ふたば系ゆっくりいじめ 9 ラジコンに引きずられて

ラジコンに引きずられて 7KB



※M1あきさんのネタ振りに触発されて書いてみました。



走っていた。
れいむは走っていた。
いままでゆっくり生きてきたれいむが、かつてないほど速く跳ねていた。

「おいおいれいむ? 早くしないと…お前の大好きな可愛いおちびちゃんがあんよも顔も
擦り減って、なんもかんも無くなっちまうぞ?」

れいむの前を走るのはラジコン。人間の手により自在に駆けめぐる成体ゆっくりほどの大
きさの車だ。
そのラジコンにはれいむにとってなによりも大切な子ゆっくりが紐でくくりつけられ引き
ずられていた。

「知ってるか? ラジコンって自転車くらい速いんだぜ?」

そんな知識はれいむにはない。しかし今、非情な事実として実感している。
ラジコンは、速い。れいむがどんなに跳ねてもおいつけないほどに。
そもそもれいむは全力で跳ねることができない。その底面にはぐずぐずにすり切れている。
ボロボロの底面は、思ったように跳ねることすら難しい。
転び、無様に跳ね、その身体は泥にまみれていく。
それでもれいむは跳ねる。全力で、跳ねる。
しかし、まるで追いつけない。

「人間でも追いつけないつーのに、そんなに跳ね回ってもな。絶対助けられないと思うぞ?
 諦めろって。マジでマジで」

おにいさんのあおりの声に、しかしれいむは諦めない。
だが、身体の方は限界を迎えた。気力に身体が追いつかない。れいむは跳ねることができ
なくなっていた。
ゆっ、ゆっと荒い息を吐き、ズリズリとはいずることしかできなくなっていた。

気づけば、ラジコンはれいむのずっと先、おにいさんの足下に止まっていた。
今は亡くなってしまったまりさに似た、かわいいおちびちゃん。まりさ種特有の素敵なお
ぼうしは、今や泥にまみれてところどころが破れている。綺麗だった金髪もまた泥で汚れ、
引きずられなか抜け落ちたところも多い。しっとりとしていた肌も引きずられ地面に削ら
れボロボロだ。
もはや子ゆっくりは悲鳴を上げることすらできない状態だった。
れいむは一刻も早く追いつきたかった。ぺーろぺろして身体を治してあげたかった。すー
りすりして心を癒してあげたかった。
しかし、身体は思うように動いてくれない。

「おーい、チビすけー。お前のお母さんさー。もう子供なんて助けるのはゆっくりできな
いから止めるってさー。見殺しにするってさー。よかったねー」

おにいさんの言葉に、子ゆっくりは声無く震えた。つぶれかけ、しかしまだ視力を失って
いない目がれいむを見た。
「どうしておかあさんはたすけてくれないの?」
虚ろな瞳は、そう語っていた。
違う、違うのだ。れいむは否定したかった。しかし事実、れいむは子ゆっくりの元にたど
りつけない。言葉で子ゆっくりを安心させたくても、れいむは声が出せない。れいむの喉
は既に潰されていた。
だかられいむは気力を振り絞って跳ねる。
が、そのあんよが滑り、れいむは顔面から地面に激突した。
その痛みより、あんよをすべらせたものにれいむは戦慄した。れいむが滑った理由、それ
は子ゆっくりから漏れだした餡子によるものだったのだ。
れいむが跳ねたのを確認すると、おにいさんは再びラジコンを走らせた。れいむは必死で
追いかける。
そして思う。
どうしてこんなことになってしまったのか、と。


れいむは街に住む野良だった。
生活は決して楽とは言えなかったが、親ゆっくりが優秀なおかげでどうにか餌は確保でき
た。そのための知識も受け継いだれいむは、独り立ちしてからもどうにか暮らすことがで
きていた。苦労をしながらも、ゆっくりしていた。

そんなゆっくりは、一匹のまりさによって変わった。

れいむは襲われ、子供を身ごもってしまったのだ。
それだけなら都会のゆっくりにはありふれた不幸だったが、れいむの場合は少し違った。
まりさは飼いゆっくりだったのだ。飼い主のおにいさんはまりさを溺愛しており、そのま
りさの子を身ごもったれいむは飼いゆっくりとして飼われることになったのだ。
れいむは厳しい都会の野良生活から一転、安全で豪華な都会の飼いゆっくり生活をするこ
とになった。
れいむはとてもゆっくりできるようになった。望めば大抵のことを叶えてもらえた。おに
いさんはとても優しかった。まりさも初めこそれいむを見下した横柄な態度だったが、素
直でかしこいれいむに次第に惹かれ、二匹はやがて仲睦まじいゆっくりの番へとなってい
った。
そして、れいむとまりさの子供を産まれた。まりさ似のとてもかわいいゆっくりだった。
「れいむはこどもをじょうずにそだてられるんだよ!」
れいむの自慢、その言葉に込められた愛情にに、みんなが笑った。しあわせに笑った。
いつまでゆっくりできる、すごくゆっくりできる――れいむもまりさもおにいさんも、み
んなみんなそう信じていた。

そんなある日のことだった。

町中での散歩中、れいむはふと町中に咲くたんぽぽを見かけた。野良だった頃大好きだっ
た花だ。そんなことを家族に話すと、子ゆっくりはとても興味を示した。まりさは笑顔で
たんぽぽを取ってきてくれると言った。
そして。
まりさは、自転車に跳ねられた。

誰が悪いわけでもない。不幸な事故だった。
まりさもれいむもそれは納得していた。誰も憎んでいなかった。
「まりさのぶんまで、おちびちゃんとふたりでずっとゆっくりするよ……!」
れいむの涙混じりだが力強い声に、まりさはほほえんで、逝った。子ゆっくりはわんわん
泣いた。
悲しみはあった。しか、暖かな空気がそこにはあった。

そして、おにいさんはその空気の外にいた。

「お前さえいなければ……!」
おにいさんはれいむと子ゆっくりに言った。おにいさんはまりさが大好きだった。溺愛し
ていたと言ってもいいほどに。だから野良のれいむも引き取ったし、子ゆっくりが生まれ
餌代が増えようと嫌な顔ひとつしなかった。
まりさが大好きだった。好きすぎて、「まりさだけが死んでしまった」ことを受け入れら
れなかった。
だから、その悲しみを憎悪に変えてれいむにぶつけた。

まずまむまむを潰された。
カッターで再生不能なまでに徹底的に切り刻まれた。
「お前がその醜いまむまむでまりさを誘惑したからいけないんだ」
おにいさんはそう言った。

次に喉を潰された。
むーしゃむしゃしたごはんにトウガラシが仕込まれていたこともあった。必死に吐き出そ
うとしたが、ほとんど飲み込み欠けていたために辛味成分をなかなか吐き出せず、れいむ
は喉を痛め声すら出せなくなってしまった。
「その耳障りな声でまりさは自転車に跳ねさせたんだよな」
おにいさんはそう言った。

次はあんよを潰された。
やかんをぶつけられた。あふれ出した、床に広がった熱湯はれいむのあんよ溶かして崩し、
ボロボロにすり切れた状態にした。
「まりさは二度と跳ねることもできないのに、なんでお前がはね回ってるんだ?」
おにいさんはそう言った。

その憎悪の矛先は、やがて子ゆっくりに向かった。

そして今、子ゆっくりはラジコンに引きずられ、その身体を削り取られている。

誰が悪かったわけでもない。
では、何が悪かったのだろう?
れいむには、答は出せない。

そして、気づけば。
愛するわが子は目の前にいた。

ぼろぼろになったおぼうしは、すでに原形をとどめていない。
自慢の綺麗な金髪はほとんど残っておらず、泥にまみれていた。
まりさ似の綺麗なおめめは右しか残っておらず、もはやなにも映してはいない。
身体の半分以上が削り取られ、無くなっていた。

子ゆっくりは、永遠に、ゆっくりしていた。

「あーあ、子供、死んじゃったじゃん」
おにいさんの声に、れいむはのろのろと見上げた。
そこには心底れいむをバカにして笑う、おにいさんがいた。
かつてはいつもやさしい笑みで自分を見てくれたおにいさんの、残酷な笑みがあった。
「言ったろ? お前は子供が産めない体になってから大切に育てろってさ。死んだまりさ
と約束したじゃんか、まりさの分まで二匹でずっと一緒にゆっくりするってさ。何だよ、
自分が楽したいからって反故にするのか? お前最低だな。反吐が出る。そんなに自分の
身体が大事なのかよ? 歌も歌えない、あんよもグズグズに擦り切れて、どこに価値があ
るって言うんだ? れいむは子供を上手に育てられるって言ったよな? なんだよそれ、
丈夫に始末する方法の事か? いい加減にしろよ」
おにいさんは一気にまくし立てる。声を出せないれいむはただ、涙を流しながら見つめる
だけだ。
「うざい。何その顔? 悪いのはお前だよ? なんで許しを請うんだよ、何一つ可哀想じ
ゃねーよ。もういい消えろ触りたくもない。つかゆっくりでも何でもないよお前。クズだ
よクズ」
れいむは許しを請うためにおにいさんを見ているのではなかった。
ただ、哀しかった。
まりさがいなくなってしまったのが哀しかった。
子ゆっくりが死んでしまったのが哀しかった。
そして今は、おにいさんが哀しかった。

ただ、ただ。哀しかった。

だから。
れいむは。
「ゆっくりしていってね」
そう言った。
潰れたはずのの喉だった。声など出ないはずだった。
しかし、れいむは確かに言ったのだ。
「ゆっくりしていってね」、と。

おにいさんはあざけりの笑みを消した。人形のように無機質に、表情を無くした。
れいむにはなぜだかそれが、泣いているように見えた。
おにいさんは機械仕掛けの人形のように足をゆっくりとあげ、そして一気にれいむにたた
きつけた。
れいむはみじろぎひとつせず、自らの死を受け入れた。

みんながゆっくりすることを願い、しかしれいむはだれひとりゆっくりさせることができ
なかった。
無能なれいむは、自身すらもゆっくりさせることなくこの世を去った。



by触発あき

元ネタ絵 byM1あき


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感想

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  • まりさ「でいぶとおぢびをこんなべにあばぜるおにいざんなんでだいっぎらいなのぜ!」 -- 2023-02-13 16:43:33
  • ああ、悲しきかな -- 2021-05-02 19:33:22
  • まりさ「れいむ…?おちび…?へんじさんをするのぜ?ゆっくりしてないでおきるのぜ?
    れいむ…おチビいいぃ!!!」
    exクズ飼い主「ま、まりさ!?」
    モブA「オレンジジュースかけたら蘇生したけど。」
    まりさ「おにいざん!れいむとおちびに何してるのぜ!?」
    exスーパークズあんこ脳飼い主「コイツのせいでお前は死にかけたんだぞ!?」
    まりさ「ばりざは、れいむとおちびに自分の分までゆっくりしてもらいたかったのぜ!こんなの、ぜんっぜんゆっくりしてないのぜ!」
    -- 2021-02-16 22:26:12
  • クズヒャッハー爆誕してて草 -- 2021-02-14 14:53:00
  • 誰もヒャッハーしていない! -- 2021-02-14 08:31:37
  • す、すげぇ!いつもなら頭のいかれたヒャッハー鬼威山が超越理論を振りかざしてるとこなのに! -- 2021-02-14 08:31:09
  • 「お前さえいなければ…」ってリディ少尉かな? -- 2017-08-19 12:59:55
  • 同感↓↓ -- 2016-01-07 22:32:48
  • あの霊夢生きている価値0 -- 2015-04-25 22:58:25
  • ラジコンにくくりつけられてる子まりさの表情……

    たまんねぇなぁ、おい!! -- 2014-12-27 19:31:01
  • 鬼意惨は完全にキ○ガイだけど、やられてるのがれいむだから笑えるww



    みょんだったら鬼意惨こ○す(ボソッ) -- 2014-05-26 18:14:10
  • お兄さんひどいね~れいむと子まりさは悪くない気がするにゃん -- 2014-05-05 15:56:56
  • イケメンの価値 -- 2014-04-09 18:45:41
  • おにいさんは頭が残念 -- 2014-01-25 01:16:31
  • まりさに襲われたってあったな…これ飼い主もまりさもゲスじゃん
    れいむわるくねえ -- 2013-09-30 13:05:34
  • ↓ちょっと間違いがあった 魔理沙が大切なものを守れよ ではなく 魔理沙が大切にしていたものを守れよ です  -- 2013-07-29 07:05:10
  • もしこれが現実であれば、動物愛護などの保護の団体が騒ぎ出しこの「おにいさん」は警察などに捕まり罰せられると思う しかしこの「おにいさん」は魔理沙が大事っていうんなら魔理沙が大切なものを守れよって感じがするよって↓の人に同意  -- 2013-07-29 07:03:58
  • この人間は大切にしていた魔理沙の大切にしていたものを奪おうとしている。ていうか殺してる。
    多分どんなに大切にされてた魔理沙もこのゴミ(人間)をすごく憎むとおもう
    まあこの人間は社会的なクズということ例で例えると飼っていた犬の子供を殺すのと同じ
    いわゆる人間的なキチガイである。
    -- 2013-04-08 17:23:05
  • この飼い主は最低というか、病気だよな、まりさ溺愛派だったらその子供を大切にしてあげるが当たり前だと思うが
    こういう人間は見ていると腹が立つ、ゆっくりできないねー
    人間の歪んだ愛情?というのかな、表現されていて短くても良い作品だった。 -- 2012-12-10 13:16:06
  • 途中の話でラジコンのこと忘れてた -- 2012-11-24 03:58:51
最終更新:2009年10月14日 18:17
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