手術後や消化管出血後など、出血の危険のある場合には、抗凝固剤として メシル酸ナファモスタット を使用して透析をおこなう。メシル酸ナファモスタット透析では、透析中にも循環血液の凝固時間は延長しない

メシル酸ナファモスタット透析では、透析前のプライミングを、メシル酸ナファモスタット20 mgを溶解した500 mlの生理的食塩水でおこなうこともあるが、最近はプライミングをメシル酸ナファモスタット溶液を含まない生理的食塩水でおこなう施設が増えてきた。体外循環開始と同時にメシル酸ナファモスタットを1時間あたり20 mg~40 mgの速度で持続注入する[1,2]。具体的には5%のグルコース溶液20 mlにメシル酸ナファモスタット120 mgを溶解し、これを体外循環開始と同時に、ヘパリンの代わりにヘパリン・ラインから1時間あたり3.5 ml~6.5 mlの速度(通常1時間あたり5.0 mlの速度)で持続注入する。強い陰性荷電膜をもつPAN膜では、膜がメシル酸ナファモスタットを吸着・除去するため透析中に静脈チャンバーから凝固の始まることがある。


■メシル酸ナファモスタット

 注射用パスロン (ニプロ)
    注:10・50mg/V注射用フサン 
 注射用ベラブ(東菱・扶桑)
 注射用ナオタミン(旭化成)
 注射用コアヒビター(清水・武田)
最終更新:2010年10月09日 18:12