八雲紫は、外に出るのが俺だということを確認してから、荷物の中身を見せるようにと言ってきた
それで、まずはボストンバッグの中身から見せた
おむすびはボストンバッグに入れてたんだけど、持ち出せないのでここで食べなさい、と言われた
確か、持ち出しちゃいけないのかと聞いてみたはずだけど、結局、おむすびはその場で食べた
ボストンバッグのほうには、ほかには旅行の着替えくらいしか入っていなくて、特に問題はないようだった
次に、肩掛け鞄のほうを見せた
旅行のガイドブックや地図帳みたいなものが入っていたはずだけど、それには何も言われなかったと思う
鞄の中に入っていたペンケースの中に、里の人に「妖怪の牙」だと言われてもらった白いかけらが
あったんだけど、それは持ち出せないと言われて、没収された
ちなみに、「妖怪の牙」は一辺3cm程度の三角形の白いかけらで、やけにつやがあったり、
歯根がなかったりしたので、どちらかといえば本物の妖怪の牙だとは信じていなかった
でも、没収されるということになって、これはもしかしたら本物だったのかと思って聞いてみたんだけど、
なんか抽象的というか意味深というか、よくわからない説明ではぐらかされてしまった
ここまでだと、幻想郷内のものが外に出るのを止めてるようにも思えるかもしれないけど、
そうでもなさそうだった
このとき、里の子供にもらった蓮の葉を持ってたんだけど、それは持っていってもいいと言われた
蓮は、里の民家の軒先で陶器の鉢で育てられてたもので、多分特別なものじゃない
子供が葉っぱに水をかけたりして遊んでたので、それを横で見ながら、面白いね、とか、
おにいさんこういうの見るの初めてなんだ、みたいなことを、その子に言ってた
そしたら、子供が突然葉っぱを引っこ抜いて、俺にくれるような素振りをした
俺が、くれるの?と聞いて、子供がうなずくというようなやりとりがあったと思うんだけど、
それで、その子から蓮の葉をもらった
出るときには、すでに乾燥してドライフラワーみたいな状態になってた
結果的に、持ち出すことを正式に(?)認められて持ち出したのは、この蓮の葉だけだった
肩掛け鞄の中身に関してはそんな感じで、手荷物検査は終わりだったと思う
確かそれから、里のものでほかに何か持ってきたものはないか、というようなことを聞かれた気がする
何も持ってきたりはしていなかったはずで、これも問題にはならなかった
確か、八雲紫の俺に対する検査のようなものは、これで終わりだったと思う

それから、八雲紫に外に出てからのことを指示された
1年前にするはずだったこと、つまり普通の一人旅をしろ、ということだった
俺は、普通に一人旅をして普通に帰ってる場合じゃないんじゃないかと思って、そのことを尋ねた
八雲紫が言うには、幻想郷の外では、俺の1年前の旅行は予定通りに終わって、
1年後にもういちど旅行をすることになり、今はその旅行の途中ということになっている、とのことだった
家族や知人など、俺にかかわりのある人間も、そう認識しているということだったと思う
確かこのときは半信半疑だったはずだけど、帰るのが目的だったし、
この際八雲紫の言うことが嘘でもかまわないと思っていたような気がする
なので、どんな仕組みでそんなことになっているのかは聞くことがなかった
確か、八雲紫とのやりとりはそこまでだった
そのあたりで、博麗霊夢がふたりだけのやりとりに割って入ってきたと記憶している

話は終わったか、みたいなことから始まって、博麗霊夢と八雲紫は少し会話をしていた
内容は覚えていない
しばらく放っておかれたあと、じゃあ行きましょうか、というような言葉を博麗霊夢にかけられて、
いよいよ幻想郷から出ることになった
まっすぐ行けばいいだけだからひとりでも行けるけど、下まで送ってあげる、みたいなことを言われて、
一緒に石段を下りていった
八雲紫は来なかったと思う
確か石段の途中で、神社正面からまっすぐの方向に道なんてないことに気付いて、
道がないんだけど、と聞いてみた
返ってきた具体的な答えは忘れたけど、要するに、道はないけどそこをまっすぐ行け、ということだった
石段を下りきったら、お世話になりました、ありがとうございました、みたいなことを言った
博麗霊夢は、何か軽く言葉を返してきたと思うけど、これもよく覚えていない
確かこのとき、八雲紫にお礼を言うのを忘れたことに気付いたと思うんだけど、
覚えている限りでは多分何も言わなかった
そこで博麗霊夢と別れて、ひとりで森の中に入っていった

途中、どれくらい歩くのか聞いていなかったことに気付いて、不安になったことを覚えてる
結局、そこまで長くは歩かずに(多分30~40分くらいじゃないかと思う)、突然道に出た
舗装はされてなかったけど、幻想郷の道とは思えなかった
そこで立ち止まってると、遠くの道を走る自動車が見えて、自分が元の世界に戻ってきたことを理解した
気持ちの昂ぶりなんかで、その後もしばらく立ち止まったままだったと思う
正確な場所はわからないけど、出た場所は、入った場所の近くのようだった
それから、1年前に泊まるはずだったホテルに向かった
ホテルでは問題なくチェックインできて、本当に八雲紫の言うとおりになってるのかもしれない、
と思ったような気がする
その確認も兼ねてだったと思うけど、ロビーの公衆電話(携帯電話を持っていなかったので)から家に、
ホテルに着いたと報告の電話を入れた
電話に出たのは母親で、様子はいたって普通だった
なので、八雲紫の言ったことを疑うのはやめた
ホテルの部屋まで行ったらどっと疲れが出て、ベッドに倒れこんだ
でも、眠くはなかったので眠りはしなかったと記憶してる
これでひとまず、幻想郷から帰ってきた話は終わり

うっかり書き忘れるところだったけど、日記で確認したところ、
こちらに戻ってきた日は2003年8月29日の金曜日だった

話の順番があるし、はっきりしない部分もあるので書かなかったけど、
蓮の葉以外にも幻想郷から持ち出した(と思われる)ものがある
ひとつは枯れ葉で、もうひとつは縄のようなもの
枯れ葉は、ホテルに着いた晩、確かパジャマを出すのにボストンバッグを開けたときに、
中身の一番上に乗っていた
幻想郷から出てからこのときまでボストンバッグを開けることはなかったと記憶してるけど、
幻想郷にいるとき、笠間家で身支度したときも、カツさんからおむすびの包みをもらって入れたときも、
八雲紫に中身を確認されたときも、枯れ葉はなかったと思う
もちろん、自分でも入れていない
縄のほうは、自宅に帰ってきてから、荷物の整理をしているときに気付いた
肩掛け鞄の外側のチャックのついたポケットの中に入っていた
これも自分では入れてないし、そんなものが入るような状況はなかったんじゃないかと思う
このポケットは、八雲紫に確認されたときには開けなかったような気もする
身支度したときには多分開けたはず
でも、入れた覚えのない縄が入ってれば記憶に残ってるはずだけど、そういう記憶はないので、
そのときにはなかったと思う

家に帰ってきてからの生活は、正直言って居心地が悪いというか、気持ち悪かった
家族から、俺がいなかった(はずの)ときの俺の話をされたりして、
そういうときは、変に思われないか冷や冷やしながらごまかしてた
あと、前に書いた気になってた雑誌が、ちゃんと買い揃えてあったりもした
俺じゃない誰かが俺の代わりにいたのかと思うと、不気味で気持ち悪かった
そのせいで、幻想郷を、というか、幻想入りの仕組みを恨んだりもした
でも、そういう俺じゃない誰かがやったことで、東方を知った
パソコンのデスクトップにこれ見よがしに圧縮ファイル(だったと思う)が置いてあって、
それが紅魔郷と妖々夢の体験版だった
博麗霊夢は名前と服ですぐわかった
八雲紫は、製品版を買って妖Phを出す前に永体験版が出たので、それで知った
ほかにも、幻想郷内で見かけた妖怪は何人(何匹?)かいたけど、
それとゲーム中のキャラが(おそらく)同一人物だとは、すぐには気付かなかった

高田さんについて
まずは、高田さんの話
猟師のような格好をしていたけど猟師ではなくて、求聞史紀に書かれているところの、
“妖怪退治を仕事とする人間”らしかった
“らしかった”というのは、よくわからなかったということではなくて、
“妖怪退治を仕事とする人間”という表現からイメージするものとは、ちょっと違う気がしたから
高田さんの具体的な仕事は、確か、妖怪を探して山の中などを歩き回る、というようなことだった
妖怪を見つけたときの対応に関しては、割と曖昧な言い方をしていたと思う
少なくとも、必ず退治する、ということは言ってなかったはず
積極的に退治に行くのは主な仕事ではないらしかった
幻想郷に入って初めて会ったときも、仕事の最中だったそうだし、
最後の日に博麗神社まで同行してもらったのも、妖怪から身を守るためだった
ちなみに、髪がぼさぼさで髭も生えてて、と書いたけど、
普段は髭を剃っていたし、髪も割とさっぱりしてた
毛皮のベストも着てなかった
最初に会ったときの格好は、仕事をするときだけの格好らしかった
確か、自然なのが仕事には向いているから、というようなことを言ってたような気がする

仕事が妖怪退治だということは、高田さんと再開する前には知っていたはずだから、
多分太良から聞いて知ったんだったと思う
太良と高田さんは知り合いで、太良は確か、
俺のことも高田さんから聞いて知ったと言ってたような気がする
高田さんと再会したのも、俺が里に来てすぐ(数日後~2週間後くらい?)のころに、
太良に誘われて高田さんの家に行くことになったからだった
高田さんの家は、俺の組や太良の組とは別の組にあった
建物は、笠間家と似たような木造の日本家屋に見えたけど、大きさはだいぶ小さくて、
組の中では質素なほうだったと思う
一度だけしかお邪魔しなかったので、中の間取りとかはあまり覚えてないというか知らないけど、
三人で話をしたのが畳の部屋だったことと、
仕事の道具が置かれていたのが薄暗い板の間だったのは覚えてる
話の内容は、世間話だったり、もう慣れたか、困ったことはないか、みたいなものもあったはずだけど、
よく覚えてるのはやっぱり、妖怪に関すること
多分、危険な目に遭わないようにと俺の身を案じて、妖怪のことを教えてくれたんだと思う
いちばん覚えてるのは、妖怪の領域に入らなければ、危険な目に遭うことはまずない、という話
里や田畑など、人間が手を加えて利用してる場所は人間の領域だから安全
場所だけじゃなくて時間にも領域みたいなものがあって、日が落ちて暗くなってからは妖怪の領域だけど、
自然なリズムで寝起きして生活してる分には危険はまずない
みたいな話だった
今思うと本当に基本的なことだけど、当時は最悪の事態だけは避けないと、と思ってたはずだから、
それで強く印象に残ってるんだと思う
あとは、冗談か本気かわからなかったけど、「もし妖怪に襲われそうになったら俺の名前を出せ」
ということも言われた

里を囲む柵というか、囲いについて

始めのほうでは柵としか書かなかったけど、実際には、いろいろなものが混在していた
生け垣、石垣、煉瓦塀、土塀など
変わったところでは、地面から生えてる木の下のほうの枝を払って、
横に竹だったか丸太だったかを渡して柵のようにしてるものもあった
囲いの高さはそろってなかったはずだけど、木に横木を渡したもの以外は、
どれも、高いところでも3メートルもなくて、低いところでも人の身長よりも高かったと思う
ちなみに、南側(里への出入り口がある方向)はすべて柵だったはずで、南側から里に入ったから、
最初に書いたのは間違いというわけでもない
よくこの囲いの外側を散歩したりしてたんだけど、いつもどこかしらで工事?をしていた
最初は妖怪に壊されたのかと思ってちょっと怖かったんだけど、笠間家に近いところで工事があったときに
遠吉さんとカツさんに聞いてみたら、どうもそうじゃないらしくて安心した記憶がある
定期的に工事をしていて、別に壊れたりして直してるわけじゃない、という話だったと思う

前にも書いたかもしれないけど、この囲いの南西(南側の辺の西端)と北東(北側の辺の東端)に門があった
門自体は、木の板を並べたようなタイプのものだったと思う
北東の門はほとんど使ったことがなかったので、あまり覚えていることはない
南西の門の近くには、もともと櫓(やぐら)があったらしかった
柵の内側と外側にふたつずつ、直線で結ぶと正方形になる位置の地面に、くぼみがあった
誰に聞いたのか忘れたけど、このくぼみの位置に櫓の脚があったという話だったと思う

囲い全体は、ごく大まかには正方形かそれに近い長方形をしていて、
その範囲から飛び出したいくつかの建物などを取り込むように、囲いが拡張されてる感じだった
飛び出した建物を覚えている範囲で書くと、鶏舎らしき小屋、水車小屋、
陶磁器なんかを焼く窯?があるらしい建物なんかがあった
ほかにもいくつか建物があったはずだけど、何の建物なのか知る機会がなかった

塩のことを思い出したので、後回しにしてうっかり忘れないように、今のうちに書いておく

といっても、幻想郷での暮らしの話題のときによく話に上る、
塩の出所はどこか、という話ではないし、ヒントにもならないんじゃないかと思う
じゃあ何を思い出したのかというと、木の札を塩と交換していた、ということ
札が配られて、それを決められた店に持っていくと、決められた量の塩と交換してもらえる、
ということになっているらしかった

確か山木さんが札を配っていたはずなので、たぶん、その札は組頭の人が配るものなんだと思う
札が配られる頻度はよく覚えていない
というか、別にいちいち俺に知らされるようなことでもないので、知らないと言ったほうが正しいか

札の大きさは、縦16~19cm、横8~10cm、厚さ1~1.5cmくらいだったと思うけど、
さすがに記憶が古いので、正確さに関しては当てにしないでほしい
ただ、上に書いたくらいの、手のひらに乗せるとはみ出すくらいの大きさの長方形ではあった
札の片面には大きく「塩」と書かれていて、もう片方の面には漢数字が書かれていたはず
書かれていた漢数字は覚えてないけど、毎回違う数字だったということは覚えてる

決められた店というのは、確か飲食店が多かったみたいだけど、
俺が聞いた限りでは、雑貨屋みたいなところでも取り扱ってる、ということだったはず
俺も2回、カツさんに頼まれて、札を持って塩をもらいに行ったことがあった
札と、壷だか甕(かめ)だかを持たされて、よく行く蕎麦屋に行った
塩をもらいに来たという旨を店の人に伝えて札を出したら、塩を入れてくれるというので、
壷だか甕だかをあずけたら、あまり待たないうちに塩が入れられて戻ってきた
というような感じだったと思う
なので、塩を入れるところなどは見ていない

ちなみに、当時の俺は恥ずかしながら、幻想郷のような閉鎖された山奥で塩が手に入ることに
疑問を持たなかったので、塩の出所を尋ねたことはなかった

遠吉さんの友達の話をしようと思う


木島下介(きじま げすけ)さんという人で、確か、遠吉さんの幼馴染みだと言ってた
“すけ”の字はもしかしたらほかの字だったかもしれないけど、とりあえずこの字としておく
下介さんは妖怪関係の仕事の人たちの組に住んでいて、お札(ふだ)のようなものをつくっていた

初めて会ったのは、遠吉さんに連れられて、下介さんのお宅にお邪魔したときだった
時期ははっきりとは覚えていないけど、里に来てからそれほど経っていなかったと思う
ちなみに、お宅にお邪魔したのはこのときだけ
家のつくりは、よく覚えていないし、
そもそも俺の知識ではどんな分類の建築なのかはっきりとはわからないような感じだったはず
確か、外壁が白かったような記憶はある
あと、通された部屋は和室だった

まずは例によって、遠吉さんがおたがいをおたがいに紹介して、
それから自己紹介みたいなことをしたり、いろいろ話したりするような感じだったと思う
確か、その中で、お札をつくっているということを聞いたはず
ほかに印象に残ってるのは、下介さんの名前の話
変な名前だろ?というようなところから始まって、
3人兄弟で、上から上介(じょうすけ)、中介(ちゅうすけ)、下介なんだよ、
って言うとみんな、4人目が生まれてたらどうしてたんだ、って言うんだよ、
それで、すぐに名前を覚えてもらえる
と、大まかには、そんな話だった
それともうひとつ、お札に絡んだ話を聞いた
お札も含めたお守りの類は、身を守ってくれることもあるけど、
持たないのもひとつの手だということだった
里の人たちは普段お守り等を持ってはいないので、
持っている人間は、何かお守りを持たなければならない事情があるのではないかと妖怪から怪しまれる、と
だから、ちょっと里の外を出歩くくらいなら、
場合によっては持たないほうが安全かもしれない、というような話だった

下介さんは、お手伝いの女の人と2人暮らしらしかった
お手伝いさんは、割と若くて、三十代前半くらいの感じだったと思う
名前はたぶん、聞いていない
お手伝いさんとはその後、町中で何度か会ったけど、挨拶する程度の交流しかなかった

下介さんとも、その後何度か外で会った
外というのは、家の外というだけじゃなくて、里(囲いの内側)の外ということでもある
囲いの工事のことを前にも書いたけど、それに参加している下介さんに、何度か会った
といっても、肉体労働じゃなくて、囲いにお札を貼っていた
挨拶して一言二言話したはずだけど、内容はあまり覚えていない
たぶん、妖怪除けのお札を貼ってるんだよ、というような、
何というか、当り障りのないことを聞いたんだったと思う

ちなみに、下介さんは眼鏡をかけてた

今回は、富山(とみやま)さんという人の話


この人は、里の中心より少し東寄りのあたりに住んでいたはず
そこで、外の品を集めた博物館のようなものを開いていた
例によって、そこには太良に誘われて行った
ここには何度か行ったけど、初めて行った時期は覚えていない

博物館といっても、建物はほかの店なんかとあまり変わらなくて、中だけ改装したような感じだったと思う
なので、それほど広くなくて、確か、入りきらないものが建物の裏手に置いてある、という話だったはず
展示品は、小さめのものが多かった印象がある
覚えてるものを書いていくと、腕時計、ジュースの缶(空かどうかは記憶にない)、電動ドリルらしきもの、
ロボットのおもちゃ(たぶんプラスチック製)、登山用らしき靴、炊飯ジャー、自動車のハンドル
なんかがあったと思う
大きいもので覚えてるのは、何かのマスコット人形
ペコちゃんとかカーネルサンダースみたいな、店頭に置いてあるような、あれ
男の子のキャラクターだった
それから、自転車
あと、何か大きくて複雑な機械があった

展示品の横には、簡単な説明が書かれた紙があった
富山さんに、説明が間違っていたら言ってくれ、と言われたけど、特に指摘することはなかった
説明の内容はあまり覚えてないけど、外から来た人たちから聞いて書いてると言ってたはずだし、
見当違いな説明はなかったと思う

前に、背広を着てる人がいた、と書いたけど、これは富山さんのこと
富山さんにとっての、「外の人っぽい格好」らしかった
それから、「妖怪の牙」をくれたのも、この富山さん
最初に会ったときに、何か外のものをもらえないか、と言ってきたので、
あとでシャーペン(振ると芯が出るやつ)をあげた
もらえたらいろいろ面倒見るから、というようなことも言ってたんだけど、俺は話半分で聞いてた
実際、普段の生活でお世話になるようなことはほとんどなかったんだけど、
富山さんは気にしてたみたいで、俺が外に帰るということになったときに、
何もできてなくて悪いから、ということで俺にくれたのが、妖怪の牙だった


富山さんについて話せることは、こんなもんだったと思う   

前回の話にちょろっと自転車が出てきたけど、自転車屋のようなことをやってる人もいた


名前は忘れてしまった
たぶん40代くらいの男の人だった
家の場所は、よく覚えていない
家の造りは、それほど変わってはいなかったと思うけど、土間が広かったような記憶がある
というか、この土間に自転車等が置いてあって、俺は、そこより先には上がらなかった
初めて会ったのは、富山さんからこの人のことを聞いて、自分から会いに行ったときだったはず
富山さんからは、自転車を持ってる人がいる、というようなことしか聞いてなかったはずだけど、
行ってみたら、自転車そのものは割ときれいなものが何台かあったし、
予備の部品まであったので、びっくりしたのを覚えてる
確か、外から来たものを拾ってきてると言ってたはずだけど、
どこで拾ってるのかまでは聞かなかったと思う
一部の部品は職人に作ってもらってる、ということも言ってて、それにも驚いた記憶がある

自転車に乗らせてもらったりもした
いわゆるママチャリで、里の外を1周して帰ってきただけだけど、
乗り心地はこちらの自転車と変わらない感じだったと思う

この人は、自転車を里の人に広めたいと言ってた
里の人には、自転車はあまり受けがよくないらしかった
何かいい案があったら言ってくれ、ということを言われたけど、役に立ちそうな案は特に思いつかなかった
あとで、移動販売みたいなことに使えるんじゃないかと思ったんだけど、
そういうときに限ってなかなか会う機会もなくて、結局言えずじまいになってしまった
まあ、今になって考えてみれば、そういうの(移動販売に使う案)も含めて受けがよくなかったんだろうけど


自転車屋の人のことで覚えてるのは、これくらいだと思う

.>たしかに自転車で移動と言っても里の中くらいだろうからね
.>そういえば人里ってどれくらいの面積あるんですか?
前にも書いたけど、目測で距離とか測るのが苦手なので、ちょっとはっきりとしたことは言えない

.>幻想郷の自転車ってアレかな?
.>①「前輪がデカくて前輪にペダルの付いてるヤツ」(明治大正風)
.>②「氷屋さんが使うようなステー式のブレーキの付いた重くてガシッとしたヤツ」(昭和初期風)
.>③「リトラクタブルライトやスーパーカー風なチェンジレバーやリレー式ウィンカーとか付いた”ああそんなヤツ昔流行ったねぇ”なヤツ」(80年代ブームの遺産風)
自転車屋の人のところでは、少なくとも①や③ほど特徴的なのは見なかったと思う
でも、富山さんと同じで、建物の裏手だかどこだかにも置いてあると言ってたような気がするので、
そこにはあったのかもしれない


自転車の人のことを書いてたせいか思い出したけど、カメラを持ってる人もいた


最初に見かけたのは、確か、里の商店街でカメラを構えたりしてるところじゃなかったかと
そのときは本当に見かけただけで、話したりはしなかった
それから、里の中や外(といってもせいぜい田畑があるあたり)で、同じようにカメラを構えたり、
カメラを持って歩いてるところを何度か見た

初めて話したのは、里の囲いの周りを散歩してたときだった
確か、カメラの人も囲いの周りをカメラを持って歩いてて、
俺が会釈したら、向こうから話しかけてきたような感じだったと思う
会話は、散歩ですか、みたいな普通の話から始まったはずだけど、
途中で、外から来た人か、ということを聞かれた
里の人よりも外来人のほうが注目してくるらしくて、
俺がこの人のことをよく見てた(自分ではそうでもないつもりだったけど)ので、外来人だと思ったらしい

話をしているうちにわかったんだけど、実は、カメラにはフィルムが入ってなかった
デジカメというわけではなくて、フィルムが貴重だから、
普段は撮ったつもりでシャッターを切ってるだけらしかった

カメラについては詳しくないので、ほかに書けることは、古めかしかった、ということくらいしかない

その後この人とは、たまに顔をあわせたときに、挨拶したり世間話のような話をしたりする程度で、
カメラや写真について話すことはなかった
名前も聞かなかったと思う


カメラの人についての話は、こんなもんで終わり

ちょっと話の腰を折って申し訳ないが、言っておかないといけないことができた
個人的な事情で、少なくともしばらくは書き込みができないことになりそう
なので、また来る可能性は否定しないけど、ひとまず書き込みは終わりにしようと思う


961 ◆c4LRmOpHrY [sage] 2011/12/28(水) 18:13:39 ID:zhVhfn3M0
これでひとまず、俺の幻想郷での体験の書き込みは終わりにします
こんな内容でスレをだいぶ消費してしまって、何というか申し訳ない
まだ書けていないことも多いので、本当はもっと続けたいんだけど、
でもまあ、とりあえず今はここでやめときます

スレ住人のみんなのことを、これからは陰ながら応援したいと思います



べつにみんなを信用してなかった訳じゃないけど、ここまで続けられるとは思ってなかった
てっきり、すぐに釣りや嘘扱いされて追い出されるんだろうな、と
ついに(ひとまず)終わりかと思うと、寂しいと同時に感慨深いです
リンボーダンスでもしたい気分です

(編集者注:縦読み)

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最終更新:2022年06月19日 00:31