蒐集家の気ままな散歩

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蒐集家の気ままな散歩

色んな街に現われて、お土産を持って帰ってくる[[彼女>気まぐれ蒐集家]]の事を知らない人は意外と少ない。
名前や素性は知らなくても、外見の特徴や素振り等を説明すると、
決まって人々は『あぁ、あの人のことか!』と口を揃えて言う。
それでも人の居ないところに行くと、彼女の痕跡は一度途切れる。
今回彼女が訪ねたるは、人の痕跡など皆無の水平線まで続く一面の水溜まり。

空(うえ)を見上げれば、途切れることのない何処までも長い入道雲。
目の前には寄り添うように佇む大小二本の木。
歩く度に僅かに広がる水面の波紋が、人のいないこの場所での彼女の存在のようで、
まるで最初からそこに在ったかのように自然だ。

彼女が旅先から何も持って帰らなかった時、人々はそれを散歩と称する。
ご近所さんたちにとって、その時の土産話も楽しみの一つなのである。

***関連項目
[[気まぐれ蒐集家]]
[[蒐集家の気まま旅]]

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