とあるクリニックにて 6KB
【とあるクリニックにて】
私は男である、名前はまだ無い。
私はとあるペットショップに併設されているクリニック【ゆっキュア】に勤める男だ。
人から見れば私は獣医か何かなのだろう、だが私が扱うのはあの「ゆっくり」だ。
と、私以外誰もいない診察室で一人呟いていてもしょうがない。
ゆっくりなんて生物を「治療」出来る場所なんて、日本全国数えても両手で足りるだろう。
そして対処できる場所が少ない分、こちらにツケがわんさか回ってくるのだ。
「お待ちの目出さーん、診察室へどうぞー!」
受付のねーちゃんの声が聞こえる。
今日も1日が始まった。
「ゆぴいいいいいい!!! あんよがいじゃいぃぃぃぃ!!!!!」
あんよを真っ赤に腫れさせたれいむを抱えて飼い主が入ってきた。
ゆっくりを診療する際は「何があったのか?」等は殆ど飼い主に聞く事が多い。
患者(この場合患餡だろうか?)が話にならない場合が多いからだ。
「目出さん、本日はいかがいたしましたか?」
『ゆぴいいいいいいいいいいいい!!!!いだああああああああああい!!!!!』
『はい・・・れいむが足ツボマットを踏んでしまいまして・・・。』
ほほう、要は感覚が鋭敏なあんよに突起物を刺してしまい、れいむが苦しんでいると。
ゆっくりの足・・・「あんよ」と呼ばれる地面に接する場所は頭だけ生物であるゆっくりの全てである。
うっかりザックリ!とやってしまえば野性のゆっくりでは死を意味し、飼いゆっくりでも最悪歩行不能になってしまう。
それだけ大切は器官だからこそ、ちょっとやそっとの痛みが大幅に増幅されてしまうと言うわけだ。
『ゆひぃー!ゆひぃー!ゆひぃー!ゆひぃー!』
『だ、大丈夫か!れいむ!お、お医者さん!? 早く!早く!』
「大丈夫ですよ、目出さん、れいむちゃんはどちらかと言えば軽症ですから。」
このれいむのあんよも赤くはなっているものの致命傷に至る傷も無いため、診察としては簡単な方だ。
腫れ上がっているあんよにたっぷりとオレンジ軟膏を塗って、底部を包帯でぐるぐる巻きにする。
ぬりぬり・・・
『ゆゆ~ん・・・ ゆふふふふふふ・・・』
『おぉ!れいむ!きもちいいのか!楽になったのか!』
うわきめぇ・・・。
しかしアレやコレを危険な事だと言って、「ゆっくりわかったよ!」だけで覚えていられるのはかなり優秀な個体だろう。
実際は「痛い目」とやらを何度も経験しない限りはゆっくりと言う生物は学習をしてくれないのだ。
それだけゆっくりは手に入りやすい代わりに扱いが手難しい生き物だと言われている。
変えの軟膏と包帯の処方箋を書きつつ、ペットショップでHow to本中級ver(鬼意社 2300円)の購入を勧めておいた。
こういう地味な連携が収益につながるのだ、許せ飼い主。
『ゆっふん!れいむなかなかったよ!えらいでしょ!』
『さぁれいむおうちにかえろうねぇ~。』
「おだいじにどーぞー。」
「お待ちの尾根さーん、診察室へどうぞー!」
ねーちゃんの声が響く、次はどんな患者だろうかな?
『ゆがががががががが!!!!ががが!!!!ぎぎぎぎぎ!!!!!!!』
『まりさ!静かにしなさい!』
口をガタガタ揺らしたまりさと年頃の綺麗なお姉さんが入ってきた。
お姉さんはともかく、まりさはケツに手でも突っ込まれてガタガタ言わされてるのだろうか?
「まりさちゃんはどうされましたか?」とあらん限りで心からのスマイルで聞く。
前にも言ったが、とにかく飼い主から事情を聞かない限りは医者はどうしようもない。
『その・・・まりさが虫歯みたいなんです・・・。』
「虫歯・・・ですか、まりさちゃんに甘いものばかりを食べさせすぎでしょうねぇ。」
診断結果は「虫歯」 歯も磨かず甘いものを食べ過ぎたと言う簡単な結果だ。
犬や猫だってかかる病気だ、と言っても犬猫は虫歯と言うより歯周病の方が割合が多い。
関係のないことは置いて、今はこのまりさを黙らせなくては。
『あがっががががっ!!!ががが!!ゆっぐぐぐうぐぐ!
べべべべべ!!!いだあああああああいだだいだい!!!!!!!』
ゆっくり専用の麻酔注射で黙らせてあげよう、ほーれプスっとな。
『ゆっ!? いたいのなおったよ おねーさん こここわいよ はやくかえろうね!!』
『あれっ?治療はこれで終わりなんですか?』
「あっ、いえいえ、まだ治療の最中ですので。」と言いつつまりさを診療台にくくりつける。
『ゆっ!まりさもういたーいいたーいないよ!とっととはなしてね!ぷくぅ~!!』
「(ビキィ)ほ~ら、まりさちゃん、上を見てごらん?」
「あ、あまあま!ゆっくりおりてきてね!』
と、間抜け面100%で天井に釣り下がっているケーキの蝋細工相手に大口を開けているまりさ。
もうおわかりだろうが、ゆっくりの歯の治療用に口をあけさせるための罠だ。
その間抜けな口を覗き込むと、人間で言う奥歯、右側の1個が真っ黒になっていた。
これは人間でも相当痛いだろう、と言うかむしろ手遅れだともいえる。
これは・・・抜くしかないな・・・と言うか抜くしかない、ゆっくりは総永久歯だからだ。
しかし、甘いものを食いすぎれば虫歯になるし、硬いものを齧ってしまえば容易に砕け散る。
野良だったらあんよと同じく壊れれば死を意味するが、飼いでは入れ歯等がやっと開発された。
あまあま~と言って、未だに大口をあけるまりさの口にやっとこを差し入れて。
フン!メキッ!ミチィ・・・。
カラン・・・。
『ゆ゙っ?! ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
どこか精神がいってしまったまりさを尻目に綺麗なお姉さんに解説をする。
「これがまりさちゃんの虫歯ですね、」
『あぁ・・・、ずいぶん真っ黒ですねぇ・・・。』
「えぇ、こうなってしまうと抜くしかないので、歯磨きをきちんとして甘い物は控えてあげて下さい。」
『はい、わかりました。』
「次回にまりさちゃんの義歯を用意しますのでまた来てください。」
頓服の痛み止めとガーゼの処方箋を書きつつ、ゆっくり歯磨きセット(エイト社 1980円)の購入を勧めておいた。
ゆっくりの歯の取り寄せもしておかないといけない、販促も忘れないようにしなければ。
『まりさー?虫歯治ったわよ~?もう起きなさ~い。』
『・・・・・・・・・・・・ゆえぇええええええええええん!!!!!!!!おねえさ~~~~~~~ん!!!!!』
まりさ、泣きながら退室。
もう2度と虫歯になるんじゃないぞ、と思いつつ軽く手を振る。
ねーちゃんの声を待つが何も聞こえない、様子見がてら覗いてみると久々に空いている。
聞きなれたゆっくりの騒がしい声も聞こえない、ねーちゃんは相変わらず受付に座っていた。
・・・・・・・・・
暇だったからちょっと考えていた、日々ゆっくりを虐待する事しか考えていなかった時を。
たまたま目に付いたのがペットショップのチラシ、「ゆっくりの体に詳しい方募集!」と来た物だ。
「元とは言え虐待お兄さんってだけでこんな職に就けただけでもありがたいと思わなくちゃ・・・ねぇ?」
私はまた誰もいない診療室で一人伸びをしながら呟いた、1日はまだ長い。
「お待ちの稗田さーん、診察室へどうぞー!」
ゆっくりハウスに併設されていたクリニックです。
中身の設定としては医者のお兄さん1人・受付1人・裏方2人で回している小さな医院です。
ショップ購入の金バッジで診察料割引サービスが受けられます、大体5%引きです。
言ってしまえば、ゆっくりの治療は家庭でもできるレベルです、でも気味が悪いのでやらない人が多いだけなんです。 多分。
アィディアを思いついた時は書けると思いましたが、際限が無くなってしまい何回か書き直しました。
オチを考えるのが結構難しかったりします。
描写がおかしいと思うのは許して下さい。
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このSSへの感想
※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね!
- おい最後 -- 2023-02-19 08:16:23
- AQNwww
ここで働かせてください!!
完璧に修ri···治療してみせます!(トラウマが残るかも知れませんがww) -- 2018-01-14 17:29:19
- あっ↑きゅう↓ -- 2011-08-02 16:50:16
- おい最後の奴… -- 2011-05-09 22:28:07
- ゆっくりあんとくさま、とか飼ってそうな御方が・・・ -- 2011-03-06 13:16:03
- 稗田さんって・・・え?まさか!? -- 2011-02-19 22:53:39
最終更新:2009年10月24日 16:28