A.地理学という学問がマイナーなのは、日本だけです。
アメリカやヨーロッパの大学では、地理学部というものも存在するくらい、
とてもメジャーな学問です。それでは、なぜ日本では地理学という学問が
マイナーなのでしょうか?
地理学を学ぶことは“地域の情報を得る”ということです。
つまり、地理と言う学問は人々が移動を行う際に必要となる学問であり、
また一方で統治する際に必要な情報でもあります。アメリカやヨーロッパに
おいて地理学がメジャーなのは、人々の交流や交易、そして占領統治のために
地理学が必要であったためと言えます。世界で地理学が急激な発展を見せた頃、
日本では鎖国政策が敷かれており、諸外国との交流や交易は制限されていたため、
地理という学問がほとんど必要とされてこなかったという歴史があります。
また、日本は伝統的に「縦割り」と呼ばれる社会構造に成り立っているという
傾向が多く見られます。そのため、地球規模で発生している自然災害は地学が、
私たちの身の周りで起こっている社会現象は経済学が解明に貢献してきました。
それだけでも、地球規模で起こった現象を説明することはできますが、「地域性」
と関連付けることができず、1つ1つの現象を地道に説明することができない
という事実があります。1つ1つの現象をそれぞれ分析するためには、幅広い視点で
他の学問、他の領域と協力して解決を目指すことが欠かせません。
「縦割り」と呼ばれる日本の社会構造が、決して悪いことばかりではないことは、
管理人自身も理解しています。しかし、他の学問、他の領域との協力が欠かせない
「地理学」にとって、この「縦割り」構造が、発展を遅らせた原因の1つであるとも
言えるのでは無いでしょうか。
そして、地理学は他の学問、他の領域との協力が欠かせない学問だと先ほど説明
しました。これを言い換えると、地理学は他の学問、他の領域が発展しなければ、
地理学が発展することはできません。近代日本の高度経済成長に伴って、日本に
おいても様々な学問が急成長しました。その過程を経て、地理学はこれから成長して
いくことができる学問とも言えるのです。つまり、地理学の発展度は先進国の学問
指標とも言えるのではないでしょうか。また、現代日本が抱える問題として、阪神
淡路大震災や新潟県中越地震など“活断層”によって引き起こされる地震や、都市化
によって引き起こされる洪水、環境の破壊、急激な過疎化など、私たちの生活に影響
を及ぼす災害や社会現象が頻発し、私たちの生活に密着した学問である「地理」が
日本で見直されるようになりつつあります。その点から見ると、地理学はこれから
必要とされる学問と言えるでしょう。
最終更新:2009年04月11日 15:59