ふたば系ゆっくりいじめ 251 ゆゾンデートル

ゆゾンデートル 10KB


【注意】
  • 冗長です
  • 幻想科学SS(※幻想郷設定です)
  • 独自設定が大量にあります
  • 虐待表現皆無。というか、ゆっくりが出ません。
  • ネタ被りはご容赦を











私は研究を生業としている鬼意だ。
勤務先は加工所、研究対象はゆっくりだ。
ゆっくりの生態を研究し、それを新製品へとつなげていく。
故に、研究内容は「ゆっくりがどう振る舞うか」に偏っている。

だが、それとは別に個人的に行っている研究もある。
むしろそのために、私は加工所の研究員となったのだ。
だから、今日も勤務時間外を使って私的な研究を続けている。

こいつらが一体何なのか。





【ゆゾンデートル】





元々の私は、ただの虐待お兄さんだった。
好事家だった父が遺した品々のおかげで金に不自由はなく、まじめに働くこともないまま虐待にいそしむ日々を送っていた。

そんなある日、いつも品物を持ち込んでいる店で、買い取りを断られた品があった。
外界の寺子屋の教本だ。
店主が言うには、数年に一度、これらの教本は大量に流れ着くため、二束三文にしかならないらしい。
その頃の私ならば、金にならない物など捨ててしまうのが普通だった。
だから、その教本を開いたのは、全くの気まぐれだった。

そして、その気まぐれが私の人生を変えた。

外界の教本はまるで理解不能な概念の塊だった。
しかもこれで、十にも満たない子供のための物だという。

外界の学問はどれほど進んでいるのか。
興味がわいた私は、倉に眠る教本を漁り、虐待の合間に読み進めていった。

そしてある時、教本の中の原理に、ゆっくりにも当てはまる物を見つけたのだ。
今思えばアルキメデスの原理など、ゆっくりどころか路傍の石にでも当てはまる。
だがそのときの私には、雷に打たれたような衝撃が走った。

不思議饅頭と呼ばれながら、そこにいること自体は誰にも不思議に思われていないゆっくり。
その不思議に迫る概念が外界にはあるのではないか。
幻想郷の人々が知らない秘密を、外界の概念で暴くことが出来るのではないか。

かくして私は、八方手を尽くして集めた12年分の教本で独学し、研究員として加工所に職を求めた。
加工所に蓄積された知識と、研究のための環境が目当てだった。





話を今に戻そう。

私は今、頭を抱えている。
先日、私はとある研究の副産物として、新製品を2つ送り出した。
それらが突然、生産できなくなったと連絡があったのだ。

工程の問題なら簡単だ、方法や手順を見直せばいい。
だが、現実は遙かに深刻だった。

「もう作れない!?」

同期であり上司の、研究室長がうわずった声を上げた。

「一体どういうことだ?」
「ゆっくりたちが変化したのさ」

新製品は、ゆっくりの体を連結させ、体内で接触した餡子同士で生殖反応を暴走させることで生産する。
それが出来なくなった。
ゆっくりが、普通の餡子では生殖を行わなくなったのだ。

「精子餡を作るようになったというのか?」
「実験したが間違いないね。
 発情したときだけ体内に精子餡を作り、それらが混ぜ合わさることで生殖を行うように、ゆっくりが変化している」

厳密には新製品を作れなくなったわけではない。
生殖に精子餡を使わないゆっくりも、まだわずかながらいるのだ。
だが、見た目で区別が付くわけでもなく、実際に繋げてみるまで、出来るかどうかはわからない。
もはや手間暇に見合わないのだ。





長い会議の後で生産中止が決まり、軽い足取りで私は自分の研究室へと戻った。
多くの研究員は、今回の件で「ゆっくりを研究すること」に多少の疲れを感じたようだが、私は別だ。

私的な研究の内容と、今回の件とで符合する点があるのだ。



ゆっくりとは何なのか。

ある日突然幻想郷に現れたそれらは、当初は妖怪・妖精の類と思われていた。
種族は基本2種のみから増え続け、かつて希少種と呼ばれたものさえ基本種に組み込まれるほどの爆発的な繁殖力を誇る。
起源はたった1匹ずつのれいむ種とまりさ種とも言われているが、今では幻想郷中でどれほどの数がいるのか見当もつかない。

机の上に、かき集めた文献、これまでの研究成果を並べる。

一つはゆっくりの中身について。
ゆっくりの中身が餡子だと判明した当初の、あらゆるゆっくりの中身が餡子であると記述された文献がある。
今ではカスタード・生クリーム・チョコクリームなど、種々の中身があることがわかっている。
では、この文献は嘘なのか。

一つはゆっくりの繁殖方法について。
当初はゆっくりが繁殖すること自体知られていなかった。
それが、分裂することで増えると最初に知られる。
次に知られることとなる方法は、今でも一般的な植物型だ。
その後も卵生・胎生と様々な生殖方法が現れた。
植物型についても種を蒔く・果肉に包まれて発生する・実の時点で地に埋める等、文献が様々ある。
だが、今では頭上の茎に赤ゆっくりが生る植物型と、胎生する動物型の2種類以外はまず見られない。
繁殖のための行為としても、頬をこすりあわせるタイプと、動物のように生殖器を用いるタイプの2種が一般的だが、これら以外について記述された文献がわずかながらある。
これらの文献に嘘があるのか。



資料を総合すると矛盾だらけの生態なのだが、私はこれらすべてを肯定することから研究を始めた。
虐待お兄さん時代の実体験として、それぞれの文献に真実の香りを感じたからだ。
そして、外界の教本にあった概念の一つを仮定の骨格に据えた。

ゆっくりの進化だ。

余りに脆弱で余りに多産、世代交代の早いゆっくりの生態は、進化の促進に適している。
その中で、ゆっくりは急激に進化を遂げているのだ。
今回の件も、ゆっくりの進化の一環なのだろう。

ゆっくりの起源は、明らかに魔法生物だ。
科学の否定になるが、ここは幻想郷だ、仕方がない。
おそらく、何処かの妖怪が生み出したものだろう。
そう、妖怪が生み出したことを認めることが、仮定を重ねる上で重要になる。

ゆっくりは進化を遂げている、これには疑問を持たない。
疑義があるのは、その方向性だ。
一般的に進化は、より生存に適した性質を持ったものが、淘汰を乗り越えることで進んでいく。

だが、ゆっくりたちの進化はおよそ生存の最適化から外れている。
一部の例外を除いて、ゆっくりは体を進化させる方向には進んでいない。
他のゆっくりに比べて強い体を持った種類もあるが、それらは軒並み希少種であり、増える兆しを見せない。

自然の生物でも、増えることに特化して生存をはかる種もある。
その観点での最大の問題は、ゆっくりが捕食されるのに適した生態を持っていることだ。
動きは鈍重、体躯は脆弱、偽装は皆無でむしろ自ら居場所を喧伝している。
増えることで捕食を免れるのではなく、捕食されるために増えているとしか考えられない。

これが自然の生物ならば、これらの生態にも何らかの合理性が見いだせるはずだ。
しかし、ここで「ゆっくりは魔法生物である」という観点が重要になる。
あらかじめ進化の方向性を与えられていたのでは、ということだ。



ポイントになるのは、ゆっくりの「ゆっくりしたい」という欲求だ。

多くの生物は、その第一義として生存のために行動する。
生存を満足させた後に発生する余暇さえも、次の生存のための休息に用いるのが普通だ。
だが、ゆっくりは時に「ゆっくりすること」を己の生存よりも優先させる。
より良い餌、より良い環境を求め、満足できるだけの巣を捨ててまで人里という死地を目指す。
里を荒らす動物はほかにもいるが、彼らは人を恐れ、十分な確率で人の手から逃げおおせる。

自然の様々な驚異に対しては恐れを抱くゆっくりだというのに、なぜ人間に対してだけは尊大なのか。
それはゆっくりの言う「ゆっくりできること」にヒントがあると、私は考える。
必要以上の餌、必要以上の住処、必要以上の余暇、必要以上の繁殖と、ゆっくりの欲求は身の程を越える。
だが、自制はしているが、これらは人間にも当てはまるのではないか。
人間と同じ言葉を使い、人間と同じ欲求を持つゆっくりとは、創造主から「人間を模倣する」ことを刷り込まれているのではないか。

そう考えると、腑に落ちる点が数々ある。
ゆっくりは親の餡から知識を引き継いで生まれるが、不思議と「人間を恐れること」は引き継がれない。
人間の作ったもの、例えば加工所などは恐れるのに、人間そのものは、学ぶまで恐れないのだ。
人間を模倣することがゆっくりの本能にあるのならば、これは理解できる。
人間を恐れて忌避しては、観察し模倣など出来ないからだ。
同じ言葉を操るのも、人間の持つ概念を学び取るためではないだろうか。

親から知識が引き継がれる点も、そう考えると理屈に合う。
ゆっくりは生物として相当に高度な知能を持っているが、余りに短命であり、世代交代の度に知識を失っていては社会文化的進化がままならないからだ。



しかし、ここでまた思考が行き詰まる。
ゆっくりを生み出した者が、何を目的としていたのか。
それがわからねば、この説も所詮は仮説の域をでない。

必ず、何らかのきっかけがあるはずだ。
一見関係のない異変でも、巡り巡ってつながる可能性がある。
私の部屋にある資料は、科学的なものばかりではない。
稗田の文献に始まる幻想郷史など、文化文明的なものも数多い。
その中に見落としがないか、今日も私は研究に没頭していった。










翌日、研究室長が加工所に出勤したとき、研究室で騒ぎが起きていた。
鬼意が失踪したというのだ。
研究が天職ともいえるあの男が失踪などと、にわかには信じがたい。
そして鬼意の研究室を見て、これは失踪ではないと確信した。

鬼意の部屋には何もなかった。
文字通り、何もなかった。
壁と、天井と、床と、残っているものはそれだけ。
大量の文献、実験道具、標本、机や実験台に至るまで、何もかもが消え失せていた。

鬼意は神隠しにあった。
だが、周囲には失踪と告げられた。
これが妖怪の警告であると、口には出さないが誰もが気づいていた。
鬼意の研究が、触れてはいけないものに触れたのだと。

これを機にこの加工所では研究予算が縮小されていき、やがて競合に負けて倒産することになる。
だがそれは、また別の話とする。










幻想郷の外れに隠れ住まう大妖は嘆息していた。
よもや自分の目論見が、ただの人間の好奇心に暴かれそうになるなどと、考えもしなかったからだ。



ゆっくりは、この大妖の手によって生まれた。
いずれは妖怪たちの食料とするためだ。

動物に近い下位の妖怪を除き、妖怪は例外無く人間を喰らう。
それらは主に3つに分けられる。
人間の肉を喰らう者、人間の魂を喰らう者、そして、人間の畏れを喰らう者だ。

このうち、前2者は特に問題はない。
山に分け入った者は喰らうことが出来る協定があるため、数は少ないが供給は絶えない。

だが、問題は畏れの方だ。
近頃では人間に友好的な妖怪が増え、妖怪への畏れが薄れつつある。
とはいえ、協定がある以上は人間の恐怖を煽ることも簡単には出来ない。



そこで、大妖は発想を変えた。
人間以外に妖怪を畏れさせることを考えたのだ。
本能に根ざした恐怖とは異なり、畏れとは高度な精神活動であり、野山の動物たちに出来るものではない。

出来るものがいなければどうすればいい?
作ればいい。

こうしてゆっくりは生み出された。

わずか2匹から始められたのは、異変として処理されないため。
元を饅頭としたのも、人間に一定の利益を与え、異変とされることを避けるためだ。
巫女と魔法使いを模倣したのは、単なる腹いせだ。
それだけがこの注意深い計画の中で唯一挑発的な要素だったが、大妖は己の溜飲をわずかでも下げることを望んだ。

そして、進むべき道筋だけを与え、ゆっくり自身に目的を遂げさせるよう仕向けた。
成果はまずまず順調で、山の上の神社では、ゆっくりから信仰を得ることにも成功したようだ。

予想外だったのは、大妖を模倣した亜種まで発生したことだ。
小憎らしいが、どこか憎みきれず、根絶やしにしようとまでは思えない。
巫女が異変と認定しなかった気持ちが分かる気がした。



巷ではゆっくりが増えすぎ、大規模な駆除が検討されている。
人間が駆除をすればゆっくりが報復を考える可能性がある、妖怪に妖怪であると宣言させて駆除を行わせよう。
大筋でそんなことを吹き込めば、巫女の誘導はたやすいだろう。

式を呼び、巫女への使いに出す。
収穫の時がきたのだ。





幻想郷が生まれて以来、誰よりも節制してきたという自負がある。
たまの食事にありついたところで、とやかく言われる筋合いはないだろう。

不遜な性格に仕向けたあれらの絶望の味は、如何程のものだろうか。
自身の腹が久々に満たされる予感に、大妖の目は自然に笑っていった。










(完)




作者:当初はあまりに虐待と関係ないため、お蔵入りの予定でした。
   が、「ふたば系ゆっくりいじめ 248 ゆっくりできない理由」を読んで我慢できなくなりました。
   お目汚しの対価として酷評は甘受します。


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感想

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  • ゆっくりはあらゆる独自設定があるから楽しいな -- 2013-01-16 09:02:43
  • 東方の3次創作サイトに来て何言ってるのか本当にわからない
    100歩譲って東方2次のゆっくりとその2次創作(東方3次創作)のゆっくりSSは好きだけど原作に興味ないって考え方だったとしても、
    少なくとも此処の住人であるならば、ただの東方信者なんかよりもずっとキモイ存在であることは自覚しておいたほうが良い -- 2012-03-07 23:08:09
  • ↓↓あんたが知ってるオタクが、たまたまキモイオタクだっだけ。それと、キモイと思ってもそれをわざわざコメントすんなよ。不愉快。  -- 2011-10-25 23:51:25
  • いや、面白かったよ。
    前の作品も好きだよ。 -- 2011-10-24 14:44:16
  • どうしてこう東方のキャラとか信者はキモイんだろうか -- 2010-11-05 22:04:58
  • ゆかりん…? -- 2010-07-07 23:49:00
最終更新:2009年10月23日 06:02
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