栄光の結晶
禁書の封印を解いたことで、封じられた怪魔に飲み込まれる
モンモラス。
既に正気でなかったモンモラスは怪魔と一体化しつつあり、辺り一帯を破壊しながらその猛威を振るう。
この破壊を止めるべく、手練の悪魔祓いですら足止めが精一杯な絶望的状況下、
アーサーもまた不可視の聖剣の力を解き放ち、その真の姿を顕現させようとしていた。
目標を聢と見つめ、黄金の剣を構え直す。
「―――機は、満ちたり」
柄を握りしめる両腕に渾身の力を込めて、騎士王は黄金の剣を振り上げる。
『私は暗く狭い蠢く空間に縛り付けられていた。しかしそれでも、感覚ははっきりしていた。
何かにぶつかる感触も、何かに身体を切りつけられ切り裂かれる感覚もはっきりあった。
痛い、痛い、痛い。
何故私はこんな所にいるのか。何故私はこんな目に遭っているのか。嫌だ、はやくこんな場所から逃げ出したい。
出口を求め彷徨っていると私は一筋の光を見た。
煌々と輝きながらも決して不快でなく、むしろ暖かく心地いい。
何時だったかに触れたことのある、懐かしさすら覚える感覚。
次第にそれは私の全身を包むように輝きを増し、やがて全てを金色に染め上げる。
そうだ。私は知っている。
――これは、あのコがくれたもの。あのコと分かち合ったもの。もう一度ほしいと願ったもの。
何だ…ここにあったのか。…もっと早くに気付けばよかった。
――私は……一体――。』
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最終更新:2022年08月30日 22:10