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ベアルファレス - (2011/04/05 (火) 02:46:42) の最新版との変更点

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*ベアルファレス【べあるふぁれす】 |ジャンル|ARPG|| |対応機種|プレイステーション|~| |発売元|SCE|~| |開発元|Zealsoft|~| |発売日|2000年9月28日|~| |定価|6,090円(税込)|~| |備考|ゲームアーカイブス:2007年7月26日配信開始/600円|~| ---- *ストーリー 1000年近く続いた平和によって、王族や貴族、聖職者達は腐敗の一途を辿り、平民は搾取され虐げられていた時代。&br() 城壁と山脈で外界から閉ざされた通称「カルスの棺桶」と呼ばれる冒険者の町「カルス・バスティード」の地下遺跡には&br() 「アスラ・ファエル」と呼ばれる太陽帝国の黄金郷が存在し、そこには不老不死を得られる秘石「アザレの石」があるという。&br() ある者は武者修行のため、ある者は身を隠すため、ある者は一攫千金を求めて、ある者は「アザレの石」を求めて、&br() 集まった冒険者達を発端に後世の歴史家から「黄昏の時代」と呼ばれる動乱の時代に至るまでの戦いを描く。 *概要 -当時は無名開発メーカーが何の前触れもなく作った作品という印象で存在感が薄かった。ジャケットの表にキャラクターが描かれていない点もそれに拍車を掛けた感がある。 -殆ど宣伝もされなかったため当然知名度は低く、更に半年前の同年3月4日に「プレイステーション2」が発売されたせいか、売上はわずか1万程度に留まった。しかし良質なゲーム性と重厚な世界観を持ち、当時から購入した人達には密かに評価されていた。同じく初代プレイステーション世代末期の名作「[[高機動幻想ガンパレード・マーチ]]」と同時に発売され、本ジャンルの他に恋愛シミュレーション的な要素を併せ持つなど、作品の方向性は違えど何故か共通点が多い不思議な関係にある。 -キャラクターデザインはかつてファイアーエムブレムシリーズを担当した小屋勝義氏であり、世界観の演出に一役買っている。 *特徴 新たに「カルスの棺桶」にやってきた主人公と個性的な13人の仲間達で3人パーティを組み、戦闘中はLボタンで操作キャラを切り替えられる。 -この切り替えによって各自の得意武器や後述するトラップ・魔法を状況に応じて使い分ける事が出来る。 -騎士道精神溢れる正統派騎士のアーサー、その理想主義な姿勢をドライに拒絶する自称「面白そうだからここに来た」妖艶美女のイヴ、明るく家庭的で一見荒くれの集うこの町に似つかわしくないが実はイベントで一番メンタル面が強いサラ、天然気弱で敬虔な聖職者の男の娘というソッチ方面の属性が無駄に豊富なルカ、無愛想な冷血漢だが物理攻撃時石板で殴りつける時の「ヌゥン」がひそかに人気のディアス、など個性派揃い。 --仲間にならないサブキャラも魅力的なキャラが沢山。どこかで見た事あるような酒場の親父オイゲン、やはりどこかで見た事あるような学者先生クムラン、どこにでも居そうな小悪党の飲んだくれ生臭坊主カドモン様、「[[ヴァルキリープロファイル]]」で見た事あるような大剣を軽々と振り回す重戦士だが、中盤で先達として、戦士として、漢としての生き様を見せるカルス最強の戦士バルデス、「ダイの大冒険」で見た事あるような自身も凄腕の戦士だが武器の殺傷力をひたすら追求する鍛冶屋の名工ガイウスなど。…あれ、なんだろうこの既視感ラッシュ。 主人公はプレイヤーの意志を反映するためか、いわゆるドラクエ主人公型の無口キャラで、キャラクターメイキングが出来る。 -内容は性別、出身地、身分と使用武器、「カルスの棺桶」に来た目的の4つを決められる。性別は各キャラのイベントとエンディングに大きく影響し、基本的にエンディングを迎えるキャラと同性なら友情、異性なら恋愛という形になる。出身地・目的は初期パラメータと各キャラの初期相性、初期所持金に影響。イベントにも若干影響する。基本的に同身分・同目的の相手には好かれやすいが、一部の組み合わせは特定キャラに極端に嫌われたりする。身分は相性にも影響するが、なにより使用武器の種類が決定するためゲーム的には一番重要。 --武器は格闘ゲームのように攻撃判定の発生速度が違い、基本的に重い武器は遅い。また、振り回すタイプの武器は攻撃範囲が広い反面、正面への発生が遅くなるといったデメリットも内包する。これにより一部の敵と正面から殴りあうと速度差で潰される事も。 トラップカプセル・魔法具というアイテムにより、武器以外に戦術を工夫して戦う事が出来る。 -トラップカプセルは名前の通りトラップを仕掛けられる。使用回数などの制限は無いが設置数に上限あり。直接ダメージを与えるものは少ないが、使いこなせば戦闘を有利にしてくれる物ばかり。魔法具は名前の通り魔法が使えるようになる。こちらは攻撃・回復・補助魔法と、オーソドックスなものが揃う。 -使用出来る種類は各キャラ毎に固定。クムラン先生に有料で改造して貰う事によって種類が増える。特に主人公のトラップは隠しアイテム取得やステージクリアに必須だったりするため非常に重要。 時間の概念がある。それによって町の明るさも変わり、店や各キャラの活動時間が違っていたり、ダンジョンでの経過時間など戦闘中にも関わってくる。 -特定時間帯にのみ起こるキャラ毎のイベントがあったり、特定ミッションで時間制限を指定されたりする事がある。 テクニカルボーナス(TB)というシステムがある。 -敵を倒してから数秒間の間に別の敵を倒せば撃破数が連鎖する。すると入手出来るお金が4→8→16→32といった形に撃破数だけ倍プッシュされる。また特定連鎖数以上でのみ入手可能なレアアイテムなどが存在する。 *長所 とにかく細かい所まで作り込みが丁寧。 -歴史や舞台背景などの設定は「設定マニア」のスタッフが心血注いで纏めたんだなと感じさせる骨太さ。その全容は別売りガイドブックなどに掲載されているが、本編でもその一端をクムラン先生の家にある資料から垣間見る事が出来る。あくまで世界観の味付け、縁の下であり、読まなくても問題ない。 -アイテムは△ボタンを押すと全て解説がイラスト付きで表示される。またストーリーが進むにつれ記事が増える壁新聞なども毎回紙質が違うという芸の細かさ。ゲームはカルス・バスティード内のみの世界だが、ストーリーに沿って外界の情勢を刻々と伝えてくれるため世界観を広げてくれる。 -ドット絵はクオリティこそ特筆するほど芸術性がある訳ではないが、芸の細かさは天下一品。装備品はちゃんと武器グラフィックが変更され、イベントではキャラがぬるぬる動き、小芝居なども豊富。酒場で飲んだくれてるモブキャラのオッサンですら、話し掛けた方向へわざわざ首を向ける凝り様。 -イベントを一つ起こしたりクリアする度に各キャラに話しかけると個別の反応が返ってきたりする事も。他にも、早朝に訪ねると寝癖つけながら寝ぼけ眼をこすって渋々起きる朝の弱いジェシカ、夕方酒場の厨房に行くとオイゲンの手伝いにと甲斐甲斐しくパンを焼くサラ、憧れのクムラン先生に話しかけるとわざわざ主人公とは別に丁寧に挨拶をするノエルなど、各キャラの独自行動がいちいち楽しい。 このようにキャラクターへの愛着を持たせた上でテンポよく進むストーリー。 -当面の目標となる太陽の宝玉というアイテムを手に入れるまでに描かれる各キャラクター達の群像劇。その中で組みあがっていく人間関係。そしてパートナーとなったキャラクターとようやく太陽の宝玉を手に入れた直後に訪れる衝撃の転換期。それから狂い始める外の世界。明かされていく太陽帝国の秘密。そして訪れる黄昏の時代…。 肝心のゲーム性も正面に相対すると軸をずらす敵や引火させると簡単に無力化出来る敵など変化に富んでやり応えがある。 -裏を返せばキャラ交代・トラップ&魔法を駆使する事が「前提」のバランスなのでアクション苦手な人はゴリ押しが通用し難いという欠点にもなりうるが。 *問題点 -メニュー画面の各インターフェースでカーソル一番上から一番下にループしないなど、若干洗練されていない所がある。 -序盤初ミッション前に各キャラ結構な量の初期限定イベントが存在するが、酒場に行くと強制ミッション時間制限開始&伝言で酒場に来いと促されるので色々スルーしやすい。RPG上の物的な損は無いが、見ないと損。 --中盤以降も前述のようにストーリーのテンポが良いので、先々進めがちになってしまうとそういったイベントをすっぽかしやすい。ストーリーが秀逸な点の裏返しで痛し痒しと言った所。 -相手の攻撃を避けた隙に回り込んで攻撃する、が基本戦術。戦闘はリアルタイムで進行する上にその場での方向変換に×ボタンを使うなどアクション要素が大きいため、普通のRPGと同じような気構えでプレイすると序盤から苦戦する。また序盤のステージ構成もそれに拍車を掛けている。 --このゲームは「序盤のミッションが最難関」とも言われ、どれもこれも時間制限や特殊な達成条件によって初心者には一筋縄でいかないものばかり。これら序盤ミッションでベアルファレスでの戦い方を覚えろという開発チームの意図なのだろうが、その間はフリーミッションにも行けないのでアクション慣れしていない人にはレベル上げによるゴリ押しも出来ない。特に「青の羨道」は不慣れな人には鬼門。 ---一応その鬼門ミッションは任意参加のため拒否も出来るが…そうするとストーリー展開上、多数の仲間から冷たい奴だと嫌われてしまう。 ---中盤に差し掛かると勝利条件が気楽なステージも増えるが、難易度の高い壁ミッションは他にも幾つか存在する。 ---序盤の金欠っぷりも深刻。しかも前述のTBは装備やキャラ性能が低くてもなんとかなる上手い人ほど上手く繋げ、本来救済すべき苦手層ほど苦労するのでプレイヤー格差を拡大するシステムとなってしまっている。 -特定のステージで特定の条件を整えるとボタン連打ないし押しっぱなしで無限稼ぎが出来る場所がある。ただ、アクション苦手の人には救済措置的な働きもあるので、賛否が別れる所。 -作り込みの緻密さと各キャラ個別イベント発生条件のフラグ管理を考えると驚異的な不具合の無さではあるのだが、それでも少々バグが存在する。代表的なのは特定のイベント中に指定の場所へ行く前にクムラン先生の家に居るノエルを仲間にすると一部のイベントが発生しなくなる通称ノエルバグ。他にも特定のイベント終了後にゲーム画面全体が砂嵐のように乱れる映像不具合バグなど。 --アーカイブスでも修正はされていない。但しノエルバグはゲームそのものが進行不可能になるような致命的なものでは無く、映像バグも起こった時はびっくりするが、その後の自由行動で普通にセーブができロードしなおせば直るためさほど大きな問題ではない。また後者は個体によっては起こらず再現性が一定しない。 -武器の格差がやや大きい。特に性能だけで言えば逆剣を持った時の細剣一強。具体的には&bold(){発生が超早い上に2連撃}、その発生の早さでもって初撃の攻撃範囲が広く乱戦に強い、ノックバック方向が進行方向一定で乱戦中の敵を一纏めに出来る、連撃ダメージは細剣・逆剣の別々計算ではなく&bold(){双方の攻撃力合算×2回}、万能武器属性「雷」と相性最高、など長所だらけ。逆に軸合わせしないとかすりもしない槍や弓は難易度が高い。 -各キャラには個別イベントと個別エンディングが用意されているとはいえ、自分から積極的に他人に関わらないタイプのキャラ達はこちらから関わろうとしなければかなり空気。 --またこのタイプのキャラ達はエンディングに至るための必須イベントの条件が複雑な物が多く、事前情報無しに達成する事は非常に困難。 -ラスボスが強い。というより、ワープしまくるので反撃のチャンスが少なく、こちらの攻撃を当てる事自体が難しい。攻略法は無い事も無いが、上手く噛み合わなければ長期戦は必至。 -13人×主人公の性別=26ものエンディングがあるのは高評価だが、主人公の性別に関わらずエンディング内容がほぼ共通のキャラが数人居るのが惜しい。また、データの引継ぎなども無い。ただ周回プレイを意識してかストーリーは長すぎず短すぎずといった印象である程度カバーされている。 --意図的に嫌われ者プレイをしても、最終的には誰か(大抵は救済措置的な立ち位置のサラかアッシュ)とくっつく。そのため、独身エンディングという物は無い。 *総評 前述の通り、RPGは好きだがアクションは苦手という人には難しいゲーム性で、敷居が高い。&br() 世界観も万人受けするタイプではないが、構成要素となる部品を一つ一つ丁寧に磨き上げて組み上げた、&br() といわんばかりの小奇麗に纏まった完成度はハマる人にはどっぷりハマる。某所からの引用だが、&br() 「このゲームの売りは何?って聞かれると返答に困るが、どこが好き?って聞かれたら全部好きって言える、そんなゲーム」&br() 派手さは無いが、細かい所まで行き届いた随所の作り込みから作品への情熱を感じるこのゲームに相応しい評価だろう。 ----
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