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杜代episode

ある日、突然始まった紛争をきっかけに六合夫の様子がおかしくなる。ふとしたときの表情やしぐさに、今までには感じることのなかった「冷たさのようなもの」を感じるようになる。六合夫が今まで見せなかった険しい表情や、人を憎むかのような言動に驚く杜代。時には言葉で、時には体で、杜代は六合夫の行方の知れないストレスを慰めてゆく。
しかし、そんなある日のこと。突然六合夫は部隊から姿を消す。何をすることも出来ない杜代。内心では狼狽しているものの、それを表に出すことも出来ない彼女は日々を追うごとに疲労を蓄積してゆく。

そして疲れきってかえってきた、今となっては一人暮らしの家に、一人の男が忍び込んでいた。顔も名前も知らないこの男は帰ってきた杜代を見るなり恨めしそうにこういうのだった。
「・・・てめぇが荒金の女か・・・」
その声に振り向く杜代を男は左手で殴り、そのまま片手で持ち上げてベッドへと放り投げた。驚きのあまり叫ぶ杜代の口を布切れでふさぐと、男は左手でナイフを杜代の首筋に近づけてこう言った。
「右手の借りだ。アンタに恨みなんてねぇけど、我慢しな。動くと殺すぜ。

その男の右腕は無かった。まるで万力にでもねじ切られたかのように肩口から千切れていた。持ち前の思考力で杜代はすべてを悟った。こんな状況でも思考力の鈍らない自分をのろいながら、その思考力によって予想された、これから行われる出来事のおぞましさに必死に抵抗しようとした。それでも、片手の男の腕力にさえかなわずに、杜代は愛する人間の侵した罪のために、長い時間をかけて入念に犯されたのだった。


追記
このとき、杜代のお腹にはこの男の子が宿る。それを誰かに伝えられる杜代ではなく、隠したまま過ごすことになる。後にもぐりの医者に中絶手術を受けるが、それまで自分の中で望まない命が生まれつつあることに嫌悪感とともにいつくしみに近い母性をも覚える。
最終更新:2007年12月03日 22:20
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