ふたば系ゆっくりいじめ 1041 はるですよー

はるですよー 8KB


小ネタ 希少種 現代 独自設定 空気を読まず希少種SS。すみません、出してみたかったんです。


筆:日本語訳

 ・短編集の形態をとっています。
 ・見かけない希少種ゆっくりが出てきます。
 ・思いついて、一時間ほどでまとめたした。先達の遺業の確認はしていません。
 ・ネタかぶりの際はどうかご容赦。
 ・今回めーりんガルの出番はありません。


 まりさは薄暗い穴の中で僅かながら差し込む光を見つめた。
 冬が訪れる前、隣で寝ている番のれいむが施した結界の隙間から漏れるそれだ。
 光は柔らかく、そして堅い。冬とも春とも判断できない。
 貯蔵された餌は多少残っているが、無尽蔵というわけではない。
 決断が必要だ。
 何時までもこうしているわけにはいかない。
 早すぎれば死。
 かといって先延ばししていても食料の欠乏はもちろん、子ゆっくりが暗い巣穴から受ける重圧でゆっくりできなくなってしまう。
 なにか手がかりがあれば、まりさは自分の優柔不断を呪いながら切っ掛けを望んだ。

 ごそ

 結界が僅かにたわんだ。

 ばり

 何者かが外から結界を破壊しているようだ。
 まりさは恐怖した。
 冬季、結界を破壊する物と言えばゆっくりに害意を持つ人間くらいなものだからだ。
 巣立ちの際に親が持たせてくれた堅い棒を咥え、巣穴の出口にじりじりと進むまりさ。
 もちろんその程度で人間に対抗できるとは思っていないが、人間が自分にかまっている間に家族が逃げ切れるかもしれない。
 緊張しながら出口そばまで来ると、結界が破られ春特有の柔らかい光で巣穴が満たされた。
 そこには、金髪で白い先のとがった帽子をかぶっている見たことのないゆっくりがいる。

「はるですよー」

 そう鳴くと、そのゆっくりは背中の一対の翼を羽ばたかせ空に消えた。
 まりさはあわてて外にでる。
 花曇りの空に消えるあのゆっくりに声をかけた。
「ゆっくりしていってねー!」


 れいむはうたた寝をしている。
 越冬も終盤、食糧問題やらなにやらで今年もトラブルがあったが例年通り夏場に仕込んだ非常食で切り抜けることができた。
 つまり、隣に鎮座する番だった喰いかけのちぇんと、食べてしまった子供達。
 まあ毎年のことなので気にはしていない。それにこれは緊急非常措置というやつだ。
 れいむは春になったら喰い残した非常食を食べきり、群れの間抜けどもが集めた春一番のさちを奪い、そして次の獲物を求めて旅立つつもりだった。
 気温も上がり群れの他の家族は活動を始めているようだが、自分はもう二、三日寝てそれから活動を始める心づもりだ。
 ふたたび深い眠りに落ちるれいむ。

 がさがさばりばり。
 乱暴に結界を破壊する音がする。が、れいむはすーや、すーやと熟睡中。
 ゆっくり一人が通れるほどの穴を開けたそれは、巣穴の外から何か叫ぶ。もちろん熟睡中のれいむは反応しない。
 なんどか声をかけたそれは、無反応のれいむに業を煮やし、やがて「とう!」という掛け声とともに結界を打ち破り巣穴に進入する。
 ごそごそと飛び散った結界の残骸や敷き詰めた藁くずをかき分け近づいてきたそれは、れいむの耳元(と比喩される位置)で叫んだ。
「は"る"でずよ"ー!」
「ゆぎゃ!」
 さすがのれいむも驚いて覚醒する。
「ゆ、れいむのゆっくりぷれいすにかってにはいりこんだくずはゆっくりし・・・」
 顔をゆがめて怒声をあげるれいむに、進入してきたゆっくりは罵詈雑言をさえぎり「はるですよ!」と鳴く。
 そして、「よ!」のタイミングで強烈な光を放つゆっくり。
 れいむは閃光をまともに見てしまった。
「ゆぎゃー、めぎゃー! れいむのかわいいおめめさんがー!」おさげで目を覆い巣穴の中で転げ回る。

 れいむの汚い叫び声を聞いて、すでに春の活動に入っていた群れのゆっくりはれいむを心配して巣穴をのぞき込む。
 そこには、半分ほど食べられたちぇんと口の周りをチョコレートで汚した暴れ回るれいむが。
 りりーはいつの間にか姿を消していた。


 卓上で飼われていたまりさは、そのとき春の日差しの差し込む出窓でくつろいでいた。主人は仕事で居ない。
 暇をもてあましていた。
 それよりもまりさは、この家に自分一人しかいない寂しさに悲しさを感じている。
「ゆゆー、まりささびしいよ・・・」
 つぶやく。が、口に出したことで寂しさが増し押しつぶされそうなほど増加した気がした。
 窓の外は雑な感じの庭が広がり、たまに散歩中の飼いゆっくりか、あるいは野良のゆっくりが通りかかるが内気なまりさは声をかけることができない。
「春になったら」
 と主人は言っていた。
「子ゆっくりは欲しいか?」
「ゆゆ、まりさすっきりがこわいからいらないよぉ」
 まりさは本能的に番を持つことと子を作ることを恐れていた。当然ながらそれは本能ではないのだが、まりさはそれを知らない。
「しかしなまりさ。僕が居ない間寂しいって言ったのはまりさなんだが」
 まりさは何度もそれを主人に訴えている。
 まりさ的には、欲しいのは番や子供ではなく主人との時間なのだが、彼はそれに気づいていない。あるいは気づいて無視している。
「ゆ~・・・」
 憂鬱そうに鳴いて、眺めるでもなくぼんやりと空を見上げるまりさ。
 薄く曇った空に向こう側の透けた雲がゆっくり流れる。
 こつこつ。
 窓が音を立てる。
 まりさがそちらを、というか正面を見ると見たこともないゆっくりが居た。
 まりさと同じ色の髪の毛に白い帽子。
 白い鳥の羽をつけたゆっくりはまりさと目が合うと、にっこりとわらって鳴く。
「はるですよー」
 そうか、はるさんなのか。
 まりさは呟く。番も子ゆっくりもいらない。
 しかし主人にあまりかまってもらえないのなら、こんなゆっくりしたゆっくりと友達になるのもいいかもしれない。
 人見知りするため、まりさは照れながら挨拶しようとする。
 だが、白い羽のゆっくりは花曇りの空に消えていた。白い鳥の羽を残して。


 野良ゆっくりに四季はない。
 そこにあるのは、彼らに敵意を持つ環境の種類が変わるだけだ。
 夏の熱波、虫。そして急な豪雨。秋の捕食者。冬の寒波、餌不足。
 春のそれは、ただ他の脅威に比べて甘いというだけなので、そこには郊外や山村にあるような幸福感はない。
 雑草の茂った河川敷のはずれ、ひっきりなしに自動車の通過する橋の橋脚にまりさのおうちはあった。
 段ボールではなくプラスチック製のコンテナを横倒しにし、ブルーシートの切れ端で口を覆っているそれは、先日死んでしまったまりさの親のれいむの自慢の一品だった。
 親の残した物は、そのおうちとまりさの妹2体だけ。妹は親に似ていささかゲスっぽく遺産というより負債だったが。
 今もまりさは、早朝の狩りでの獲物が少なかったことを妹たちになじられ、「じゃあたべないでね! くずにたべさせるごはんさんはないよ!」と妹に劣らないゲスっぷりでさわいでいた。
 まりさも、妹たちに狩りをさせたいとは思っていたが冬のもたらす環境は今の妹たちには厳しい、と考えている。
 せめて春になれば、まりさはそう希望をつないでいた。
 妹の罵詈雑言を聞き流して自分の分のごはんをたべ、その上で妹たちに食料を分けるまりさ。
 妹たちはまりさに感謝をするわけでなく騒ぎながら餌をむさぼる。

 すると、おうちと外界を隔てるシートがぺらり、とめくられた。
 そこには白い翼を持った金髪白い帽子のゆっくりだった。
 まりさは身構える。妹を守るために戦うのではなく、侵入者の隙をついて逃走するためだ。
 シートをめくったそれは、薄暗いおうちの中にはいると少し息を吸ってから鳴いた。

「はるですよー」

「うるさいよ! かわいいれいむのしょくじをみたんだから、あまあまちょうだいね!」
 と妹たちは声をそろえて鳴く。
 その上、うんざりして出て行こうとするその不明のゆっくりの腕(翼?)をつかみ餌を要求する。
「はるですよー」
「あまあまさんよこせ!」
「はるですよー」
「あまあまさんよこせ!」
 エンドレスの押し問答がしばらく続きいた。
 白い翼と白い帽子を持つそのゆっくりは、ふぅ、とため息をつく。
 れいむに捕まれていない方の翼の先端を器用に丸める。
「うるさいよこのくずども! えさをくいたければ、そのはなくそみたいなそまつなあんこでかんがえて、じぶんでとってきな!」
 そう怒鳴ると同時に手近な方の妹を殴る。
 もう片方の妹の前につばを吐き「このくずどもめ!」とののしった。
 罵ったところで我に返った不明のゆっくりは、呆然とするまりさの方を見て取り繕ったような笑顔を見せる。
「は、はるですよ~」
 それは、そう鳴いてから濁った空へ消えた。


 青年は困惑していた。
 4年制の大学をでて、親類の縁故で潜り込んだゆっくり加工所。
 もともと市の当該部署と農協内部にあったゆっくり対策部署、それに市内の和菓子屋数件が出資して作った第三セクターだった。
 べつだん赤字とかではなかったが、昨年めでたく仕分けられて今では○×市加工所(株)というわけだ。
 青年が困っているのは加工所の形態に付いてでなく、その日ある公園に設置されているゆっくり収集かご交換のために訪れると、そこには見たこともないゆっくりが居た、という点だった。
 まりさっぽい外見だが、帽子は黒ではなく白。まりさ種がそうであるかのように帽子の先が折れているのでなくまっすぐ。
 一対の羽が生えているが、れみりゃやふらんと違い鳥の翼。
 瞳には知性っぽい輝き。
 一人で来ているので先輩所員に聞くわけにも行かず、とりあえず持ち帰ることにした。

 そして1時間後。
 持ち帰ったゆっくりは加工所の一室におかれた。
 未知のゆっくりに、集められた加工所の専門家達。
 ああでもない、こうでもない、と議論する彼らを尻目にくつろぐ謎ゆっくり。
「まだわからないのかね?」
 いらいらした口調で入室し来たのは、加工所を経営する市職員から天下った男だった。
 所長が入室すると、白帽子の翼ゆっくりは彼の方に顔を向ける。
 いままでゆっくりのゆの時も鳴かなかったそいつは真剣な顔で所長を見つめた。
 議論をやめてゆっくりに注目する一同。
 そしてゆっくりは一言呟いた。

「はるですが、かくていしんこくはすみましたか?」




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感想

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  • まぁ、りりーはゆっくりの中でもかなり特殊だからな~
    希少種よりも希少だったり、街管理のゆっくりだったり。
    能力も「はるですよ~」しか喋らない、飛行できる、ゆっくり索敵、ゆっくりオーラ、と色々ある。
    作者もただ、りりーを元にネタを書きたかっただけではなかろうか?
    ・・・ただ、可愛い!! -- 2018-01-18 05:21:36
  • どういうことかわからん -- 2014-02-03 10:35:36
  • 最後に吹いたwww
    こいつは賢いww -- 2010-12-10 19:56:00
  • 何かワロタwwwww -- 2010-11-04 11:06:14
最終更新:2010年03月27日 08:44
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