ぱちゅりーのお話 第1話 校正済 16KB
- 当作品はメカあき氏の「ゆっくりスクール」、餡小話の「ユグルイ」シリーズから一部設定をお借りしています。
- 非常に賢いゆっくりが登場します。
- 連作の第1話です。プロローグが予想以上の長さになりました。虐待分薄めです。
- 初SSです。拙文ですがお楽しみ頂ければ幸いです。
- 俺設定含有。
- 何か問題があればコメント欄にお願いします。必要に応じて削除致します。
ある名家の当主が急逝した。診断はクモ膜下出血。享年50歳、早すぎる人生の幕であった。
地元に多大な影響力を持つ彼の死は、瞬く間に町民から町民へと伝播した。
葬儀には他県の有力者が訪れ、町民総出で厳かに行われた。
かつての村興しに最も尽力した男の突然の逝去は、町の空気を暗く彩った。
家の跡継ぎには彼の一人息子が選ばれ、周囲にも異議を唱える者もなかった。
それどころか普段から品行方正で穏やかな彼を応援する町民達声は大きかった。
それもその筈、新当主の有能さは誰の目から見ても明らかだったからだ。
周囲の支えもあり、さして大きな環境の変化も起こらずに家庭内は再び機能し始めた。
こうして田舎町の一大事は人間達を混乱に陥れる事なく静かに終息した。
ただ一つ決定的な日常の変容を被ったのは、当主の飼いゆっくりだけであった。
~ぱちゅりーのお話~
第1話「崩壊」
いつも通りのある日のこと。ぱちゅりーはゆっくりと目を覚ました。
「むきゅ、今日もいい朝ね・・・ご主人様はもう起きているのかしら?」
ぱちゅりー種にしては皮の引き締まった均整の取れた体。
上質な和菓子のような質感に聡明な顔立ち。
厳しく教育を施されたゆっくりである事は一目瞭然だった。
特に目を引くのは、朝日を受けて煌めく三日月を模した飾りの横にある'それ'だろう。
'それ'は全ての飼いゆっくりの目標であり憧れ。
ほんの一握りのゆっくりしか触る事さえ憚られる'それ'の存在感は、まるで陽光が固形化したかのよう。
金バッジである。
ぱちゅりーは生まれてすぐに親に捨てられた。
理由は分からないし、今更知る術もない。
親から生まれた時の記憶はない。
「ゆっくりしていってね!」と声高に叫んだ経験もない。
ただただ、孤独だった。
意味が、分からなかった。
ろくに食事を取る事も出来ず、ただ道の端で震えているところを人間に拾われた。
ぱちゅりーにとって幸運だったのは、身を潜めていた場所がたまたま屋敷の前の道であり、見つけたのがたまたま当主自身であった事だろう。
気まぐれで知られた当主がたかが野良ゆっくりに声をかけてみたのも、単なるいつもの気まぐれだったのかもしれない。
が、その行動がこの孤児ぱちゅりーにとってはゆん生の転換であり、間違いなく、奇跡であった。
「どうして君みたいな赤ゆっくりがこんなところに一人でいるんだい?」
「む、むきゅうぅ・・・ぱちゅもわかりゃにゃいにょ・・・にんげんしゃんはぱちゅににゃんにょようにゃにょ・・・?」
「・・・・・・・・・私は君を助けに来たんだよ。分かるかな?今日から私の飼いゆっくりになるんだ」
「む、むきゅぅ・・・・・・きゃいゆっきゅり・・・?」
突然の展開を理解しようと少ないクリームを総動員したが、そこはまだほんの赤ゆっくり、とても処理しきれる筈もなかった。
何も言わないのを人間は是と取ったのか、そのままぱちゅりーを手に収めて屋敷へと歩いて行った。
人間の発した「かいゆっくり」という言葉の意味は知らなかった。
ただ、ぱちゅりーの本能的な部分が自分より遥かに巨大な生物に逆らう事は危険だと教えてくれた。
それゆえに、生まれて初めて本能レベルで嗅ぎ取った危険にぱちゅりーは微動だにする事もできなかったのだ。
ゆっくりとは古来から捕食するよりもされる方が圧倒的に多い種だ。
自分よりも大きな種族には刃向かうべきではない・・・本来遺伝子レベルで刷り込まれている情報だが、どういう訳だかそれに気付かず短いゆん生を終えるゆっくりが多数を占める。
「ゆっ?おいくちょにんげん!れいみゅにゆっくりあみゃあみゃをよこちてね!」
「さっさとするんだじぇ!まりしゃ、ぐじゅはきりゃいだよ!」
「ときゃいはなありしゅにあみゃあみゃをよこしにゃちゃい!にんげんにゃんてぴゃぴゃがいっぱちゅでえいえんにゆっくりさせちゃうにょよ?」
「むきゅきゅ!ぱちゅのいんちぇりぶりにおしょれをにゃしてりゅにょにぇ?ばきゃにゃにんげんはあみゃあみゃもっちぇきょい!」
対してこのぱちゅりーはすぐさま本能に埋もれた先祖の記憶を呼び覚ました。
非常に珍しいケースではあるが、決して有り得ない振る舞いではない。
事実、このぱちゅりーは全くと言って良いほど飼い主や他の人間に逆らう事はなかった。
人間の手に優しく包まれたぱちゅりーは戸惑っていた。
今の今まで自分は冷たいコンクリートの上で震えていたのにどうして?
人間は危険な生き物なのではなかったのか?
このまま自分は「かいゆっくり」になるのだろうか?
疑問は次から次へとクリームを駆け巡ったが、そのどれに対しても明確な答えを導く事は出来なかった。
お気付きの読者もおられるだろうが、明らかに生後間もなくの赤ゆっくりのし得る思考・状況把握能力ではない。
ぱちゅりーのそれは既に通常の成体れいむ種のものと比べても優れていた。
疑問に疑問を重ねるぱちゅりーだったが、このようなクリームの酷使も初めての経験だった。
生まれて初めて肌で感じる生き物の暖かさに精神的疲労も重なり、ぱちゅりーはゆっくり夢の世界へと旅立った。
目が覚めるとぱちゅりーは小さなプラスティック製のケージの中、小さなクッションの上に横たえられていた。
ゆっくりフード、水、ふかふかのクッション、トイレ・・・ぱちゅりーにとっては初めて見るものばかりだったが戸惑う事はなかった。
食べ物と水はすぐに理解し、クッションの用途もなんとなく今の使い方で合っているのだろう、と思った。
トイレだけは何のために存在しているのか分からなかったが、きっと必要なものなのだろう、とも思った。
相変わらず不明なのは、「どうして自分が今ここにいるのか?」という一点だった。
と、部屋の扉が開いた。
「目が覚めたかい?そこの居心地はどうかな」
「む、むきゅ!にんげんしゃん!たべものちょおみじゅをわけちぇくれちぇありがちょう・・・」
「・・・、いや、いいんだよ、ぱちゅりー。(・・・赤ゆが初対面の人間にお礼が言うのか・・・こいつは、少し・・・驚いたなあ・・・)」
「にんげんしゃん、ぱちゅはしりちゃいこちょがありゅの・・・おしえちぇくれにゃい?」
「ブツブツ・・・(どうやら当たりを引いたか。私の勘もまだまだ捨てたもんじゃないかもな・・・)」
「に、にんげんしゃん・・・?」
「あ、ああごめんな、なんだい?(敬語も不完全ながら使える・・・)」
ぱちゅりーは貪欲に知識を求めた。
ぱちゅりー種はゆっくりの中でも概して知識欲の高い種ではあるが、その事を踏まえても凄まじい勢いだった。
「かいゆっくり」とは?自分はどうしてここに?おじさんはだれ?なぜこんなにやさしい?じぶんはこれから何をすればいい?・・・etcetc
多少気圧されながらも当主は聞かれるがままに情報を与えた。
飼いゆっくりとは人間をゆっくりさせるゆっくりである事、自分がこの屋敷の主人である事、気まぐれで野良を探しに行ったら家のすぐ前でぱちゅりーが震えていた事、これからぱちゅりーには自分をゆっくりさせて貰いたい、という事・・・etcetc
何も知らない人間が見れば、赤ゆっくりと中老を控えた人間が熱く言葉を交わしているという、世にも奇妙な光景が広がっていただろう。
そんな奇妙な問答は日が暮れるまで続いた。
「ごしゅじんさま!ぱちゅはきんバッジをとりたいです!」
そんな事を言い出したのは、ぱちゅりーが当主の「飼いゆっくり」となってから2週間が過ぎ、言葉から赤ちゃん言葉も抜けた頃の出来事だった。
飼いゆっくりは所定の機関へ届けを提出すると、その証である「銅バッジ」が送付されてくる。
無論このぱちゅりーの頭にも鈍く輝く小さなブロンズのプレートが確認できた。
しかしぱちゅりーが言っているのは「金バッジ」の事だ。
・・・飼いゆっくりなら誰もが一度は夢見る黄金色のバッジ。
意匠が凝らされた造りのそれを装備する事、それは飼いゆっくりヒエラルキーの頂点に位置する事を意味する。
つまりこの世で一番飼い主をゆっくりさせられるゆっくりであるという絶対の証明だ。
そんな金バッジだが、当然銅バッジのように金を払えば配布される、訳がない。
最難関バッジ取得試験、通称THEY(The Highest Examination for a YUKKURI)と呼ばれる試験を突破しなければならないのだ。
ゆん生で一度しか受ける事を許されていないその試験、野良ゆっくりはおろか、銀バッジの飼いゆっくりでさえも1次試験で落とされる難度とされる。
そんな試験をぱちゅりーは生後わずか3週間足らずで志すと言うのだ。
「・・・・・・ぱちゅりー。君は確かに優秀なゆっくりだ。本当だよ。だから私はもうとてもゆっくりしているんだ・・・君を拾って良かったと、そう思っているんだよ」
「むきゅ、ぱちゅもごしゅじんさまのおかげでゆっくりしています。でもぱちゅはもっともっといろんなことをしりたいんです!きんバッジをとってもっとゆっくりしたいです!」
「なんてゆっくりだ、君は。生まれてこの方君のようなゆっくりは見た事も聞いた事もないよ。・・・そうだね、君にはやりたい事をやって貰うのが一番私も嬉しいかな」
「ありがとうございます!ぱちゅ、がんばるわ!」
「そうだ、ぱちゅ。どうせなら最高のゆっくりを目指してみないか?」
「むきゅ、さいこうの、ゆっくり・・・?」
「ああそうだ、最高のゆっくり、つまりゆっくりスクールで首席になるんだ」
「むきゅう、ゆっくり、スクール・・・?」
「うん。そこには金バッジ取得を目指すコースもあるんだよ、ぱちゅりー。首席で卒業すれば学費も免除だし、飛び級というか、優秀なら早めに卒業させてくれる制度もあるそうだ」
「む、むきゅうう!ぱちゅ、ゆっくりスクールににゅうがくするわ!ごしゅじんさまにめいわくをかけないようにいっしょうけんめいべんきょうして、しゅせきさんになります!」
「私が思うに、君には他にはないような才能がある。ただし、驕ってはいけないよ。驕るっていうのは・・・そうだね・・・努力をせずに怠け、自分には力があると思い込む事だ。忘れちゃ駄目だよ。がんばるんだ。」
「む、むきゅーん!!!」
ぱちゅりーは当主に褒められ、激励されたのが相当嬉しかったのか、頬を紅潮させて飛び跳ねている。
早速ぱちゅりーは自分のゆっくりプレイスに戻ると当主から貰ったまどうしょ(ひらがなの本)を読み始めた。
ぱちゅりーは、天才であるにも関わらず努力を怠らないゆっくりであった。
それからの6ヶ月間、ぱちゅりーのゆん生において最も努力し、涙し、そして充実した期間が待ち受けていた。
厳しいながらも楽しい学友との生活、みんなで食べる食事の美味しさ、ゆっくり道という古武術を原案にした辛い特訓、金バッジ取得コース内のエリート養成コースでの勉強。
何もかもがぱちゅりーの向上心を刺激し、そして刺激された分だけぱちゅりーは成長した。
そして見事にぱちゅりーはエリート養成コースでの首席の座を、入学後わずか5ヶ月で手に入れた。
年間100万円もの高額の学費は免除、年度を少し折り返した時期にも関わらず、その年の最優秀学生賞に輝いた。
卒業後、1ヶ月間の中で5度に分割されたTHEYの試験においても満点を連発、ゆっくりブリーダー界を散々に騒がせ、難なく金バッジを引っ提げて屋敷へと帰っていった。
たった、6ヶ月間の出来事だった。
「それからぱちゅは言ってあげたんです!あなた、洗ってない犬の臭いがするわよ、って」
「はははっ、それはきつい一言だなあ。そのまりさも可哀想に。全くどこでそんな言葉覚えたんだよぱちゅ・・・」
「むきゅ、スクールにあった漫画さんに書いてあったんです。思った以上に効き目がありましたわ!」
「本当に、ぱちゅには適わないなあ」
「ぱちゅが漫画さんを読めようになったのも、金バッジを取れたのも、全てご主人様のお陰ですよ。いくら感謝してもしきれません!」
「そうかそうか、そう言ってくれるとこちらも世話してあげた甲斐があるよ。ぱちゅのお陰で私はゆっくりしっぱなしだ!」
「むきゅ!ぱちゅもゆっくりし過ぎて夢みたいですわ!ご主人様もぱちゅと一緒にもっともっとゆっくりしていってね!」
この時ぱちゅりー、生後8ヶ月。
当主、49歳と8ヶ月。
奇妙な1人と1匹の、幸せの絶頂期だった。
ぽにょん、ぷにょん、と。
朝日に飾りを光らせて、板張りの廊下をぱちゅりーが跳ねて行く。
「むきゅーん・・・またみたいね・・・もう、ご主人様はお寝坊さんですね!全く、もっと家の当主としての自覚を・・・ブツブツ」
最近、当主の起床時間が遅い事が多々ある。
その度にぱちゅりーは当主の様子を見に行き、その度に当主は笑いながらぱちゅりーに「心配してくれてありがとう」と声をかけた。
ぱちゅりーはここのところ、主人の「何か」がおかしい、そんな淡く朧げな印象を抱くまでに至っていたが、それが何なのかは全く分からなかった。
久しぶりに直面した難問に、ぱちゅりーは謎の焦燥を覚えたが、同時にわくわくもしていた。
THEYよりも難しい、答えを知りたい、ご主人様なら知っているだろうか、聞いたら教えて貰えるだろうか、・・・。
そんな、妙な期待をクリームに秘め、日課になりつつある早朝の当主訪問を愚直に行った。
当主の部屋の障子を器用に開け、中に入る。
案の定まだ布団が膨らんでいる。
まったく毎朝毎朝、ご主人様にも困ったものね。
頭の方へと擦り寄る。
そしていつものように
「ゆっくりおきてね!あさですよ!」
声量の調整は完璧だ。
スクールで何度も教え込まれた基礎の一つ、体に染み付いている。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・むきゅん?」
いつもの声が聞こえない。
いつもなら1度挨拶をすれば、やおらに身を起こし、こう言ってくれるのだ。
「心配してくれてありがとう」
どうして起きないのだろう?
今日は朝一番からご主人様に聞きたい事があるのだ。
早く起きないかな、まだかな。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
???
なんだ?どうしたのだ?
自分をからかっているのかな?
ずり、ずり、と。
主人の顔を覗きに行く。
畳さんの上を動く時は自分の体を知らずに削り、汚してしまう事があるので細心の注意をもって移動する。
今年度のTHEYにも出題された頻出作法である。
もちろん完璧にこなせる。
ずり、ずり、ずり。
着いた。
・・・ご主人様?ぱちゅはお見通しですよ?ご主人様?
依然として穏やかな表情を湛えて目を閉じているご主人様。
人間の耳さんと距離が縮まったら声量にも気を付けなければならない。
人間さんはゆっくりとは違い、全身で音を感じる体ではないのだ。
しかし、どうやら普通にやっていてはご主人様も動く気がないようだ。
何故だかは分からないが。
正直、そんなに面白い遊びだとは思えなかったが飼い主の機嫌を損なう行動だけは取る事はしない。
金バッジ保持ゆっくりの矜持だ。
次の手を考える。・・・よし。
今度はご主人様の手の元へ移動する。
すーりすーりして、起こしちゃうんだから、むきゅ!
・・・正直なところ、ぱちゅりーはすこし楽しみだった。
初めて拾って貰ったあの日、当主の手の中に収まって屋敷へやって来たあの運命の日。
あの暖かで優しい手の温もりをぱちゅりーが忘れた事は今まで一度たりともなかった。
そんな当主の手に近づいて・・・
「すーり、すーり、おきなs・・・・・・ゆゆゆゆゆ!?」
ガタン!!!
ぱちゅりーは跳ねていた。ただひたすらに遠くへ、遠くへと。
嘘だ、そんな、嘘だ、嘘だ・・・。
ぱちゅりーは跳ねていた。ただひたすらに遠くへ、遠くへと。
かちっ。
薄暗い部屋に穏やかな顔立ちをした男が立っている。
手には着火したライター。
透明なプラ板を組み合わせた立方体の前で中で震える「何か」を見つめている。
「ゆ゙っゆ゙っゆ゙っゆ゙っゆ゙っゆ゙っゆ゙っゆ゙っゆ゙っ・・・」
「ゆ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!もうやべでえええええええええええ!ばでぃざがわるがっだでぃず!!だがらもっっっっ・・・・・・!!!」
男が命乞いを遮り、備え付けられた穴から手を突っ込む。
生々しい、かつて眼があった部位の傷口へ、揺らめく炎をあてた。
1拍、2拍、3拍。
「ばあああああああああああああああああ゙づいあ゙づいあ゙づいいいいいいいいいいいいいいいいぎぎぎぎぎぎががっぱぴぱぱぱぷぷうううう!!!!!!!!」
体の穴と言う穴からぬめぬめとした液体を出しつつ踊り狂う片目のないゆっくりまりさ。
耳を劈く悲鳴を目の前で堪能しながら、男は白い歯を見せとても爽やかに微笑んだ。
まりさが奇妙なダンスを披露する横で餡子玉がびくんびくん痙攣している。
皮は全て剥がされ、もみあげと飾りが現代芸術を彷彿とさせるような形状で餡子に突き立っている。
どうやら数時間前までそこにはゆっくりれいむがいたようだ。
どういう経緯でこの惨憺たる状態になってしまったのかは透明プラ板の汚れ具合から大体想像できる。
一方びたんびたんとのたうちまわった末に餡子玉をそこら中にぶちまけて痙攣しているまりさ。
「ぽぴぴぴぴぴっぷぷううぴぴぱぱぱあああああああああああえへえへへへへええええええええええぺぺぺぺぺぴぴぺえええええひひひ」
「もう終わりですか・・・このまりさは心が弱いですね、まったく、けしからん。女房を見習って貰わないといけません・・・」
「ぴいぴぴぴぴゅうううぺええ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぴょるんっ!」
おおよそ耳にした事のないような断末魔を残し、まりさは事切れた。
後に残ったのは雲のような静寂と甘い甘い餡子の香り。
「また野良を補充してこないといけませんね・・・どこか使わない部屋の窓を開け放しておきましょうか・・・」
「・・・じゃおっ・・・じゃおんっ・・・」
物言わぬ糖分の塊と化したれいむ・まりさの番を器用に片付けていくのはめーりん種だ。
この虐待部屋の掃除係としてなんとか生き長らえさせて貰っている。
人間にしてみればただの甘ったるい餡子の香りだが、ゆっくりにとってみれば凄まじい死臭に感じるらしい。
めーりんは時々自らの中身を吐き出しそうになるのを堪えながら必死に片付けている。
集めた亡骸が次の虐待の日まで持たせなければならないめーりんの餌だ。
一通り綺麗に掃除しためーりんは掻き集めた餡子をまりさの帽子に入れ、部屋の片隅に落ち着いた。
男が部屋を舐める様に見回し、去ろうとしたその時、
「よし、綺麗に掃除出来ましたね。えらいえらい・・・・・・!?」
「じゃおおん!?」
ガタン!!!
障子が思い切り開く音と同時に猛スピードで飛び跳ねて行くゆっくりが見えた。
「(あれは・・・確か・・・金バッジを取ったとかいう・・・。・・・何があった?)」
男はぱちゅりーが飛び出してきた場所を確認しに向かう。
何か胸騒ぎがする、何か、確実に、悪い事が。
廊下を大股で歩く男の胸中は、夜中に鳴り響いた電話を取る時のそれと酷似していた。
そして・・・。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・父さん」
第1話「崩壊」
了
ゆ虐SSの筈が・・・どうしてこうなった・・・。
2話では話が大きく動く予定ですので多分大丈夫・・・?
私はメカあき氏の大ファンです。
餡小話のSSはどれも好きですが、特にD.O氏の作品と「ゆうかの花」が好きです。
あと金バッジ試験の名称候補だったもの↓
ゆっくりのための最高の試験(The highest examination for a YUKKURI)=通称、THEY? ←採用!
ゆっくりのための金バッジ検定試験(Gold badge certificate examination for a YUKKURI)=通称、GCEY?
ゆっくりのための金バッジ資格試験(Gold badge qualifying examination for a YUKKURI)=通称、GQEY?
ゆっくりのための金バッジ取得試験(Gold badge acquisition examination for a YUKKURI)=通称、GAEY?
一番上を採用したのは単純に「略称が読めたから」・・・。
その方が、格好いいじゃないすか・・・。
以後、ぜろあきと名乗らせて頂きます。
今後ともよろしくお願いします。
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このSSへの感想
※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね!
- 探したけど続きが無かった、投稿から大分時間は経ってると思うんだが、これもまた中途半端な作品
なのだろうか? -- 2012-12-19 11:09:33
最終更新:2009年10月20日 17:56