ふたば系ゆっくりいじめ 139 ゆっくりのみるゆめ

ゆっくりのみるゆめ 21KB





『ゆっくりのみるゆめ』

D.O





「ゆっくりしちぇっちぇにぇ!!!」

ここは商用ゆっくりの総合製造工場、通称「餡工場」。
ここは銀バッジ付以上のような『愛玩用』ではなく『商品用』ゆっくりが日夜生産され続けている。
今回の主人公であるゆっくりまりさもこの工場内で産声を上げた。

「はーい『!』3つ。」

まりさは両親から「ゆっくりしていってね」と返されることもなく、所定のベルトコンベアーに振り分けられた。
赤まりさの等級区分はその活発さの度合いで決められている。
まりさ=活発
れいむ=母性(笑)
ありす=都会派(笑)
その個性が際立ってこそ購入者も満足するのだ。
まあ具体的には、生まれて第一声のあいさつが元気なほどよりマシな将来が用意されており、
『!』が3つ以上で廉価飼いゆ、2つ~1つで各種ゆっくり商品の生体部品、元気がなければ餡子となる。

「ゆぴっ!ゆぅ、にゃんだかねむきゅなっちぇきちゃよ。すぴーすぴー。」

廉価飼いゆにえらばれた赤ゆたちはあにゃるから睡眠薬入り茎ペーストを注入され、
真空パックに封入後各店舗へと送られる。
こうして彼女たちの命は1匹50円で飼い主に握られることとなるのである。




「ゆぅ、ゆっ?ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!!!」
「うわーい!赤まりさだー!ゆっくりしていってね」
「どうだ、M太。元気な赤まりさだろー。」
「うん!すっげー元気!とーちゃんありがとー!」
「むほぉぉおおお!M太はかわいいなぁ!よーしよしよしよし×300。
M太の欲しいものならなんっっっっっっだって買ってあげるからなぁ。」
「ほーら。ごはんやるからな。あぁ、とーちゃん、邪魔。」
「どぼぢでぞんなごどいうのおおおお?」
「ゆっくりしちぇいっちぇにぇ!!!ゆっくりしちぇいっちぇにぇ!!!」

こうしてまりさは溺愛お父さんとM太の家で育てられることとなった。

数日の間は。

「とーちゃん!この『卓上水上まりさ』っての欲しい!買って!」
「んあ?赤まりさは?」
「飽きた。」
「むほぉぉおおお!そんな冷血のM太もかわいいなぁ!よーしよしよしよし×500。」

「おにーしゃん、やめちぇにぇ。おいていきゃにゃいでにぇ。
まりしゃなにかわるいこちょしちゃならあやまるよ?まっちぇにぇ。まっちぇ・・・まっちぇぇぇぇええええ!!!」

こうしてまりさは3日間も食事を忘れられた挙げ句、
家から遠く離れた林へと捨てられた。



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「ゆぅ。むーちゃむーちゃ、ちょっとちあわちぇー。」

まりさは自分でも集めることができる唯一の食糧、雑草を食べて生き延びる。
草や虫など食べられない大抵の飼いまりさであれば、ここで儚いゆん生を終えていた事であろう。
だが、飼い主のあまりに雑な飼育が、結果として彼女の命を救うこととなった。
彼がこの数日間で与えられた食事と言えば、試供品のゆっくりフード『ミラクルベジタブル』一食分と水のみ。
そもそもこの商品にしてから、野菜の姿を残しつつ風味と食感を完全に除去したという、奇跡の名にふさわしい虐待用品である。
事実上体内に注入されていた茎ペーストのみで生き延びていたまりさは舌が肥えることとは無縁だったのだ。

「なんじぇ?まりしゃにゃにかわるいこちょしちゃにょ?
おとーしゃん、おきゃーしゃん。さびちいよぉ。しゃむいよぉ。」

「むきゅ?おちびちゃん一人でこんなところにいちゃあぶないわよ?」
「わきゃらにゃいよ。おとーしゃんもおきゃーしゃんもいなかっちゃんだよ。
おにーしゃんもまりしゃをおいちぇどっきゃいっちゃったんだよ。」
「むきゅーん。大体事情はわかったわ。まだこんなに小さな赤ちゃんなのに。
まりさ、お外はあなたみたいな子供が一人でいると危ないわ。ぱちぇのところにいらっしゃい。」

まりさが林で生活を始めて4日目、初めて言葉を交わした相手は、体高50?を超える一匹の老ぱちゅりーだった。

「むきゅん。このキノコさんはゆっくりできるわ。こっちの木の実さんは殻をとらないとゆっくりできないわね。」
「しゅごーい。ぱちぇおにぇーちゃんはものしりだにぇ。」
「おねーさんなんてよばれたのは久し振りね。こんなおばーちゃんなのに。むきゅむきゅ。」

「おうちはゆっくりにとってごはんとおなじくらい大切なのよ。
雨さんも風さんも、太陽さんからも守ってくれるのよ。」
「ゆっくりりかいしたよ!」
「山のゆっくりは、穴をほっておうちをつくるけど、そうするとお引越しが大変ね。
できれば人間さんの置いて行った箱さんや布さんを使って作る方がいいかもしれないわ。」

「ぱちぇおねーちゃん。」
「何かしら?」
「なんではじめてあったときひとりだったの?」
「長をやっていた群れから追い出されたのよ。」
「なんで?ぱちぇおねーちゃんはこんなにゆっくりしてるのに。」
「若いドスが来てね。年寄りは引退しろって。
皆のために厳しくしていたけど、自分の娘にまで出て行けと言われた時はちょっと悲しかったわ、むきゅん。」
「・・・・。」



まりさがぱちゅりーから生きていく知識を吸収し、子ゆっくりとなったころ生活に転機が訪れた。

「ふむ、あれが報告のあった巨大ぱちゅりーか。これは珍しいね。」
「湯宇川教授、準備できました。」

「むきゅん。人間さんの気配がするわ。」
「にんげんさんはゆっくりできないよ!ぷんぷんっ。」
「そんなこと言っちゃだめよ。人間さんもゆっくりも、ゆっくりできる相手もいればできない相手もいるの。
でもね、もしもお話しすることがあっても絶対に近づいちゃだめよ。
喧嘩になりそうだったり、反対にいきなりあまあまをくれたりする人に出会ったら、
おうちも宝物も、全てを捨ててでも逃げるのよ。それが生き延びるコツね。」

「むぎゅぅぅううう。まりさ、おうちの裏口から逃げてね!振り返っちゃだめよ!」
「ぱちぇおねーちゃん!いっしょににげてね!もうひとりはいやだよ!」
「・・・おねーさんは一人でならば逃げられるわ。でもあなたがいたら足手まといなのよ。わかったら急いでね。むきゅ。」
「・・・ゆっくりりかいしたよ。」
「ここから太陽さんが顔を出す方にしばらく行ったところにありすとちぇんの群れがあるわ。
ぱちぇの親友なの。お互い生きてそこで落ち合いましょう。」
「おねーしゃん・・・」
「?」
「にんげんさんからにげて、またあえたら、おかーさんってよんでいい?」
「むきゅ、むっきゅーん。これは意地でも逃げきる理由ができたわ!
さあ、もう行って!人間さんが来ちゃうわ!」

「むっきゅー!ぱちぇはこっちになんていないわよー!」
「でかいって言ってもしょせんゆっくりか。自分から声出して場所を知らせてくれてるよ。」
「ふむ。そうかね。まあ、そこまでして守りたいものなんて大体予想がつくがね。」
「はぁ。(相変わらずわけわかんねえなあ。まああの巨乳の考えてることなんてどうせ理解できねぇけど。)」

そして、ぱちぇは二度とまりさの前に姿を現すことはなかった。


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「ありす。よろしくおねがいし、・・・するんだぜ。」
「大変だったわね、まりさ。これからはこのむれでゆっくりしていってね。」
「「「「「「わかるよー。」」」」」」

まりさはこれ以来『だぜ』まりさとなった。
だぜまりさは飼いゆや町ゆの間ではしばしばゲスの代名詞として敬遠される。
だが本来は、まりさ種の中でも特に活力とたくましさに優れた個体が生まれつき発現する個性である。
まりさは、もっと強く、たくましく、
大切なゆっくりを守れるような大人になりたいと願い、『だぜ』を語尾に付けるようになった。



「みんなもこの、ほぞんのきくきのみさんをあつめたほうがいいんだぜ。
ざっそうさんもいざってときにはたべられるんだぜ。ほして、おふとんにもできるんだぜ。」
「まりさすごいわー。とってもとかいてきね。」

「ばったさんをつかまえるには、いとさんにみじかいきのえださんをつけてそっとひっぱるんだぜ。」
「ばったさんがかってにくっちゅいてきちゃよー。まりしゃおにぇーちゃんしゅごーい。」

老ぱちゅりーはいなくなったが、その教えはまりさの中に生き続けていた。
いつしかまりさは群れの中心となり、彼女の知識と指導によって十分な食料を集めることができた群れは、
ほとんど被害を出すことなく冬を越えることができた。
ありすから長の座を譲り受けたのはそうして、群れの誰もがゆっくりしていた春のある日だった。

「まりさ。これからもむれのみんなをおねがいね。」
「これからは、まりさがむれのみんなをゆっくりさせるのぜ。みんなもゆっくりてつだってほしいのぜ。」
「まりしゃおにぇーしゃんははとっちぇもときゃいはなおさにぇ。」
「「「「「「わかるよー。」」」」」」
「さーて、んじゃ今日の作業始めんぞー!」

「「「ゆゆっ?」」」
「ほい、チェーンソーよこせ。」
「へいへーい。」
「んじゃ離れてろよ。『ギュァァァァアアアアアン』」

元長ありすとちぇんのとてもゆっくりしたおうち、大きな洞を持った大木が見る間に切り倒された。
あまりに突然の出来事、群れの誰一人として何が起きているのか理解できたものはいなかった。

「このでっけえ木さえどかせりゃ後はあっという間よぉ。とっとと切り株引っこ抜くぞぉ!」
「へいへーい。」

その周囲でも次々と木が切り倒されていく。
人間たちが手をつけていないのは、まりさたちが集会をしていた広場だけだった。
そして、元長ありすのおうち、大きな切り株が丸ごと引っこ抜かれたところで、
ようやくまりさたちは事の重大さに気がついた。

「ゆぁぁぁっぁあああああああ!なにやってるのおにーさぁぁああん!
こんなのまったくとかいはじゃないわあああああ!!」
「何ってお前、家建てるんだよ、家。」
「そこはありすとちぇんのあいのすなのよぉぉおおおお!
かえしてぇぇぇえええ!もとにもどしてぇぇぇええええ!」

元長ありすは、長まりさ、いや、これまで群のだれもが見たこともない取り乱し様だった。
このおうちは、ありすの親の親の親の代から長女に代々受け継がれてきた大切なおうち。
ありすのゆん生の思い出、そして今は亡き夫である、先々代長ちぇんの温もり、ありすのすべてが詰まっていたのである。
ありすは、ぽよん、ぽよん、と、効果などありようもない体当たりを繰り返して抗議していた。

「かえしてぇぇぇえええ。おねがいよぉぉ、かえしてよぉ・・・。」
「おーい新入りぃ。お前ちょっと杭よこせ。」
「へいへーい。」
「かえしてぇ・・・。かえ『ざくり』・・・・・・。」

ありすはなんの躊躇もなく、あっさりと殺された。

「おーい、お前らぁ。作業中止。ゆっくり駆除先にやっちまうぞぉ!」
「「「へいへーい。」」」

そして、建設作業員にとっては通常作業のひとつ、ゆっくりにとっては大虐殺が始められた。



まりさはそのころすでに、群れの縄張りからはるかに離れた民家の裏に逃げ隠れていた。
ありすが人間に大声で抗議を始めた瞬間、老ぱちゅりーの声が餡子の底から蘇ったのだ。
『おうちも宝物も、全てを捨ててでも逃げるのよ。それが生き延びるコツね。』
まりさは民家の裏に縮こまり、地面に顔を突っ伏して震えていた。



「やじゃぁぁぁあああ!やめちぇにぇ、や『ぞぶり』・・・」

春になり一番最初に群れに誕生した赤まりさが死んだ。

「ゆぁぁぁあああああぁぁぁ。いや『ぐさり』・・・」

秋に一緒にバッタを採った、群れ一番の美ありすが死んだ。

「わがらにゃ『ぶさり』・・・」

元長ありすの娘、まりさと並ぶ次代の長候補だったちぇんが死んだ。

どすり・・・ぶすり・・・ずぶり・・・・・・。



「親方ぁ。これどう処分するんすかぁ?」
「まったく今時ぁゴミもそこらにゃ捨てらんねえ。ごみ袋に放り込んで持って帰るんだよ!」
「「「へいへーい」」」



「ぱちゅりーおがあぢゃぁん、どうぢだらいいのぉ。おがあぢゃんならどうぢだのぉ。」



その日の夕暮れ、群れのゆっくりぷれいすには、ゆっくりの気配を感じさせるものは何一つ残されていなかった。



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数日後、まりさは小さなビルの並ぶ街中に居た。

群れに居た時から、人間さんと会ったことは一度や二度ではない。
これまで人間たちは、稀にいたずら(あにゃるにストローを差し込んで空気を吹き込む程度)をしてくるくらいで、
あそこまで徹底的な虐殺をおこなったことなどなかった。
では何故?
まりさは気づいた。
群れを潰した人間さんは皆同じ服装をしていた。

まりさは、その日から作業服の人間さんがいない場所を探し求め、気がつけば街中にたどりついていた。

「ここのゆっくりたちは皆ゆっくりできてないんだぜ。」

街中では、人間さんたちはゆっくりに手を出しては来なかった。
むしろ汚いものに触れないように、避けて通るくらいである。
狩りの成果を奪われたり、怪我を負わされる危険を感じるのは、むしろ同族のゆっくり達の方に対してであった。

「このおべんとうさんはちぇんのものなんだねー。わかるー!」
「つべこべいってないでれいむにそのごはんをちょうだいね!」
「ふぎゃぉぉおおおおお!」
「ゆがぁぁぁあああああ!」
「はーい、お前たち両方ゴミ箱へGO!」
「「どぼぢ」」ポイポイッ

まりさとしては不思議だが、町ゆは植栽の周りに生える野草などは意外と食べない。
まりさとしては競争相手がいない以上ありがたい話ではあったが。
これは、町ゆの多くが元飼いゆっくりであったため、野草を食べ物と認識できなかったことによる。
まりさは、おそらく人間さんのご飯には、周りの草花ではゆっくりできなくなる毒が入っているのだろうと理解していた。
いつ、どれだけ手に入るかわからないご飯を求めてさまよう町ゆ達は皆、死んだような濁った眼をしている。
やはり、人間さんには極力関わらない方が良い。
しかし、れみりゃ達捕食種が出没するような本物の自然の中で育っていないまりさには、本当の山奥で生き延びる自信はなかった。
結局、危険と折り合いをつけてでもここで生きていく道しか残されてはいなかったのだった。

まりさは、雑居ビル2件に挟まれた、人間では通り抜けできない空間を選び、おうちをつくる。
雨さんにも他のゆっくりの攻撃にも負けない頑丈な木箱を商店の裏から、
雨さんを完全に防ぐ青いシートを公園のごみ箱から、
水や食料を保管する鍋、皿、クッション。
ゆっくり達も寝静まる夜、誰にも見られることのないように作業は続けられた。

そして気づく。
かつて老ぱちゅりーに教わった知識は、山で暮らすためのものよりも街中で暮らすためのものがはるかに多かったことに。
おそらくぱちゅりーは、ゆっくりたちの相食み争うこの街中で生きて、
ついに街中で隠れることもできなくなるほど大きくなった末に山へと移り住んだのであろうことに。

「ぱちゅりーおかあさん。おかあさんはどうやってこんなところでゆっくりしたゆっくりになれたんだぜ?」



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そしてある日、まりさのゆん生にとって重要な出逢いがやってきた。
いつもどおり太陽が顔を出す前から食糧確保に励んでいたまりさは、
ゴミ捨て場にぞんざいに放り捨てられていた一匹のれいむと出会ったのだった。

あんよは7割方焼きを入れられており、たとえ回復したとしても這い歩くのがやっとであろう。
リボンはたばこを押しつけられて穴だらけ、もみあげは力任せに引きちぎられていた。
まむまむの位置には刃物を刺した跡が無数にあり、舌も半分ほどの長さしか残されていない。

これ以上無いくらいに、ゆっくりしていないれいむだった。
なのに何故あれほど惹きつけられたのだろうか。

ここまで酷い虐待を受けながらも、他の町ゆと異なり、その瞳に理性の輝きを宿していたから?

それとも、彼女がおくちからそっと出した、おそらく生まれて間もないであろう一匹の赤まりさを丁寧に介抱する様が、
あの老ぱちゅりーと自分自身の姿に重なったから?



「れいむ。しゃべれるのかだぜ。そっちのまりさもだいじょうぶかだぜ?」
「だぃ・・じょぶ。・・ゆっく・・・ていt・・ね。」
「ゆ・・くち。」
「にんげんさんにやられたんだぜ。よかったらおうちまでおくるんだぜ?」
「も・・なくなtt・・た。に・げんさ・にこわさr・・て」
「そうかだぜ。ならまりさのおうちにくるんだぜ。そのおちびにもかいほうがひつようなんだぜ。」



「れいむの、旦那のまりさや他のおちびちゃんはいないのかだぜ。」
「?」
「辛いこと聞いてすまないのぜ。でも、このおちびちゃん以外は助からなかったのぜ?」
「れいmは、けっこnもすっきりーもしtことないよ?」
「?このおちびちゃんは?」
「ゆっくりできないにんげんさんのところに、おちびちゃnがいっぱいいたの。
すてらrそうになったとき、おくちにひとりだけかくせたんだよ。」
「じ・・・じぶんがしんじゃうかもしれないときに、じぶんのでもないおちびちゃんをたすけようとしたのかだぜ・・・。
よくそんなことができたんだぜ・・・。」
「だって、おちびちゃnはゆっくりできるんだよ?」



「でも、まりさは『おうちも宝物も、全てを捨ててでも逃げるのよ。』って教えられたのぜ?
じゃないと生き残れないって言われたのぜ。」

「でも、おちびちゃんは、たからものよrゆっくりできるよ?」


「ゆっ。」



「ゆぁーはははは!!!れいむは凄いのぜ。
まりさなんて目じゃないくらい強いゆっくりなのぜ!!
まりさなんて今までずっと逃げて逃げて全部捨ててきたのぜ!
ぱちゅりーも、ありすも、ちぇんも、おちびちゃんたちも。
ゆふぅぅうう、ううぅぅぅぅぅうううぅぅぅ・・・」



まりさは笑いながら泣いていた。
これまで自分は、何一つとして守ってこれなかった。
それは、絶対に無理だと思ったから。
自分は死ぬわけにはいかないと思っていたから。
だが、このれいむは、多くの犠牲を払いながらも、ただ一つだけ、
この、だれの子供とも知れない赤まりさだけは守り通すことができたのだった。



そしてぱちゅりーも、おかあさんも全てを犠牲にしながら自分を守り抜いてくれた。



だが自分は・・・



なぜまりさが泣いているのかわからないれいむは、自分の怪我のことも忘れてオロオロしていた。

そして、自分が助けられたという事実すらよくわかっていない赤まりさは、
「おにぇーしゃんはしゅぎょいにょ?」などと首を(?)かしげていた。


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奇妙な共同生活が始まった。
餡子のつながりもなく、年齢も育ちもバラバラ。
その上一匹は全身ズタボロ。

だが、まりさは、トラウマと街での生活の中ですっかり鋭くなってしまった目つきを、
ボロれいむと赤まりさに対するときだけは少しほころばせるようになっていた。



そして数日が経ったころ、突然破局は訪れた。

「それじゃあ、狩りに行ってくるよ!」
「いってらっしゃい、まりさ。」
「まりしゃおにぇーしゃん、いっちぇらっしゃーい!」

「ゆ!それじゃあおそうじはじめようね!」「ゆっくち!」

まりさは毎早朝、日の出よりずいぶん早くから狩りに出かける。
大抵は植栽の周りに生える、タンポポやシソなどの採集になる。
人間でもしばしば食用とするこれらの野草ならば、
残飯による味覚汚染を受けたれいむでも食べられるのだ。
そして、留守番は動くことができないれいむが引き受けることになっていた。

「ゆーん!きれいになったn「やあ、れいむちゃん。おひさしぶり!」」

ビルの隙間の前には、れいむの体をズタズタにした張本人、虐待お兄さんが立っていた。

「いやー。探したよー。
だってさぁ、れいむちゃんを捨てた後、家に戻ったら赤ちゃんが一匹減ってるんだもん。
あの赤ちゃんさぁ。
ぼくが、ゆっくりプラネタリウムを作ろうと思ってかき集めた大事な大事な赤ちゃんなんだよー。
わし座のアルタイルって知ってる?
あれにするつもりだった、きれいな形の赤まりさだったんだよー。
さぁ。出てきてお話ししようねぇ。」

「おきゃーさ「ゆぁああああああああ!!!!」」

れいむは、赤まりさがまだ虐待お兄さんに見つかっていないことを察知して、
赤まりさがしゃべりだす前に口の中に隠したあと、緊急避難用にと掘っていた穴の中に放り込んで、お皿で蓋をした。

「ゆぅぅぅううう!ゆぅぅぅうぅぅうぅうううう!」
「?しゃべれないの?馬鹿なの?まあ、どっちにしても君の体に聞いてみるだけだからいいけどね。」

そういうと、虐待お兄さんはおもむろに取り出したマジックハンドをれいむに向けた。



「ゆふーん。今日も収穫は上々なのぜ!」

れいむと赤まりさの喜ぶ顔を思い浮かべながら帰路についていたまりさは、しかし
甘い夢の終わりを悟った。

おうちのあるビルの隙間の前には、ニヤニヤと嫌な笑いを浮かべた人間さん。
そして、その足元には、



親指ほどの大きさの破片に丁寧に分解された饅頭と、れいむのリボンが置かれていた。



「ふぅ。確かにしゃべってたと思ったんだけど、結局悲鳴ひとつあげなかったなぁ。プライド傷ついちゃったよ。」



逃げなければ。まりさの中枢餡はそう告げていた。
しかし、まりさの中枢餡以外のどこかから命令を受けたあんよは、その人間さんに向かって走り始めていた。

「ゆぅぅううううううう!!!」
「え?あれっ?」

不意を突かれた虐待お兄さんは、ゆっくりに股の間を抜けられるという屈辱を受けた。
そしてまりさは、一切迷うことなく赤まりさが隠された穴へと駆け抜けた。

「ゆっがぁぁぁっぁああああああ!!!」

まりさは止まらない。何故れいむに閉じ込められたか分からず、
ベソをかいていた赤まりさを帽子の中に放り込み、再び人間さんの足元へと駆ける。

「2度も抜けさせるかっ!この糞饅頭がぁ!」

だが、まりさは無謀に突っ込むことなく、
おうちの入口あたりに隠してあった延長コードを虐待お兄さんの足元へと放り投げた。

「えっ?うわっ!」

乱雑に絡み合った延長コードに足を取られて転ぶ虐待お兄さん。
そのわきを、まりさはゆっくりにあるまじき速度で駆け抜けていく。
排水溝の中をくぐり、ビルの隙間を抜けて、公園を横切り、まりさはひたすら駆けて、駆けて、駆け抜けていった。



「なんてこった・・・。ゆっくりに翻弄されるとは・・・。」





まりさが疲れ果ててあんよを止めたとき、町には朝日が射し始めていた。

「ゆぅ。りぇいみゅおにぇーちゃんはどうちたの?」
「れいむおねーちゃんは・・・れいむおかーさんは、まりさを精いっぱい守ったんだよ。」
「ゆぅ?れいみゅおにぇーちゃんはおきゃーしゃんにゃにょ?おっかちいにぇ!」
「おかしくないよ、おかしくなんてないんだよ・・・。」

まりさは、それからしばらくの間、困った顔をしている赤まりさにすーりすーりし続けていた。



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数日後、まりさの住んでいたビルには、
あの恐ろしい、ありすたちを虐殺したのと同じ、作業服を着た人間さんたちがやって来ていた。
虐待お兄さんが、その財力にものを言わせてビルごとまりさたちのおうちを叩き潰してやろうと動いたのだった。
よほど屈辱的だったのだろう。

「これはゆっくりしていられないんだぜ。おちびちゃん、明日の朝は暗いうちにおひっこしするのぜ。」
「ゆーん。ゆっくりりかいしちゃよ。」
「・・・なかなかひとつの場所でゆっくりさせてはもらえないもんなんだぜ。
まりさにももう少しだけ運があったらよかったのに、苦労をかけるんだぜ。」

「おちょーしゃん。」
「?」
「まりしゃはとっちぇもゆっくちしちぇるよ。
おおきくなっちゃらおきゃーしゃんみたいにつよくて、おとーしゃんみちゃいにやさしいゆっくりになりちゃいよ。」

まりさをまっすぐ見つめる瞳はまるで、かつて老ぱちゅりーと見上げた星の輝き。
ビルの隙間で暮らすようになってから見ることのなくなって久しいその光に、
まりさは多くの大切なものとともに失ったかつての自分自身の姿を確かに感じた。



「さぁ、おちびちゃん。明日は太陽さんが出る前にお引越しをしなきゃならないから、早くすーやすーやしてね。」
「ゆっくちわかったよ。おとーしゃん。」



この世界は、ゆっくりに対してあまりにも厳しい。
この赤まりさも、ただひたすらに純粋であり続けることはおそらくできないだろう。
しかしながら、せめて一度、ただ一度でいいからこの赤まりさを心の底からゆっくりさせてあげたい。



それが報われることのなかった自分達の生涯を救う、唯一つの方法であると信じ、まりさは束の間の眠りにつくのだった。










 ゲス度を下げるほど悲劇度は増す。でも爽快感は低下。難しい。




※ちなみに、anko215.txtの登場ゆっくり達には一通り裏設定が存在しています。
 水飲み場のゲス、便所ちぇん、小学校ゆうかりん。誰だって、それぞれの過去や葛藤を持って生きています。
 などと色々邪推してみるのもSSの楽しみ方なのでしょうか。



 実は「ゆうかりんのご奉仕授業」というタイトルで、小学校ゆうかりんのストーリーも掲載予定だったんだけども、

 逃れることを許されない過酷な性的虐待、
 校長から連日受ける性奴調教を軸として、
 数学教師の緊縛SMプレイ→体育教師の青姦スカトロ浣腸プレイ
 →高学年生の好奇心に任せた壮絶な輪姦と続き、
 全校集会での露出放尿プレイあたりまで受けながらも誇りを失わないゆうかりんは夏を迎える、
 などと書いたあたりで、
 「これ、ゆ虐じゃないんじゃね?」と思ったのでお蔵入りとしました。ていうかご時世的にやばい。
 まあ、そんな背景があったということを念頭において、
 彼女の言動を読み直していただけたら幸いです。



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このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね!
感想

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  • ゆうかりんのご奉仕授業…







    詳しく話を聞こうか -- 2023-02-15 17:06:27
  • 感想書こうと思ったらあとがきのゆうかりんの話が気になり過ぎて考えてた感想が全部吹っ飛んだ -- 2019-08-06 12:08:01
  • このまりさは救われて欲しかったんだけどなぁ -- 2018-09-02 01:18:57
  • まりさはかっこいいんだねー。わかるよー。 -- 2014-08-03 23:20:27
  • まりさ、強く生きれよ.., -- 2014-06-27 19:28:04
  • 胸熱な展開でワロタww
    母れいむに憧れます -- 2014-05-06 18:34:15
  • まりさSUGEEEEEEEEEEEEE虐待お兄さんださいw -- 2014-05-05 12:13:53
  • 感動した -- 2013-09-07 15:47:21
  • れいむおかーさん… -- 2012-02-19 13:53:07
  • 虐待お兄さんダサすぎw -- 2011-02-16 17:19:18
  • うわぁー良い話だ!ゆっくり虐待を求めていてまさか普通に感動出来る話に出会えるとはw
    母ぱちぇりーとの別れの所も最高だし、れいむもかなり良い味出してる。
    主人公ゆっくりカッコイイw -- 2011-01-19 06:30:46
  • いやーこのシリーズは面白いなぁ。
    爽快感はないけどストーリーとゆっくりの生活観がかいまみえて面白い -- 2010-10-31 09:07:32
  • 虐兄が善良ゆっくりにしてやられる話はゆっくりできるね -- 2010-09-21 02:05:58
  • 「ゆうかりんのご奉仕授業」だと…?


    …ふぅ。 -- 2010-09-16 01:03:40
  • 最終的にはまりさ共を不幸のどん底へ叩き落してくれますよね? -- 2010-09-05 10:52:07
  • うん、ゆっくりできなかった
    まりさ優遇はつまらん -- 2010-08-23 23:35:00
  • 善良胴付きの虐待は、やだな。 -- 2010-06-19 05:09:35
  • 個人的にはゆうかりんの方も気になりますね


    もしまだそれが残っているのであれば
    配信なり掲載なりしていただくと個人的にはありがたいのですが
    まぁ無理でしょうね....

    すみません無理言ってしまって
    気にしないでください -- 2010-05-26 17:03:23
  • さいごにまりさをあっさりつぶさずにおわらせたのがよかった。
    すがすがしい。
    ゆうかりんのは・・・ちょっと -- 2010-02-24 01:16:57
最終更新:2009年10月18日 16:04
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