ニューヨークから聞こえてくるファンクを途中で止めたりするなよ
オレは生まれも育ちもニューヨークさ
オマケにラッパー同士のバトルや
オールド・スクール時代のラッパーのことを話すのが大好きなんだ
他の連中が飲んだくれてる時、オレは仲間と一緒にラップするのさ
オレにとってヒップ・ホップは精神安定剤みたいなもの
偽物のラッパーはオレの悩みの種だけど
デキるDJはオレの1日を楽しくしてくれる
けど、オレがマイクを握ったら、思う存分ラップしたいのさ
だからシャキッとしなけりゃな
そっちも準備OKなら、オレたちのことを解ってくれよ
オレたちには壮大な計画があるんだぜ
すぐにでもそれを実行に移したいのさ
“そうさ、みんなで盛り上がろうぜ”
ひと晩中、この曲で盛り上がろう
オレのライムには持続性があって、スタイルにはいろんなポーズがある
オレは主張を繰り広げるために、日夜闘っているんだ
誰かが犯した罪を許しちゃおけないからな
何事にも無駄なく打ち勝っていくのさ
もちろん、ジョン・タワーにも請求してやったぜ
オレには燃料タンク並みのパワーがあるんだ
ショウをやって金を稼ぐのさ
金が入ったら銀行へとまっしぐら
そうさ、オレは新しいニューヨークの“顔”さ
ニューヨーク・ヤンキースの選手みたいなもんだな
FMのDJがオマエの曲を耳にしたらしいな
けど、そんなカスみたいな曲を、そのDJがプレイするはずがないだろ
昔は仏陀を崇めていたよ
その頃のオレのライムは人を食ったようにダラダラと長かったっけ
オレがラップでどもるのは
刺激が強すぎるマリワナ煙草を吸った時
そんな時はアメリカと意志疎通が上手く行かないサウジ・アラビアみたいに
アバヨってなもんさ
可愛い女の子を目の当たりにしたら
その娘と寝たいと思うだろ
けど、そんなことはどうでもいいんだ
それより、今はマヌケ野郎どもが目障りなのさ
オレはジミー帽子店で売ってるよりも数多くの帽子を持ってるんだ
その道のチャンピオンになった連中は饒舌になるのさ
ブルート・ベイリーのスキン・ヘッドにはデータがギュッと詰まってる
強烈なビートを刻む連中は他にもいるけど、オレたちのビートの方がもっと強烈だぜ
オレたちを絶賛してくれよ
そしてこの世の賛辞を全てアフリカ・バンバータに捧げよう
ゲットー風の喋りで
オマエのラジオ局の電波に潜入する連中は
ラップを平均化させてしまうクズなのさ
それでもヘヴィ・ローテーションで連中の曲はかかるんだ
オレは自分の国のことをラップするために
オレの出番をジッと待つのさ
そうこうしてるうちにも他のラッパーは我が物顔で
ザ・ズールー・ネイションに敬意を表したりしてる
聞いてくれよ
日没に公園に集まって
いつまでもいつまでもラップをしてたBボーイたち
とっくにどこかに行っちまったアイツらの心意気は本物だったよな
それはラップの歴史の中で強烈な光を放つ思い出のひとコマなのさ
ギリシャ神話には多くの神々が登場してただろ
けど、ギャングスターの心に潜在する
犯罪意識に変革をもたらすような
平和を唱える言葉に匹敵する
そんな暗号を持っていなかったんだ
音楽には団結の精神が宿ってるだろ
音楽がクラブに平和をもたらすから
ガキ連中は安心して一生懸命にラップできるって訳さ
そうなれば誰かをナイフで刺す必要もないし
銃の密輸入と関わる必要もない
スピーカーから流れてくる強烈なベース音は
きっとオマエらの下半身をムズムズさせるぜ
PALに集まったベル・ボトム・ジーンズや
あちこちに裂け目のあるジーンズをはいてる連中の下半身をさ
ジェローム通りにあるヘヴァロウ
ハーキュローズに集まった連中
ライヴの準備ができてるクール・D
プーマのスウェット・スーツでキメたターキ183
双子のニガーもノッてるぜ
アップタウンの連中も盛り上がってる
自分たちのラップの個性とスタイルをアピールするブルックリンの連中もそうさ
『ルーフトップ・サウンドチェック』の中身を左右したのはベース・ビートが効いた音楽
コンヴァースのハイ・トップを履いたオマエの下半身もムズムズして
“バス・ストップ”のステップを踏みたくなるぜ
それがグルーヴ感の中に宿る
ヒップ・ホップ・カルチャーのルーツ
ヒップ・ホップの社交儀礼はストリートで身につくもんだってことを
その立役者のひとり、エディ・チーバがきっと証明してくれるはずさ
イカしたライムとシビレるビートにみんなは敬意を表してくれる
さぁ、オレたちを絶賛してくれよ
オレたちはそれに値するのさ
そしてこの世の賛辞を全てアフリカ・バンバータに捧げよう
ラップ・バトルに参加したからにはどんな批評も受けて立つぜ
ジャバズが演奏するのはオレたち先輩が残してくれた音楽的遺産のファンキーなジャズ
そのスタイルを初めて生み出したのはアフリカ・バンバータだったな
'70年代の彼は本当にスゴかった
DJクール・ハークが仕事に出掛けると
サウンド・システムは強烈な音を出してた
クール・キースはDJレッド・アラートと仲間だったダンサーさ
グランドマスター・フラッシュにイズラム、キャズ
オレたちの耳にラップを届けてくれた先駆者たちは金儲けは二の次だったもんな
あの頃、一世を風靡したヒップ・ホップはアートそのものだったのさ
他のガキどもが銃の撃ち合いをやってる間
オレは自分の車のナンバー・プレートにスプレー・アートを描くことに夢中だったよ
ここで言いたいのは、オークランドやロスコー、コンプトンの連中にありがとうってこと
当時のカリフォルニア・ファンクはノッてたもんな
それと同じ頃、ニューヨークではラップが盛り上がってた
オークタウンで巨大ディスコが持て囃されてる時
オレはシュガーヒル・レーベルのラップを夢中になって聴いてたぜ
いい気になってラップする連中は痛い目にあってたっけ
ブレンダとエリックがラッパーたちの集会場のキャッスル・ヒルでヤラれてたっけな
ヤクでハイになってる親父と一緒にヤンキース・スタジアムに行ったもんさ
フォーダム・ロードからハンツ・ポイントに向かって歩いていくと
どこからともなくファンキー・フォーの曲が聞こえてきたんだ
ラメルズィー、ビズィ・ビー、ザ・ゴールドクラッシュ・ブラザーズ、
ザ・トレチャラス・スリー、スプーニィ・ジー
カーティス・ブロウとその息子のDJラン
連中はDJハリウッドとラップ・バトルを繰り広げながらそれを楽しんだものさ
その頃オレは、ゴールド・プレイトのターンテーブルを持ち歩いて
マツダの車を乗り回してた
カー・ステレオで聴いたのは大好きなアフリカ・バンバータの
オールド・スクールのテープさ
最終更新:2008年08月28日 15:41