ふたば系ゆっくりいじめ 1222 ゆっくり時計の作り方

ゆっくり時計の作り方 30KB


虐待-凄惨 制裁 自業自得 実験・改造 引越し 妊娠 ツガイ 野良ゆ 自然界 虐待人間 人家に侵入したゆっくりを時計に改造します。


冬も終わり、今まさに春を迎えようとする、とある森の中で―

「ゆーん、ゆきさんがなくなってるのぜ!はるさんがきたんだぜ!」

「ゆわーい!はるさん、ゆっくりしていってね!」

まりさとれいむの番が喜びの声を上げた。
このまりさとれいむは昨年に独立し番となったばかりであり、当然、夫婦での越冬も今回がはじめてであった。
にも関わらず、無事に春を迎えることができたのは、徹底した下準備と節制の賜物との言えるだろう。
 ―単純に言えば、「食料を十分に集め、すっきりーをしなかった」というだけのことではあるのだが。

ともかく、まりさとれいむの我慢は報われたのである。
暗く狭い巣の中で、限られた食料を少しずつむーしゃむしゃし、どんなに伴侶が愛しくてもすーりすーりさえしなかった。
そうすべては、今この時のために。

「まりさ!はるさんがきたから、いっぱいぴょんぴょんしたり、むーしゃむーしゃしたりできるね!」

「それだけじゃないのぜ!いままですーりすーりもがまんしてたけど、もうすっきりーしてもだいじょぶなのぜ!」

もう耐える必要はない。
まりさとれいむはその日、今までの憂さを晴らすように森を駆け回り、ゆっくりしたご飯をお腹いっぱいむーしゃむーしゃし、
最愛の伴侶と肌を寄せ合わせ、そしてすっきりーした。



「ゆーん、れいむとまりさのあかちゃん、とってもとってもゆっくりしてるよ~!」

住み慣れた巣の中で、れいむが幸福そうな声を漏らす。
その頭上には6匹もの『ゆっくりしたあかちゃん』が、緑色の立派な茎に支えられて並んでいた。
数日前のすっきりーの成果 ― 見事な植物型にんっしんっである。

「きっとれいむたちがたくさんゆっくりしたから、あかちゃんもたくさんゆっくりしてるんだね・・・。」

ゆっくりにとって、特に母性本能の強いれいむ種にとって、自分のあかちゃんほどゆっくりできるものはない。
耐えに耐えた越冬のあとで、しかも一番最初のあかちゃんとくれば、なおさらである。
れいむは今間違いなく、ゆん生の中で一番の幸福に包まれていた ― 文字通り、この世の春であった。

「ゆふふ、れいむのいうとおりなんだぜ!きっとこのこたちは、せかいでいちばんゆっくりしたゆっくりなんだぜ!」

幸福な気持ちはまりさも変わらない。むしろ身重でない分、まりさの方がはしゃいでいる。
巣の中でぴょんぴょんとれいむのそばを跳ねながら、興奮した様子でまりさがあとを続ける。

「あかちゃんたちがうまれるときはけがしないように、まりさのぼうしでうけとめてあげるのぜ!ひとりひとり、たいせつにうけとめてあげるのぜ!」

「ゆふふ。じゃあれいむは、あかちゃんたちにひとりひとり、ゆっくりあいさつして、すーりすーりして、ごはんさんをたべさせてあげるね。」

「あかちゃんたちが大きくなったら、まりさがかりをおしえてあげるのぜ!あ、でもそのまえにずーりずーりやぴょんぴょんをおしえないとなのぜ!?」

「ごはんさんのあとにはぺーろぺーろしてあげて、おうたをうたってあげて、いっしょにすーやすーやして、それから・・・・」

どこまでも続いていく未来予想図。
今まりさとれいむを包んでいるこの幸福は、永遠に変わらない ― そう思えてならなかった。

「ゆ!!」

「どうしたんだぜ!?れいむ!ま、まさかあかちゃんたちになにか・・・・」

「ちがうよ、まりさ。あかちゃんたちはだいじょうぶだよ。ゆふふ。」

遠い未来まで空想していたれいむが、唐突に現代に戻ってこれたのは、あることに気づいたからだった。
それは、れいむからすれば前々から感じていたことで、さらに言えば、いずれは直面しなければならない問題だった。

「まりさ、おひっこししようよ!」

れいむの提案は概ね以下のようなものだった。

第一に、今の巣はまりさとれいむの二匹で既に手狭であること。
この状況であかちゃんたちが産まれれば、さらに狭くなるし、あかちゃんたちが成長したらもっと狭くなってしまう。
第二に、あかちゃんたちが産まれれば、おひっこしすることが難しくなること。
赤ゆっくりや子ゆっくりにとって、森の中を長距離移動することはあまりにも危険である。

以上のことから、『あかちゃんがうまれていないこの状態で』おひっこしをしたほうがいい ― と。

「ゆーん・・・でもそんなことしてだいじょうぶなのぜ?れいむやあかちゃんがたいへんじゃないのかぜ?」

「ぴょんぴょんしないでずーりずーりすればだいじょうぶだよ!それにうまれるのはまださきみたいだし。」

「れいむがそういうなら・・・。このへんのごはんさんもへってきたし、ちょうどいいかもしれないのぜ!」

まりさとれいむは、同じ森の同じ群れで育った幼なじみ同士であったが、いずれもゆっくりにしては賢い個体だった。
だからこそ、群れからの独立も当然のように認められたし、どんな困難も夫婦で力を合わせ乗り越えてきた。
今日のような話し合いも、群れにいた頃から何度も行われてきたことだった。そして―

夫婦による厳正な協議の結果、おひっこしは明日の朝決行されることとなった。




翌日


「れいむ!こっちのみちがゆっくりしてるのぜ!あせらないでゆっくりついてくるのぜ!」

「ゆーん!ゆっくりりかいしたよ!ずーりずーりするよ!」

まりさとれいむは、予定通り早朝からおひっこしを開始していた。
まりさが森の中を先導し、出来るだけ平坦な ― れいむが通りやすい道を探し、その後をれいむがずーりずーりでついていく。

時折まりさがれいむとあかちゃんを気遣ったり、れいむがそれに笑顔で答えたり、
まりさのお帽子いっぱいに詰まった食料 ―昨日のうちに集めておいたもの― を食べて休憩をとったりしながら、
ゆっくりゆっくり移動していった。

れいむを気遣ってできるだけ凹凸の少ない道を進んでいるうちに、往く道は少しずつ拓けたものになっていった。
それはつまり、森の外へ外へと向かっていることを示していたのだが、森を出たことがない二匹はそれに気づかない。
そうして、周りに見える木々も少しずつ減ってきたころ ― まりさとれいむは一軒の人家にたどり着いた。

「ゆわぁぁ、なんだかとってもゆっくりしてるね!」

「ここ、こんなゆっくりぷれいすはみたことがないのぜ!」

二匹が興奮するのも無理はない。
森と人里の境界にひっそりと佇むその一軒家は、いかにも清潔そうで頑丈そうで、住みやすそうだった。
周りを美しい花壇に囲まれ、日当たりはよく、近くには小川が流れてさえいる。
むーしゃむーしゃもお昼寝もごーくごーくも、水浴びですらきっとし放題に違いない。

「ねえまりさ!あそこをあたらしいおうちにしようよ!ぜったいぜったいゆっくりできるよ!」

「もちろんなのぜ!そうときまればさっそくあのおうちをめざすのぜ!」

まりさとれいむが一軒家のベランダまで駆け寄り、ガラス越しに室内の様子を見渡す―
その家は木造で、人間からすれば2,3人住むのがやっとという規模のものだったが、ゆっくりからすればそのスペースは十分すぎるほどだった。

「とってもひろいのぜ!とってもゆっくりしているのぜ!」

「ゆゆ~。でもとうめいなかべさんがじゃまして、なかにはいれないよ?」

「ゆふん!まりさにまかせるのぜ!」

まりさはそう言うと、庭から手頃な石を一つ拾い上げ ― 窓ガラスに向かって放り投げた。

 ぽいっ   ―パリーン!

上手い具合に二匹が通れるサイズの穴が開き、まりさとれいむは新居へと足を踏み入れた。




「れいむ、かけらさんにきをつけるのぜ。ゆっくりゆっくりはいるのぜ」

「ゆー!ありがとうまりさ。ゆっくりずーりずーりするよ!」

互いに微笑み合いながら、新居の中へと入っていく ― 家の中は外から見た以上に快適だった。
床にはカーペットが敷かれ、ずーりずーりする度に暖かくて柔らかな感触があんよを包み込んでくれる。
雨や風の侵入も許さない堅牢な作りなのに、その明るさはまるで外にいるかのようだ。

「ゆー・・・・、すごいよ~!すごく、すごくゆっくりしてるよ~!」

「さいっこうっのゆっくりぷれいすなのぜ!ここなら、まりさとれいむとあかちゃんたちにぴったりなのぜ!」

最愛の伴侶と共に見つけた、これまでに見たこともないようなゆっくりしたおうち―
このおうちなら、まりさもれいむもあかちゃんもずっとずっとゆっくり暮らせるに違いない。幸せな未来はもう約束されたも同然だ。
ここまで条件がそろっていれば、いつもの話し合いすら必要ない。

「じゃあいくよ、まりさ」

「わかったのぜ!せーのっ、」

「「ここはまりさとれいむのおうちだよ!ゆっくりしていってね!!」」



 ガチャ



まりさとれいむがおうち宣言を完了した、まさにその時、部屋に一人の青年が入ってきた。
一連の物音に気づいてやってきたであろうその青年は、若者らしからぬ落ち着いた物腰で二匹に声をかけた。

「いろいろと騒がしいと思ったら、やっぱりゆっくりが入ってきてたか。」

「なんなんだぜ!ここはまりさとれいむのおうちなんだぜ!ゆっくりしないではやくでていくんだぜ!」

「お、おにいさんはだれ・・・?ゆっくりできるひと・・・?」

突然新居に侵入してきた部外者に、まりさは警戒心をあらわにし、れいむは怯えた声を漏らした。
 ―当然ながら、青年はこの家の住人であり、この家は青年のものである。「侵入してきた部外者」はまりさとれいむの方であった。
青年は覗き込むように身をかがめながら、落ち着いた様子のまま語りかける。

「今すぐ俺に謝って出て行くなら、見逃してやるけどどうする?二度とこないと約束できる?」

この青年が何を言っているのか、まりさとれいむは理解できなかった。
ここが既にまりさとれいむのおうちなのは明白ではないか?なぜこの家が青年のものであるかのような態度をとるのか?あまりにも尊大ではないか?
納得の行かないまりさが、青年に食って掛かる。

「なにをいっているんだぜ!でていくのはおにいさんのほうなんだぜ!まりさはつよいんだぜ!れいむとあかちゃんをまもるんだぜ!」

「ここは人間の家だよ。俺が一人で住んでるんだ。分かるかい?お前だって死にたくはないだろう?」

「まりさのはなしをきくのぜ!でていかないならせいっさいっするのぜ!?ゆっくりりかいするんだぜ!ぷくーーー!!」

あくまで平和的に諭すように説得を試みる青年に、まりさは ―全ゆっくり界共通の最終警告として― ぷくーをしてみせた。
平行線の話し合い ― その間に割って入ったのは、他ならぬれいむだった。

「お、おにいさん・・・よくきいてね?」

おずおず遠慮がちにしながらも、なにか言いたげなれいむに青年が目を向ける。

「ここはね、れいむたちがおうちせんげんをした、れいむたちのおうちなの・・・それにね・・・れいむのまりさはとってもつよいの・・・・」

「まりさはからだだっておおきいし、れいむたちがいたむれのなかでも、いちばんあしがはやくてかりがじょうずで、けんかもいちばんだった・・・・」

「でも、・・・おこらないでね、でも、おにいさんはからだがちいさいし、けんかしたらきっとけがしちゃうとおもうの・・・・・」

れいむは心からの善意で青年に忠告していた。この青年がまりさに喧嘩で勝てる道理はないと、心からそう思っていた。
ゆっくりに胴体や手足はない。つまり、人間でいう『頭』の大きさが体格のすべてである。
れいむから見れば、まりさの体の大きさと、青年の体(頭)の大きさとでは、あまりにも差がありすぎたのだ ― 青年が不憫になるほどに。

「だからおねがい、おにいさん。ゆっくりでていってね。そうすれば、まりさもおにいさんをいじめたりしないから」

「ゆぅ・・・れいむはほんとうにやさしいゆっくりなのぜ・・・・」

「・・・・・はあ。・・・俺は警告したからな」

交渉決裂 ― 青年はおもむろに二匹に手を伸ばした。




数分後、先程とは別の部屋で―

「だせっ!ここからだすんだぜ!ほんとうにせいっさいっされたいのかぜ!?ゆっくりしないではやくだせえぇ!」

「ゆえーん!せまいよぅ、こわいよぅ!ここじゃあかちゃんがゆっくりできないぃ。かべさんゆっくりどいてぇぇぇ」

その後、滞りなく青年に捕獲されたまりさとれいむは、それぞれ別のアクリルケースにに閉じ込められ、テーブルに乗せられていたていた。
今いる部屋は窓もなく、薄暗い。ケースはゆっくりがやっと入るような大きさで、先程までいたリビングと比べると居心地は雲泥の差だ。
特にれいむは、下手に暴れれば頭上の赤ちゃんが潰れてしまうので気が気ではなかった。

「ゆえーんゆえーん!まりさぁ、たすけてぇぇ。このかべさんどかしてぇぇぇ」

「まかせるのぜ、れいむ!いまこのかべさんとくそじじいをやっつけてやるのぜ!ゆむーん!ゆむーん!!」

ゆっくりの力では決して壊すことのできないケースの中で、暴れるまりさと泣くれいむ。その二匹に青年が声をかける。

「なあ、ゆっくりども。あの棚にあるものが見えるか?」

質問されたまりさとれいむが示された方を見る ― たしかに壁際に棚があるようだ。
部屋が薄暗いせいもあり気がつかなかったが、棚にはびっしりと何かが並んでいる。


「「「ゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っ」」」

「「「ゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っ」」」

「「「ゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っ」」」


その『何か』からかすかに、規則正しく聞こえてくるのは紛れもなく『ゆっくり達』の声―

「ゆんやぁぁぁぁぁああああああああああああぁぁぁぁぁ!!!」

「なんなのこれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええええぇぇ!!?」

それは時計だった ― 正しくは時計にされてしまったゆっくり達だった。
お飾りや髪は美しく装飾され、もはや何ゆっくりだったのか判別がつかないが、それがゆっくりであることは残酷なほど明確だった。

血走った目は天井を向いたままぴくりとも動かず、涙ぐんでさえいない。限界まで開かれた口には、すっぽりと時計がはめ込まれている。
その時計の秒針が正確に時を刻む度、ゆっくり達は痙攣しているようだった。どう見ても生きてはいない ― 良くて植物状態だろう。


「「「ゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っ」」」

「「「ゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っ」」」

「「「ゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っ」」」


「すごいだろう?あれ全部、俺が作ったんだぜ」

まりさの入ったアクリルケースに手をかけながら、落ち着いた調子のままで青年が声をかける。

「時計にするなら、やっぱりまりさが一番なんだよ。ほら、金髪とか派手でいいだろ?」




ゆっくりを時計にする手順その1 ― 『お飾り装飾』

青年はまず、まりさのお帽子だけを取り出し、装飾の準備を始めた。

「やめろおぉぉぉ!まりさのすてきなおぼうしかえせえぇぇぇ!!おぼうしがないとゆっくりできないぃぃぃぃぃぃぃぃ!」

まりさの叫びを無視しつつ、青年は淡々と作業を進めていく ― 
まずは色。真っ黒だったお帽子をスプレー塗料で満面なく塗装していく。今回の色はブルーメタリックだ。
続いて、リボンや造花などの飾りを取り付けていく。飾りの固定には、ピンや針金、接着剤がふんだんに使われる。

「まりさのすてきなおぼうしがぁぁぁ!まっくろでおっきくてかっこいいおぼうしがぁぁぁぁ!れいむがほめてくれたおぼうしなのにいぃぃぃぃぃ!!!」

「くそじじいぃぃ!なんでまりさのおぼうしをあなだらけにしてるのぉぉぉ!?ぷーかぷーかできなくなっちゃうでしょおおおぉぉぉぉぉ!!?」

お帽子の作業はこれで一通り完了した。
塗料や接着材の乾燥を待つ必要があるので、青年はその間に次に作業を勧める。まりさはその間ずっとお帽子なしである。


ゆっくりを時計にする手順その2 ― 『歯抜き』
名前から想像できる通り、ペンチでまりさの歯を一本残らずに抜いていく作業だ。ブチン、ブチンと鈍い音が暗い部屋に響く。

「ゆぴぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!いだいぃ!いびゃいぃぃぃぃぃ!やべろおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

「やめてあげてえぇぇ!まりさいたがってるよぉぉぉ!?やめてっていってるでしょおぉぉぉぉぉぉ!!?」

ケースから取り出し、テーブルに押さえつけたまりさから、青年は慣れた手つきで次々に歯を抜いていく。
ブチン、ブチンと軽快に作業は続く。

「何ではじめに歯を抜くかっていうとさ、2つ意味があるんだよ」

 ブチン、ブチン

「ゆぎいぃぃぃいぃぃぃぃ!まりしゃのはさんぬかびゃいでぇ!むーしゃむーしゃでぎなぐなっぢゃうぅ!!」

「一つはもちろん、時計をはめ込むときに歯が邪魔になるからなんだけど」

 ブチン、ブチン

「いびゃい、いびゃびいいぃぃぃぃぃぃ!ぼうやだぁ、ぼうぼうぢがえるぅぅぅぅぅぅぅぅ!」

「もう一つはね、お前が『おたべなさい』を出来なくするためなんだよ。ほら、もうちゃんと発音できないだろ」

ゆっくりは越冬などの際に食料が尽きたとき、子ゆっくりに自身の体を差し出すことがある ― それが『おたべなさい』だ。
このゆっくり独特の自己犠牲が、しばしば苦痛から逃れるための自殺に使われることは、虐待家の間では知られていることだった。
ただ、『おたべなさい』はそのフレーズを正確に発音する必要があるため、歯をなくしたまりさにはもう『おたべなさい』ができない。

 ブチン、ブチン

「ゆがああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!・・・・がえじで、まりしゃのはざんかえじでよぉぉぉ・・・・」

「よし。これで全部抜き終わったな」

すっかり歯無しになったまりさの怨嗟を聞いているのかいないのか、青年はさも優しそうに声をかける。穏やかな雰囲気は邂逅のときのままだ。
その雰囲気にそぐわない悪魔の器具 ―片手で扱えるほど小さなバーナー― が青年に右手に握られている。工程は次のステップに進むのだ。


ゆっくりを時計にする手順その3 ― 『土台作り』
『ゆっくり時計』において、ゆっくりの役割は装飾 ― つまり時計のガワだ。
そのため、ここでいう『土台』の役割をするのも『ゆっくりの動かなくなったあんよ』であり、『土台作り』とはつまり『足焼き』のことである。

テーブルの上でひっくり返され、青年の左手で押さえつけられたまりさ ― そのあんよを青年が右手のバーナーで炙っていく。
土台となるあんよは当然、二度と動いてはいけないし、平らでなくてはならない。必然的に作業はゆっくりと丁寧に丁寧に行われていくことになる。

「あじゅいぃぃぃぃぃ!あじゅいよぉぉぉぉおぉぉぉぉ!やべろぉ、やべでくだざいぃぃぃぃぃぃぃ!!!」

「あんまり動くなよ。暴れると時間かかるから、余計に長く苦しむことになるぞ?」

「おべがいじまず、おべがいじまずぅ!まりしゃのあんびょはじばんのあんびょなんでずぅ!れいぶがぼめでぐれだしゅんそくなんでずぅぅぅぅ!!」

「安心しろよ、変に焦げ目がつかないように、満遍なく狐色にしてやるからな」

「あづいぃぃぃ!れいぶぅ、だずげでぇぇぇぇぇ!だずげでよぉぉぉぉぉ!ばんでべんじじでくれないのぉぉぉ!!?」

ひっくり返されたまりさには見ることが出来なかったが、れいむはアクリルケースの中で泣きながら震えていた。
ケースから出ることのできない絶望、目の前で伴侶が拷問されている恐怖、それを助けることの出来ない無力感 ― 様々な感情がれいむを呆然とさせた。
もう、声を出すこともできない。出せたところで、拷問が止まることはないともう理解していた。

「ぼ、ぼだべなざいぃ!」

とうとう苦痛に耐えられなくなったまりさが『おたべなさい』を試みる。しかし、死ぬことはできない。

「ぼだべなざい!おだべなじゃい!!ぼだべなじゃいぃぃぃぃ!!!ばんでぇぇ!?なんでぼたべなざいでぎないのぉぉぉぉおお!!?」

「だから、そのために歯を抜いたんだよ。多いんだよな、あんよ炙ってる時に『おたべなさい』するやつ」

「ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!あじゅいよぉ、いびゃいよぉぉぉぉおぉぉぉぉぉ!!だれがだずげでぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

絶望するほかない状況だった。絶望してあきらめようにも、身を焦がす苦痛がそれを許さない。その苦痛から逃れたくても、自殺すらできない。
絶望的な袋小路 ― もうとうの昔に、逃げ道はなくなっていた。

「おだべなじゃい!!ぼだべなざいぃ!!!おだべ、だべ、だでがぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」




足焼きはその後、1時間ほどで完了した。長時間の拷問に耐えたまりさは、すでに息も絶え絶えだ。

「・・・・ば・・り・・・・・しゃ・・・の・・・・・・あ・・・ん・・・びょ・・・・・」

既にバーナーでの作業は終わっているので、まりさはひっくり返されてもいなければ、押さえつけられてもいない。
しっかりとテーブルにあんよをつけているし、一見自由の身である。しかし、そこから動くことはできなかった。

「・・・・・ば・・ん・・・で・・・・・・う・・ご・・・・が・・・・ばい・・・・・・の・・・・・?」

かつて、群れで一番の速さで森を駆け巡り、俊足の名を欲しいままにしていたあんよ。れいむがすごいすごいと褒めてくれた自慢のあんよ。もう動かない、あんよ。
否、それはもうあんよではなかった ― 『土台』だった。他でもない青年の作品である『土台』になってしまった。

「うーん、我ながらなかなかいい土台ができたな」

そんなまりさを見て、青年は微笑む。どうやら作品の出来が気に入ったらしい。

「焦げ目に偏りもできなかったし、焼き加減も完璧な狐色だし。」

「焼き過ぎず、焼かな過ぎず。黒コゲにせずに動かなくするってのは難しいんだけど、今回はうまく言ったなあ、うん」

「・・・う・・ぼ・・・いで・・・・・うご・・・いで・・よぉ・・・・・まりしゃの・・あんびょぉぉぉ・・・・」

まりさの怨嗟の声も、 ―やはりと言うべきか― 青年の耳には入らない。

「何より、ほぼ完全にまっ平らにできたのはポイント高いな。ちょっと時間かかっちゃったけど。」

「ゆぐぅぅ・・・・がえぜえ・・・・。まりしゃのあんびょがえぜえぇぇぇぇぇ・・・・・。」

「暴れられるとどうしても時間かかるけど、やっぱスピードも・・・え?何、俺?」

自分の世界に浸っていた青年が、ようやく声に気づいた。怨嗟の声が自分に向けられたことを感じ取ったらしい。
青年の反応に呼応するように、怨嗟がよりはっきりと青年へと向けられる。

「おばえじがいないだろぉぉぉぉ・・・・・・!まりしゃのあんびょがえぜえぇぇ、がえぜえぇぇぇぇぇぇぇ・・・・・・・!」

「お。だぜ口調ではないにしろ、会話できる程度に回復したか。よし、仕上げに入るとしよう」

「のろっでやる・・・・・。ぜっだい、ぜっだいにのぼいごろしでやるぅぅぅぅぅぅ・・・・・・・!」

「ハハ、ゆっくりはみんなそう言うよ」


ゆっくりを時計にする手順その4 ― 『時計入れ』
これが『ゆっくり時計』作りの最終工程だ。いよいよ『ゆっくり』が『時計』へと変わる。

使われるのは剣の様な時計である。といっても、時計が剣の形をしているという意味ではない。
どちらかといえば、剣のように鋭利な板状のもの ―長さは成体ゆっくりの身長よりすこし長い程度― に、時計がくっついていると言った方が的確な代物だった。
その時計部分は紛れもなく、棚の『ゆっくり時計達』に使われているものと同じものだ。

「ようし、最後の仕上げだ。準備はいいか?」

「ぎだないででざわるなぁ・・・!じねぇ、ゆっぐりじないでじねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ・・・・・・!」

その剣のような時計を片手に、青年が再度まりさをつかみ、作業にちょうどいい高さまで持ち上げる。
剣の先端をまりさの土台にあてがう。まりさを下から貫くために。

「いくぞ。・・・・ふん!」

「ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁ!!!」

もう何度目になるか分からない絶叫 ― しかし残りの回数はほとんど残っていないだろう。作業の終わりは近づいている。
剣が更に深く深く押し込まれていくその度に、メリメリと音が聞こえた。

「やべろ、やべろぉ!ゆがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁ!!」

「むーん、土台がしっかり出来ただけに、なかなか入っていかないな・・・・・。ふん!」

 メリメリ ―あと10センチ。

「ゆごおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

「ふう、もうちょっと力入れるか・・・ふん!!」

 メリメリ ―あと3センチ。

「ゆが、ががががが!ががが、ががが、が!!が、gがが、が、が、がg」

「あとちょっと。これで終わり・・・・・・・ふん!!!」

 メリメリ ―0センチ。

「ゆがくぁるろhtgせr歩@なskdhふぁおs4rgdfbnrあbじゃ9えlk4tq0あああアあぁぁaぁぁぁぁぁァァァ―――――――――――!!!!!!」

「よし、入った。」

まりさの最後の悲鳴が響き、『時計入れ』の作業が終わった。
青年が、まりさの脳天から飛び出た剣先を隠すように、メタリックブルーに染まったお帽子を乗せてやる。その姿は、棚に飾られた『ゆっくり時計達』とうり二つだ。
血走った目は天井を向いたまま動かず、涙ぐんでさえいない。限界まで開かれた口には、時計がはめ込まれている ― まさに断末魔の表情だった。

「完成ー!うーん今回もいい出来だ。・・・・・おい、子持ちゆっくり。お前も見てみろよ」

出来上がったまりさを青年が、もうすっかりしゃべらなくなったれいむのケースの前に置いてやると、れいむは「ひっ」と小さな声を上げた。
恐怖、不安、悲哀、絶望、喪失感 ― 様々な感情に支配されながらも、れいむは変わり果てたまりさの姿から目が離せなかった。

「ゆっくりの間じゃさ、死ぬことを『永遠にゆっくりする』とか言うんだろ?こいつの顔はどう?ゆっくりしてる?」

「・・・・・・・・・・」

「おいおい、こいつはお前の相棒だったんだろ?なにか感想を言ってやりなよ。」

「・・・・りさ・・・・・ど・・・して・・・・・・」

「うん?何だって?」

「・・・う・・ぅうわああぁぁぁぁんまりさぁぁぁぁぁぁぁ!どうしてしんじゃったのぉぉぉぉぉぉぉぉおおぉぉぉぉ!?」

感情が決壊したように、れいむは泣き始めた。

「あさまであんなにゆっくりしてたのにぃぃぃぃぃぃ!あんなにつよくて、やさしくて、がっごよがっだのにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」

青年に出会うまで、まりさとれいむは幸せだった。辛く長い冬を乗り越え、可愛いあかちゃんをにんっしんっし、最高のおひっこし先まで見つけていた。

「ぜんぶぜんぶ、ごれがらだったのにぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!ばるざんもあがぢゃんも、ぜんぶ、ぜんぶぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」

これからこの新しいおうちであかちゃんを産み、育て、家族一緒にしあわせーな春を謳歌するはずだった。

「いっじょにしあわせーじようっで、いっぱいっぱいゆっぐりじようっで、やくぞくじだのに・・・・・ゆわぁぁぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

それはどこで狂ってしまったのだろう。いつ何を間違えてしまったのだろう。何でこんなことになってしまったのだろう。
れいむはどんなに考えても分からなかった。

「赤ちゃんで思い出したけど、お前の頭にはえてるやつ、たぶん産まれるの明日だな」

泣き続けるれいむに構わず、青年は思い出したようにそう言うと、まりさの時計 ―主はむしろ時計の方かもしれないが― をいじり始めた。
スイッチを入れた上で、何かを設定しているようである。

「ゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っ」

「うん、スイッチもちゃんと入るな。アラームもセットしたし、万事OK!」

「ゆぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!?なんでまりさうごいてるのおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!?」

他のゆっくり時計達と同様、断末魔の表情のまま、規則正しい痙攣を始めたまりさに満足気な青年 ― だが、れいむは本能的に恐怖を感じていた。
まりさが死んでいるのは間違いない。それなのになぜ痙攣し、声まで漏らしているのか。こんな光景は異常としか言いようがない。
れいむは後ずさろうとしたが、アクリルケースに囚われたままなので出来なかった。

「この痙攣はさ、時計から出てる電気がゆっくりにも伝わる仕組みになってて、それで起こってるわけ。まあ、わかんないだろうけど」

「こわいぃぃぃぃぃぃぃ!ゆっくりできないいぃぃぃぃぃぃいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」

「それじゃ、これここに置いておくから。明日、これのアラームが鳴ったらまた来るよ」

 ガチャ ― バタン

青年が部屋を出て、扉を閉めた。テーブルの上に、『ゆっくり時計』になったまりさと二人きりで取り残されるれいむ。
無数のゆっくり時計の痙攣する声がこだまするこの部屋で、れいむは明日まで過ごさねばならない。

「いやだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!こわいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!ここからだしてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」



翌朝


「ゆぼおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

れいむは今、何が起きているのか全く分からなかった。
結局、昨夜は恐怖で一睡もできず、体力を大幅に消耗していたが、それがなくてもれいむはこの状況を理解することができなかっただろう。

 ガチャ

「おー、ちゃんとアラームも鳴ったか。よしよし」

「ゆごあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

宣言どおり、『アラーム』を聞きつけた青年が部屋に入ってくる。
しかしそのアラームは、一般的な目覚まし時計の電子音などではなく、あろう事かまりさから発せられる絶叫だった。

「よお、ゆっくり時計になって最初の仕事はどうだ?うん?」

「いばいぃぃぃぃぃぃ!!ぐるじいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!ごれどっでえぇぇえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

まりさの口は時計で塞がれているため、しゃべることは難しいのだが、それでも苦痛に身をよじりながら何とか呪いの言葉をつむぐ。

「ばでぃざのがらだをがえぜぇぇぇぇぇぇぇぇ!!もどにぼどぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!じねええぇぇぇぇぇぇぇぇえぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

「アラームも大丈夫そうだな。それじゃ、ポチッと」

「ゆぶざないぃぃぃいぃ!!ぜっだ・・・・・ゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っ」

青年がまりさの時計のスイッチを押すと、まりさは呪いの咆哮をやめ、再び痙攣を始めた。先ほどの絶叫が嘘のように部屋の中が静かになる。
青年は、まりさかられいむへと向き直った。

「赤ゆっくりはまだ産まれてないみたいだな。・・・・おい、子持ちゆっくり。なにを驚いてるんだ?」

「・・・・ま・・・・・い・・・・・るの・・・・・?」

「え?何だって?」

「・・・・まりさは・・・・生きてるの・・・・?」

まりさは昨日、間違いなくれいむの前で死んだ ― 少なくともれいむはそう確信していた。
青年にお帽子をめちゃくちゃにされ、歯を全て抜かれ、足をバーナーで1時間も炙られ、最後には体を串刺しにされて死んだはずだった。
まりさの苦しみはもう終わったはずだった。

「ああ、実は生きてるんだ。昨日は瀕死状態だっただけで。」

残酷な声が、残酷な真実を告げる。

「電気で痙攣している間はしゃべれないんだけど、アラームの時間が来ると電気が流れなくなるんだ。そうするとさっきみたいになる」

それがアラーム代わりなんだ、と青年は説明した。 ― つまり、まりさは今も生きたまま苦しんでいるのだ。

「ゆわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

れいむはまりさが死んだものとばかり思っていた。死んでしまったものは仕方ないと諦めることで、心の何処かではホッとしてさえいた。
それなのに、まりさは生きていた。れいむとまりさには、諦めることさえ許されていないらしい。

「まりさぁぁぁぁぁ!まりさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!くそじじいぃぃぃ!まりさをもとにもどせえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

「もう元には戻らないよ。戻すつもりもないし」

「ゆるざないいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!おまえだけはぜったい、ぜったいゆるざないよぉぉぉぉぉぉぉおぉぉぉぉぉぉ!!」

れいむはアクリルケースの中から、どんなに呪っても呪い尽くせないほどの憎しみを、泣きながら青年に向ける。と、そのとき ―

 ぽとり

「ゆっきゅりうまれちゃよ!ゆっきゅちしちぇいっちぇにぇ!」

一匹の赤ゆっくりが産声を上げた。とてもゆっくりした可愛い可愛い赤まりさ ― 紛れもなくまりさとれいむのあかちゃんだった。
無事に春を迎えたあの日から数日のにんっしんっ期間を経て、ついにまりさとれいむのあかちゃん達が生まれ始めたのだ。

 ぽとり ―次々と生れ落ちてくる赤ゆっくり達。

「ゆっきゅちしちぇいっちぇにぇ!」

 ぽとり

「ゆっきゅちしちぇいっちぇにぇ!」

 ぽとり

「ゆっきゅりきゃわいきゅっちぇごめんにぇ!」

 ぽとり

「ゆっきゅちしちぇいっちぇにぇ!」

 ぽとり

「ゆっきゅちゅっちぇにぇ!!」

あれよあれよという間に、れいむの頭上に実っていた6匹のあかちゃん全員が、無事に生れ落ちた。みんなとてもゆっくりしたあかちゃんだ。
れいむは、今自分がいるこの地獄のことも忘れ、突然訪れた幸福に酔いしれる。

「あ、あかちゃん・・・れいむとまりさのあかちゃん!!!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!!」

ゆん生はじめての自分のあかちゃんは、なんてゆっくり出来るんだろう ―
早速ご飯を食べさせてあげよう。その後はぺーろぺーろしてあげよう。まりさとすーりすーりさせてあげよう。
それから一緒にお歌を歌って、家族みんなですーやすーやして、それから、それから ―

「おー、産まれたか。思ったより少し遅かったな」

あくまで穏やかな青年の声が、夢見心地のれいむを現実に引き戻す。そうれいむは今、地獄にいるのだ。
丸一日れいむを閉じ込めていたアクリルケースのふたが開き、ケースかられいむだけが取り出される。あかちゃんたちはケースの中だ。

「みゃみゃー!いきゃにゃいじぇー!」

「しゃみしぃよー!おきゃーしゃーん!」

「りぇいみゅおにゃきゃすいちゃー!」

「ゆんやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!あがぢゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんん!!!」

青年の右手につかみ上げられた状態のまま、絶叫するれいむ。
あかちゃんと引き離されてしまった。すぐに産まれて初めてのご飯を食べさせてあげなくてはいけないのに。ゆん生最初のすーりすーりさえまだなのに。

青年がれいむに告げる。

「じゃあ早速、お前も時計になろうか。」

「ゆ”っ・・・!」

その宣告にれいむは戦慄した。『時計になる』という言葉の意味に、心の底から恐怖した。

「お、おにいさんせめて、せめてあかちゃんたちだけはみのがじでくだざい!!いまうまれたばっかりなんでず!れいむはどうなっでもいいでずからぁ!!!」

「駄目だな」

れいむの懇願を、青年は当たり前のように拒否した。
ただただあかちゃんを想うれいむの言葉も、涙も、決死の覚悟も、おそらく青年にとっては取るに足らないどうでもいいものなのだろう。

「赤ゆっくりどもは小さいから、懐中時計にするんだ。そのために、お前を時計にするのを今日まで待ったんだよ。だから駄目」

始めから助かる道などなかった。この家に入ってしまったときから、この青年に見つかったときから、れいむたちの不幸は始まっていたのだ。
それに今気づいても、幸福だった時はもう戻らない。
これから先、まりさとれいむとあかちゃん達は、家族一緒に果てしない苦痛と時を刻んでいかなければならないのだ。ずっと、ずっと ― ゆっくり時計として。

「ゆぎゃあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」



         ゆっくり時計の作り方 ―完―




投稿2回目です。書くのにめっちゃ時間かかった;




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このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね!
感想

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  • おいくらですか? -- 2019-03-29 20:47:09
  • 生き残りのチャンスがあった、っていうのがいいね
    このおかげでより自業自得が -- 2014-05-05 14:12:15
  • 幸せそうにしてるゆっくりたちから幸せを奪うのはとってもすっきりできるな -- 2013-12-31 05:58:16
  • いくらで売ってくれますか? -- 2013-09-30 20:01:10
  • 時計売ってくれますか?
    -- 2012-08-06 23:04:29
  • おうち宣言より前はなくてもいいかなー
    テンプレだし目新しいところないし
    半端に感情移入して時計作りを素直に楽しめなかった -- 2012-02-12 21:49:05
  • アイディアが斬新でgood!
    -- 2011-07-03 09:59:38
  • 勘違いの糞饅頭共には相応しい末路だなw<強盗の癖に勝手に憐れんで善良ぶるれいむがうぜぇw

    下から貫く時、折角の土台に穴空いちゃうんじゃないか?
    てっきり、口を引き延ばして中に居れると思ったんだが -- 2011-01-12 18:01:51
  • つくづく野生で生きていくには欠陥が多すぎるナマモノだな -- 2011-01-11 02:03:35
  • 赤ゆは食べるのが一番 -- 2010-12-03 07:30:59
  • ゆっくりって食用以外にも使えて便利だね -- 2010-11-09 20:56:03
  • 赤ゆを半殺しにして、懐中時計にする所が見たいです。 -- 2010-09-17 00:16:07
  • このゆっくり時計欲しいww -- 2010-09-13 17:08:21
  • れいむがお兄さんをまりさより弱いと決め込んで憐れんでるとこが最高にウザかった。 -- 2010-08-20 13:42:27
  • 人間は危険とか圧倒的に強いとかそういう情報は餡子遺伝しないのかな?
    れみりゃやふらんの危険情報は遺伝するのに。 -- 2010-08-07 01:10:19
  • 負けてぼこぼこな場面も見たかった、 -- 2010-07-25 04:45:34
  • どうしてこうもこのクソゴミ饅頭は頭が残念なんだ -- 2010-07-11 23:21:33
  • これ、『向こう』のパクリだよね… -- 2010-06-30 00:37:24
  • いいね! -- 2010-06-03 19:37:21
最終更新:2010年05月25日 13:42
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