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水滸伝 天命の誓い - (2013/10/06 (日) 15:29:37) の最新版との変更点

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*水滸伝 天命の誓い 【すいこでん てんめいのちかい 】 |ジャンル|戦略シミュレーションゲーム|&amazon(B0009XLNTK)※Win廉価版| |対応機種|PC88SR、PC98、X1turbo、FM77AV、MSX2、FC、PS、SS|~| |発売・開発元|光栄|~| |発売日|1989年3月|~| |定価|9,800円|~| |分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| **概要 光栄(現・コーエーテクモゲームス)が製作・発売した歴史シミュレーションゲームの一つで、中国四大奇書の一つ「忠義水滸伝」を題材としたもの。~ ゲームの最終目的は全地域を制圧するというものではなく、大宋国を牛耳る姦臣・高俅を捕えて斬ることとなっている。 -ちなみに原作では高俅を捕えても斬ることにならず、梁山泊は宋に帰順する。その後は方蝋の乱の鎮圧で多くの好漢が戦死し、最終的には高俅に邪魔者扱いされた頭領・宋江は毒殺させられ仲間たちも散り散りになるという結末になっている。これは原作の骨子が「悪人たちが忠義に殉じることで罪を贖う」であるために止むを得ないことである((最も高俅を斬るのは皇帝の密勅によるものなので「忠義に殉じる」という面では忠実であるが))。 **ゲームの流れ -ほとんどの好漢(≒君主)はまず領土を持たない放浪状態から始まり、最初の領土とする土地をもとめて逃亡(移動)する。~ ここで空白地ならどこでも好きな場所を本拠地とすることができ、同じシナリオ・同じ好漢を選んでも最初の本拠地によってゲームの展開は変わってくる。 --厳密に言うと他人の領土でも旗揚げできるのだが、戦って勝たなければならないため兵力も無い初期状態ではまず無理。 -こうして旗揚げ後、その領土の『共鳴』(≒民忠誠度)を一定以上まで上げると民も好漢を認めて収入が得られる領地となり「人気」が上昇。その後は街で仲間を誘って領土をさらに拡大したり領地を荒らす獣を退治する…を繰り返して人気を高めていく。~ そして人気が一定値まで達すると、密勅が降りて晴れて高俅の本拠に攻め込むことができる。 --上記の設定から一見、共鳴が上がるまでは大変そうに思えるが『狩猟((食料や換金アイテムの毛皮が手に入る。ただし冬は使用できない。))』コマンドで毛皮(換金アイテム)や食料が手に入り、『調達((今作では共鳴が40以上60以下でなければ住民は暴動を起こさない。 その為共鳴が0の旗揚げ直後なら有効なコマンドになりうる。))』で直接金も入手可能なので完全に無一文で喝喝になることは少ない。 --ただし共鳴が高くなると隣接する官軍や他好漢から攻め込まれ、高俅からの妨害も受けるようになる為に、隣接する領地では安全が確保されるまであえて共鳴を上げずに狩猟や調達コマンドの使用や他領地からの物資をもらって戦力を整えるという戦略もあり。 ---おそらくこれはプレイヤーが旗揚げ直後にいきなり攻め込まれて滅亡しないための措置((逃亡中の好漢は小物(兵士)を持たず物資も僅かしかないので攻め込まれたら逃げるしかない。))だと思われる。 -例え勅命を貰ったとしても高俅は最大勢力として多くの領土・優秀な人材を抱え、危なくなると他の領地へと逃げ込むために捕えて斬るのは容易ではない。厳しい時間制限もあるため、最後まで緊張感あふれる展開が続く。 --一応高俅が斬れないだけで官軍には戦争を仕掛けられるのでうまくやれば勅命前に官軍の領地を削り取ることも可能、前述の通り人材が豊富で領地は非常に裕福なので攻め落とす価値は十分にある。 **内政要素 コーエーのSLGにおいて重要かつ中だるみに繋がったり面倒に見える事で敬遠されがちな部分だが今作は比較的店舗良く進むように調整されている。 -COMの統治する領地には特殊なチートがかかっているため、共鳴度が高ければほぼ確実にプレイヤーが介入するよりも高速で領土を豊かにして仲間まで集めていく。支持をきちんと出しておけば攻め込んだり領土を拡大する事もないので安心して任せられる。 --その為にある程度共鳴と無頼漢の忠誠を高めたらすかさず他の空白地を領土化したり攻め込む事も可能。COM任せの欠点としては無頼漢が成長せず全無頼漢に均等に兵を持たせたり訓練や武装度に無頓着なところくらいである。 -売買、人材集めが一度に行える。 --今作の売買や人材集め等は町へ出向して各施設で行う。毛皮と食料の売り買いは雑貨屋で、人材集めは占い屋で調べてから繁華街で行う、領土によっては武器屋や造船所もあって武装度を高めたり、河などを渡るための船の用意も可能。 --これらの事が1月で行えて消費体力も出向自体にかかる10のみ、その為に効率よく物資を整えて人材を増やしていける。 -宴会コマンドの登場 --このコマンドを使うと全員の忠誠を高めて体力を回復させる事ができる。今作において体力は行動力を兼ねるのでこの数値を回復させながら忠誠度を高められるこのコマンドの価値は大きい。 ---ただし忠義((無頼漢の持つ性格の数値の一つ 忠義に関しては高いと何事も真面目に行うので訓練に関しては効果が高くなる。 反面真面目な性格が災いして他人を楽しませたり騒ぐ事が苦手で宴会を仕切りにくく、効果が低くなる。))の数値が高すぎる無頼漢が統治者だと忠誠度の上昇が低くなってしまうので注意。 **人材 人材の能力は簡素でありながら非常に個性が強い。 -無頼漢(人材)には『腕力』・『技量』・『知力』という3つの能力値が設定されており、その全てが戦略のみならず戦争において重要な意味を持っている。 --具体的にいうと腕力が高ければ戦闘力が高く、技量が高ければ射撃ができて船を製造出来る。そして知力が高ければ火計や強力な『妖術』が使えるようになっている。技量と知力が高ければ調達した鉄から武器を製造することもできる。 --そのためこれ以降の歴史シミュレーションゲームに多い「国が富んだら文官は用済み」という慣習がなく、能力値が高ければ誰にでも活躍の場面がある。 --また様々な行動により人物は経験を積んでゆき、それぞれの能力値に対する経験値が100になるとその能力が1上昇するシステムになっている。そのため贔屓にして長く使い込んでいけば、人物はそれなりに成長してくれる。 -他にも『勇気』・『仁愛』・『忠義』という精神値が設定されており、人物間の相性やコマンドの成果などに様々な影響を及ぼす。 -能力値以外にも、コマンドを実行するごとに減少する『体力』の値がある。月ごとに回復するが、これが一定以下になった無頼漢(好漢自身も含む)は''一切の命令を拒否するようになる。''不便ではあるが、人間臭い設定である。 -本作の無頼漢にはなんと255人全員に細かく書き込まれた固有の顔グラフィックが用意されている。このグラフィックも美麗で且つそれぞれの人物の特徴を能く顕していると評価が高い。 -忠誠度の高い無頼漢とは『義兄弟』になることができる。本作の属領は全て自動委任だが義兄弟が統治する属領には直接の命令が出せるため、この義兄弟に誰を選ぶかも重要である。 --しかし前述の通り内政に関してはCOM任せの方が効率が良い為に戦争目的以外には義兄弟を作らないようにするのも有効である。 **戦争 本作には戦争にも多彩な仕掛けが盛り込まれている。 -季節の概念が導入されており、冬に攻めると湖や沼が凍って平地になっている。ちなみに秋は火計が成功しやすく、夏は雨が降りやすい。 -水上地形は船がなければ渡ることができない上に、川には流れが存在しており『操舵』能力を持たないものが入ると流されて勝手に移動してしまう。 --さらに攻撃を受けた際に船が壊れてしまうことがあり、水上にいた場合その部隊は水に投げ出され大きな被害を出すことになる。 -技量が60以上の無頼漢は弓矢による遠距離攻撃ができる。『ジンギスカン』よりも効果的な攻撃になっている上、技量85以上の無頼漢は敵の体力を直接減らすことがある。 -知力60以上の無頼漢のみ使える火計は『三國志』に続いての計略だが、敵の兵士数と体力を減らす仕様になっている。さらに技量次第では『消火』コマンドで火を消すことも可能。 -戦争行動の中でも一際強力で目を惹くのが、知力80以上の無頼漢のみ使うことができる『妖術』である。曇りの日にのみ実行でき、使うと無頼漢の周囲2HEXにいる敵の小者と体力を減らし数ターン行動不能にする。知力90以上の無頼漢が使うと範囲がさらに1HEX広がる。 --これがあるため、腕力・技量が低くとも知力の高い無頼漢は非常に頼もしい。もちろん、敵にそのような無頼漢がいる場合は一層の注意が必要。 **問題点 -無頼漢の勧誘に失敗しただけで人気が下がる。 --一応確実な助言が得られるが、良い方向に外れる(できないと言われてもできる)ことがあるので注意が必要。 -無頼漢加入時の初期忠誠度が低すぎる。仲間に入れたのも束の間、''月が変わった途端に出奔する''のはザラ。 --無頼漢の忠誠度が40未満だと月の終わりに出奔する可能性があり、30未満だと年の終わりに官軍に寝返る可能性がある。新たに仲間にした無頼漢の初期忠誠度は大抵20台なのだが、金を施すためにも1ターン必要。そして、仲間にしたターンはそれだけでその月のコマンドが終了してしまうため、同じターンに忠誠度を上げることは基本的に不可能(後半になると、義兄弟で仲間にし、同一ターンに好漢で金を施す、という手段は一応ある)。 --そのため、「私の命を預けましょう」「犬馬の労を尽くします」といって仲間になった無頼漢が、そのターンの終了時に出奔するという理不尽な現象が頻発する。対策は無く、次の月に金を施せるまで出奔しないことを祈るしかない。 -一騎打ちが不便すぎる。 --まず相手に申し込むだけで体力が-5される。さらに相手に小物(兵士)がいるとそれを蹴散らすのにさらに体力を消耗する。 --さらにそれを越えて相手に挑んでも、''相手を攻撃するのにまで体力を消費する''ため一定以上の体力が残っていないとどんなに力の差があっても体力切れで負ける。 --しかもCOM無頼漢の強さには異常な補正がかかっている。 --腕力、技量、体力、兵士数すべてに勝っていても、異常な補正のために余裕でCOMが勝利する。そのため、一騎打ちをプレイヤー側から有効に活用できる場面はほとんど無い。COMがプレイヤーに嫌がらせをするためだけの手段になっている。 --実質、COMが一騎打ちを挑んで来たら受けた時点でこちらの負けがほぼ確定。しかしプレイヤーが断っても、無頼漢の勇気が高いと勝手に受けて勝手に負ける。 //-一部の官吏の所属や能力が、かなり適当。田虎軍や王慶軍の武将が、よくわからない基準で高俅配下として辺境にいたりする。 //--後半登場する武将ほど適当さが増していき、花栄や秦明と互角に渡り合った武将が、腕力・技量とも40台だったり。 //↑田虎や王慶の配下の一部は元官吏。これは原作の設定 -移動で毛皮・鉄を運ぶことができない、戦争に食糧は持って行けるが金は持っていけない等、大ざっぱさが不便に繋がる部分も。 **賛否両論点 -原作とはマッチしない要素の数々 --一応、狩猟コマンド等の個性的なコマンドがあるものの、骨組みは当時のコーエーの戦略シミュレーションであり、前述の通り人気を上げるために各地を支配、侵略しなければならないので結局の所は領地の運営や拡大を行わなければゲームクリアはかなり困難。 ---原作でも好漢たちは寨を構えて官司に反抗したり他の寨と戦ったりしていたのだが、あくまで個人的な理由での闘争が多く、領地の拡大や寨を富ますといった行為にはあまり重点が置かれなかった。 ---その為にいくら勅命をもらうためとは言え無頼漢達が開墾や町作りに精を出すのは相当違和感がある。 --計略が存在しない、原作では正面からの力押しよりは計略や姦計を駆使した戦いが主であることが多く、ある意味卑怯とも言える手段で官軍をやり込めることも多かった。 ---・・・が今作では計略コマンドそのものが存在しないので''官軍を離間させてこちらに加えたり''、''官軍の領地に忍び込み物資を盗む''といったことは行えない。 ---にもかかわらず高俅側は平気でこちらの金を度々騙し取り、忠誠度の低い無頼漢を引き入れ、大軍をちらつかせて金品をせがんでくる。''逆だろ…'' -CPUの仕様を突くとゲームバランスが崩れることも --上記のとおり共鳴が低いと攻め込まれないことを利用し、領地を部下に任せて各地で部下集めや狩猟、調達コマンドを行いまくり戦力を短期間で整える方法が取れてしまう。 ---任せておいた領地もCPU時のチートによって栄えていくので好都合。更にこの方法で好漢や官軍が進出しそうにない僻地ならば共鳴を上げて領地にしてしまうことで人気まで上げられる。 ---そうでなくても開始後に逃亡中の好漢はすぐに最寄りの空白地で旗揚げしてから目的の領地へ向かうほうが良い。と言うのも領地を持つ好漢の方が先に行動でき(領地持ちの好漢や官軍の後で逃亡者の順番が決められる)、逃亡中よりも旗揚げ後の移動コマンドの方が体力の消耗が少なく僅かだが知力経験も得られ、旗揚げ時に手に入れたわずかな物資も持っていける等メリットが大きいので。 --官軍は上記の通りかなりの戦力を持つがうまくこちらに攻めて来るように仕向けてがら空きになった領地に攻め込んで奪うという方法で比較的楽に戦力を削り取れる。 ---攻めとる気がなくてもある程度戦力が整えば官軍に攻め込ませるのは有効。今作では城の防御修正がかなり高いのでうまくやれば攻めてきた官軍を返り討ちにしてこちらの戦力として取り込める。 --これらの要素はある意味、原作の梁山泊の好漢らしい戦い方とも取れるので単純に邪道とは言い切れないし使わなければゲームバランスを保つことが可能。 -- **総評 それまでの戦略SLGの常識も通用しない本作はコツをつかむまでは難度が高い。しかし厳しい制限時間と強敵、さらに一個人となってプレイし徐々に仲間を集めてゆく自由度の高さと適度なプレイ時間によって何十周とハマるユーザーが続出した。~ 無理に天下統一をする必要がない事、好漢と義兄弟以外の領地は命令する必要がない(できない)事、COM委任した領地が比較的上手く立ち回ってくれる事、等が厳しい時間制限と相まって、この手のSLGにとって致命的な『中盤以降の中だるみ』を全く感じさせない。~ 知名度では『信長の野望』シリーズや『三國志』シリーズとは比ぶべくもないが、その絶妙なバランスをして光栄の歴史シミュレーションゲームの中で最高傑作という人も多い。 **その後の展開 -その後、コンシューマ移植はもちろん同時代の他のゲームを差し置いてWindowsに移植された。これだけ古いゲームながら、現在でもソースネクストで廉価版の発売がなされている。 --ダウンロード版の販売は残念ながら2011年9月に終了した。 -96年にはSSとPSでリメイク版が発売された。 --キャラグラの書き換えやBGMの強化など演出面が大幅に強化された。また個別のエンディングムービーやオープニングの掛け合いなども追加されている。 --しかしロード時間や思考時間が長いため、快適さは保証しかねる。また難易度も若干低下している。 -『コーエー25周年記念パックvol.6』の収録ソフトの一本として、本作のPC98版が収録されている。現在は入手困難だが、あくまで原作にこだわるならこちらがお勧め。 -当然のごとく[[続編>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/509.html]]も発売されたが、コンシューマ移植で劣化したのもあって大した評判にはならなかった。そこそこの出来ではあるが名作というには遠い。 -今作で搭載された要素である消火や妖術等は三国志の技能や戦術等に用いられるようになった。 --また『三国志IVパワーアップキット』や『三国志DS3』において、SP武将として梁山泊の面々が使えたりとさりげなく厚遇されている。
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