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*テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョン 【ているず おぶ ふぁんたじあ なりきりだんじょん】 |ジャンル|ロールプレイングゲーム|&amazon(B000069SAK)| |対応機種|ゲームボーイカラー(全GB共通)|~| |メディア|16MbitROMカートリッジ|~| |発売元|ナムコ|~| |開発元|日本テレネット&br()ナムコ|~| |発売日|2000年11月10日|~| |価格|4,725円|~| |プレイ人数|1人|~| |セーブデータ|1個+中断データ1個&br()※中断データは再開後自動的に消去|~| |周辺機器|通信ケーブル(コスチューム交換)&br()ポケットプリンタ&br()スーパーゲームボーイ/同2対応|~| |分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[テイルズオブシリーズ関連作品リンク>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/260.html]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **おはなし ある日、静かな夜空から美しい流れ星が降り立ちました。~ あなたが星の光の中に見つけたのは、双子の赤ちゃん。~ 元気な泣き声を上げる男の子と、すやすや眠っている女の子。~ それから13年経った、アセリア歴4408年。~ 争いもない平和なこの世界で、ちょっとした冒険が始まるのでした…。~ (公式HPより転載) ---- **概要 [[スーパーファミコン>テイルズ オブ ファンタジア]]向けに発売され、後に[[プレイステーション>テイルズ オブ ファンタジア (PS)]]でリメイクされた''『テイルズ オブ ファンタジア(以下「ファンタジア」)』の続編'')。~ しかしシナリオライターのゲーム内での発言(下記余談を参照されたし)を考慮すると続編ではなく「''外伝''」または「''if''」とも言える。~ シリーズにおける分類としては''エスコートタイトル''(外伝作品のこと)に分類され、略称としては「''なりダン(1)''」が主流のようだ((その他、「(TOP-)ND」とする例も見られるには見られる。ただし、こちらはどちらかと言うと「Narikiri Dungeon」とアルファベット表記した際のそれぞれの単語の頭文字を取ったものなので、海外のウェブページ上などにおいて用いられるパターンの方が多い。))。 物語は『ファンタジア』本編の主人公、クレス達のいた時代のおよそ100年後に当たるアセリア歴4408年が舞台となる。~ なりきりと呼ばれる不思議な力を持った双子の男の子(ディオ)と女の子(メル)、そして男の子が拾ってきた不思議な生き物(クルール)((彼らの名前は全て変更可能で、括弧内の名前はデフォルト名。本項内で名前を出す時はこの名前に準ずる。))の冒険を通じて、彼らの秘められた過去、そして『ファンタジア』本編で魔王と恐れられたダオスが大いなる実りを求めた理由が明かされることになる。 ---- **システム ***なりきり ディオとメルが持っている不思議な能力で、''その職業の服を着ることでその職業になりきる''能力。~ つまり、剣士の服を着れば魔神剣や虎牙破斬といった剣技を行使出来、ウィッチの服を着れば魔術が行使出来る。~ なりきりのためのコスチュームはディオ・メル共に66種類用意されており、剣士や忍者(くのいち)といったようなコスチュームから画家や占い師などのコスチュームもあり、後者の画家や占い師といったコスチュームは戦闘には不向きだが、後述する頼まれごとを解決するために必要になる場合もある。~ また、モンスターのコスチュームや、歴代のナムコ作品のキャラクターのコスチューム、そして『ファンタジア』本編のキャラクターのコスチュームもある。~ 余談になるが、『ファンタジア』本編において魔術はエルフの血を引く者以外は行使出来ないという設定があり、二人はエルフの血を引いている訳ではないのにウィッチなどの服を着ると魔術を行使出来るが、これには彼らの過去が深く関わっている。 ***頼まれごと 冒険の中で、町の人達から「''頼まれごと''」を受けることがある。~ その数は全部で30種類有り、そのほとんどがただ敵をやっつけるといったような単純なものではなく、前述のなりきりの力を駆使しなければならないものや、後述する性格を特定のものにする必要があるものもあり、一筋縄ではいかない。~ 本編の物語を進める一方でこの頼まれごとに関するシナリオも進めていく必要がある((終盤のダンジョンではこの頼まれごとを規定数完了させておかないと入り口から先に入ることすら出来ない。))。 ***性格 ディオとメル、クルールには「''性格''」という概念があり、戦闘時に着ていたコスチュームやボスを撃破した後で彼らがしてくる質問に対してどう答えるかで変動する。~ この性格はディオとメルは21種類((大元の性格要素が6種類有り、それが突き抜けて高い場合はそのまま適用されるが、そうでない場合は最も高い性格要素と次いで高い性格要素の組み合わせによるものになる。大元の性格要素は最初は3種類しかなく、残りの3つの性格要素は特定のコスチュームをマスターするか、物語を進めて行く中で精霊から様々な心を教えてもらう事で目覚める。))、クルールは友達・忠実・野生の3種類有り、コスチュームにはそれぞれより能力が発揮出来る性格が設定されている。~ また、クルールはディオとメルの性格によって前述の3種類のいずれかになり、それによって姿を変える(性格による3種類×レベルによる8段階=合計24種類)。~ この性格は一部の頼まれごとを解決するために必要な条件になっていることがあり、その頼まれごとをこなすためにはこの性格の調整が必要不可欠。~ 装備品の中には戦闘による性格変動を起こさせなくするものがある。 ---- **登場キャラクター ***アセリア歴4408年 :ディオ|この物語の主人公の一人で、山で遊んだりすることが大好きな活発な13歳の双子の男の子。 :メル|この物語の主人公の一人で、ディオとは対照的に読書や裁縫が好きな穏やかでおっとりとした13歳の双子の女の子。 :クルール|ある日、ディオが山の中で拾ってきた不思議な生き物で、鳴き声は「クルール!(設定した名前)」や「ウキュ?」が主。&br()冒険においては2人をサポートするが、物語の鍵となる重大な秘密を持っている。 :ノルン|ディオとメルの前に現れた白い翼を生やした謎の女性。&br()2人に精霊の試練を受けなければならない事を告げ、以降も度々現れては彼らを導く事もあれば謎めいた言葉を残していくこともある。 :ペアレント(プレイヤー)|ゲームをプレイする「''あなた自身''」。双子のディオとメルの育て親となる。 :アーチェ・クライン|「''時空戦士''」((『ファンタジア』本編でダオスと時間を越えた戦いを繰り広げ、これを討ち果たした6人の事を指してこう呼ばれる。))の一人で、魔術師。&br()長命であるエルフの血を引くハーフエルフであるため、本編の時間から200年以上経った今も当時と変わらない姿で「魔女っ娘の塔」と呼ばれる塔に住んでいる。&br()ノルンの頼みを受けてディオ達の力を試すべく戦う事になる、このゲーム最初のボスキャラクター。 ***アセリア歴4203年 ※本作中においては登場しないが、『ファンタジア』本編においてはアーチェも下記のクラース同様にここの時代で出会い、仲間になるキャラクターである。 :クラース・F・レスター|時空戦士の一人で、リーダー格として扱われる召喚術師。&br()ダオスとの戦い(後に「''ダオス戦役''」として伝えられる)の後、自分の時代のユークリッド村に戻って助手であり恋人でもあるミラルドと共に暮らしている。&br()2人に未来に伝えられているダオス戦役の記録は''一方にとって都合の良い形で伝えられているもの''だという事を知らせ、クレス達の時代に行きその真実を知るよう導く。&br()&br()余談になるが、ノルンは時空戦士に2人が試練を受けるための協力を要請するが、基本的にあまり突っ込んだ事は伝えていない。&br()しかし、クラースには2人の背負う罪や、デリス・カーラーンが滅びの道を歩むようになったきっかけといったほとんどの事を伝えた描写がある。 ***アセリア歴4306年 :チェスター・バークライト|時空戦士の一人で類い希な弓術の才を持つ、クレスの幼馴染みで無二の親友。&br()ダオス戦役後は復興を遂げたトーティスの村(後のミゲールの町)の一角にある剣術道場で戦争によって親を失った子供たちの世話をしている。 :ミント・アドネード|時空戦士の一人で、神に祈りを捧げる事で癒しの力を行使する「''法術(ほうじゅつ)''」と呼ばれる力を使う法術師。&br()現在はトーティス村の教会で人々をその法術の力で癒したり、悩み事の相談に乗ったりしている。 :クレス・アルベイン|時空戦士の一人で『ファンタジア』本編の主人公。&br()現在は再興したトーティス村に剣術道場を開いて剣術を教えている。 ***アセリア歴4354年 :藤林すず|時空戦士の一人で、忍者の里に住まう里の頭領((ダオス戦役の後、祖父の乱蔵から頭領の座を受け継いだ。))。&br()弱冠11才ながらもその才覚は目を見張るものがあり、ディオ達が来る事やその理由といったものだけでなく、クルールの正体さえも初見で見抜いていた。 ***暗黒時空 :???|ディオとメルの正体を知る者。 ---- **評価点 ''重く、考えさせられるストーリー'' -全編を通してかなり暗く、重いストーリーが展開される。 --だが、ただただ暗いだけではなく、その中でも様々な事を考えさせられるものになっている。後述するヴァルハラ村の移り変わり、頼まれごと、魔鏡を通じて垣間見る事の出来る時空戦士達の心、そしてそれに対する思いなど、''シナリオ・ストーリー面の完成度の高さはシリーズで一番''だとするファンの意見も決して少なくない。 ---コミカルなシーンは徹底してコミカルに、ダークなシーンは人の心の暗い部分に容赦なく踏み込んでくる。パッケージや物語冒頭の雰囲気は良い意味で裏切られることだろう。 -『ファンタジア』本編の名言、「''この世に悪と呼べるものがあるとすれば、それは人の心だ''」というのを更に踏み込んだ「罪と罰」「欲望」「慢心」「憎悪」「差別」そして「狂気」といった「''人間の内側''」、そして「''育つ環境、親と子''」が今作のテーマであると言えよう。 //「''育つ環境によって人は善にも悪にもなりうる''」←とりあえず攻略本のシナリオライターのコメント入れて、これを少し変えてみた。ボエボエもディオスメルティアも双子も、単純に善悪でくくれないと思ったんだ… ''続編として見ても秀逸'' -テイルズオブシリーズにおいては続編として作られていながらも色々破綻してしまったものも多い。だが本作のシナリオに関してはまさしく『ファンタジア』本編の裏側を描いたとも言える内容となっており、この作品と本編を組み合わせる事で「''『テイルズ オブ ファンタジア』という作品は完全なものとなる''」との意見も多い。 --本編のキャラクターはあまり活躍せず、ゲスト出演程度の出番しかない。しかしその少ない登場で前作のキャラクターたちのその後の心境や前作の戦いについての考えが十分伝わるため、特に問題になることもなく、むしろ、それ故に本作の主人公たちのシナリオに集中でき、なおかつ本編のファンはイメージを崩すことなくプレイできると評する者も多い。 -ただし、『ファンタジア』本編のファンの中にはそのあまりの雰囲気の違い等の理由から、この作品を否定的に見る者も少なからず存在するのも事実で、この辺はやはり続編物として避ける事の出来ない宿命か。 ''親としてのプレイヤー'' -ディオとメルの親となったプレイヤーはディオとメルの名前の変更だけではなく、プレイヤー自身の呼ばれ方も変えられる。名前で○○さんと呼ばせるのは勿論、お父さんやお姉ちゃん、さらに偉大なる指導者様、ご主人様と呼ばせることも可能。 --また第一部のみだがボスを倒すごとに双子がプレイヤーに問いかけてくる質問の答え方によって「性格」の値が変化する。 ---上記の要素から本作は''シリーズ中もっともプレイヤーと登場キャラクターの距離が近い''と言われ、操作キャラクターたちに非常に愛着がわく。 ''ナレーターも高評価'' -キャラクターの動きだけではなく、キャラクターのその場の心の描写などを解説。 --GBCという前作と比べて少ない容量と小さなドット絵で表現出来なかった描写を演出するための策とも言えるが、まるで絵本を読んでいるようなテキストと挿入されるタイミングにより''他のテイルズオブシリーズにはない独特の雰囲気を演出するのに成功している''。([[参考動画(ニコニコ注意)>http://www.nicovideo.jp/watch/sm3232308]]) ''GBCとしては頑張っている音楽'' -流石にSFC版やPS版の元の曲と比べるのは酷だが、それでも十分に曲の雰囲気は出ている為、GBA版『ファンタジア』のチープなPSG音のアレンジよりも良いという意見も多く上がっている。 --今作オリジナルの「DARK MIND」「JUDGEMENT」等の曲の評価はかなり高い。 ''力を入れすぎのおまけ要素'' -本編シナリオをクリアすると「''[[ドルアーガの塔]]''」のダンジョンが登場する。 --流石に本家に比べると簡略化はされているがダンジョンは全60階あり、更に途中で条件を満たしていないとZAPで飛ばされてしまうなど、雰囲気は出ている。 ---塔にしか出てこない多くのモンスターやクリア後のイベント、そしてエンディングロールもドルアーガの塔用に用意されており、良くも悪くも「おまけに力入れすぎ」と評されることも。 ---- **問題点 ''戦闘関連'' -戦闘システムがアクション性の高い戦闘を売りにしているテイルズオブシリーズでありながら、ターン制に近いものとなってしまっている。''本作のプレイ人口の少なさの最大の原因''と言っても過言ではない。 --ハードスペック上仕方ない所もあるのだが、シリーズ通じての特色であるアクション性の高い戦闘システムではないという点は言うまでもなく異色で、それ故に批判意見が集まっていると言える。 ---一応、部分でアクション要素がある事もあり、雰囲気としてはシリーズのリニアモーションバトルシステムっぽさを出そうと頑張っているのは解るのだが、やはり根底の仕様はどうしようもない。 -今作の戦闘バランスはかなりタイトになってしまっている事もあり、「''ストーリーが良いのに、(先が見たくても)戦闘がきつすぎる''」という意見がよく上がる。 --中でもラスボスはシリーズ最強ともいわれる程の強さを誇る。 ---ものすごい威力の全体攻撃に加えかなりの頻度で回復したり防御を固めたりする。この時点でもかなりきついのだが、素早さが非常に高いため、ディオ達の素早さが低いと二回連続行動を許してしまう。場合によっては、最大レベルであってもまともな方法で倒すにはかなり運の要素が絡む。 ---ただし、ディオ達を計画的に育成した場合は、それほど強敵ではない。ディオ、あるいはメル一人だけでラスボスを倒すことも十分可能である。 ''コスチューム関連'' -コスチュームを極めるためのコスチュームポイントというものがあるのだが、それとは別にディオ達にはレベルの概念がある。 --レベルアップの際に着ていたコスチュームに応じて能力の増減に影響があるため、コスチュームの運用方法によっては能力も偏ったり、あるいは器用貧乏になってしまい、場合によっては一層攻略が難しくなってしまう。 ---従ってコスチューム育成と同時にディオ達のステータスにも気を配る必要があるため、管理が難しくなってしまっている。 ---強力なコスチュームを着られるようにするためには基本となる様々なコスチュームをマスターしなければならないため、この問題が厄介なものになってしまっている((実戦運用を見越したレベルアップを考慮しすぎてコスチュームをいくつかに固定させてしまうと後述の「人生経験」が上がらないため、強力なコスチュームを着ることが出来なくなるし、かといってコスチュームマスターを優先させすぎるとレベルアップ時のコスチュームによる能力変動にマイナス補正がかかることもあるため、器用貧乏にもなりかねない。任意でレベルアップをさせることが出来るならまだしも、勿論そんな事が出来る訳はない。))。 ---コスチュームを1つマスターすると人生経験の値が1上がり、その人生経験がそれぞれに設定された数値以上無いと上位のコスチュームは着られないのである。 -実戦運用が難しくなってしまうともはや救済手段とも言える「バキュラ」のコスチュームを着せる以外に道が無くなってしまう。 --もっとも、育成が上手く行っても最終的に着せるコスチュームはディオ、メル共にほぼ一択になり、ディオは高い攻撃力と圧倒的な速さを持つために性能があまりにもぶっ飛んでいる「忍者頭」、メルは高性能な回復技を持つ「ミント」の組み合わせが戦力バランス面でも最適解となる。 ---先述のコスチュームを手に入れてからはあらゆるコスチュームが下位互換となり、「好きなコスチュームを着てダンジョンを攻略」という自由度が大幅に低下してしまう。 -育成に関しては、このゲームでもっとも大切なパラメータである素早さの成長を考え、レベルアップ直前に「忍者頭」や「すず」に着替えさせる事が多いが、或いは全パラメータが高成長する事から「ダオス」にするケースもある。 --いずれにせよ、はっきりいってレベルアップ直前にいちいち着替えるのはかなり面倒なのだが…。 -従来のシリーズのようにリニアモーションバトルであれば、偏りすぎたステータスも多少プレイヤーのテクニックでカバーできたかもしれず、また他のコスチュームより弱いコスチュームでも操作性によっては十分楽しめたであろう事を考えると、これもまた''本作のターン制という戦闘システムにより発生してしまった問題''といえる。 --余談になるが、このシステムに対しての批判があったのかは解らないが、『なりきりダンジョン2』と『3』ではコスチュームごとのレベルに育成要素が一元化されるようになった。 #region(バキュラ、およびそのコスチュームについて) バキュラは元はナムコのシューティングゲーム『[[ゼビウス]]』に登場する敵で、''256発打ち込めば破壊出来るという都市伝説''((実際は都市伝説と言われるように、破壊不可能であるとされる。))をネタにしたコスチューム。~ 着るとHPが強制的に256になってしまうが、如何なる攻撃でも1しかダメージを受けず、また、今作では敵も特技を使う時にTP((テクニカルポイント(Technical Point)。特技を使うために必要なポイントで一般にMPと言われるものと同じ。))を消費する仕様になっており、どの敵もバキュラを破壊出来る256発も特技を使えない(その前にTP切れを起こす)ために、他の仲間が力尽きてもバキュラで敵のTP切れを待って、その後で仲間を復活させて一気に攻め掛かるという戦法を取る事が出来る。~ つまり、育成失敗して能力的に問題のあるキャラクターとなってしまった場合は、雑魚はともかくボス敵に関してはこれを着せて壁役に徹底させるしか無くなってしまうということ。 #endregion ''鬱要素がある'' -本作を指して鬱ゲーとする意見がかなり多い。 --鬱要素としてよく上がるのが本作のシナリオ第二部・ヴァルハラ村・悪徳商人ボエボエ・魔鏡イベントである。 ---公式サイトやパッケージなどを見る限りではこれ程に鬱な気分になれる要素があるゲームにはおよそ見えず、ただでさえ内容がエグいというのに、前述のパッケージなどの要素とのギャップ故に余計にトラウマになってしまった、というプレイヤーも多い。 -また本作の文章は基本的にひらがなとカタカナで構成されているが、一部の字と「''死''」のみは強調して漢字で表記してある他、本作の鬱要素は人の死だけでなく、今生きている人の心の弱さ、脆さ、醜さといった人間の裏の部分を抉り取るように演出している。 #region(各イベントの大まかな概要) :''シナリオ第二部''|ネタバレ防止のため深くは記述できないが、13歳の子どもにはあまりにも厳しい試練と現実がある。 :''過去ヴァルハラ村''|ヴァルハラ村は戦争で肉親を失ってしまった者や、各地で虐げられ、追いやられてしまった者が集う村である。&br()それ故に雰囲気は非常に重苦しく、人間のどす黒い部分も見られる。&br()特に死を望む男、妻と息子を亡くした老人、頼まれごとに登場する発狂した少女は多くのプレイヤーの心に残った(トラウマになったという者も)。&br()そして約100年後、途端に裕福となったこの村の人々は金の亡者となり心の中が貧しくなっていく。&br()なんともリアルで汚い人間の心を描いている。 :''悪徳商人ボエボエ''|かなり鬱イベントで救われない人の業を描いている。ある意味''本作のもうひとつの本編''である。&br()本作だけではなくテイルズオブシリーズ全体を通して見ても屈指の完成度と重厚なシナリオを誇るサブイベント。&br()まさに本作の鬱要素、プレイヤー(親)から受けるディオとメル(子ども)への影響、ヴァルハラ村を表現しているイベントである。&br()ちなみに、この「''ボエボエ''」という名前も''あくまでデフォルトの設定であり、実は変更が出来る。''&br()良くある「''名前を入力して下さい''」といったものではないナビゲーションメッセージが名前を入力する際に表示されるのだが、これがまた色々な意味で強烈に印象に残るものになっている。&br()しかも、''イベントの内容が内容なので余計に複雑な気分になれる''。 #region(ボエボエの名前設定時のナビゲーションメッセージ。ネタバレ(?)注意。) ''「あなたがおもう、いやな人のなまえは?」'' #endregion :''魔鏡''|こちらもネタバレ防止のため深くは記述はできないが、一部の本編キャラクターのストーリーが鬱すぎるとの意見が多々ある(チェスター、アーチェ、すずが特に言われている)。&br()ちなみに、このイベントの内のチェスターのものの中で出て来る誤字(にどど((漢字に直すと「二度ど」。言うまでもなく正しくは「にどと(二度と)」。)))はかなりの批判を浴びており、イベントの内容が内容だけにネタにして笑い飛ばす事も出来ないというのが追い打ちになっている。 #endregion ''哲学的な問い'' -第二部から登場するボスキャラクター、魔鏡イベントでのとある男女のテキストが非常に哲学的である。 --他のRPGでも哲学的な問いや発言は存在するのだが、本作の場合、問題は登場キャラクター達がそれに対して''明確な答えや見解、解釈を示さない''ため、必然的に''その問いに対する回答や解釈は完全にプレイヤー依存''となる。 ---しかもそれらの哲学的な質問は''いくら議論しても答えが出ないような難解なものばかり''で、多くのプレイヤーが悩まされた。 ---そこまでの難題を示すのならば、せめてなにか指針のようなものは欲しいという意見が出るのも無理はないが、この作品は全体を通して「答えは自分で考えろ」というスタイルである(『ファンタジア』本編もその傾向がある)。自分で考えることに意味があるのだ。 ---- **総評 ストーリーの重さで言えば恐らくはシリーズでも1、2を争うものであり、そういった意味でも異質な作品である。~ そのシナリオは深く練り込まれており、人のダークな面も含めた描写はもはや見事の一言で、『ファンタジア』本編の続編として見ても本編を見事に補完している傑作である。~ 前作のシナリオやキャラクターに深く触れず、新たに判明していく謎、前作で特に触れられなかった物語をメインにした外伝的なスタンスは前作のファンにもおおむね好意的に受けいれられたが、もちろんそうでない前作ファンもいるのは事実である。~ 全編を通じての「過去の罪」と「純粋な心」という関連性のなさそうな2つのテーマが上手くシナリオに噛み合っている。~ そしてリアルな人物描写故に考えさせられる所も多い。ヴァルハラ村やボエボエのイベント等、RPGの肝であるシナリオ・ストーリーに関しては、暗く重いものが受け付けないといったような事がなければ十分にプレイヤーを引き込めるものとなっている。~ ストーリーだけでなく独特な言い回しのナレーターや、親としてゲームに参加できるシステムなど他のテイルズオブシリーズにはない面白さも持ち合わせている。 それだけにハード性能の問題もあるとはいえ、テイルズオブシリーズでありながらターン制に近い戦闘システムになってしまっている事、そしてシビアすぎる戦闘バランス調整といった要素が惜しまれる。~ 本作を評価する上での定番となっているのが「''戦闘システムがリニアモーションバトルシステムだったら文句なしなのに''」といったようなもので、それ故に戦闘システムを改良したリメイクを望む声も多く出る事になった。 ---- **その後 ファンのリメイクを望む声に応えてか、2010年8月5日にPSP用ソフトとして『''[[テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョンX(クロス)>http://www23.atwiki.jp/ksgmatome/pages/1264.html]]''』が発売された。~ 戦闘システムは雑魚敵まで鋼体((対戦型格闘ゲームで言うアーマー(攻撃を受けても仰け反り動作にならず、アクションを継続出来る能力)のような特性。))がある点に関して賛否両論あるものの、おおむね高評価を得ている。~ だがそれ以外の点、例えばオリジナル版の高い評価を支える要素である深く練り込まれたシナリオ、容赦なく書き込まれたダークな面の描写などを必要以上に改変してしまっている点、また、新キャラクター・アルベルトの問題ある発言・キャラクター性といったストーリーやシナリオ、そしてキャラクターに関する不満意見が多い。~ さらに、オリジナル版での曲がすべて差し替えられているなどといった点も含め、良リメイクとは言えない結果となってしまった。 ---- **余談 本作のシナリオを手がけたライターの''新免G之進(しんめんじーのしん)''氏は本編クリア後に入れるスタッフルームにおいて「''この作品の主人公は、実は…○○○です。''」と、''ディオ達が本作における本当の意味での主人公ではない''としている。~ 実際に誰を主人公としているのかは敢えて伏せさせて頂くが、クリアした上でそれを聞くと確かに納得がいくものとなっている。~ また、同時に「''本作は『ファンタジア』の続編であるけれど、ここで描かれた物語はあくまで「可能性の一つ」でしかなく、本当の『ファンタジア』の続編はプレイヤーがそれぞれに思い描くものです。''」(意訳)とも発言している。~ 実際の内容も非常に優れているが、公式という立場でありながらプレイヤーの想像の余地を奪わず、また、プレイヤーの思い描く想像を否定しないスタンスを示したことは高く評価されている。~ 勿論、これで内容がお粗末であれば「ただの逃げでしかない」と批判されてしまうのは言うまでもなく、ライターの今作のシナリオへの強い自信が垣間見える。 ----
''Wiki統合に伴い、ページが[[カタログ>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/4258.html]]に移転しました。''

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