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天下統一II - (2012/10/31 (水) 19:08:47) の編集履歴(バックアップ)


天下統一II

【てんかとういつつー】

ジャンル SLG
対応機種 PC-9801VM/UV以降、メガドライブ、プレイステーション
発売・開発元 【PC98】システムソフト
発売元 【MD】アスミック
【PS】アンバランス
発売日 1991年7月
定価 9,800円

写真はWindows用相克の果てバリューパック

概要

前作の領国拡大を中心としたコンセプトを踏襲しつつ、システムをさらに発達させた続編。前作に比べ、多くの新システムが導入されている。また、ボリュームも大幅アップ。

特徴と『I』からの変更点

  • スタートが1546年からとなった。
  • ボリュームが増加。
    • 城数が250から400以上へ。武将数も800から1000へ。また『I』でなかった蝦夷、安房、伊豆、飛騨、伊賀、和泉、伯耆、淡路が新たに加わった。
  • 大名に関して
    • スタート時点での一国一大名制度を廃止。このため一国に複数の大名がいたり、すでに複数の領国を持つ大名がいる。
    • 大名のランク付けが増えた。『I』では豪族、小大名、戦国大名だけだったが、これが国人、豪族、小大名、戦国大名、覇者、天下人と大幅に増えた。ランクは実行できるコマンド数、コストに影響する。
    • 大名に従属という関係ができた。これはシステム的には同盟の一種。だが従属させた大名に対し援軍を要請する事ができる。さらに臣従というコマンドで、従属した大名をただの家臣にしてしまう事ができる。『I』では大名を家臣にする事ができず、生き残るか滅びるしかなかった。
  • 武将に関して
    • 武将や城の名前が変わる。例えば上杉謙信は、元々長尾影虎と名乗っていた。それがある時期が来ると名前が変わるのだ。これは城も同じ。ちなみに歴史的な事象は全く関係なしで、単に時期だけで変わる。
    • 武将の基本パラメータが軍事、知謀、政治の三種類からなるようになった。『I』の内政が知謀と政治に分かれた格好だ。知謀は謀略等に政治は内政外交等に影響する。
    • 寿命が史実に近いものになった。前作では武将別に寿命が設定されておらず、同じような年齢で死ぬ。それを、各武将別に設定されるようになった。
    • 武将のパラメータが変動する。年齢によって基本パラメーターが増減する。要は年齢による成長と衰えを表したもの。30代~40代前半くらいまでをピークに、山なりの変化をする。
    • 軍団制の採用。『I』では1ユニット1武将だったが、本作では軍団制により、1ユニット最大四武将で構成される。
    • 武将隠居と追放。『I』では配下の武将をシステム上減らす事ができなかった。これを可能にした。
    • 寿命が来ると後継武将が出て、そのまま兵を引き継ぐ事がある。『I』ではこの後継武将がランダムで選び出された武将の能力をそのまま受けるため、史実にない名将が現れる事があった。本作では、それを若干能力が低く抑えるようになった。
  • 各国に兵質という属性が加わった。これは徴兵する兵の強さを表しており、士気(『I』での編成係数)に影響する。このため徴兵に際し、単に石高だけではなくこの兵質も気に留める事が重要。
  • 兵農分離システムが加わった。当時の兵はもっぱら農民なので、農繁期になると動員がままならず戦ができなかった。本作でも農繁期の春、夏はまともに戦ができない(武将の兵力×兵農分離率が春・夏の兵力、但し防衛時は兵農分離率は適用除外)。これを職業軍人を作り出す事で、いつでも戦ができるようにするシステム。兵農分離率が高いと行軍で疲労度が増えにくく農繁期での動員率が上がる、ただし維持費がかかるようになり最大保有兵力も減る。またこの逆で郷士制度というものがある。こちらは職業軍人を減らすシステム。さらに農繁期に無理やり戦をする総動員というコマンドもある。これを実行した場合、収穫が下がり、さらに住民感情まで下がる。
    • 農繁期は戦がやりにくとなってるが、実は農繁期でも結構戦は行われていた。典型的な例は桶狭間の合戦だろう。
  • 内政に鉱山開発が加わった。
  • 外交要素の強化
    • 他の大名に関係改善のための使者を送り出す事ができる。『I』と違い、大名間の関係が表示されるようになった。これは同盟等外交に影響する。当然関係が芳しくない大名とは同盟などむずべない。そこで使者を送って、改善するのだ。
    • 朝廷に働きかけ、官位を貰い威信を上げる事ができる。威信が上がると同盟などがやりやすくはなる。
  • 隣国工作が可能に。隣接した国の住民感情を下げる事ができる。場合よっては、一揆を誘発させる事も。
  • 城の属性の増加
    • 城の強さに地形レベルという要素が加わった。これは地の利の考えを反映したもの。例えば山城なら、山にある時点でかなりの防御効果を持つので、城そのもの強度に上乗せされる。一方平城の場合は、地の利はほとんど期待できないので、城の強さは城そのものの強度のみとなる。
    • 城の防備に兵糧という要素が加わった。籠城する兵士達を支え、籠城した兵が多いほど消費される兵糧も多くなる。
  • 戦に関して
    • 道の属性に疲労度がついた。これは道の広さで示されており、広い道では疲労度が低く、狭い道では疲労度が高い。この疲労度は士気(『I』での編成係数)に影響する。例えば、狭い経路から攻めかかると、士気が極端に落ちあっさり敗北という場合もある。また長距離を移動した場合も疲労度が蓄積し士気が落ちる。こちらは兵農分離率が高ければ疲労度の上昇を抑えられる。
    • 城への工作の内容が増えた。『I』では城の耐久度を下げるだけだったが、さらに兵糧の減少、駐留している軍の士気を下げる工作が加わった。この士気を下げる工作のため、寡兵で大群を破るような事が、できるようになった。
    • 戦のフィールドが広がった。『I』では5×6だったものが6×8へ。さらに勝利条件が敵のいずれかの部隊の撃破だったものが、敵陣への到達に変わった。
    • 『I』では正面の敵しか攻撃できなかったが、攻撃(『I』での長槍)のみ、斜め前の敵に攻撃できた。

難点

  • コンピュータが弱くなった。ある意味本作の最大の欠点。『I』ではあれほど強かったコンピュータが、システムの複雑化にともない弱体化した。規模が小さい内は活発なのだが、中規模程度の大名になると、コンピューター側の動きが鈍くなる。このため、序盤こそ厳しい大名はいくつもいるが、やはり難関を越えてしまうと消化試合となってしまう。
    • この理由の一つが、『I』であったコンピューター側のチート要素をなくしたため。
  • 一部、移動により疲労の設定ミスがある。
    • 兵農分離が出来ない薩摩と土佐の大名は、疲労度の関係上蝦夷へ攻め込めなくなっている。

総評

『I』のコンセプトである領国拡大を、さらに進化させた続編。シンプルだった戦に多様な要素が加わる事により、攻めの幅が広がった。本シリーズの特徴である、士気の要素をさらに発達させた事により、攻める経路を考える必要が出たり、謀略により寡兵で敵を打ち破れるようになったりと、工夫する楽しさがある。
また、二つしかなかった武将の能力も三つに分けることにより、より史実に近い性格が出るようになった点も、武将を動かす楽しさを増した。
だが一方で、惜しむらくはコンピューターの思考が弱くなった点だろう。これはパワーアップキットや、Win版が出てても大して改善されなかった。
本作のWin版は天下統一シリーズの定番となり、未だに根強い人気がある。

その他

  • 本作はその後、システムの改良、追加シナリオ版のパワーアップキット。Win版の乱世の覇者、Win改良版の相克の果てなどの展開があった。特にシナリオが追加できるようになった点は、その後のインターネット上での、ファンによる独自シナリオの展開を生み出した。