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天下統一 - (2012/05/23 (水) 20:16:28) の1つ前との変更点

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*天下統一 【てんかとういつ】 |ジャンル|SLG|&amazon(B00006FRE1)| |対応機種|PC-8801mkIISR以降、PC-9801VM/UM以降 &br X68000|~| |発売・開発元|システムソフト|~| |発売日|1989年7月|~| |定価|9,800円|~| &bold(){写真はWindows用復刻版} ---- **概要 戦国SLGとして、かつて光栄の信長の野望シリーズ共に人気を二分した名作SLG。黒田幸弘氏がデザインし、革新的なシステムが多数導入された意欲作でもある。一部のシステムは、やがて信長の野望シリーズにも導入される。~ 光栄の信長シリーズが領国経営の延長上からの領地拡大というコンセプトならば、本作は領地拡大を主としたコンセプトと言える。 また、戦国SLG随一のバランスの良さを誇る。~ 時代は1551年から。プレイヤーは全国の大名から一つを選び、天下統一を目指す。 &br()&br() -余談だが、このゲームのせいか光栄の「信長の野望シリーズ」においては攻略本なども含めて「天下統一」という言葉がタブーとなっている。 **特徴 歴史SLGの先駆けである光栄のゲームとは、大きく違うシステムを導入していた。 -一国複数城。~ 当時の信長シリーズでは、まだ一国一城だった。それに対して、一国複数の城を配置。最大で8城あった。総数は信長の野望天翔記より多い。攻略はこの城の取り合いとなる。そして国内の全ての城を押さえて(正確には違うが)、ようやく国を完全に収める事になる。国を完全に収めると、収入が格段に増加するなど特典があった。 -道の導入。~ 城と城とは道で繋がれていた。このため、いくら近くても道のない城には攻める事ができない。また交通の要衝となる城を押さえるなど、戦略的な要素も強く出るようになった。信長シリーズでは国単位だったため、隣接していれば基本的にどこでも攻められ陣取り的な色彩だったのと大きく異なる。 -季節単位のターン。それにともなうイベント。~ ターンは一年四回で四季単位に行われる。そのため季節にあったイベントが起こる。そして軍事行動に大きく影響するのが、台風と大雪。双方とも発生すると軍事行動が全く行えなくなる。特に大雪は頻度が多いため影響が大きく、東北や北陸などの雪国では、他の大名に遅れをとる場合がある。 -CP(コマンドポイント)システム。~ 大名自身の能力を家の運営に反映させた、画期的システム。コマンドの実行は、ターン開始時に与えられるCPのポイント数の内で行われる。このCPは、大名の能力によって割り当てられる。そのため無能な大名には、このCPが少なく多くの事ができない。例えば軍事行動に追われてると、内政をやる余裕がなくなるなどとなる。逆に有能な大名には多くのCPが割り当てられ、様々なコマンドが実行でき、他の大名に先んずる事ができた。 --信長シリーズにはCPと似たような「行動力」の概念があったが、これは武将個人の能力で、当主の能力が大名家全体に影響を与えるようなものではなかった。 -内政は最低限。~ 内政としてやる事は、楽市楽座と治水開墾の二つしかない。とは言っても、兵の徴収数や収入に影響するので、ないがしろにする訳にはいかない。 -独立勢力の存在。~ 国内に複数の城があるのは先述した通り。これら城は、全てどこかの大名家に所属してるとは限らない。どこにも属さない勢力として存在する場合がある。さらにゲーム開始時に、この独立勢力が国内にいる大名もいる。彼らを倒し国内を統一しなければ、他国に侵攻もできないのだ。 -独立勢力となる一向一揆。~ 一向一揆は当時の信長シリーズにあるが、もっぱら災害などと同じイベントとしてだった。しかし本作では全く様相の違う扱いとなっている。一向一揆が発生すると、領国内のいずれかの城に独立勢力となって出現するのだ。放っておくと、勝手に国を蹂躙していくので、早急に殲滅しなければならない。余裕があるとは言えない戦力を領国内に振り向けねばならないのは、かなりの足かせとなった。 -シンプルな武将の能力。~ 武将の能力は、実質的には軍事と内政の二種類しかない。信長シリーズや他社のものと比べても、非常にシンプルである。軍事は戦闘時に効果を出し、内政は外交や政策、謀略などに効果を出す。~ また寿命は武将別に設定されておらず、だいたい55±5歳程度で死ぬ。このため、50前で死ぬ武将はまずおらず、逆に60代まで生き延びる武将もほとんどいない。 -同盟が強固。~ 同盟は一旦結ぶとなかなか破棄されなかった。またプレイヤーが破棄する場合も、大きなペナルティーを負った。そのため同盟が非常に強固。敵を絞るためにこの同盟は非常に有用で、外交政策が重要な意味をもった。またこの同盟相手によって、コンピューターの大名の命運が大きく左右されるのも、面白い。 -各大名の順番は、ランダムで決まる。この影響が最も大きいのが作戦行動である。例えば、お互いの城を攻めようとしていた場合、先に順番が回ってきた方が優先され、後の順番の大名の攻撃はキャンセルされる。ただし作戦行動の費用は双方かかる。このため運が悪いと、しばらく攻められず費用ばかり取られた、なんて事も起こる。 -独特な戦闘システム~ 歴史SLGの戦闘システムというと、タクティクスタイプが多いが、本作は全く違う独特のシステムを導入している。 --縦5×横6のマス盤が戦の舞台である。両軍は向かい合うように配置される。主力部隊は中央の3行に配置。その他別働隊を一部隊、上下にあまってるに行に配置。系四部隊(武将)までが戦に参加できる。 --操作はターン制。1ターンにできる行動は、移動、攻撃か予備部隊との交代のいずれか。1ターン内の先攻、後攻はランダムで決まる。このため前のターンで後攻、次のターンで先攻の場合は、連続して攻撃なんて事もできる。逆に機先を制するつもりで敵の目前に迫ったら、先に相手に攻撃され交代を余儀なく、なんて事も。この辺りは完全に運。 --各部隊の移動は左右のみ。そして中央の3部隊が攻撃できるのは正面の敵のみである。別働隊だけが、同じ列の敵部隊いずれかに一度だけ攻撃できる。 --攻撃は突撃、長槍、鉄砲で行われる。突撃は隣接した敵に、大ダメージを与える攻撃。その代わり自分も多少のダメージを受ける。長槍は隣接した敵に小ダメージを与える攻撃。自分はダメージを受けない。鉄砲は離れた敵にもダメージを与えられる攻撃。ただしダメージは距離に反比例する。 --戦に参加した四部隊の他に予備部隊がいる場合、その部隊と交代できる。ただし最後列に到達してしまった場合はできない。 --戦の時には、各部隊に編成係数という値が表示される。編成係数が一部隊でも0になると敗北する。これは戦国時代の戦闘では、そう死者は出ず、むしろ軍として統制がとれるかどうかが重要という面を表したもの。だから編成係数が0になっても、兵力が0になるという事はない。もちろん減少はしてるが。&brこの編成係数は武将の軍事の値と兵力を反映したものだが、単に比例させた数値ではない。大名家の士気(表示されない)というべき値があり、これを合わせて反映させたものである。このため、士気が低いと軍事の値の高い武将でも、編成係数はそう高くならない。当然その逆もある。また鉄砲の比率が多いと、編成係数は低くなる。士気は勝ち続けていると上がっていく。 --城への攻撃は包囲と強襲のどちらかを選べる。包囲は費用はかかるが、兵士に被害がでない。強襲は兵士に被害がでるが、費用はかからない。また堅い城に少ない兵力で、強襲すると討ち死にする事がある。一方で、籠城側にはできる事は撤退の是非のみ。 -バランスが秀逸。~ 本作最大の特徴と言ってもいいかもしれない。歴史SLGは、歴史的な事象をなんとか再現しようと、とかく複雑なシステムになりやすい。そのため、どうしても人間の戦略効率がコンピューターを上回ってしまう。序盤、厳しい状況があっても、それさえ突破してしまえば、後は順調、中盤以降は一強皆弱の消化試合。というゲームも少なくない。~ ところが本作は違う。上記のようにシステムがシンプルな上、運の要素も大きく、人間とコンピュータの効率の差がでにくい。またコンピュータが他のゲームにはないほど攻撃的。このため終盤になると、ほとんどの場合、全国は二大勢力しかいないという状態になる。正に天下分け目の関が原である。一時は全国のほぼ半分を手中に収めたプレイヤーが最終的には滅亡した、などという事も起こりうる。 &br()&br() **難点 -画面がとにかく地味。当時の他のゲームとくらべても地味。特に、国内マップはファミコンかというほど味気がない。武将にも顔がなく能力値だけ。ほとんど記号と数字ばかりで構成されてるようなもの。 -同じくBGMも淡白。黎明期のファミコンのようなBGMである。 -配下にできる武将が少ない。大名自身も含め48人しか配下にできない。この48人に空きができないと、領国内に新規の武将も現れず、敗れた敵将も全く投降してくれない。しかも隠居など強制的に退場させるコマンドもない。このため能力の低い武将を、無理やり敵の城に突撃させ討ち死にさせるなどという事をしないといけなかった。 -バランスが秀逸ではあるが、最終的にプレイヤーと全国を二分する大名の顔ぶれがだいたい決まってる。何度がプレイすると、またこの大名か、という事もしばしば。もっともバランスの優秀さを考えれば、いつも違う大名と相対したいのは、少々欲張りな希望かもしれない。 -弱い勢力はとことん弱く、天下統一するには運の要素が多大にからんでくる。中にはノーリセットのプレイでは天下統一はほぼ無理とされる勢力も。 //--実際「ゲーム終了期限の年代までに天下統一が理論上絶対に間に合わない」という勢力も複数存在した。 //加賀の富樫氏ですら、リセットプレイで天下統一できるのに、そんな大名いないと思うが…。世継がおらず、家名が残せないという意味なら分かるけど。 -史実とかなり異なる面がある。史実の再現よりゲームとしての面白さを優先してる面があり、そのため史実を強引に変更してる部分がみられる。 --プレイスタート時点で、各国一大名という設定。そのため1500年以前に事実上滅亡した富樫氏が加賀にいたり、本来今川氏の家臣だった飯尾氏が遠江で、大名になっていたする。逆に北陸奥など、まだ1551年時点で国内の趨勢が定かでないにも関わらず、伊達氏は大名で他は独立勢力にされてる国もあった。 ---誤解のないように注釈を入れれば、当時の富樫氏は一向宗の支配下におかれていた。そのため、独立した大名としての行動が行えないだけでゲームの配置のされ方自体は間違っているわけではない。また正式な意味での滅亡は1570年代になってからである。 --複数の国を持った大名がいない。当時は未だ小さな大名が多かったとはいえ、今川氏や尼子氏のように複数の国を支配した大名もいた。しかし各国一大名の設定のため、これらの大名も一国しか持ってない。 --甲相駿の三国同盟がすでに結ばれている。史実では1554年に結ばれる。ただゲームでは、この同盟がないとお互いがつぶしあい、名門大名が大きくならないので、そのための処置だった。(もっとも1544年にはお互い休戦状態にあり、あながち間違ってもいない。)さらにあり得ないのが、毛利氏と尼子氏の同盟。毛利氏にとって尼子氏は不倶戴天の敵とも言うべき存在であった。しかしゲーム上では同盟状態にある。これも毛利氏が大きくならないための、やむを得ない処置だった。 ---こちらにも注釈を入れれば元々、毛利氏は尼子家の傘下にいた時期があったのだ。しかし、家中の叛乱を策されたことから手を切った関係である。そうは言うものの1528年以降、一貫して反尼子を貫いていた点を考慮すると、違和感はある。 --蝦夷、安房、伊豆、飛騨、伊賀、和泉、伯耆、淡路が存在しない、もしくは他国に組み込まれている。このため津軽為信など、それらの地方の武将が現れない。 &br() **総評 歴史的な事象の再現とゲームとしての面白さを、高い所でバランスを取った名作である。とかく中盤以降だれてしまいがちな歴史SLGとは、一線を画している。最後は天下を分けての大いくさとなり、緊張感がいつまでも維持されるのは見事の一言。~ 信長の野望シリーズとは違った路線と提示した天下統一。次作の天下統一IIでは、本作をさらに発展。コンピューターが弱体化したものの好評だった。このままシリーズが続けば、やがて信長の野望シリーズと共に戦国SLGの代名詞になるかに思えた。~ しかし、この後は衰退が顕著になる。~ IIのほぼ10年後に出たIIIは、大きく期待を裏切るものだった。しかも後の続編も惨憺たるもので、ゲーム性以前に製品として疑われるようなものを次々と発表。システムソフト(SSα)の質の低下は疑いようがなく、2009年の戦国天下統一においては、クソゲーオブザイヤーにノミネートするほどにまで落ちてしまった。 本作のような他に類を見ない名作戦国SLGを知ってる者からすれば、現状は信じがたく目を覆わんばかりだろう。今となっては、本作の優秀性を再認識するだけである。 //個人的にはかなり難易度の高いゲームという印象の方が強い。
*天下統一 【てんかとういつ】 |ジャンル|SLG|&amazon(B00006FRE1)| |対応機種|PC-8801mkIISR以降、PC-9801VM/UM以降 &br X68000|~| |発売・開発元|システムソフト|~| |発売日|1989年7月|~| |定価|9,800円|~| &bold(){写真はWindows用復刻版} ---- **概要 戦国SLGとして、かつて光栄の信長の野望シリーズ共に人気を二分した名作SLG。黒田幸弘氏がデザインし、革新的なシステムが多数導入された意欲作でもある。一部のシステムは、やがて信長の野望シリーズにも導入される。~ 光栄の信長シリーズが領国経営の延長上からの領地拡大というコンセプトならば、本作は領地拡大を主としたコンセプトと言える。 また、戦国SLG随一のバランスの良さを誇る。~ 時代は1551年から。プレイヤーは全国の大名から一つを選び、天下統一を目指す。 &br()&br() -余談だが、このゲームのせいか光栄の「信長の野望シリーズ」においては攻略本なども含めて「天下統一」という言葉がタブーとなっている。 **特徴 歴史SLGの先駆けである光栄のゲームとは、大きく違うシステムを導入していた。戦略中心となっており、非常にシンプルにまとまっている。ゲームテンポはかなりいい。 -一国複数城。~ 当時の信長シリーズでは、まだ一国一城だった。それに対して、一国複数の城を配置。最大で8城あった。総数は信長の野望天翔記より多い。攻略はこの城の取り合いとなる。そして国内の全ての城を押さえて(正確には違うが)、ようやく国を完全に収める事になる。国を完全に収めると、収入が格段に増加するなど特典があった。 -道の導入。~ 城と城とは道で繋がれていた。このため、いくら近くても道のない城には攻める事ができない。また交通の要衝となる城を押さえるなど、戦略的な要素も強く出るようになった。信長シリーズでは国単位だったため、隣接していれば基本的にどこでも攻められ陣取り的な色彩だったのと大きく異なる。 -ターンは季節単位。~ ターンは一年四回で四季単位に行われる。1つのターンは5つのフェイズからなっている。イベントなどの更新フェイズ、徴兵などの軍備フェイズ、内政や外交などの政略フェイズ、計略や攻撃決定の作戦フェイズ、そして合戦フェイズ。 --イベントは様々なものがあるが、軍事行動に大きく影響するのが、台風と大雪。双方とも発生すると軍事行動が全く行えなくなる。特に大雪は頻度が多いため影響が大きく、東北や北陸などの雪国では、他の大名に遅れをとる場合がある。 --各大名の順番は、ランダムで決まる。この影響が最も大きいのが作戦行動である。例えば、領内の城に敵の大群が迫っているとき、ほんのわずかな兵でも先に敵を攻めると、相手は動けなくなってしまうのだ。これで寡兵で足止めができるのである。序盤には非常に役立つ戦術。この順番は最初の軍備フェイズで決定され、以後のフェイズは同じ順番となる。軍備フェイズでの順番に気を配るのは重要なのだ。 -CP(コマンドポイント)システム。~ 大名自身の能力を家の運営に反映させた、画期的システム。コマンドの実行は、ターン開始時に与えられるCPのポイント数の内で行われる。このCPは、大名の能力によって割り当てられる。そのため無能な大名には、このCPが少なく多くの事ができない。例えば軍事行動に追われてると、内政をやる余裕がなくなるなどとなる。優秀な臣下がいても、当主が無能では力が十分に発揮できないのだ。逆に有能な大名には多くのCPが割り当てられ、様々なコマンドが実行でき、他の大名に先んずる事ができた。 --信長シリーズにはCPと似たような「行動力」の概念があったが、これは武将個人の能力で、当主の能力が大名家全体に影響を与えるようなものではなかった。 -内政は最低限。~ 内政としてやる事は、楽市楽座と治水開墾の二つしかない。とは言っても、兵の徴収数や収入に影響するので、ないがしろにする訳にはいかない。 -独立勢力の存在。~ 国内に複数の城があるのは先述した通り。これら城は、全てどこかの大名家に所属してるとは限らない。どこにも属さない勢力として存在する場合がある。さらにゲーム開始時に、この独立勢力が国内にいる大名もいる。彼らを倒し国内を統一しなければ、他国に侵攻もできないのだ。 -独立勢力となる一向一揆。~ 一向一揆は当時の信長シリーズにもあったが、もっぱら災害などと同じイベントとしてだった。しかし本作では全く様相の違う扱いとなっている。一向一揆が発生すると、領国内のいずれかの城に独立勢力となって出現するのだ。放っておくと、勝手に国を蹂躙していくので、早急に殲滅しなければならない。余裕があるとは言えない戦力を領国内に振り向けねばならないのは、かなりの足かせとなった。 -シンプルな武将の能力。~ 武将の能力は、実質的には軍事と内政の二種類しかない。信長シリーズや他社のものと比べても、非常にシンプルである。軍事は戦闘時に効果を出し、内政は外交や政策、謀略などに効果を出す。~ また寿命は武将別に設定されておらず、だいたい55±5歳程度で死ぬ。このため、50前で死ぬ武将はまずおらず、逆に60代まで生き延びる武将もほとんどいない。 -同盟が強固。~ 同盟は一旦結ぶとなかなか破棄されなかった。またプレイヤーが破棄する場合も、大きなペナルティーを負った。そのため同盟が非常に強固。敵を絞るためにこの同盟は非常に有用で、外交政策が重要な意味をもった。またこの同盟相手によって、コンピューターの大名の命運が大きく左右されるのも、面白い。 -独特な戦闘システム~ 歴史SLGの戦闘システムというと、タクティクスタイプが多いが、本作は全く違う独特のシステムを導入している。そのシステムは非常にシンプルであり、コンピュータと人間側の戦術差が出にくいようになっている。 --縦5×横6のマス盤が戦の舞台である。両軍は向かい合うように配置される。主力部隊は中央の3行に配置。その他別働隊を一部隊、上下にあまってるに行に配置。系四部隊(武将)までが戦に参加できる。 --操作はターン制。1ターンにできる行動は、移動、攻撃か予備部隊との交代のいずれか。1ターン内の先攻、後攻はランダムで決まる。このため前のターンで後攻、次のターンで先攻の場合は、連続して攻撃なんて事もできる。逆に機先を制するつもりで敵の目前に迫ったら、先に相手に攻撃され交代を余儀なく、なんて事も。この辺りは完全に運。 --各部隊の移動は左右のみ。そして中央の3部隊が攻撃できるのは正面の敵のみである。別働隊だけが、同じ列の敵部隊いずれかに一度だけ攻撃できる。この行動選択枝が少なさが、コンピュータと人間との差を出にくくしている。 --攻撃は突撃、長槍、鉄砲で行われる。突撃は隣接した敵に、大ダメージを与える攻撃。その代わり自分も多少のダメージを受ける。長槍は隣接した敵に小ダメージを与える攻撃。自分はダメージを受けない。鉄砲は離れた敵にもダメージを与えられる攻撃。ただしダメージは距離に反比例する。 --戦に参加した四部隊の他に予備部隊がいる場合、その部隊と交代できる。ただし最後列に到達してしまった場合はできない。 --戦の時には、各部隊に編成係数という値が表示される。編成係数が一部隊でも0になると敗北する。これは戦国時代の戦闘では、そう死者は出ず、むしろ軍として統制がとれるかどうかが重要という面を表したもの。だから編成係数が0になっても、兵力が0になるという事はない。もちろん減少はしてるが。&brこの編成係数は武将の軍事の値と兵力を反映したものだが、単に比例させた数値ではない。大名家の士気(表示されない)というべき値があり、これを合わせて反映させたものである。このため、士気が低いと軍事の値の高い武将でも、編成係数はそう高くならない。当然その逆もある。また鉄砲の比率が多いと、編成係数は低くなる。士気は勝ち続けていると上がっていく。 --城への攻撃は包囲と強襲のどちらかを選べる。包囲は費用はかかるが、兵士に被害がでない。強襲は兵士に被害がでるが、費用はかからない。また堅い城に少ない兵力で、強襲すると討ち死にする事がある。一方で、籠城側にはできる事は撤退の是非のみ。 -バランスが秀逸。~ 本作最大の特徴と言ってもいいかもしれない。歴史SLGは、歴史的な事象をなんとか再現しようと、とかく複雑なシステムになりやすい。そのため、どうしても人間の戦略効率がコンピューターを上回ってしまう。序盤、厳しい状況があっても、それさえ突破してしまえば、後は順調、中盤以降は一強皆弱の消化試合。というゲームも少なくない。~ ところが本作は違う。上記のようにシステムがシンプルな上、運の要素も大きく、人間とコンピュータの効率の差がでにくい。またコンピュータが他のゲームにはないほど攻撃的。このため終盤になると、ほとんどの場合、全国は二大勢力しかいないという状態になる。正に天下分け目の関が原である。一時は全国のほぼ半分を手中に収めたプレイヤーが最終的には滅亡した、などという事も起こりうる。 &br()&br() **難点 -画面がとにかく地味。当時の他のゲームとくらべても地味。特に、国内マップはファミコンかというほど味気がない。武将にも顔がなく能力値だけ。ほとんど記号と数字ばかりで構成されてるようなもの。 -同じくBGMも淡白。黎明期のファミコンのようなBGMである。 -配下にできる武将が少ない。大名自身も含め48人しか配下にできない。この48人に空きができないと、領国内に新規の武将も現れず、敗れた敵将も全く投降してくれない。しかも隠居など強制的に退場させるコマンドもない。このため能力の低い武将を、無理やり敵の城に突撃させ討ち死にさせるなどという事をしないといけなかった。 -バランスが秀逸ではあるが、最終的にプレイヤーと全国を二分する大名の顔ぶれがだいたい決まってる。何度がプレイすると、またこの大名か、という事もしばしば。もっともバランスの優秀さを考えれば、いつも違う大名と相対したいのは、少々欲張りな希望かもしれない。 -弱い勢力はとことん弱く、天下統一するには運の要素が多大にからんでくる。中にはノーリセットのプレイでは天下統一はほぼ無理とされる勢力も。 //--実際「ゲーム終了期限の年代までに天下統一が理論上絶対に間に合わない」という勢力も複数存在した。 //加賀の富樫氏ですら、リセットプレイで天下統一できるのに、そんな大名いないと思うが…。世継がおらず、家名が残せないという意味なら分かるけど。 -史実とかなり異なる面がある。史実の再現よりゲームとしての面白さを優先してる面があり、そのため史実を強引に変更してる部分がみられる。 --プレイスタート時点で、各国一大名という設定。そのため1500年以前に事実上滅亡した富樫氏が加賀にいたり、本来今川氏の家臣だった飯尾氏が遠江で、大名になっていたする。逆に北陸奥など、まだ1551年時点で国内の趨勢が定かでないにも関わらず、伊達氏は大名で他は独立勢力にされてる国もあった。((誤解のないように注釈を入れれば、当時の富樫氏は一向宗の支配下におかれていた。そのため、独立した大名としての行動が行えないだけでゲームの配置のされ方自体は間違っているわけではない。また正式な意味での滅亡は1570年代になってからである。)) --複数の国を持った大名がいない。当時は未だ小さな大名が多かったとはいえ、今川氏や尼子氏のように複数の国を支配した大名もいた。しかし各国一大名の設定のため、これらの大名も一国しか持ってない。 --甲相駿の三国同盟がすでに結ばれている。史実では1554年に結ばれる。ただゲームでは、この同盟がないとお互いがつぶしあい、名門大名が大きくならないので、そのための処置だった。((もっとも1544年にはお互い休戦状態にあり、あながち間違ってもいない。)) さらにあり得ないのが、毛利氏と尼子氏の同盟。毛利氏にとって尼子氏は不倶戴天の敵とも言うべき存在であった。しかしゲーム上では同盟状態にある。これも毛利氏が大きくならないための、やむを得ない処置だった。((ただし、毛利氏は尼子家の傘下にいた時期があった。しかし、家中の叛乱を策されたことから手を切った関係である。以降、一貫して反尼子を貫いていた点を考慮すると、同盟関係には違和感がある。)) --蝦夷、安房、伊豆、飛騨、伊賀、和泉、伯耆、淡路が存在しない、もしくは他国に組み込まれている。このため津軽為信など、それらの地方の武将が現れない。 &br() **総評 歴史的な事象の再現とゲームとしての面白さを、高い所でバランスを取った名作である。とかく中盤以降だれてしまいがちな歴史SLGとは、一線を画している。最後は天下を分けての大いくさとなり、緊張感がいつまでも維持されるのは見事の一言。~ 信長の野望シリーズとは違った路線と提示した天下統一。次作の天下統一IIでは、本作をさらに発展。コンピューターが弱体化したものの好評だった。このままシリーズが続けば、やがて信長の野望シリーズと共に戦国SLGの代名詞になるかに思えた。~ しかし、この後は衰退が顕著になる。~ IIのほぼ10年後に出たIIIは、大きく期待を裏切るものだった。しかも後の続編も惨憺たるもので、ゲーム性以前に製品として疑われるようなものを次々と発表。システムソフト(SSα)の質の低下は疑いようがなく、2009年の戦国天下統一においては、クソゲーオブザイヤーにノミネートするほどにまで落ちてしまった。 本作のような他に類を見ない名作戦国SLGを知ってる者からすれば、現状は信じがたく目を覆わんばかりだろう。今となっては、本作の優秀性を再認識するだけである。 //個人的にはかなり難易度の高いゲームという印象の方が強い。

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