ゆう俗店 22KB
『ゆう俗店』
・ゆんあきさんの『ゆん劇場』に登場する「ゆっくりキャバレーこーまかん」のマッチ箱から電波を受信しました
序、
「ゆぅ…ゆぅ…」
「ゆゆ~ん…まりさみて…ちびちゃんたちのねがお…すごくゆっくりできるよぅ…かわいいよぅ…」
寝息を立てながら、幸せそうな表情で寄り添う二匹の赤ゆを見ながら親れいむがつぶやく。親まりさも二匹を起
こさないように、おさげで赤ゆの頬をくすぐる。
「ゆ…ん…ゅふっ…」
くすぐったいのか赤ゆの寝顔に笑みがこぼれる。
一家は四匹家族だった。親れいむに親まりさ。赤れいむに赤まりさ。スタンダードな家族構成である。人間の世
界の時間という概念で言えば現在は午後八時前後。辺りはすっかり暗くなり、木が風に揺れる音だけが時折聞こえ
てくる。いつもの夜。とても静かな夜だった。
親れいむと親まりさは群れのどのゆっくりもが認める美ゆっくり同士のカップルであった。幸せの絶頂にある二
匹のゆん生であったが…「幸」という字から線を一本抜くだけで「辛」になる。ゆっくりたちはゆっくりしている
だけなので線を抜くような真似はしないし、できない。線を抜くのは、いつの時代でも“人間”だ。
突然、巣穴の入り口あたりの壁が突き崩された。既に眠りについていた両親も目を見開き、この異常な光景に怯
えながら壊されていく壁を凝視している。
「ま…まりさぁ…」
「ゆゆっ…おちつていね…っ!おうちのおくにかくれていればへいきだよっ!」
言いながらも不安は一切拭うことができない。救いなのは赤れいむと赤まりさが事態に気付かず眠っていること
だった。捕食者が来たなら、巣穴の中にゆっくりがいるとバレてはならない。
(れみりゃ…?ふらん…?それにしてもおうちのかべをこわしてはいってくるなんてゆっくりできないよ…っ)
この巣穴も親まりさがつくった自慢の巣穴だ。金平糖でできた歯で石を咥え、必死に掘った巣穴だ。それがあり
えないスピードで破壊されていく。とうとう、巣穴の入り口は成体ゆっくりが五、六匹は通れるほどの幅まで掘り
壊されてしまった。
既に涙を流しながら親れいむは親まりさの後ろに隠れて震えている。親まりさも恐怖で気が変になりそうだった
が、壊された入り口から見える夜の闇をただただ睨み続けていた。
『おい!天井はぶっ壊すなよ!中のゆっくりが死んじまったら意味ないからなっ!!』
声を聞いてゆっくりと理解した。巣穴を壊した者の正体はれみりゃやふらんといった捕食種ではなく、人間だっ
たのだ。親れいむと親まりさは揃って身震いした。その目の前に大きな影が現れると、親まりさの体はふわりと宙
に浮いた。寄りかかっていた親れいむがその場に倒れ込む。
『ゆっくり、みーっけ!』
『ははは。ギサールの野菜も使わずにこいつらはホントよく見つかるな。ゆっくり臭くもないのに』
「ゆっくり………はなしてね……っ!」
親まりさは低い声で二人の人間に向かって言い放った。静かな声ではあったが、その声には明らかな憎しみがこ
もっている。一瞬、二人の人間がお互いの顔を見合わせる。
『まりさ種か…。生意気で根拠のない自信だけが自慢のまりさちゃんがこの状況でえらく大人しいじゃないの?』
「ゆっくりできないにんげんさん…ゆっくりまりさをおろしてね…っ!」
涙目で続ける。今、自分が大声を上げたら巣穴の中の赤ゆたちが目覚めて泣きだすだろう。そうなれば一家全滅
の危機だ。親まりさが人間に捕えられことに気付いている親れいむが叫び声を上げないのも同じ理由だった。だが
それも無駄な事だった。
『おい、巣穴の奥を探せ。こいつのつがいかガキがいるはずだ。残さず持っていくぞ』
「や…やめてね!まりさはどくしんゆっくりだよっ!ひとりですんでるんだよっ!」
『馬鹿か。お前らみたいな“構ってちゃん”が一匹で暮らしていけるわけねーだろ。しかも野生のくせに』
「ゆぐっ…」
唇をかみしめて、人間を睨みつける親まりさ。そのとき、
「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!!!」
れいむ種は精神的に脆い。先ほどまでは親まりさの意図を汲んで必死に堪えていた親れいむではあったが自身が
持ち上げられた瞬間、叫び声を上げてしまった。同時に、飛び起きる二匹の赤ゆたち。初めにお互いの顔。続いて
変わり果てた巣穴の中を見回し…最後に宙吊り状態の両親が視界に入り、声を上げて泣き出した。
『独身じゃなかったのかよ、まりさちゃん…?…あ?』
「……………っ」
『嘘つきなゆっくりは……』
両手で掴んでいた親まりさを振り上げ…
『お仕置きだぁっ!!!!』
振り下ろすと同時に膝を親まりさの顔面にめり込ませる。
「がひっ!!!!!!」
ゆっくりらしからぬ悲鳴を上げ、自慢の顔が額を中心にべっこりとへこむ。目を見開き、痙攣を起こしながら涙
を流す親まりさ。虫の息の親まりさを麻袋の中に投げ込むと、袋の口からオレンジジュースを垂らした。
「…かひゅっ…!こひゅっ…!!」
切れ切れに嗚咽混じりの呼吸が聞こえてくる。これで死ぬことはない。親れいむはさっきから人間の戯れで何度
も何度も頬を叩かれてた。叩かれるたびに短い悲鳴を上げる。しかし抗議することはできない。恐怖に心が支配さ
れているのだろう。叩かれるがまま、叩かれ続けていた。
そんな両親の悲惨な姿を目の当たりにした二匹の赤ゆは既にパニック状態だった。涙をこぼし、垂れ流したしー
しーの上でぱちゃぱちゃと震えていた。そんな二匹が大きな手でまとめてわしづかみにされる。人間のごつごつし
た太い指と、お互いのもちもちした顔で圧迫される赤ゆたち。悲鳴を上げることさえ叶わなかった。
「ん…ぐぎゅ…ぇ…ゆ゛…」
「ゆ゛…ぶ…ぶ…」
手の中でぷるぷると赤ゆが震えるためかくすぐったい。男はすぐに先ほど親まりさを投げ込んだ麻袋の中に二匹
を放り込んだ。しばらく喚いていたが、どうすることもできないと悟ったのか、低い声で泣き続けるだけとなった。
上から親れいむを投げ込むと赤ゆが潰れる可能性があったので、親れいむだけは髪をつかまれ宙吊りのまま連れ
て行かれた。親れいむの表情にはかつての美ゆっくりの面影はまったく残っていなかった。
一、
色とりどりのネオンとピンク色の看板が目につく繁華街を一人の男が興奮気味に歩いていた。通りのそこかしこ
で呼び込みを行う若い客引きたちの声が聞こえる。露出の多い服を身につけた深夜の蝶が異性を誘惑するように自
分の肢体を見せつけながら練り歩く。泥酔した男が電柱にもたれかかっていたり、酔っ払い同士が喧嘩をしていた
り、まるで祭りか何かのような状態の“夜の街”。
『にーちゃん!!若い娘、たくさんいるよっ!!!触っていかないかいっ?!』
陽気な声で近づいてくる客引き。スーツにネクタイ姿のその男は、
『結構』
『つれないねぇ…女の子に興味ないの?』
『そういうわけではないんだがね…』
『じゃあさ、寄っていきなよ…』
『………るのか?』
『へっ?』
『“その女は潰せるのか?”…と聞いている』
『………っ?!』
たじろぎ、黙りこくる客引きに一瞥すると男はそのまま街の奥へと歩いて行った。まるで化け物でも見たかのよ
うな表情で立ちつくす客引きに、強面の男が一喝する。
『てめぇ!何あんなもやしみたいな男に逃げられてんだよ!やる気あんのかっ!!』
『…は…はぁ…』
そういう類の店には社会人になりたての頃から何度も行った。見知らぬ女と唇を重ね、肌を重ね、何度も何度も
果てた。ただしそれは若い頃の話だ。今は所帯を持っている。口紅や香水の匂いに敏感な妻がいる中であの頃と同
じ“行為”に没頭するにはリスクが大きすぎるのだ。
それでもこうして男が夜の街に足を向けるのには理由があった。
【不夜城レッド】
そう書かれた看板のあるビルの前に立ち、男の期待と興奮が頂点に達しかける。はやる気持ちを抑え、店のある
地下三階へと足を運ぶ。黒の浮き彫りの文字で先ほどの店名が書かれた白塗りの扉を開ける。
中は静かなものだった。静寂に包まれすぎていて、逆に不気味なほどだ。男は入り口のすぐ脇にある小窓で受付
を行う。小窓の中には顔は見えないが、白いブラウスに黒のワンピースのような物を身にまとい、控えめな胸の部
分に“るーみあ”という源氏名(?)が書かれた名札を付けている女が座っている。
『いらっしゃいませ』
『一人だ』
『あら…また貴方ですか…。…今日は店に来たばかりの新人がいますから…その子“たち”の相手をなさいますか?』
『新人…?どんな奴らだ?』
『そうですね…生意気で自信だけは持ってる金髪の子と、母性に溢れた眉毛がウザい黒髪の子の“家族”です』
『今日、来たばかりだと言ったな?』
『ええ。純真無垢です。可愛がり甲斐がありますよ…?』
『いいだろう』
『では…“れいむ×まりさ一家90分コース”で…オプションは何にします?道具を使ったプレイは?』
『“虐殺”をつけてくれ。それから透明な箱。あとは持参している』
『…くすっ…そーなのかー…。手慣れてきましたね…。頼もしいわ』
『いくらだ?』
『“虐殺”がつくと少し値が上がりますよ…?20550円になります』
『ふっ…そこらの風俗と変わらん額だ。良心的じゃないか』
『お得意さん、ですから…ね』
男は“るーみあ”から489号室のカギを受け取ると、部屋の奥へと進んでいった。それほど長くはない廊下で
あるにも関わらず、辺りからは物音ひとつしない。これは各部屋に特殊な防音装置が用いられているからだ。この
時間で客が自分一人のわけがない。重く閉ざされた扉の奥ではどんな濃厚な“プレイ”が行われているかわからな
い。それがまた、男を興奮させる一つの要因となった。
やがて、男は渡された鍵で部屋の扉を開ける。部屋の中は、甘ったるい匂いのお香のようなものが漂っており、
暗めの照明で照らされている。殺風景なその部屋の中央。簡素なマットの上に、ゆっくりの家族がいた。
その瞬間、男の中で何かが込み上げていた。丸くころころしたバスケットボールほどの饅頭が二匹。生まれたば
かりなのかせいぜいピンポン玉サイズの饅頭が二匹。安らかな…というわけにはいかないようだが、寝入っている
その顔を見るだけで、男の中で衝動が絶えず暴れ続けていた。
深呼吸して、スーツの上着を壁のハンガーに引っ掛ける。そして、親子が眠っているマットの上ににじり寄った。
その気配に最初に気付いたのは、意外なことに赤まりさだった。男と目が合う。真ん丸な瞳。およそこの世の汚れ
など何ひとつとして知らぬであろうその純朴な眼差しは、震える姿と相まって男の嗜虐心を一気に刺激した。だが、
ここで先に赤まりさだけと相手にするのでは、面白くない。
男は、一拍、大きな音を立て一家の目を覚まさせた。
「ゆっ!」
「ちょうちょさん!ゆっくりれいむにたべられてねっ!!!…ゆゆぅ…?」
「ゆぴっ!!」
この状態でちょうちょを追いかけている夢を見ていたとは恐れ入る。しかしこれで“るーみあ”の言っているこ
とがはっきりした。都会でちょうちょを追いかけながら、まして呑気に今のようなセリフが吐ける状況は起こり得
ない。本当にこの饅頭一家は都会を一切知らない、純真な“ゆっくり”なのだろう。
「ゆっ!ゆっくりしていってね!!!」
「「ゆっくちしちぇいっちぇにぇっ!!!」」
男はゆっくりの“挨拶”を無視し、要求していた透明な箱を取りに行っていた。一家は、挨拶を返してくれない
人間に不信感を抱きながらも、いきなり自分たちを捕まえたりはしないことなどから、半信半疑のまま男に近寄っ
てきた。
「にんげんさん…?にんげんさんは…ゆっくりできるひと…?」
恐る恐る親まりさが尋ねる。この危機意識の低さも都会の野良にはあり得ない。こんな状態の饅頭がうろついて
いたら、最初に出会った人間に殺されてもおかしくない。野良が生き延びれるのは、短い時間とはいえ人間と生活
を共にするからだ。人間の知識と人間という生き物の認識をすることができて初めて、野良として生き残れる賢さ
が備わる。“それは絶対にあり得ないこと”ではあるが、この一家もここでの生活から抜け出せば、野良として頑
張れば一週間くらいは生きれるかも知れない。
『ああ…ゆっくりできない人だ』
驚愕の表情を浮かべ固まるだけの親まりさを男は透明な箱に閉じ込めた。
パーティーの始まりである。
二、
「なにするのっ!ここはせまくてゆっくりできないよっ!!まりさをだしてねっ!!!」
自分を閉じ込めた相手に自分を出せと要求する馬鹿さ加減が正直たまらない。それなら最初からそんな場所に閉
じ込めたりはしないと言うのに。
直接的な痛みを与えているわけではないので、親まりさの目にはまだ力がこもっている。男は透明な箱に親まり
さを閉じ込めたまま、家族の中心に箱を置いた。三匹が一斉に親まりさの元に集まる。
「まりさっ!!ゆっくりだしてあげるからねっ!!」
「おきゃーしゃんをゆっくちさせちぇあげちぇにぇっ!!」
「ゆぇぇぇん…かべしゃん…じゃましにゃいでにぇぇ?しゅーりしゅーりしちゃいよぅ…!」
思い思いの不満を無言の透明な壁にぶつけ、涙交じりの声を漏らす三匹。男はカバンの中からごそごそと、フマ
キラーとチャッカマンを取りだした。チャッカマンに火をつけ、そこにフマキラーを吹きつける。ガスに引火した
炎がまるで火炎放射機のように放たれる。男はそれを確認すると満足気な表情を浮かべた。
恐らくは初めて見るのであろう、“火”というものの味わったことのない恐ろしさを視覚に訴えられた一家はど
れからともなくぷるぷると震え始めた。
「にんげんさん…いまのは…なんなの…?」
親れいむが尋ねる。今度は親れいむにフマキラーを向けた。炎が放射される。親れいむの顔面を炎が撫でる。次
の瞬間
「ゆ゛っぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ??!!!!あ゛づい゛よ゛お゛お゛お゛お゛!!!!!!」
転げまわる親れいむを追いかける形で、まんべんなく炎を浴びせ続ける男。最愛のパートナーの、あるいは最愛
の母の、これまで聞いたことのないような絶叫に言葉を発することもできない残りの一家。とはいえ、焼き殺そう
として炎を浴びせているわけではないので、あくまで炙る程度のものだ。死にはしない。熱いことには変わりない
だろうが。
「おでが…にんげんざっ…やべで…あ゛づい゛…だずげ…っ!!!!!」
どの方向に体を転がしても、のた打ち回っても、額を床に打ち付けても、体に火はつかないかわりに炎の蹂躙は
終わらない。男は匠みに親れいむに火が燃え移らないように、かつ炎による苦しみを途絶えさせない距離を保った
まま親れいむにフマキラーファイアーを浴びせ続けていた。
「も゛う゛や゛だあ゛あ゛あ゛!!!!おうぢがえる゛う゛う゛う゛ぅ゛ぅ゛!!!!!」
火に炙られ、ところどころ赤くなった顔と焼け焦げてちりちりになった髪の毛が笑いを誘う。飾りも無事で餡子
も吐いていないのに、これほど惨めな姿のゆっくりもなかなかいないだろう。男は火を止めると、親れいむを壁に
向かって蹴りつけた。跳ね返り、綺麗に一家の元へと転がっていく。
「ゆ゛…ぅ…ま゛…り…ざ…」
必死に愛する親まりさの名前を呼ぶ。親まりさは泣きながら透明な箱の壁に何度も何度も頭を打ち付けて、
「れいむっ!!れいぶっ!!!じっがりじでぇ!!!!」
最愛のパートナーの元に駆け寄ろうとしているが無駄なことだった。透明な箱からは出られない。傷を舐めてあ
げることも頬をすり寄せてあげることもできない。二匹の赤ゆがそれを自分の代わりに行ってくれていることが唯
一の救いだった。男はそんな親れいむにオレンジジュースをぶっかける。
「ゆっ…あ…まい?ゆ…いたくなくなってきたよ…」
本当にデタラメな怪物饅頭だ。あれだけ虫の息だったくせに、ジュースをかけるだけで回復する。それでも全回
復には程遠く、元気に跳ねまわる…というわけにはいかないようだが、赤ゆたちをぺーろぺーろするぐらいの元気
は戻ったようだ。
「どぼじで…」
『あ?』
「どぼじで…ごんな゛ごどずる゛の゛ぉ゛ぉ゛??!!!」
親まりさの涙ながらの訴えには一切耳を貸さず、男は赤まりさを乱暴に掴み上げる。絶叫し、すでにおそろしー
しーをぶちまける赤まりさ。
『お前は…その親が入ってる箱に入れてやろう』
「ゆゆっ?!」
酷い目に合わされると思っていただけに、それだけで済むなら…という気持ちが表情に出る。男はカバンからニ
スの入った缶を取り出すと、その中に赤まりさを漬け込んだ。目の前で我が子がよくわからない缶の中に全身突っ
込まれる様子を見ていた、二匹の親ゆは
「な゛に゛じでる゛の゛ぉぉぉぉぉ??!!!!!」
「やべでぇ!!れいぶのちびちゃんに゛…びどいごどじないでぇえぇぇ!!!!」
次は我が身かと震えている赤れいむは、親れいむの揉み上げの内側に隠れ、怯えきった瞳で男を見上げているだ
けだった。男がニスの缶から赤まりさを取り出す。
「ゆげぇっ…ぺっ…ぺっ…」
口の中にニスが入ったのだろうか。しきりに人間でいえば唾を吐くような行動をしている。漬け込む際に外して
いた帽子を再びかぶせると、赤まりさは頬を膨らませ、
「ぷっきゅううう!ひどいよっ!にんげんしゃんっ!ゆっくちまりしゃにあやまっちぇにぇっ!!!」
元気なものだ。親と違って生意気でいかにもまりさ種らしい。その赤まりさに今度はドライヤーを吹きつける。
「んゆぶぶぶぶぶぶぶ…」
温風を絶え間なく当てられ、息ができないのか徐々に苦しそうな表情に変わっていく。頃合いを見計らって男は
赤まりさを透明な箱の中に入れた。涙目の赤まりさに親まりさが駆け寄る。それに気付いた赤まりさも親まりさの
元へ向かおうとするが…あんよが上手く動かない。透明な箱の床で滑るだけだ。
「ゆっ?ゆゆっ?」
不安そうな顔を浮かべる赤まりさだったが、親まりさが頬をすり寄せようとしているのを見て、安堵の表情を浮
かべた。…のもつかの間だった。赤まりさは親まりさの柔らかな頬を感じることができなかった。それは親まりさ
も同じで赤まりさのもちもちした頬を感じることができなかった。
「ゆぇっ…?」
「どうして…?どうして…?」
何度も何度も頬をすり寄せようとするが、赤まりさの顔をつるつると滑るばかり。何度すりすりしようとしても
固まったニスの膜がそれを許すことはなかった。
「ちびちゃんと…すーりすーりできないよおおおぉぉぉぉ!!!!」
「おきゃーしゃああん!!!まりしゃ…しゅーりしゅーりしちゃいよぉぉぉぉぉぉ!!!!」
二匹揃って声を上げて泣き出す。男は鼻歌を歌いながら、注射器を取りだした。中には砂糖水が入っている。そ
れを…赤まりさの後頭部に突き刺した。
「ぴ…ぎぃっ???!!!!」
歯を食いしばり、目を見開き、赤ゆらしい可愛らしさなど微塵も感じさせないような表情に変貌する赤まりさ。
男はその赤まりさに砂糖水を注射器の半分ほど注ぎ込んだ。途端にぶるぶると震え始める赤まりさ。それを確認し
て、注射器を後頭部から引き抜く。やがて、赤まりさは恥ずかしそうに頬を染めながら、
「まりしゃ…しーしーしゅりゅにぇっ!!」
言って、仰向けに寝転び、しーしー穴に力をかける。が、出ない。
「ゆゆゆゆゆゆっ??!!!!」
「ちびちゃん…どうしたの?しーしーするんでしょ?」
親まりさが心配そうに寄ってくる。
「…にゃい…」
「ゆ?」
「しーしー…しちゃいのに…でにゃいよぉぉぉぉぉ!!おきゃーしゃあああぁぁぁん!!!」
「ち…ちびちゃん?!ゆっくりしてねっ?!ゆっくりしてねっ?!」
原因は二匹ともわかってはいないようだが、当然のことだ。しーしー穴にもニスの膜が出来上がっている。この
赤まりさがしーしーすることは二度とない。ついでに言うとあにゃるも塞がれているので、うんうんすることもで
きない。男はニヤリと笑みを浮かべた。もう一本の注射器を取り出す。その中にはウィダーインゼリーが入ってい
る。それを赤まりさの下腹部に突き刺した。
「ぴぎゃあ゛あ゛!!!」
親まりさが注射器を引き抜こうとするが、それはかえって注射器の針で赤まりさの体内を蹂躙するだけになった。
「いちゃい゛!!い゛ちゃい゛よ゛っ!!ゆ゛あ゛あ゛っ!!!やべちぇ…っ!ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」
たっぷりと栄養素の入ったゼリーを赤まりさの体内に注入しながら、親まりさによって注射器で体内を引っかき
回される痛みに耐えた後は…またも身震いを始める赤まりさ。
「うんうん…でりゅよっ!!!!!」
やはり出ない。青ざめて、ぶるぶると震える赤まりさ。ようやく自分の体の決定的な異変に気付いたようだ。
「ゆ…ゆあ…しーしー…しちゃいよぅ…っ!!!うんうんしちゃいよぅ…!!ぽんぽんいちゃあああああい!!」
体内の容量ギリギリで砂糖水とゼリーを注ぎ込まれた赤まりさの体はパンパンに張っている。親まりさが泣きな
がらぺーろぺーろするが、ニスの膜が邪魔して赤まりさに親まりさの愛情は届かない。ただただ泣き続けていた。
男は、二本の注射器を同時に赤まりさの頭に突き刺した。びくんっ、と体全体を震わせる赤まりさ。そして、今度
は一気に、注射器の中身を注ぎ込んだ。
「ん…っぎ…!!」
まず初めに目玉が飛び出した。口からも大量の餡子が噴出され、まだ餡子に変換しきれていなかったゼリーが四
方に飛び散る。ニスが塗られていない頭頂部からも、内側の圧迫に耐えることができなかった皮が豪快に破れ、餡
子を噴出させた。ニスの膜によって原形は留めているものの、赤まりさは破裂して死んだ。
「ゆ…え…あ…」
目の前で赤まりさが爆散する様を見せつけられた親まりさは、がたがた震え、声も出さずに泣いている。しーし
ーもうんうんもさせてあげられず、頬をすり寄せ安心させてあげることも、ぺーろぺーろして励ましてあげること
もできなかった。ただ、泣きながら破裂した赤まりさを見ていただけだ。己の無力さを呪っていたのだろうか。
無意味なことだというのに。
「おでがいじばずぅぅぅぅ!!!もうやべでぐだざい゛い゛い゛!!!!」
箱の外で親れいむが大泣きしながら懇願する。
「れいぶだぢはぁ…しずかにもりでぐらじでだだげな゛んでずぅぅ!!!」
悲痛な親の訴えに、赤れいむも泣きながら叫ぶ。
「れいみゅたち…にゃんにもわりゅいことちてにゃいのにぃぃぃぃぃぃ!!!!!」
『すまなかったな…怖いものばかり見せてしまって…』
男が満足に体を動かすことのできない親れいむの髪の中に隠れた、赤れいむを取り出す。赤れいむはガクガクと
震えていた。男は努めて明るく、
『怖かったろう…?』
この一言に、泣きながらうなずく赤れいむ。ちょろちょろとしーしーが底部を垂れ落ちている。
『嫌なものは、見なければいいよ』
そう言って男は取りだしたピンセットを一瞬で赤れいむの右の目玉に突き刺した。体全体がびくんっ、と震え勢
いよくしーしーが噴出される。先ほどの赤まりさが生きていたら、この光景をどれだけ羨ましく思っていただろう
か。
「い…ちゃ…」
にこり、と男が笑ってピンセットを目玉の奥へ奥へとねじ込みぐちゃぐちゃにかき回した。絶叫する赤れいむ。
すでに右目はその機能を失っている。それでも男は執拗に赤れいむの目の中を穿り回した。
「いぎゃああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
やがて、体内から完全に分断され、もはや形を成していないかつて目玉だったものが赤れいむの右目があった場
所からどろりと流れてきた。男は赤れいむを床に置くと、目玉の残骸に向かって這い進み、
「れい…みゅのおべべ…ゆっくちしにゃいで…にゃおっちぇにぇ…ぺーろ…ぺー…」
フマキラーファイアーで目玉の残骸を焼き払う。左目だけが見開かれ、凄惨なまでの赤い光により燃やされてい
右目を見ながら、
「れ゛い゛み゛ゅ゛の゛…ぎゃわ゛い゛い゛お゛べべがあ゛あ゛あ゛!!!!!!!!!!」
親れいむは先ほどの炎による拷問がフラッシュバックでもしたのか、怯えて声を出すことすらできない。親まり
さの方も先ほどと同じように必死に透明な箱の壁にぶつかっているだけだ。ひとしきり、赤れいむの目玉を焼き払
った後、男はもう一度赤れいむをその手に掴んだ。
男のカバンはまるで四次元ポケットだ。今度はにんにく絞り器を取り出す。すでに満身創痍の赤れいむに力を入
れるだけの気力はなく、されるがまま、にんにく絞り器の中にその体を押し込められた。
『れいみゅがちゅぶれりゅところ、ちっかりみちぇいちぇにぇ!』
赤れいむの言葉を真似て、親ゆたちの目の前でにんにく絞り器を握った手に力を込める。ステンレス製の突起物
が赤れいむの押し込められた窪みにゆっくりと突き刺さっていく。徐々に顔の形が変形していく赤れいむ。
「ゆぐ…ぎぃ…れい…みゅ…ちゅぶれりゅぅ…!!!!」
「う…うわああああああ!!!!!」
「やべでぐだざいぃぃぃ!!!おでがいじばずぅぅぅ!!!!ばでぃざだぢのちびちゃん…もう゛やべでぇぇぇ!!」
押しつぶされてにんにく絞り器の下側から、餡子がにゅるにゅると飛び出してくる。それが愛する我が子の中身
であることは理解できていた。完全に押しつぶされ、その中身を全て床に垂らし絶命した赤れいむ。その餡子に向
かって親れいむが必死に這ってきたが、零れおちた餡子を男が踏みつけた。親れいむの目から光が完全に消えた。
こうなってはもう何をしても無駄だ。男は親れいむを壁際に蹴って移動させると、日頃のストレスの全てをぶつ
けるかのように、無言で、力任せに、何度も何度も蹴りつけた。親れいむは何も言わない。言えない。すでに廃ゆ
状態になっている。揉み上げが千切れ飛び、目玉が飛び出し、皮は裂け、中身の餡子を惜しげもなく撒き散らしな
がら、いつ死んだか確認することもできず、そのゆん生を終えた。
親まりさはその光景をただただ見つめていた。
一体、何がいけなかったんだろうか?どうすればこんな目に遭わずに済んだのだろうか。親まりさはそんなこと
をずっと考えていた。その答えは男の口から発せられた。
『生まれてきたのが間違いだったんだよ…』
親まりさはその言葉を聞いて涙を流した。あんなに両親に祝福されて生まれてきたのに…。愛する我が子が生ま
れたときも、負けないくらいに祝福してあげた。それなのに、生まれてきたことが間違っていたというのだろうか。
親まりさが最後に見たのは、男が振り上げたハンマーだった。
三、
『どうもありがとうございました~』
男は無言で店を出た。歓楽街の…熱気の隙間を抜けて吹きつける冷たい風が頬を撫でる。男は、歩き出した。そ
れでも心は満たされてはいなかった。あれだけやってもまだ…満たされてはいなかった。男は、空虚な心のまま電
車に乗りこむと、たまたま開いていた座席に腰を下ろした。
窓から、流れて行く歓楽街の光を眺めながら、
(まだ…足りない…足りないんだ…)
目を閉じる。過去の記憶を呼び覚ます。
(俺の前からすり抜けるように逃げていったあの野良れいむ…)
目を開ける。歓楽街から離れたのだろう。窓の外は黒一色だった。
自然と拳に力が入った。
玄関の扉を開ける。男の息子が出迎えにやってくる。手には白い杖が握られていた。
『お帰り。雄闘惨』
終わり
日常起こりうるゆっくりたちの悲劇をこよなく愛する余白あきでした。
トップページに戻る
このSSへの感想
※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね!
- 日常起こりうるゆっくりたちの悲劇っていってるけど、
全然違うよなー
虐待するために考えた環境用意しちゃってるもん
現代の今普通にある環境の中にゆっくりがいて、
その上で事が起こってこそ「日常起こりうる」だろうに -- 2016-01-17 06:11:14
- おとうさん か 初見で読めるかwww -- 2014-08-01 12:08:30
- 雄闘惨てwwwww随分とまぁ猛々しい名前でwww -- 2014-05-04 17:04:16
- 子供はれいむに失明させられたのか -- 2013-09-30 01:31:42
- 2万が高いっていっても掃除代も含まれるんじゃね
人によっては天井に投げつける人もいるだろうしww -- 2011-10-05 04:29:15
- 雄闘惨ワロタ
かっこいいな -- 2010-11-23 01:17:01
- ペットショップのゆ虐用ゆっくりや野良を考えれば
2万は高いかもしれないが
自分で山まで行って純粋な自然のゆっくりを
捕まえる手間を考えると、忙しいサラリーマンに
とっては2万もやぶさかではないかもね -- 2010-10-27 08:38:48
- 受付嬢は抱けんだろ -- 2010-09-15 20:06:03
- 愛護法とかの設定があるのかも? -- 2010-09-11 21:46:56
- 鬼:『今日は虐待しに来たんじゃないんだ
るーみあ君を抱きたい』
る:『そーなのか、嫌です』
鬼:『....今日はれいむ×まりさ一家+ありす×まりさ一家120分コースでオプションに虐待をつけてくれ』 -- 2010-09-11 21:23:08
- 『風俗』としては安いのでは
てかるーみあを抱きたい -- 2010-07-11 01:40:39
- だよな。2万はぼったくり過ぎ。 -- 2010-07-07 07:59:19
- ゆっくり潰すのに2万円は高すぎ -- 2010-06-20 18:39:31
最終更新:2009年10月27日 15:45