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*涼宮ハルヒの並列
【すずみやはるひのへいれつ】
|ジャンル|アドベンチャーゲーム|&amazon(B001HSNXLC)|
|対応機種|Wii|~|
|メディア|12cm光ディスク 1枚|~|
|発売元|セガ|~|
|開発元|キャビア|~|
|発売日|2009年3月26日|~|
|定価|7,140円(通常版)&br()12,075円(初回限定版)|~|
|レーティング|CERO:A(全年齢対象)|~|
**概要
爆発的人気を呼んだ、角川スニーカー文庫のライトノベル『涼宮ハルヒシリーズ』を原作とするテレビアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』のゲーム版。初回限定版として、ハルヒ、長門、みくるのコスプレフィギュアが付属する「超SOS団ヒロインコレクション」も発売。
発売時期は、テレビアニメの第1期と第2期の中間に当たり、同じセガが発売したニンテンドーDS『涼宮ハルヒの直列』や、角川書店から発売のWii用ダンスゲーム『涼宮ハルヒの激動』との購入連動キャンペーンも行われた。
なお、本記事は良作キャラゲーという観点からの紹介を行うため、原作を知らない人にはその旨御理解いただきたい。いちおうゲーム内でも最低限の説明はされているが、シリーズの基本設定を知っているのを前提とした作りになっている。
**あらすじ
夏休みのある日、突然ハルヒに呼び出されたキョンとその妹は、町内会の福引で当たったという豪華客船1日クルーズに参加することになる。10枚ある券はSOS団団員5名と野球大会で団の助っ人をした国木田、谷口、鶴屋さん、キョンの妹に配られるが、残りの1枚は港にいた訳ありの美少女、三栖丸ミコトに手渡されることに。
船内では船のオーナーであり、ミコトの元婚約者でもある富豪の少年伊集院泰一郎の花嫁選びコンテストが行われることになっていた。ハルヒは、ミコトのためにSOS団の総力をあげてコンテストに優勝することを宣言するのだが……。
**解説
-本作は、アドベンチャーゲームでよくある「ループ物」の一種である。「ループする時間の輪に閉じ込められてしまった主人公が、ループから抜け出そうと試行錯誤を繰り返す……」という奴だ。ただ、通常のループ物は「いかにして前回のループと違う展開を起こすのか」で脱出の糸口を掴もうとするシナリオが多いのに対し、本作は「いかにしてわき道のループに逸れることなく本筋であるループに戻るのか」が主人公であるキョンの当初の目的となっており、珍しいパターンだといえる。
-何しろ本作では、時間ループの根本原因が涼宮ハルヒの無意識だというのは既に明白な事実なので、「どうやればハルヒが満足してこの世界を元に戻すか」に目的が集約されているのである。だが、本人に直接原因を問いただすわけにはいかないので(理由は原作参照)、ハルヒの観察をして推測する必要がある。&br()しかし、そのハルヒはちょっとしたことで気が変わって前回とは全く違う展開のパラレルワールドループに分岐させてしまうので、何が原因でループが起こっているのかを調査するどころではないのだ。以下はその例。
++谷口がビデオカメラを持っているのを見かけたハルヒが、そのカメラを取り上げて「SOS団のプロモビデオを船内で撮影する」と言い出す。
++その1日はプロモ撮影でハルヒを満足させるべく奮闘。
++また同じ1日が始まるので、今度はハルヒがビデオカメラを取り上げるのを止めてわき道に逸れるのを阻止。
-ちなみにパラレルワールドというのはストーリー分岐の比喩ではなく文字通りの意味。上では、ネタバレを避けるために、あえておとなしめの設定のシナリオを例に挙げたが、当初のあらすじからはかけ離れたぶっ飛んだ内容のサブシナリオのほうが多い。原作ファンならご存知であろうが、ハルヒの無意識は世界そのものに影響を与えるため、世界の設定が書き換えられてしまうのだ。そのため、「船のオーナーは伊集院泰一朗」「花嫁選びコンテスト」というあらすじにあった設定は、サブシナリオの世界では存在しないこともある。「並列」というタイトルは伊達ではない。
--原作で言うなら、小規模な「エンドレスエイト」と「消失」が同時発生しているということ。
-このように、「ループする1日の謎を解く」というゲームの大目的を進行する過程で、様々なサブシナリオが発生し、それを解決するという構造になっている。それぞれのサブシナリオはギャグあり、サスペンスあり、感動ありとバリエーションに富んだ内容で、プレイヤーを飽きさせないようになっている。
--その点、テレビアニメ版の「エンドレスエイト」は……いや、何も言うまい。
-ゲームシステムは非常に軽快。ループ物の宿命として「何度も同じメッセージを読まされる」という欠点があるが、高速な既読メッセージスキップがあるので気にならない。また、一度入ったサブシナリオはオプション画面のタイムラインから選択すれば直接移動できる。
-特筆すべき点として、完全フルボイス仕様が挙げられる。キャラクターの台詞がフルボイスなのは当然だが、なんと、シナリオメッセージの大部分を占めるキョンの長々としたモノローグまで全て杉田智和氏による音声が入っている。収録はさぞかし大変だったろう([[セガのコメント>http://game.watch.impress.co.jp/docs/review/20090613_286272.html]]によると、キョンの台詞は1万以上あるらしい)。
**総括
キャラゲーとして一番重要なことであるが、本作はゲームオリジナルストーリーなのに、登場人物描写が原作のイメージどおりで違和感がない。「このキャラだったらこんな時こう行動するだろう」というファンの期待を裏切らないのだ。だが、先行して発売の『激動』の評判がよくなかったのと、ハルヒ人気を見込んで出荷が過剰だったのか、ワゴンで叩き売りされているのをよく見かける。
通常版なら1,000円以内、フィギュア付きの限定版ですら2,000円も出せば買えるので、ファンなら買って損はないだろう。
**備考
前述どおりwiiで先に発売された激動はクソゲーオブザイヤーにも名前を出す代物だった。
加えて、時期的に作品人気に一息はいっていたこと、他にPS2やPSPやDSでも作品が発売済みで短期間に関連ゲームが出すぎたことが売り上げの低下につながった。
もう少し発売が早ければまた違った結果が出ていたのだが。
なお、激動以外の商品の出来はキャラゲーとしてみれば特筆するほどでもないがそれなりのレベルにはある。
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