教育学的観点からのアプローチ


 教育学的観点から地理学を見るというのは、中々難しいようで簡単な話です。
というのも、教育学的な意義としての地理学というのは、学校教育法第21条
第3項に明記されているのです。小学校3年から中学校3年までの7年間は、
少なくとも全員の方が「地理」という授業を受けられているはずです。先ほどの
法律の条文を見てみると「義務教育として行われる普通教育は(中略)、次に
掲げる目標を達成するように行われるものとする。・・・略・・・第3項『我が国
と郷土の現状と歴史について、正しい理解に導き、伝統と文化を尊重し、それらを
はぐくんできた我が国と郷土を愛する態度を養うとともに、進んで外国の文化の
理解を通じて、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。」
と書かれています。つまり、この条文に書かれていることが、教育学における地理
の意義でもあると言えるのです。

 また一方で、地理学の視点で教育学を捉えてみましょう。普通教育の中で「地理」
が必要なんだ~ということは、先ほどの条文に記してある通りですが、地理学に
とって教育学は、研究対象そのものであると言えるでしょう。教育学にも「地域性」
というものがあります。教育の実践方法というテーマで世界をフィールドとして
「地域性」に基づく「差」は研究のテーマになり得ますし、学校の分布や学校の特色
という点も、日本国内における「地域性」を色濃く表しているために、地理学にとって
研究テーマとすることができるのです。

 つまり、「地理」の「教育」をする。もしくは「教育」で「地理」をする、
という関係であると言えるかも知れません。もちろん、もっと多様な関係性が
「地理」と「教育」にはあると思いますが、現在の一般的な考え方だけ、ここで
説明しておくことにします。
最終更新:2009年04月11日 15:08