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レイクライシス - (2013/02/15 (金) 07:32:44) の1つ前との変更点

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*'''RAY CRISIS''' 【れいくらいしす】 |ジャンル|2D縦スクロールシューティング|&image2(くらいしす.jpg)| |対応機種|アーケード(G-NETシステム)|~| |販売・開発元|タイトー|~| |稼働開始日|1998年|~| //|分類|''クソゲー扱いされやすい名作''|~| //|ポイント|実験的要素>>''ファンからの不評''&br()その他>>''評価点''|~| |備考|後にWindowsとプレイステーションに移植|~| //「クソゲー扱いされやすい名作・良作」カテゴリ廃止に伴う仕分け議論に移転。大元は「シリーズ異色作」だった。 ---- wiki内レイシリーズリンク |[[RAY FORCE>http://www23.atwiki.jp/ggmatome/pages/227.html]]|我々は排除されるべき存在なのか?運命にあらがう人類は、その答えを一つの作戦に託す。| |[[RAY STORM>http://www23.atwiki.jp/ggmatome/pages/368.html]]|地球の命運は、13機の「RAY」に預けられた。| |RAY CRISIS|運命を変える事など不可能なのかもしれない…しかし、そこに生きた証だけは違うと信じたい。| ---- &br()&br() #center(){{ &font(i,110%){もし運命が変えられるのなら過ちを犯さずに済むのだろうか?}~ &font(i,110%){その時が分かったとして正しい判断を下せるだろうか?}~ &font(i,110%){何度やり直したとしても、運命を変える事など不可能なのかもしれない…}~ &font(i,110%){''しかし、そこに生きた証だけは違うと信じたい。''}~ }} &br()&br() ---- **概要 ~少女の行為はもう終わったのか~ タイトーのシューティングゲーム『レイシリーズ』の第三作目。シリーズ最終作であると同時に、第一作『[[レイフォース>http://www23.atwiki.jp/ggmatome/pages/227.html]]』の前日譚でもある。 『レイシリーズ』はタイトー音楽チーム・ZUNTATAのTAMAYが手掛ける名曲の数々や、STG界に新風を齎した「ロックオンレーザー」、STG史の中でも際立つ悲しく美しいストーリー、ゲームの背景で「魅せる」手法などなどの、「斬新かつカッコいい演出やシステム」でシューター達を魅了してきた。~ そして新たな要素を多数盛り込み、タイトーは新たなレイをゲームセンターに送り出したのである。''その名は、レイクライシス''。 ---- **ストーリー ~自分で選んだ拷問~ 未来世界、技術の進んだ人々は全世界を結ぶニューロネットワークシステム「Con-Human」の管理の下に栄華を極めていた。しかし、増え続ける人口をさばくための望みであった「外惑星への移民計画」は計画に適合する惑星が発見されなかったことで事実上凍結され、代わりに同時進行していた「[[衛星セシリアへの移民計画>レイストーム]]」が中心となった。~ Con-Humanは新たな人類存続の手段を問い続けることになるが、その方法が欠落しているというパラドックスは、徐々にその思考を歪んだものへと変化させていく。~ それから20数年後。機械神経学者レスリー・マクガイアは、クローン人間をCon-Humanと接続して「有機体と無機体の整合性理論」の実験を行っていた。~ しかし、実験途中で突然「Con-Human」は接続を拒否し、クローンの意識体をネットワーク内に取り込む。Con-Humanは実験の過程で、人類存続の方法として人類と機械との「融合」に新たな可能性を見出し、意識と機械との「融合」から発生した擬似生命を守るべき種と判断、即ち「人類排除(人体と意識の分離)」という手段を選択したのである。~ レスリーはニューロネットワークとの接続媒体「Wave Rider」を使用し、暴走を食い止めるために自らネットワークに侵入した。彼は疑似画像化されたネットワークの世界でクローンの意識体を発見するも、その意識体は新しい生命種として、自己保存のために最後の砦たる"Con-Human"の非常用プログラムをも侵食し始めていた。~ はたして、この暴走を食い止める事が出来るだろうか? それとも…~ 運命の分岐は、すぐそこまで来ている… ---- **基本システム ~99%じゃ駄目だ、100%じゃなきゃ駄目なんだ~ プレイヤーはWave Rider=自機を操作し、"Con-Human"の非常停止システムへの接触を目的としてステージをクリアしていく。ステージは全5面、最終ボスに遭遇するには特定の条件を満たす必要がある。~ 基本システムは前作『[[レイストーム]]』がベースとなっており、ショット・ロックオンレーザー・ラウンドディバイダー(所謂ボム。前作のスペシャルアタックに該当)の3つの攻撃を駆使して戦い抜く。~ ロックオンレーザーは多重ロックを重ねるほどに得点倍率が増加。また、単一の敵に最大までロックして発射すると、高威力・広範囲の爆風が発生する''ハイパーレーザー''が発射される。~ ラウンドディバイダーは前作と同じくゲージ消費制。ロックオンレーザーで敵を撃破するとゲージが溜まり、満タンになると使用可能になる。 以下、本作独自の要素、変更点について列記する。 -''<プレイ経過の保存>'' --TAITO G-net基板はプレイヤーデータを記録することが出来る(初プレイ時にプレイヤーネームとパスワードを記録し、以降のプレイではそれをゲーム開始時に入力する事でプレイヤーのデータを認識、ハイスコアやマップパターンを記録しておくというもの)。現在主流のカード記録型ゲームの先駆け……と呼べるかもしれない。 -''<3つの機体>'' --前作の自機と似た性質の''WR-01R''と''WR-02R''に加えて、新機体の''WR-03''が登場。&br()いずれも「癖がなく使いやすい」「強力だが癖がある」「非常に使いやすいがスコア稼ぎに向かない」と、一長一短の性質を持つ。 #region(性能詳細) |機体名|ショット|ロックオンレーザー|ハイパーレーザー|ロックオン数|スコア倍率|補足| |''WR-01R''|ワイドショット&br()(広角範囲攻撃)|ホーミングレーザー&br()(多段同時攻撃)|広範囲爆撃|5~8箇所|最大256倍|無し| |''WR-02R''|ツインレーザー&br()(前方残像攻撃)|サンダーレーザー&br()(順行追尾型攻撃)|広範囲爆発攻撃|8~16箇所|最大256倍|サンダーレーザーは&br()追加ロックオン可能| |''WR-03''|ホーミングミサイル&br()(全方位誘導攻撃)|フォトントーピード&br()(連続光子魚雷攻撃)|未搭載|8~24箇所|最大255倍|隠し機体|   |機体名|備考| |''WR-01R''|スコア倍率が256倍になった・ショットがより拡散するようになった等、前作のR-GRAY1から大きな調整が入った。&br()ロックオン数が少ないため高倍率を狙いやすいが、ロック→発射と言う手順を踏むため大編隊には押し潰される危険性もある。&br()ハイパーレーザーは着弾までにタイムラグがあるが、前作よりも使い所が多くなっている。&br()長所と短所を明確にされ、WR-02Rに負けず劣らず稼げる性能に調整されている。| |''WR-02R''|性能的には前作のR-GRAY2とあまり変わっていない。&br()ショットは青白い切れ目のない一点集中型のツインレーザー。効率よくダメージを与えられるが範囲が狭く使いにくい。&br()サンダーレーザーは、移動しつつ攻撃できて使いやすいが、ロック数が多いので高倍率を狙うには熟練が必要。&br()ハイパーレーザーはロック数が多い故に使い所が少ないが、威力は非常に高い。前作と比べ攻撃範囲が向上している。&br()WR-01Rと比べると使いにくさは否めないが、やはり流れるように効率よく攻撃できるというアドバンテージは大きい。| |''WR-03''|本作で新規に追加された、極めて異彩を放つ機体。一定条件を満たす事で使用できる。&br()ショットは全方位型のホーミングミサイルとなっており、遠距離から比較的安全に攻撃が可能。&br()レーザーである光子魚雷は、ボタンを押しっぱなしにすればカーソルを合わせるだけで発射するので大変使いやすい。&br()ヒット数とスコア倍率は等しく、魚雷を当てるほどスコア倍率が上昇するが、最大の255倍を狙うのはほぼ不可能。&br()ハイパーレーザーもなく、稼ぎには最も向かない。ベストエンディングを見るためだけの機体と言えよう。| #endregion -''<ステージ選択システム>'' --導入部となる第1、ラストボス戦の第5ステージ以外は、以下の5ステージの中から3つがランダムに組み合わされてルートを形成する。。 --また当時のSTGとしては珍しく、継続プレイによってステージセレクト機能を解禁((ステージの全組み合わせ42種類を経験することが条件。))すれば、自分でルートを選択することができる。同じステージを複数回選ぶことも可能だ(同じステージでも、後の方に選択された面ほど難しくなる)。 #region(ステージ詳細) |ステージ名|領域名|ステージ内容|ボス| |''INTELLIGENCE PART''|知能領域|昼の都市|Pro-tor| |''MEMORY PART''|記憶領域|高空|Sem-frey| |''EMOTION PART''|感情領域|砂漠|Sem-slut| |''CONSCIOUSNESS PART''|意識領域|水中|Sem-loke| |''CONSIDERATION PART''|思考領域|夜の都市|Pro-tor| #endregion -''<侵食率システム>'' --Wave Riderは常に"Con-Human"からの侵食を受けている。これは画面右上の「侵食率ゲージ」で表現され、ゲーム中は常に(最終ステージ除く)これが増加し続ける。敵機が画面内に存在している状況では増加量が多くなり、敵機を逃がすと更に大きく増加する。反対に敵機を撃破することで低下する。 ---100%になったその時点で、強制的にほぼ最高難度状態のラストボス戦に移行し、勝利してもバッドエンディングとなる。ただし、80%を超えるとゲージ減退率が高い敵が頻繁に出現するようになるため、意図的に狙わなければ、滅多なことでは100%にはならない。 --侵食率が高いほど難易度は低くなるが、その場合侵食率100%のペナルティを常に覚悟せねばならない。また、真のラストボスの出現条件にもなっている。 --侵食率に応じてボス撃破時などの得点ボーナスも決定する。基本的には低いほどボーナスは良いが、90%以上になると逆にボーナスは高くなる。 -ちなみに、データ蓄積の特典であるステージセレクトや隠し機体の解禁は隠しコマンドでそのプレイに限り即解禁できる。 --隠しコマンドの存在は厳重に伏せられており、公開されたのは発売から相当経過してからだった。 ---- **評価点~生命の風が吹く場所~ ''プレイアビリティの改善'' -前作のロックオンレーザーは、敵機以外ではミサイルと一部のオブジェクトしかスコア倍率が掛からなかった。本作では、ミサイル・機雷・炸裂弾など''一撃で破壊できるもの全てにスコア倍率が掛かるようになっている''。わざと敵機に機雷を出させたり、ボスのミサイル弾幕にハイパーレーザーを合わせてスコアを稼ぐ……といった戦法が可能になり、より高得点を狙いやすくなった。 -ロックオンレーザー及びラウンドディバイダー(ボム)にも仕様変更が入り、より扱いやすくなった。 --前作まで固定式だったレーザーのロックオンサイトは、自機が画面の一番手前にいる際にレバーを手前に引くと手前に来るようになり、より広い範囲の敵を狙えるように。 --ハイパーレーザーの爆風に違う高度の敵機を巻き込めるようになった。 --ラウンドディバイダーは不評だった前作の「前方爆撃攻撃」から「全方位攻撃」に変更された。更に''敵弾を巻き込む事でより多くの得点を稼げる''ようになった。一瞬で何桁もの得点が加算される様は爽快。 ---ハイパーレーザー、ラウンドディバイダー共に、これで敵を倒した際には稼いだ得点の合計が画面左上に別途表示されるようになり、合計得点の確認が容易になっている。 ''アイテムキャリアーの導入'' -倒すとアイテムを3つ落とすアイテムキャリアーが、ステージ内に2~3機出現するようになった。ミスをした際の立て直しが容易になっている。 --このアイテムキャリアーは耐久力が比較的高く、WR-01Rだとハイパーレーザーを狙う事が、WR-02Rだと高倍率を狙うためのロックオン数を稼ぐ事が可能。これもロックオンレーザーの利便性を向上させている要因と言えよう。 ''強化された演出'' -更にダイナミックになったカメラワークとエフェクトは、前作『レイストーム』をも超える素晴らしい完成度。 --ボスを取り囲むように体力ゲージを表すリングが表示されたり、敵を撃破した瞬間に敵弾が飛散したりと、細かな部分のギミックも向上している。 -本作は選んだルートによって、''最終面までぶっ続けで一つの曲が流れる''仕様となっている。 --前作までと比べるとやや癖があるが、世界観やストーリーに非常にマッチしており、いずれの曲も評価は非常に高い。『ラベンダーの咲く庭』・『生命の風が吹く場所』・『司教は言った「それは奇跡じゃない」』・『童話の消えた森(Complete Version)』など、名曲を挙げればキリがない。 -''『レイフォース』の売りの一つであったシームレスなゲーム展開が復活''。ゲーム展開はおろかBGMまでシームレスとなっている本作は、『フォース』と『ストーム』のそれぞれを高次元にまとめた、演出系STGの1つの完成形と言ってもいいだろう。 ''ファンサービス'' -一部のBGMやボスが、『レイフォース』のそれに酷似しており、ストーリーの繋がりを感じさせると共に懐かしさを感じさせる仕様となっている。 ---特にラストボスの"dis-Human"は、''外観・攻撃パターン・SE・安全地帯に至るまで『フォース』のラスボス"Con-Human"に酷似''している。タイトーのシリーズへの愛と本作への気合の入れようを示し、シリーズ通してのファンを驚かせた。 -『レイストーム』の敵も本作にその一部が登場している。『ストーム』を意識した背景もオオイ。 ---- **不満点・賛否両論点~自分で撰んだ拷問~ ''実験作として'' -多くの実験的要素はファンに受け入れられたとは言いがたい。これが『クライシス』を前二作より下に位置付ける一因でもある。 --(厳密にはゲーム内ランクとは別値だが)侵食率システムはランクをも変化させるため、攻略パターン構築を非常に難しくしている。これにステージセレクトのランダム要素も合わさり、シューター達はパターン構築に手間取ると共に、パターンをがっちり固めていく方向性だった前二作との違いに戸惑った。 --データ保存システム自体はそこそこ好評だったが、記憶領域が64人分と意外に少なく、超えた場合は古いデータから削除されてしまう問題があった。 --ステージ数が前作から減少、更にそのうち2つはボスが同じということで「面数の少なさでゲームの印象が薄い」「インカム重視」などとの批判が上がった。 ---『フォース』は全7、『ストーム』は全8ステージ。『クライシス』は「全」7(隠しを入れれば8)ステージではあるが''1プレイで遊べるのは5ステージ''である((ただしフォースの時点で「猛攻が続くのに7ステージ」、ストームに至っては「エクステンドが無いのに8ステージ」だった為、丁度良いという意見も無くはない。))。&br() システム面の強化やステージの密度の高さを見れば分かる通り、本作はシリーズ中最もスコア稼ぎを重視したゲーム性になっておりそれが好評なのだが、やはりステージ数の少なさを惜しむ声は多かったようだ。「理解はできるが納得はできない」……といったところか。 ''難解なストーリー'' -前作までは『窮地に陥った人類(地球)が、最新鋭戦闘機に命運を託す』という王道の内容だったが、本作はいかんせん設定の背景が複雑で、ゲームをプレイするだけでは理解しにくいどころか、設定資料集を見ても一度で理解するのは難しい。これが後の『レイフォース』に繋がるのだから、全くの汚点とは言えず、むしろストーリーを理解できればのめり込めるのだが……。 --さらに混乱の原因として、背景ストーリーが''タイトーの設定した公式のストーリーと、TAMAYOがサウンドトラックに掲載したいわば『ZUNTATA版ストーリー』が同時に存在している''という、ややこしい理由がある。 #region(TAMAYOの思い描くレイクライシス) 主な登場人物は「宇宙空間における生態系の変化」を研究する科学者レスリー・マクガイアと、その娘ドナ。レスリーは自分と同じ科学者の妻を外宇宙探査の事故で亡くしており、彼女が唯一レスリーに残したのが、人工授精で宇宙船内で生まれたドナである。~ しかしドナはある時から、まるで亡くした妻を思い出させるような奇妙な行動を取り始める。精神の病を疑ったレスリーはドナをある大学病院のスーパーコンピューター「WAID」を使った精密検査にかけることにした。しかしその三時間後、WAIDは突如世界のネットワークに侵食を開始し、彼女はWAIDに取り込まれ意識を失ってしまう。~ だがそれは事故などではなかった。ドナが自身の持つ「電脳世界へのダイブ」能力を用い、意図的にハッキングを仕掛けたのだ。彼女の目的、真実の片鱗を知り、ドナの目的をおぼろげながら推理したレスリーは、同じくダイブ能力を持つ電脳警察の青年の力を借り、ドナを電脳世界から奪還することを決意する……。~ この背景には、宇宙船の事故でただ一人生き残り、ドナを出産したレスリーの妻の思惑があるのだが、''その思惑は正直電波を若干帯びている。''機会や興味があればぜひサントラを入手して読んでみて欲しい。 #endregion ''その他'' -3DSTG共通の課題として、敵弾の視認がやや難しい。本作ではグラフィックやエフェクトが向上したせいで、『背景やエフェクトに紛れた敵弾(敵機)に当たる』という現象が、慣れるまで多発しやすい。 -『レイストーム』と同じくクォータービューの作品であるため、やはり独特の操作性が難易度を上げている節がある。 ---- **総評 ~天使の爪痕~ ''タイトーが用意した実験的要素が失敗に終わり、ファンにあまり受け入れられなかった''。これが本作に「前作以下」という評価を与えてしまった最大の原因だろう。~ タイトーは、TAMAYOはよく頑張った。名作の冠を背負う事がどれだけ大変か、ゲーム業界を知る人間なら分かる筈だ。~ 数々の実験的要素も、納得はされなかったものの、批難はされなかった。''「新しい事に挑戦しようとしたタイトーの姿勢」''が評価されたためであろう。~ ゲームに影響を及ぼすバグもなければ、STGとして致命的な点がある訳でもない。演出・グラフィック・ゲーム性・システムなど大半の面では前作を大きく凌駕している。~ レイクライシスは間違いなく名作である。しかし『レイシリーズ』という冠を背負うには、少しパンチが足りなかったか、あるいはパンチが別ベクトルに過剰だったとも言える。ただそれだけの事である。 ---- **プレイステーション版 ~ふたつの液体~ |発売・開発元|タイトー|&ref(img56462967.jpg)|&ref(51NBC9R3H3L__SL500_AA300_.jpg)| |発売日|2000年09月20日|~|~| |価格|5,800円|~|~| |備考|『The ダブルシューティング』収録版:2001年10月25日/1,500円&br()ゲームアーカイブス:2008年07月09日/600円|~|~|   AC版稼働から約2年後に家庭用移植版が発売された。が、ほぼベタ移植として好評だった『レイストーム』とは異なり、より技術が向上した『クライシス』はPSへの完全移植は不可能だったため、多くの変更が行われている。 -''原版からの変更点'' --2人プレイ不可・ステージ間にローディングが挿入される・一部のエフェクトの削除・BGMぶつ切りと、演出面では大きく劣化している。ただし敵機の配置やゲーム性など、それ以外の部分はほぼ完璧と言っていい移植となっている。 --苦肉の策としてロード画面を「次の領域への接続」などと表現しているが、AC版の素晴らしい演出に比べればちょっと物足りないの。 -''追加要素'' --条件を満たすと『レイストーム』の主役機であった「R-GRAY1」と「R-GRAY2」が使用可能になる。Wave Riderとの差別化がされており、ファンからの受けは上々。 ---R-GRAY1のハイパーレーザーは薄緑色の広範囲爆発型。持続時間は短いが着弾までのタイムラグがなく使いやすい。 ---R-GRAY2のハイパーレーザーはブラックホール。威力は非常に高いが、WRのものと比べると範囲がちょっと狭い。 ---ラウンドディバイダーは前作と同じ前方爆撃。範囲は狭いが威力は桁違いに高く、しかも真ボスからの反撃を受けないというメリットがある。 ---ロックオンサイトが固定なのでやや使いづらいが、WRよりも移動速度が早く調整されている。ショット・レーザーの性能はWRと同じ。 --前作の家庭用と同じく''アレンジモード''を搭載。こちらも本編とは違った面白さが好評。 ---ステージセレクトは廃止され、全8ステージ(7ボスdis-human・8ボスinfinityはオリジナル同様に連戦になる)を順番に攻略する仕様となっており、AC版の不満点が解消されている。 ---侵食率が100%になっても最終ステージに飛ばされることはなく、100%の間はスコアが徐々に減点されるだけのペナルティに止められている。 ---自機はショット・レーザー共に常にフルパワーアップ状態。アイテムは侵食率減少と1UPしか出現せず、コンテニューは不可。特定条件を満たすとスコアが2倍になるアイテムが出現する事もある。アイテムキャリアーや敵機の他に、ボス撃破時にもアイテムが出現するようになっている。 --前作家庭用の13機モードを発展させたかのようなゲーム性になっており、残機と相談しながらハイスコアを目指す攻略は実に面白い。なお、途中で全滅した場合はその時点でのスコアに関係なく事実上「最終スコア:記録無し」となる。''アレンジモード専用の新規BGM''のクオリティも高く、特に『.BLUE -地球に棲む日-』や『安置 -Antithese-』は非常に評価が高い。 -''その他'' --前作家庭用のようにステージ別の難易度設定はできないが、残機が最大9機まで設定可能。コンシューマのプレイヤー層に配慮したのかAC版では厳しかった真ボス出現条件が大幅に緩くなっている。 --ポケットステーション用のミニゲームが収録されており、それをクリアするとラウンドディバイダーのゲージ回復量を3倍にするオプションを選ぶ事が可能になる。 --サウンドテストが搭載されている。高クオリティのZUNTATAサウンドがいつでも聴けるのは地味ながら嬉しい配慮。特にBGMテストNo.52は、''レイシリーズを通してプレイした人だけが感動できる最高のBGM''。 後に前作と抱き合わせた廉価版『SIMPLE1500シリーズ Vol.75 The ダブルシューティング』も発売している。ただしこちらでは「命の風が吹く場所」と「女の子にはセンチメンタルなんて感情はない」の2曲がカットされており、ストーム以上に評価が低い。~ ちなみに、本記事の「少女の行為は~」などのフレーズは、ほぼ全て''本作で使用されたBGM名''である。 ----
*'''RAY CRISIS''' 【れいくらいしす】 |ジャンル|2D縦スクロールシューティング|&image2(くらいしす.jpg)| |対応機種|アーケード(G-NETシステム)|~| |販売・開発元|タイトー|~| |稼働開始日|1998年|~| //|分類|''クソゲー扱いされやすい名作''|~| //|ポイント|実験的要素>>''ファンからの不評''&br()その他>>''評価点''|~| |備考|後にWindowsとプレイステーションに移植|~| //「クソゲー扱いされやすい名作・良作」カテゴリ廃止に伴う仕分け議論に移転。大元は「シリーズ異色作」だった。 ---- wiki内レイシリーズリンク |[[RAY FORCE>http://www23.atwiki.jp/ggmatome/pages/227.html]]|我々は排除されるべき存在なのか?運命にあらがう人類は、その答えを一つの作戦に託す。| |[[RAY STORM>http://www23.atwiki.jp/ggmatome/pages/368.html]]|地球の命運は、13機の「RAY」に預けられた。| |RAY CRISIS|運命を変える事など不可能なのかもしれない…しかし、そこに生きた証だけは違うと信じたい。| ---- &br()&br() #center(){{ &font(i,110%){もし運命が変えられるのなら過ちを犯さずに済むのだろうか?}~ &font(i,110%){その時が分かったとして正しい判断を下せるだろうか?}~ &font(i,110%){何度やり直したとしても、運命を変える事など不可能なのかもしれない…}~ &font(i,110%){''しかし、そこに生きた証だけは違うと信じたい。''}~ }} &br()&br() ---- **概要 ~少女の行為はもう終わったのか~ タイトーのシューティングゲーム『レイシリーズ』の第三作目。シリーズ最終作であると同時に、第一作『[[レイフォース>http://www23.atwiki.jp/ggmatome/pages/227.html]]』の前日譚でもある。 『レイシリーズ』はタイトー音楽チーム・ZUNTATAのTAMAYが手掛ける名曲の数々や、STG界に新風を齎した「ロックオンレーザー」、STG史の中でも際立つ悲しく美しいストーリー、ゲームの背景で「魅せる」手法などなどの、「斬新かつカッコいい演出やシステム」でシューター達を魅了してきた。~ そして新たな要素を多数盛り込み、タイトーは新たなレイをゲームセンターに送り出したのである。''その名は、レイクライシス''。 ---- **ストーリー ~自分で選んだ拷問~ 未来世界、技術の進んだ人々は全世界を結ぶニューロネットワークシステム「Con-Human」の管理の下に栄華を極めていた。しかし、増え続ける人口をさばくための望みであった「外惑星への移民計画」は計画に適合する惑星が発見されなかったことで事実上凍結され、代わりに同時進行していた「[[衛星セシリアへの移民計画>レイストーム]]」が中心となった。~ Con-Humanは新たな人類存続の手段を問い続けることになるが、その方法が欠落しているというパラドックスは、徐々にその思考を歪んだものへと変化させていく。~ それから20数年後。機械神経学者レスリー・マクガイアは、クローン人間をCon-Humanと接続して「有機体と無機体の整合性理論」の実験を行っていた。~ しかし、実験途中で突然「Con-Human」は接続を拒否し、クローンの意識体をネットワーク内に取り込む。Con-Humanは実験の過程で、人類存続の方法として人類と機械との「融合」に新たな可能性を見出し、意識と機械との「融合」から発生した擬似生命を守るべき種と判断、即ち「人類排除(人体と意識の分離)」という手段を選択したのである。~ レスリーはニューロネットワークとの接続媒体「Wave Rider」を使用し、暴走を食い止めるために自らネットワークに侵入した。彼は疑似画像化されたネットワークの世界でクローンの意識体を発見するも、その意識体は新しい生命種として、自己保存のために最後の砦たる"Con-Human"の非常用プログラムをも侵食し始めていた。~ はたして、この暴走を食い止める事が出来るだろうか? それとも…~ 運命の分岐は、すぐそこまで来ている… ---- **基本システム ~99%じゃ駄目だ、100%じゃなきゃ駄目なんだ~ プレイヤーはWave Rider=自機を操作し、"Con-Human"の非常停止システムへの接触を目的としてステージをクリアしていく。ステージは全5面、最終ボスに遭遇するには特定の条件を満たす必要がある。~ 基本システムは前作『[[レイストーム]]』がベースとなっており、ショット・ロックオンレーザー・ラウンドディバイダー(所謂ボム。前作のスペシャルアタックに該当)の3つの攻撃を駆使して戦い抜く。~ ロックオンレーザーは多重ロックを重ねるほどに得点倍率が増加。また、単一の敵に最大までロックして発射すると、高威力・広範囲の爆風が発生する''ハイパーレーザー''が発射される。~ ラウンドディバイダーは前作と同じくゲージ消費制。ロックオンレーザーで敵を撃破するとゲージが溜まり、満タンになると使用可能になる。 以下、本作独自の要素、変更点について列記する。 -''<プレイ経過の保存>'' --TAITO G-net基板はプレイヤーデータを記録することが出来る(初プレイ時にプレイヤーネームとパスワードを記録し、以降のプレイではそれをゲーム開始時に入力する事でプレイヤーのデータを認識、ハイスコアやマップパターンを記録しておくというもの)。現在主流のカード記録型ゲームの先駆け……と呼べるかもしれない。 -''<3つの機体>'' --前作の自機と似た性質の''WR-01R''と''WR-02R''に加えて、新機体の''WR-03''が登場。&br()いずれも「癖がなく使いやすい」「強力だが癖がある」「非常に使いやすいがスコア稼ぎに向かない」と、一長一短の性質を持つ。 #region(性能詳細) |機体名|ショット|ロックオンレーザー|ハイパーレーザー|ロックオン数|スコア倍率|補足| |''WR-01R''|ワイドショット&br()(広角範囲攻撃)|ホーミングレーザー&br()(多段同時攻撃)|広範囲爆撃|5~8箇所|最大256倍|無し| |''WR-02R''|ツインレーザー&br()(前方残像攻撃)|サンダーレーザー&br()(順行追尾型攻撃)|広範囲爆発攻撃|8~16箇所|最大256倍|サンダーレーザーは&br()追加ロックオン可能| |''WR-03''|ホーミングミサイル&br()(全方位誘導攻撃)|フォトントーピード&br()(連続光子魚雷攻撃)|未搭載|8~24箇所|最大255倍|隠し機体|   |機体名|備考| |''WR-01R''|スコア倍率が256倍になった・ショットがより拡散するようになった等、前作のR-GRAY1から大きな調整が入った。&br()ロックオン数が少ないため高倍率を狙いやすいが、ロック→発射と言う手順を踏むため大編隊には押し潰される危険性もある。&br()ハイパーレーザーは着弾までにタイムラグがあるが、前作よりも使い所が多くなっている。&br()長所と短所を明確にされ、WR-02Rに負けず劣らず稼げる性能に調整されている。| |''WR-02R''|性能的には前作のR-GRAY2とあまり変わっていない。&br()ショットは青白い切れ目のない一点集中型のツインレーザー。効率よくダメージを与えられるが範囲が狭く使いにくい。&br()サンダーレーザーは、移動しつつ攻撃できて使いやすいが、ロック数が多いので高倍率を狙うには熟練が必要。&br()ハイパーレーザーはロック数が多い故に使い所が少ないが、威力は非常に高い。前作と比べ攻撃範囲が向上している。&br()WR-01Rと比べると使いにくさは否めないが、やはり流れるように効率よく攻撃できるというアドバンテージは大きい。| |''WR-03''|本作で新規に追加された、極めて異彩を放つ機体。一定条件を満たす事で使用できる。&br()ショットは全方位型のホーミングミサイルとなっており、遠距離から比較的安全に攻撃が可能。&br()レーザーである光子魚雷は、ボタンを押しっぱなしにすればカーソルを合わせるだけで発射するので大変使いやすい。&br()ヒット数とスコア倍率は等しく、魚雷を当てるほどスコア倍率が上昇するが、最大の255倍を狙うのはほぼ不可能。&br()ハイパーレーザーもなく、稼ぎには最も向かない。ベストエンディングを見るためだけの機体と言えよう。| #endregion -''<ステージ選択システム>'' --導入部となる第1、ラストボス戦の第5ステージ以外は、以下の5ステージの中から3つがランダムに組み合わされてルートを形成する。。 --また当時のSTGとしては珍しく、継続プレイによってステージセレクト機能を解禁((ステージの全組み合わせ42種類を経験することが条件。))すれば、自分でルートを選択することができる。同じステージを複数回選ぶことも可能だ(同じステージでも、後の方に選択された面ほど難しくなる)。 #region(ステージ詳細) |ステージ名|領域名|ステージ内容|ボス| |''INTELLIGENCE PART''|知能領域|昼の都市|Pro-tor| |''MEMORY PART''|記憶領域|高空|Sem-frey| |''EMOTION PART''|感情領域|砂漠|Sem-slut| |''CONSCIOUSNESS PART''|意識領域|水中|Sem-loke| |''CONSIDERATION PART''|思考領域|夜の都市|Pro-tor| #endregion -''<侵食率システム>'' --Wave Riderは常に"Con-Human"からの侵食を受けている。これは画面右上の「侵食率ゲージ」で表現され、ゲーム中は常に(最終ステージ除く)これが増加し続ける。敵機が画面内に存在している状況では増加量が多くなり、敵機を逃がすと更に大きく増加する。反対に敵機を撃破することで低下する。 ---100%になったその時点で、強制的にほぼ最高難度状態のラストボス戦に移行し、勝利してもバッドエンディングとなる。ただし、80%を超えるとゲージ減退率が高い敵が頻繁に出現するようになるため、意図的に狙わなければ、滅多なことでは100%にはならない。 --侵食率が高いほど難易度は低くなるが、その場合侵食率100%のペナルティを常に覚悟せねばならない。また、真のラストボスの出現条件にもなっている。 --侵食率に応じてボス撃破時などの得点ボーナスも決定する。基本的には低いほどボーナスは良いが、90%以上になると逆にボーナスは高くなる。 -ちなみに、データ蓄積の特典であるステージセレクトや隠し機体の解禁は隠しコマンドでそのプレイに限り即解禁できる。 --隠しコマンドの存在は厳重に伏せられており、公開されたのは発売から相当経過してからだった。 ---- **評価点~生命の風が吹く場所~ ''プレイアビリティの改善'' -前作のロックオンレーザーは、敵機以外ではミサイルと一部のオブジェクトしかスコア倍率が掛からなかった。本作では、ミサイル・機雷・炸裂弾など''一撃で破壊できるもの全てにスコア倍率が掛かる'。わざと敵機に機雷を出させたり、ボスのミサイル弾幕にハイパーレーザーを合わせてスコアを稼ぐ……といった戦法が可能になり、より高得点を狙いやすくなった。 -ロックオンレーザー及びラウンドディバイダー(ボム)にも仕様変更が入り、より扱いやすくなった。 --前作まで固定式だったレーザーのロックオンサイトは、自機が画面の一番手前にいる際にレバーを手前に引くと手前に来るようになり、より広い範囲の敵を狙えるように。 --ハイパーレーザーの爆風に違う高度の敵機を巻き込めるようになった。 --ラウンドディバイダーは不評だった前作の「前方爆撃攻撃」から「全方位攻撃」に変更され、更に''敵弾を巻き込む事でより多くの得点を稼げる''ようになった。一瞬で何桁もの得点が加算される様は爽快。 ---ハイパーレーザー、ラウンドディバイダー共に、これで敵を倒した際には稼いだ得点の合計が画面左上に別途表示されるようになり、合計得点の確認が容易になっている。 ''アイテムキャリアーの導入'' -倒すとアイテムを3つ落とすアイテムキャリアーが、ステージ内に2~3機出現するようになった。ミスをした際の立て直しが容易になっている。 --このアイテムキャリアーは耐久力が比較的高く、WR-01Rだとハイパーレーザーを狙う事が、WR-02Rだと高倍率を狙うためのロックオン数を稼ぐ事が可能。これもロックオンレーザーの利便性を向上させている要因と言えよう。 ''強化された演出'' -更にダイナミックになったカメラワークとエフェクトは、前作『レイストーム』をも超える素晴らしい完成度。 --ボスを取り囲むように体力ゲージを表すリングが表示されたり、敵を撃破した瞬間に敵弾が飛散したりと、細かな部分のギミックも向上している。 -本作は選んだルートによって、''最終面までぶっ続けで一つの曲が流れる''仕様となっている。 --前作までと比べるとやや癖があるが、世界観やストーリーに非常にマッチしており、いずれの曲も評価は非常に高い。『ラベンダーの咲く庭』・『生命の風が吹く場所』・『司教は言った「それは奇跡じゃない」』・『童話の消えた森(Complete Version)』など、名曲を挙げればキリがない。 -''『レイフォース』の売りの一つであったシームレスなゲーム展開が復活''。ゲーム展開はおろかBGMまでシームレスとなっている本作は、『フォース』と『ストーム』のそれぞれを高次元にまとめた、演出系STGの1つの完成形と言ってもいいだろう。 ''ファンサービス'' -一部のBGMやボスが、『レイフォース』のそれに酷似しており、ストーリーの繋がりを感じさせると共に懐かしさを感じさせる仕様となっている。 ---特にラストボスの"dis-Human"は、''外観・攻撃パターン・SE・安全地帯に至るまで『フォース』のラスボス"Con-Human"に酷似''している。タイトーのシリーズへの愛と本作への気合の入れようを示し、シリーズ通してのファンを驚かせた。 -『レイストーム』の敵も本作にその一部が登場している。『ストーム』を意識した背景もオオイ。 ---- **不満点・賛否両論点~自分で撰んだ拷問~ ''実験作として'' -多くの実験的要素はファンに受け入れられたとは言いがたい。これが『クライシス』を前二作より下に位置付ける一因でもある。 --(厳密にはゲーム内ランクとは別値だが)侵食率システムはランクをも変化させるため、攻略パターン構築を非常に難しくしている。これにステージセレクトのランダム要素も合わさり、シューター達はパターン構築に手間取ると共に、パターンをがっちり固めていく方向性だった前二作との違いに戸惑った。 --データ保存システム自体はそこそこ好評だったが、記憶領域が64人分と意外に少なく、超えた場合は古いデータから削除されてしまう問題があった。 --ステージ数が前作から減少、更にそのうち2つはボスが同じということで「面数の少なさでゲームの印象が薄い」「インカム重視」などとの批判が上がった。 ---『フォース』は全7、『ストーム』は全8ステージ。『クライシス』は「全」7(隠しを入れれば8)ステージではあるが''1プレイで遊べるのは5ステージ''である((ただしフォースの時点で「猛攻が続くのに7ステージ」、ストームに至っては「エクステンドが無いのに8ステージ」だった為、丁度良いという意見も無くはない。))。 -システム面の強化やステージの密度の高さを見れば分かる通り、本作はシリーズ中最もスコア稼ぎを重視したゲーム性になっておりそれが好評なのだが、やはりステージ数の少なさを惜しむ声は多かったようだ。「理解はできるが納得はできない」……といったところか。 ''難解なストーリー'' -前作までは『窮地に陥った人類(地球)が、最新鋭戦闘機に命運を託す』という王道の内容だったが、本作はいかんせん設定の背景が複雑で、ゲームをプレイするだけでは理解しにくいどころか、設定資料集を見ても一度で理解するのは難しい。これが後の『レイフォース』に繋がるのだから、全くの汚点とは言えず、むしろストーリーを理解できればのめり込めるのだが……。 --さらに混乱の原因として、背景ストーリーが''タイトーの設定した公式のストーリーと、TAMAYOがサウンドトラックに掲載したいわば『ZUNTATA版ストーリー』が同時に存在している''という、ややこしい理由がある。 #region(TAMAYOの思い描くレイクライシス) 主な登場人物は「宇宙空間における生態系の変化」を研究する科学者レスリー・マクガイアと、その娘ドナ。レスリーは自分と同じ科学者の妻を外宇宙探査の事故で亡くしており、彼女が唯一レスリーに残したのが、人工授精で宇宙船内で生まれたドナである。~ しかしドナはある時から、まるで亡くした妻を思い出させるような奇妙な行動を取り始める。精神の病を疑ったレスリーはドナをある大学病院のスーパーコンピューター「WAID」を使った精密検査にかけることにした。しかしその三時間後、WAIDは突如世界のネットワークに侵食を開始し、彼女はWAIDに取り込まれ意識を失ってしまう。~ だがそれは事故などではなかった。ドナが自身の持つ「電脳世界へのダイブ」能力を用い、意図的にハッキングを仕掛けたのだ。彼女の目的、真実の片鱗を知り、ドナの目的をおぼろげながら推理したレスリーは、同じくダイブ能力を持つ電脳警察の青年の力を借り、ドナを電脳世界から奪還することを決意する……。~ この背景には、宇宙船の事故でただ一人生き残り、ドナを出産したレスリーの妻の思惑があるのだが、''その思惑は正直電波を若干帯びている。''機会や興味があればぜひサントラを入手して読んでみて欲しい。 #endregion ''その他'' -3DSTG共通の課題として、敵弾の視認がやや難しい。本作ではグラフィックやエフェクトが向上したせいで、『背景やエフェクトに紛れた敵弾(敵機)に当たる』という現象が、慣れるまで多発しやすい。 -『レイストーム』と同じくクォータービューの作品であるため、やはり独特の操作性が難易度を上げている節がある。 ---- **総評 ~天使の爪痕~ ''タイトーが用意した実験的要素が失敗に終わり、ファンにあまり受け入れられなかった''。これが本作に「前作以下」という評価を与えてしまった最大の原因だろう。~ タイトーは、TAMAYOはよく頑張った。名作の冠を背負う事がどれだけ大変か、ゲーム業界を知る人間なら分かる筈だ。~ 数々の実験的要素も、納得はされなかったものの、批難はされなかった。''「新しい事に挑戦しようとしたタイトーの姿勢」''が評価されたためであろう。~ ゲームに影響を及ぼすバグもなければ、STGとして致命的な点がある訳でもない。演出・グラフィック・ゲーム性・システムなど大半の面では前作を大きく凌駕している。~ レイクライシスは間違いなく名作である。しかし『レイシリーズ』という冠を背負うには、少しパンチが足りなかったか、あるいはパンチが別ベクトルに過剰だったとも言える。ただそれだけの事である。 ---- **プレイステーション版 ~ふたつの液体~ |発売・開発元|タイトー|&ref(img56462967.jpg)|&ref(51NBC9R3H3L__SL500_AA300_.jpg)| |発売日|2000年09月20日|~|~| |価格|5,800円|~|~| |備考|『The ダブルシューティング』収録版:2001年10月25日/1,500円&br()ゲームアーカイブス:2008年07月09日/600円|~|~|   AC版稼働から約2年後に家庭用移植版が発売された。が、ほぼベタ移植として好評だった『レイストーム』とは異なり、より技術が向上した『クライシス』はPSへの完全移植は不可能だったため、多くの変更が行われている。 -''原版からの変更点'' --2人プレイ不可・ステージ間にローディングが挿入される・一部のエフェクトの削除・BGMぶつ切りと、演出面では大きく劣化している。ただし敵機の配置やゲーム性など、それ以外の部分はほぼ完璧と言っていい移植となっている。 --苦肉の策としてロード画面を「次の領域への接続」などと表現しているが、AC版の素晴らしい演出に比べればちょっと物足りないの。 -''追加要素'' --条件を満たすと『レイストーム』の主役機であった「R-GRAY1」と「R-GRAY2」が使用可能になる。Wave Riderとの差別化がされており、ファンからの受けは上々。 ---R-GRAY1のハイパーレーザーは薄緑色の広範囲爆発型。持続時間は短いが着弾までのタイムラグがなく使いやすい。 ---R-GRAY2のハイパーレーザーはブラックホール。威力は非常に高いが、WRのものと比べると範囲がちょっと狭い。 ---ラウンドディバイダーは前作と同じ前方爆撃。範囲は狭いが威力は桁違いに高く、しかも真ボスからの反撃を受けないというメリットがある。 ---ロックオンサイトが固定なのでやや使いづらいが、WRよりも移動速度が早く調整されている。ショット・レーザーの性能はWRと同じ。 --前作の家庭用と同じく''アレンジモード''を搭載。こちらも本編とは違った面白さが好評。 ---ステージセレクトは廃止され、全8ステージ(7ボスdis-human・8ボスinfinityはオリジナル同様に連戦になる)を順番に攻略する仕様となっており、AC版の不満点が解消されている。 ---侵食率が100%になっても最終ステージに飛ばされることはなく、100%の間はスコアが徐々に減点されるだけのペナルティに止められている。 ---自機はショット・レーザー共に常にフルパワーアップ状態。アイテムは侵食率減少と1UPしか出現せず、コンテニューは不可。特定条件を満たすとスコアが2倍になるアイテムが出現する事もある。アイテムキャリアーや敵機の他に、ボス撃破時にもアイテムが出現するようになっている。 --前作家庭用の13機モードを発展させたかのようなゲーム性になっており、残機と相談しながらハイスコアを目指す攻略は実に面白い。なお、途中で全滅した場合はその時点でのスコアに関係なく事実上「最終スコア:記録無し」となる。''アレンジモード専用の新規BGM''のクオリティも高く、特に『.BLUE -地球に棲む日-』や『安置 -Antithese-』は非常に評価が高い。 -''その他'' --前作家庭用のようにステージ別の難易度設定はできないが、残機が最大9機まで設定可能。コンシューマのプレイヤー層に配慮したのかAC版では厳しかった真ボス出現条件が大幅に緩くなっている。 --ポケットステーション用のミニゲームが収録されており、それをクリアするとラウンドディバイダーのゲージ回復量を3倍にするオプションを選ぶ事が可能になる。 --サウンドテストが搭載されている。高クオリティのZUNTATAサウンドがいつでも聴けるのは地味ながら嬉しい配慮。特にBGMテストNo.52は、''レイシリーズを通してプレイした人だけが感動できる最高のBGM''。 後に前作と抱き合わせた廉価版『SIMPLE1500シリーズ Vol.75 The ダブルシューティング』も発売している。ただしこちらでは「命の風が吹く場所」と「女の子にはセンチメンタルなんて感情はない」の2曲がカットされており、ストーム以上に評価が低い。~ ちなみに、本記事の「少女の行為は~」などのフレーズは、ほぼ全て''本作で使用されたBGM名''である。 ----

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