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第16回 要旨

連絡事項

第16回 2005年10月8日(土)
場所(予定): 愛知工業大学(愛知県豊田市)
日時(予定): 10月8日13:30~ 勉強会(愛知工業大学 地域防災研究センター)
    10月9日10:00頃~ 巡検 (海上の森と豊田・瀬戸近辺)

富山大学と名古屋大学で定期的に行ってる勉強会です.
どなたでもご自由に参加できます.
ぜひ,ご参加ください.
発表もお待ちしています.
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勉強会のお知らせ

10月8日(土),9日(日)に愛知工業大学にて,地形・地質学勉強会を開催します。1日は巡検の予定です。
地形・地質を勉強している若手を中心とした気軽な会です。
(人文地理学や地球物理学を専門にされている方も参加されています)
可能でしたらご参加ください。
(当日の飛び入り,1日だけの出席でも結構です)
参加を希望される方は担当者まで連絡をお願いします。

また,発表や巡検に行きたい場所なども募集しておりますので,話題のある方はよろしくお願いします。
なお、参加される方、発表可能な方、巡検の希望される方は8月下旬までにご連絡ください。
担当者:


日程概要
 10/8 13:30 愛知工業大学集合
                      勉強会(6人程度の研究発表)
            多治見に行きチェックイン
                     懇親会(多治見周辺)

 10/9 10:00頃~ 巡検(車を使用)
            16:00頃  解散(愛知工業大)




新潟県西頸城地域の活構造

前川 拓也(富山大学)

 日本海東縁には短縮テクトニクスに伴う逆断層,背斜構造が発達しており,20世紀だけでも6回の被害地震が発生し,地殻変動が活発である.新潟県南西部に位置する高田平野西方の西頸城地域において,いくつかの古地震が知られており(宇佐美,1996),近年の研究としてOkamura(2003) では,3つのスラストシートから構成される地質構造モデルを提案している.国道8号線に沿った水準測量データからは鳥ヶ首岬から茶屋ヶ原にかけての範囲で,平均変位速度1.5~2m/kaと見積もられ,この地域に活構造が存在している可能性が考えられる.
 赤羽・加藤(1989)では,この地域で海成段丘の存在を報告しているが,未だにテフラを用いた形成年代の推定は行われていない.本研究では西頸城沿岸に分布する海生段丘の年代を推定し,この地域の活構造の形態を考察することを目的としている.
 鳥ヶ首岬付近に分布する2面の段丘を覆う風成層中には,AT,DKP,K-Tz,が確認された.よっていずれの段丘もK-Tzの降下時期(9.5万年前)よりも古いと考えられるが,上位の段丘は風成層下部が赤色化しており,最終間氷期以前に形成された可能性が考えられる.


飛騨山地北縁のネオテクトニクスと牛首断層

道家 涼介(富山大学)

  牛首断層は,岐阜県大野郡白川村から富山県富山市大山町に至る,長さ約60 kmの右横ずれ断層である.本断層は,跡津川断層や茂(も)住(ずみ)‐祐(すけ)延(のべ)断層等の一連のNE‐SW走向の右横ずれ断層からなる跡津川断層帯の北縁部に位置する活断層である.牛首断層の最新活動は約1000年前,再来周期は4000~5000年と推定されている(宮下ほか,2004a, b).本研究の目的は,テクトニックな変動に富む飛騨山地北縁部において,牛首断層が過去どの様な変動のイベントがあったのかを明らかにし,同時に,飛騨山地北縁における地震テクトニクスを考察することである.今回は,特に牛首断層の上下成分について発表する.
 断層の上下変位の基準としては,飛騨山地に広く分布する飛騨準平原面が有効である.飛騨準平原面は飛騨山地の稜線部に分布する標高1200~1600 mの準平原面である.跡津川断層帯の各断層を境に,飛騨準平原面は北西側が高いことが知られている(例えば,竹村・藤井,1984).しかし,牛首断層の東部においては,その北西側に飛騨準平原面の分布は無く,それを変位基準とすることはできない.
 牛首断層東部,神通川の支流,熊野川の断層屈曲部において,Hasibateer(2003)が報告した破砕帯は,N48°E / 75°Sの走向・傾斜を示し,北東側に30°プランジした条線が認められる.この条線に沿うような右横ずれ変位を考えると,上下成分は北西落ちとなる.
 また,牛首断層の東端部,亀谷集落において,新たに活断層露頭を確認した.この露頭においては,断層の北西側に露出する砂層が断層近傍で引きずり上げられた構造が見られる.また,この露頭の周辺において,立山火山第二期の火砕流堆積物である称名滝火砕流(12~13万年前;町田・新井,2003)から成る地形面が,断層の北西側に対して南側が約60 m高い.
 以上の事から,牛首断層の東部,少なくとも熊野川以東の地域においては,南東側上がりの傾向が認められる.これは,断層西部で認められる飛騨準平原面の変位とは逆である.この様な東西の差異は,断層による河川の右横ずれ屈曲量にも認められ,跡津川断層系における地殻変動のパターン(Hirahara et al.,2003;松浦ほか,2003)や基盤岩の分布と関連があると思われる.


反射法地震探査データから見たガスハイドレートのBSR:日本海の事例

高山 典子(富山大学)

 近年,石油に代わる新しい資源として,ガスハイドレートが注目されている.日本周辺でも南海トラフを中心として存在が確認されているが,日本海においても北海道周辺や富山トラフでその存在が明らかになってきている.反射法地震探査により得られた反射断面にBSR(Bottom Simulating Reflector)と呼ばれる強い反射面が現れるのが特徴的である.しかし,奥尻海嶺ではODP(Ocean Drilling Program)Site796における掘削で,実際にガスハイドレートのサンプルが採取されているにもかかわらず,反射断面にBSRは現れていない.また富山トラフにおいて,旧地質調査所のデータでは明瞭なBSRを認めることができるが,旧石油公団のデータでは明瞭でない.本研究では,日本海側でガスハイドレートの存在が知られている富山トラフや奥尻海嶺における反射法地震探査データを再解析し,地域間での比較を行うことにより,ガスハイドレートBSR の有無の原因を探る.また,地質構造とガスハイドレートの存在についても考察を行う.

 ガスハイドレートBSRが反射断面上に現れない原因として,2つのことが考えられる.

①取得データの分解能の違い
 各データの分解能を算出した結果,BSRが明瞭である旧地質調査所のデータが最も分解能が高いことがわかった.この結果から,エアガンの持つ卓越周波数が少なくとも20~30 Hz以上でないとBSRが出現しないと推測できる.反射断面上でBSRが明瞭であるかどうかの違いは,データ取得時の分解能に影響されている可能性があると考えられる.

②ガスハイドレートと地質構造との関係
 ガスハイドレートの形成について地質構造との関係から見ると,富山トラフは日本海東縁変動帯から外れたところに位置し,弱圧縮の応力場にある.反射断面の解釈から,中期中新世以降はあまり大きな地殻変動を受けていないことがわかる.さらに,ほぼ中央を通るように,南北方向に富山深海長谷が形成されており,富山平野を流れる河川からの供給により,陸源有機物の堆積が進んできたと考えられる.このような環境で,富山トラフでは安定してガスハイドレートが形成され,ある程度の厚さを持ったガスハイドレート層を形成しているということが推定することができ,そのため,反射断面上に明瞭なBSRを認めることができると考えられる.一方で,奥尻海嶺は日本海東縁変動帯に位置し,強圧縮を受けている.ODP Site796の報告では,最上位の砂層の年代が約1.8 Maであると示し,これを隆起開始の年代としている.ガスハイドレートは形成されていたが,断層が隆起に伴い形成され,そこからのガスの散逸なども考えられるため,断面上に現れるほどの厚さを持たず反射断面上でBSR認めることができないと考えられる.


航空レーザー測量データの地形学的応用

平松 孝晋(アジア航測)

本発表では、航空レーザー測量の利用事例の紹介とともに、地形学への応用の可能性と課題について述べる。 航空レーザー測量とは、航空機に搭載されたGPS、IMU(慣性航法装置)、レーザー測距装置により、地表面の標高データを高密度・高精度で取得する技術である。従来の手法(航空写真測量・等高線)とは異なり、①ある程度の植生を透過して直接地表の標高を取得できること、②1m程度の高解像度データを取得できること、③ディジタル工程のため処理時間が短く直接GISに取り込める、などの利点がある。航空レーザー測量による高解像度DEMデータの普及が始まったのはこの数年間であるが、氾濫解析、森林管理、斜面防災などの分野では盛んに利用されている。地形学における適用事例は未だ少ないが、今後、地形学的な研究が急速に進展すると思われる。
 そこで、地形学分野での先進事例(変動地形・地すべり地形の解析:USGS, 2003;Jordan and Csillag, 2002: 自動地形分類手法:Wood, 1998; MacMillan, 2002, 横山ほか,1999; 千葉ほか,2003)について説明し、画像処理手法(斜度・曲率・開度などの特長抽出)、表現手法(赤色立体地図・傾斜陰影図・3 次元モデル)の有用性を示す。


微動アレー探査法を用いた地下地盤構造探査

倉橋 奨(愛知工業大学)

 地震防災を考える場合、その地域でどのような震動が起こるのか、つまり強震動を予測することは重要なことである。地震動は、震源特性、伝播経路特性、地域サイト特性の3つの要素で特性が決まるとされている。このうち、地域サイト特性とは地震基盤より上部層により地震波が増幅されることによる特性である。このことから、基盤を含めた地盤構造を推定することは地震特性を知る上で必要なパラメータのひとつである。特に、建物被害に関しては上下動より水平動によるものが大きいため、S波速度の増幅特性が重要視されている。
 基盤を含めた深部地盤構造を推定する方法としては、反射法地震探査、ボーリング調査などがある。これらの手法は、精度よく推定することができることから精査法と呼ばれる。しかし、高コストであり、また多大な労力が必要とされる。それに比べ、経済的で容易に実施できる方法が微動アレー探査である。このことから、近年、堆積平野で盛んに実施されている手法の一つである。
 微動とは、工場や交通振動などの日常に起因する振動や波浪や風などの自然現象による振動により常に揺れている地盤の振動のことであり、これは、時間的・空間的に定常であることが知られている。この性質を利用することにより、レイリー波の位相速度を検出し地盤構造を推定する。地盤の振動には、実体波(P 波、S波)と表面波(レイリー波、ラブ波)が存在する。このうち、表面波には各周波数により位相速度が違う分散という特性がある。これは、波長の長い長周期は地盤の深いところの影響を受け、また、深部地盤は一般的に硬いことから位相速度が速く、逆に短周期の位相速度は遅いという特性である。この分散特性は各地点により異なる、つまり、その直下の地盤構造を反映した分散特性を得ることができるのである。一般的には、縦軸を位相速度、横軸を周波数(周期)にとりプロットした分散曲線で表される。
 この分散曲線から、地盤構造を直接もとめる方法は、現在のところ提唱されていない。よって、現在では、微動アレー探査を実施した周辺で知られている既往のデータを基にして逆解析を行い、その直下の地盤構造を推定している。微動アレー探査は、微動を用いることで容易に実施できるが、それゆえに不確定要素があり、また、直接地盤構造が求められないことから、時に精度の良くない結果をもたらすこともある。このことが概査法と呼ばれる所以である。しかし、他の手法と違い、地震防災に必要となるS波速度構造が直接求められるため、精度を上げるための研究がさらに必要であり、有益であるといえる。


島畑景観における一考察

工藤 邦史(名古屋大学)

 島畑は水田開墾のために地面を掘下げた土砂を盛り上げ、島状にした所を畑としたものである。島畑の形成に関しては水田を作るうえで水利的に不便な所、つまり段丘や自然堤防といった標高が高く直接的に水を引けない所に作られているという特徴がある。河内・旧大和川流域は低地で排水が困難な所に綿栽培の島畑があったが、夏季になると今度は旱魃に見舞われるほど水不足の多発した地域であることから、やはり水利的に不利な地域である。これは愛知・一宮の島畑も犬山扇状地に当たる部分で形成されている所からもわかるように、微高地を水が引ける所まで掘り下げた結果の産物である。
 形成の年代については従来研究で考察がされているが、少なくとも記録から近世には存在し、あるいは中世までさかのぼる可能性も指摘されている。近世期の「寛文村々覚書」によると、現在の一宮市三ツ井における田畑合計に対する田の割合は約34%ほどであり、濃尾平野の一部にも関わらず水田が少なかった。これは自然堤防・扇状地の末端で水利的に不利な耕作条件を克服するため、島畑が多く作られたことを示している。
 島畑は圃場整備・区画整理が進むにつれ、姿を消していった。ある程度の規模として存在しているのは「農林水産業に関連する文化的景観の保存・整備・活用に関する検討委員会」(文化庁文化財部記念物課)に記載された愛知県一宮市と京都府城陽市のみである。そのような貴重な農業景観であるにもかかわらず、実質的な保護・維持活動は行われてこなかった。現在では島畑はセイタカアワダチソウで覆われ、今後市道の整備の行方如何では姿を消す方向にある。かつて沢山見られたものの、今消えようとしている農業景観を記録していくことが、目下のところの調査の目的である。
最終更新:2006年03月23日 12:17
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