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エースコンバット5 ジ・アンサング・ウォー - (2012/07/15 (日) 19:52:49) の編集履歴(バックアップ)


ACE COMBAT 5 THE UNSUNG WAR

【えーすこんばっとふぁいぶ じ・あんさんぐ・うぉー】

ジャンル フライトシューティング
対応機種 プレイステーション2
メディア DVD-ROM 1枚
発売・開発元 ナムコ
発売日 2004年10月21日
定価 6,800円
プレイ人数 1人
廉価版 PlayStation2 the Best
2005年7月7日/2,667円
エースコンバットシリーズリンク



歴史が大きく変わるとき、『ラーズグリーズ』はその姿を現す。
はじめには、漆黒の悪魔として。悪魔はその力をもって大地に死を降り注ぎ、やがて死ぬ。
しばしの眠りの後、ラーズグリーズは再び現れる…
――童話「姫君の青い鳩」より――



ストーリー

 15年前、戦争があった。
 かつての栄華を失い、諸大国の食い物にされようとしていた「ベルカ公国」は、その比類なき技術力を結集させ、世界に最後の反抗を挑んだのだ。
 だが、公国の指導者達は既に時代が変わったことに気が付けなかった。公国軍は北の山脈に追い詰められ、遂には自国内で核兵器を起爆する蛮行に至った。
 その惨状を目の当たりにした連合国、とりわけ冷戦状態にあった「オーシア」と「ユークトバニア」の2大国は、戦後に関係を回復し、共調して大規模な軍縮を初めていった。

 物語は、オーシア・ユークトバニア両国間に広がるセレス海の孤島、オーシア領サンド島から始まる。

 2010年9月23日、オーシア国防空軍第108戦術戦闘飛行隊、通称"サンド島分遣隊"に所属する飛行中隊は、沖合の飛行訓練空域にて国籍不明機の侵入に遭遇、交戦状態へと突入した。
 敵味方が入り乱れる空戦のなか、通信指令室は致命的なミスを犯した。その結果、中隊長のバートレット大尉、新米のナガセ少尉を除く8名の飛行士が散る。
 地理的に、不明機はユークトバニアのムルスカ空軍基地の所属機としか考えられない。だが友好国であるユークトバニアが、宣戦布告もなしに攻撃を仕掛けるのだろうか?
 人々の記憶から遠く離れたサンド島には高次警戒配備態勢と箝口令が敷かれ、飛行隊の取材に訪れていたカメラマンのジュネットは軟禁されることとなった。

 地上に帰った2人に若いパイロットを加え、急遽、臨時小隊が結成された。
 ジャック・バートレット大尉、ケイ・ナガセ少尉、アルヴィン・H・ダヴェンポート少尉、そして、主人公。
 その翌日、またしても沖合に国籍不明機が出現。交戦記録は依然として一切が伏せられたまま、小隊は緊急発進する。

 物語はカメラマン・ジュネットの取材と、ナガセ少尉の独白を通して描かれていく。


概要

ナムコの送るフライトシューティングゲームの金字塔、エースコンバットシリーズの5作目。
イメージカラーは前作『04』が青だったのに対し、今作は緑となっている。

前作は適度なリアリティと戦争の悲哀を散りばめたストーリー、豊富な無線やわかりやすいブリーフィング、
PS2初期作にしては高度なグラフィック、サウンドなどで高評価を得てシリーズの路線を固めた名作であった。
その後継作であるこの作品は前作の要素を発展させ、ボリュームを膨らませたことによってシリーズでも前作と双璧をなす名作となっている。


特徴(兼評価点)

  • プレイヤーはオーシア国サンド島分遣隊、通称「ウォードッグ隊」の1パイロット、TACネーム「ブレイズ」となり、突如としてオーシアに宣戦布告したユークトバニア連邦共和国へ挑んでいく。
  • ミッション形態や難易度選択などは評価の高かった前作とほぼ同じで、ブリーフィングの演出やインターフェースなどは更に強化されている。
  • ミッション数は全29章と前作の18章をかなり上回る。今作は分岐が3回、2つのミッションをこなすことになる最終章があり、実質倍近いボリュームがある。
  • ボリューム増大によりミッション内容の幅も更に多彩に。例としては「同時進行する複数の地上軍の侵攻を航空援護し合流させる」「テロによって毒ガスがばらまかれた街に中和剤を散布する」「レーダー網をかいくぐって敵の秘密施設を航空写真に収め、帰還する」など。
  • 物語の終盤になると空母から艦載機で出撃するミッションが何回か存在する。この際には通常乗っている戦闘機では無く、空母から発進する艦載機を使用することになる。

システム

  • 最大の特徴はプレイヤーが早いうちに部隊の隊長になるため、僚機に「攻撃」「援護」「分散」といった指示を出すことが可能になったこと。
    これにより分散行動をして広い戦場を効率的に制圧したり、密集する敵軍団の前に部隊を団結させて立ち向かったりと戦術の幅が上昇した。
    • その分前作よりも任務自体の難易度は上昇している。ミッション中に補給に戻ることができなくなったので弾薬の管理が重要になった。
    • 更に大抵の任務ではプレイヤーの撃墜やミッションクリア条件を達成せずに時間切れになる以外に「特定のターゲットに戦線離脱される」「護衛対象を撃破される」「敵のレーダーにひっかかる」などプレイヤーが無事でも安心できないゲームオーバー条件が存在している。僚機や兵装の使い方次第でこれらの要素は楽にも難しくもなる。
  • 特殊兵装の種類が増加。また、攻撃機の機銃は対地攻撃が行いやすい「下向き機銃」となっており、主兵装の節約がしやすくなっている。

グラフィック

  • グラフィックの質は前作よりさらに上昇し、人物や建物の描写がかなり綺麗になった。空も夜景や降雪、高空域での雲海などの描写がより美しく、見やすくなった。

サウンド

  • BGM方面もシリーズでも1,2を争うボリュームとクオリティを誇っており、曲を聴くためだけにゲームを買っても損はない。
    • オーケストラとコーラスをふんだんに用いてラストバトルを盛り立てる「The Unsung War」やプレイヤーの隊長としての初陣を華々しく飾る「First Flight」、
      霧の中の奇襲戦という切迫した場面と上手く溶け込んだ「Rendezvous」など名曲は枚挙にいとまがない。
    • 本作のEDである「The Journey Home」だがEDに使われるものの他に、別の歌手による独唱版、合唱版がゲーム中で使われている。
      そして、合唱版が使われるのは下で挙げられている、Mission17である。
    • テーマ曲としてボーカルバンドPuddle of Muddの「Blurry」が使われている。
    • 本作のEDは上に挙げられている「The Journey Home」と本作のテーマ曲「Blurry」の2曲が使われている。

シナリオ

  • シナリオがかなり熱い。超熱血警官が爆走する「Mission11B 代償の街」や、海軍軍人の男意気がほとばしる「Mission26 混迷の海」などが白眉。
    また「Mission17 JOURNEY HOME」は本作屈指の名ステージであり、是非前情報無しでのプレイをお勧めする。
  • また前作で好評を得た無線システムも増強。僚機や管制機が皆個性的な性格をしているため会話が飽きない。
    • モノローグで平和への想いや子供の頃の思い出を語るなど一見してセンチメンタルな性格だが、敵の捜索隊員を拳銃一本で捕虜にするなど勇ましい面も持つナガセや、ふざけ半分でユーモアのある会話をするチョッパーと、それを嗜める生真面目な管制機サンダーヘッドなどのキャラクターはシリーズでも人気が高い。
    • 敵味方の兵隊だけでなく、ミッションによってはテロに立ち向かう警官や戦時下でせわしなく働く看護師、スタジアムの観客を避難させる警備員といった戦争に巻き込まれる民間人の通信も聞くことができ、臨場感を高めている。
    • ただ話を一方的に聞くだけではなく、問いかけられた時には左右のキーでイエスノーの返事を返すこともでき、会話に入っていくシーンもある。これによって分岐するステージもある。
  • 無線を含めたゲーム中の音声は、前作が英語のみだったのに対し本作では日本語・英語で切り替えが可能。日本語音声で出演している声優陣は有名どころを揃えており大変豪華。
  • ボイス量も極めて豊富で、全種類の特殊兵装にちゃんと攻撃時の台詞が用意されている。
  • 各機体ごとに各キャラの撃墜履歴が用意されており、誰が多く撃墜しているか、どの機体を多く使わせたかまで知ることが出来る。
  • 恒例の超兵器の出番も多く、顔見せと実際の戦闘がきっちり分かれており、その威力をプレイヤーが認知した上で戦うという展開が徹底している。そのため存在感は抜群。
  • キャンペーンモードとは別に「ACE COMBAT OPERATION KATINA」という、よりテクニック性に特化したアーケードモードもあり、こちらもスコア稼ぎなどが熱い。
    • ちなみにアーケードモードの主人公は前作主人公のメビウス1。管制機スカイアイも登場する。
  • 登場航空機数もシリーズ中最多で、本作でしか見れない航空機もチラホラいる。
    • 隠し機体として、『2』にて真のラスボスとしてプレイヤーの前に立ちはだかった「ADF-01」が「ファルケン」の名義で登場する。オリジナルと『3 エレクトロスフィア』の設定を盛り込んだ閉鎖型コクピットと、強力無比なレーザーキャノンとそれに関する可変機構が備えられたサプライズつき。
  • クリア後の隠し要素も多く、遊ぼうと思えばかなり長く遊べる。

問題点・賛否両論点

  • リアル路線で戦争の物悲しさを描いた前作のストーリーに対し、今作のストーリーはハリウッド映画的な勧善懲悪もの。そのため細かい所で無茶な状況・展開がある。
+ ネタバレ注意
  • 友軍艦隊合流後はとんとん拍子に話が進む点が特に指摘される。ゲームの都合(主にミッション数)も関係している気がしなくもないが。
  • 落ちてくる巨大戦闘衛星を撃ち落す最終ミッション。何故か主人公の部隊しか出撃しない。ヒロイックな演出としては良いのだが、よくよく考えると不自然。一つ前のミッションではあんなに味方が居たのに…。
  • AWACS「サンダーヘッド」が中盤にはフェードアウト。最終ステージではかわって「オーカ・ニエーバ」が登場する。これはロシア語で「空の目」を意味しており、前作のAWACSである「スカイアイ」を意識したネーミングなのだが、プレイヤーはここまで数多くのミッションでサンダーヘッドに慣れ親しんでいたために「コレジャナイ感」が漂う(この為か「トンネルの向こう側でハートブレークワンの支援をしていた」という脳内補完をする風潮が多くのプレイヤーに見られた模様)。
    • ただしオーカ・ニエーバについては、印象的な登場シーン、堅苦しいサンダーヘッドとは対照的に、ウィットを交えつつ落ち着きのある管制をするなど、少ない出番ながら好感の持てる描写がされている。サンダーヘッドの人気の功罪だろう。
  • システム回り
    • 前作で時々起こる「NPCが直前で獲物をかっさらっていく」ハプニングを抑えるためか、本作では僚機の攻撃頻度は低めに設定されており、攻撃面ではあまり活躍しない。
      • 本作では大抵3機の僚機と共に飛ぶため、攻撃頻度を軽々しく上げるとなおさらプレイヤーが倒せる敵が減ってしまう。本作の僚機はむしろ、プレイヤー機の後方で敵を分散させる弾除け役という形で貢献しているため、一概に問題点と決めつけることはできない(いるといないとでは特に高難易度で結構な差が出てくる)。
      • 続編『ZERO』では僚機の数が1機に減らされたことで強化され、より頼れるようになった。
    • 特殊兵装の選択ができない。さすがに不評だったらしく次回作で復活した。
      • キルレートによる機体の増加が同一系統での特殊兵装のバリエーション増加を兼ねているが、グレードアップすると性能も上がるため上位機体しか使われなくなる。例外として、F-16やトーネードはキルレートにより同レベルの性能の機体が3種類同時に増えるため選択の余地がある。
      • 逆にグレードアップにより特殊兵装が弱体化(今作で大幅にパワーダウンしたQAAMなど)する場合もあるので、キルレートをためる必要性が薄い機体もある。
    • 確かにミッションは多いが、中には敵から只逃げるだけだったり敵基地の写真を撮って後は逃げるだけだったり、人によってはストレスが溜まるかもしれないミッションも。
    • キャンペーン後半は艦載機限定ミッションが存在すると前述したが、艦載機は対地範囲攻撃ができない特殊兵装を積んだ機体が多いため、ミサイルによる対地攻撃に慣れていないとつらい局面が出てくる(唯一UGBLを搭載しているA-6は機動性が悪く、対空攻撃に向かない)。
    • アーケードモードが英語オンリー(英語オンリーの『04』の後日譚という設定の為、あえて同様の仕様にしたものと思われる)。
    • 対戦モードが無い。こちらも『ZERO』で復活。
    • シリーズ他作品と比べてR1、L1ボタンの入力感度が悪い。かなりギチギチに押し込まないとアフターバーナーに点火できない事も。
  • 細かな不具合が多い
    • ミッションクリア後に敵が攻撃を加えてくる、敵が地面にめりこんで狙えない、といった困ったものから、終盤の高難度ミッションを楽に攻略できる裏技といった利用価値のあるものまで揃っている。架空機2機のSPカラーが進め方次第で入手出来なくなるものはとくに有名。
  • グラフィックがよくなったが故の弊害
    • 前作と比べ大幅にグラフィックが上昇したが総じて敵味方の総数が減ってしまった。ステージ全体を見ると決して少なすぎるということではないのだが、味方は基本的に僚機のみであり、上陸戦で地上部隊と航空機は主人公部隊だけで作戦を行うという通常ならありえない作戦が多い。仮に味方NPCがいたとしてもほとんどがイベント機なので印象が薄く活躍もしない。
    • あくまで戦場という雰囲気が感じられるかどうか程度の個人の感覚なので気にしない人もいるが、前作は味方NPCが敵機を撃墜したりある程度行動してくれ、主人公の行動及び戦況に合わせて通信をしてくれていたので戦場の雰囲気という点では若干劣ってしまっている。

総評

問題点もそこそこある本作だが、前作と並んでファンからの評価が高い名作・良作となっている。