ふたば系ゆっくりいじめ 225 それいけ ゆうかさん

それいけ ゆうかさん 15KB


  • 自然界のゆっくりの生態系のひとコマみたいな短編 ぬる虐め 
  • ゆうかスペック高め れいむとまりさは酷い目に それでもよろしければ楽しんでね



ころころ転がって競争したり、姉妹や両親にすーりすーりしたり、
おっきなお父さんまりさに帽子のふちでたかーいたかーいして貰ったり、かくれんぼや鬼ごっこしたり、
背の低い雑草が生え揃ったその草原は、ゆっくりたちの絶好の遊び場。
今日も沢山の子ゆっくり姉妹が仲良く楽しく遊んでいた。

「ゆっゆぅ~ん、れいむのおちびちゃんたち。とてもゆっくりしているよー」
おかあさんれいむは、目を細めて上機嫌の子供たちを見守っている。
此の一家、最近になって麓の森から丘陵へ移り住んできた群れの一員である。
おかあさんれいむとおとうさんまりさ、そしてちびれいむとちびまりさが四匹ずつで計十匹の大家族。
おもいきっておひっこししてほんとうによかったよ。
おかうさんれいむは本当にそう思った。

以前住んでいた麓の広葉樹林は、狸や狐、蛇、犬、鳥、鼠などゆっくりの天敵が数多く棲息しており、常に気の休まる間もなかった。
ゆっくりの総数に比して余りにも少ない良質の餌場を巡ってゆっくり同士が絶えずいがみ合い、
棲むのに適した広い巣穴も滅多になく、梅雨や台風の度にゆっくりたちは壊滅的な打撃を受けていた。
そんな全然ゆっくり出来ない生活に嫌気がさしたれいむとまりさは、思い切って近くの丘陵へと移住して来たのだ。

八匹の子ゆっくりを連れてのお引越しは大変な冒険だったが、幸いにも一匹も欠ける事無く、新しいおうちへと辿り着いた。
ゆっくり一家を待ち受けていた其処は、期待にそぐわぬ素晴らしいゆっくりぷれいすだった。
外敵は少ないし、雨や風から身を守るのに適した大きな洞窟が無数にある。
岩場や表土が剥き出しの場所も多く、取れる食べ物がやや少ないのが唯一の不満だったが季節は春。
普段は苦い多年草の雑草なども、今の季節は青々とした若草も多く、贅沢を云わなければ充分食べられた。
「ゆんゆんゆゆ~ん」
「ゆっくちー」
子供たちの楽しげな歓声に、れいむとまりさは目を合わせてそっと微笑んだ。
「ゆうぅ~ん、れいむのおちびちゃんたち、かわいいよぉ」
体の大きなお母さんれいむには、体中に沢山の傷が在る。
その傷は全て子供たちを守ろうとして付いた云わば勲章。
だから子供たちは、皆、優しい両親に信頼をよせて、とても慕っていた。
幸せな家族の生活。きっと何時までも続くんだと皆が信じることができた。


沢山遊んだ後は、お気に入りの場所で一家揃って日向ぼっこ。
燦々と降り注ぐ陽光に皆、ご機嫌。ぽかぽか陽気がとても体に気持ちいい。
「ゆぅ、おなかすいたよぉ」
家族と一緒に日向ぼっこはとてもゆっくり出来るけど、其れで空腹が満たされる訳でもない。
ずっと遊んでいてお腹のへった長女れいむが、何か食べられる物はないかと周囲を見回した。
「ゆっ、ゆゆゆぅ?」
道の向こうからやってくるのは、見た事もない美しいゆっくりだった。
見事な緑の髪にお母さんよりも立派な躰。そして髪にとても大きくて美味しそうな花をつけていた。
「ゆゆっ!」
れいむは驚きの声を上げた。
なんて美味しそうなお花だろう。黄色くて大きくてまるでお日さまみたい。そうだ!食べさせて貰おう!
ぽよんと道に飛び出した。一緒に気づいた一番下の可愛い妹も付いてくる。
「ゆっくりちぇいっちぇね!」
「ゆっくちー!」
冷やかな声で応える緑の髪のゆっくり。
「……はい、はい。ゆっくり」
れいむ姉妹は、ニコニコしながらその大きなゆっくりを見上げる。
「おいししょーなおはにゃさん。れいみゅにちょーだいね!」
「おはなちょらーいにぇ!」
ぴこぴこ
妹と一緒にもみあげを動かしさせながら微笑んで、精一杯の可愛さをあっ☆ぴーるする。
こうすればおかーさんは何時も目を細めて、れいむの云う事を何でも聞いてくれるのだ。
なのに、向日葵の飾りのゆっくりはチラッと横目で見ただけで、無視して通り過ぎようとした。


「まっちぇね!きゃわいいれいむにおはなさんむーしゃむーしゃさせてね!」
「させちぇね!」
慌てたれいむはご飯を逃がすまいと一生懸命、お花さんをつけたゆっくりの前に回り込む。
気づいたお母さんれいむも、おちびちゃんに応援の声を送っていた。
「ゆっ!?ゆうかはいじわるしないでおちびちゃんたちにさっさとおはなさんをあげてねっ!」
と、緑の髪のゆっくりは今度は微かに不快そうに眉根を寄せ、冷たく輝く紅い瞳で子れいむ姉妹を見下ろした。
「……ゆぅ」
何を考えているのか全く窺う事の出来ない物静かな紅い瞳にじっと見つめられ、
子れいむは心中に怯みを覚えたが、食欲がなけなしの勇気を後押ししたのか辛うじてその場に留まった。
「何で貴方にお花を上げないといけないの?」
「れいみゅ、きゃわいくっちぇごめんにぇ」
「ぎょめんにぇ」
精一杯、もみあげをぴこぴこ。れいむ姉妹はお花を貰おうと一生懸命。
「れいみゅきゃわいいでしょ?だきゃら……」
「全然、可愛くないわ」
「……ゆっ?」
まるで理屈になってないれいむの要求は、だが真正面から否定された。
冷たい声にれいむの体に動揺が走る。姉妹の揉み上げのぴこぴこ運動が止まった。
「お花のほうがずっと綺麗で可憐よ。いえ、比べるのが失礼ね。寧ろ貴方たちは『醜い』わ」
「ゆゆっ?」
「ゆいっ?」
れいむの体の芯がすっと冷える。今まで感じた事無いような寒さにも似た不快感が体を掛け抜けた。
今まで家族の暖かい愛情に包まれて育ってきたれいむ。こんな酷い言葉を今まで掛けられた事なんてなかった。
れいむの激しい動揺にも気づかないのか、或いは気づいていても如何でもいいのか。
緑の髪の綺麗なゆっくりは、冷酷な言葉をれいむに叩きつけ続ける。
「貴方は薄汚れて、そこら辺に幾らでも転がってる塵みたいなれいむの『幼虫』じゃない」
「ゆっ?」
「此の向日葵はとても綺麗なのに、如何して『醜い』『塵れいむ』の『幼虫』に上げなきゃいけないの?」
「……ゆっ」
「まったく意味が無いわ。馬鹿ね。死になさい」
「…………ゅ」

緑髪をしたゆっくりは、静かに酷い言葉を紡いでれいむ姉妹にそう言い聞かせた。
淡々とした口調には悪意も敵意も無く、ただ己の信じている事実をそのまま告げたと言う風情があった。
少なくともれいむの目の前にいる凄く綺麗な緑髪のゆっくりにとって、今告げた事は本音なのだろう。
多少なりとも感受性らしきものを持っていた子れいむは、相手の本音をそのまま感じ取ってしまった。
だから、凍りついた。物凄い悪意にぱくぱくと口を開いたまま何も云えなくなった。
とても綺麗で清潔で大きなゆっくりに、とても酷い言葉を掛けられて、子れいむの頭は真っ白になっていた。
近くで聞いていた両親や他の姉妹たちも同じだった。
「ゆっゆっゆっ……れいみゅがぎょみ?れいみゅはようちゅうしゃん?」
涙ぐんで、向日葵の髪飾りのゆっくりの言葉をそのまま繰り返す。
「ええ、貴方たちには全く価値が無い。貴方もあまあまとそこら辺の雑草を交換しないでしょう?」
むしろ優しいとさえ云える声で掛けられる酷い言葉。子れいむの全身に悪寒の震えが広がっていく。その震えはすぐに姉妹全員に伝染していった。
「理解したら道を開けてね?潰してもいいんだけど、『害虫』に触れるのも嫌だから自分でどいて頂戴」

「ゆっ、ゆうかはなにいってるの?!れいむのおちびちゃんはこんなにゆっくりしてるでしょおお!」
狼狽から立ち直った母れいむが、ゆうかに喰ってかかる。
父まりさも怒った口調でゆうかを攻撃する。
「ゆうかはみるめないの?ばかなの?しぬの?」
「まえにいたむれのありすもぱちゅりーもれいむのあかちゃんをみてとてもゆっくりしているねっていってくれたんだよっ!」

ゆうかはそんな両親に冷やかな視線を向けた。
「きっと褒める所のない汚い赤ちゃんだから、他に云いようがなかったんでしょうね」
「……ゆっ?!」
「ぱちゅりーもありすもこんな醜い取り柄のない子を見せられて、きっと困ったでしょうね」
「ゆぎぃっ?!」
「普通、綺麗なら綺麗、可愛いなら可愛いと伝えるもの。
 赤ちゃんが、ゆっくりしているねですって。当たり前じゃない。ゆっくりなんですもの
 取り柄がない赤ちゃんを褒める時は、取りあえずゆっくりしているねが無難なのよ。
 ああ可笑しい。貴方、それを真に受けたの?」
「……ゆっぎぎぎぎぎ」
父まりさは歯軋りしたが、こんなに大きくて強そうなゆうかが相手では勝ち目がない。
悔しそうに睨み付けるのが精一杯だった。
「いじわるなゆうかはさっさとどっかいってね。ゆっくりできないよ!」
結局そう吐き捨てるのが精一杯だった。
「云われなくても……邪魔よ」
「ゆぴぃ!」
ゆうかに小突かれた長女れいむ、痛みに甲高い悲鳴を上げてころころ草むらへと転がっていく。

そこで母れいむが切れた。
「ゆがああ!もうかんべんできないよぉお!!いじわるなゆうがはじねぇえ!!」

母れいむは、歯を剥き出しにした鬼のような表情でゆうかへと飛び掛った。
「おきゃーしゃん!」
子供たちが顔を輝かせる。
そうだ。おかあさんがいた。あったかくてやさしくてとてもつよいおかーさん。
こんなゆっくりできないことをいうゆうかは、きっとおかーさんがせーさいしてくれるよ。

「とりけせぇえええ!!れいむのおちびちゃんはがいちゅうじゃないぃい!!
とてもゆっくりとしたかわいいおちびちゃんだぁ!!」

ゆうかはちょっと力を溜めると、母れいむの突進に真正面から体当たりした。
どむっと云うおおよそゆっくり同士の体当たりでは発生しない激しい音と共に弾き飛ばされた母れいむは、
三メートルもごろごろ地面を転がると、切り株に当たって漸く止まった。
「ゆっ……ゆぐうう」
口の端から泡を吹き出し、完全に目を回している。
「れっ?……れいむぅううう!!」
顔面蒼白になったまりさが目を点にして叫んだ。

「……面倒ね」
緑の髪のゆっくりは心底面倒臭そうに溜息を洩らすと母れいむに近づいていく。
「やめちぇね?おきゃあしゃんをいじめにゃいでにぇ」
「まりちゃおきょっちぇるんじゃよ。ぷきゅー」
立ちはだかる子供たちの声を無視して緑の髪のゆっくりがふっと音も無く飛んだ。
重い音と共に母れいむの上に着地する。
ぶじゅッ!!ぽん!
子供たちが濁声で絶叫した。
「ゆぁあああ、なにじてるのぉおお??!!!」
「ゆびゃああっ!!おきゃあしゃあああんのおめめがぁああ?!」
「ゆびぃいい!きょわいいいい!!」
母れいむの右目は軽く飛び出し、口とまんまんとあにゃるから餡子が吹きだしていた。
「……ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ」
母れいむが重症のゆっくりに特有の例の痙攣を始める。
それでも緑の髪のゆっくりは随分と手加減していた。半日も経てば目も覚めて動けるようになるだろう。

長女れいむはあれほど陽気な顔をしていたのに、脅えた顔をして言葉を繰り返していた。
「……れいみゅはごみ……れいみゅはがいちゅう……」
よっぽどショックだったのだろう。まだぶつぶつと呟いている。
此れは此れで面白いので放置して、ゆうかは残った子供たちとまりさに視線を転じた。

「あっあっあっ」
恐ろしいゆうかに睨まれて、揃っておそろちーちーを盛大に噴出する子ゆっくり姉妹。
子れいむの一匹など、姉まりさのしーしを背中に浴びて己の体が溶けかけているのにも気づかず震えていた。
「おちょーしゃん。おきゃあしゃんがぁああ!」
「おちょーしゃん、たちゅけちぇええ ゆっくりできないよぉおお!」
「掛かってこないの?」
泣き叫ぶ子供たちを前に、ゆうかの明白な挑発にもまりさは動けない。
まりさは優しくて誠実だったけど臆病だった。そしてそれを自分でも知っていた。
自分より一回りも大きなれいむが一撃で叩き伏せられてしまったのだ。
まりさがゆうかに掛かっていても、かなう筈ないと諦めてしまっていた。
れいむや家族を愛しているのに、戦いたいと思うのに、まりさの体は竦んで動けない。

「そう……臆病者ね。なら、其処で見てなさい」

へたれまりさの目の前で、残った子供たちがゆうかに散々小突きまわされていく。

ピンポン玉のように転がりながら、甲高い悲鳴を上げ、助けを求め続ける子ゆっくりたち。
「ゆべっ!!……ゆびっ!!……」
「びぎぃ!!おとーしゃ……」
「いじゃ!おとーしゃん」
「ぴぽっ!ぱぽっ!」
「ゆげっ!!たちゅけちぇ!」
「ゆぼっ!!ゆっがああっ!!」
時々、軽く噛んだり、圧し掛かったり、揉み上げや帽子の一部を噛みちぎったりして、ゆうかは遊んでいる。
「へたれいむのおかーさんはぱちゅりーより弱いわ。くずまりさのおとーさんは臆病者で貴方たちを見捨てた。
両方、屑ね。屑の親もやっぱり屑なのね。」
ゆうかは言葉のメスを巧みに操りながら、子ゆっくりたちの心をずたずたに切り裂いていく。
「ゆぎぎぎぎっ!」
その光景を歯軋りしながら、まりさは見続けるしかなかった。
まりさの頬から溢れ出た涙が滴り落ちて地面へ大きな滲みを作っていく。
「おちょーしゃぁん!……みちぇないじぇたちゅけちぇ!」
最後までまりさは、動けなかった。


幸い、ゆうかはお腹が空いていなかったのか、気まぐれで慈悲を掛けたのか。一家の命までは取らなかった。
傾き始めたお日様が、西の山の稜線に差し掛かる頃、ようやく一家は解放された。
「ずびばぜんでじだぁああ、ゆるじでくだざい」
結局は散々痛めつけられた親まりさも、そして親れいむも、ぺたんぺたんと間抜けな擬音と共に土下座を繰り返している。
「次に見かけたら、殺すわよ」
緑の髪のゆっくりは退屈そうに呟くと、再び来た道をすーりすーりと這いずって去っていった。
残されたのは卑屈に命乞いをした両親を呆然として見つめる子れいむと子まりさだった。

「……ゆぅー……ゆっ……ゆぅ……」
親れいむと親まりさ。そして子れいむたちと子まりさは全身ボロボロとなり、心はそれ以上に痛めつけられていた。
体のあちこちに無惨な噛み跡が付いており、突き飛ばされた跡は紫色の無残な痣となってぱんぱんに腫れあがっている。
れいむの揉みあげは両方引き抜かれ、まりさの帽子は大穴が開き、子供たちの髪には所々十円禿の噛み跡が残っている。
痛みを堪えながら巣穴へずーりずーりと戻っていくゆっくり一家。
朝はあんなに楽しくてゆっくりしていたのに、どうして今はこんなに悲しくてゆっくり出来ない気持ちなんだろう。
「おきゃーしゃん……れいみゅはごみにゃの?」
「ちがうよぉ、れいむのおちびちゃんはせかいでいちばんゆっくりしたかわいいこだよぉ」
長女れいむのおどおどした問いかけに、母れいむは精一杯の愛情をこめたすーりすーりで応えた。
「ゆっゆっ?」
母れいむは懸命にすーりすーりを続けた。
お母さんの頬はとても暖かくて、柔らかくて、長女れいむはまるで凍ってしまった餡子が解けていくように感じた。
「ゆっくち、ゆっくちぃ」
笑いだす長女れいむ。他の二匹の子ゆっくりたちも心温まる光景にきゃっきゃっと機嫌を直した。
「おきゃーしゃん、まりしゃにも!まりしゃにもすーりすーりしちぇ!」
「れいみゅもしちぇ!」
ぽよんぽよん跳ねる可愛い子供たちの笑顔を見て、母れいむは胸の奥底がじんわりと暖かくなるのを感じた。
ああ、この子たちを守れるのは自分だけなんだ。自分が折れる訳にはいかない。
はやく辛い事は忘れて、楽しいことだけを記憶して生きていこう。
泣いた烏がもう笑うを地で行く感情の移り変わりの早さだが、そうでもないと野生のゆっくりは生きていけない。
良くも悪くも、其れがゆっくりの生き方だった。



「やめちぇね?まりちゃにいちゃいこちょしないじぇね?」
「ゆゆぅ、れいみゅおいしきゅないよ?ゆうかはこっちこないじぇね」
足を噛み砕かれ、逃げる事も目を逸らす事も出来なくなった子ゆっくりたちがゆうかの前でぶるぶる震えていた。

庭園で花に水をやり、害虫駆除を済ませ、土を耕したら、もう夕方に差し掛かっていた。
今日は此れから餌集めと巣の改築もする予定だったのに。
ゆうかは、遅めの昼御飯を摘まみながら、昼間のれいまり一家との出会いを思い返して微笑んだ。
うん。でも、道草は食ってしまったけれど、今日は美味しい子ゆっくりも五匹も手に入ったし悪くないかな。

「ゆんやぁあああ、きゅらいよぉおおお!!きょわいよぉおおお!!」
「ゆああっ!まりちゃ!はなしちぇね?れいみゅおこっちぇるよ?」
ゆうかの口の中で必死に泣き叫び、互いを呼び合う子ゆっくり姉妹。

今は雪解けの季節。
どうせあの一家を殺しても、その縄張りが空けば別の若いゆっくりの番が移り住んで来る。
それならトラウマを植え付け、精々、自分に関わらないようにする方がまだ多少は効率がいい。
多分、無駄だろうけれど。
ゆうかはアンニュイな溜息を洩らした。
どれだけ言い聞かせて、痛い目に会っても、三日もすれば再び同じゆっくりが草原にやって来る。
三日前も、一週間前も、十日前も、ゆうかはゆっくりたちと同じようなやりとりを繰り返していた。
ゆっくりたちは、ゆうかの花を要求したり、花を食い荒らしたり、巣に乱入しておうち宣言したり、
その度に群れの数は減り、最初は七家族居たのが、今はあの一家だけで在る。
覚えていないのか、懲りないのか。本当に不可解な不思議饅頭である。
何で独り立ちしたばかりの若いゆっくりたちって、あんなに愚かなんだろう?
私も、一歳の時はあんなものだったのだろうか?
それほど覚えている訳ではないが、もうちょっと慎重に行動していたような気がする。
或いは、辛いことを覚えていては生きていけないほど身も心も脆弱な生き物であるゆっくりが、
自分の身を守る為に発達させた自己欺瞞能力なのかもしれない。

「いじゃい、やめちぇ、ちゃべないじぇえええ」
「いぎぃっ れいみゅのあんよがぁあ」
舌先で子ゆっくりたち転がしたり甘噛みして、反応を見ながら獲物の恐怖と絶望の感情を楽しむ。

だけどそんなゆうかも、時々はほんのちょっと、ほんのちょっとだけ、
楽天的で能天気なゆっくりたちの生き方が羨ましくなったりもしていた。
私の本性も、ゆっくりということかな。
或いは、人間や妖怪も偶にはゆっくりしたいなんて考えたりするのかしら。
自分より遥かに高等な種族のことなど理解できるはずもないが、そんな想像をゆうかは良くする。


「ゆぎぃっ、ゆふっ、きゃらだぎゃ!れいみゅのきゃらだがどげでぎだぁあ!」
「だじでっ!ごごがらだじでぇ!まりちゃなんにもわりゅいことしちぇないのにぃ!」
腹の中で生きながら溶けていく子ゆっくりの踊り食いを堪能しながら、ゆうかは考える。
ゆっくり絶滅してくれないかなぁ……ああ、私もゆっくりか。
埒もない空想をしていても意味がない。やるべき事は多々在るのだ。
今日も此れから、餌を取り、ついでに肥料となる落ち葉や枯草を集めて廻らなければならない。

「やじゃあ、れいみゅ れいみゅ じにだぐないよぉお ゆんやぁああああ!」
「ゆっぐじぃ!まりちゃゆっぐぢじだいぃ!ゆっぐぢじだいぃいい!」

枝の剪定と巣の改築は、明日に回そう。
最近では、数年後の収穫を目指して庭園に木苺やグミの苗を庭園に植えていた。此れからますます忙しくなる。

「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ」
「……ゅ……っ……ゅ……」

お腹の中で最後までもがいていた末っ子れいむが、段々と言葉が不明瞭になり、体が弱々しく死の痙攣を始める。
子ゆっくりの断末魔の痙攣をお腹の中で楽しみながら、ゆうかは気合いを入れなおした。

さぁ、明日もゆっくり頑張ろう。


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感想

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  • このゆうかは優しいな。
    害虫を救うなんてwww -- 2018-02-17 20:43:23
  • ↓バカ野郎。そこは大人しく花鳥風月、嘯風弄月だろ -- 2016-09-14 21:10:13
  • ↓ゆうかにゃんじゃねえよ。これはゆっくりゆうかだ。
    ケツにスターダストレヴァリエ突っ込むぞ? -- 2015-02-01 23:14:10
  • ああああっぁぁぁぁぁぁんぁぁぁ!!! ゆうかにゃん! ゆうかにゃんの中に俺の赤ちゃんのもとが沢山出てるよぉぉぉぉっぬぉぉぉぉぉぉぉぉお! あーきもちい ゆうかにゃんのなかすっごくきもちい ドSゆうかにゃんハスハス ペロペロ クンカクンカ -- 2014-11-07 15:16:12
  • このゆうか飼いたい。 -- 2014-08-06 01:58:18
  • このゆうかは賢い。でもれみむやまりさにだって賢いのは少しでもいるはず。ゆっくりはゆっくり。希少種・通常種で分けるんじゃなく性格・知能で分けるべき -- 2014-02-15 00:02:04
  • ゆうかちょっとつきあってみないか? -- 2013-02-24 10:10:35
  • お持ち帰りしたいぐらい可愛いい(ゆうかを) -- 2012-07-28 00:55:58
  • ゆうか可愛いゆうか可愛いゆうか可愛いゆうか可愛いゆうか可愛いゆうか可愛いゆうか可愛いゆうか可愛いゆうか可愛いゆうか可愛い -- 2012-07-28 00:53:41
  • ちょっと花ちょーらいにぇしてくる。 -- 2011-11-26 06:59:11
  • あぁゆうか…抱きしめたい -- 2011-09-25 18:00:27
  • とりあえず俺は今日から君の農具だ。よろしくねゆうかりん。 -- 2011-08-27 14:18:58
  • ちょーらいにぇ! じゃねえよ。死ね! -- 2011-01-21 18:52:54
  • ほう・・・ -- 2010-10-27 20:28:19
  • ↓落ち着け。ゆうかにゃんではない。ただのゆうかだ。 -- 2010-09-23 17:33:16
  • おk、今分かった。俺このSS読むために生まれてきたんだわ

    ドSゆうかにゃん可愛いよぉぉおおおおおんほぉぉぉぉぉおおおお!!1! -- 2010-09-23 07:40:17
  • うほ!最高にQNQNすっきりできた!!
    この話めっちゃおもしろいわぁ
    家族からの愛情しか知らない子れいむの
    心を砕く所なんかほぼイキかけましたw
    -- 2010-09-04 18:34:00
  • ゆうかの知能レベルが人間並な件 -- 2010-08-25 19:07:11
  • 親ならかわいいかわいいで子供の言うことをなんでも聞いてくれるだろうよ。だからって赤の他人もそうだと思うなカス饅頭
    世間は子れいむ達の母親ではない。塵の手前勝手な要求などに答える義務なんかねえんだよ -- 2010-08-25 16:20:39
  • ハスキーな声・凛とした口調でサディスティックに罵るゆうかさんも素敵だ -- 2010-08-08 00:24:40
最終更新:2009年10月21日 08:35
ツールボックス

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