アットウィキロゴ

第20回地形・地質勉強会 発表要旨(道家)

跡津川断層東部,岐阜県飛騨市神岡町佐古における断層露頭とその意義

道家涼介 DOKE Ryosuke (富山大学D2)

はじめに
 跡津川断層は富山県と岐阜県の県境に位置する,長さ約64 km,NE-SW走向の右横ずれ断層である(活断層研究会,1991).本断層は,併走する牛首断層らと共に跡津川断層系を構成する.跡津川断層の最新活動は1858(安政5)年の飛越地震に相当し(宇佐美,1987),東西2地点でのトレンチ調査の結果からも,その活動が裏づけられている(跡津川断層トレンチ発掘調査団ほか,1989;粟田・佃,1993;Takeuchi et al., 2003など).本研究では,跡津川断層東部,岐阜県飛騨市神岡町佐古集落付近において,同断層の活動履歴にかかわる未報告の断層露頭を確認し,記載を行った.
 調査地点である佐古集落は,断層に沿って南西方向に流下する跡津川の右岸に位置し,同河川が高原川に合流する土集落付近では,高原川が約3 kmにわたり右横ずれの屈曲を示す.また調査地点周辺は,跡津川に注ぐ支流が系統的に数100 mの右横ずれ屈曲を示し,上流の太田和集落では,横ずれ変位に伴う河川争奪によって無能河川となった流路跡が段丘面上に認められる(東郷・岡田,1983).今回新たに確認した断層露頭も,佐古集落の東において,約500 mの屈曲を示す支流沿いに位置する.


露頭1
 本露頭では,手取層群の砂岩泥岩互層を起源とする崩積土が,N43°E80°NWの断層面を介し,支流性の河床堆積物層に見た目上のし上がり接する.崩積土層中には,跡津川断層とは明らかに斜交するN-S走向の剪断面が認められるほか,各所に,非対称で不連続な変形構造が認められる.また,全体として,手取層群の砂岩起源の箇所と泥岩起源の箇所が明瞭に区分でき,ブロック的な移動をしてきたと考えられる.一方,河床堆積物は,現河床と同じく,飛騨変成岩起源の礫および砂からなり,一部炭化した木片や葉片を含む.断層の南西延長上の露頭壁面の崩積土中には,断層が認められず,断層活動以降にも地すべりを起こしている可能性が示唆される.

露頭2
 本露頭は露頭1の約30 m上流に位置する.本露頭では,手取層群がおよそN20~40°E60°Wの断層面を介し,河床堆積物にのし上がり接する.手取層群は大きく破砕され,同層を起源とする灰~暗灰色の厚い断層ガウジ帯を形成する.また断層面近傍には,手取層群中にしばしば存在する珪長質貫入岩が認められ,それを起源とする小礫がガウジ帯内部で変形により引き伸ばされた構造が観察できる.河床堆積物は,露頭1のものと同質であるが,腐植分を含む砂礫層を挟む.また,断層近傍では破砕を受け粘土化し,一部は押し出され,上盤側に貫入する.断層面は露頭1に比べ低角で,走向も北よりになる.しかし,露頭の北西延長では,走向が東よりになり,跡津川断層の一般走向に近づくため,本露頭は,断層面の微小な屈曲部を見ていると考えられる.

おわりに
 岐阜県飛騨市佐古において跡津川断層の露頭を新たに発見した.これらの露頭は,断層の活動履歴に加え,断層運動と地すべり発生の関係や,露頭スケールの微小な屈曲部における断層の振舞いを理解するため重要であると思われる.

文献
跡津川断層トレンチ発掘調査団ほか, 1989, 地学雑誌, 98, p.440-463.
粟田・佃, 1993, 日本地震学会講演予稿集, 1993, 2, p.199.
活断層研究会, 1991, 新編日本の活断層, 東京大学出版会, 437p. 
Takeuchi et al., 2003, Geophys. Res. Lett. 30, 8011. 
東郷・岡田,月刊地球, 5, p.359-366. 宇佐美, 1987, 新編日本被害地震総覧, 東京大学出版会, 434p.

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2007年10月22日 00:43
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。