を、さっさと箒で塵取りの中に収めていく。行く場所はビニール袋の中だ。
黒い帽子らしき物を被ったこちらの名前は、通称黒ゴキブリ。
赤バエよりも幾分動きが素早いことから、この名前がつけられた。とは言ってもあまりスピード自体は早くない。
コイツも同じくビニール袋の中にご案内。玄関でいきなりこれでは、きっと他の場所にもわんさか居るのだろう。少々鬱。
言うまでも無く、こいつ等は害虫だ。
昔はどうだったかなんて知らないが、少なくとも今はそう。立派な皆の嫌われ者となっている。
昔は、こいつ等もこんなに小さくなかった。いや、今も親の場合はもうちょっと大きいのだろう。
今俺がビニール袋に入れている奴等は、全部幼体。忌々しいことに、こいつ等は人家の隅々で子を産むのだ。
最初のうちは、その小さな体のお陰で人に見つかる事は少ない。しかし、成長すれば家具の間に納まるサイズではなくなってくる。
そこで初めてこいつ等は人にその姿を見せるのだ。一匹見つければ五十匹は居るとか言われるのもその為である。
本当のゴキブリとかも薬品に耐性が付くというが、こいつ等もそんな感じでどんどん小さくなっていったのだ。
家具の間に住み着き、その薄汚れた身体で人の食べ物を狙ってくる。
それだけには飽き足らず、酷い場合には家具を壊される危険もあるというのだ。全く以って許しがたい。
かくいう俺も、昔寝ている所をこいつ等に潜り込まれた事があったのだ。その時は絶叫しかけたね。気持ち悪いったらありゃしない。
まぁその時は幸いにも身近にティッシュがあったから、有無を言わせず2~3枚に包んで潰した。
先程も言ったように、こいつ等は幼体が多いので殺虫剤で簡単に殺せる。
案外バカなもので、殺虫剤の煙に苦しんで出てきて、目の前の不思議な煙を出す物体(○ルサンの事)に何故か集まってくるのだ。
一度友人に聞いた話では、バルサンに向かって何かピーピー鳴いていたと言う話である。
何かの習性かどうかは知らないが、こちらとしては楽なものだ。なんせ害虫が家具の奥で死んでいるなんて事が無い。
1階、2階の部屋から換気しつつ○ルサンと害虫どもの死骸を回収していく。
あまりの量に泣きそうだ。本当にこいつ等、50匹以上居る。既にビニール袋は2袋目に突入だ。
残るは一階の書斎。きっとここが一番多いに違いない。嫌な予感をしながら俺は書斎へと入る。
うん、やっぱり予感は当たっていた。
いるわいるわ、ここだけでも2階の全部をまとめた量より多い。文字通り小山が出来ている。
ほぼ半泣きになりながら箒と塵取りを振るう俺。半分ほどをビニール袋に入れたとき、事は起こった。
「・・・・・・ゅ・・・・・・」
「うえっ、動いた!!」
ピクピクとだが、動く奴が居たのだ。
小山の最も下、赤ゲジと黒ゴキブリが折り重なるようにして死んで、その死骸が煙を防いだのだろう。
もっとも、そいつも既に瀕死の状態だが。
「・・・・・・ゅっきゅり・・・させちぇ・・・・・・」
「うえー、気持ち悪い。なんか鳴いてるよ、こいつ」
意識的に生きている奴から先に掃きとり、ビニール袋の中に押し込む。死んでいる奴等もどんどん入れていった。
これで潰れてくれれば御の字なのだが、そうもいかない。
ビニール袋の中では未だに害虫の鳴き声が聞こえてくる。
「にゃんで・・・・・・れいみゅたち・・・ゆっきゅりしちゃいけにゃいの・・・?」
「うぅー、まだ生きてるのかよ・・・・・・」
ビニール袋を二枚重ねにして、口をきつく縛る。中身が出てこないようにするための措置だ。
そうして床に置き、履いていたスリッパを手に取る。
そのままある程度の力を込めてビニール袋を叩いていった。
「ぢゅっ・・・・・・ぢゅ、ぢゅぶれりゅ・・・・・・」
「・・・・・・」
最初の数発は鳴き声が聞こえてきたものの、何度も念入りにスリッパで叩いていると潰れたのかそれも聞こえなくなった。
うん、よし。害虫駆除完了。これでこの夏も快適に暮らせそうだ。
ゴミ捨て場へと向かい、そこにビニール袋を置いていった。
それから家に帰る途中、またぶらぶらと散歩をして、ペットショップに立ち寄る。
ショーウインドウから覗くのは愛くるしいゆっくり達の顔。
これがまさか先程始末した害虫と同じ饅獣類だとは誰も思うまい。
昔は、害虫どもにも名前があったらしい。確か・・・・・・れいみ、まりすと言う名前のはずだ。
しかし、時の流れの残酷さか、あるいは人間の身勝手な都合の結果か、この二種は徐々に害虫としての扱いを受け始めた。
かたや害虫。かたやペット。他のゆっくりとこの二種は、どうしようもなく乖離していた。
他の動物に例えてみよう。
ハムスターという動物がいる。比較的安価で、小学生でも飼えるであろうペットだ。
しかし、同じげっ歯類であるドブネズミは害獣だ。飼おうとするものはほぼ居ないだろう。
ネズミ一つ例にとってもこうなのだ。
種類の違いで、扱いが変わるなんてのは良くある事。別に誰が悪いわけでもない。強いて言うなら、大量に居る奴等の存在が悪い。
一度決まった扱いは覆しがたく、めでたく二種は害虫としての地位に君臨し続けている。
実際、俺も俄かには信じがたい。
ペットショップに並ぶゆっくりと、先程の害虫・・・どうやってそれらを結び付けろというのだ。
ゆっくりはゆっくり。害虫は害虫。誰もが納得していることに、今更疑問を差し挟むような事はしない。
ショーウインドウに微笑みかける。
箱の中のゆっくり達は、それだけで幸せをかみ締めるような笑顔を浮かべた。
いい顔だ。少なくとも害虫どもには浮かべられないような、そんな顔。
おっと、ゆっくりと害虫を同列に扱うのはゆっくり達に失礼だったかな。
仮に、もし仮に。
俺がこのゆっくり達の中のどれかを飼って、そして今日のように害虫どもを駆除したら、どんな顔をするだろう。
可哀想と言うのだろうか。ゆっくりさせたかったとでも言うのだろうか。
本当にそうならなんと優しいゆっくり達なんだろうと思う。でもそんな事は必要が無いんだ。
君達はペットで、奴等は害虫。そこに友情も愛情も慈悲も敬意も憐憫も―――必要ない。
とりあえず、ゆっくりを見て癒された。害虫を見たストレスは、いつもこうやって解消している。
気分良く店を出た。目指すは我が家。もう換気も十分に済んでいることだろう。
そう思って踏み出した足の先には、ちょうど建物の隙間から飛び出してきた害虫が居た。
ぐしゃり。汚い音。不愉快な感触。靴の裏には黒い汚物がびっしりと付いている筈だ。
再び不愉快になる俺。舌打ちをしながらぐりぐりと地面に足をこすり付ける。
本当にこいつ等は過去ゆっくりだったのだろうかとさえ疑う。
どんな時にもケチをつけて胸糞を悪くするのが害虫だ。
あーこいつ等はやく絶滅しないかなー、なんてことを思いながら俺は家路に付いた。
終わり
* * * * *
偶にはヘイトが炸裂してもいいじゃない。
俺はなぁ、差別とれいまりが大嫌いなんだよ!
挿絵 by嘆きあき
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このSSへの感想
※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね!
- 希少種びいきはしないよ!ゆっくりはゆっくりだよ!「グジャア゛」 -- 2014-02-11 14:52:51
- ちぇんとかがやられると鬱になるが、この2種類は駆除されても全然平気。
あら不思議。 -- 2012-11-25 20:43:53
- れいみwwwwまりすwwwww -- 2012-09-10 00:33:13
- ゆ゛る゛さ゛ん゛! -- 2012-05-06 20:28:08
- これを人間に置き換えると、赤ちゃんを大量虐殺するのと同じ。
実際俺は赤ゆか子ゆ、ゆっちゅりー、さなえ、めーりんならゆるせるけど・・・。 -- 2012-03-25 08:25:50
- ↓↓俺も吹いたwww -- 2011-12-26 20:06:47
- ゆるサンwww
「ゆっくり」と「バルサン」と「許さん」をかけてるのかwww -- 2011-09-15 23:02:39
- まんなか辺りで普通にバルサンって書いてあってフイタ -- 2011-08-18 12:22:08
- ゴキブリ踏んだ俺だからそれくらい大丈夫! -- 2011-04-09 11:54:37
- ゆるサンwww -- 2011-01-09 10:22:59
- 悪夢だ… -- 2010-09-28 18:17:39
- ↓↓おいやめろw
そう言われて想像してマジで鳥肌立ったww
家中にれいむとまりさが居て繁殖してるとか死ねるわ… -- 2010-09-24 06:21:54
- かわいい -- 2010-08-25 21:06:03
- プチトマトサイズの赤バエや黒ゴキが家のあちこちに潜伏して繁殖しているって。
怖いどころの話じゃないだろw -- 2010-08-24 14:10:35
- wwww -- 2010-06-11 19:58:30
最終更新:2010年01月23日 06:14