ふたば系ゆっくりいじめ 1343 続・奇跡の公園

 ・期待を裏切られた的なコメがあったので、「ふたば系ゆっくりいじめ 1333 奇跡の公園」のおまけ
 ・エロ要素無し・パロディ要素あり。
 元ネタを知らなくても楽しめるようにはなっております。



『続・奇跡の公園』
   D.O



ここは、田舎というほど田舎でもなく、ごくごく普通の町の公園。
樹林公園などと呼ばれていることからもわかるように、
まばらに木が植えられ、芝生の緑も心地よい、人工的な自然が作られた公園だ。

人間の町では常に死のふちへ立たされるゆっくり達も、
この公園の中でだけは、故郷の山の自然を感じながら暮らすことが出来る。
いわゆるゆっくりプレイス・・・。

いつからであろうか、この公園が『きせきのこうえん』と呼ばれるようになったのは。

公園のゆっくり達が病に苦しむ時期になると、フラリとやってくる一人のお兄さん。
彼は、ゆっくりの万病に効く薬によって、公園に住む全てのゆっくりを病から助けだしてくれた。

ゆっくり達は、今では信仰にも近い想いで、お兄さんに感謝するのだ。

おにいさん、ありがとう。
おにいさん、ゆっくりしていってね。
おにいさん。
おにいさん。
おにいさん・・・・・・。



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春も終わりの頃。

ここは【奇跡の公園】からすぐ近くにある、小ざっぱりとした空き地だ。
野良ゆっくりが土管の中やらプレハブの裏やらにちょこちょこと住み着いている。

ぽゆゆ~んっ!!

「ゆぴぇぇっ!?」

その空き地内にゆっくりの体当たりの音、そして悲鳴が響いた。

「な、なんなの?またありすなの!?」

ゆっくり達の視線が集中する先には、興奮しきった表情の、一匹のありすがいた。

「むほぉぉ、むほぉぉぉ、どうしたの、れいむ!かかってきなさい!!」
「ゆひぃ、いぢゃいぃ・・・。」
「どうせありすは、もうすぐしぬのよ!!すきかってにいきてやるわぁっ!!」
「ゆぅぅ、ごはんのよこどりは、ゆっくりしてないよぉ・・・。」

れいむのもみあげには、一匹のイモムシ。
どうやらこれを、ありすが力ずくで奪おうとしているらしい。

「「「ゆわぁぁあ!またありすがあばれてるよ!!にげてね!みんなにげてね!!」」」

空き地は大して広くもなければ、住み着くゆっくりも少数なので、争い事など滅多に起きない。
馴れない争いに周囲のゆっくり達もすっかり怯えて、あっという間に空き地は大騒ぎになってしまった。



そこに、ちょっとした異変が起こった。
公園内では見たことのない一匹の野良まりさが、
まるでそこで、何も起きていないかのように近づいて行ったのである。

「ゆゆっ!?あぶないよ!ゆっくりとまってね!」

皆止めに入るが、野良まりさはためらいもせずに、争うありすとれいむの間に入っていく。
そして・・・

「むーしゃむーしゃ、しあわせー。」
「「・・・どうしてたべちゃうのぉぉおお!?」」

争いの元凶、イモムシさんを横取りして美味しく頂いてしまった。

「む、むきゅ~。いいどきょうしてるわ。」
「ゆふん。まりさはけんかなんて、こわくないのぜ!ゆっへん!」

いまだ呆然としているれいむとありすを尻目に、空き地長のぱちぇと野良まりさは、
和やかムードでお話を始める。

「それにしても、なにがあったのぜ?ちょっとありすもやりすぎなのぜ。」
「むきゅきゅ、しょうがないのよ。あのありす、【きせきのこうえん】の、いきのこりなんだもの。」
「ゆゆっ!?」

そこで、初めて野良まりさが驚きの表情を浮かべる。
それはそうだ。
野良まりさの目的地こそ、今やゆっくりの楽園と名高い【奇跡の公園】だったのだから。
と、その時、談笑しているぱちぇと野良まりさの間に、先ほどのありすが飛び出してきた。

「むほぉぉっ!!ありすのいもむ『どむっ!!』ゆびぇぇ!?」
「ゆっゆっゆ!せんてひっしょうなのぜ!!」

さすがに野良まりさも容赦ない。
ありすが話している間に、さっさと一撃体当たりを入れて、黙らせてしまった。

「いもむしさんなんて、どうでもいいのぜ!そんなことより、【きせきのこうえん】のことをきかせるのぜ!!」
「むほぉ・・・むほぉ・・・わ、わかったわ・・・」

ゆっくりと話をするときは、とりあえず一撃入れて力の差をわからせてからの方が良い。
人間でもよく使う手段によって、野良まりさは、ありすから話を引き出すことに成功したのであった。

「あ・・・あのこうえんは・・・」



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あれは越冬よりも前、秋よりも、夏よりも前の、春だったわ・・・

あの公園は、たくさんのゆっくりが住んでいたんだけど、
おちびちゃん達はほとんど全員が、それに、ありすみたいなおとなのゆっくりもたくさん、病気になってしまっていたの。

そんな時に、あのお兄さんがやってきたのよ。

お兄さんは、白いお薬をたくさん持ってきてくれて、病気のおちびちゃん達に飲ませてくれたの。
ありすも、おちびちゃん達もみんな、みんな元気になったわ。

 ・・・・・・。

でも!お兄さんは突然変わってしまったのよ!!

あの、ゆっくりしたお兄さんは突然、虐待鬼意山になってしまったの!

お兄さんはありす達を『かわいそうな野良』って呼んで、次から次へと酷い事をしたの!
公園は・・・公園は、ゆっくりプレイスじゃなくなったわ・・・・

嘘?嘘じゃないわ!
だって、ありすもお兄さんに体をいじられて、こう言われちゃったのよ!

『ありす、お前は、産まれて3回目の越冬を迎えることなく、死ぬ。』って・・・



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「た、たすけて・・・ありす、もう2かい、えっとうしちゃったのよ・・・」
「そ、そんなのうそなのぜ!?おにいさんが、かってなことをいってるだけなのぜ!」
「いや・・・いやぁ、ありす、まだしにたくないぃぃ・・・むほぉぉおお!!」

その時、ありすはついに恐怖に耐えられなくなり、
野良まりさを弾き飛ばすようにして走り去ってしまった。
そして、空き地から転げだすように道路に飛び出した瞬間、

ぐしゃんっ!!・・・・ブロロロロ・・・・

ありすは、道路を走り抜ける自動車に踏み潰され、その命を散らせたのであった。
お兄さんの予言どおり、3回目の越冬を迎えることなく・・・・・・

「む、むきゅぅ・・・ほんとに、しんじゃったわ・・・」
「「「わからないよー。」」」

周囲にいたゆっくり達も、あまりの恐怖に表情が定まらず、プルプルと震えるばかり。
だが、百戦錬磨の野良まりさだけは、ありすの遺体から視線をそらさず、
そして、ぱちぇに話しかけた。

「ぱちぇ・・・おにいさんのおうち、どこだかしってるのぜ?」
「え、ええ、あのおにいさんなら、よくみかけるから、おうちならわかるわ・・・むきゅ!?」

野良まりさの表情は、決意を固めたゆっくりの表情そのものであった。

「まりさは・・・まりさは、おにいさんをたいじするのぜ!!」



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ここは、先ほど話題になった鬼意山宅。
魔王の城のようなものではもちろんなく、
ごく普通の木造2階建て住宅である。

だが、その1階にある和室では、ゆっくり用の小さな手術台があり、
そこには恐らく公園の野良であろう、一匹のみょんが寝かせられていた。
みょんは逃げようと体を捻るが、ベッドに皮ベルトでくくりつけられているため、逃げられない。

「フ・・・心配するな。新しい治療法の究明だ。」
「な、なにするみょん?やめるみょん!ゆっくりできないみょーん!!」

みちっ!・・・みちみちみちっ!!

鬼意山の指が、みょんのお腹を突き破り、中の餡子をこねくり回している。

「み・・・みょっ!?ごぼぉっ!?ごぼごぼごぼ・・・」

そして、鬼意山が指を抜くと、不思議なことにその傷口はあっという間に塞がった。
だが、傷一つ無いにも関わらず、みょんの口からは大量の餡子が吹き出し続ける。

やがて吐餡は収まったものの、みょんは2割方小さくしぼみ、しゃべる事も出来ないほどに憔悴してしまった。

「ふむ・・・俺の求める治療法には程遠い。」

鬼意山は、不吉な笑みを浮かべる・・・。



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ガシャーンッ!!

その鬼意山宅に、窓ガラスの割れる音が響いた。

「フッフフ・・・玄関から来ればいいものを。窓から入るとは、ゆっくりは未だに成長していないらしいな。」

鬼意山が音のした和室へ向かうと、そこには一匹の精悍な野良まりさがいた。
無論、ぱちゅりーに案内された、あの野良まりさである。



「どうして・・・どうしてかわっちゃったのぜ、おにいさん。」
「ん~?なんのことかな?フフフ・・・」

野良まりさは、信じられなかった。
なぜなら、この野良まりさこそ、かつてお兄さんにお薬をもらい、
死の病から救われた赤ゆっくりの一匹だったのだから。

その後、同年代の多くの赤ゆっくり達は、事故や事故や事故などでこの世から去っていったが、
この野良まりさだけは幸運にも生き延び、立派なおとなのゆっくりとなって公園から旅立った。
そしてこのたび両親に、旅先で出来た自分の家族を紹介するため、この公園へと戻ってきたのである。

ちなみに、家族は旅の途中で全員事故死した。

「おにいさんにもらったおくすり・・・ずっとかんしゃしてたのぜ。なのに・・・」

その言葉を聴いた瞬間、先ほどまで不快な笑みを浮かべていたお兄さんが、
その表情に怒りをにじませる。

「薬・・・また薬か。所詮、お前らには言葉で言っても無駄だな。」

そして、両手にボクシンググローブを付け、
野良まりさに陰惨極まる笑みを向けると、野良まりさの挑戦を受けるように、大声で言い放ったのであった。



「フフフ・・・かかって来るがいい、まりさよ!この私の愛で魂、とくと味あわせてくれるわ!!」



ぽふっ!もにゅもにゅ・・・ぽむんっ!

「ゆぅぅ!おにいさんは、ゆっくりゆるさないよ!ゆぁああ!!」
「ウワハハハハ!どうだ、私が開発した最強の愛でアイテム『ぽふぽふさん』の威力はぁ!!」
「ゆぎぎぎ!ま、まりさのたいあたりがぜんぜんきかないよ!?どうしてぇぇぇええ!?」

鬼意山の両手にはめられたボクシンググローブこそ、16オンスグローブの外側を、
羽毛布団から取り出した大量の羽毛で包み込んだ特注品、商品名【ぽふぽふさん】であった。
鬼意山が、主として活発すぎる飼いまりさを、
かすり傷一つ付けずに遊ばせてあげるために考案した愛でアイテムである。

「ゆぅぅぅ・・・ぎ、ぎぼぢいいぃぃ・・・」
「フフフ。そうだ。私こそが真の愛でお兄さん。
お薬を与えるお兄さんの方がゆっくりできるなど、片腹痛いわ。」

 ・・・・・・。

「ゆ?・・・お、おにいさんは、おくすりを・・・?」

それは、並みのゆっくりならば気づかない違和感だった。
だが、野良まりさはそこそこ賢い部類であり、だからこそ気づく。

お兄さんは、お薬をくれたお兄さんだったはず。
なのに、どうしてお薬をくれるお兄さんのことを悪く言うの?



「お、おにいさん・・・まさか・・・?」
「気づいたか。そうだ!俺はお前らにお薬をやったお兄さんなどではない!!
髪型をそっくりにしただけの、別人なんだよ!!フハハハハハ!!
だが、気づいてももう遅い、まりさよ!お前は【ぽふぽふさん】によって、俺の愛に包み込まれたのだぁっ!!」

野良まりさは、鬼意山の【ぽふぽふさん】から繰り出される渾身の愛撫の前に、
わずかに残された意識で反論することしかできない。

「フフフ。さあ、もっとゆっくりするがいい。フハハハハハ!!」
「ゆ、こ、こんなの・・・ほんとうのゆっくりじゃ、ないよぉ・・・」
「ほ・・・ほざけぇええ!!誰も俺のことはわかっちゃいねぇんだ!!」

今なお反論する気力のある野良まりさに対して、鬼意山はさらにまくし立てる。

「俺は、どんなゆっくりでもゆっくりさせることが出来る天才だ!!
だが、どのゆっくりも俺を認めようとせん!!公園のゆっくり達も、俺の天分を認めようとしなかった!!」
「そ、それで、こうえんのみんなを・・・えいえんにゆっくりさせたの・・・?」
「何のことだ!?もう一度言う!俺は天才だ!!」

もふっ!

鬼意山はすでに骨抜き状態の野良まりさを【ぽふぽふさん】で包み込み、さらにゆっくりさせ続ける。

「フハハ!俺が作った愛でアイテムの前には、威勢のいい野良まりさでもこのザマだ!
俺を認めなかったゆっくり共を、愛でて愛でて愛で尽してやるわ~!!
そして可愛い可愛いゆっくり共が俺に媚びるのだ!!媚びろ~、媚びろ~!!」




「ゆ・・・ゆぁぁああああ!!!」

その時、野良まりさが【ぽふぽふさん】に包まれてから初めて、
力のこもった声を発した。

「ゆぎぎぎぎぎぎ・・・・!!ゆぁぁああぁっ!!」
「ば、バカな!!俺の愛から逃れるとは・・・こんな!?」

そして、しゅぽーん!と鬼意山の愛撫からすり抜けた野良まりさは、
鬼意山に対して言い放った。

「もし・・・もしこれが、ほんとうの『ゆっくり』だったら、まりさでもずっとゆっくりしてたにちがいないのぜ!!」
「うくくっ!?俺の愛が間違っているとでも言うのか!?俺が劣ると・・・そんなわけは無い!!」

鬼意山は【ぽふぽふさん】を手から外し、腰にぶら下げてあったヘアーブラシを握ると、
再び野良まりさに襲いかかった。

しゅっ!しゅっ!さらさらぁ~ん

「ゆゆっ!?まりさのかみのけが、さらさらになったのぜ!?」
「くらえっ!!ゆっくりの髪の毛を考える、至高のヘアーブラシ【さらさらへあーさん】の威力を!!」
「ゆふぅ~ん、ゆっく・・・こんなのには、まけないのぜぇ!!」
「バカなぁぁぁああ!?」

まりさはもはや、鬼意山のあらゆる愛で攻撃を跳ね返す。
自慢の愛でアイテムが空振りに終わった鬼意山に打つ手は無かった・・・。



野良まりさに完全敗北した鬼意山は、頭を抱えながら叫ぶ。

「なぜだぁっ!?なぜヤツを認めて、この俺を認めねえんだ!!」
「どうして、あのおにいさんになりすましたりしたのぜ?」

「ふぅっ・・・ナゼだと?や・・・ヤツは、ヤツはこの俺の、この俺様の顔を叩きやがったんだぁぁああ!!」



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それは、昨年の春の事だった。

ヤツは・・・お薬お兄さんは、あの【奇跡の公園】で、救世主としてあがめられ、
ゆっくり達の尊敬と信頼を一身に集めていた。

「フッ・・・奇跡か。そのくらいの事、俺にもできる!!!」

俺は、ゆっくりを愛し、そしてゆっくりに愛されたいと思い、意気揚々と公園に乗り込んだのだ。
そして、一匹の息も絶え絶えなれいむを見つけ、さっそく自分で編み出した治療法を施すことにした。

「ゆぅ・・・ゆぅ・・・」
「ほぉ。腹の調子が悪いのか。どれ、俺が治してやろう。」
「ゆぅ・・・?やめてね。れいむには、おにいさんがおくすりを・・・」
「心配するな。俺は天才だ。俺に不可能は無い!!!」


みちっ!・・・みちみちみちっ!!

そして俺は、指でれいむのお腹を突き破り、中の餡子をこねくり回した。
それは、ゆっくりの餡子を直接刺激して、悪くなった餡子を吐き出させ、
あとでオレンジジュースを飲ませて新鮮な餡子を補充すると言う、
多少の苦痛は伴っても、完全な健康を取り戻させることができる治療法だ。

「ゆぎぇっ・・・ぎびぇぇぇ・・・」
「ん?間違ったかな?」

ただし、たまに失敗するが。

「な・・・何を!?」

その時通りがかったのが、ゆっくり達にお薬だと言って単なる栄養剤をばら撒く、
あのお薬お兄さんだ!

「どけっ!!」

バシッ!!

「・・・・・・・!!・・・!!」

アイツは、アイツは・・・

「ああ・・・俺の、俺の顔を、顔を・・・俺の天才の顔を!!」

俺の顔に平手打ちをかましやがったんだ!!
そして、俺が治療中だったれいむの腹にオレンジジュースをぶっかけて、

「もう大丈夫だ。」

あんな事を言いやがった!!
大丈夫なわけねえ!!俺の見立てでは、あのれいむは餡子の劣化で、一月も生きられなかったんだ!
だから、痛い思いさせてでも、古い餡子を取り除かなきゃならなかったんだあ!!

「き、きさまぁ!!俺を、この俺を誰だと思ってるんだぁぁああ!!」



2秒後、俺はお薬お兄さんに、計28発の拳を叩きこまれ、動向を見守るゆっくり達の中に崩れ落ちた。



お薬お兄さんは吐き捨てるように言った!

「天才だか何だか知らねえがな。人のエモノ・・・患者に手を出すな。」

それに合わせ、周囲で見守っていたゆっくり達も、口々に叫んだ!

「そうだよ!とっととでていってね!」
「わからないよー。ぎゃくたいおにいさんなんだねー。」
「むほぉ!?ゆっくりぷれいすに、はいってこないでね!」
「はやくうせるみょん!」



それは・・・それは、俺の望む姿ではなかった・・・

「ぐっ!?ぐぐぐぐぐ・・・・・うぁぁああああ!!」



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「アイツは、アイツは間違いなく獲物と言いやがった!アイツは虐待鬼意山に違いねえんだ!!
いや、虐待鬼意山は許せんが、ホントにそうかは確認できてねぇ。それはとりあえず、しょうがねえ!
だが・・・だが、それ以上に、虐待鬼意山っぽいクセに、俺よりゆっくりに好かれてるのが、我慢ならねえんだ!!」

鬼意山はもはや涙目である。
つまり、お薬お兄さんみたいに慕って欲しかっただけらしい。

正直、さっきのお話を聞いていると、野良まりさの良心がシクシクと痛んできていた。
だが、たとえ追い打ちだとしても、野良まりさは、一言だけ、言わずにはいられなかった。



「おしつけのゆっくりは、ゆっくりできないのぜ。」
「・・・なぁぁぁああああああああああああ!?」



あれからどれほど時間が経っただろうか。
鬼意山は床にひれ伏し、涙で水たまりを作りながら、未だに動かない。

野良まりさはその間に、鬼意山のゆっくり治療室にある、病室(と言う名の檻)から、
鬼意山の治療を受けたゆっくり達を出してあげていた。
当然、鬼意山は悪人でないことも伝えてあげる。

「みょーん。そうだったみょん?どうりで、からだがかるいみょん!!」

ぽゆんっ!ぽゆんっ!と元気に跳ねるみょん。
このみょんは、先ほど鬼意山の治療を受けていたみょんだ。
悪い餡子を吐き出し終えたときは2割ほど体積が減っていたみょんも、
今ではジュースと輸餡のおかげで、すっかり元通りだった。
いや、健康な餡子だけになったことで、おそらく寿命も大幅に伸びたことだろう。

「でも、おにいさん。」
「・・・・・・何だ?・・・グスッ。」
「どうしてありすに、あんなゆっくりできないこと、いったのぜ?」
「?」

あの台詞、

『ありす、お前は、産まれて3回目の越冬を迎えることなく、死ぬ。』

という台詞の事だ。

それに対する鬼意山の答えは、あっさりしたものであった。

要するに、もう寿命ギリギリまでカスタードが悪くなっていたありすを治療して、
もうひと冬越えられるくらいまで回復させた時に、

『もう一回くらいは春を迎えられるよ。よかったね。』

というような内容を、鬼意山風にありすに伝えただけだったのであった。
重ね重ね、残念な鬼意山である。



そして、全てが解決した(完全な誤解だったのだが)。
十分に涙を流し、すっきりした表情の鬼意山は、
だがしかし、まだ自分の愛でテクニックを諦めきれていないらしく、
野良まりさに語りかける。

「お前の言葉に嘘が無いか、最後に一つだけ、最後の切り札を試させてくれ・・・。
俺の愛で方が、押し付けであるという証拠を、見せてほしい。そうすれば・・・俺も諦めがつく。」

「ゆっくりうけてたつよ!」



すると、鬼意山は突然、上半身裸になり、野良まりさに対して叫んだ。
その胸には・・・

「見ろ!ゆっくりが女性の胸の感触に弱い事など研究し尽くしているんだぁ!!
この豊胸手術によって作り上げた胸に飛び込んでくるがいい!!」

Hカップの見事な巨乳が・・・

「・・・・・・きもちわるいのぜ。」

無論一蹴された。

「うわらばっ!?」



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長い・・・長い闘いであった。

いつの間にか外は夕暮れ、空は赤から紫へと色を変えながら、辺りを闇に包みこみ始めていた。
野良まりさは、やるべき事を終えたという表情で、鬼意山に別れを告げる。

「じゃあ、まりさはいくのぜ。おにいさんが、ゆっくりしたおにいさんだって、みんなにおしえてあげるのぜ。」
「・・・・・・頼む。」
「みょーん。みょんもそうするみょん。」
「・・・・・・ありがと。」

鬼意山は相変わらずゲッソリしているものの、まりさ達の優しい言葉によって、ほんの少し心の力を回復させたようだ。

「みょんは、もうすこしここにいるみょん。おにいさん、じつはけっこういいひとだみょん。」
「・・・ありがと・・・うぅ・・・。」
「ゆ!じゃあ、まりさは、こうえんのみんなにおにいさんのこと、おしえてあげられたら・・・またあそびにくるのぜ!」
「・・・じゃあ。ゆっくりヨロシク。」



野良まりさは、ぽよん、ぽよんと玄関を出て、また鬼意山の方を振り返り、一言だけ言った。



「おにいさん!ゆっく『ぐしゃっ!・・・ブロロロロ・・・』・・・・」



その時、野良まりさのいた場所を、一台のトラックが通過していった。
道路には、自動車のタイヤに潰された饅頭の、餡子の跡だけが広がっていった。



「な・・・なぜ仲良くなったゆっくりばかりがこんな目に・・・天才の、この俺の友達ばかりが、なぜだぁぁああ!?」



ちなみに翌日にはみょんも交通事故に遭い、永遠にゆっくりした。
鬼意山を理解してくれるゆっくりは、こうして再び、地上から消え失せたのである。



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ちなみにその頃、お薬をゆっくり達に配っていたお兄さん、観察鬼意山はというと・・・

「はあ・・・まったく、余計な事しやがって。勝手に事故死するから面白えんだろうが。ったく。」

こちらはこちらで迷惑していた。
まあ、まさしくプロゆっくり医師級の技術の持ち主から治療を受けられるというのに、
必死で逃げまどうゆっくり達の表情を見るのは、それはそれで愉快なモノではあったが・・・。



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最終更新:2010年08月02日 19:11
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