山口県、原発建設工事の中断を申し入れ
山口県の二井関成知事は14日、福島第一原発の爆発事故を受け、
中国電力が進める上関原子力発電所について、建設工事の中断を同社に申し入れたことを明らかにした。
同社の松井三生副社長と13日に会談した西村亘副知事が、
上関原発が福島第一原発と同じ沸騰水型であることに触れ、
「国と東京電力の対応を見極め、必要な措置を講じてほしい」と、工事中断を求めた。
松井副社長は「申し出の趣旨は重く受け止める」と答えたという。
中電によると、上関原発はマグニチュード(M)8・6の地震を想定し、4・6メートルの津波に耐えられる護岸を整備する計画。
二井知事は「今回、上関原発で想定する規模を超す地震(M9・0)が発生し、事故が起きたのだから、
国や中電は今後どうするかを考えることになるだろう。工事を中断して対応してほしい」と述べた。
★上関町も工事自粛を求めた原発危機、玄海町長「安全神話崩れかけている」
事故が続く福島第一原発で高い放射線量が観測された15日、九州・山口の原発の関係者から一斉に不安の声が上がった。
山口県が13日に建設中断を要請した中国電力上関原子力発電所(山口県上関町)。
15日午前には共産党県東部地区委員会の幹部らが町に工事中止を要望し、
下村正和・副町長は「町としても中電に工事自粛を求め、福島原発について情報収集をしている」と話した。
九州電力玄海原子力発電所がある佐賀県玄海町の岸本英雄町長は「安全神話が崩れかけている」。
14日に町議会原子力対策特別委員会で、九電側から対応策などの説明を受けたばかりだったが、
町長は「再度、特別委を開くよう議会側に要請したい」と話した。
また、福島県白河市で給水支援をしていた山口市上下水道局の職員4人は15日午前、群馬県内に退避。
福岡市は15日夕に下水道関係などの職員8人を仙台市に派遣予定だったが、出発を見送ることにした。
一方、九州電力は「情報収集に努め、技術者の派遣や資機材の支援などできる限り協力したい。
玄海、川内原発については最大限の注意を払い、安全運転に努めていく」とのコメントを発表した。
(2011年3月15日 読売新聞)
最終更新:2011年09月06日 17:19