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*BALDR SKY Dive1 "LostMemory" / BALDR SKY Dive2 "RECORDARE" 【ばるどすかい だいぶわん ろすとめもりー / ばるどすかい だいぶつー れこるだーれ】 |ジャンル|サイバーパンクアクションアドベンチャー|CENTER:&amazon(B002L3S8CQ)&br()※Dive1 通常版|CENTER:&amazon(B002IPH1YI)&br()※Dive2 初回版| |対応機種|Windows 2000/XP/Vista|~|~| |発売元|戯画|~|~| |発売日|Dive1:2009年3月27日&br()Dive2:2009年11月27日|~|~| |定価|共に10,290円(初回版/税込)|~|~| |周辺機器|USBゲームパッド対応|~|~| |レーティング|ソフ倫:18歳未満禁止|~|~| #center(){&size(35){''WARNING!!!!!!!''}} #center(){&size(20){''本作は18歳以上のみ対象のアダルトゲームです。''}} ---- #contents(fromhere) ---- **概要 アダルトゲームブランド「戯画」の開発チームの1つ「TEAM BALDRHEAD((チームバルドヘッド。通称「バルドチーム」。))」が開発した『BALDR』シリーズの1作品。~ 本作は第1部『BALDR SKY Dive1 "LostMemory"』と第2部『BALDR SKY Dive2 "RECORDARE"』の2部構成になっており、ソフトも別売である。また、関連商品として本作のファンディスクである『BALDR SKY DiveX "Dream World"』が発売されている。~ 作品の構成としては、テキストを読み進めていくアドベンチャーパートの合間合間に「シュミクラム」という機体を駆使した2Dアクションによるバトルパートをこなして物語を進めて行く。これはシリーズ共通の基本構成でもある。~ 本作のアドベンチャーパートは、主人公の現在と過去の2つの視点で物語が進み、それぞれ現実世界((ゲーム中では主に「リアル」と呼ばれる。))とネット上の仮想空間((ゲーム中では主に「ネット」「仮想」と呼ばれる。))との出来事を追っていく形で物語が進んでいく。~ この手のゲームは大抵の場合、一部制限はあれど、攻略出来るヒロイン(ルート)はプレイヤーが選べるが、本作はヒロインの攻略順は完全固定となっている。各ヒロインのシナリオを順番に読み進めて行くことで、物語の核心に迫り謎が明かされていくという形を取っている。~ なお、本ページ名は正式名称だと非常に長くなってしまうため、2つで1つの作品・物語が完成するという見方から、『''BALDR SKY''』とさせて頂く。 ---- **ストーリー #center(){永久に続いていくと思われた平和な日々…} #center(){だがそれは突如終わりを告げる。} それは何気ない日常の崩壊から始まった。 いつものように''“あいつ”''に優しく揺り起こされるのを待ちながら寮のベッドでまどろんでいた甲は、女性の叫び声に起される。~ 目覚めた甲の目の前にあったのは、銃声と爆発の閃光が交錯する戦場。~ 目の前に迫る機械の爪を受け止めた自分の腕は鋼鉄の甲冑に覆われていた。~ ここは仮想? しかしこの光景は一体!? 甲のことを''中尉''と呼び、自分はその部下だという''レイン''と名乗る女性に促されるまま、''シュミクラム''を駆り、仮想の戦場からリアルへ脱出する甲。 脱出した先は''清城市(すずしろし)''。そこは自分の知る学園時代とは似ても似つかない、荒廃した都市であった。~ 自分が学園生であると思っていた甲は、それは既に数年前のこと、現在の自分は''傭兵として幾多の戦場を潜り抜けてきた凄腕で、優秀なシュミクラムユーザー''であることを知らされる。 自らの人生に大きな意味を持っていたはずの、失われた記憶…。~ 深い霧に包まれた記憶から浮かび上がってくる事件の名は―― #center(){''“灰色のクリスマス”''} 灰色のクリスマスとは? なぜ自分はその事件を追っていたのか?~ その事件に自分はどう関わっていたのか?~ 過去と現在の二つの記憶を辿りながら、甲はやがてこの世界に起こった重大な事件の顛末と、その真の意味を知ることになる…。 ※公式HPのストーリーページより一部変更を加えて転記。 **バトルパート ''概要'' -前述の通り、物語の合間にシュミクラムによるバトルパートが挿入される。簡潔に言えば「ロボットでコンボゲーをやる」というものなのだが、シリーズを重ねるごとに進化を続けてきており、それだけでも1つのアクションゲームとして成立しうる程の完成度となっている。 --プレイヤーは、甲の使うシュミクラム「カゲロウ」に12種類の武装と最大2種類の強力な武装((ゲーム中では「フォースクラッシュ」と呼ばれ、専用のゲージが溜まっていないと繰り出せない。))を多数な武装の中からセットして戦うことになる。徒手空拳、ビームソードやランス等の近接武器、遠距離戦用の重火器等々、武装の種類は実に豊富である。そのため、プレイヤーはそれぞれのオリジナリティ溢れるコンボを作ることが出来る。 --最初の頃は単純な攻撃しか出来ないが、新しい武装の開発、武装の強化等で武装を増やしつつ、プレイを重ねていく中でプレイヤーのオリジナルのコンボを完成させていくことになる。~ これもまた、甲が記憶喪失になってしまったという状況を有用に活用していると言え、アドベンチャーパートにおける状況とリンクしている。 ''基本システム'' -機体は攻撃を行うとその攻撃に応じた熱を発生させ、熱量が上限に達するまでは好きな攻撃を行うことが出来、その組み合わせがコンボとなる。その後はその一連の攻撃で溜まった熱の放熱が完了するまでは攻撃が出来なくなる((熱量が上限に達していない状態で攻撃終了した場合も、その一連の攻撃で生じた熱が放熱されるまでは攻撃が出来ない。))。 -フォースクラッシュだけはコンボによって熱が上限に達していても追加で繰り出すことが出来るが((言うまでもなく放熱中は出せない。))、その分熱が大量に溜まってしまうため、放熱に一層の時間がかかるようになる。 --熱が溜まっている程受けるダメージが増加するため、考え無しに攻撃を出しまくっていれば良いという訳ではなく、攻撃後の放熱の間に手痛い反撃をもらってしまう危険もある。 -本作では難易度がVERY EASYからVERY HARDまでの5段階が用意されている。上で物語の合間と書いたように、ここで敵を倒せなければ先に進めなくなってしまうが、アクションが苦手なプレイヤーでも難易度を下げれば目に見えて容易に戦えるようになるので、「シナリオを一通り読みたい、でもアクションはちょっと…」というプレイヤーにもある程度対応することに成功している((それでもクリアできなかったプレイヤーも一定数いたようだが。))。 --難易度を下げてプレイしてもシナリオ運びに影響をきたすことはないが((メインストーリー上において難易度が一定以上でないと見られない重要イベント等はない。ただし、難易度によってバトル中における援軍の有無とそれに伴って前後の台詞が微妙に変わることがある。))、難易度が下がると武器開発やプラグインの獲得に必要になる「フォース((他のゲームにおける「お金」に相当する。))」の獲得量が減少してしまう。 ---なお、一部のバトルは負けても進行するものもあれば、バトルで負けることでバッドエンドルートのフラグが立つものもある。 ''新システム「イニシャライザ」「ヒートチャージ」'' -イニシャライザ --フォースクラッシュ扱いだが、これ自体に攻撃力はない。通常、コンボ中に同じ攻撃は1回しか出せず、前述の通り熱量が上限に達するとコンボは終了するが、イニシャライザを使用すると熱量上限を無視して連続攻撃が出来るようになり、イニシャライザの前に使っていた武装ももう1回使えるようになる。そのため、大ダメージコンボを作る上ではほぼ必須となっている。 -ヒートチャージ --溜まっている熱量に応じて強さが変わる武装。その性質上、コンボの締めに出すと最大限の効果を発揮出来る。 ---- **評価点 ''シナリオ'' -物語全体を踏まえた上での1つ1つのシナリオに持たせる明確な意図があり、それでいてちゃんと1つの独立したストーリーとして見ても纏まっている。バッドエンドやノーマルエンドにも物語の真相が隠されていたり、伏線が張られていたりと物語全体を把握するにはグッドエンドだけを追いかければ良いというものでもないのも特徴。 --特にDive1は物語の前編であることもあり、1つのシナリオを読み終えるごとに解決する謎もあれば、新たな謎も増えるため、先が気になる作りになっている。 -読んでいて飽きさせないテキストがプレイヤーを本作の世界にのめり込ませてくれる。 -演出の水準も高く、名場面と呼べるシーンは数多くある。特にラスボスとの最終決戦直前から戦闘が始まる一連の流れは高評価を受けている。 ''歌曲・BGM'' -BGMは物語の雰囲気をより強く印象づける良質な曲が揃っている。 -主題歌「Restoration ~沈黙の空~」(Dive1)「jihad」(Dive2)挿入歌「Paradigm Shift」は最後までクリアした後で歌詞を見返すと実に本編の内容とリンクしていることが解るものとなっており、それを踏まえて聞き直してみると曲を単体で聞くのとはまた違った味わいがある。 --ちなみに、主題歌の歌手は、本シリーズではお馴染みのKOTOKO氏。「戯画作品はこの人が歌うと名作になりやすい」と評され、戯画ファンの信頼は厚い。 -エンディングテーマ「Nano Universe」も、その内容、曲調、そしてゲーム中のムービーによって長い戦いを潜り抜けてきたプレイヤーに感動と達成感、そしてある種の虚脱感を与えてくれる。 ''キャスティング'' -声優陣はキャラに合っており、演技の質も高い。所謂「棒読み」は皆無と言ってよい。 -本作は珍しいことに主人公がフルボイス。一般的にアダルトゲームでは主人公に声があるのは忌避されやすく、あっても演出の都合によるパートボイスであることが殆ど。しかし、本作は担当声優である山下一真氏の演技の質が高く、プレイヤーからも比較的好意的に受け止められている。 ''バトルパート'' -完成度の高いバトルシステムをシナリオと巧みに融合させている。 -シナリオを一通り読み終えても、後述するサバイバルモードの存在により、プレイヤーにはまだ自分のコンボを作り上げる楽しみがあり、それを支える豊富な武装と、強力な敵を相手に自分の考えたコンボを叩き込み、そして大ダメージを与える爽快感がこのゲームの評価を底上げしている一因であると言える。 ---実際にニコニコ動画等の動画共有サイトでは多くのプレイヤーが自身の組み上げたコンボを動画にしてアップしており、実戦でガンガン使っていけるような有用なものから、状況が限定される代わりに上手くはまれば効果の高いもの、果てには実戦での使用を度外視したネタコンボなどその種類は非常に豊富。 ---攻略Wiki等には様々なシチュエーションに対応したコンボ例がこれまた数多く掲載されており、多くのプレイヤーがこのアクションにのめり込んでいる証であるとも言えよう。 --また、修正パッチには、バグの対処のみならず、アクションパートにおける細かいバランス調整も含まれており、戯画の本気が伺える。 ---調整次第では今まで使っていたコンボが大幅に弱体化させられてしまうこともありうるが、この辺は流石に致し方ないところか。 ''快適なプレイを助けるプラグイン'' -プラグインによって、プレイヤーがアクションパートで出来るようになる行動((例えば、ブーストにより攻撃を途中キャンセルしたり、フォースクラッシュをキャンセルして更にフォースクラッシュを叩き込んだり出来るようになったり等。))を拡張させたり、また、シナリオパートにおいてまだ自分が通過したことのないルートを表示したり、果てには自分が通過したことのあるルートの特定場面に飛ぶことが出来るようになったり(「イベントジャンプ」)とその種類は非常に豊富に用意されている。 --プラグインもストーリーを進めていったり、後述するサバイバルモードをクリアしていくごとに開放されていく形となる。 --一部のプラグインは開放直後はロックがかかっているために使用出来ないが、フォースを支払うことでロックを解除出来る。解除後はプレイヤーの任意でプラグインのオン・オフを選べるようになる。 ''快適なインターフェース'' -プラグインによる拡張だけではなく、各種設定も細かい所まで行き届いている。 --アクションパートがある関係でUSBゲームパッドが使用出来るようになっているが、アドベンチャーパートでもマウスやキーボードを使わなくてもUSBゲームパッドで一通りの操作ができ、その操作も複雑ではなく纏まったものとなっている。 --キーボードやマウスを使った場合の操作もしやすく、特定のキーを使った場合の動作(スキップやオートモードへの移行等)もカスタマイズ可能になっている。 ''やり込み要素'' -Dive1のストーリーを一通りクリアすることで解禁される「サバイバルモード」がアクションのやり込みに大きく貢献しており、特定数のステージを突破することで開放されるプラグインも用意されている。 --一般にイメージされるサバイバルモード通り、クリアするごとに一定量体力が回復する状況でどれだけ撃破されずにステージを突破するかを競うモードで、最初のうちは難易度は低いが、進んでいくと本編では出来得なかった無茶苦茶とも言える組み合わせで敵が出て来ることもあり、本編をクリアするのに使ったコンボもサバイバルでは通用しないこともあるため、前述の武器強化やコンボ作成の意義がクリアした後もあり、本編をクリアしただけで終わらせない作りとなっている。 ---Dive2にDive1のサバイバルモード解禁済データを引き継ぎした場合は、Dive2の最初からサバイバルモードがプレイ出来るが、あくまでDive1仕様のものであり、Dive2仕様のサバイバルモードをプレイするためには最終ルートまで一通りクリアする必要が出て来る((Dive2仕様のサバイバルモードも特定数のステージを突破することでプラグインが開放される。))。 ---- **問題点 ''グラフィックに統一性がない'' -本作のキャラクターデザイン・原画担当は菊池政治氏。CGの質そのものは高いのだが、Dive1からDive2にかけて絵柄が著しく変わってしまい、統一性がない。 --具体的には「Dive2でCGのキャラがロリ・ショタ化してしまった」というもの。立ち絵は全編通して変化がないので、Dive2ではCGが出るといきなりキャラがロリ・ショタ化するため違和感が強い。ファンディスクではその傾向がさらに顕著になっている。 ---また、ロリなキャラもいるのだが、Dive2では全員ロリ化してしまっているため、キャラの強みを生かせていない。 ''シナリオ'' -流石に「長すぎる」という意見も少なくない。クリア時間実に90時間前後。3桁の大台を突破することも珍しくない。 --シナリオ構成の都合もあって同じ文章を何度も読まされる等の要因から周回プレイが辛いという意見もある。 --シナリオ運びがアクションパートを増やすための水増しと取られても仕方ない展開が皆無ではなく、大体13~15章に別れている各シナリオもその辺の水増しをしなければ2~3章は量的に削れてもおかしくないとする意見も挙がっている。 -Dive1で一通りの伏線を張り、大体の謎も出してしまっているため、Dive2ではその回収に終始してしまっていると見る者もおり、「Dive2ヒロインのルートは伏線回収に振り回されてしまって質が下がっている」「個々のストーリーの完成度に関してはDive1の方が良かった」とする意見もある。 -メインヒロインとして位置付けられている空の扱いに対してもストーリーの背景上仕方のない所はあるものの、描写不足を感じるプレイヤーも少なくない。 --読み進めていけばその理由もわかるのだが、彼女のルートでは中盤まで彼女が出てこない上に、いざ会ってみれば学園生時代とはまるで別人になってしまっている等、「キャラクターの魅力を出せていない」という意見もある。 ---おかげで空というキャラが最後まで好きになれず、せっかくのエンディングも無味乾燥になってしまったと言う悲惨な展開も。彼女のルート自体にも、要約すると「一昔前のバトル物の少年漫画よろしくな展開で、しかも酷いご都合主義」という批判もある。 ---攻略ルートが固定の影響で、空は一番最後に攻略できるが…たどりつくのが大変で実質監禁され続けたようなもの。サラマンダーよりずっと早い…だからそばにいてくれ***(空以外)という人もいたようだ。 ---学園生時代に甲と空が恋人になるきっかけとなった事件もその内容のせいで「他のキャラが可哀想((その事件が起こる前まで、甲は別のあるヒロインと恋人という関係にまでは行かなくとも、ただの女友達以上の関係になっていた。))」「いくら何でも無理矢理過ぎる」「感情移入出来ない」等の批判もある。 -一部の敵対するキャラクターに関しても扱いが酷すぎるという意見も少なくない。 --特に、ジルベルトは彼の異常者とも言える性格が形成されたきっかけの一部の掘り下げをしておきながらも、以降の扱いが完全に主人公達の物笑い・ギャグ要員になってしまっていることもあり、「それなら最初から変に掘り下げる必要なんか無いだろう」「いくら何でもここまで貶める必要はなかったのでは」という意見が出ている。 -Dive2は全般的にバトルが増加しているが、サバイバルモードが別途あるため、「本編でここまで戦わせる必要はなかったのではないか」といった否定的意見も多い。 --最終ルートのバトルの回数は飛び抜けて多く((エンカウント率がやたら高く、数歩歩けばまた敵が出て来るRPGをイメージしてもらうと解りやすい。))、おまけにかなりの数の敵を倒さないと先に進めない。元々この作品はストーリーの合間に挟まれるバトルがプレイヤーを物語に引き込む役割を担っているのだが、最早バトルがストーリーの盛り上がりを完全に阻害するレベルになってしまっている。 ---そのため、エンディングを見て感動やら虚脱感を味わう前にそこに至るまでの疲労感の方が先行してしまい、「(ストーリーがどうこうよりも)戦わされてばっかりだったのがようやく終わった…」という悪い意味での開放感をプレイヤーに与えてしまっているのも否めない。 ''Dive1からDive2への引き継ぎ他、システムに関する点'' -大抵の要素は引き継げるのだが、なぜかDive1における文章の既読判定は引き継がれず、全て未読になってしまう。 --一応全文スキップでDive2のシナリオ冒頭(亜季ルートへの分岐)まで飛ばすことは可能だが、合間合間で微妙に変わっている所もあるため、そこまで飛ばしてしまいかねないという問題もある。 --また、Dive2では甲達の学園時代の出来事を垣間見ることの出来る記憶遡行が一つのモードとして独立し、如月寮の仲間との出会い、そして全ての始まりとなる事件までを見ることが出来るが、これもDive1の頃から物語の中で一部分とはいえ挿入されていたものだが、こちらも既読判定は適用されない。 ---この記憶遡行を全て読まなければ終盤2ルートに入るための下地が出来上がらないために読まざるを得ないのだが、やたらと長い上にほとんどがDive1やDive2の最初のルートまでで読んでいるもので、それを既読判定無しで再度読み返すことを強制されるため、不満に繋がっている。 ---終盤はほとんど今までで出てきていない部分で、後に繋がってくる物もあるのだが、そこまでの部分のほとんどが既に本編内で見たことがある部分な上に、かと言ってそこに行くまででも初出の部分が挟まれることもあって、迂闊に全文スキップ出来ず、結局長々と一度読んだはずの部分を読み続けることになってしまう。 --また、本編では描写を省かれていた記憶遡行中のバトルだが、こちらではそれもプレイすることになる…のは良いのだが、武装は装備する場所も含めて完全固定で変更不可、カゲロウ自体が弱い上に固定されている武装も貧弱なため、本編のバトルよりも理不尽に難易度が上がっていることも不満に繋がっている。 ''商法'' -内容を見ればやむを得ないとする意見も少なくないが、流石に高いという意見も。 --ただし、発表当初からDive1とDive2の2部構成であることは発表されていたので、「買ってみたら未完成で、続きはまた別ソフト(しかも公式発表無し)だった」というゲーム内容以前の企業倫理を疑いたくなるようなことはない。 -店舗限定の特典武装が多い。 --これはDive2で一気に増えたもので、ゲーム本編のインストールとは別にその武装データも追加インストールしなければ当該武装は絶対に開放されない。場合によっては特典欲しさに別店舗でも…ということになってしまう。さらに、店舗によって、実用・ネタの差も激しい((一例としては、Dive2の特典「キリングレイジ」は実用コンボのパーツとして非常に有用であった。))。~ 武装の選択肢はそのままこのゲームのウリであるアクションパートのコンボ作成のバリエーションに繋がるものであるため、アクションパートにはまったプレイヤーからは「セコ過ぎる」「足下見過ぎ」等の批判が多い。 ---ちなみに、ファンディスクでは店舗限定の特典武装も最初から使えるようになっている。 ---- **総評 アダルトゲームの枠に止まらない完成度を誇るバトルパートが最大の魅力である。~ 攻略wikiや2chにあるシリーズのスレッド、そして動画共有サイト等を通じて多くのプレイヤーが作り上げたコンボを見せ合い、情報交換をしたり等、その盛り上がりは今もなお冷めてはいない。~ この手のゲームの場合はアクションがクリア出来ないせいでストーリーの先が見たくても見られないことも往々にして起こりがちだが、本作は難易度を5段階用意することである程度のフォローが出来ている。~ シナリオに関しても、賛否が分かれる点、粗や矛盾があることも間違いないが、そのストーリーの広大さ、その中にあって途中で張った伏線も不自然なく回収し、しっかりと完結させている。CGやキャスト・BGM等の要素も質そのものは高く、バトルパート以外の部分の完成度も総合的には高い。~ SFが好きな人、アクションゲーム(あるいはコンボゲー)が好きな人にはそれぞれ作り込まれているストーリー、アクションパートがあるので、それなりの時間を割く余裕があり、かつ相当飽きっぽくなければ十分に楽しめる作品に仕上がっていると言える。~ ~ しかし、Dive1とDive2の2本がなければ物語の真相に辿り着けないため、かかる費用が高くなってしまう。マシンも3Dゲーム程ではないにせよ、相応のスペックがなければ肝心のアクションパートでカクついてしまう。~ そのため、なかなか気軽にお薦めすることが難しい一面はある。 ---- **ファンディスク、DiveX 2010年9月24日にファンディスク、『''BALDR SKY DiveX "Dream World"''』が発売されている。~ こちらはファンディスクらしく、甲達の運命を大きく変えた灰色のクリスマスから本編直前までの甲やレインの足取りを追うシナリオや灰色のクリスマスが起こらないifの世界での騒動を描いたシナリオ、本編中の設定完全無視のカオスなギャグシナリオなどもある。 アクション面でもDive2のサバイバルを更に拡張したモードや今までとは毛色の違ったローグライクゲームのようなモード、更には様々な特殊なシチュエーション下での戦闘を楽しめるモードなど、かなり濃い内容となっている。 ---- **余談 元々この作品を発売している戯画というブランドは、複数の生産ラインを持っているために、エロゲー業界にあって珍しく作品の生産ペースが高い。~ しかしながら、その作品の質はかなりムラがあり、TEAM BALDRHEAD制作の作品、及びシナリオライター丸戸史明氏の関わる作品以外は評価が低い所謂地雷と言われる作品が多い傾向があり、そのような作品をSI接頭辞のG(ギガ)にひっかけて「''戯画マイン''」と呼ばれている。 なぜそんなことを書いたかと言うと、この作品(Dive2以降)にこれを明らかに自虐ネタにしたとしか思えないフォースクラッシュで「''ギガマイン''」という、自身の目の前に''地雷''を設置する武装が存在しているのである。~ このギガマインという武装、とんでもない破壊力を持っている武装ではあるのだが、''なぜか自分も大ダメージを受ける上に、基本的に相手が受けるダメージよりも自分が受けるダメージの方が大きい''と言う完全なるネタ武装なのだが、逆にそのインパクト故に多くのプレイヤーの印象に残ったようで、戯画公式で行われたお気に入りの武装という投票では''フォースクラッシュ部門で他に大差を開けて堂々の1位''に輝いている。 基本的に派手な演出が多いフォースクラッシュの中にあってその''物凄く地味な発動演出''、そして「''踏むなよ?絶対踏むなよ!?''」と''自分で設置しておきながら言い放つ甲のシュールさ''、そして''自分が受けるダメージの方が高いというある種ぶっ飛んだ性能''がネタになっている。~ また細かいために多少見づらいが、置かれた地雷の外見は普通の地雷のそれではなく、エロゲーの外箱そのもので、2009年のエイプリルフールで登場した嘘ゲームのパッケージという''公式設定''があり、前述の投票で1位を獲得した記念の壁紙でそのパッケージが明かされている。~ そのタイトルに関しては直球ど真ん中の下ネタなので記載は避けるが、『''BALDR SKY Dive1 "LostMemory"''』と言うタイトルにひっかけたものになっている。 前作 BALDR FORCE から「メガマイン」という同系統のフォースクラッシュが登場しており、その流れを汲むものと考えればネーミング自体は自然なものである。~ ただしメガマインはネタのような性能ではなく、プレイヤーがダメージを受けることもなかった。 なお、ギガマイン自体は実用のコンボパーツであり(自ダメージを容易に回避できる方法があり、これを生かした実用の高ダメージ基礎コンボがある)、 存在自体はネタだが、性能としてはガチである、ということは付記しておく。 2010年11月26日発売のPC用18禁ゲーム『[[JINKI EXTEND Re:VISION>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/783.html]]』の予約特典ゲームは本作のシステムを流用している。 ----
*BALDR SKY Dive1 "LostMemory" / BALDR SKY Dive2 "RECORDARE" 【ばるどすかい だいぶわん ろすとめもりー / ばるどすかい だいぶつー れこるだーれ】 |ジャンル|サイバーパンクアクションアドベンチャー|CENTER:&amazon(B002L3S8CQ)&br()※Dive1 通常版|CENTER:&amazon(B002IPH1YI)&br()※Dive2 初回版| |対応機種|Windows 2000/XP/Vista|~|~| |発売元|戯画|~|~| |発売日|Dive1:2009年3月27日&br()Dive2:2009年11月27日|~|~| |定価|共に10,290円(初回版/税込)|~|~| |周辺機器|USBゲームパッド対応|~|~| |レーティング|ソフ倫:18歳未満禁止|~|~| #center(){&size(35){''WARNING!!!!!!!''}} #center(){&size(20){''本作は18歳以上のみ対象のアダルトゲームです。''}} ---- #contents(fromhere) ---- **概要 アダルトゲームブランド「戯画」の開発チームの1つ「TEAM BALDRHEAD((チームバルドヘッド。通称「バルドチーム」。))」が開発した『BALDR』シリーズの1作品。~ 本作は第1部『BALDR SKY Dive1 "LostMemory"』と第2部『BALDR SKY Dive2 "RECORDARE"』の2部構成になっており、ソフトも別売である。また、関連商品として本作のファンディスクである『BALDR SKY DiveX "Dream World"』が発売されている。~ 作品の構成としては、テキストを読み進めていくアドベンチャーパートの合間合間に「シュミクラム」という機体を駆使した2Dアクションによるバトルパートをこなして物語を進めて行く。これはシリーズ共通の基本構成でもある。~ 本作のアドベンチャーパートは、主人公の現在と過去の2つの視点で物語が進み、それぞれ現実世界((ゲーム中では主に「リアル」と呼ばれる。))とネット上の仮想空間((ゲーム中では主に「ネット」「仮想」と呼ばれる。))との出来事を追っていく形で物語が進んでいく。~ この手のゲームは大抵の場合、一部制限はあれど、攻略出来るヒロイン(ルート)はプレイヤーが選べるが、本作はヒロインの攻略順は完全固定となっている。各ヒロインのシナリオを順番に読み進めて行くことで、物語の核心に迫り謎が明かされていくという形を取っている。~ なお、本ページ名は正式名称だと非常に長くなってしまうため、2つで1つの作品・物語が完成するという見方から、『''BALDR SKY''』とさせて頂く。 ---- **ストーリー #center(){永久に続いていくと思われた平和な日々…} #center(){だがそれは突如終わりを告げる。} それは何気ない日常の崩壊から始まった。 いつものように''“あいつ”''に優しく揺り起こされるのを待ちながら寮のベッドでまどろんでいた甲は、女性の叫び声に起される。~ 目覚めた甲の目の前にあったのは、銃声と爆発の閃光が交錯する戦場。~ 目の前に迫る機械の爪を受け止めた自分の腕は鋼鉄の甲冑に覆われていた。~ ここは仮想? しかしこの光景は一体!? 甲のことを''中尉''と呼び、自分はその部下だという''レイン''と名乗る女性に促されるまま、''シュミクラム''を駆り、仮想の戦場からリアルへ脱出する甲。 脱出した先は''清城市(すずしろし)''。そこは自分の知る学園時代とは似ても似つかない、荒廃した都市であった。~ 自分が学園生であると思っていた甲は、それは既に数年前のこと、現在の自分は''傭兵として幾多の戦場を潜り抜けてきた凄腕で、優秀なシュミクラムユーザー''であることを知らされる。 自らの人生に大きな意味を持っていたはずの、失われた記憶…。~ 深い霧に包まれた記憶から浮かび上がってくる事件の名は―― #center(){''“灰色のクリスマス”''} 灰色のクリスマスとは? なぜ自分はその事件を追っていたのか?~ その事件に自分はどう関わっていたのか?~ 過去と現在の二つの記憶を辿りながら、甲はやがてこの世界に起こった重大な事件の顛末と、その真の意味を知ることになる…。 ※公式HPのストーリーページより一部変更を加えて転記。 **バトルパート ''概要'' -前述の通り、物語の合間にシュミクラムによるバトルパートが挿入される。簡潔に言えば「ロボットでコンボゲーをやる」というものなのだが、シリーズを重ねるごとに進化を続けてきており、それだけでも1つのアクションゲームとして成立しうる程の完成度となっている。 --プレイヤーは、甲の使うシュミクラム「カゲロウ」に12種類の武装と最大2種類の強力な武装((ゲーム中では「フォースクラッシュ」と呼ばれ、専用のゲージが溜まっていないと繰り出せない。))を多数な武装の中からセットして戦うことになる。徒手空拳、ビームソードやランス等の近接武器、遠距離戦用の重火器等々、武装の種類は実に豊富である。そのため、プレイヤーはそれぞれのオリジナリティ溢れるコンボを作ることが出来る。 --最初の頃は単純な攻撃しか出来ないが、新しい武装の開発、武装の強化等で武装を増やしつつ、プレイを重ねていく中でプレイヤーのオリジナルのコンボを完成させていくことになる。~ これもまた、甲が記憶喪失になってしまったという状況を有用に活用していると言え、アドベンチャーパートにおける状況とリンクしている。 ''基本システム'' -機体は攻撃を行うとその攻撃に応じた熱を発生させ、熱量が上限に達するまでは好きな攻撃を行うことが出来、その組み合わせがコンボとなる。その後はその一連の攻撃で溜まった熱の放熱が完了するまでは攻撃が出来なくなる((熱量が上限に達していない状態で攻撃終了した場合も、その一連の攻撃で生じた熱が放熱されるまでは攻撃が出来ない。))。 -フォースクラッシュだけはコンボによって熱が上限に達していても追加で繰り出すことが出来るが((言うまでもなく放熱中は出せない。))、その分熱が大量に溜まってしまうため、放熱に一層の時間がかかるようになる。 --熱が溜まっている程受けるダメージが増加するため、考え無しに攻撃を出しまくっていれば良いという訳ではなく、攻撃後の放熱の間に手痛い反撃をもらってしまう危険もある。 -本作では難易度がVERY EASYからVERY HARDまでの5段階が用意されている。上で物語の合間と書いたように、ここで敵を倒せなければ先に進めなくなってしまうが、アクションが苦手なプレイヤーでも難易度を下げれば目に見えて容易に戦えるようになるので、「シナリオを一通り読みたい、でもアクションはちょっと…」というプレイヤーにもある程度対応することに成功している((それでもクリアできなかったプレイヤーも一定数いたようだが。))。 --難易度を下げてプレイしてもシナリオ運びに影響をきたすことはないが((メインストーリー上において難易度が一定以上でないと見られない重要イベント等はない。ただし、難易度によってバトル中における援軍の有無とそれに伴って前後の台詞が微妙に変わることがある。))、難易度が下がると武器開発やプラグインの獲得に必要になる「フォース((他のゲームにおける「お金」に相当する。))」の獲得量が減少してしまう。 ---なお、一部のバトルは負けても進行するものもあれば、バトルで負けることでバッドエンドルートのフラグが立つものもある。 ''新システム「イニシャライザ」「ヒートチャージ」'' -イニシャライザ --フォースクラッシュ扱いだが、これ自体に攻撃力はない。通常、コンボ中に同じ攻撃は1回しか出せず、前述の通り熱量が上限に達するとコンボは終了するが、イニシャライザを使用すると熱量上限を無視して連続攻撃が出来るようになり、イニシャライザの前に使っていた武装ももう1回使えるようになる。そのため、大ダメージコンボを作る上ではほぼ必須となっている。 -ヒートチャージ --溜まっている熱量に応じて強さが変わる武装。その性質上、コンボの締めに出すと最大限の効果を発揮出来る。 ---- **評価点 ''シナリオ'' -物語全体を踏まえた上での1つ1つのシナリオに持たせる明確な意図があり、それでいてちゃんと1つの独立したストーリーとして見ても纏まっている。バッドエンドやノーマルエンドにも物語の真相が隠されていたり、伏線が張られていたりと物語全体を把握するにはグッドエンドだけを追いかければ良いというものでもないのも特徴。 --特にDive1は物語の前編であることもあり、1つのシナリオを読み終えるごとに解決する謎もあれば、新たな謎も増えるため、先が気になる作りになっている。 -読んでいて飽きさせないテキストがプレイヤーを本作の世界にのめり込ませてくれる。 -演出の水準も高く、名場面と呼べるシーンは数多くある。特にラスボスとの最終決戦直前から戦闘が始まる一連の流れは高評価を受けている。 ''歌曲・BGM'' -BGMは物語の雰囲気をより強く印象づける良質な曲が揃っている。 -主題歌「Restoration ~沈黙の空~」(Dive1)「jihad」(Dive2)挿入歌「Paradigm Shift」は最後までクリアした後で歌詞を見返すと実に本編の内容とリンクしていることが解るものとなっており、それを踏まえて聞き直してみると曲を単体で聞くのとはまた違った味わいがある。 --ちなみに、主題歌の歌手は、本シリーズではお馴染みのKOTOKO氏。「戯画作品はこの人が歌うと名作になりやすい」と評され、戯画ファンの信頼は厚い。 -エンディングテーマ「Nano Universe」も、その内容、曲調、そしてゲーム中のムービーによって長い戦いを潜り抜けてきたプレイヤーに感動と達成感、そしてある種の虚脱感を与えてくれる。 ''キャスティング'' -声優陣はキャラに合っており、演技の質も高い。所謂「棒読み」は皆無と言ってよい。 -本作は珍しいことに主人公がフルボイス。一般的にアダルトゲームでは主人公に声があるのは忌避されやすく、あっても演出の都合によるパートボイスであることが殆ど。しかし、本作は担当声優である山下一真氏の演技の質が高く、プレイヤーからも比較的好意的に受け止められている。 ''バトルパート'' -完成度の高いバトルシステムをシナリオと巧みに融合させている。 -シナリオを一通り読み終えても、後述するサバイバルモードの存在により、プレイヤーにはまだ自分のコンボを作り上げる楽しみがあり、それを支える豊富な武装と、強力な敵を相手に自分の考えたコンボを叩き込み、そして大ダメージを与える爽快感がこのゲームの評価を底上げしている一因であると言える。 ---実際にニコニコ動画等の動画共有サイトでは多くのプレイヤーが自身の組み上げたコンボを動画にしてアップしており、実戦でガンガン使っていけるような有用なものから、状況が限定される代わりに上手くはまれば効果の高いもの、果てには実戦での使用を度外視したネタコンボなどその種類は非常に豊富。 ---攻略Wiki等には様々なシチュエーションに対応したコンボ例がこれまた数多く掲載されており、多くのプレイヤーがこのアクションにのめり込んでいる証であるとも言えよう。 --また、修正パッチには、バグの対処のみならず、アクションパートにおける細かいバランス調整も含まれており、戯画の本気が伺える。 ---調整次第では今まで使っていたコンボが大幅に弱体化させられてしまうこともありうるが、この辺は流石に致し方ないところか。 ''快適なプレイを助けるプラグイン'' -プラグインによって、プレイヤーがアクションパートで出来るようになる行動((例えば、ブーストにより攻撃を途中キャンセルしたり、フォースクラッシュをキャンセルして更にフォースクラッシュを叩き込んだり出来るようになったり等。))を拡張させたり、また、シナリオパートにおいてまだ自分が通過したことのないルートを表示したり、果てには自分が通過したことのあるルートの特定場面に飛ぶことが出来るようになったり(「イベントジャンプ」)とその種類は非常に豊富に用意されている。 --プラグインもストーリーを進めていったり、後述するサバイバルモードをクリアしていくごとに開放されていく形となる。 --一部のプラグインは開放直後はロックがかかっているために使用出来ないが、フォースを支払うことでロックを解除出来る。解除後はプレイヤーの任意でプラグインのオン・オフを選べるようになる。 ''快適なインターフェース'' -プラグインによる拡張だけではなく、各種設定も細かい所まで行き届いている。 --アクションパートがある関係でUSBゲームパッドが使用出来るようになっているが、アドベンチャーパートでもマウスやキーボードを使わなくてもUSBゲームパッドで一通りの操作ができ、その操作も複雑ではなく纏まったものとなっている。 --キーボードやマウスを使った場合の操作もしやすく、特定のキーを使った場合の動作(スキップやオートモードへの移行等)もカスタマイズ可能になっている。 ''やり込み要素'' -Dive1のストーリーを一通りクリアすることで解禁される「サバイバルモード」がアクションのやり込みに大きく貢献しており、特定数のステージを突破することで開放されるプラグインも用意されている。 --一般にイメージされるサバイバルモード通り、クリアするごとに一定量体力が回復する状況でどれだけ撃破されずにステージを突破するかを競うモードで、最初のうちは難易度は低いが、進んでいくと本編では出来得なかった無茶苦茶とも言える組み合わせで敵が出て来ることもあり、本編をクリアするのに使ったコンボもサバイバルでは通用しないこともあるため、前述の武器強化やコンボ作成の意義がクリアした後もあり、本編をクリアしただけで終わらせない作りとなっている。 ---Dive2にDive1のサバイバルモード解禁済データを引き継ぎした場合は、Dive2の最初からサバイバルモードがプレイ出来るが、あくまでDive1仕様のものであり、Dive2仕様のサバイバルモードをプレイするためには最終ルートまで一通りクリアする必要が出て来る((Dive2仕様のサバイバルモードも特定数のステージを突破することでプラグインが開放される。))。 ---- **問題点 ''グラフィックに統一性がない'' -本作のキャラクターデザイン・原画担当は菊池政治氏。CGの質そのものは高いのだが、Dive1からDive2にかけて絵柄が著しく変わってしまい、統一性がない。 --具体的には「Dive2でCGのキャラがロリ・ショタ化してしまった」というもの。立ち絵は全編通して変化がないので、Dive2ではCGが出るといきなりキャラがロリ・ショタ化するため違和感が強い。ファンディスクではその傾向がさらに顕著になっている。 ---また、ロリなキャラもいるのだが、Dive2では全員ロリ化してしまっているため、キャラの強みを生かせていない。 ''シナリオ'' -流石に「長すぎる」という意見も少なくない。クリア時間実に90時間前後。3桁の大台を突破することも珍しくない。 --シナリオ構成の都合もあって同じ文章を何度も読まされる等の要因から周回プレイが辛いという意見もある。 --シナリオ運びがアクションパートを増やすための水増しと取られても仕方ない展開が皆無ではなく、大体13~15章に別れている各シナリオもその辺の水増しをしなければ2~3章は量的に削れてもおかしくないとする意見も挙がっている。 -Dive1で一通りの伏線を張り、大体の謎も出してしまっているため、Dive2ではその回収に終始してしまっていると見る者もおり、「Dive2ヒロインのルートは伏線回収に振り回されてしまって質が下がっている」「個々のストーリーの完成度に関してはDive1の方が良かった」とする意見もある。 -メインヒロインとして位置付けられている空の扱いに対してもストーリーの背景上仕方のない所はあるものの、描写不足を感じるプレイヤーも少なくない。 --読み進めていけばその理由もわかるのだが、彼女のルートでは中盤まで彼女が出てこない上に、いざ会ってみれば学園生時代とはまるで別人になってしまっている等、「キャラクターの魅力を出せていない」という意見もある。 ---おかげで空というキャラが最後まで好きになれず、せっかくのエンディングも無味乾燥になってしまったと言う悲惨な展開も。彼女のルート自体にも、要約すると「一昔前のバトル物の少年漫画よろしくな展開で、しかも酷いご都合主義」という批判もある。 ---攻略ルートが固定の影響で、空は一番最後に攻略できるが…たどりつくのが大変で実質監禁され続けたようなもの。サラマンダーよりずっと早い…だからそばにいてくれ***(空以外)という人もいたようだ。 ---学園生時代に甲と空が恋人になるきっかけとなった事件もその内容のせいで「他のキャラが可哀想((その事件が起こる前まで、甲は別のあるヒロインと恋人という関係にまでは行かなくとも、ただの女友達以上の関係になっていた。))」「いくら何でも無理矢理過ぎる」「感情移入出来ない」等の批判もある。 -一部の敵対するキャラクターに関しても扱いが酷すぎるという意見も少なくない。 --特に、ジルベルトは彼の異常者とも言える性格が形成されたきっかけの一部の掘り下げをしておきながらも、以降の扱いが完全に主人公達の物笑い・ギャグ要員になってしまっていることもあり、「それなら最初から変に掘り下げる必要なんか無いだろう」「いくら何でもここまで貶める必要はなかったのでは」という意見が出ている。 -Dive2は全般的にバトルが増加しているが、サバイバルモードが別途あるため、「本編でここまで戦わせる必要はなかったのではないか」といった否定的意見も多い。 --最終ルートのバトルの回数は飛び抜けて多く((エンカウント率がやたら高く、数歩歩けばまた敵が出て来るRPGをイメージしてもらうと解りやすい。))、おまけにかなりの数の敵を倒さないと先に進めない。元々この作品はストーリーの合間に挟まれるバトルがプレイヤーを物語に引き込む役割を担っているのだが、最早バトルがストーリーの盛り上がりを完全に阻害するレベルになってしまっている。 ---そのため、エンディングを見て感動やら虚脱感を味わう前にそこに至るまでの疲労感の方が先行してしまい、「(ストーリーがどうこうよりも)戦わされてばっかりだったのがようやく終わった…」という悪い意味での開放感をプレイヤーに与えてしまっているのも否めない。 ''Dive1からDive2への引き継ぎ他、システムに関する点'' -大抵の要素は引き継げるのだが、なぜかDive1における文章の既読判定は引き継がれず、全て未読になってしまう。 --一応全文スキップでDive2のシナリオ冒頭(亜季ルートへの分岐)まで飛ばすことは可能だが、合間合間で微妙に変わっている所もあるため、そこまで飛ばしてしまいかねないという問題もある。 --また、Dive2では甲達の学園時代の出来事を垣間見ることの出来る記憶遡行が一つのモードとして独立し、如月寮の仲間との出会い、そして全ての始まりとなる事件までを見ることが出来るが、これもDive1の頃から物語の中で一部分とはいえ挿入されていたものだが、こちらも既読判定は適用されない。 ---この記憶遡行を全て読まなければ終盤2ルートに入るための下地が出来上がらないために読まざるを得ないのだが、やたらと長い上にほとんどがDive1やDive2の最初のルートまでで読んでいるもので、それを既読判定無しで再度読み返すことを強制されるため、不満に繋がっている。 ---終盤はほとんど今までで出てきていない部分で、後に繋がってくる物もあるのだが、そこまでの部分のほとんどが既に本編内で見たことがある部分な上に、かと言ってそこに行くまででも初出の部分が挟まれることもあって、迂闊に全文スキップ出来ず、結局長々と一度読んだはずの部分を読み続けることになってしまう。 --また、本編では描写を省かれていた記憶遡行中のバトルだが、こちらではそれもプレイすることになる…のは良いのだが、武装は装備する場所も含めて完全固定で変更不可、カゲロウ自体が弱い上に固定されている武装も貧弱なため、本編のバトルよりも理不尽に難易度が上がっていることも不満に繋がっている。 ''商法'' -内容を見ればやむを得ないとする意見も少なくないが、流石に高いという意見も。 --ただし、発表当初からDive1とDive2の2部構成であることは発表されていたので、「買ってみたら未完成で、続きはまた別ソフト(しかも公式発表無し)だった」というゲーム内容以前の企業倫理を疑いたくなるようなことはない。 -店舗限定の特典武装が多い。 --これはDive2で一気に増えたもので、ゲーム本編のインストールとは別にその武装データも追加インストールしなければ当該武装は絶対に開放されない。場合によっては特典欲しさに別店舗でも…ということになってしまう。さらに、店舗によって、実用・ネタの差も激しい((一例としては、Dive2の特典「キリングレイジ」は実用コンボのパーツとして非常に有用であった。))。~ 武装の選択肢はそのままこのゲームのウリであるアクションパートのコンボ作成のバリエーションに繋がるものであるため、アクションパートにはまったプレイヤーからは「セコ過ぎる」「足下見過ぎ」等の批判が多い。 ---ちなみに、ファンディスクでは店舗限定の特典武装も最初から使えるようになっている。 ---- **総評 アダルトゲームの枠に止まらない完成度を誇るバトルパートが最大の魅力である。~ 攻略wikiや2chにあるシリーズのスレッド、そして動画共有サイト等を通じて多くのプレイヤーが作り上げたコンボを見せ合い、情報交換をしたり等、その盛り上がりは今もなお冷めてはいない。~ この手のゲームの場合はアクションがクリア出来ないせいでストーリーの先が見たくても見られないことも往々にして起こりがちだが、本作は難易度を5段階用意することである程度のフォローが出来ている。~ シナリオに関しても、賛否が分かれる点、粗や矛盾があることも間違いないが、そのストーリーの広大さ、その中にあって途中で張った伏線も不自然なく回収し、しっかりと完結させている。CGやキャスト・BGM等の要素も質そのものは高く、バトルパート以外の部分の完成度も総合的には高い。~ SFが好きな人、アクションゲーム(あるいはコンボゲー)が好きな人にはそれぞれ作り込まれているストーリー、アクションパートがあるので、それなりの時間を割く余裕があり、かつ相当飽きっぽくなければ十分に楽しめる作品に仕上がっていると言える。~ ~ しかし、Dive1とDive2の2本がなければ物語の真相に辿り着けないため、かかる費用が高くなってしまう。マシンも3Dゲーム程ではないにせよ、相応のスペックがなければ肝心のアクションパートでカクついてしまう。~ そのため、なかなか気軽にお薦めすることが難しい一面はある。 ---- **ファンディスク、DiveX 2010年9月24日にファンディスク、『''BALDR SKY DiveX "Dream World"''』が発売されている。~ こちらはファンディスクらしく、甲達の運命を大きく変えた灰色のクリスマスから本編直前までの甲やレインの足取りを追うシナリオや灰色のクリスマスが起こらないifの世界での騒動を描いたシナリオ、本編中の設定完全無視のカオスなギャグシナリオなどもある。 アクション面でもDive2のサバイバルを更に拡張したモードや今までとは毛色の違ったローグライクゲームのようなモード、更には様々な特殊なシチュエーション下での戦闘を楽しめるモードなど、かなり濃い内容となっている。 ---- **余談 -元々この作品を発売している戯画というブランドは、複数の生産ラインを持っているために、エロゲー業界にあって珍しく作品の生産ペースが高い。~ しかしながら、その作品の質はかなりムラがあり、TEAM BALDRHEAD制作の作品、及びシナリオライター丸戸史明氏の関わる作品以外は評価が低い所謂地雷と言われる作品が多い傾向があり、そのような作品をSI接頭辞のG(ギガ)にひっかけて「''戯画マイン''」と呼ばれている。 -なぜそんなことを書いたかと言うと、この作品(Dive2以降)にこれを明らかに自虐ネタにしたとしか思えないフォースクラッシュで「''ギガマイン''」という、自身の目の前に''地雷''を設置する武装が存在しているのである。~ このギガマインという武装、とんでもない破壊力を持っている武装ではあるのだが、''なぜか自分も大ダメージを受ける上に、基本的に相手が受けるダメージよりも自分が受けるダメージの方が大きい''と言う完全なるネタ武装なのだが、逆にそのインパクト故に多くのプレイヤーの印象に残ったようで、戯画公式で行われたお気に入りの武装という投票では''フォースクラッシュ部門で他に大差を開けて堂々の1位''に輝いている。 -基本的に派手な演出が多いフォースクラッシュの中にあってその''物凄く地味な発動演出''、そして「''踏むなよ?絶対踏むなよ!?''」と''自分で設置しておきながら言い放つ甲のシュールさ''、そして''自分が受けるダメージの方が高いというある種ぶっ飛んだ性能''がネタになっている。~ また細かいために多少見づらいが、置かれた地雷の外見は普通の地雷のそれではなく、エロゲーの外箱そのもので、2009年のエイプリルフールで登場した嘘ゲームのパッケージという''公式設定''があり、前述の投票で1位を獲得した記念の壁紙でそのパッケージが明かされている。~ そのタイトルに関しては直球ど真ん中の下ネタなので記載は避けるが、『''BALDR SKY Dive1 "LostMemory"''』と言うタイトルにひっかけたものになっている。 -前作 BALDR FORCE から「メガマイン」という同系統のフォースクラッシュが登場しており、その流れを汲むものと考えればネーミング自体は自然なものである。~ ただしメガマインはネタのような性能ではなく、プレイヤーがダメージを受けることもなかった。 --なお、ギガマイン自体は実用のコンボパーツであり(自ダメージを容易に回避できる方法があり、これを生かした実用の高ダメージ基礎コンボがある)、 存在自体はネタだが、性能としてはガチである、ということは付記しておく。 -2010年11月26日に戯画から発売されたPC用18禁ゲーム『[[JINKI EXTEND Re:VISION>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/783.html]]』の予約特典ゲームは本作のシステムを流用している。 --これの影響なのか、シリーズ最新作である『[[BALDRSKY ZERO>http://products.web-giga.com/baldrskyzero/]]』では原画とキャラクターデザインをジンキの原作者である綱島志朗氏が担当することとなった。 ----

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