《幻灯機への試み/Attenmps for lantern》
技術大国、兵器大国としてera2の終わりには圧倒的な武力を誇るソルグレイユも、
発展中期には国力の少しを兵器とは関係のない部署に回していたこともあった。
その一つが、この《幻灯機/lantern》である。
事の発端は、ある科学者がホログラム装置を海底からサルベージしたことだった。
彼は国に何回も研究費を回すように要請し、ついに少ないとはいえ、ある程度の費用を手に入れた。
彼の夢は、赤茶けた、荒廃した地球に見せかけでも緑を取り戻すことであったし、
同時に、愛娘の笑う姿を見ることでもあった。
研究成果は徐々に現れ始め、ついには、辺りを緑で覆われたように見せたり、
人に白い羽が生えたように見せることすら可能になっていた。
なお、この成果を報告した直後に、国家間の緊張が高まり彼の研究費は大幅に削られた事、
そして、この技術が戦闘用の技術に流用されたことも、記しておく。
『「ねぇ、お父さん。綺麗に見えるかしら」
私はそれだけのために研究を続けていたのだ。――続けていたのだ』
―――研究者、最後の言葉
最終更新:2022年08月31日 18:23