ふたば系ゆっくりいじめ 229 たくすぃー

たくすぃー 10KB


  • 完全に波に乗り遅れた。でも書いちゃったので。
  • ゆっくり虐めとは何か違う気がする。
  • ごめんなさい。


「うん、うん、今、家を出た。この時間帯なら30分チョイで着くと思う。
 尾仁井には?・・・そうか、わかった。状況を確認できたら電話するわ。」

「やれやれ・・・」

携帯をしまいながら呟く俺の声が暗い住宅街に響く。
俺の仕事は、しがない下請けシステムエンジニア。
担当しているシステムでトラブルが発生し、
めでたく深夜の三時に呼び出しと相成ったという、まあ、割と良くある話。

静まりかえった住宅街を抜けて3分ほど歩くと、大通りに出る。
片側三車線の大きな国道なので、この時間帯でも、それなりに交通量がある。
これなら、タクシーもすぐ捕まるだろう。

…と思いながら、待つこと5分。
何故かこんな日に限って、タクシーが通らない。
来たと思っても、既に客が乗ってるか、回送だ。
タクシー会社に電話して呼ぼうにも、電話番号がわからない。
どうしたものかと、途方に暮れている時に、
こちらに向かって走ってくる"ソレ"が見えた。

あー・・・アレかぁ・・・

「くそっ、背に腹は替えられん。」
そう毒づいて、右手を挙げる。

左側に車線変更しながら、すぃ~と、不思議な音を立てて、
ソレが俺の目の前で止ま・・・らない。
3m程、行き過ぎてから止まった。

4つのタイヤが付いた、畳一枚ほどの"板"としか呼べない物体に、
一匹のゆっくりまりさがチョコンと鎮座している。
最近、都市部などでよく見かけるようになった、"たくすぃー"である。

きっかけは、数年前に、地球温暖化対策だか、エコブームだかの尻馬に乗った、
とある酔狂な企業が、ゆっくり達の乗り物であるすぃーを、
排ガスを一切排出せず、燃料すら消費しない、
究極のエコカーと銘打って商用利用を始めた事だった。

当然ながら、あらゆる意味で世間の注目を集めたそのビジネスは、
またたく間に色々な企業に広がった。
当初は、すぃー便などの小荷物の輸送が主な用途だったが、
やがて、人間が一人乗れる程度の大型すぃーが開発され、
旅客輸送にも用いられるようになったのが、この"たくすぃー"だ。
何故かは知らないが、ゆっくりにしか運転ができないという事で、
この通り、運転手を努めるのは、ゆっくり。


俺の前を通り過ぎた、たくすぃーまで歩くと、あぐらをかいて座席に座る。
すぃーなので、ドアとかは無い。板の上に直に座るだけだ。
せめて、座布団とか、座椅子とか乗せてくれないものか・・・

この、大の大人が板の上にチョコンと座って、公道を走る姿というのが、
俺には何かの罰ゲームにしか思えなかったので、
今まで、たくすぃーを利用したことはなかったのだが、
最近では、割と普通に、たくすぃーに乗る人をみかけるようになっていたし、
何よりも火急の用なので、初チャレンジしてみる事にしたのだ。


「どちらまでなんだぜ?」

運転手のまりさが、こちらに顔を向けて聞いてくる。
一応、営業スマイルを浮かべているようなのだが、
心なしか、その笑顔が強張っている気がする。

「××交差点まで。道わかるか?」
「ゆっ!だいじょうぶなんだぜ!」

作業場所近くの交差点の名前を告げると、まりさが返事を返す。
まあ、流石にわかるか。この道をまっすぐ行った所だからな。


………

たくすぃーはピクリとも動かない。

「?おい、早く出してくれよ。急いでるんだ。」
「ゆっ!?だ、だいじょうぶなんだぜ!?」

なんだか、いまいち噛み合っていない会話を交わした後、
一回、ガクンと揺れてから、たくすいーが動き始めた。

運転荒いなぁ・・・すぃーという名前の響きからして、
もっとスムーズに動く物と想像してたんだが、
こんなものなのか・・・?


"シートベルトヲ、オシメクダサイ"

たくすぃーが走り出してすぐに、機械音声が聞こえた。
そういや、最近すぃー事故が増えて来たとかで、
すぃーにもシートベルト着用が義務付けられたとか言ってたっけ。

「んしょ・・・ん?・・・何だコレ・・・んん・・・?」
ガチャ、ガチャ、バチン、ガチャ、ジャキン、バチ、ガチャン

苦労して、やたらと複雑なシートベルトを締めるが、
果たして、これで本当に合ってるのか?

「なあ、このシートベルト、締め方これでいいのか?」
聞くは一時、聞かぬは何とやら、恥を忍んでゆっくりに教えを乞うことにする。

「ゆっ!だいじょうぶなんだぜ!」
対するまりさは、前を向いたまま、こちらを振り返りもせずに答える。
バックミラーでこちらを窺った様子も無い。

なんだコイツ、感じ悪いなぁ・・・
後で、たくすぃー会社に文句つけてやろうか・・・

普段なら、こんな事で目くじらを立てたりはしないのだが、
安眠を妨害されて、少しばかり機嫌が悪かったので、
そんな事を考えながら、運転席の前に張られているネームプレートに目を凝らす。

「?」

印刷物が張られているのかと思いきや、手書きの文字だ。
しかも、ミミズがのたくったような文字で、どうやら平仮名で書かれているらしい。
幾ら運転手がゆっくりとは言え、
こいつらを雇っているのは、れっきとした人間が経営する企業の筈だ。
こんな訳のわからんモンを張るとは、どういう領分だ。

俺は更に目を凝らして、そこに書かれている汚い文字を解読しようとする。

えーと・・・

さんじゅう・・・ろく・・・ばん・・・あき・・・まりさ


ガチャ、ガチャ、ガチャ、ガチャ、ガチャ、ガチャ、ガチャ、ガチャ!!!

何だかはわからない。何だかはわからないが、
俺の本能の奥にある何かと、走馬燈の向こうに見える死んだ婆ちゃんの警告に従い、
ここから逃げるべく、必死にシートベルトを外そうとする。

だが、一向に外れない。というか、これどうやって着けたんだ、俺。

ガチャ、ガチャ、ガチャ、ガチャ、ガチャン、ガチャン、ガチャンッ!!!

「ゆぎぎぃぃ!どぼじではずれないのぉぉ?!」
「ゆっ。だいじょうぶなんだぜ。だいじょうぶなんだぜ。
 まりさはだいじょうぶなんだぜ。」

俺の悲鳴に答えるかのように、ブツブツと呟いたまりさだったが、
その饅頭肌には、脂汗のような粘液がダラダラと流れている。

「ぜっだいだいじょうぶじゃないでじょぉぉぉ?!」
「だいじょうぶなんだぜ。だいじょうぶなんだぜ。
 みんながおいわいのじゅんびをしてまっててくれてるのぜ。」

ヤバい。何か訳のわからない事を呟き始めたぞ。

「お、お、お、おまえぇ?!すぃーらいせんすは持ってるんだよなぁ?!なぁ!?」
「!?ど、ど、ど、ど、どおおじでぞんなごどいうのぉぉぉぉぉ?!?!?!」
「どおおじでもってるってこたえでぐれないのぉぉぉぉぉ?!?!?!」

俺とまりさが一緒に泣き出す。
その時、涙で滲む視界に、真正面からヘッドライトの強烈な光が飛び込んできた。

「おぃィ?!ここ対向車線じゃねーかぁ?!?!」
「ゆ?!ゆああぁぁぁぁ!?!?」
俺とまりさが揃って悲鳴を上げる。

「ゆあぁぁぁ?!どおじで、れいぶのしゃせんにはいっでくるのぉぉ?!」
正面からそんな叫びが聞こえたかと思うと、
急ハンドルを切った向こう側のたくすぃーが、車線を二つ横切って、
路肩のガードレールに激突した。
ドカン!という音と、ベチャアッ!という音と共に。

「ゆ゛、ゆ゛、ゆ゛、ゆ゛、ゆ゛、ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛・・・・!」
「おまぁ!おまえぇぇ!じ、じ、事故ったぞ?!今のれいむ、絶対潰れてるぞ?!」

恐怖に心だけがどこかに逃げ出したくなるのを必死に堪え、
ゆゆゆゆ言っているまりさに呼びかける。
一瞬見えただけだったが、人間の乗客は乗ってなかった筈だ。
お願いだから、そうであってくれ。

「だ、だ、だ、だいじょうぶなんだぜ。だいじょうぶなんだぜ。」
「もういや゛ぁぁ!!おにいさん、おうちかえる!!」
「だ、だ、だ、だいじょうぶなんだぜ。だいじょうぶなんだぜ。」


そうこうする内に、前方にどこかで見た事のある景色が見えてきた。
狭い一本道。道の両側には塀。塀の切れ目から、お散歩中のれいむ親子が。
あーそうそう、教習所の危険予測のシミュレータで、こんなのあるよね。

「ここどこだよぉ?!国道を一本道の筈でしょおぉ?!
 いつの間にこんな狭い道入ったのぉ?!」
「だ、だ、だ、だいじょうぶなんだぜぇ?!」

「おきゃーしゃん♪ゆっくち!ゆっくち!」
「ゆゆぅ!おきゃーしゃんとおしゃんぽ♪たのちいね!」
「ゆぅ~!れいむのゆっくりした、おちびちゃんたち!
 そんなにはしっちゃあぶないよ♪」

「お前らも、なんでこんな時間にお散歩してるんだよぉぉ?!
 良い子はお家で寝てる時間でしょおぉぉ?!」
「だいじょうぶなんだぜぇーーーっ?!」
「ゆ?」「ゆゆ?」「ゆっ?」

プチ。「ゆぴゅ」プチ。「ゆべ」

「でいぶのがわいいあがぢゃんがぁぁぁぁ・・・・・・・」
れいむの悲鳴がまたたく間に遠ざかる。
入れ替わるように、別の音が聞こえてくる。

カンカンカンカンカンカンカン

「いやぁぁぁ?!踏切さんだぁぁぁ!?ゆっくりでぎないぃぃぃ?!」
「だ、だいじょうぶなんだぜ。だいじょうぶなんだぜ。
 まりさはふみきりはとくいなんだぜ。」

前方に血の色のように赤いランプが見えてくる。

「ゆっ!まどあけかくにんなんだぜ!」
「まずは、一時停止でしょおぉぉ?!
 て言うか、すぃーだから窓開けとかいらないでしょぉぉ!?
 ?!ゆ゛ああぁぁぁぁ!!!!!」

眼前に迫った遮断機に気づき、慌てて身を屈めて、その下をくぐり抜ける。
そのまま、すぃーと踏切の中を通過する、俺達の乗ったたくすぃー。
横合いからライトの光に照らされる。

プアン!ピーーーーーーッ!!

「きだーー!?電車がきだよぉぉーー!!おきゃーしゃーん!!」
「さ、さ、さ、さ、さゆうかくにんなのぜぇぇ?」
「いまざらおぞいでじょぉぉ?!ゆっくりしないで、さっさと走れぇぇぇ!」

キキィーーーーーーーーッ!!!
ピーーーーーーッ!!ピーーーーーーッ!!

ブレーキと警笛の音を響かせながら、貨物列車が俺達に向かって迫ってくる。

「はやぐっ!?はやぐぅっ!?」
「だ、だ、だ、だ、だいじょうぶなんだぜぇぇぇ?!」

ピーーーーーーーーーーーーーーッ!!
もはや、貨物列車の運転手の恐怖と驚愕の表情が、
はっきりと見て取れる距離まで近づいた。

「「ゆんやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ?!」」


チッ、と俺の服の背中を掠めながら、貨物列車がたくすぃーの後ろを通り過ぎた。

「だ、だ、だ、だ、だいじょうぶだったんだぜ。だいじょうぶだったんだぜ。」
「全然、大丈夫じゃないぃぃ!おろせぇぇ!とめろぉぉぉ!!
 おにいざん、まだ、じにだくないぃぃぃ!!」


「ゆぅぅ!!だれかぁ!れいむのおちびちゃんをたすけてぇ!
 すぃーにひかれちゃったぁぁ!ゆわーん!!」

「どおぉぉじで、さっきのでいぶが、ごごにいるんだよぉぉ?!?!
 なんで、もどってきてるのぉぉ?!どこどうやってはしってるのぉぉ?!」
「だ、だいじょうぶなんだぜ?だいじょうぶなんだぜ?」
「俺にきくなぁぁぁ!!大丈夫なわけねーだろぉぉ!!
 そ、そうだ!ブレーキだ!ブレーキ踏めぇぇ!!」
「だぜぇぇぇ!!!」

グゥン、と、体が後ろに引かれるのを感じた。

「ど・お・じ・で・アクセル踏んでるんだよぉぉぉ・・・?!」
「だじぇぇぇ?!?!」
まりさの頬をギリギリギリと思いっきりつねる。

「ゆ!?さっきのたくすぃー!!れいむのあかちゃんをがえぜぼぶん゛っ?!?!」
ブチョ!
ベチャッ! ベチョッ!

「「ゆぎゃぁぁ!?あんこがめにはいったぁぁ!?」」

前方から飛んできた餡子が、俺とまりさの目に飛び込み、視界を奪う。


「ゆっくりはしってね!?ゆっくりはしってね!?
 ゆっくりはしってぇぇ!!はやいのはゆっくちできないぃぃぃ!?」
「だいじょうぶなんだぜぇぇぇ?!?!?」

視界を奪われたまま、蛇行を繰り返し、けたたましいクラクションと
急ブレーキの音が断続的に響く中を疾走するたくすぃー。

そして、

ガツンッ!!

縁石に乗り上げ、勢い良くたくすぃーが宙を舞う。

「「おしょらをとんでるみたぁぁぁぁぁい?!?!?!」」




「・・・・・・・・・」

ガサガサと道路沿いの植え込みから体を起こす。
俺達の乗ったたくすぃーは、20メートル程、深夜の空中散歩を楽しんだ後、
この植え込みに突っ込んで、ようやく停止した。

植え込みの枝で擦りむいたようで、あちこちが痛む。
あ、シートベルト切れた。

「ゆっ・・・」
ガサガサと、俺の目の前の植え込みが動き、まりさが顔を出した。
キョロキョロと辺りを見回している。

「ゆっ!とうちゃくなんだぜ!」

まりさが、何かをやり遂げたかの様な、満面の笑みを浮かべる。
確かにここは、奇跡というか、何というか、俺の指示した目的地の交差点だった。

「2000えんになるんだぜ!おしはらいは、おかねさんなのかぜ?」

「・・・あまあまさん払いでもいいか?」

「ゆっ!あまあまさんなら、みっかぶんになるのぜ!ゆ?」

俺はまりさを抱きかかえ、両手で上あごと下あごを押さえる。

「ゆぅ~・・・?ゆびゃぎ!いびゃあぁぁぁぁ!?!?!?」

そのまま、力を込めてベリベリと、まりさの饅頭皮を全部剥がす。

「ゆ゛・・・ゆ゛・・・ゆ゛・・・」
「釣りはいらん。」

皮のなくなった餡子の固まりをゴロッと地面に転がして仕事に向かった。


元ネタ by36番あき

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感想

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  • 無免許まりさが違法タクシーしている話ってことでok?
    ※元ネタはすいー免許に落ちるのやつか。 -- 2018-01-02 15:11:46
  • 釣りはいらん…あの世でゆっくり免許を取るまで虐待されてね() -- 2016-10-03 18:38:45
  • うざいゆっくりまりさ運転手だ
    -- 2016-08-26 00:39:19
  • ↓そりゃあ急ぎの用事がある時にこんなむちゃくちゃな運転を三日間も
    されたらキレるだろ -- 2016-01-26 18:01:32
  • まぁ乗った兄さんも悪いね、なんで殺すの?低脳? -- 2015-12-18 22:59:53
  • WWWWWW -- 2015-10-31 09:16:22
  • どぼぢでごんなごどずるのおおおおおお!
    おにいざんなんにもわるいごどじでないのにいいいいい! -- 2014-12-14 11:34:28
  • ゆっくりに何も期待するな 期待するだけ無駄だから -- 2014-07-31 15:00:43
  • お゛に゛い゛ざん゛ま゛た゛じに゛た゛く゛な゛い゛いい -- 2014-02-03 23:55:27
  • 楽しそう -- 2012-12-24 10:19:12
  • これはひどい、兄さんの状況を思うと同情を禁じえない、面白過ぎる -- 2012-12-22 22:50:06
  • なんなんだこの二人はwwwww -- 2012-12-04 02:51:31
  • これって無免許まりさが盗んだたくすぃーを運転してるって事だよね? -- 2012-03-25 02:48:18
  • 乗りたくねーーーーー!! -- 2012-03-13 20:22:39
  • お兄さんがゆっくり言葉になってるwww -- 2012-02-23 15:27:15
  • ワロタwww -- 2011-12-06 21:44:52
  • わろたwww
    上手いなぁww -- 2011-11-19 20:45:00
  • こwれwはwひwどwいw -- 2011-10-23 00:03:47
  • すげぇw -- 2011-10-18 00:32:45
  • フェンダーミラーがついてるのは法人タクシーで
    普通のサイドミラーは個人だっけ? -- 2011-08-23 07:58:42
最終更新:2009年10月21日 08:57
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