守るべきもの 42KB
あれは私が小さく、無力だった頃の思い出。
私は、一匹のゆっくりまりさの飼い主だった。
まりさは私の枕ほどの大きさで、帽子を撫でると元気な声で「ゆっくりしていってね!」と鳴いた。
家の中をゆっくりが跳ね回ることに、両親はあまり良い顔をしなかった。
だけど、可愛い娘のすることだ、と大目に見てくれていた。
私もそんな両親の気遣いを汲み、なるべく自室から出さないよう、密やかにまりさとの触れ合いを楽しんでいた。
まりさは甘えん坊で、何かというと私にくっついてゆっくりしたがった。
ほっぺたをプニプニとつつくと、顔を綻ばせて「ゆっ、ゆっ」と喉を鳴らす。
おやつを分けてあげると、感涙に目を潤ませて「しあわせ~♪」と歌い出す。
私が仕掛けた障害物を上手く乗り越えられると、「ゆっ!」と誇らしげに伸び上がる。
何をするにもまりさと一緒。まりさと過ごした日々は、今でも私の宝物だ。
「ずっと一緒に遊ぼうね、まりさ!」
「ゆ!おねえさん、まりさとゆっくりしていってね!!」
当然と言えば当然ながら、そんな日々も長く続いたわけではなかった。
ある日私は、まりさの帽子にピンクのリボンを結わえてあげた。
かわいらしい大きなリボンは、まりさが跳ねる度にふるふると揺れた。
まりさは何度も帽子をかぶり直して、リボンに頬ずりをしたり、揺れる感触を楽しんでいた。
「おねえさん、ありがとう!!」と言うまりさの、輝くような満面の笑顔が忘れられない。
あれが、幼い私が見たまりさの最後の、心からの笑顔だったから。
その翌朝、私が少し遅めに目を覚ますと、枕元に美しい花が置いてあった。
外の野原には生えていないような、美しく整えられた、鮮やかな華。
どこかで見たような……何故、枕元にこんなものが?
それより、添い寝していたはずのまりさはどこだろう。
私が部屋を見回すより先に、「ゆーーーーーーーー!!!」という悲鳴が、家中の空気を引き裂いた。
顔を青くしながら悲鳴の出元へと急ぐと、そこには私と対照的に顔を真っ赤にした父と、
父に殴られるあまり顔を真っ赤に腫らした、泣きじゃくるまりさの姿があった。
「やめてね!やめてね!!どうしてこんなことするの!!」
「黙れ駄饅頭がっ、自分が何したかわかってんのか! 甘くしてれば付け上がりやがってっ!!」
「いだいーーーーーーー!!!」
何度も父がまりさを殴打する度、まりさの大きな瞳から涙がボロボロと飛び散る。
それに合わせて、結わえてあげたピンクのリボンが揺れるのが痛々しかった。
ふと違和感を持って床の間を見ると、いつも仰々しく鎮座していた瑠璃色の花瓶が、無残に砕けている。
厳しく怖いが、普段は静かなはずの父……花瓶がこんな風になっていては、激昂しているのにも納得がいく。
本当に大事にしていた、家宝のような花瓶だ。とても弁償出来るようなものではない……
私は瞬間的に理解した。
まりさは私がリボンを結わえてあげたお礼にと、花瓶に活けてあった花を私にプレゼントしたんだ。
花を取るために花瓶を倒して割ってしまい、それが父の逆鱗に触れた……
だとしたら、まりさがやったことには、私にも責任がある。
胸がどくんと鳴った。私がまりさを守らなければ。
父の拳を止めるため、まりさとの間に飛び込むように割って入る。
「お父さん、やめて! まりさは悪くないの!」
「ゆゆっ、おねえさん・・・!」
私の顔を見るなり、まりさの表情はぱぁっと安堵に和らぐ。
それに私も、もう大丈夫だよ、という笑顔で応える。
だが、父の怒りはまだ収まらない。
「おい、そこを退けっ! まだ折檻は済んでないんだよ!!」
「もうやめてお父さん! まりさに悪気は無かったの! 私の為にやったことなの!」
「そうだな、元はと言えばお前のペットだ。お前の躾が悪かったからこうなったんだ!!」
「そ……そうだよっ! だからまりさを虐めないであげて! 殴るなら私にして!」
「ゆゆっ・・・!」
父の怒りの矛先が私に向いたのを見て、まりさがオロオロとし始める。
でも、これで良いんだ。父の言う通り、まりさのやったことは私の責任。
私は少し身を震わせながら、目を閉じて歯を食いしばり、父の折檻が降りかかるのを待つ。
だが私に浴びせられたのは体罰ではなく、暴力より恐ろしい言葉の罰だった。
「そうだな……だがお前をどうこうしても何の解決にもならない。その饅頭、お前がタタッ殺せ」
「えっ……?」
「こんなことをした饅頭を、これ以上家に置いておくことは許さないと言ってるんだ。
お前がやらないのなら、俺がこの手で切り刻むぞ! 解ったらそいつを二度と俺の視界に入れるなっ!!」
その後、私は泣きながら、裏のお山にまりさを連れていった。サンダルの紐が指の間に食い込んで、痛かった。
私が泣いている時、まりさはいつも笑顔で慰めてくれる……
その時も、涙目に引きつってはいたが、まりさは私に精一杯の微笑みを作ってくれていた。
「うぐっ……ごめんね……ごめんねまりさ……」
「おねえさん、なかないでね。ゆっくりしてね」
まりさの体を両腕で抱えたまま、まりさの黒い帽子を涙で濡らしてしまう。
まりさは私を気遣うように、すりすりと胸に頬ずりをして来る。
勿論、私はまりさを殺すことなんて出来ないし、そんな気も無い。
だが、これ以上家で飼い続けることは不可能になってしまった。
こっそり飼っていても、万が一お父さんに見つかれば、たちまち殺されてしまうだろう……
そんな危険を冒してまで、まりさを家に置いておくわけにはいかない。
裏のお山は平和で、虫や木の実も沢山ある。まりさならきっと立派に生きていけるだろう。
「まりさ……いつか、いつか絶対迎えに来るから……」
「おねえさん、まりさはだいじょうぶだよ。ゆっくりしていってね!!」
いつまでも踏ん切りを付けられないでいる私を気遣ってか、まりさは自分から地面に飛び降り、
山に広がる林の奥へと駆け出していった。
去り際、さながら手を振るようにリボンを揺らしてみせたのが、別れの挨拶だった。
目を擦りながらとぼとぼと家に帰ると、父は居間に座り、私に背を向けて新聞を読んでいた。
母は憮然として湯飲みにお茶を注いでおり、チラリと私の方に哀れむような視線を向けた。
まりさを本当に殺したかどうか追及されたり、証拠を求められないかと不安だったが、そうしたことは一切無かった。
私は深く塞ぎ込み、父とも不仲になってしまったが、しばらくの時間がそれらを癒した。
ややあって、私は大人と言えるぐらいの歳になった。今では町に出て働いている。
自立した今なら、親の目を気にせずペットを飼うことも出来る、と時たま思う。
だが……トラウマ、と言っては深刻過ぎるが、何となくそういう気分にはなれなかった。
それでいて、どことなく心に空白を感じたまま、日々を過ごしていた。
盆、実家に帰った。
老いた父は何だか疲れたような風で、あの頃よりも一回り小さく見えた。
母も歳相応に萎れてはいたが、父に比べればまだまだ壮健らしく、
台所に立つ足腰は、むしろ幼い頃に見たよりも安定しているようだった。
母を手伝い、父の為に塩分を控えた食事を作っていると、何だか感慨深くなって、
「今のお父さんだったら花瓶を割られても、あんなに怒ったりしないんだろうな」
と、ぽつりと漏らした。
その呟きを聴いた母は、くふっ、と苦笑して、
「あんまり、あの事根に持たないであげてね。お父さんだって気に病んでるんだから」
と言った。私はそれほど根に持っているつもりは無かったが、
ふとこんな呟きが出てしまうのだから、確かに根に持っていたのだろう。
「しょうがないよ、あのことは……大事な花瓶だったんだもの」
「ふふ、それも勿論あるでしょうけどね。
でもお父さんはそんなことより、あなたの方が大事だったのよ」
「え? 何よ、藪から棒に」
「あのゆっくりと楽しそうに遊んでいるあなたを見て……可愛い可愛い一人娘が、
自分の手元から離れていくような気がして、内心不安だったんだわ」
「はっ? 子供がゆっくりに取られるって? さすがにそれは……」
「馬鹿らしい、って思う? でも案外、親の気持ちなんてそんなものかも知れないわよ。
特に男親はね」
母の言っていることは、私にはあまり理解の出来ないことだった。
居間で新聞を読んでいる父の背中は、あの時よりも小さく丸まっていて、何だか申し訳なさそうだった。
床の間には簡素な剣山が置かれていて、あの頃よりも綺麗な花が活けてあった。
翌日、私は裏のお山に入ってみた。
広がる木々は樹海というよりは林と言った方が近く、太陽さえ出ていれば女一人でも平気で立ち入れる。
そんな穏やかな山だからこそ、私はまりさを放してやれたのだが。
ここに来たのは再会を期待したわけではなく、何となくあの頃から持っている蟠りを清算したかったからというだけだ。
とは言え……心のどこかでは再会を望む気持ちがあったのだろう。
視界の端に映った跳ねる丸い物体を、私の意識は逃すことはなかった。
「えっ、まりさ……?」
苔むした地面に足を取られながら、慌ててその物体の元へと走る。
近付いてみると、確かにゆっくりだ。そもそも山の中で跳ねる丸い物体など、ゆっくりぐらいしか考えられないが。
黒い帽子を被ったそれは、私が近寄る音に驚いたのか、慌てたようにばっと後ろを振り向く。
「ま、まりさ……まりさなの?」
「ゆゆっ・・・・・おねえさん?」
信じられなかった。あれから数年、ゆっくりが生涯を終えるには充分過ぎる時間。
だがそれ以上に、ゆっくりの頭が、遠い昔に別れた私のことを覚えているかどうか自信がなかった。
まりさの体はうっすらと土に汚れ、すっかり山での生活が板についているようだ。
一緒に暮らしていた時のような、どこか甘えた雰囲気はほとんど残っていない。
けれど、帽子に結わえられたピンクのリボンは、私とまりさの決して消えない絆を証明していた。
「まりさ……まりさぁ!」
「おねえさん!おねえさん!!ゆっくりしていってね!!!」
私を見たそのゆっくりの顔に、ぱぁっと笑顔が咲く。やっぱりまりさなんだ。
確かにまりさは、私のことを覚えているようだった。私は感極まってまりさに駆け寄る。
「でもよく覚えてたね、私のこと……」
「おぼうしにおりぼんがついてるよ。おねえさんのことはいつもわすれないよ!」
まりさはあの頃よりも二回りほど大きくなっているようだった。帽子もそれに合わせて大きくなっており、
子供の頃に結わえてあげたきりのリボンは、緩んで解けそうになっていた。
私は色褪せたリボンから土埃を払うと、綺麗に結びなおしてあげた。
「おねえさんありがとう!!」
「いいえ。でも大分古くなっちゃったね。新しいリボン持って来れば良かったかな……ん?」
リボンを結びなおした帽子が、もぞもぞと動き出す。
一生懸命帽子を押し上げて、なんと中から小さな四匹のゆっくりが顔を出した。
まりさ種とれいむ種が半々ずつ……ピンポン玉ほどの大きさの、赤ちゃんゆっくりだ。
「ゆっ」
「ゆゆっ!」
「ゆー!」
「ゆっくいしちぇね!!」
「え、まりさ、これって……」
「ゆっ!まりさのかわいいあかちゃんだよ!!」
ちょっとした……ちょっとした衝撃だった。
まさか、まりさに赤ちゃんが出来ていたなんて。
ということは当然、つがいのゆっくりれいむもいるのだろう。まりさは山で家庭を持ったのだ。
誇らしげに伸び上がるまりさの顔を見ていると、何か心のどこかが疼くような気がした。
何だろう、この気持ちは。
「あかちゃんたち!おねえさんにあいさつをしてね!!」
まりさが号令をかけると、赤ちゃんゆっくり達はぽろぽろとまりさの帽子から降りて来て、
私とまりさの間に一列に整列した。そして呼吸を揃え、大声であの言葉を言う。
「「「「ゆっくいしていっちぇね!!」」」」
「ゆゆーーー!!」
まだ舌ったらずだが、しっかりと挨拶出来たようだ。
その事に赤ちゃん達のみならず、お母さんであるまりさまで達成感溢れる表情を浮かべている。
特にまりさは頬を紅潮させ、赤ちゃん達以上にはしゃいでいるようだ。
「おねえさんにあかちゃんたちをみせたかったんだよ!」
「あ、ありがとう。とっても可愛いよ」
「「「「おねーちゃん、ゆっくちちていっちぇ!!」」」」
事実、まりさの赤ちゃん達は小さくて、可愛らしかった。
今にも消えてしまいそうなくらい軽く、儚げな子供達を、私は一匹ずつ、指の先で優しく撫でていった。
自分達のお母さんと仲良しであることを察したのだろうか、
赤ちゃん達は私に気を許してくれたようで、私の指に甘えるように群がってきた。
しかし私がどうしてか和やかな気分になりきれずにいると、まりさが近寄ってきて声をかけた。
「おねえさん!まりさのおうちでゆっくりしていってね!」
「「「「ゆっくいちようね!!」」」」
「あかちゃんたち、まりさのおぼうしにはいってね!」
赤ちゃんゆっくり達は押し合いへし合い、お母さんであるまりさの帽子の中へと潜り込んでいく。
まりさは私に目配せをすると、いざなうように森の奥へと跳ね出した。
ゆっくりらしくスローペースなまりさの歩幅に合わせ、私はぼんやりと後をついていった。
「このおうちはまりさがつくったんだよ!!」
まりさの家とは、大きな木の根元にぽっかりと空いた、これまた大きな木の洞(うろ)の中に作られていた。
大樹の茂りが傘のように上空を覆い、更に入り口の周囲には木の根が輪のように盛り上がり、雨水の流入を防いでいるらしい。
洞は多少拡張されているらしく、もう小さくはない体格のまりさが悠々と入れるだけあり、
私でさえも頭を下げれば、ある程度のところまで入っていけるほどの広さがあった。
あのとぼけたまりさが作ったとは思えない、ひどく立派なお家だった。
「うん……凄いねまりさ。ほんとに凄い」
私はしっかりと押し固められた壁をペタペタと触りながら、素直な感想を漏らした。
まりさは「ゆっ!」と誇らしげに体を伸び上がらせ、それを見て私は、ああ、と思った。
そうしている内に、洞の奥からもう一匹のゆっくりがやって来る。
まりさのつがいであるゆっくりれいむだった。まりさより一回りほど小さいが、立派な成体だ。
「まりさおかえりなさい!ゆっくりして・・・ゆ?」
「ただいまれいむ!ゆっくりしていってね!!」
「あ……どうも、お邪魔してます」
まりさは元気に帰宅の挨拶をしたが、れいむは言葉に詰まる。
同行して来た私を見て訝っているのだろう。ゆっくりが自分の住処に他の動物を誘い入れる事など、あまり無いと思う。
笑顔を保ちながらも、れいむは不安そうに私とまりさの間に視線を彷徨わせている。
「ゆ・・・ゆ・・・・」
見ず知らずの生き物を相手に、本来ならすぐさま逃げ出したいのだが、
その生き物に気を許しているらしいまりさの様子に態度を決めかねている、そんな風に見える。
「まりさ!そのひとはだれ?」
「このひとはまりさのだいすきなおねえさんだよ!れいむもいっしょにゆっくりしてね!!」
「ゆゆ・・・!おねえさん、ゆっくりしていってね!!」
れいむの顔から不安が晴れ、ゆっくりらしい笑顔で私に挨拶する。
どうやら、まりさの一言でお墨付きを得たようだ。まりさは家族から全幅の信頼を得ているらしい。
まりさはれいむの脇にさっと駆け寄ると、すーりすーりと仲睦まじげに頬を寄せ合う。
そして私に向き直ると、
「おねえさん!れいむはまりさのれいむだよ!!」
と言い放つ。自分の嫁だ、という意味だろうか。わはは、お惚気だ。
れいむは薄く頬を染め、まりさに擦り寄っていく。二匹は横並びに私に向き合った。
やがてまりさの帽子から赤ちゃん達が這い出てきて、両親ゆっくりの前に一列に整列する。
そして合図も無しに全員でタイミングを合わせ、一斉に口を開く。
「「ゆっくりしていってね!!」」
「「「「ゆっくいちていってちぇね!!」」」」
決まり文句の大合唱。この並びは挨拶用のフォーメーションか何かだろうか。
そして一家は口をぴったり閉じ、得意げに口角を吊り上げながらこちらを見つめる。
ゆっくり一家の大きな声が、木の洞の中をわんわんと反響し、森全体に染み入っていく……
それが収まる時を、にらめっこでもしているかのように、私達は何故か静かに、厳かに待っていた。
……やがてまりさの大きく円らな瞳から、一粒の涙が流れる。
「ま、まりさ? どうして泣いてるの?」
「れいむとあかちゃんたちといっしょに、おねえさんにゆっくりしていってねっていえたよ。
まりさはうれしいよ・・・・・!!」
感極まった、ということらしい。突如涙を零し始めた一家の大黒柱を、家族は心配そうに見ている。
孫を見せることが最大の親孝行だと思っている子供のようなものだろうか……何だか急に、自分が老け込んだような気がした。
とはいえ、今日は本当に久々に、まりさが全力で「ゆっくりしていってね!!」と言うのを聞けたのだ。
それは良いことだった。私は嬉しいはずだ。率直に。
どうやらこの山には、ゆっくりはあまり住んでいないらしい。
れいむがいたのだから皆無というわけではないだろうが、まりさとれいむは殆ど他のゆっくりを見ていないという。
だから子供達も、初めて家族以外に「ゆっくりしていってね」を言う相手が出来て、大はしゃぎしているようだ。
散々一家に「ゆっくりしていってね!!」とせっつかれたので、お言葉に甘えて昼餉の席に与らせてもらうことにした。
座布団代わりにまりさ達の寝藁を借り、体を丸めて座る。
やや窮屈だが、洞の中は空気が冷えていてなかなか気持ち良い。
「みんな、ごはんをたべるよ!!」
「「「「「ゆゆーーーー!!」」」」」
大黒柱として、高らかに宣言するまりさ。他の一家はもう待ちきれないといった様子。
まりさが帽子をころんと床に転がすと、中には様々な食べ物が詰まっている。
虫、草、木の実、果物……なかなかの量だ。ゆっくりの食事にしてはご馳走と言えるだろう。やはりこの山は豊かだ。
さっき森の中で出会ったのは、子供達の散歩を兼ねた狩りの最中だったということか。
まりさは私の食べ物の好みも覚えているのか、「おねえさんはこれをたべてね!」と野苺を差し出してくれた。
美味しそうだったが、虫や何かと一緒に詰められていた物を食べる気にはなれなかったので、丁重に辞退した。
「いただきましゅ!」
「ゆっくちたべりゅよ!」
「むーちゃ、むーちゃ、ちあわしぇー♪」
育ち盛りの赤ちゃん達は、我先にと青々とした山菜に齧りついていく。
小さな体のどこにそんなにご飯が収まるのか、トガリネズミもびっくりの食べっぷりだ。
「たべられにゃいよ!ゆーー!!」
「ゆゆっ、あかちゃんにはどんぐりさんはまだかたいよ。やわらかいものをたべてね」
「とっちぇもおいちしょうだよ!れいみゅにゆっくちたべられちぇね!」
「ゆ!あかちゃん、そのむしさんにはどくがあるよ。あかちゃんがたべるとあぶないよ。
むしさんはおかあさんがたべるから、あかちゃんはこっちのいちごさんをたべてね」
「ゆゆ、わかっちゃよ!おかーしゃん!」
「まりさ!れいむこのくりさんをたべたいよ!!!」
「くりさんはれいむのためにとってきたんだよ!いっぱいたべてね!!」
「ゆゆーーーーー!!れいむくりさんだいすきだよ!!まりさもだいすきだよ!!!
むーしゃ、むーしゃ・・・ししし、しあわせーーーー♪」」
随分賑やかな食卓だ。まりさはまだ食事の仕方の解らない赤ちゃんにてきぱきと指示を出す。
思えば、沢山の食べ物がすぐ頭上にあったのに、帽子の中にいた赤ちゃん達は手を付けていなかったのだ。
その事からも、目の前で行われているように、日頃からお行儀良く教育されているらしいことが伺えた。
そしてこれほど子に愛情を注いでいつつも、伴侶であるれいむへの気配りも忘れていない。
流石は……私の自慢のまりさ。そう思った。
「まりさは……凄いね」
「ゆ?」
「何だかずっと昔のままのような気がしてたけど、もうあの頃みたいな甘えん坊さんじゃないんだね」
「ゆっ!まりさはれいむとあかちゃんたちをゆっくりさせてあげるんだよ。みんなはまりさがまもるよ!」
「……そっ、か」
今の言葉を聞いて、私の中で一つ合点がいった。
どうしてか今まで受け入れられなかった、この一家の和やかな団欒の風景が、ストンと胸に落ちる。
やっぱり今日は良い日だ。長年こじれていた蟠りが、すんなりと解消されていく気がする。
私は、私が今したいこと、するべきことを心で理解出来た。
食事の時間を終えたら、家族のゆっくりタイムに突入だ。
赤ちゃん達は身を寄せ合い、先程詰め込んだいっぱいのご飯を消化しながら、早めのお休みに入っているみたいだ。
小さなまん丸がコロコロと寄り集まっている姿は、見る者の頬を緩ませた。
お母さんれいむもまりさにしなだりかかり、ウトウトと舟を漕いでいる。
「ゆゆ・・・みんなすごくゆっくりしてるよ・・・」
まりさは家中を慈しみの瞳で見回しながら、うっとりとそう漏らした。
自分が築き、守っている結果として得られている幸せそのものが、目の前に広がっている。
それはまりさにとって、生の充足そのものなのだろう……
「れいむもあかちゃんたちも、まりさといっしょにずっとゆっくりしてね・・・・・
おねえさんもいっしょにゆっくりしようね・・・・・」
まりさは目を細めてそう言うがしかし、私は少々ゆっくりし過ぎた。
日も傾き、気温も下がって来ている。そろそろ御暇しなければならない。
私は天井に頭をぶつけないよう、スッと腰を持ち上げる。
「じゃあまりさ、私はそろそろ帰るからね」
「ゆ!?おねえさん、もっとゆっくりしていってね!」
「うーん、ゆっくりしたいのは山々だけど……私は私のお家に帰らなくっちゃ」
「ゆっ・・・そうだね。おねえさん、またまりさといっしょにゆっくりしてね」
「うん、またね…………ねえ、まりさ」
「なあに、おねえさん?」
「まりさも……もし辛くなったり、悲しいことがあったりしたら、いつでも私を頼ってね」
「ゆゆ!まりさはゆっくりしてるからだいじょうぶだよ!」
「うん、解ってる。でも今はそうだけど、もしかしたらいつかゆっくり出来なくなる日が来るかもしれない。
その時は、遠慮なく私に相談しなさいよね。私もゆっくりしたくなったら、まりさを頼るから。ね?」
「ゆゆゆ・・・わかったよ!こまったときはおねえさんとゆっくりするよ!」
通じているやらいないやら。私はやや苦笑しながら、まりさに手を振った。
まりさはそれに応えるように体を揺すり、ピンクのリボンを揺らして見せてくれた。やはりあれが、別れの挨拶のようだ。
その夜。
私は両親が寝静まったのを確認すると、納屋から灯りと猫車を持ち出し、家を出た。
夏とはいえ、田舎の夜は少し冷えるし、虫も出る。長袖を着込み、私は車を押して山に入っていく。
夜の森は静かに思えたが、少し歩いてみると、フクロウや虫の鳴き声、草木のざわめきがうるさく感じられる。
足元は暗かったが、空は晴れて月が輝き、ものの輪郭は明確に読み取れた。
目的地への行きに迷うことはない。あちこちに付けた目印を照らしながら、昼間案内された道をトレースする。
まりさの歩幅に合わせた時は随分掛かった気がしたが、私一人で歩いてみれば何のことは無い、
ものの数分もしない内に、あの大樹の根元へと辿り着いてしまった。
「「「ゆぅ・・・・ゆぅ・・・・・」」」
巣穴の入り口には、落ち葉や折れた枝で簡単なカモフラージュが施されていた。
そのお粗末な作りはあまり意味を成しているとは思えなかったが、この暗がりの中では少しの様子の違いだけで、
そこが巣穴と気付かず見過ごしてしまっていたかも知れない……中からゆっくり達の寝息が漏れて来ていなければ。
カモフラージュを取り払い、中を覗いてみると、少し奥まった暗がりの中でゆっくり一家が眠りに就いていた。
まりさを中心に、れいむと赤ちゃん達が互いに寄りかかるようにして寝息を立てている。
とても無防備で、儚く危うい……しかしそれ故に、朗らかで尊い光景だ。
私は身を屈めて巣穴に入り込むと、そんな光景の中から、最愛のまりさだけを抱え上げて運び出す。
瞳を刺激して目覚めさせるといけないので、巣穴の中に灯りを持ち込むわけにはいかない。
ほんの僅かに差し込んだ月明かりを頼りに、慎重に輪郭を探り、そっと掴み上げる。
まりさは見た目よりも軽く、持った感じは饅頭というよりふっくらとしたパンに近く思えた。
「ゆっ・・・・ゆぅ~~~ん・・・・・」
幸せそうな顔をしながら、ぐっすりと眠っている。
昔からまりさは一度眠りに落ちると、何をしたってなかなか起きない。
余程穏やかに暮らして来たのだろう、それは野生生活を長く経た今でも変わっていないようだ。
昔、この辺りを夜中に大きな地震が襲ったことがあった。少し離れた所では、小規模ながら地滑りまで起こした地震だ。
私の家でも食器が落ちたりして、揺れが完全に収まるまで親子三人で大騒ぎしてしまった。
まりさはそんな時も平然と眠っていて、翌朝遅くにようやく目を開いて「ゆっくりおはよう!」などとのたまったのだ。
そう、まりさの素顔は私が一番良く知っている。だからこのぐらいでは目覚めないことも解っている。
私は抱え上げたまりさを巣穴の外に持ち出し、猫車に乗せて運ぶ。
車輪が石などにぶつかって車はガタガタ揺れたが、まりさは一切起きる様子を見せなかった。
「ゆぅ・・・ゆぅ・・・まりさもっとたべたいよ・・・・」
「まりさ、ここで眠っていてね。何も心配しなくて良いからね」
私はまりさの体から土を払うと、実家の自室へと連れて行き、優しく畳の上に下ろした。
そして外へ取って返すと、灯りと、今度はスコップも持って猫車を押し、また山の中へと入っていく。
今の私の姿を誰かが見たら、お化けか妖怪の類だと勘違いされるかもしれない。
そんな風に空想すると、なんだかウキウキした。
また、まりさ一家の巣穴の前にやって来る。
今度はここに来る途中あちこちの地面から、大穴にならない程度に少しずつ土を掘り出して拝借し、
猫車に満載にしてきた。女手にはやや重労働だったが、好きでやっていることだから文句は無い。
「さて、やるか」
全部壊そう。
今度は無遠慮に、灯りを持ったまま巣穴の中に入っていく。
こうして照らしてみると、意外に色々な物があるのが解る。
備蓄食料、虫の抜け殻、珍しい形の木の枝、ツルツルとした綺麗な石……
その一つ一つが、この家族の幸せな生活の証なのだろう。
相変わらず一家は眠っている。その中心にはぽっかりと空洞。まりさの居場所だったところ。
「ゆぅ・・・ゆ、ゆゆっ・・・?」
灯りがまぶたを通して目に入ったのか、一匹の赤ちゃんれいむが目を覚ましてしまったようだ。
私は巣の奥に置いてあった綺麗な石ころを手に取り、赤ちゃんの頭の上にそっと置いてあげた。
赤ちゃんと同じくらいの大きさの石だ。多分、両親のどちらかの宝物だろう。
「んむーーー!んーーーー・・・!!」
石が重すぎて、一歩も動けないばかりか口も開けなくなってしまったらしい。必死に呻いて訴えかけている。
赤ちゃんの体は半分ぺしゃりと潰れ、瞳からは涙が溢れている。かわいらしいことだ。
さて、赤ちゃんはこんな調子で簡単に押さえられるが、親はそうもいかない。
私は母親れいむをむんずと掴むと、巣穴の外へと持ち出し、地面に捨てた。
ぼすっ、という音を立ててバウンドしたれいむは、ようやく目を覚ましたようだ。
「・・・ゆっ?ゆ?・・・・おねえさんだ!ゆっくりしていってね!!」
私を見るなり、目覚めの挨拶。最愛のまりさの親友なのだ、当然だろう。
れいむは辺りをキョロキョロと見回し、まだ真っ暗な夜であることを確認して首を傾げる。
「まだまっくらだよ!れいむはおねむなんだからゆっくりおこさないでね!ぷんぷん!!」
頬を膨らまして怒っている。まあこれも当然だろう。
そして自分が家の外にいて、周りに家族の姿がないことにも、ゆっくりらしくゆっくりと気付いていく。
「・・・ゆ?まりさとあかちゃんたちは?」
「赤ちゃん達ならお家の中で寝てるよ」
「まりさもおうちのなか?」
「まりさは違う所でゆっくりしてるわよ」
「どうしてまりさいないの!れいむまりさがいないといやだよ!」
今度は不安そうにオロオロし始める。コロコロと表情が変わって面白い。
だがそんなれいむを無視して、私は軍手を填めてスコップを手に取ると、まずは巣穴の玄関部分を掘り返す。
鋭利なスコップの先端は、一家がしっかりと踏み固めてきた玄関にさっくりと差し込まれ、簡単に破壊する。
「ゆゆ!?おねえさんなにしてるの!!」
私の行為を見咎めたれいむが、慌てて足元に駆け寄って来る。
立ちはだかるように私の前に回りこんで来たので、私はスコップの腹を使って横に除けた。
れいむが「やめてね!」と足にすがり付いてくるのを振り払う内、玄関はあっという間に混ぜ返される。
最終的に、周囲の地面との違和感が出ないことが大切なのだ。
「やめてね!これじゃあかちゃんたちがおうちにはいれなくなっちゃうよ!」
「別に良いじゃない、赤ちゃん達はもうお家にいるんだから」
「ゆゆっ・・・でもおさんぽにいけなくなっちゃうよ!だからやめてね!!」
確かに混ぜ返されて盛り上がった地面は、赤ちゃん達が乗り越えるには、苦労を必要とするだろう。
でも、そんなことをする必要自体がもう無いのだ。なので私はれいむを無視する。
やや思案した後、私は身を屈め、巣穴の中に歩を進める。こんなに頻繁に身を屈めていると、関節に響きそうだ。
中はゆっくりの基準で言えばまあまあの広さを持っているが、人間の私がスコップを伸ばせば、奥まで楽々届く程度だ。
巣穴の奥の方は地面方向にやや斜めに掘り進められて、簡単な洞窟のようになっている。
私は巣穴の入り口あたりからスコップを突き出し、洞窟の壁や天井を掘削して、落盤を起こしていく。
大事に仕舞いこまれていた家族の思い出の品々が、雨の季節をみんなで乗り切るための大事な食料が、
みんなみんな土に飲み込まれていく。私はそれを一緒くたに混ぜっ返す。
まりさが頑張って掘り返し押し固めていった、その以前と同じような、普通の地面に戻していく。
「おねえさんなにするの!ごはんがうまっちゃうよ!!あかちゃんたちのたからものが!!」
れいむは巣穴の中まで追って来て、わあわあ喚きながら私の周りを跳ね回る。
あまりの騒ぎに、残りの赤ちゃん達まで起き出してしまった。
かわいい姉妹が石を載せられて苦しんでいるのを見つけ、みんなで力を合わせて「ゆー!ゆー!」と石を押している。
が、石は結構重いし、三匹の赤ちゃん達はみんなで違う方向から押し合っているので、ビクともしていない。
そんな微笑ましい光景を横目に見ながら、私は洞窟を崩し終え、巣穴の外へと取って返す。
れいむは金魚の糞みたいに、私の後を喚きながら付いて回ってくる。
「もうやめてね!なんでこんなことするの!こんなのゆっくりできないよ!」
「良いのよ、私はゆっくり出来るから」
「れいむとまりさたちのおうちだよ!まりさがとってもがんばってつくったんだよ!
なんでこわしちゃうの!おねえさんはまりさとなかよしなのに!!」
何で壊しちゃうの、か。
強いて言えば、今れいむが言った事がそのまま理由なのかもしれない。
が、話がこんがらがりそうなので黙っておいた。
私は巣穴の脇の辺りに灯りを置き、辺りを照らせるようにしておく。
そして猫車に満載した土をスコップで掬い取ると、巣穴の中に放り込んでいった。
全部を埋めるには、大分かかりそうだ。
エスカレートする私の行動に、いよいよれいむは顔を青くして震え上がる。暗いのでよく見えないが。
「なにしてるの!やめてね!やめてね!!おうちをうめちゃだめだよ!!」
とうとう、足にぽすぽすと体当たりを仕掛けてくる。ちょっとだけ痛いが、全然我慢できるレベル。
気にせず次々に土を放り込んでいく。巣穴はまだまだ広々としていて、土もまだまだたっぷり有り、夜はまだまだ長い。
「やめてね!やめてね!おうちにはあかちゃんたちがいるんだよ!!あかちゃんたちがうまっちゃうよ!!」
見れば、姉妹を助けようと右往左往していた赤ちゃん達は非常事態を察知し、
石が乗った子の救出を諦めて「ゆ~!ゆ~!」と鳴きながら、
お家から逃げ出すことを優先し、お母さんであるれいむの元へと向かおうとしている。
だが赤ちゃんの小さく不器用な跳ね方では、たった今放り込まれた土の盛り上がりさえも乗り越えられず、
みんなその斜面に何度も挑戦しては、ころころと跳ね返されていくばかり。
そうしていく間にも私はどんどん土を放り込み、山は盛られていき、やがて赤ちゃん達の姿は向こう側に消えた。
「あかちゃんたちをうめないでね!!まりさとれいむのかわいいあかちゃんなんだよ!!
まいにちふたりでかわいがってるんだよ!!ずっといっしょにゆっくりしようねっていったんだよ!!」
「そう」
「あかちゃんたち!いまおかあさんがたすけるよ!!」
れいむが巣穴の中に駆け込もうとしたので、私はその横っ面を、スコップの腹で思い切り殴り飛ばした。
れいむはボールみたいに吹っ飛んでいき、太い木の根にぶつかって地面に転がった。
大粒の涙を流しながら「いたいーーー!!」と泣き叫んでいる。まるで自分が赤ちゃんみたいだ。その様を見てると、何だか胸が空く。
「やめてよーーーーー!!あかちゃんがーーーーーーーーー!!!」
「赤ちゃんは良いの、埋まったら自力で出て来れないだろうから。
アンタはモグラかなんかみたいに自力で穴掘って出て来そうだから、中には残しておけないわ」
「まりさーーーー!!どこにいるの!!おねえさんにやめてっていってね!!!
おうちがたいへんなのに!!まりさどこーーーー!!」
れいむは大声で辺りに向かって喚き始める。
だがそんな声じゃあ、まりさには届かない。例え届いたって、まりさはそんなことじゃ起きないんだから。
私は自分の口元が微笑みに歪んでいくのを感じながら、少しハイな気分で土を放り続ける。
もう「土を放る」なんて表現は使わなくても良いだろう。土は巣の中を半分以上満たしている。私は巣穴を埋めていく。
またれいむが巣の中に飛び込んでいこうとするので、私は勢いよくスコップを振り抜き、れいむを打ち返す。
ソフトボールでもやっているような楽しい気分だ。それかゴルフか。
何度かそんなことを繰り返し、その度にれいむは「いだいよーーーーー!!!」と泣き喚く。痛いならやめればいいのに。
「もうやめてね!!おうちがすごくせまくなってるよ!!これじゃまりさがかえってこれなくなっちゃうよ!!
まりさはおうちでおねえさんとゆっくりしたがってたよ!!おうちをもとにもどしてね!!」
「もう必要ないわ。まりさは別の所でゆっくりしているし、私もそっちでゆっくりするから」
「ゆっ・・・!そんなのうそだよ!!まりさはあかちゃんたちのおかあさんなんだよ!
まりさはあかちゃんたちをまもるっていってたよ!!あかちゃんがいないとゆっくりできないよ!!」
「…………」
お母さん。さっきれいむも自分を「おかあさん」って言っていなかっただろうか。
まあ、そりゃそうだ。ゆっくりには性別が無い。もっと言ってしまえば、ゆっくりには男がいない。
「男親」じゃないんなら、あんまり参考になる話は聞けそうにないな。
他愛も無いことをぼんやりと考えつつ、私は巣を埋める作業をいつまでも黙々と続ける。
「まりさはどこ!おねがいだよ!まりさをかえしてね!!
れいむもあかちゃんたちも、まりさがいないとゆっくりできないよ!!」
「……」
「おねえさん!こんなことやめてゆっくりしようよ!!あかちゃんたちもだしてあげてね!!」
「……」
「あかちゃんたちもおねえさんをだいすきだよ!またいっしょにゆっくりしたがってたよ!
こんなのひどいよ!!ゆっくりしてないよ!!!」
「……」
「やめてね!やめてね!!おねがいだからやめてね!!
もうやめてよーーーーーー!!おうちがなくなっちゃうーーーーー!!!!」
「……」
「やめてね!!!おねえさん!!!れいむのおはなしをきいてね!!!
むじじないでーーーーーーー!!!う゛あああ゛あああ゛ーーーーー!!!」
「……」
はた、と手が止まる。この猫車の容量はかなりものだったが、まりさの広い巣穴を埋めるにはまだ少し土が足りない。
また集めて来るか……しかしそれには少し足が重い……ふと、視界の隅にいたれいむに目が留まる。
さく。
「ゆ゛っ」
れいむの頭を掘る。髪の毛はぷちぷちと小気味よく一気に切断され、柔らかい頭部はすんなりとスコップを受け入れた。
頭の前面を三分の一ほど、瞬時にして掘り抜いてしまった。饅頭をちぎるように手軽だった。
れいむの顔はほとんどが削り取られ、残った胴体には右目の眼球が半分ほどと、下顎を残すのみとなっていた。
スコップで掬い取った顔を見てみると、私に「やめて」と訴える悲痛な表情のまま。痛みに顔を歪ませたりはしていない。
そうか、痛みを感じる瞬間には、もう顔は剥ぎ取られていたんだ。この顔はもう生きてはいないのだ。
残った胴体を見てみると、どうやらこちらは痛みにのたうっているようだった。
底部を左右にびたんびたん跳ねさせ、剥き出しになった体内の餡子がそれに合わせて、モコモコと波打つように蠢いている。
半分だけ残った眼球からは、どういうわけか、体の内外に涙がだらだらと流れている。
口内に覗く舌はベロベロとでたらめに暴れ回り、人間でいう喉に当たる(と思われる)部分が、
「こひゅーっ、ごひゅーっ」と必死に空気を行き来させている。痛みに悲鳴でも上げているつもりなのだろうか。
ともかくあまりに見苦しかったので、私はもう一撃スコップを差し込む。
残ったれいむの胴体が中核から両断され、一度ビクンと跳ねると、ただのお菓子のように静かになった。絶命したらしい。
私は巣穴の奥に残った隙間に、れいむの死骸を詰め込んでいく。結構量があったので、大体ピッタリ埋めることが出来た。
猫車に残っていた土を詰め……やっとまりさの巣穴は完璧に埋め立てられた。
あとは、剥がれかかっていた木の皮を拝借したものを、巣穴だったところの表面に覆い被せ、ピッタリと固定する。
これで見かけ上は……少なくとも多分、ゆっくりから見れば、ここはこの大樹の他の部分と何も変わらない。何も特別な所などない。
「ふう……良い汗かいたっ」
額に滲む汗を、軍手の甲で拭った。達成感と共に、どっと疲れが押し寄せる。
今夜もう早く帰って、顔を洗って眠ろう……愛しいまりさと一緒に。
スコップは洗って返さないと。餡子でベタベタに汚してしまった。
「・・・・・ゆ・・・・ゆっくりおはよう!」
翌朝まりさが目を覚ましたのは、自分のおうちではない、見知らぬ場所だった。
いや、正確にはよく見知っている場所だ。しかしそれは遠い昔のことで、今の自分がいるべき場所ではなかった。
隣では大好きな友達、まりさをとても可愛がってくれたお姉さんが、安らかな寝息を立てている。
体の上には、とても柔らかなタオルケットがかけられている。凄くゆっくり出来るが、
いつも使っている寝藁とはかけ離れた、現在の日常とは程遠い感触。
その違和感ゆえ、いつもは寝ぼすけなまりさが、この日は早朝に目を覚ましてしまった。
「ゆ・・・?ここはおねえさんのおへやだよ!」
まりさはどういうことか訳を聞こうと思ったが、当のお姉さんのあまりに幸せそうな寝顔を見ると、
これは起こしてはいけないと思い、詰問を留まった。
そして僅かに開け放たれていた窓から、こっそりと外に出て行く。
「ゆっくりおうちにかえるよ。みんながしんぱいするよ」
お姉さんのおうちからお山に入るのは初めてだったので、少し道に迷ってしまった。
それでも何とかみんなが起きてくるお昼になる前には、自分のおうちがある大きな木の根元まで辿り着くことが出来た。
まっすぐおうちに辿り着けなかったので、少し方向感覚が狂ってしまったのだろう。
この木のどの方角に自分のおうちがあるのか解らなくなってしまい、まりさは木の周りをぐるりと一周してみることにした。
「ゆ?」
が、見つからない。そういえば寝る前に、おうちの入り口を木の枝で隠したんだった。
だから見落としてしまったのかもしれない。そう思ってより注意深く、見落としの無いようにもう一周してみる。
「・・・ゆ?ゆ?」
また見つからない。そんなに完璧に隠してしまっていたのだろうか。
不安に駆られながらも、もう一周。更にもう一周。まだまだ見つからない、自分が偽装をした痕跡すら見当たらない。
何度もグルグル回っているうちに日が高くなって来てしまった。まりさの目には涙が浮かんでいる。
「まりさのおうちがないよ!」
もしや、木を間違えたのだろうか?
いや、長い山の暮らしで地理には明るいつもりだ。このあたりの森に、これほど大きな木は他に無い。
なのに、その根元にあったはずのおうちが見つからない。一生懸命掘ったおうちが出て来てくれない。
まりさはゆっくりの鈍い歩幅で、木の周りを何度も何度も回り続ける。
「まりさがつくったおうちがないよ!!
おかしいよ!まりさのおうちはここにあったのに!!」
しかし無いものは無い。大きな木はしっかりとした皮に覆われていて、まりさがおうちを作ろうと思えるような洞すら無い。
おうちは確かにあったのだ。
一生懸命土を掘り出して、入ってきたねずみさんに出て行ってもらい、雨風に備える木の枝を用意して、
綺麗な石さんや貝殻さんを集めて、赤ちゃん達のためにお部屋を大きくして、みんなで寝るためのおふとんを敷いて……
なのに、まるで最初からまりさなんて関係なかったみたいに、何年も付き合ってきたはずの大きな木からは、
まりさの大事な居場所だけが、忽然と消えてなくなっていた。
今まで仲良くしてきた森の、その全てにそっぽを向かれているようで、まりさは大きな孤独感に襲われた。
「どうして!どうしてまりさのおうちないの!おうちがないとかえれないよ!!」
そう言ってまりさは、大事なことに気が付いた。
おうちの中には、かわいい赤ちゃん達や、大好きなれいむがいたはずなのだ。
どうしてまりさだけがお姉さんの所にいたのかは解らないが、他のみんなはきっとおうちにいたはずだ。
おうちが無くなっているということは、家族のみんなもいなくなってしまったのだろうか?
「れいむーーー!!あかちゃーーーん!!どこーーーー!!おへんじをしてねーーーー!!!」
まりさは大声で叫んで回る。おうちが無くたっていい。みんなさえいてくれれば、おうちはまた頑張って作れる。
今度はみんなで力を合わせて、もっともっとゆっくり出来るおうちを作れば良いんだ。
みんなからのお返事はない。まりさの声が小さくて聞こえなかったのかもしれない。もっと大きな声を出さなくちゃ。
「れいむーーーーーー!!あかちゃんたちーーーーーー!!どこにいるのーーーーーー!!!
まりさはここだよーーーーー!!!いっしょにゆっくりしようよーーーーー!!!」
しょわしょわしょわしょわしょわしょわしょわ。
ジジジジジジジジジジジジジジ。
まりさの呼びかけに応えたのは、必死に求愛をする蝉達の声だけ。まりさたちなんて関係ない。
……でも実はこの時、まりさの声を聞いている者がいた。
まりさのすぐ背後にあった、かつてまりさのおうちだった所。その中では大量の土砂に埋もれて、赤ちゃんゆっくり達が生きていた。
地上から僅かに聞こえてくる、お母さんが自分達を呼ぶ声。赤ちゃん達は必死に応えようとした。
でも体中を土に押し込められて、目も開かなければ口も開けない。
「んーーー!んーーーー!!」
「むむーーーー・・・!!」
「んむーむーーーー!!むーーーー!!」
蚊の無くような音、生きている音を、赤ちゃん達は体の底から絞り出す。
でもたとえ蝉の声がなくても、そんな小さな音が地上まで届くことはなかっただろう。
お母さんがすぐそこにいるのに、自分達を必死に探しているのに、気付いてもらえない。
自分達はおうちの中にいるのに、お母さんは帰ってきてくれない。
その多大なストレスに餡子を茹らせて、赤ちゃん達の意識はうっすらと遠のいていく。
まりさはそんなことには、一生気付けない。
「れいむ・・・・あかちゃんたち・・・・・どこいっちゃったの・・・・まりささびしいよ・・・」
声を枯らし、目を泣き腫らしながら、まりさは森を回り続けた。
真上から照りつける昼の日差しは、木々の陰からまりさを追い出し、容赦なく照りつけた。
真っ黒なお帽子は日光を集め、確実にまりさの気力と体力を奪っていく。
「まりさは・・・・れいむとあかちゃんたちをまもるよ・・・・・
ずっといっしょだよ・・・・いっしょにゆっくりするんだよ・・・・・
なのに・・・・どうしていないの・・・・おねがいだからでてきてね・・・・!」
あの時お姉さんのおうちを出てから、まりさはずっと一人だった。
狩りも、食事も、寝る時も、ゆっくりする時も、ずっと一人だった。寂しかったけど、我慢できた。
そんな生活を続けていたら、どこからか流れてきた一匹のかわいらしいれいむと出会った。
まりさとれいむはすぐにお互いのことが好きになり、一緒に暮らすようになった。
一緒にゆっくりする内に、「すっきり」という今まで知らなかったことを経験した。
何だか解らなかったが、れいむと一緒に「すっきり」をしたら、とてもしあわせな気持ちになれた。
その少し後、れいむがまりさの「赤ちゃん」を産んでくれた。
「赤ちゃん」なんて見たことも聞いたこともなかったが、それを見た瞬間「赤ちゃん」だと解ったし、
それがすごく素敵で、すごく大切で、すごくゆっくり出来るものだとも感じ取ることが出来た。
(まりさとれいむの、だいじなだいじなあかちゃん・・・・すごくかわいいよ!
まりさはかわいいあかちゃんと、あかちゃんをうんでくれたれいむを、ぜったいにぜったいにまもるよ!!)
「守る」。それはとても尊いこと。
まりさが怖いおじさんにいじめられていた時、お姉さんは身を挺してまりさを守ってくれた。
あの時のお姉さんは、すごくかっこよくて、誰よりも優しくて強くて、何よりもゆっくりしていた。
だからまりさはお姉さんに、一生分の恩と、大きな憧れと、深い深い尊敬を抱いた。
赤ちゃんを見た時にも真っ先にお姉さんのことを、そしてその時の気持ちを思い出した。
まりさもお姉さんのように、誰かを守りたい。誰かをゆっくりさせてあげられるものになりたい。
お姉さんを想う気持ちが、れいむや赤ちゃん達への愛を大きくし、ゆっくりした生活を築き上げていた。
なのに……なのに、まりさはおうちも、れいむも、あかちゃんも、もう何も守れない。
「まりさは・・・なにもまもれないよ・・・・・」
まりさはお姉さんみたいにはなれない。
そんな風に泣いてみても、周りには慰めてくれる相手は誰もいない。
森の誰もがそっぽを向いて、涙を乾かす太陽だけが、まりさを見下している。
「まりさはひとりぼっちだよ・・・」
以前と同じに戻っただけだ。れいむと出会う前はこれが当たり前だった。
でも、誰かを守ることの尊さ、素晴らしさを知ってしまった今、
そしてそのことに失敗して深く傷付いた今、昔のような気持ちで暮らすことは、もう出来なかった。
「ゆっ・・・・ヒグッ・・・・おねえさん・・・・・」
まりさが自分を「守るもの」として律する内に押さえ込んでいた、まりさ本来の弱さが頭を擡げてくる。
蘇るお姉さんとの楽しい日々。帽子を撫でるお姉さんの柔らかい手。お姉さんのくれるとっても甘いお菓子。
お姉さんのお布団の優しい寝心地。泣きそうな時にもやさしく慰めてくれる、お姉さんの温かな胸。
「おねえさん・・・ウグッ・・・・・まりさは・・・ゆっ・・・・・まりさは・・・・・」
ゆっくりしたかった。
まりさは重い体を引きずり、坂を下り始める。
日は少し傾き、まりさの進路に木陰が伸びていた。
「お父さん、はいこれ」
「ん?」
遅めの朝食を終えた父に、私は家から持ってきた、大きめの包みを手渡す。一番かさばった荷物だ。
どことなくばつが悪そうに受け取った父だが、遠慮なく包みをビリビリと破り取り、中身を確認する。
「お、これは……」
「えへへ、一応似たようなの選んでみたんだけど」
それは花瓶だ。あの日に割れた花瓶と同じ、瑠璃色の花瓶。柄はよく覚えてなかったので、とりあえずマーブル。
あんなに立派なものは流石に私の給料では買えず、大分小振りなものになってしまったが。
花瓶を床に置き、父は反応に困ったように頭を掻く。
「本当は父の日に渡したかったんだけどね。大分遅れちゃった」
「いや、あの……お前が小さい時のことは、その……」
「良いのよ、もう気にしてないから」
「そ、そうか……すまん……」
「だからもう気にしてないってば。それより、あのさ……」
「何だ?」
「私が社会に出て、生活とか地位とか仕事とか、そういうのを守る立場になったらさ……
やっぱり、昔ほど可愛くなくなるもん?」
「何言ってんだ、俺は父親だぞ。いくつになったって、娘は可愛いもんさ」
「え、ええー、そうなのっ? ハハハ……」
「ただ、まあ……当然、子供の時みたいにただただ可愛いって訳にはいかないけどな。
でもその分、立派に育ってくれたお前を見て、誇らしいとかって気持ちにはなるさ」
「そうなんだ……うん。ありがと」
「うむ……しかしこれで婿でも連れて来てくれたら、もっと頼もしいんだけどなあ。ハッハッハ」
「あれーお父さん、私がどこぞの男にもらわれちゃってもいいの?」
「あ、いやいや。やっぱ今のは無しだ、無し!」
互いにアハハ、ウフフと笑い合う。父と談笑したのなんていつ振りだろうか。
心から通じ合えたと思ったのは、生まれて初めてかもしれない。
今日は本当に良い日だった。
「久しぶりに話した気がするな。盆休み中はゆっくりしていくんだろ?」
「あ、うん……ある意味ゆっくりはしていくけど……」
「ん?」
「迎えに行かなくちゃいけないんだ」
「何だ、仕事が忙しいのか?」
私は笑顔で語尾を濁して、その場を立ち去る。
父は、無理はするなよ、と言って、微笑んで見送ってくれた。
そうだ、私は迎えに行かなくちゃいけない。そして守ってあげなくちゃいけない。
無力で小さな、可愛い可愛いまりさを。
まりさはとても立派にやっていたけど、やっぱりそんなの私のまりさじゃない。
まりさはお間抜けで、甘えん坊で、お父さんに叱られて、私に守られて、私に可愛がられて、だから大好き。
私はお父さんみたいに奥ゆかしくはなれない。だって、親じゃないもの。そんな義理、無いもの。
それでも私とまりさを結ぶ、色褪せたピンク色の絆は、それはそれできっと本物だ。
やっぱり紛れも無く、私は一匹の、ゆっくりまりさの飼い主なのだ。
私はサンダルを突っ掛け外に出て、裏のお山に向かい合う。
木々がざわざわと鳴り、お山から吹き降ろした涼やかな風が私の髪をなびかせ、汗を冷やす。
蜻蛉が一匹、風に乗って舞うのが見えた。
秋は近い。
■あとがき
以前どこかで「ゆっくりって赤ちゃんを持ったりすると可愛くなくなる気がする」
という書き込みを見て、そうだな~と思って自分なりに書いてみました。
家族物が主流の中ですが、一個ぐらいはこういうのがあっても良いんじゃないかな~と。
いや、これも家族物ですけど。
5時間ぐらいで書けるかなっ!と思ったけれど、2日かかりました。
容量も予定の倍、膨らみました。こんな長いのうpしていいのか?
見積もりの甘さは餡子級だぜ!
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このSSへの感想
※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね!
- ↓↓↓↓それもそうだけどなあ、そうゆうもんだよ、ゆ虐って -- 2023-02-15 17:22:20
- いっそマリサお姉さんのこと忘れときゃ良かったのに…それか年をとったからわからなくなったとか -- 2019-10-24 21:07:50
- この女が帰郷してる間だけ雨が降れば良かった。そうすればまりさ達は巣に籠って見つかることはなかったろうに…… -- 2016-05-19 12:43:55
- やはり元飼いゆ 嫁から教育が難しい赤ゆまで金バッチレベルに・・・ -- 2013-03-31 03:58:23
- こんなにいいゆっくり達だったのに・・・(._.)
クズ人間だな、このお姉さんは
まりさの気持ちを踏みにじりやがって
いつまでもお前のまりさじゃねえんだよ
まりさは成長して一人で生きて
家族を作って頑張ってたのに!
ゆっくりはなぁナマモノじゃねぇいきものだ!!!
-- 2012-05-21 01:40:57
- れいむの反応が良くてすっきりしたけどお姉さん超こええ! -- 2011-11-04 13:54:13
- や 病んデレ?
-- 2011-05-28 18:24:22
- うーむ共存は難しい -- 2010-09-28 20:27:11
- れいむとガキのお飾り全部取っ払った上で舌抜いて発言できないようにしてまりさと対面させれば良かった
でお決まりの「ゆ!こんなのまりさの番じゃないよ!どっかいってね!」展開になればそりゃもうすっきりー!だったろうに -- 2010-09-21 02:36:42
- す、すっきりぃぃぃぃー!!!!
これで帰ってきたまりさにお姉さんがやっぱり自分の子供じゃないし
なんか違うわとか言ってスコップを突き刺して処分すれば
もっとすっきりできたのに -- 2010-08-12 23:35:05
- お姉さんや親父さんが気持ち悪っ
まあ、ゆっくりを虐待する人間はギャグ的にヒャッハーとか言ってる系以外は大抵気持ち悪いが……
このお姉さんは病んでるような気がする -- 2010-07-28 16:53:02
- 何度読んでも親父さんが好きになるわ
厳しいけれど娘思い(形はどうあれ)の父親は俺の憧れだ
そして、この娘さんは多分母性が強すぎただけだね、女って守るものが居ると強くなるよ~
それこそ、旦那より強いかもしれない恐怖の象徴に「ちょっと唸られて頭に来たからって蹴って殺しちゃったりしたら返せってずっと講義してやる」って言える様になるくらいにね
只の独り言だよ~気にしないでね~ -- 2010-07-28 01:28:22
- 自分のもの取られたら誰だって怒るんですよ
まりさは一時期お姉さんから離れたとはいえ、所有物には変わりなかったんですからね
それが手元に戻ってきそうなときに糞袋がそれこそ金魚の糞みたいにくっついてきたら、始末したくもなります
ゆっくりなんてものは、人間の意志に左右されるしかない、そんな姿こそがお似合いです -- 2010-07-28 01:05:11
- 言ったら悪いけど、冗談抜きで娘が可愛くて仕方なくてブチ切れる親って居るよ?
自分の物差しだけで物事を考えるのは良くない
お姉さんは性格に難ありかも知れないが、親父さんの気持ちは分かるわ・・・ -- 2010-07-07 04:06:31
- ゲスお姉さんなんだねー。 -- 2010-06-21 22:04:42
- ゆっくりが行ける所になんか家宝を置くなよ。餡子脳オヤジ。
あと、娘もオヤジの餡子脳がしっかり遺伝しているな。 -- 2010-06-19 05:58:41
- 深い -- 2010-06-18 01:12:22
- まさに狂気 -- 2010-04-17 11:42:31
- ↓ !! -- 2010-04-16 19:02:47
- むしろまりさが絶望でしんでてお姉さんあやまちにきづくほうがおもしろかったかも -- 2010-02-24 01:59:14
最終更新:2009年10月21日 18:18