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カービィのエアライド - (2013/08/14 (水) 13:32:54) の1つ前との変更点
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*カービィのエアライド
【かーびぃのえあらいど】
|ジャンル|アクションレース|&amazon(B00009KAPL)|
|対応機種|ニンテンドーゲームキューブ|~|
|発売元|任天堂|~|
|開発元|ハル研究所|~|
|発売日|2003年7月11日|~|
|定価|5800円|~|
|分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|>|>|CENTER:''[[星のカービィシリーズリンク>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/470.html]]''|
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**概要
数あるカービィシリーズの中でも唯一のレースゲームで、シリーズの生みの親である桜井政博氏がハル研究所在籍時に手がけた最後の作品である。~
**特徴
本作はレースゲームであるが、普通のレースゲームにはない数々の特徴がある。
-どのモードも「スティック+1ボタン」だけで遊べるため、操作が単純で分かりやすい。
--いわゆる「アクセル」にあたる操作はなくマシンは自動で加速していく。
--一つのボタンが「減速」「チャージ&ダッシュ」「攻撃」などかなり沢山の役割を担っているが、直感的に使い分けられるため混乱することはない。(時折吸い込みが暴発することはある。)
--カーブではボタンを押して減速することで「チャージ」を溜め、曲がり終わったらボタンを離して一気にダッシュをするのが基本的な走行方法となる。ただしこれがまったく当てはまらないマシンもある。
-プレイヤーは十数種類ある「エアライドマシン」を選んでレースをするが、各エアライドマシン毎の個性がかなり大きい。
--「直進性能に特化したマシン」や「空中での性能に特化したマシン」やさらには「止まらないと曲がれないマシン(ただしボタンを押すとすぐに止まり、離すとすぐに最高速になる)」や「通常時では減速性能が高い以外見所は無いが、レールの上にいる時や滑空直後に異常に加速するマシン」など様々なものがあり、使うマシンによってまったく異なる操作が要求される。
--なお、エアライドマシンにはその名の通り飛行能力があるため、地上を走るだけでなく段差から宙へ滑空することが出来る。滑空の性能もまたマシンによって大きく異なる。
--シリーズお馴染みのキャラの「デデデ大王」と「メタナイト」も条件を満たすと使用することが出来るが、彼らがカービィの代わりにマシンに乗るのではなく、彼ら自身が一つの「マシン」のような扱いになる。
-レースゲームになってもカービィシリーズお馴染みの「吸い込み」や「コピー能力」は存在し、コース中に配置されているザコ敵を倒して加速したり、他プレイヤーを妨害することが出来る。
-また、モードや設定によってはマシンの「体力」の概念が存在する。マシンによって体力の多さは異なる。
--体力がなくなるとマシンは大破し、リタイアになったり、カービィ単体の状態でマシンを探さなければいけなくなる。
**ゲームモード
***エアライド
-一般的なレースゲームに当たるモード。コースを周回して一位を目指す。
-全部で9つのコース+隠しコース1つがある。1回辺りの所要時間は3分程度。
--草原のコース、火山のコース、機械のコースなどが存在する。各コースのグラフィックは非常に綺麗。
-順位の低いプレイヤーほど最高速度が上昇する補正あり(オプションで設定可)、離されてもまだ結果は分からない。
-また、一人用のモードとして「フリーラン」と「タイムアタック」の二つがあり、敵やギミックの有無が異なる。特に後者はいかに効率よく敵を倒して加速するかが重要になる。
--現在でも研究が進んでいるモードで、マシンごとに記録更新が行われている。
***ウエライド
-エアライドを簡略化したような、上から見下ろす視点による固定画面でのレース。1周が短く、1回辺りの所要時間は1分強程度。
-敵は登場しないものの、それでも狭いステージにギミック満載、アイテム満載。
***シティトライアル
-「エアライド」をベースにしたアクションゲーム。時間終了までアイテムを取りながらエアライドマシンを強化していき、最後に発表される「スタジアム」のルールに従って対決するモード。レースゲームというよりはパーティゲームの要素が強い。
-非常に高い中毒性を持つモードで、人気が高い。
-スタジアムのルールには、できるだけ長い距離を飛ぶ「エアグライダー」、倒したプレイヤー/CPの数を競う「デスマッチ」、ほぼ直線に近いコースを突き進んでいく「ゼロヨンアタック」等多くのルールがあり、どれが選ばれるかは分からない。
--スタジアムの内容が前もって予告されることがあるが、たまに外れることもあるため、やはり最後まで誰が勝つか分からない。
-シティ内には何機かのエアライドマシンが落ちており、乗り換えることが可能。エアライドマシンの数はそれ程多くないため、先に確保しておきたいが…
--パワーアップアイテムをあまり持っていない早期に乗り換えてしまうと操作が困難で、逆にパワーアップをあまり取れなくなってしまうということも。
--逆に、パワーアップをたくさん持った状態で乗り換えを行うと、アイテムを周辺に落としてしまう。その瞬間に他のプレイヤーが落としたパワーアップを根こそぎ奪っていくという可能性も否定できない。(ただし、ジャンプで機体に飛び乗れば防ぐ事が出来る。)
--また、一定時間が経つと勝手に上に飛んでいってしまって乗れなくなるのも悩みどころ(いい意味で)。
--エアライドマシンは破壊されるか飛んで行くかすると近くに新しいマシンが出現する。目当てのマシンが無ければ近くのマシンを破壊するのもあり。
-乗り換えをせずに、ドラグーンやハイドラといった「伝説のエアライドマシン」を狙うというのも戦略の一つ。
--伝説のエアライドマシンは通常のエアライドマシンとは異なりシティ内にそのまま落ちておらず、機体毎に赤コンテナからランダムで現れるパーツを3つ揃える事で乗り換えることが出来る。((地味な事だが、「コンテナの中身がかたよった」ではパーツ入りの赤コンテナは回転しないのでどれがパーツ入りなのか見分けることが可能。))
---ドラグーンは凶悪な飛行性能を持つマシン。スタジアムでエアグライダーが選ばれれば事故でも起きない限り勝ち組決定。
---ハイドラは一度完全にチャージしないと走れないが強大な耐久力と戦闘能力を持つマシン。スピードを出した状態で敵のマシンに特攻すると高確率で敵マシンが盛大に吹っ飛ぶ破壊力を持つ。ただし、チャージを溜めなければ殆ど何も出来ないため、シングルレースではかなりキツい。
-1プレイに何度かイベントが起こる。倒すことでアイテムを落とす「怪鳥ダイナブレイド出現」やコンテナ内のアイテムが全部同じものになってしまう「コンテナの中身がかたよった」のようにハイリターン((ただし「コンテナの中身がかたよった」は、時折攻撃アイテムやマイナスアイテムに偏る場合もある為油断は出来ない。))のものから、視界がほとんど真っ白になってしまう「街が深い霧につつまれた」のような利点の無いようなものまでいろいろ。見ているだけでも楽しい。
-ちなみによく考えるとこのモードでマシンから降りた状態というのは、シリーズで唯一カービィを''3Dの空間で自由に操作することが出来る''状態である。といっても移動とホバリングができるだけですることはほぼない。
***その他
-音楽が豪華。カービィシリーズでは珍しいオーケストラ風の曲調で、新曲はもちろん、隠し音楽として旧作のアレンジや、「シティトライアル」モードではアニメ版星のカービィのBGMが多く使われている。
--全体的に曲の質は高いが、特に「サンドーラ」「コルダ」「スチールオーガン」「チェックナイト」「街」「街(裏)」「伝説のエアライドマシン」のBGMは名曲と名高い。一度聞いてみる価値アリ。
-「''クリアチェッカー''」と呼ばれる、やり込みリストを埋めるのが楽しい。一定数クリアする事で各モードごとにエンディングのムービーを見ることができる。
--各モードごとに項目がそれぞれ120個存在し、埋めていくごとに使用可能なマシンが増えたり、サウンドテストで聞けるBGMが増える。
--全てのチェックを埋めるとチェックリストが金色に輝くが、「空きのマスを1回だけチェック」という救済手段を使った場所は金色にならない。
---そうすると逆に、救済なしでコンプリートを目指したくなるものである。
-本作とはレースゲームであること以外は何の共通点もないが、「カービィのエアライド」というレースゲームがNINTENDO64のソフトとして開発されていた。帽子を前後逆に被ったカービィが登場する画面がゲーム雑誌や児童向け雑誌に掲載されていたが、いつの間にか開発中止となっていた。
--本作より1年以上前に発売された『大乱闘スマッシュブラザーズDX』のイベント戦には「カービィのエアライド」という項目がある。これは当時発売中止状態であった為いわば自虐ネタとして登場したものであった。
**賛否両論点
-隠しコースであるギャラックスの仕様について
--ギミックはジャンプ台とコピールーレットしか存在せず、敵は一切出現しない。
--ジャンプ台の数がかなり少ない上、ダッシュプレートも存在しないのでマシンの最高速度が高いマシンが単純に有利となってしまう。
--対戦ではスタースリップを使うと熱い勝負が出来るが、このコースのヘビースターやフォーミュラスター相手には低速マシンはとてもついて行けない。
--背景はこのゲームでも屈指の美しさで、BGMも例の如く表、裏ともに高い人気を誇る為非常に勿体ない。しかし他には無い対戦の面白さがあるコースでもあるためかなり賛否両論。
-エアライドマシンの強弱に差がありすぎる。
--エアライドモードではロケットスター、ウィリースクーター、ジェットスター、スリックスターの4つが特に強いとされ、メタナイト、デデデ大王、レックスウィリー、ワゴンスターの4つが非常に弱いとされる。
--シティトライアルでは伝説のエアライドマシンでは無いのにも関わらず非常に強化幅が高く(ドラグーンとほぼ同じかそれ以上)、序盤から終盤まで能力を回収しやすいルインズスターが非常に高い汎用性を誇る。
--ただし、この大味なバランスが良いとする声も多い。
-シティトライアルのグラフィックがやや荒い。
--これはこれで味が出ているとの声もあるためそれほど気にはならないが…エアライドやウエライドのコースはどれも非常に綺麗なため、落差が激しく感じてしまう。
-シティトライアルでマシンを無制限に強化出来ない。
-ウエライドが他2つと比べると完全に別ゲー。
--システムは確かに上から見たエアライドと見ていいのだが、ルールが完全に独立している。
--マシンの破壊、スタースリップと言ったものが全く無いので単調すぎるとの声も多い。
--ウエライド自体の評価は非常に高い。故に、別のゲームに独立させて、エアライドのコースやシティトライアルのスタジアムなどを増やして欲しかったとする声が多い。
**短所
-多人数用として作られているため、一人で遊ぶにはやや物足りない。
-エアライドモードのコース数が少ない。
--一つ一つのコースの背景など、細部まで作りこんではあるのだが、やはり少なく感じる。
-エアライドコースの一部のルートが完全に死にルート。
--プランテスは短いながらも隠されたルートが二つもあるのだが、どちらもまともに使えない。
--サンドーラは近道が3つ設定されているがどのマシンでもあえて近道を通らないメリットは全く無い。
--スチールオーガンは序盤でいきなり3つに分かれるが、その内の一つはどのマシンも全く使わない。
-一部のスタジアムは強化した能力をまるで活かせない。強化しない方がいい場合すらある。
--ポイントストライクは強化すればする程、狙う的が調節しにくくなる。
--後述にもあるが、VS.デデデは仕様そのものに問題がある。
--オプションでスタジアムを設定する事で回避が出来るが、大乱闘スマッシュブラザーズシリーズのようにスイッチのON/OFFという形では無い為、ランダム性が大きく下がり、対戦では出来レースとなる可能性も。
-一部のクリアチェッカーを埋めるのが非常に困難。
--特にシティトライアル絡みのチェッカーは運の要素が非常に大きい。特定のアイテム収集系は割と根気が要る。
--2人以上でプレイしないと、埋めるのが非常に困難なものもある。
--不可能ではないので試してみる価値は大いにある…がどう見ても2人じゃないと現実的に無理なのもあったり(「参加者全員がレール上でタイムアップする」など)。
-3D酔いが顕著。
--慣れたプレイヤーはあまり感じないが、慣れていないプレイヤーにとっては&bold(){吐き気を催すレベル。}
---一応、カメラを引くことで軽減出来る。
-モードごとのコンピュータの強さが安定していない。
#region(各モードにおけるCPの特徴)
&bold(){エアライド}~
-CPレベル上昇による変化が乏しい。
--一応チャージを利用したスタートダッシュを行ったり、最高速などのステータスに補正がかかる。しかし後者は内部的な変化ゆえに見た目だけでは分かり辛い。
--扱いにクセのあるマシンに振り回される傾向があり、フォーミュラスター、レックスウィリーなどの旋回能力が低いマシンは急カーブ・起伏の激しい悪路に対応できず失速する光景がよく見られる。
--一方で、レベルを上げると前述の「止まれないと曲がれないマシン」であるルインズスターを見事に使いこなしてみせたりと、一部例外も存在する。
-搭乗マシンに関わらず、コピー能力を取らせた途端に怒涛の攻撃を繰り出してきたりと油断ならない事もある。プラズマ持ちのレベル9カービィの前へ出るのは(マシンの耐久力にもよるが)''自殺行為に等しい''と評されるほど。
&bold(){ウエライド}~
-エアライド同様、最高速=レベルの高さ。
-モードの仕様上、マシンの速度以外の性能差が無いことから、最高レベルに設定するとデッドヒートになりやすく純粋に手強い。
&bold(){シティトライアル}~
-エアライドに比べると自由度が高いからか、気まぐれで読みづらい行動をたびたび引き起こす。
--例を挙げると「目の前にパワーアップアイテムがあるのに無視」「他のイベントには消極的なのに巨岩((光の柱と共に謎の巨岩が現れるイベント。耐久力があり、破壊すると大量のアイテムをバラ撒くのでマシン強化のチャンスにもなる))やシャッター開放((マップ北東の城のシャッターが開くイベント。1種類のアイテムが10個も獲得できるボーナスイベントだが、必ずしも有利になるものだけとは限らない))の時だけ妙に積極的」「''いきなり自分のマシンへ突っ込んで来て大破させられる''((シティトライアルではマシン同士が接触した場合、攻撃力の高い方がダメージを与えられる))」等など...
-確率論と言ってしまえばそれまでだが、3番目に関しては意外と結構な頻度で起こりやすく、忘れた頃に泣きを見るなんて事もザラである。
-CPの乗り換え行動について。
--基本的にCPは他の野ざらしマシンに近寄った時、対象の優先度が自機よりも高いと乗り換え行動に移る。そしてマシンが段差の上にあれば、ホバリングを駆使して登ろうと試みる。
--実はこの思考ルーチン、「ホバリングで届かなかった場合の行動が用意されていない」という重大な欠陥を抱えている。そのため、例え乗り換え先のマシンがホバリングの限界高度より高いビル上にあってもこの行動を延々とし続けてしまう((マシンが飛び去った時点でようやく諦めをつける))。酷い時には''プレイヤー以外の全CPカービィが集まって一心不乱にホバリングしまくる''シュールな光景が繰り広げられる事も・・・
これらは敵として対峙する分にはありがたい欠点だが、1人でプレイする際には何とも張り合いを感じにくい。しかし、多人数プレイの楽しさを知ってもらう為にあえてCPの強さを抑えた可能性もある。~
ナメてると競技内容によっては痛い目に遭うこともあり、CP自体は決して弱くはない。単に''ちょっとお馬鹿なだけ''である。
#endregion
-一部バグ・フリーズが存在する。
--「ボウギョ」を高く上げすぎると無敵になってしまう((主にハイドラ、レックスウィリーといった元のボウギョが高いマシンに起こりやすい))。この状態でシティトライアルからの「VS.デデデ」に挑むと、肝心のデデデ大王までもが無敵になってしまうため実質詰み試合と化す((デデデ大王の防御力と体力はカービィ達のマシン全員分を加算しているため))。
---防ぐには予言で把握している事が前提となるが、ボウギョを取り過ぎないようにしたり、ボウギョが抜きん出ているようなマシンへの搭乗を控えるしかない。
--5機のエアライドマシン編隊が通過するイベントで、プラズマの最大タメ攻撃やボムの爆風で5機いっぺんに落とそうとするとフリーズする事がある。興味本位で試すのはあまりお勧めできない。
--「バトルロイヤル」で自機をわざと大破させると''確実にフリーズする''。しかし1人プレイであれば止まるのは画面だけで、何事もなかったかのように結果発表が始まることから実質的な致命性は低いと思われる。
**余談
-海外版限定のエンディングがある。使用曲も専用のもの。
-2011年の夏頃に最終生産分が出荷された模様。新品を手にしたい人は早めの購入を。
--現在値段は大きく高騰している。&bold(){高騰しやすいGC用ソフトの中では恐らく最も新品の値段が高くなってしまっている。新品で定価の約5倍〜10倍程。}
-CPのカービィにはマシン搭乗中に自動で能力強化されるという隠し仕様が搭載されている。適当にフラフラ走行しようが平然と強化されているのはこれが原因である。[[検証動画(※要ニコニコアカウント)>http://www.nicovideo.jp/watch/sm13858437]]
**総評
数あるレースゲームとはいろんな意味で一味違うレースゲーム。3つあるモードもそれぞれ違った特徴があり、十分楽しめる。~
カービィのキャラクターはあまり出てこないが、その分エアライドマシンの個性の豊富さが際立つ。~
簡単操作ということで、初心者にもパーティゲームとしてオススメできる。また、上級者でもやりこみ要素の豊富さ、記録更新などで楽しめる。~
10年経った現在でも愛されているゲームで、多くのプレイヤーに支持されている。~
*カービィのエアライド
【かーびぃのえあらいど】
|ジャンル|アクションレース|&amazon(B00009KAPL)|
|対応機種|ニンテンドーゲームキューブ|~|
|発売元|任天堂|~|
|開発元|ハル研究所|~|
|発売日|2003年7月11日|~|
|定価|5800円|~|
|分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|>|>|CENTER:''[[星のカービィシリーズリンク>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/470.html]]''|
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**概要
数あるカービィシリーズの中でも唯一のレースゲームで、シリーズの生みの親である桜井政博氏がハル研究所在籍時に手がけた最後の作品である。~
**特徴
本作はレースゲームであるが、普通のレースゲームにはない数々の特徴がある。
-どのモードも「スティック+1ボタン」だけで遊べるため、操作が単純で分かりやすい。
--いわゆる「アクセル」にあたる操作はなくマシンは自動で加速していく。
--レースゲームにありがちな「通常走行だけで指が痛くなる」等の不満を解消した良質なシステムと言える。
--一つのボタンが「減速」「チャージ&ダッシュ」「攻撃」などかなり沢山の役割を担っているが、直感的に使い分けられるため混乱することはない。(時折吸い込みが暴発することはある。)
--カーブではボタンを押して減速することで「チャージ」を溜め、曲がり終わったらボタンを離して一気にダッシュをするのが基本的な走行方法となる。ただしこれがまったく当てはまらないマシンもある。
-プレイヤーは十数種類ある「エアライドマシン」を選んでレースをするが、各エアライドマシン毎の個性がかなり大きい。
--「直進性能に特化したマシン」や「空中での性能に特化したマシン」やさらには「止まらないと曲がれないマシン(ただしボタンを押すとすぐに止まり、離すとすぐに最高速になる)」や「通常時では減速性能が高い以外見所は無いが、レールの上にいる時や滑空直後に異常に加速するマシン」など様々なものがあり、使うマシンによってまったく異なる操作が要求される。
--なお、エアライドマシンにはその名の通り飛行能力があるため、地上を走るだけでなく段差から宙へ滑空することが出来る。滑空の性能もまたマシンによって大きく異なる。
--シリーズお馴染みのキャラの「デデデ大王」と「メタナイト」も条件を満たすと使用することが出来るが、彼らがカービィの代わりにマシンに乗るのではなく、彼ら自身が一つの「マシン」のような扱いになる。
-レースゲームになってもカービィシリーズお馴染みの「吸い込み」や「コピー能力」は存在し、コース中に配置されているザコ敵を倒して加速したり、他プレイヤーを妨害することが出来る。
-また、モードや設定によってはマシンの「体力」の概念が存在する。マシンによって体力の多さは異なる。
--体力がなくなるとマシンは大破し、リタイアになったり、カービィ単体の状態でマシンを探さなければいけなくなる。
**ゲームモード
***エアライド
-一般的なレースゲームに当たるモード。コースを周回して一位を目指す。
-全部で9つのコース+隠しコース1つがある。1回辺りの所要時間は3分程度。
--草原のコース、火山のコース、機械のコースなどが存在する。各コースのグラフィックは非常に綺麗。
-順位の低いプレイヤーほど最高速度が上昇する補正あり(オプションで設定可)、離されてもまだ結果は分からない。
-また、一人用のモードとして「フリーラン」と「タイムアタック」の二つがあり、敵やギミックの有無が異なる。特に後者はいかに効率よく敵を倒して加速するかが重要になる。
--現在でも研究が進んでいるモードで、マシンごとに記録更新が行われている。
***ウエライド
-エアライドを簡略化したような、上から見下ろす視点による固定画面でのレース。1周が短く、1回辺りの所要時間は1分強程度。
-敵は登場しないものの、それでも狭いステージにギミック満載、アイテム満載。
***シティトライアル
-「エアライド」をベースにしたアクションゲーム。時間終了までアイテムを取りながらエアライドマシンを強化していき、最後に発表される「スタジアム」のルールに従って対決するモード。レースゲームというよりはパーティゲームの要素が強い。
-非常に高い中毒性を持つモードで、人気が高い。
-スタジアムのルールには、できるだけ長い距離を飛ぶ「エアグライダー」、倒したプレイヤー/CPの数を競う「デスマッチ」、ほぼ直線に近いコースを突き進んでいく「ゼロヨンアタック」等多くのルールがあり、どれが選ばれるかは分からない。
--スタジアムの内容が前もって予告されることがあるが、たまに外れることもあるため、やはり最後まで誰が勝つか分からない。
-シティ内には何機かのエアライドマシンが落ちており、乗り換えることが可能。エアライドマシンの数はそれ程多くないため、先に確保しておきたいが…
--パワーアップアイテムをあまり持っていない早期に乗り換えてしまうと操作が困難で、逆にパワーアップをあまり取れなくなってしまうということも。
--逆に、パワーアップをたくさん持った状態で乗り換えを行うと、アイテムを周辺に落としてしまう。その瞬間に他のプレイヤーが落としたパワーアップを根こそぎ奪っていくという可能性も否定できない。(ただし、ジャンプで機体に飛び乗れば防ぐ事が出来る。)
--また、一定時間が経つと勝手に上に飛んでいってしまって乗れなくなるのも悩みどころ(いい意味で)。
--エアライドマシンは破壊されるか飛んで行くかすると近くに新しいマシンが出現する。目当てのマシンが無ければ近くのマシンを破壊するのもあり。
-乗り換えをせずに、ドラグーンやハイドラといった「伝説のエアライドマシン」を狙うというのも戦略の一つ。
--伝説のエアライドマシンは通常のエアライドマシンとは異なりシティ内にそのまま落ちておらず、機体毎に赤コンテナからランダムで現れるパーツを3つ揃える事で乗り換えることが出来る。((地味な事だが、「コンテナの中身がかたよった」ではパーツ入りの赤コンテナは回転しないのでどれがパーツ入りなのか見分けることが可能。))
---ドラグーンは凶悪な飛行性能を持つマシン。スタジアムでエアグライダーが選ばれれば事故でも起きない限り勝ち組決定。
---ハイドラは一度完全にチャージしないと走れないが強大な耐久力と戦闘能力を持つマシン。スピードを出した状態で敵のマシンに特攻すると高確率で敵マシンが盛大に吹っ飛ぶ破壊力を持つ。ただし、チャージを溜めなければ殆ど何も出来ないため、シングルレースではかなりキツい。
-1プレイに何度かイベントが起こる。倒すことでアイテムを落とす「怪鳥ダイナブレイド出現」やコンテナ内のアイテムが全部同じものになってしまう「コンテナの中身がかたよった」のようにハイリターン((ただし「コンテナの中身がかたよった」は、時折攻撃アイテムやマイナスアイテムに偏る場合もある為油断は出来ない。))のものから、視界がほとんど真っ白になってしまう「街が深い霧につつまれた」のような利点の無いようなものまでいろいろ。見ているだけでも楽しい。
-ちなみによく考えるとこのモードでマシンから降りた状態というのは、シリーズで唯一カービィを''3Dの空間で自由に操作することが出来る''状態である。といっても移動とホバリングができるだけですることはほぼない。
***その他
-音楽が豪華。カービィシリーズでは珍しいオーケストラ風の曲調で、新曲はもちろん、隠し音楽として旧作のアレンジや、「シティトライアル」モードではアニメ版星のカービィのBGMが多く使われている。
--全体的に曲の質は高いが、特に「サンドーラ」「コルダ」「スチールオーガン」「チェックナイト」「街」「街(裏)」「伝説のエアライドマシン」のBGMは名曲と名高い。一度聞いてみる価値アリ。
-「''クリアチェッカー''」と呼ばれる、やり込みリストを埋めるのが楽しい。一定数クリアする事で各モードごとにエンディングのムービーを見ることができる。
--各モードごとに項目がそれぞれ120個存在し、埋めていくごとに使用可能なマシンが増えたり、サウンドテストで聞けるBGMが増える。
--全てのチェックを埋めるとチェックリストが金色に輝くが、「空きのマスを1回だけチェック」という救済手段を使った場所は金色にならない。
---そうすると逆に、救済なしでコンプリートを目指したくなるものである。
-本作とはレースゲームであること以外は何の共通点もないが、「カービィのエアライド」というレースゲームがNINTENDO64のソフトとして開発されていた。帽子を前後逆に被ったカービィが登場する画面がゲーム雑誌や児童向け雑誌に掲載されていたが、いつの間にか開発中止となっていた。
--本作より1年以上前に発売された『大乱闘スマッシュブラザーズDX』のイベント戦には「カービィのエアライド」という項目がある。これは当時発売中止状態であった為いわば自虐ネタとして登場したものであった。
**賛否両論点
-1ボタン+スティックというシステムの弊害
--複数の動作を無理矢理このシステムに入れ込んでいるため、様々なところで操作上の問題が発生する。
--ダッシュプレート上に敵が居ると、ダッシュプレートを踏む動作と吸い込む動作を同時に行ってしまい、敵をスルー出来ない。
---どうしてもスルーしたければ事前に別のコピーを取るか、かなり上級者向きだがスピンアタックを使用して吸い込みを発動させないようにするしかない。
--スピンアタックはスティック入力で行うため、、通常走行時でも良くスピンアタックが暴発する。
---プラズマはその性能上、スピンアタックを使用出来なくなってしまう。直感的な操作を求めた結果とは言え、X、Y、Zと使用していないボタンは多いのにそこに割り当てる事は出来なかったのか。
-Rボタンの存在が無駄。
--プッシュボタンはAだけでなく、LとRにも割り当てられているが、左手側に配置されるLはともかく右手側に配置されるRにプッシュを割り当てる意義がまるで無い。
---さらに少し押し込んだだけでプッシュするという緩さなので、無意識に押してしまう事が多々ある。もちろんこれはLにも全く同じ事が言える。
-隠しコースであるギャラックスの仕様について
--ギミックはジャンプ台とコピールーレットしか存在せず、敵は一切出現しない。
--ジャンプ台の数がかなり少ない上、ダッシュプレートも存在しないのでマシンの最高速度が高いマシンが単純に有利となってしまう。
--対戦ではスタースリップを使うと熱い勝負が出来るが、このコースのヘビースターやフォーミュラスター相手には低速マシンはとてもついて行けない。
--背景はこのゲームでも屈指の美しさで、BGMも例の如く表、裏ともに高い人気を誇る為非常に勿体ない。しかし他には無い対戦の面白さがあるコースでもあるためかなり賛否両論。
-エアライドマシンの強弱に差がありすぎる。
--エアライドモードではロケットスター、ウィリースクーター、ジェットスター、スリックスターの4つが特に強いとされ、メタナイト、デデデ大王、レックスウィリー、ワゴンスターの4つが非常に弱いとされる。
--シティトライアルでは伝説のエアライドマシンでは無いのにも関わらず非常に強化幅が高く(ドラグーンとほぼ同じかそれ以上)、序盤から終盤まで能力を回収しやすいルインズスターが非常に高い汎用性を誇る。
--ただし、この大味なバランスが良いとする声も多い。
-シティトライアルのグラフィックがやや荒い。
--これはこれで味が出ているとの声もあるためそれほど気にはならないが…エアライドやウエライドのコースはどれも非常に綺麗なため、落差が激しく感じてしまう。
-シティトライアルでマシンを無制限に強化出来ない。
-ウエライドが他2つと比べると完全に別ゲー。
--システムは確かに上から見たエアライドと見ていいのだが、ルールが完全に独立している。
--マシンの破壊、スタースリップと言ったものが全く無いので単調すぎるとの声も多い。
--ウエライド自体の評価は非常に高い。故に、別のゲームに独立させて、エアライドのコースやシティトライアルのスタジアムなどを増やして欲しかったとする声が多い。
-モードごとのコンピュータの強さが安定していない。
#region(各モードにおけるCPの特徴)
&bold(){エアライド}~
-CPレベル上昇による変化が乏しい。
--一応チャージを利用したスタートダッシュを行ったり、最高速などのステータスに補正がかかる。しかし後者は内部的な変化ゆえに見た目だけでは分かり辛い。
--扱いにクセのあるマシンに振り回される傾向があり、フォーミュラスター、レックスウィリーなどの旋回能力が低いマシンは急カーブ・起伏の激しい悪路に対応できず失速する光景がよく見られる。
--一方で、レベルを上げると前述の「止まれないと曲がれないマシン」であるルインズスターを見事に使いこなしてみせたりと、一部例外も存在する。
-搭乗マシンに関わらず、コピー能力を取らせた途端に怒涛の攻撃を繰り出してきたりと油断ならない事もある。プラズマ持ちのレベル9カービィの前へ出るのは(マシンの耐久力にもよるが)''自殺行為に等しい''と評されるほど。
&bold(){ウエライド}~
-エアライド同様、最高速=レベルの高さ。
-モードの仕様上、マシンの速度以外の性能差が無いことから、最高レベルに設定するとデッドヒートになりやすく純粋に手強い。
&bold(){シティトライアル}~
-エアライドに比べると自由度が高いからか、気まぐれで読みづらい行動をたびたび引き起こす。
--例を挙げると「目の前にパワーアップアイテムがあるのに無視」「他のイベントには消極的なのに巨岩((光の柱と共に謎の巨岩が現れるイベント。耐久力があり、破壊すると大量のアイテムをバラ撒くのでマシン強化のチャンスにもなる))やシャッター開放((マップ北東の城のシャッターが開くイベント。1種類のアイテムが10個も獲得できるボーナスイベントだが、必ずしも有利になるものだけとは限らない))の時だけ妙に積極的」「''いきなり自分のマシンへ突っ込んで来て大破させられる''((シティトライアルではマシン同士が接触した場合、攻撃力の高い方がダメージを与えられる))」等など...
-確率論と言ってしまえばそれまでだが、3番目に関しては意外と結構な頻度で起こりやすく、忘れた頃に泣きを見るなんて事もザラである。
-CPの乗り換え行動について。
--基本的にCPは他の野ざらしマシンに近寄った時、対象の優先度が自機よりも高いと乗り換え行動に移る。そしてマシンが段差の上にあれば、ホバリングを駆使して登ろうと試みる。
--実はこの思考ルーチン、「ホバリングで届かなかった場合の行動が用意されていない」という重大な欠陥を抱えている。そのため、例え乗り換え先のマシンがホバリングの限界高度より高いビル上にあってもこの行動を延々とし続けてしまう((マシンが飛び去った時点でようやく諦めをつける))。酷い時には''プレイヤー以外の全CPカービィが集まって一心不乱にホバリングしまくる''シュールな光景が繰り広げられる事も・・・
これらは敵として対峙する分にはありがたい欠点だが、1人でプレイする際には何とも張り合いを感じにくい。しかし、多人数プレイの楽しさを知ってもらう為にあえてCPの強さを抑えた可能性もある。~
ナメてると競技内容によっては痛い目に遭うこともあり、CP自体は決して弱くはない。単に''ちょっとお馬鹿なだけ''である。
#endregion
**短所
-多人数用として作られているため、一人で遊ぶにはやや物足りない。
-エアライドモードのコース数が少ない。
--一つ一つのコースの背景など、細部まで作りこんではあるのだが、やはり少なく感じる。
-エアライドコースの一部のルートが完全に死にルート。
--プランテスは短いながらも隠されたルートが二つもあるのだが、どちらもまともに使えない。
--サンドーラは近道が3つ設定されているがどのマシンでもあえて近道を通らないメリットは全く無い。
--スチールオーガンは序盤でいきなり3つに分かれるが、その内の一つはどのマシンも全く使わない。
-一部のスタジアムは強化した能力をまるで活かせない。強化しない方がいい場合すらある。
--ポイントストライクは強化すればする程、狙う的が調節しにくくなる。
--後述にもあるが、VS.デデデは仕様そのものに問題がある。
--オプションでスタジアムを設定する事で回避が出来るが、大乱闘スマッシュブラザーズシリーズのようにスイッチのON/OFFという形では無い為、ランダム性が大きく下がり、対戦では出来レースとなる可能性も。
-一部のクリアチェッカーを埋めるのが非常に困難。
--特にシティトライアル絡みのチェッカーは運の要素が非常に大きい。特定のアイテム収集系は慣れていないと割と根気が要る。
--2人以上でプレイしないと、埋めるのが非常に困難なものもある。
--不可能ではないので試してみる価値は大いにある…がどう見ても2人じゃないと現実的に無理なのもあったり(「参加者全員がレール上でタイムアップする」など)。
-3D酔いが顕著。
--慣れたプレイヤーはあまり感じないが、慣れていないプレイヤーにとっては&bold(){吐き気を催すレベル。}
---一応、カメラを引くことで軽減出来る。
-一部バグ・フリーズが存在する。
--「ボウギョ」を高く上げすぎると無敵になってしまう((主にハイドラ、レックスウィリーといった元のボウギョが高いマシンに起こりやすい))。この状態でシティトライアルからの「VS.デデデ」に挑むと、肝心のデデデ大王までもが無敵になってしまうため実質詰み試合と化す((デデデ大王の防御力と体力はカービィ達のマシン全員分を加算しているため))。
---防ぐには予言で把握している事が前提となるが、ボウギョを取り過ぎないようにしたり、ボウギョが抜きん出ているようなマシンへの搭乗を控えるしかない。
--5機のエアライドマシン編隊が通過するイベントで、プラズマの最大タメ攻撃やボムの爆風で5機いっぺんに落とそうとするとフリーズする事がある。興味本位で試すのはあまりお勧めできない。
--「バトルロイヤル」で自機をわざと大破させると''確実にフリーズする''。しかし1人プレイであれば止まるのは画面だけで、何事もなかったかのように結果発表が始まることから実質的な致命性は低いと思われる。
**余談
-海外版限定のエンディングがある。使用曲も専用のもの。
-2011年の夏頃に最終生産分が出荷された模様。新品を手にしたい人は早めの購入を。
--現在値段は大きく高騰している。&bold(){高騰しやすいGC用ソフトの中では恐らく最も新品の値段が高くなってしまっている。新品で定価の約5倍〜10倍程。}
-CPのカービィにはマシン搭乗中に自動で能力強化されるという隠し仕様が搭載されている。適当にフラフラ走行しようが平然と強化されているのはこれが原因である。[[検証動画(※要ニコニコアカウント)>http://www.nicovideo.jp/watch/sm13858437]]
**総評
数あるレースゲームとはいろんな意味で一味違うレースゲーム。3つあるモードもそれぞれ違った特徴があり、十分楽しめる。~
カービィのキャラクターはあまり出てこないが、その分エアライドマシンの個性の豊富さが際立つ。~
簡単操作ということで、初心者にもパーティゲームとしてオススメできる。また、上級者でもやりこみ要素の豊富さ、記録更新などで楽しめる。~
10年経った現在でも愛されているゲームで、多くのプレイヤーに支持されている。~