坂本 勉(福井大)
近年さまざまな自治体や地域が,“エコミュージアム”の立ち上げを行い,地域の遺産や文化,芸能などの様々なものの地域住民主体の保存が盛んに行われており,1995年には,日本エコミュージアム研究会も発足した.2005年現在の主なものは全国で26箇所もあり,下記の勝山市が含まれていないのを見れば,小規模なものを含めると,多く存在することが想像できる.構想段階のものもいくつかあり,その中には石川県の手取川流域を中心としたものもある.この中でも多くの市町村が参加して,全国規模の研究会が行われたこともある宮川エコミュージアムと,最近発足し,発展段階にある勝山エコミュージアムについて,現地へ赴き,ハード面を中心に見てきた.
宮川エコミュージアムは,三重県宮川流域の全6市町が一体となって行っているもので,宮川ルネッサンス協議会が運営している.エコミュージアム中でも上・中・下流域の3つのフィールドに分かれ,それぞれに中核施設を持ち,域外からの来訪者に備えている.たとえば上流域には,廃校になった小学校を改造した施設があり,ボランティアが作成したさまざまな展示物やパンフレットが置かれているとともに,案内所としての役割も果たしている.上流域では豊富な自然や文化遺産を活用し,地域住民主体の様々なイベントが,流域案内人と呼ばれるボランティアによって活発に開催されており,参加人数も20人程度のものもある.また,協議会が年4回広報誌「River Voice 宮川」を発行しており,流域の見所や現状など多くの情報を提供している.
福井県では勝山市がエコミュージアムを立ち上げており,地区毎に風土や建築物等を生かしたものを,地域住民主体でつくっている.広報活動として,勝山市中心部には中核施設となる「市民活動センター」が出来,それぞれのフィールド(地区)毎にパンフレットもつくられている.しかしながらその地区間での温度差はあり,宮川のように,ボランティアによるさまざまなイベントが期待できるか,実際に住民による地域の再発見ができるかというと,そうとは言えないところもある.
勝山市は恐竜発掘量日本一や平泉寺など,観光資源はたくさんある.勝山エコミュージアムは,出来て日が浅いということはあるが,宮川と比較すると内容にはかなりの差があるように思える.今後勝山エコミュージアムがどのように発展していくのか,宮川や今後出来てくるであろう手取川エコミュージアムと共に見ていきたい.