ふたば系ゆっくりいじめ 1288 押しかけれいむ

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現代 れいむ無双





今日は日曜日。
大学の授業とアルバイトで疲れた体を癒す貴重な休日だ。
一人暮らしの俺は頭まで布団をかぶり惰眠を貪っていた。
その、ささやかな平穏を乱すノックの音。
無視しよう。と思ったが、いつまで経っても訪問者は立ち去らない。
それどころか、ドアを叩く音は激しさを増し、変な声まで聞こえてきた。

「……~! あけてよ~! ダーリ~ン!」

気色悪い単語が聞こえたような気がして、俺は目を開く。

「ダーリンってばー!」

俺は布団を跳ね除け、飛び起きた。 
このまま放置するのは危険だ。
ご近所さんにあらぬ誤解を与えてしまう。

せっかくの休日を台無しにされた腹立たしさに頭を掻き毟りつつ、玄関へと向かった。
どしん、ばたん、とドアが揺れている。
なんて乱暴なノックだ。ひょっとしてドアを蹴っているのか?
このアパートは安普請なんだぞ。壊れたらどうしてくれる。

「どちらさん? いったい何の用?」

ぱたりと音が止んだ。
俺はここぞとばかりに続ける。

「人の迷惑とかもう少し考えてよ。だいたい……」  

寝足りないイライラも手伝って、とげとげしい口調になる。
しかし、俺の言葉は嬉しそうな声に遮られた。

「ダーリンっ!! あいたかったよっ!! ゆっくりしないで ここをあけてね!!」
「な……」

一瞬、呆気に取られる。
くそ。こいつのペースに飲まれては駄目だ。負けてたまるか。

「……ダーリンて誰だよ。意味がわかんねーよ。……ひょっとしてデンパさんか?」
「でんぱさん? よくわからないよっ! へんなこと いわないで はやくあけてねっ!」
「意味がわからんのは俺のほうだっつーとろうが! 警察を呼ぶぞ!」
「ひどいよー! せっかく あいにきたのに あんまりだよー! わーん!」

しょうもない押し問答の末、ついには泣き出す訪問者。
頭がクラクラする。俺が何をしたというのか。

「勘弁してくれよ……、……ん?」

(この声……どこかで……)

うっとうしい泣き声。どこかで聞いたことのあるような気がした。
だが、目覚めたばかりで回転数の上がらない頭では、思い出せそうで思い出せない。
ここに至って、俺はドアスコープを覗いてみた。
誰もいない。

「あんた、いったい……?」
「れいむだよっ! かわいい かわいい れいむだよっ!! わーん!」

声はドアの下のほうから聞こえてくる。

「れいむって……ゆっくりれいむか……?」
「そうだよっ! わすれたふりをするなんて ダーリンも いけずだねっ!」

イラッとすると同時にゾワッとしたが、相手がゆっくりだと判り、俺は少しだけ安心した。
ゆっくりが相手ならドアを開けても大丈夫だろう。

「……わかったよ。ダーリン云々はともかく、ここで泣き喚かれたら近所迷惑だからな。
 開けてやる。ドアから少し離れてろ」
「うんっ!!」

さっきのは嘘泣きだったんじゃないかと思えるくらい元気な返事だ。
つまらんことをほざいたら簀巻きにして海に叩き込んでやる。

俺はドアを開けた。

その瞬間、

「ダーリンっ!!」

れいむは勢いよく、俺の腹に飛び込んできた。

想像してほしい。
寝起きで無防備な人の鳩尾に、ボウリングボールくらいの重さの物体が直撃したらどうなるか。

れいむの跳躍は素晴らしかった。

「ぐえっ!?」

車に轢かれたカエルのような声を出し、俺はそのまま仰向けに倒れた。
ご、という音と共に後頭部を床に打ちつけ、目から火花が出る。

「なに……すんだっ……!」

もしかして新手のおうち乗っ取りか?
頭を上げると、俺の腹の上で、れいむがとても幸せそうな顔をしていた。

「ダーリン……。またあえて うれしいよ……」

俺を見つめ、にっこりと微笑むれいむ。
その目にはうっすらと涙が滲んでいた。
れいむとは違う理由で、俺も涙目だ。

痛むところを触るとデカイたんこぶになっている。
ともあれ、今ので眠気とは完全におさらばできた。

俺は無言で、れいむと見つめ合ったまま上半身をゆっくりと起こした。
そしてれいむをボカッと殴る。

「いたい! ダーリン ひどいよ!」
「やかましいっ! 不意打ちかましておきながら、どの口が言うか! おあいこじゃ、ボケ!」

本当なら今すぐにでも外に放り出してやりたいところだ。
が、怒りよりも、れいむに対する興味のほうがわずかに大きかった。
やはり見覚えがある。ような気がする。
俺は後頭部の鈍痛に顔をしかめながら、れいむを抱えて居間に戻る。

年中出しっぱなしのこたつ(さすがに布団は外してある)の上にれいむを乗せ、俺はそれに向かい合うかたちで腰を下ろした。
あらためてれいむの姿を見る。
バッヂが無いので飼いゆっくりではない。
しかし野良にしては綺麗だ。

「……で、お前は何で俺のことを『ダーリン』なんて呼ぶんだ? いや、そもそも前に会ったことがあるのか?
 他にも訊きたいことは山ほどあるが、とりあえずそこから始めよう」
「ダーリン……。れいむとの であいを ほんとうにわすれたの……? さっき あたま うったせい?」

れいむは小首をかしげるようなポーズをとる。
俺が、平手打ちを食らわそうか、げんこつで殴ろうかと思案していると、

「ゆぅ……。ごめんね ダーリン。れいむ、あんまりうれしくって……」

しょんぼりするれいむ。
謝る顔が本当に申し訳なさそうなので気勢をそがれてしまった。

「……もういい。それより話の続きだ。俺とお前はいつ、どこで出会ったんだ?」
「れいむとダーリンが であったのはね……」

れいむの話を要約するとこうだ。

運命の出会いは今から三日前。

街で暮らすれいむは、ごはんを探している最中、悪い人間さんたちに見つかり、いじめられた。
そこへ颯爽と現れた俺がれいむを助け、名も告げずに立ち去った。
俺に一目惚れしたれいむは、後をつけ、このアパートを突き止めた。
一生懸命体を綺麗にして、会いに行く準備をした。
そして今、感動の再会に至る。
おわり。



……思い出した。

「お前、あの時のれいむか……」
「やっと おもいだしたんだねっ! ダーリンっ!!」

俺の顔面にダイブしようとするれいむを片手で押さえつつ、俺は頭を掻いた。
たしかに、俺はこいつを助けたのだろう。
しかし、れいむは物語をだいぶん美化している。

あのとき。
大学から帰る途中だった俺は、小学生三人組にいじめられるれいむを見つけた。
なぜ、そんなことをするのかと訊くと、

「だって、いじめたらおいしくなるって聞いたんだもん」

という答えが返ってきた。
お前らこんなのを食うつもりなのか、と驚いていると、頬を抓られたれいむ自身が、

「れいむ、おいしいけど たべないでー! わーん!」

などとのたまう。
俺は呆れつつも、野良のゆっくりがいかにばっちくて不味いかを小学生たちに教えた。

「こんなん食べたら、腹壊して死んじまうぞ」

素直な彼らは、「がっかりー」と言いつつ、れいむを放って行ってしまった。



それだけだ。
俺としては、れいむではなく小学生を助けたつもりだったんだがな。
てか、これだけでいきなり「ダーリン!」、なんて押しかけられても判るか。
それに、今のところ恩を仇でしか返してないぞ。

やれやれ、と俺は大きく息を吐いた。

「……まぁ、だいたいの事情はわかった。俺もお前と再会できて嬉しいよ。よかったよかった。
 じゃ、さよなら」

このままこいつといたらロクなことになりそうもない。
俺は紳士的にお帰り願おうとする。
しかし、れいむがじたばたと暴れるのでなかなか掴み上げることができない。

「やだよー! れいむ、ダーリンといっしょにいたい!!」
「ふざけんなっ! なんで俺がお前と暮らさにゃならんのだ!」
「ふうふは いっしんどうたい だよっ!!」
「その夫婦ってのをやめろ!! 怖気が走るっ!!」

再びむなしい言い争いが始まるかに思えたその時、ピンポーン、と呼び鈴の音が響き渡った。
ご近所さんの苦情だろうか?
あれだけ騒いでたら、来るわなあ、やっぱり。

「……れいむ、ここで大人しくしてろ。絶対に玄関には来るなよ」

れいむを睨みつけて、俺は玄関に向かう。
謝罪の言葉を考えつつ、ドアを開けると、そこにいたのは意外な人物だった。

「か、母さん……! どうして……?」
「お父さんと喧嘩して、家出してきたのよ。二、三日泊めてもらうわよ」
「じょ、冗談じゃ……」

唐突過ぎるだろ。とはいえ追い返すわけにもいかない。
まずい、非常にまずい。
このまま部屋に入れて、れいむと対面したら大変だ。
なんとかせねば。
必死に考える俺の足に、何かがぶつかった。

「おきゃくさん?」
「!」
「あら、ゆっくりれいむ。可愛い」

力いっぱいれいむを蹴り飛ばしてやりたかったが、もう遅い。
お袋はれいむを抱え上げ、頭を撫で始めた。

「あんたがゆっくりを飼うなんてね~。意外だわ~」
「ま、まあね。一人だとやっぱり寂しいし。
 ゆっくりなら、ここのアパートでも飼えるしさ……」
「でも、ペットを飼うなら連絡くらいしなさいよね。
 それにしても、この子けっこう重いわね~」

やむを得ない。このままペットということで押し通そう。
あとはこいつが変なこと言わないようにご機嫌を取って……。と、俺はれいむを見る。

お袋の腕の中で、れいむはぷくぅっ、とふくれていた。
いかん、いかんぞ。

「れいむ、ペットじゃないよ!」
「あら、じゃあ何なのかしら?」





「れいむはダーリンの『つま』だよ!」



すべてが、真っ白になっていく気がした。









一週間後。

俺とれいむは商店街を歩いていた。
れいむのリボンには、飼いゆっくりであることを示すバッヂがついている。

あのときのれいむの『女房宣言』は、ごっこ遊びということでなんとか誤魔化すことができた。
ゆっくりと夫婦ごっこやってるという時点で、もういろいろと駄目な気もするが、HENTAI扱いされるよりはマシだろう。

あれだけ散々な目に遭った俺が、どうしてれいむを飼うことになったかというと、それはひとえにお袋のおかげである。
お袋はれいむをいたく気に入り、れいむもすぐにお袋に懐いた。

「おかあさま! ふつつかものですが、よろしくおねがいします!!」
「あら~。本当に娘ができたみたいだわ。うふふ」

洒落にならん。
俺はちっとも笑えなかったが、いいこともあった。
れいむの食費などの分だけ、仕送りを増額してくれるというのだ。
なんと、毎月プラス五千円。
それがあったればこそ、俺はれいむを家に置いてやることにした。本当である。



で、今日は振り込まれたばかりの仕送りで、夕飯の材料を買出しに来ていた。

「ダーリン、まってよ~!」

家で待ってろ、と言ったのに無理やりついて来たれいむが大声を出す。

「外ではその呼び方をやめろって言っただろ!」

振り返りつつ俺は怒鳴る。
周囲の視線に馴れ始めた自分が悲しい。

「なんで? ダーリンはダーリンでしょ?」
「お前、今日の晩飯抜きな」
「どうして!? ダーリンのいじわるっ!!」
「だからそれをやめろっつーとんじゃ!!」
「ダーリンのばか~っ!!」
「黙れ、このオタンチン!」

何十回目になるかわからないやり取りをしながら、俺たちは夕暮れの商店街を行く。
れいむのスピードに合わせていたら明日になってしまうので、俺は仕方なくれいむを抱える。

「ダーリン、まずは やおやさんだよっ!」
「はいはい、わかってるよ」

八百屋の前に来ると威勢のいい掛け声に迎えられた。

「らっしゃいっ! れいむちゃん、きょうも旦那と買い物かい?」
「うん! にんじんさんと、ごぼうさんをください!」
「あいよ、毎度あり! れいむちゃん、甘いもの好きだろう? イチゴもおまけしてやるよ」
「ゆわぁい! おじさん、ありがとう!」

れいむと買い物に行くと、いつもこうだ。
これも役得の一つである。
八百屋のおっちゃんの台詞にはいまだに納得できないが。
その後、いくつかの店を廻って、俺たちは家路についた。

買い物袋はれいむが器用に持っているが、そのれいむを抱えているのは俺だ。
もはやつっこむ気にもならん。

街灯が照らし始めた道に、俺たちの影が映る。
れいむが喋らないので、俺も喋らない。
黙っていれば、少しは可愛いやつなんだがな、と思っていると、

「ねぇ、ダーリン」

不意に、明るい声でれいむが言う。

「なんだよ」
「れいむ、とってもしあわせだよっ!!」

れいむの笑顔は、夜空に浮かぶ星よりも輝いていた。





(了)


挿絵 by車田あき


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感想

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  • なるほど。
    ここから胴付きに進化して、魅惑の変態プレイへと発展するのね。 -- 2017-01-11 20:40:42
  • 虐待する阿保は首吊りしてこい -- 2015-01-29 00:57:50
  • 虐待期待した雑魚共は死ね -- 2014-09-13 01:39:30
  • 最後おいしく調理されて食われるのかなーとか思ったら普通に幸せに終わったwww -- 2014-06-05 20:00:36
  • つい、虐待を期待してた。
    -- 2014-01-07 20:48:54
  • 新手の釣りか!? -- 2013-01-01 13:25:32
  • ずっぎりでぎないいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい
    どぼじでざいじょに愛でってがかないのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお -- 2012-11-25 13:42:58
  • 一番最初にコメントを見る俺は勝ち組 -- 2011-09-24 01:22:59
  • ↓この人の言うとおりだよおおおおおお!!こんなれいむは虐待でしょおおおおお!!どおしてぶっ殺さないのおおおおおおお!! -- 2011-03-06 23:48:58
  • どぼじて注意書きに愛でって書かないのぉぉぉぉ!?最後にどんでん返しの大虐待があると期待しちゃうでしょぉぉぉぉぉぉ!? -- 2011-03-06 22:08:36
  • 何故かラムちゃんが穢された気がしたわwwwww -- 2011-01-01 14:16:19
  • ゆっくり如きの食事は、多く見積もっても1000円かからないから、4000円と、おまけが貰えるのなら
    飼ってもいいかなwwゲスじゃないし -- 2010-12-12 16:31:30
  • 終始イライラしました
    愛で注意等の注意書きが欲しかった -- 2010-11-15 20:34:06
  • 殺せよ -- 2010-10-10 20:55:17
  • こんなゴミ作品収録するなよ気持ち悪い -- 2010-10-08 15:36:41
  • 気持ち悪い…でも五千円upだったら飼うかな…
    -- 2010-09-21 22:25:50
  • 愛嬌のあるれいむはめずらしい。 -- 2010-09-16 23:14:31
  • 気持ち悪い
    こんな饅頭はさっさと潰すべき -- 2010-09-05 13:08:12
  • 純粋でいいね。ゆっくりできたよ! -- 2010-08-27 20:11:17
  • たまにはれいむハッピーエンドもいいもんだね -- 2010-08-14 20:53:06
最終更新:2010年05月27日 16:54
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