駅を出るともう雨が上がっていた。
数駅移動しただけだったのだが道も大分乾いており、お日様が顔を出していた。
傘を片手に町を歩いていると、御馴染みの物体が目に飛び込んできた。
「おちびちゃん、かわいているばしょをえらんですすむんだぜ!」
「ゆっくりしんちょうにね!おかあさんたちもゆっくりすすむよ!」
「れーみゅ、ゆっくりすすむよ!」
「おねーちゃん、まってほしいのじぇー!」
仲の良さそうな親子ゆっくり達、どの個体も乾いたアスファルトを慎重に進んでいた。
親ゆっくりが先頭を行き、それに続いて子ゆっくり達が後を追う。
親ゆは時折子の方を振り返り、声援を送っていた。
そんなゆっくり親子を見ていたら思わず声をかけていた。
「ゆっくりしていってね!」
「「「「ゆゆ?!ゆっくりしていってね!」」」」
親子揃って同じ反応をするゆっくり達、その表情はどれも自信たっぷりといった感じである。
「貴方達はゆっくりしているの?」
「とうぜんだよ!れいむたちはゆっくりしているよ!」
「そう、なら私もゆっくりさせてもらうわ…」
私はその中の一匹、親れいむに向かって傘を振る。
石突が親れいむの頬を切るように掠めると、皮が少し破れた。
「ゆん?ゆぎゃぁぁぁぁ!いだいぃぃぃぃぃ!!」
「「「ゆ?………」」」
途端に騒ぎ出す親れいむだが、残りのゆっくり達は状況が整理できずに固まっている。
私は親れいむにターゲットを絞り傘で突付き回す。
「ゆぎゃん!やめでぇ!いだいぃぃぃ!どぼじでこんなごどするのぉぉぉぉぉ?」
どうしてって?………そうね…傘を持っていたからかしら?
「ゆわぁぁぁぁ!にんげんさん!れいむをいじめるんじゃないんだぜぇぇ!!ぷっくぅぅぅぅぅ!!」
「おかーしゃん!………れーみゅもぷっくーしゅるよぉぉぉぉ!」
「ゆびゃぁぁぁん!ま、まりしゃもぷくーしゅるのじぇ!」
親まりさがようやく動き出し、私を威嚇しようと膨れ上がる。
子ゆっくり達も泣きながらも続けて膨れ上がる。
体を大きく見せるのは威嚇の基本なのかもしれないが、そんな事してる間に逃げれば良いものを、
ただ私を睨むように見据えて止めてと器用に喋るだけである。
「ゆびゃん!ゆぎぃぃ!やべろぉぉ!いだい!ゆぎぃ!ゆびぃ!ゆぎゃ!がががが…れいむのかわいいおめめがぁぁぁぁ?!」
親れいむを突付いて遊んでいたら、手元が狂って目を突き刺してしまった。
「ゆわぁぁぁ!れいむぅぅぅぅ?!やめるんだぜぇぇにんげんさん!ぷっくぅぅぅぅ!!」
「「ゆわぁぁぁ!おかーしゃんのおめめがぁぁぁぁ!!………ゆっきゅうぅぅぅぅ?!」」
片目を潰されて一段と大きな悲鳴を上げる親れいむ。
それを見てさらに大きく膨れ上がろうとする親まりさ。
子ゆっくり達もそれに続いて膨れ上がるが、恐怖の方がそれを上回っているのか今一膨れ上がれて居なかった。
「もうやだぁぁぁ!れいむはおうちにかえるよぉぉぉぉ!!」
「ゆあぁぁぁぁ?!れいむぅぅぅぅ?!」
親れいむは耐えられず跳ねながら逃げ出した。
私はそれを追いかけ、誘導するように傘で突付く。
親れいむは私の誘導通りに、車道の方に逃げて行く。
「れいむぅぅぅ!!そっちはあぶないんだぜぇぇぇぇ!!」
「なにいってるの?ここまでくればあんぜんだよ!かしこくってご 『ぐちゃ!』 ゆげべ!」
「れいむぅぅぅぅ?!」
「「おかーしゃ?!」」
丁度のタイミングで通りかかった車に半身を潰されるれいむ。
それを見て悲鳴を上げるゆっくり親子、美しい絵だ。
流石、お笑いの神様は解っていらっしゃる。
「おかーしゃん!ゆっくり、ゆっくりしてぇぇぇぇぇ!!」
「ゆんやぁぁぁ!おかーしゃん!ゆっくちぃぃぃ!」
「おちびちゃん、そっちはあぶないんだぜぇぇ!!」
「ゆびぃ!はなしちぇぇぇ!おかーしゃんがあぶないのじぇぇぇぇ!!」
潰れた親れいむの元に駆け寄る子れいむ。
後を追う子まりさを必死に親まりさが止めるが、子れいむは車道に飛び出し親れいむの元に辿り着いてしまった。
「おかーしゃん!ゆっくち、ゆっくちぃぃぃ!」
「ゆげげ…ぎべべ…ぎ…ぎ……ぎぎ…」
「れーみゅ、ぺーろぺーろしゅるよ!…ぺーろ、ぺーろ、ぺーろ…」
「おちびちゃん、こっちにもどるんだぜぇぇぇ!そっちはあぶないんだぜぇぇ!」
子れいむは半分潰れた親れいむを舐め始める。
そんな事をした所でこの親れいむが復活するなんて事はまずないだろう。
もはや親まりさの声も届いていないだろう。
そんな美しい親子愛(笑)に突っ込みを入れるように、トラックがれいむ達を踏み潰して走り去った。
「れいむぅぅぅ?!おちびちゃぁぁぁぁん!」
「ゆびゃぁぁぁ?!おねーしゃんがぁぁぁぁぁぁぁ!!」
しんぐるふぁざー?になった親まりさと子まりさが泣き喚く。
私はそんな親まりさの帽子を掠めるように傘を振るう。
「ゆん?…ゆがぁぁぁぁぁ?!まりさのすてきなおぼうしがぁぁぁぁ?」
上手く帽子を払い落とす事に成功すると、今度は帽子を水溜りにつけて傘で突付いていく。
「なにするんだぜぇ?!やめてね!まりさのすてきなおぼうしさんがぁぁぁぁ!!」
それを止めようと必死に私の傘に纏わり付く親まりさ。
流石にちょっと邪魔くさいので片目を傘で突き刺し動きを止める。
「ゆぎゃぁぁぁ!まりさのきれいなおめめがぁぁぁぁ!!」
親まりさは痛みに転げ回り、別の水溜りに突っ込んでいった。
「ゆびゃぁぁぁ?!おみずさんはゆっくりできないぃぃぃぃぃ!!」
あんよを上に向け必死に水溜りの中でもがく親まりさ。
私はそんな親まりさのあんよを傘で突き刺し穴だらけにしていく。
「やめるんだぜぇぇ!いだい!ゆびゃん!ごめんなざいぃぃぃ!!もうやだぁぁぁぁ!!」
「ゆんやぁぁぁぁぁ!にんげんしゃん、どぼじでこんなこちょしゅるのじぇぇ?!」
どうしてって?…そうね…雨上がりに貴方達を見たからかしら?
涙ながらに私に訴える子まりさ、私はそんな子まりさの片目を傘で突付く。
「ゆびゃん!まり者のきれいなおべべががぁぁぁぁ!!ゆっびぃぃぃぃ!!」
痛みにゆんゆん泣く子まりさ。
先ほどまで幸せそうだったゆっくり親子はあっという間に不幸のどん底だ。
「ふふふ…私が憎い?なら憎むと良いわ、それが貴方の生きる糧になるわ…」
「どぼじで?どぼじでごんなこどしゅるのじぇ?ゆんやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「そうね…せっかく持ってきた傘を使ってみたくなったからかしら?」
「ゆ?………」
私の行動に思考が追いつかなくなった子まりさはその場で固まった。
私は水溜りから必死に脱出しようとして溶け出している親まりさと、無言で涙する子まりさを残してその場を去った。
少々時間をとったが、早めに家を出てきたので予定にはまったく支障がない。
その上素的な一時を堪能出来たので、今日は上機嫌だ。
時間にゆとりを持って行動する、これが真にゆっくりするという事なのだろう。
そう考えながら、ゆっくり出来なくなったゆっくり親子の末路を想像して思わず微笑みながら会社に向かった。
完
雨上がりに傘を持っていると、なんだか振り回したくなったりしませんか?
まあ、人前でそんなことはしませんが…
徒然あき
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『ふたば系ゆっくりいじめ 1336 雨上がり』
最終更新:2010年08月02日 18:09