アメリカの失墜
2007のサブプライムローン問題を皮切りとした世界的な金融恐慌を発端として、それまでアメリカ政府がしいていた経済政策に対する信用が徐々に薄れ始めた。
それに対応するべく米政府は様々な革新的?政策を実施するが、どれも大きな効果を発することはなく、アメリカは2030年代まで他国(BRICsなど?)の経済、軍事的な台頭を許してしまう。
もはやかつての強いアメリカの姿を取り戻すことは、その思想自体が時代遅れなものとなり、世界はリーダー不在のまま統率が失われる。
それを受けてアメリカに籍を置き、ドルを基本としていた資本家連中はアメリカに変わる基盤を新たに創設するべく考えを巡らし始める。
そして可能ならば、今度は経済の波に左右されない浮沈の基盤を作るべく、世界各地の資本家たちに同じ不安を煽り、かつ結託することで「世界統一」というのが共益を得るためには一番の折衷案ということで一致する。
このような連絡会は主には美術品のオークション会場、関連企業の業界カンファ、環境問題の意見交換会、製品エキスポ、ショーなどを通じて秘密裏に行われた。
時折、○○会議、のような経済や開発のフォーラムが囮として行われ、タブロイド紙が秘密クラブの陰謀会議と報じ、逆にそのように扱われることで世間から鼻で笑われることによって、彼らは自身の真実の姿を隠匿することに成功する。
民間軍事力の拡散
PMC(プライベートミリタリーカンパニー)、PSC(プライベートセキュリティカンパニー)と呼ばれる、資本元を市場に置きながら、国家による軍隊、警察機構とはまた別の暴力装置としての役割を果たす軍事民間請負会社は、911テロに始まるアフガニスタン、イラクでの働きを経て業界規模を大きく成長させていた。
しかしながら不運というべくか、その後の世界情勢は、大きく成長した、というよりも肥え膨らんだある種肥満体となってしまった業界を満足に維持させるような、まとまった需要は発生せず2010年代からは世界的な景気難も相まって、低迷期を過ごすこととなった。
かつての企業活動スタイルと言えば、依頼元をたどっていくとほとんどすべてが超大国(8割方アメリカだが)の軍事活動に付随するものであった。しかし景気減速の結果として皮肉にも、少なくない数のPMCが政治的な拘束から解き放たれ、また技術的な革新やコストダウンの努力も相まってかつての相場よりもサービス価格は低下し、民間軍事力は世界中に拡散した。
その中で、同業のPMC同士の衝突(大規模で直接的な武力衝突)が起こる程ではないまでも、パイの奪い合いなどによって、2030年代中盤以降の中国での需要が発生する頃には、いくつかの企業グループ間では互いにあまりよくない感情を抱く程度の構造が出来上がることとなっていた。
2008/10/25/けん
最終更新:2008年10月26日 00:42