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*ドラゴンクエスト 【どらごんくえすと】 |ジャンル|ロールプレイングゲーム|&image(0006-1.JPG,http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000068HWB/ksgmatome-22/ref=nosim,width=160)[[高解像度で見る>http://www23.atwiki.jp/ggmatome?cmd=upload&act=open&pageid=226&file=0006-1.JPG]] [[裏を見る>http://www23.atwiki.jp/ggmatome?cmd=upload&act=open&pageid=226&file=0006-2.JPG]]&image(dq1game.jpg,http://www23.atwiki.jp/ggmatome?cmd=upload&act=open&pageid=226&file=dq1game.jpg,width=160)|&amazon(B005B7EUQM)| |対応機種|ファミリーコンピュータ|~|~| |メディア|512KbitROMカートリッジ|~|~| |発売元|エニックス|~|~| |開発元|チュンソフト|~|~| |発売日|1986年5月27日|~|~| |定価|5,500円|~|~| |プレイ人数|1人|~|~| |備考|パスワードコンティニュー(20文字)&br()移植は【移植・リメイク・派生】参照|~|~| |>|>|>|CENTER:''[[ドラゴンクエストシリーズリンク>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/269.html]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -国民的RPGとさえいって差し支えないドラクエシリーズの第一作。 -最初のファミコン用RPGとして認識されている。漫画「ドラゴンクエストへの道」によると、プログラマーの中村光一もファミコン初のRPGにしたいと意気込んでいたとされる。 --ただし、コマンド選択型RPGに限らなければARPGの傑作『ハイドライド』を家庭用にアレンジ移植した『ハイドライドスペシャル』が同年3月18日に発売済み((「自称」RPGの『頭脳戦艦ガル』は前年の発売。更にアーケードのARPG「ドルアーガの塔」がその前に移植され既に発売していた。))。 -プレイヤーは伝説の勇者ロトの子孫となって、平和なアレフガルドに突如現れた邪悪の化身「竜王」を打ち倒し光の玉を取り戻すことが目的。 -シナリオは堀井雄二、メインプログラマーは中村光一、モンスター(キャラクター)デザインは鳥山明、音楽はすぎやまこういちが担当。 //すぎやま氏が担当することになった経緯については余談の項目に回させてもらった。概要で全部述べると冗長なので。 **特徴 RPG未経験者にも取っ付きやすいよう、「遊びやすく、且つRPGの概要を理解しやすいシステム」に重点を置いて作られた。 基本部分はコンピュータRPGのパイオニア『[[ウルティマ>http://www23.atwiki.jp/ggmatome/pages/1448.html]]』と『[[ウィザードリィ>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/1088.html]]』を参考に、それぞれの分かりやすい部分を取り入れている。~ このスタイルは後続の国産RPGにも取り込まれ、主流となった。 -フィールドは『ウルティマ』と同様の2D見下ろし型。 --上空から見下ろしているような視点であり、周囲の地形がわかりやすい。 ---ちなみに『ウィザードリィ』のフィールドは3D視点のダンジョンタイプで、地形の把握が難解なのでマッピングすることが重要な攻略手段になる。 -フィールドを歩けばランダムで敵と遭遇し戦闘に突入。 --戦闘システムは『ウィザードリィ』と同様のターン制。基本的にこちらが行動を決定するまで相手も攻撃してこないので、好きなだけ考えられ落ち着いた行動ができる。 ---ちなみに『ウルティマ』の戦闘システムは、モンスターとリアルタイムで接敵して戦うアクション性の高いもの。 --行動をコマンドで選択する方法がとられ、武器で直接攻撃を行う「たたかう」や特殊な効果を発揮する「じゅもん」などを状況に応じて使い分ける。 ***DQIならではの特徴 当時の新技術を使ったコンピュータRPGと比較して、ハード上の制約も絡んで様々な簡略化がされた。その中には家庭用ゲーム機で未知のジャンルだった「RPG」をプレイヤーに理解してもらう為の配慮も含まれる。 -最初から最後まで主人公一人の冒険。戦闘も1対1である。 --これはファミコンで当時主流だったアクションゲームに慣れた子供たちには、いきなりパーティーでの戦闘は難しいのではないかと判断され意図的にそうしたとの事。 --入力した名前で初期パラメータと成長タイプが変わる。 -装備品の持ち替えが出来ない。手に入れた装備は自動で装備され、新しい装備品を買うとそれまで装備していたものは自動的に売却される。一度装備したものは自分で外せない。 --ゲーム開始直後の主人公は何も持っていないグラフィックだが、武器を手に入れると右手に、盾を手に入れると左手に装備したことがグラフィック上でも反映され、「モンスターと戦う準備ができた」と一目で分かる。 -敵の出現範囲も解りやすく調整されており、橋を渡りラダトームから離れることで強敵が出現する様になっている。 -理解しやすく調整されたシナリオやゲームバランス --ゲーム開始直後はラダトームの城の王様の前におり、王様の会話からゲームが始まる。 ---王様のいる部屋から外に出る過程で、「はなす」「とる」「とびら」「かいだん」等のコマンドをひととおり使うことになる。RPG未経験者でも安全な場所で自然と基本操作が身につくようにという、製作者側の配慮である。 --城の1階では旅の知識を聞くことができる。城の近くにあるラダトームの町では、屋根のある家の入り方やカウンター越しに会話が可能な事や武器防具の購入を覚えられる。 ---この時点での所持金では不完全な装備しかできないが、そのお陰で装備をプレイヤーが選ぶことができ、今は入手できない装備品を買う為にお金をためるモチベーションの向上につながっている。 --初期状態では呪文を使うことができず、また敵も呪文を使ってこない。最初にできることを少なくすることで敵との戦い方を段階を踏んで理解できる。 ---ただし、できることの少なさは単調な展開の繰り返しになってしまう。その為に序盤は意図的にレベルが上がりやすく調整されており、ストレスを感じにくくなっている。 --覚える呪文も効果がわかりやすい回復呪文「ホイミ((HPを15程度回復させる 消費MP4。))」を最初に、攻撃呪文の「ギラ((敵に10程度のダメージ 消費MP2。))」をその次のレベルで覚える。 ---ホイミを最初に覚える事で宿屋に泊まる回数が減ってゴールドがためやすくなり、ギラの習得で通常攻撃だけでは倒しにくいモンスターを倒せるようになる。 ---その後も遠出するようになり攻撃が強力な敵が出現する頃に「ラリホー((敵を眠らせ、こちらが一方的に行動できる。 消費MP2))」、敵も使う様になる頃に「マホトーン((敵の呪文を封じて使えなくさせる。 消費MP2))」と言う様に必要なタイミングで呪文を習得するよう調整されている。 -バッドステータスも行動を封じる物やわかりやすいものに限定している。 --戦闘中は眠りの呪文「ラリホー」や魔法封じの「マホトーン」による物のみ。どちらも行動の制限のために効果がわかりやすく、かつ使う敵の強さを引き立てている。 --移動中は呪いのアイテムを装備する事で発生する呪いのみ。呪われていると復活してもHPが1しか回復せず城に入れてもらえなくなる。 ---ラダトームの町にいる老人に話しかける事で呪いを解いてもらうことができる。 -真っ暗なダンジョン。そのままでは地形が全く見えない。 --たいまつ又はレミーラの呪文を使えば自分の周囲だけは明るくなるが、広々としたフィールドとは違い視界の利かない中を歩むのは不気味である。 ---なお最初に訪れる事になる「ロトの洞窟」では敵が出現せず、洞窟内での移動の仕方を学習できるようになっている。 --BGMも、1階層下に下りる毎にトーンやテンポが低く遅くなっていき、不気味さを見事に演出している。 //初期時にダンジョンが真っ暗なのは既にPC「ハイドライド」や「ザナドゥ」などで前例がいくつもあるので微修正。 -スタート地点のラダトーム城は、パスワード(復活の呪文)を聞くことができる唯一の場である。移動呪文「ルーラ」も移動先はラダトームで固定されている。 --また、自キャラが死んだときにもゲームオーバーにはならず、「死んでもゴールドが半分に減らされるだけで、レベルや経験値、所持アイテムやゲームの進行状況は全て維持」したまま城から再開される。 ---当時のPCのRPGは「死んだらゲームオーバー」→「セーブ時の状況まで戻ってやり直し(セーブ後の行動は全て「なかったこと」になる)」が主流だった。 ---これも子供たちへの配慮であり、当時のPCのRPGにみられた理不尽さを極力無くし途中で投げ出さないようにする為の措置だった。 //文法が滅茶苦茶だったので修正しました。「他人に読ませる文章を書く」という事をもう少し意識してください。 ---とはいえゴールドはかなり稼ぎにくいので、そのゴールドが半分に減らされるペナルティーは厳しい。ただし、その時点の強敵と渡り合えるようにさせるための意図的なレベル上げの強要とも取れる。 **評価点 -やり応えがあり、ボスはボスらしく強い。1作目の基本システムはシンプルであるが、だからといって甘くは無い。シンプルな分要求される作業量は膨大でシビアな管理が求められる。[[DQII>http://www23.atwiki.jp/ggmatome/pages/135.html]]が調整不足から生まれた大雑把な難しさなら、DQIは計算され尽くしたシンプルな難しさである。 --武器、防具は「高嶺の花」で、その町周辺の敵とひたすら戦ってゴールドを稼がないと手が出せない。 --とにかく厳しいのは経験値の入手バランス。物語の進行を度々妨げ、終盤以外でもレベル上げを強要するバランスは今のRPGに見られない特長だ。 -HPの回復もまた楽ではない。呪文「ホイミ」で回復するHPは10前後で、HPを30前後回復する薬草は24ゴールドと序盤では高価。 --中盤以降ホイミでは回復が追い付かないので、移動時にはHPを満タン近くまで回復しておく必要がある。 ---ベホイミを習得したり、歩く度にHPが回復する魔法の鎧を入手した後はこの負担が緩和される。 -ラスボス竜王は非常に強い。相手は打撃と炎、こちらも攻撃の合間にべホイミで回復と単純ながらもその存在感は今のゲームではお目に掛かれない。到達レベルと思われる17前後ではまともにダメージを与えることすら出来ない。倒すには最低レベル19は必要で、それでも竜王までの道中は苦戦を強いられMPを満タン近くに温存しておくことが勝利の前提条件になる。しかもこの間のレベル上げは上記の通り大変そのもの。 --また「スタート地点の城の対岸に自らの拠点を構える」という、シリーズでも類例のない大胆さを持つ。 -RPGの根底にある「敵と戦って勝利する面白さ」がうまく表現されている。 --前述の通り戦闘バランスはやや厳しめの方向((今の目からすれば大変厳しい。))で調整されていて、洞窟の1階層奥に進んだり、橋を渡って新しい大陸に進んだりすると強い敵が出てくる。手持ちのアイテムを使い切って辛勝したり、命からがら逃げ出したりといったケースはしょっちゅう起こるが、きちんとレベルを上げて装備を整えればちゃんと勝てるようになる。 --分かりやすいシンプルなシステムと、こういった厳しさからくる達成感と面白さがRPG初心者に受け入れられた。 -BGMは、数こそ少ないが非常に効果的に使用されている。1人旅のフィールドで流れる冒険の旅立ちを思わせる曲はファンの間でも人気が高い。また、ダンジョンのBGMを、メロディ自体は同一のままでテンポを階層ごとに変えていく演出は、他作品やシリーズ後発作品でもそう多くは見られない巧みな表現である。 -アドベンチャーRPGなどとも言われ、攻略のヒントやどうでもいい自分語りといった町人の会話なども丁寧に作られており、スタッフが町人として隠しキャラのようにマップに存在するなど、素朴な遊びもある。 --本編に関連する台詞は現在のRPGと比べ台詞が少ないもののシリアスかつシビアな内容((ここ ラダトームは そのむかし らくえん でした。 それを まものたちが…」「ラダトームのおしろのみなみから うみのむこうに おしろが みえるでしょう。りゅうおうは そのしろに いるとか…。 おお こわい…」「おおくのゆうしゃが まちから とおくに たびにでて そして しんだ。 ゆうしゃ (プレイヤー名)よ おまえを しなせたくないものだな」「うわさでは まものたちに ほろぼされた まちも あるらしいです。」など))で印象に残りやすい。簡潔なセリフながら世界がどのような状況に置かれているか端的に表され、打倒竜王へのモチベーションを高めてくれる。 -鳥山明のモンスターデザインの人気はポップで親しみやすく、人気が高い。姿と名前を一致させやすい、系統ごとの特徴がよく出ている点も評価されている。 --魔物だというのに''かわいい''敵すらいる。その代表格である「スライム」は、今やDQのマスコットとなった。 ---それまでスライムといえば粘液質の不気味なデザインが主流だったが、本作でのその愛らしいデザインが後発の様々な分野の作品に多大な影響をもたらした。と同時に、本家のTRPGでは「剣でも切れない粘液質の強敵モンスター」と位置づけられているスライムのイメージを覆してしまった。このため、DQのスライムを嫌う者もいる((この点はナムコのアーケードゲーム『ドルアーガの塔』におけるスライムも同様であり、製作者の遠藤氏は自身を指して「スライムA級戦犯」と自称している。ただし『ドルアーガ』におけるスライムはフロアを上がるごとに魔法を放つようになるなど、むしろ強い部類に入る。また、コンピュータRPGの元祖である『ウルティマ』や『ウィザードリィ』でもスライムは最弱クラスのモンスターとして登場しているため、DQが責められるのはその知名度による所が大きいだろう。))。 ---「剣でも切れない強敵モンスター」というイメージにぴったりのスライム型モンスターとしては、FFシリーズの「プリン」「プリヌラ」系、ロマサガ2の「ゼラチナスマター」がある。こういった強敵に「スライム」の名前を冠していないのはある意味象徴的なことといえる。 -ビジネスソフトに使われていた、ウィンドウに別ウィンドウが重なるマルチウィンドウシステムをゲームとしては初めて採用((実は既にハイドライドスペシャルで採用されている。))し、のちのゲームのインターフェースに多大な影響を与えた。 //--この他、ラスボス戦闘前に「はいorいいえ」の二択とバッドエンドパターンを用意したり、敵から救い出したお姫様をお城に連れて帰る途中に宿屋に泊まると専用メッセージがあったりと、意外な部分の芸が細かい。 **問題点 -インターフェイスが未成熟。 --以下に挙げる指摘は、子供たちに何をすればどうなるか覚えさせる為の配慮も含まれる。 ---移動画面での人物のグラフィックは正面しか作られておらず、通行人に話しかける際にはその人のいる方角を選択しなければならない。また、主人公が移動する姿は現在では「カニ歩き」と笑われることも。 ---宝箱を開けたり、階段を昇り降りするには、それぞれの上に立って「とる」「かいだん」といった個別のコマンドを選ぶ必要がある。 ---「どうぐ」から鍵を消費することができるのに「とびら」というコマンドもあり冗長である。((これは逆に、鍵の種類が複数になった2以降で役立つコマンドとも言えるが、この作品ではあまり必要がなかった。)) -主人公の能力が名前依存となっており、名前によっては能力が偏っていたりするので、名前によって多少難易度が変化する。 -間違って洞窟に入ってしまうと悲惨。 --前述の通り呪文やたいまつの用意がなければ移動もままならず、「かいだん」コマンドを使わなければ出られないので用意もなしにうっかり入って動き回ると死ぬまで洞窟をさまよう事になる。 ---最も「ロトの洞窟」以外では死んでもゴールド半分になって蘇るのでハマる危険はないが、準備が整ってない状態で不用意に洞窟に近づかないこと。 -敵のラリホー((相手を眠らせて行動不能にする呪文。))は100%喰らってしまう。 --その為、一度眠らされたら攻撃を一方的に受け続けてそのまま永眠ということも。最強の雑魚敵ダースドラゴンとの戦いは敵のラリホーが先か、こちらのマホトーンが先に効くかの正に命懸け。 -最強の攻撃魔法であるベギラマだが、習得する頃には炎の剣かロトの剣が手に入っており、通常攻撃でもベギラマ並のダメージを与える事が可能になってしまう。その為折角の最強魔法なのに武器を一切使わずにプレイするといった極端な縛りプレイでもしない限り、活躍の場が全く無い。 //-ローラ姫との会話における、彼女の誘いを断った時の「そんな ひどい…」の無限ループ。 //--無限ループの定番のネタとなっている。 -メタルスライムなど特殊な敵以外でも通常攻撃や会心の一撃を外す事もある。((これは『IX』でも復活している。)) -この時期はバッテリーバックアップがなかったため、パスワード制(復活の呪文)を採用しておりセーブ作業がやや面倒。平仮名の「あ~ば」までの64文字を使用。復活の呪文は20文字。 --ブラウン管TVであったことと画面表示がRF接続なので字が読みづらく「ば」と「ぱ」など濁点と半濁点の字を間違えて書き留めることや何度も確認して間違いがないかチェックしたにも関わらず「復活の呪文が違う」と言われることも度々。 --「じ」と「ぢ」、「ず」と「づ」などの同音異字もあるため、音読しながら書き留めると間違える可能性もある。 --正しいパスワードを書いて入力しても、まれに主人公名がバグってしまう(例:0000など)。 **総評 -ハードルの高かった「RPG」という遊びを子供でも気軽に遊べるようなシステムに整えた結果、「剣と魔法のファンタジー世界」を浸透させる事に成功した。 --もっとも発売当初の売上はパッとせず、週刊少年ジャンプの度重なる紹介記事などで徐々に知名度を伸ばしヒット作に成長。 -日本で「RPG」といえば「本来のテーブルトークRPG」ではなく「DQのようなコンピュータゲーム」をイメージしてしまうほどの認識をされている。また、国産コンピュータRPGの進化方向を決定付けた作品。 //ポケモンの際の口コミ(ユーザー主導)と、ドラクエの際の口コミ(雑誌記者や他社スタッフなどのプロ主導)では傾向が違うと思う。 -最も販売促進を決定づけたのは3作目の『DQIII』の大成功などと言われている。これによりDQがスーパーマリオと肩を並べる知名度となり、過去の作品もプレイしてみようという人が増えたようだ。 **余談 -漫画「ドラゴンクエストへの道」では、すぎやまの参加はプロデューサーの千田が中村に何も相談せずに独断で決めた事が明らかになっており、それを知った中村が激怒して千田と怒鳴り合いになったとされている。その後、堀井の仲立ちで中村とすぎやまとの間で話し合いが設けられ、最終的に中村はすぎやまの作曲を承諾したとの事。 //すぎやま氏が「最初から開発に参加していた」という情報源が不明の為、記事を修正しました。正確な情報源を知っている方は追記をお願いします。 --中村の言い分としては、既にチュンソフトのサウンドプログラマーによって曲が完成しており、ここですぎやまに作曲を依頼するような事態になった場合、頑張って曲を作ってくれたサウンドプログラマーに申し訳が立たない事と、プロの作曲家の力は認めるがゲームの音楽は特殊ジャンルであり、ゲームが分からない人だったら怖い、との事。 --すぎやま氏曰く「当時のゲーム業界は、大学のサークル活動の延長線上のような感じでアマチュアの熱気でゲームが作られている環境にあり、プロがゲームの制作現場に入ることは批判的な目で見られやすい時代だった」という。ドラクエ制作現場においてもそんな険悪な雰囲気があり、最終的に現場に携わることになったすぎやまに対する視線も「しょせんプロの音楽にゲームなんてわかるはずはない」という、冷たいものであったらしい。 ---そこで場の雰囲気を和らげるべく自分もゲームが好きであることを伝えゲームの話しをした結果、すぎやまの方がはるかにゲームに詳しいことが発覚。軽蔑的な視線が次第に尊敬のまなざしに変わり、こうしてゲーマーとして受け入れてもらえるようになったということである。((ニンテンドードリーム2005年11月号 すぎやまこういち×近藤浩治ビック対談より)) //あの漫画(に限らずこの手のメイキング漫画全般)は脚色多いんで、情報ソースとしては不適当。事実、このシーンも細部は大分違う。 //脚色だという事実の出典元の提示を願います。 //出典の事実確認に書籍を扱う例も多いけど堀井が絡んだインタービューは『商売上の宣伝』として誇張した記事も多いので鵜呑みにせず異論の情報も集めた方が良いよ。 //すぎやま氏が担当する経緯に関して、ニンテンドードリーム2005年11月号の近藤浩治氏との対談記事よりまとめました -本作はシリーズで唯一のBADエンドが用意されている(ネタバレ) #region --とあるイベントにおける会話シーンにおいて、相手からの問いかけに2度「はい」と答えると、会話相手から復活の呪文を教わった直後に画面が真っ赤に暗転した状態でフリーズしてしまい、リセットを押すしかなくなってしまう。 --教わった復活の呪文は&bold(){「全ての装備品・所持金・経験値を没収された上にレベルが初期値に戻された上でラダトームから再開する」}というとんでもないもの。つまり今までの進行状態がリセットされ最初からやり直しを余儀なくさせられるというペナルティである。この会話イベントが発生する地点へ向かう直前のパスワードをきちんと保存できていれば通常通り再開できるものの、破棄してしまっていた場合はこれまでの苦労が文字通り水泡に帰す。 ---会話の内容や「プレイヤー=勇者」という図式上からも「いいえ」と答えるのが正解というか当然ではあるのだが、まさかこのような仕打ちが待ち受けているとは知らず、面白半分で「はい」と答えて上記の憂き目にあった人もいたことだろう。ダンジョン最下層で流れる暗いBGMと赤と黒に染まった画面の不気味さ、そして上述のペナルティも相まってこのイベントを本作におけるトラウマに挙げる人も少なくない。 ---詳細は伏せるが、このイベントが起きるのはゲーム終盤。それだけに、このトラップに引っかかってしまった時のショックは計り知れないものがある。 #endregion -本作のテキスト表示にひらがな文字とカタカナ文字を使っているが、カタカナ文字は全て収録されていない。少ない容量にデータを収める工夫として使用度の多いカタカナ20文字のみ収録された。 //この極限までの工夫は後に多くのユーザーに賞賛されている。 //マニアでもない限りそんなことには興味ない --「へ」や「り」など、ひらがなとカタカナで字体が似ている文字はひらがなが使われている。これはFC最終作である「4」まで続く。 --本作最強の雑魚敵「ダースドラゴン」は、本来「ダークドラゴン」としたものをクの文字を使えなかったために変えられた名前。 --「カタカナ20文字」のアイディアは堀井がとある推理小説の短編から着想を受けたもので、ファミコン版「ポートピア連続殺人事件」から使われている。 //小説のネタバレ防止で作品名はボカす。 -実はローラ姫を救出しなくても竜王さえ倒せばエンディングを迎えられる。 //又、ローラ姫を救出後、城に連れて帰らずに竜王の目の前まで連れて行くと普段とは違う台詞になるなど、変わった遊び方も可能である。←はSFCでした。 -FFXIIの隠し武器に記載されている復活の呪文を入れるとちょっとしたサプライズがある。 --動画サイトでは面白復活の呪文の未来予言版や綺麗版といったものが投稿されている。 #region(面白復活の呪文・未来予言版) &nicovideo2(http://www.nicovideo.jp/watch/sm1932673) #endregion #region(面白復活の呪文・綺麗版) &nicovideo2(http://www.nicovideo.jp/watch/sm8347103) #endregion -2010年8月~9月に行なわれた「お気に入りの大魔王は?」のアンケートでは全9作品中、Iのラスボスが第2位にランクインしたが、同日行なわれた「一番思いいれのある主人公は?」では、全9作品中、Iの主人公は第5位だった。 -「''DQシリーズは夢幻の心臓のパクリ''」と指摘を受ける事も。実際、ドラクエの一部ギミックは夢幻の心臓(特に2)から影響を受けていると思われる面も多い((また、堀井雄二の親友であるさくまあきらも、「桃太郎伝説」のゲームデザインに夢幻の心臓を参考にしたと語っている。))。ただ、元を辿れば両作品は「ウィザードリィ」と「ウルティマ」の影響下にあると考えられ、この洋ゲー2作品→夢幻の心臓シリーズ→ドラゴンクエストシリーズ、という系譜と捉えることが考えられる。 --マイコンBASICマガジンの堀井氏へのインタビュー記事で、実際に参考したゲームとしてD&Dや夢幻の心臓2の名前を挙げると共に強い衝撃を受けたことを語っている。 **移植・リメイク・派生 -同86年にMSX及びMSX2向けに移植発売された。 -1993年に[[ドラゴンクエストI・II>ドラゴンクエストI・II]]として、スーパーファミコン向けにI・IIセットのリメイク版を発売。 --SFC版ベースの『ゲームボーイ ドラゴンクエストI・II』が1999年にゲームボーイカラー(全GB共通)向けに移植。 -その他I単体で携帯アプリとして配信中。 -2003年にIのストーリーと世界観をベースにした体感RPG『剣神ドラゴンクエスト 甦りし伝説の剣』を発売。((剣の形状をしたソフト内臓の本体をTVに直接繋いで遊ぶゲーム機。)) //--キャラクターやひらがな主体のメッセージなど低年齢層を意識したデザインとは裏腹に、大きなお友達ものめり込める”隠れた名作”となっている。 --『[[ドラゴンクエスト モンスターバトルロードシリーズ]]』では、『I』の主人公が『剣神ドラゴンクエスト 甦りし伝説の剣』の主人公と言う設定になっている。 -2011年にはFC版「I」「II」「III」、SFC版「I・II」「III」を移植した、Wii『ドラゴンクエスト25周年記念 ファミコン&スーパーファミコン ドラゴンクエストI・II・III』が発売された。 --SFCソフトのバーチャルコンソールの仕様では、クラシックコントローラおよびGCコントローラを必須としているが、こちらはWiiリモコン単体でも遊べる。 --単に当時のゲームがそのまま収録されているだけではなく、中断セーブの付加や当時の手書きの設定資料集も収録されている。 --付属の『ファミコン神拳奥義大全書 復刻の巻』のスタッフインタビューや、設定資料集を読めば、本作が初心者にRPGの楽しさを伝えるために如何に様々な工夫を凝らしたかが分かるはず。ドラクエの原点を知りたいのであれば、ぜひ目を通しておくのもいいだろう。
*ドラゴンクエスト 【どらごんくえすと】 |ジャンル|ロールプレイングゲーム|&image(0006-1.JPG,http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000068HWB/ksgmatome-22/ref=nosim,width=160)[[高解像度で見る>http://www23.atwiki.jp/ggmatome?cmd=upload&act=open&pageid=226&file=0006-1.JPG]] [[裏を見る>http://www23.atwiki.jp/ggmatome?cmd=upload&act=open&pageid=226&file=0006-2.JPG]]&image(dq1game.jpg,http://www23.atwiki.jp/ggmatome?cmd=upload&act=open&pageid=226&file=dq1game.jpg,width=160)|&amazon(B005B7EUQM)| |対応機種|ファミリーコンピュータ|~|~| |メディア|512KbitROMカートリッジ|~|~| |発売元|エニックス|~|~| |開発元|チュンソフト|~|~| |発売日|1986年5月27日|~|~| |定価|5,500円|~|~| |プレイ人数|1人|~|~| |備考|パスワードコンティニュー(20文字)&br()移植は【移植・リメイク・派生】参照|~|~| |>|>|>|CENTER:''[[ドラゴンクエストシリーズリンク>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/269.html]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -国民的RPGとさえいって差し支えないドラクエシリーズの第一作。 -最初のファミコン用RPGとして認識されている。漫画「ドラゴンクエストへの道」によると、プログラマーの中村光一もファミコン初のRPGにしたいと意気込んでいたとされる。 --ただし、コマンド選択型RPGに限らなければARPGの傑作『ハイドライド』を家庭用にアレンジ移植した『ハイドライドスペシャル』が同年3月18日に発売済み((「自称」RPGの『頭脳戦艦ガル』は前年の発売。更にアーケードのARPG「ドルアーガの塔」がその前に移植され既に発売していた。))。 -プレイヤーは伝説の勇者ロトの子孫となって、平和なアレフガルドに突如現れた邪悪の化身「竜王」を打ち倒し光の玉を取り戻すことが目的。 -シナリオは堀井雄二、メインプログラマーは中村光一、モンスター(キャラクター)デザインは鳥山明、音楽はすぎやまこういちが担当。 //すぎやま氏が担当することになった経緯については余談の項目に回させてもらった。概要で全部述べると冗長なので。 **特徴 RPG未経験者にも取っ付きやすいよう、「遊びやすく、且つRPGの概要を理解しやすいシステム」に重点を置いて作られた。 基本部分はコンピュータRPGのパイオニア『[[ウルティマ>http://www23.atwiki.jp/ggmatome/pages/1448.html]]』と『[[ウィザードリィ>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/1088.html]]』を参考に、それぞれの分かりやすい部分を取り入れている。~ このスタイルは後続の国産RPGにも取り込まれ、主流となった。 -フィールドは『ウルティマ』と同様の2D見下ろし型。 --上空から見下ろしているような視点であり、周囲の地形がわかりやすい。 ---ちなみに『ウィザードリィ』のフィールドは3D視点のダンジョンタイプで、地形の把握が難解なのでマッピングすることが重要な攻略手段になる。 -フィールドを歩けばランダムで敵と遭遇し戦闘に突入。 --戦闘システムは『ウィザードリィ』と同様のターン制。基本的にこちらが行動を決定するまで相手も攻撃してこないので、好きなだけ考えられ落ち着いた行動ができる。 ---ちなみに『ウルティマ』の戦闘システムは、モンスターとリアルタイムで接敵して戦うアクション性の高いもの。 --行動をコマンドで選択する方法がとられ、武器で直接攻撃を行う「たたかう」や特殊な効果を発揮する「じゅもん」などを状況に応じて使い分ける。 ***DQIならではの特徴 当時の新技術を使ったコンピュータRPGと比較して、ハード上の制約も絡んで様々な簡略化がされた。その中には家庭用ゲーム機で未知のジャンルだった「RPG」をプレイヤーに理解してもらう為の配慮も含まれる。 -最初から最後まで主人公一人の冒険。戦闘も1対1である。 --これはファミコンで当時主流だったアクションゲームに慣れた子供たちには、いきなりパーティーでの戦闘は難しいのではないかと判断され意図的にそうしたとの事。 --入力した名前で初期パラメータと成長タイプが変わる。 -装備品の持ち替えが出来ない。手に入れた装備は自動で装備され、新しい装備品を買うとそれまで装備していたものは自動的に売却される。一度装備したものは自分で外せない。 --ゲーム開始直後の主人公は何も持っていないグラフィックだが、武器を手に入れると右手に、盾を手に入れると左手に装備したことがグラフィック上でも反映され、「モンスターと戦う準備ができた」と一目で分かる。 -敵の出現範囲も解りやすく調整されており、橋を渡りラダトームから離れることで強敵が出現する様になっている。 -理解しやすく調整されたシナリオやゲームバランス --ゲーム開始直後はラダトームの城の王様の前におり、王様の会話からゲームが始まる。 ---王様のいる部屋から外に出る過程で、「はなす」「とる」「とびら」「かいだん」等のコマンドをひととおり使うことになる。RPG未経験者でも安全な場所で自然と基本操作が身につくようにという、製作者側の配慮である。 ---実はプログラム完成直後のVerでは、ゲーム開始直後にラダトーム城近くのフィールドに放り出されるという仕様だった。だが子供たちにテストプレイをさせてみた所「最初に何をしたらいいのか分からない」という苦情が殺到した事から、「このままでは不親切なゲームになる」と危機感を抱き、現在の仕様に変更になったとの事。 --城の1階では旅の知識を聞くことができる。城の近くにあるラダトームの町では、屋根のある家の入り方やカウンター越しに会話が可能な事や武器防具の購入を覚えられる。 ---この時点での所持金では不完全な装備しかできないが、そのお陰で装備をプレイヤーが選ぶことができ、今は入手できない装備品を買う為にお金をためるモチベーションの向上につながっている。 --初期状態では呪文を使うことができず、また敵も呪文を使ってこない。最初にできることを少なくすることで敵との戦い方を段階を踏んで理解できる。 ---ただし、できることの少なさは単調な展開の繰り返しになってしまう。その為に序盤は意図的にレベルが上がりやすく調整されており、ストレスを感じにくくなっている。 --覚える呪文も効果がわかりやすい回復呪文「ホイミ((HPを15程度回復させる 消費MP4。))」を最初に、攻撃呪文の「ギラ((敵に10程度のダメージ 消費MP2。))」をその次のレベルで覚える。 ---ホイミを最初に覚える事で宿屋に泊まる回数が減ってゴールドがためやすくなり、ギラの習得で通常攻撃だけでは倒しにくいモンスターを倒せるようになる。 ---その後も遠出するようになり攻撃が強力な敵が出現する頃に「ラリホー((敵を眠らせ、こちらが一方的に行動できる。 消費MP2))」、敵も使う様になる頃に「マホトーン((敵の呪文を封じて使えなくさせる。 消費MP2))」と言う様に必要なタイミングで呪文を習得するよう調整されている。 -バッドステータスも行動を封じる物やわかりやすいものに限定している。 --戦闘中は眠りの呪文「ラリホー」や魔法封じの「マホトーン」による物のみ。どちらも行動の制限のために効果がわかりやすく、かつ使う敵の強さを引き立てている。 --移動中は呪いのアイテムを装備する事で発生する呪いのみ。呪われていると復活してもHPが1しか回復せず城に入れてもらえなくなる。 ---ラダトームの町にいる老人に話しかける事で呪いを解いてもらうことができる。 -真っ暗なダンジョン。そのままでは地形が全く見えない。 --たいまつ又はレミーラの呪文を使えば自分の周囲だけは明るくなるが、広々としたフィールドとは違い視界の利かない中を歩むのは不気味である。 ---なお最初に訪れる事になる「ロトの洞窟」では敵が出現せず、洞窟内での移動の仕方を学習できるようになっている。 --BGMも、1階層下に下りる毎にトーンやテンポが低く遅くなっていき、不気味さを見事に演出している。 //初期時にダンジョンが真っ暗なのは既にPC「ハイドライド」や「ザナドゥ」などで前例がいくつもあるので微修正。 -スタート地点のラダトーム城は、パスワード(復活の呪文)を聞くことができる唯一の場である。移動呪文「ルーラ」も移動先はラダトームで固定されている。 --また、自キャラが死んだときにもゲームオーバーにはならず、「死んでもゴールドが半分に減らされるだけで、レベルや経験値、所持アイテムやゲームの進行状況は全て維持」したまま城から再開される。 ---当時のPCのRPGは「死んだらゲームオーバー」→「セーブ時の状況まで戻ってやり直し(セーブ後の行動は全て「なかったこと」になる)」が主流だった。 ---これも子供たちへの配慮であり、当時のPCのRPGにみられた理不尽さを極力無くし途中で投げ出さないようにする為の措置だった。 //文法が滅茶苦茶だったので修正しました。「他人に読ませる文章を書く」という事をもう少し意識してください。 ---とはいえゴールドはかなり稼ぎにくいので、そのゴールドが半分に減らされるペナルティーは厳しい。ただし、その時点の強敵と渡り合えるようにさせるための意図的なレベル上げの強要とも取れる。 **評価点 -やり応えがあり、ボスはボスらしく強い。1作目の基本システムはシンプルであるが、だからといって甘くは無い。シンプルな分要求される作業量は膨大でシビアな管理が求められる。[[DQII>http://www23.atwiki.jp/ggmatome/pages/135.html]]が調整不足から生まれた大雑把な難しさなら、DQIは計算され尽くしたシンプルな難しさである。 --武器、防具は「高嶺の花」で、その町周辺の敵とひたすら戦ってゴールドを稼がないと手が出せない。 --とにかく厳しいのは経験値の入手バランス。物語の進行を度々妨げ、終盤以外でもレベル上げを強要するバランスは今のRPGに見られない特長だ。 -HPの回復もまた楽ではない。呪文「ホイミ」で回復するHPは10前後で、HPを30前後回復する薬草は24ゴールドと序盤では高価。 --中盤以降ホイミでは回復が追い付かないので、移動時にはHPを満タン近くまで回復しておく必要がある。 ---ベホイミを習得したり、歩く度にHPが回復する魔法の鎧を入手した後はこの負担が緩和される。 -ラスボス竜王は非常に強い。相手は打撃と炎、こちらも攻撃の合間にべホイミで回復と単純ながらもその存在感は今のゲームではお目に掛かれない。到達レベルと思われる17前後ではまともにダメージを与えることすら出来ない。倒すには最低レベル19は必要で、それでも竜王までの道中は苦戦を強いられMPを満タン近くに温存しておくことが勝利の前提条件になる。しかもこの間のレベル上げは上記の通り大変そのもの。 --また「スタート地点の城の対岸に自らの拠点を構える」という、シリーズでも類例のない大胆さを持つ。 -RPGの根底にある「敵と戦って勝利する面白さ」がうまく表現されている。 --前述の通り戦闘バランスはやや厳しめの方向((今の目からすれば大変厳しい。))で調整されていて、洞窟の1階層奥に進んだり、橋を渡って新しい大陸に進んだりすると強い敵が出てくる。手持ちのアイテムを使い切って辛勝したり、命からがら逃げ出したりといったケースはしょっちゅう起こるが、きちんとレベルを上げて装備を整えればちゃんと勝てるようになる。 --分かりやすいシンプルなシステムと、こういった厳しさからくる達成感と面白さがRPG初心者に受け入れられた。 -BGMは、数こそ少ないが非常に効果的に使用されている。1人旅のフィールドで流れる冒険の旅立ちを思わせる曲はファンの間でも人気が高い。また、ダンジョンのBGMを、メロディ自体は同一のままでテンポを階層ごとに変えていく演出は、他作品やシリーズ後発作品でもそう多くは見られない巧みな表現である。 -アドベンチャーRPGなどとも言われ、攻略のヒントやどうでもいい自分語りといった町人の会話なども丁寧に作られており、スタッフが町人として隠しキャラのようにマップに存在するなど、素朴な遊びもある。 --本編に関連する台詞は現在のRPGと比べ台詞が少ないもののシリアスかつシビアな内容((ここ ラダトームは そのむかし らくえん でした。 それを まものたちが…」「ラダトームのおしろのみなみから うみのむこうに おしろが みえるでしょう。りゅうおうは そのしろに いるとか…。 おお こわい…」「おおくのゆうしゃが まちから とおくに たびにでて そして しんだ。 ゆうしゃ (プレイヤー名)よ おまえを しなせたくないものだな」「うわさでは まものたちに ほろぼされた まちも あるらしいです。」など))で印象に残りやすい。簡潔なセリフながら世界がどのような状況に置かれているか端的に表され、打倒竜王へのモチベーションを高めてくれる。 -鳥山明のモンスターデザインの人気はポップで親しみやすく、人気が高い。姿と名前を一致させやすい、系統ごとの特徴がよく出ている点も評価されている。 --魔物だというのに''かわいい''敵すらいる。その代表格である「スライム」は、今やDQのマスコットとなった。 ---それまでスライムといえば粘液質の不気味なデザインが主流だったが、本作でのその愛らしいデザインが後発の様々な分野の作品に多大な影響をもたらした。と同時に、本家のTRPGでは「剣でも切れない粘液質の強敵モンスター」と位置づけられているスライムのイメージを覆してしまった。このため、DQのスライムを嫌う者もいる((この点はナムコのアーケードゲーム『ドルアーガの塔』におけるスライムも同様であり、製作者の遠藤氏は自身を指して「スライムA級戦犯」と自称している。ただし『ドルアーガ』におけるスライムはフロアを上がるごとに魔法を放つようになるなど、むしろ強い部類に入る。また、コンピュータRPGの元祖である『ウルティマ』や『ウィザードリィ』でもスライムは最弱クラスのモンスターとして登場しているため、DQが責められるのはその知名度による所が大きいだろう。))。 ---「剣でも切れない強敵モンスター」というイメージにぴったりのスライム型モンスターとしては、FFシリーズの「プリン」「プリヌラ」系、ロマサガ2の「ゼラチナスマター」がある。こういった強敵に「スライム」の名前を冠していないのはある意味象徴的なことといえる。 -ビジネスソフトに使われていた、ウィンドウに別ウィンドウが重なるマルチウィンドウシステムをゲームとしては初めて採用((実は既にハイドライドスペシャルで採用されている。))し、のちのゲームのインターフェースに多大な影響を与えた。 //--この他、ラスボス戦闘前に「はいorいいえ」の二択とバッドエンドパターンを用意したり、敵から救い出したお姫様をお城に連れて帰る途中に宿屋に泊まると専用メッセージがあったりと、意外な部分の芸が細かい。 **問題点 -インターフェイスが未成熟。 --以下に挙げる指摘は、子供たちに何をすればどうなるか覚えさせる為の配慮も含まれる。 ---移動画面での人物のグラフィックは正面しか作られておらず、通行人に話しかける際にはその人のいる方角を選択しなければならない。また、主人公が移動する姿は現在では「カニ歩き」と笑われることも。 ---宝箱を開けたり、階段を昇り降りするには、それぞれの上に立って「とる」「かいだん」といった個別のコマンドを選ぶ必要がある。 ---「どうぐ」から鍵を消費することができるのに「とびら」というコマンドもあり冗長である。((これは逆に、鍵の種類が複数になった2以降で役立つコマンドとも言えるが、この作品ではあまり必要がなかった。)) -主人公の能力が名前依存となっており、名前によっては能力が偏っていたりするので、名前によって多少難易度が変化する。 -間違って洞窟に入ってしまうと悲惨。 --前述の通り呪文やたいまつの用意がなければ移動もままならず、「かいだん」コマンドを使わなければ出られないので用意もなしにうっかり入って動き回ると死ぬまで洞窟をさまよう事になる。 ---最も「ロトの洞窟」以外では死んでもゴールド半分になって蘇るのでハマる危険はないが、準備が整ってない状態で不用意に洞窟に近づかないこと。 -敵のラリホー((相手を眠らせて行動不能にする呪文。))は100%喰らってしまう。 --その為、一度眠らされたら攻撃を一方的に受け続けてそのまま永眠ということも。最強の雑魚敵ダースドラゴンとの戦いは敵のラリホーが先か、こちらのマホトーンが先に効くかの正に命懸け。 -最強の攻撃魔法であるベギラマだが、習得する頃には炎の剣かロトの剣が手に入っており、通常攻撃でもベギラマ並のダメージを与える事が可能になってしまう。その為折角の最強魔法なのに武器を一切使わずにプレイするといった極端な縛りプレイでもしない限り、活躍の場が全く無い。 //-ローラ姫との会話における、彼女の誘いを断った時の「そんな ひどい…」の無限ループ。 //--無限ループの定番のネタとなっている。 -メタルスライムなど特殊な敵以外でも通常攻撃や会心の一撃を外す事もある。((これは『IX』でも復活している。)) -この時期はバッテリーバックアップがなかったため、パスワード制(復活の呪文)を採用しておりセーブ作業がやや面倒。平仮名の「あ~ば」までの64文字を使用。復活の呪文は20文字。 --ブラウン管TVであったことと画面表示がRF接続なので字が読みづらく「ば」と「ぱ」など濁点と半濁点の字を間違えて書き留めることや何度も確認して間違いがないかチェックしたにも関わらず「復活の呪文が違う」と言われることも度々。 --「じ」と「ぢ」、「ず」と「づ」などの同音異字もあるため、音読しながら書き留めると間違える可能性もある。 --正しいパスワードを書いて入力しても、まれに主人公名がバグってしまう(例:0000など)。 **総評 -ハードルの高かった「RPG」という遊びを子供でも気軽に遊べるようなシステムに整えた結果、「剣と魔法のファンタジー世界」を浸透させる事に成功した。 --もっとも発売当初の売上はパッとせず、週刊少年ジャンプの度重なる紹介記事などで徐々に知名度を伸ばしヒット作に成長。 -日本で「RPG」といえば「本来のテーブルトークRPG」ではなく「DQのようなコンピュータゲーム」をイメージしてしまうほどの認識をされている。また、国産コンピュータRPGの進化方向を決定付けた作品。 //ポケモンの際の口コミ(ユーザー主導)と、ドラクエの際の口コミ(雑誌記者や他社スタッフなどのプロ主導)では傾向が違うと思う。 -最も販売促進を決定づけたのは3作目の『DQIII』の大成功などと言われている。これによりDQがスーパーマリオと肩を並べる知名度となり、過去の作品もプレイしてみようという人が増えたようだ。 **余談 -漫画「ドラゴンクエストへの道」では、すぎやまの参加はプロデューサーの千田が中村に何も相談せずに独断で決めた事が明らかになっており、それを知った中村が激怒して千田と怒鳴り合いになったとされている。その後、堀井の仲立ちで中村とすぎやまとの間で話し合いが設けられ、最終的に中村はすぎやまの作曲を承諾したとの事。 //すぎやま氏が「最初から開発に参加していた」という情報源が不明の為、記事を修正しました。正確な情報源を知っている方は追記をお願いします。 --中村の言い分としては、既にチュンソフトのサウンドプログラマーによって曲が完成しており、ここですぎやまに作曲を依頼するような事態になった場合、頑張って曲を作ってくれたサウンドプログラマーに申し訳が立たない事と、プロの作曲家の力は認めるがゲームの音楽は特殊ジャンルであり、ゲームが分からない人だったら怖い、との事。 --すぎやま氏曰く「当時のゲーム業界は、大学のサークル活動の延長線上のような感じでアマチュアの熱気でゲームが作られている環境にあり、プロがゲームの制作現場に入ることは批判的な目で見られやすい時代だった」という。ドラクエ制作現場においてもそんな険悪な雰囲気があり、最終的に現場に携わることになったすぎやまに対する視線も「しょせんプロの音楽にゲームなんてわかるはずはない」という、冷たいものであったらしい。 ---そこで場の雰囲気を和らげるべく自分もゲームが好きであることを伝えゲームの話しをした結果、すぎやまの方がはるかにゲームに詳しいことが発覚。軽蔑的な視線が次第に尊敬のまなざしに変わり、こうしてゲーマーとして受け入れてもらえるようになったということである。((ニンテンドードリーム2005年11月号 すぎやまこういち×近藤浩治ビック対談より)) //あの漫画(に限らずこの手のメイキング漫画全般)は脚色多いんで、情報ソースとしては不適当。事実、このシーンも細部は大分違う。 //脚色だという事実の出典元の提示を願います。 //出典の事実確認に書籍を扱う例も多いけど堀井が絡んだインタービューは『商売上の宣伝』として誇張した記事も多いので鵜呑みにせず異論の情報も集めた方が良いよ。 //すぎやま氏が担当する経緯に関して、ニンテンドードリーム2005年11月号の近藤浩治氏との対談記事よりまとめました -本作はシリーズで唯一のBADエンドが用意されている(ネタバレ) #region --とあるイベントにおける会話シーンにおいて、相手からの問いかけに2度「はい」と答えると、会話相手から復活の呪文を教わった直後に画面が真っ赤に暗転した状態でフリーズしてしまい、リセットを押すしかなくなってしまう。 --教わった復活の呪文は&bold(){「全ての装備品・所持金・経験値を没収された上にレベルが初期値に戻された上でラダトームから再開する」}というとんでもないもの。つまり今までの進行状態がリセットされ最初からやり直しを余儀なくさせられるというペナルティである。この会話イベントが発生する地点へ向かう直前のパスワードをきちんと保存できていれば通常通り再開できるものの、破棄してしまっていた場合はこれまでの苦労が文字通り水泡に帰す。 ---会話の内容や「プレイヤー=勇者」という図式上からも「いいえ」と答えるのが正解というか当然ではあるのだが、まさかこのような仕打ちが待ち受けているとは知らず、面白半分で「はい」と答えて上記の憂き目にあった人もいたことだろう。ダンジョン最下層で流れる暗いBGMと赤と黒に染まった画面の不気味さ、そして上述のペナルティも相まってこのイベントを本作におけるトラウマに挙げる人も少なくない。 ---詳細は伏せるが、このイベントが起きるのはゲーム終盤。それだけに、このトラップに引っかかってしまった時のショックは計り知れないものがある。 #endregion -本作のテキスト表示にひらがな文字とカタカナ文字を使っているが、カタカナ文字は全て収録されていない。少ない容量にデータを収める工夫として使用度の多いカタカナ20文字のみ収録された。 //この極限までの工夫は後に多くのユーザーに賞賛されている。 //マニアでもない限りそんなことには興味ない --「へ」や「り」など、ひらがなとカタカナで字体が似ている文字はひらがなが使われている。これはFC最終作である「4」まで続く。 --本作最強の雑魚敵「ダースドラゴン」は、本来「ダークドラゴン」としたものをクの文字を使えなかったために変えられた名前。 --「カタカナ20文字」のアイディアは堀井がとある推理小説の短編から着想を受けたもので、ファミコン版「ポートピア連続殺人事件」から使われている。 //小説のネタバレ防止で作品名はボカす。 -実はローラ姫を救出しなくても竜王さえ倒せばエンディングを迎えられる。 //又、ローラ姫を救出後、城に連れて帰らずに竜王の目の前まで連れて行くと普段とは違う台詞になるなど、変わった遊び方も可能である。←はSFCでした。 -FFXIIの隠し武器に記載されている復活の呪文を入れるとちょっとしたサプライズがある。 --動画サイトでは面白復活の呪文の未来予言版や綺麗版といったものが投稿されている。 #region(面白復活の呪文・未来予言版) &nicovideo2(http://www.nicovideo.jp/watch/sm1932673) #endregion #region(面白復活の呪文・綺麗版) &nicovideo2(http://www.nicovideo.jp/watch/sm8347103) #endregion -2010年8月~9月に行なわれた「お気に入りの大魔王は?」のアンケートでは全9作品中、Iのラスボスが第2位にランクインしたが、同日行なわれた「一番思いいれのある主人公は?」では、全9作品中、Iの主人公は第5位だった。 -「''DQシリーズは夢幻の心臓のパクリ''」と指摘を受ける事も。実際、ドラクエの一部ギミックは夢幻の心臓(特に2)から影響を受けていると思われる面も多い((また、堀井雄二の親友であるさくまあきらも、「桃太郎伝説」のゲームデザインに夢幻の心臓を参考にしたと語っている。))。ただ、元を辿れば両作品は「ウィザードリィ」と「ウルティマ」の影響下にあると考えられ、この洋ゲー2作品→夢幻の心臓シリーズ→ドラゴンクエストシリーズ、という系譜と捉えることが考えられる。 --マイコンBASICマガジンの堀井氏へのインタビュー記事で、実際に参考したゲームとしてD&Dや夢幻の心臓2の名前を挙げると共に強い衝撃を受けたことを語っている。 **移植・リメイク・派生 -同86年にMSX及びMSX2向けに移植発売された。 -1993年に[[ドラゴンクエストI・II>ドラゴンクエストI・II]]として、スーパーファミコン向けにI・IIセットのリメイク版を発売。 --SFC版ベースの『ゲームボーイ ドラゴンクエストI・II』が1999年にゲームボーイカラー(全GB共通)向けに移植。 -その他I単体で携帯アプリとして配信中。 -2003年にIのストーリーと世界観をベースにした体感RPG『剣神ドラゴンクエスト 甦りし伝説の剣』を発売。((剣の形状をしたソフト内臓の本体をTVに直接繋いで遊ぶゲーム機。)) //--キャラクターやひらがな主体のメッセージなど低年齢層を意識したデザインとは裏腹に、大きなお友達ものめり込める”隠れた名作”となっている。 --『[[ドラゴンクエスト モンスターバトルロードシリーズ]]』では、『I』の主人公が『剣神ドラゴンクエスト 甦りし伝説の剣』の主人公と言う設定になっている。 -2011年にはFC版「I」「II」「III」、SFC版「I・II」「III」を移植した、Wii『ドラゴンクエスト25周年記念 ファミコン&スーパーファミコン ドラゴンクエストI・II・III』が発売された。 --SFCソフトのバーチャルコンソールの仕様では、クラシックコントローラおよびGCコントローラを必須としているが、こちらはWiiリモコン単体でも遊べる。 --単に当時のゲームがそのまま収録されているだけではなく、中断セーブの付加や当時の手書きの設定資料集も収録されている。 --付属の『ファミコン神拳奥義大全書 復刻の巻』のスタッフインタビューや、設定資料集を読めば、本作が初心者にRPGの楽しさを伝えるために如何に様々な工夫を凝らしたかが分かるはず。ドラクエの原点を知りたいのであれば、ぜひ目を通しておくのもいいだろう。

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