工藤邦史(名古屋大M2)
本報告は、名古屋大学環境学研究科社会環境学専攻の「社会環境学教育カリキュラムの構築」が、日本学術振興会の事業「魅力ある大学院教育イニシアティブ」に採択されたものに伴う調査によるものである。2006年12月15日~2007年1月3日および2007年9月29日~10月15日(但し報告者は10日まで)の期間、現地に滞在した。滞在中はNGO・GRAM
BANGLAの活動見学・参加、BUET (Bangladesh University of Electricity and Technology)
との交流会、そして各自の関心テーマに沿った調査を行なった。
報告者はバングラデシュでの木材資源の動きについて聞き取り調査を行なった。具体的には以下の3点について調査をした。まず1点目は農村部での燃料や木材調達の動き、2点目は材木の流通について、3点目は家具屋での木材調達についてである。この国はかつて国土の7%にまで森林が減少した。現在は18%までに回復するほどになっている。森林がCO2の固定源として必要性が増している現在、途上国での森林利用の実態を把握することは重要なことである。
まず農村部での資源調達についてである。住民は屋敷地(バリ)の中に屋敷林を持っており、これらの樹木を燃料・木材・食料に用いている。また燃料の不足分については周辺で薪を収集する行動が見られる。滞在していたタンガイル県バシャイル郡は、統計上の森林面積が0である。しかしながら、屋敷林という形で木材資源が存在し、住民はそれらを有効に利用している。また子どもの時から樹木の利用目的を知っており、小さい頃から環境認識の中に樹木の存在が備わっている。
次に材木屋で木材流通について同県ミルジャプール郡ハトバンガで聞き取りを行なった。タンガイル県では東部のショキプール郡を中心として森林が分布しており、ハトバンガは木材集積地として国内レベルでも重要な拠点となっている。実際聞き取りをしてみると国内各地に木材を輸送している実態を窺うことが出来た。
そしてハトバンガとバシャイル郡バシャイルの家具屋で木材調達について調査をした。ハトバンガで毎週水曜の定期市(ハット)で調達する店が多い一方で、バシャイルではショキプールから直接仕入れを行なう店が多い。加えて南西部のジョソールや西部のラジシャヒといった県外の遠方地から仕入れをする店も存在した。
以上の結果も含めて、バングラデシュでは現在でも木材の需要が非常に多いことがわかった。今回の調査で得られた定性的なデータのみならず、定量的なデータも含めてより木材の利用について検討することが今後の森林管理において重要になる。