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*探偵神宮寺三郎 時の過ぎゆくままに・・・
【たんていじんぐうじさぶろう ときのすぎゆくままに】
|ジャンル|アドベンチャー|&image(jinguji4_3.gif,http://www23.atwiki.jp/ggmatome?cmd=upload&act=open&pageid=728&file=jinguji4_3.gif,width=160)|
|対応機種|ファミリーコンピュータ|~|
|発売・開発元|データイースト|~|
|発売日|1990年9月28日|~|
|定価|4,900円|~|
|備考|バーチャルコンソールは配信開始/500Wii|~|
**ストーリー
ある夏の日、新宿中央公園を散歩していた神宮寺の目に、一匹の犬の姿が留まった。~
そんな些細なきっかけから、1年前の事件の記憶が蘇える。~
そこに友人である熊野警部が通りかかり、神宮寺はなりゆきで当時の思い出話をする事になった。~
複雑な人間関係に彩られた、ある印象深い事件の物語である。
**概要
-コマンド選択式の探偵物アドベンチャーゲーム『神宮寺シリーズ』の第4作目。FCでリリースされた旧シリーズ最後の作品にあたる。
-2作目『横浜港連続殺人事件』同様、ROMで発売された。何故か旧神宮寺シリーズはFCディスクシステムとROMで交互に出た事になる。
-サブタイトルは、前作『危険な二人』と同様に、沢田研二のシングルレコードを意識して名づけられたもの。
-イラストレーター寺田克也がキャラクターデザイン、野島一成がシナリオを担当。
**特徴
-神宮寺と熊野が新宿中央公園で会っているシーンはカラーだが、実際に調査を行うゲームパートは回想中という設定であり、グラフィックはセピア調で統一されている。
|&image(jinguji4_2.gif,width=240)現在のシーンは色付き。|&image(jinguji4_1.gif,width=240)過去のシーンはセピア色。|
-プレイヤーキャラクターは、ストーリー進行に応じて神宮寺と洋子の2人を操作し、それぞれの視点で異なる2つの事件を追っていく。
-バックアップ機能はないが、パスワード方式で途中からゲームを開始できる。
--パスワードはゲーム終了時にいつでも聞けるが、再会位置は節ごとの頭から。その代わりパスワードは数字4文字と短い。
-今回は「タバコすう」コマンド以外に、初対面の相手に名刺を渡す事も重要。主人公の立ち居振る舞いはよりダンディに、より紳士的になった。
**評価点
-複雑だが印象的なストーリー。
--今回は殺人事件のようなショッキングな出来事が起こらないにも関わらず、微妙な人間関係と、登場人物一人一人の心情・心理を丁寧に描く事で、物語に奥行きを持たせている。
--事件の当事者は家族同士であり、それぞれ思うところがあって、犯人ではない人間が証言を偽る事も多い。そんな中で、一介の探偵にすぎない神宮寺がいかにして真相にたどり着くかという、探偵物語ならではの面白さがある。
-「現在の神宮寺が過去の事件を語る」という設定を使い、異なる視点の異なる出来事を違和感なく1つのシナリオにまとめている。
-前作同様、グラフィックの書き込みは背景・人物とも高水準。今回は色数が抑えられているものの、演出として効果的に働いている。
--人物の描き分けは前作よりもハッキリしてきて、誰が誰だか把握しやすくなった。リアル路線の絵柄を保ちつつ、という点がすごい。
-落ち着いたBGMも作品の雰囲気に合っていて、『神宮寺シリーズ』のブランドにファンが期待する品質を見事にクリアしている。
--物語のクライマックスでは、過去作『新宿中央公園殺人事件』のOPBGMのアレンジ版がかかる。緊迫したシーンにぴったりの良アレンジ+ファンサービスという粋なはからいである。
**問題点
-前述の通り、今回の事件では大組織が絡んだり人が殺されたりといったインパクトや判りやすさのない話であり、地味といえば地味。
-セーブがセクション単位なので、一度詰まってしまうと同じシーンを繰り返しプレイするはめになる。
--それほど難しいシーンは無いのが救い。
**総評
FCにおけるコマンド選択式ADVのゲームシステムは早い段階である程度完成しており、グラフィックやBGMがいいだけでは他となかなか差別化できない状況であった。~
本作は回想形式を用いる事で、ハードの制約の範囲内で大きく表現の幅を広げ、「いつもの神宮寺シリーズ+α」の個性付けに成功した。複数の視点を活用したザッピングシステムの原型のようなものも見られ、シナリオに上手く溶け込んでいる。~
事件に絡む複雑な人間関係を冷静に見つめる第三者、そんなハードボイルド作品の主人公としての神宮寺のアイデンティティを「タバコすう」コマンドに頼りきる事なく確立し、神宮寺旧シリーズの最終作に相応しい貫禄を見せ付けた。
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