「スーパーロボット大戦Scramble Commander the 2nd」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る
スーパーロボット大戦Scramble Commander the 2nd
【すーぱーろぼっとたいせん すくらんぶるこまんだー ざ せかんど】
ジャンル
|
リアルタイムシミュレーションRPG
|
|
対応機種
|
プレイステーション2
|
発売元
|
バンプレスト
|
開発元
|
エヌケーシステム
|
発売日
|
2007年11月5日
|
定価
|
7,329円(税込)
|
スーパーロボット大戦シリーズリンク
|
概要
スクコマシリーズの2作目。前作とのストーリーの繋がりはない。
前作は新機軸のスパロボとして発売されシナリオや画質など良点もあったのだが、日本では馴染みのない「リアルタイムストラテジー(RTS)」というジャンルである事、既存のスパロボとは全く違うシステムゆえ良い評価はされなかった。
しかし今作はそういった前作の不満点を大幅改良し、隠れた名作として生まれ変わった。
+
|
参戦作品一覧
|
★マークは新規参戦作品。
-
マジンガーZ
-
グレートマジンガー
-
ゲッターロボG
-
機動戦士Zガンダム
-
機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
-
★機動戦士ガンダムSEED DESTINY
-
聖戦士ダンバイン
-
超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか
-
★マクロス ゼロ
-
超電磁ロボ コン・バトラーV
-
勇者ライディーン
-
ラーゼフォン
-
超獣機神ダンクーガ
-
★神魂合体ゴーダンナー!!
-
バンプレストオリジナル
|
評価点
-
リアルタイムの臨場感
-
原作設定に近い等身で描かれた最大8体ものロボットたちがリアルタイムで走り、飛び、敵ロボット軍団や巨大な空中戦艦に挑む様はまさに『スーパーロボット大戦』。
サイズが数段階で統一された2Dスパロボや、自キャラの操作で忙しい「Another Century's Episode」シリーズでは味わえない臨場感である。
-
前作から大幅改良されたシステム
-
全体的に、前作からより従来のスパロボシリーズのシステムに近づくような調整がなされている。
-
インターフェイスが改良され画面が見やすく、コマンド入力も快適になった。
-
高低差の概念、海中、空、宇宙マップ
-
地上戦主体だった前作からマップのバリエーションが大幅に増し、より戦略的な戦闘が可能となった。
-
飛行・変形合体
-
同じく前作は地上戦が主体で、本来は変形可能な機体も地上を歩いて移動する形しか取れなかったが、今作では可変機の変形移動が可能となった。
-
機体への指示の細分化、精神コマンドの導入
-
前作ではコマンドの支持は大まかなもので、味方は支持された戦略どおりAIによって独自に技を選択していた。そのあいだプレイヤーは機体の戦闘を指揮官として見守って、適宜作戦を変更していく形であった。
-
今作では使用する武器などの細かい指定が可能となり、スパロボシリーズ恒例ともいえる「精神コマンド」を導入し、様々な特殊効果をつけることが可能になった。
-
上記のシステムの追加により、若干前作と比べ操作が複雑になったものの、戦闘・戦略のバリエーションも一気に増えた。
-
特にこれらの恩恵を受けているのがゲッターロボとバルキリーである。双方とも原作アニメさながらの3形態の使い分けを実現している。
-
撤退及び最大出撃数より1少ない状態でなら増援というコマンドが使用可能になる。
-
文字通り、撤退は現在出撃してるユニットを引っ込め、増援は非出撃ユニットを戦場に送る。それらを活用することにより、どんなユニットにでも活躍の可能性を帯びている。
-
また初心者救済として、ユニットを1機だけアクションゲームのように直接操作することが可能になった。操作のオンオフ、ユニットの切り替えは何時でも可能。
-
但しあくまでRTSなので本格的なアクションゲームのようなスピード感を期待してはいけない。
-
細かい操作が可能なため、前作でストレスの溜まる要素となっていた強化パーツ回収がやりやすいという隠れたメリットもある。
-
ロボットのモーションも作りこまれている。
-
例えばロケットパンチを放った後に原作と同様のポーズをとる(逆に言えば隙だらけなのだが)。
-
必殺技では、該当作品の版権BGMが流れ、TBSスパロボ宛らの迫力の演出で攻撃を行う。
-
ゲッターロボやゴーダンナーなどの合体・変形はムービーとして独立していて、再現度はかなりのもの。
-
独特のシナリオ
-
良質のクロスオーバーを始め、主人公のケイジを取り巻く環境、ラスボスの異質さなど、シリーズの中でも類を見ない。
-
一例
+
|
ネタバレ注意
|
-
スーパーロボットを制限する法とそれを悪用する軍需産業、戦火に巻き込まれた民間人死者へ哀悼の意を示す描写の多さ、各作品のスーパーロボット科学者が協同で調査し世界の成り立ちを調べ上げるなど、全体的に異質な展開。
-
『マクロスゼロ』は原作終了後2年が経過という設定。シンが救出されフォッカーと再会を果たすという展開で加入し、スカル小隊の先輩として振る舞う。マオはサラの後を継いで巫女になり、『ダンバイン』のジャコバ・アオンの声を聞くなど霊感的なものが強くなっている。鳥の人は本作の世界観において重要な役目を持ち、それ故にラスボスやネオ・ジオンに利用されるが、ヒロインのサラを仲間達が救い出し、原作よりも救いのあるEDを迎える。
-
『ガンダムW』や『ゴーダンナー』は前大戦の英雄として自軍を引っ張る。特に張五飛は藤村静流に正義の考えを語るというシーンを始めとして、EDではプリベンターに所属したガンダムSEEDデスティニーのシン達の上官になって面倒を見るといった具合に、従来の「ごひ」とは異なる格好良い言動が多くなっている。
-
主人公のケイジ・タチバナは、士官学校で記録的な成績を残しているが、天才タイプではなく努力型の人間。新兵・孤児などといった個性から様々なキャラとの絡みがある。彼の乗機である羽々斬は搭乗者に過大な負担を強いる代物で、ケイジも徐々に蝕まれた結果、搭乗していれば辛うじて死なないという共生関係になってしまう。
|
-
フルポリゴン・リアル等身ならではのイベントシーン
-
従来のスパロボと異なり、イベントシーンはフルポリゴンのデモで表現される。
-
6メートルのダンバインが助太刀に入ってきた57メートルのコン・バトラーVを見上げる、非常に再現度の高い「ブルーフレンド」のイベントなど、見どころは多い。マップ前後の会話シーンの背景もロボットが降着状態で並ぶ風景など多種多様。
-
アビスガンダムが倍以上の大きさであるゲッターポセイドンと戦う羽目になったり、ハイパー化した事でスーパーロボット以上に大きくなったオーラバトラーなど巨大さを利用した演出が多い。
-
フリーバトルモード
-
本編とは別に敵味方ほぼ全てのユニットを使用可能なフリーバトルモードが用意されている。機械獣とマジンガーの共闘も可能。
-
フリーバトルで稼いだ資金や経験値は本編にも反映される。ストーリーモードより実りは少ないが、利用すれば有利に戦闘を行える。本作は全滅プレイができないため、その代わりの措置になっている。
-
難易度を4段階で調節できるため、RTSに慣れていないプレイヤーも、慣れているプレイヤーもとっつきやすい。
-
BGMの選曲やアレンジが独特で高評価を得ている。
-
特にダンクーガBGM「愛は奇跡(ミラクル)」は原曲が分からないレベル。
-
オリジナル主人公の専用BGMも評価が高い。
問題点
-
終盤の巨大ユニット戦で同士討ちに陥りやすい
-
戦艦などの巨大ユニットは砲台や心臓部への部位破壊でダメージを与える形式になっているが、標的が小さく、通常ユニットと違って攻撃できる方向が限られるため、味方ユニットが標的の前で押しくら饅頭になることがある。
本作では味方に対してもダメージ判定が発生するため、強敵の前に密集した味方ユニットが近接武器で周囲の味方を巻き添えにして同士討ち状態に陥ってしまう。近接戦をメインとするユニットは特に顕著。
-
前作は地上戦オンリーだった反動か、陸戦ユニットが冷遇気味
-
陸戦ユニットは移動が遅く障害物の影響を受ける、飛んでいる敵が多い本作では攻撃しづらい、空中移動ができるユニットのみ出撃可のステージが多くシナリオによってはステージが全て空戦というシナリオもある。
-
マニュアル操作でのロックオンが不便
-
マニュアル操作で攻撃するにはまずロックオンしなければならないのだが、そのロックオンが他のユニットに指示をするための停止中には出来ず、攻撃したい敵にロックオンできず思わぬ被害を被ることがある。
-
大事なことなので何度も言うが、本作はRTSであり、マニュアル操作はあくまでオマケ要素に等しいということを忘れてはいけない。
-
ジャンルの都合上仕方ないが、動きがややもっさりしている
-
ロボゲーはスピード感を売りにした3Dアクションゲームが多いので、
RTSであるにもかかわらず
どうしても比較されてしまう。
-
RTSとスパロボ(キャラゲー)的演出の不和
-
通常の据え置きスパロボだと一戦闘ごとにキャラの音声を聞けるのだが、RTSでは「一戦闘」という区切りが無いため、キャラの音声を聞く機会が比較的少ない。
-
敵発見、敵撃破、瀕死、必殺技などの限定的な状況でしか喋らない。
-
限定状況以外でもたまに掛け声を発する。マニュアルモードならばかなりの頻度で掛け声を発してくれる。
-
特定のユニット同士が戦闘すると会話イベントが発生する。その際数秒のロードと共にゲームが止まるので、操作が中断されてテンポが悪くなる。
-
ターン制のスパロボだと気にならないが、リアルタイムだと会話ストップ→数秒操作→会話ストップ→一瞬操作→会話ストップなどとウザったいことになる。
-
リアルタイムなのでいつ発生するかの予測もしづらい。特に部隊を二つ以上に分けて運用してる時は。
-
その会話イベントもテキストのみでボイス無し。ポリゴンデモが入るような規模でもボイスは無い。
-
インターミッションが不親切
-
インターミッションは強化するだけの場所で、武器の詳細なデータを見ることができない。
-
パイロットの養成では技能の追加や能力の上昇が行えるが、所持精神コマンドを見ることができない。本作ではインターミッションで精神ポイントを50上げることにより覚えることができるが、どんなコマンドを覚えたのかをその場で確認することができない。そのため上記も含めて、戦闘開始前のユニット選択か戦闘中に見るしかない(なお必要気力に関しては戦闘中でしかわからない)。
-
本体の処理限界のためか最大出撃数が少ない
-
多いステージで8機。その措置として撤退と増援があり、1シナリオに最大3ステージ(1機のみ出撃ということもあるが)あるため満遍なく改造しておいて損をすることはない。
-
気になるかは人によるが、やや処理落ちがおきる事もある。特に敵の増援とイベントが重なったときはフリーズしたかと疑ってしまうくらい読み込みが発生する。
-
文字のフォント
-
「ユ」が「コ」に見えるデザインであったりとフォントが微妙におかしい。おかげでオリジナルキャラクターの「シュウイチロウ・ユキムラ」は「コキムラ」と呼ばれる羽目に。また、漢字がありえない字に見えるほか、「う」と「ラ」も見分けがつきづらく、「うううう…」とうめき声を上げるシーンが「ララララ…」と読めてしまう。はだしのゲンか。
-
シナリオモードと戦闘の時間的なバランスの悪さ
-
膨大なテキストとリアルタイムバトルで構成されているため、シナリオを30分読んで肝心の戦闘は5分もかからないという場合が多々ある。
-
BGM
-
高評価な選曲やアレンジがある一方で、独特すぎて批判を受ける物も幾つかある。
-
版権BGMに対してオリジナルBGMはあまり評判が良くない。
総評
前作のシステムをしっかりと洗練させ完成度を前作から非常に高めた。
しかし当時既に前作の発売から4年経過しており、前作の評価を覆すにはあまりに遅すぎる発売だったと言わざるを得ない。
前作から歳月が経過していても、まだまだ日本では馴染みが薄いRTSというジャンルに加え、同じ2007年にACE3が発売され、ジャンルが異なるにも関わらず比較対象にされてしまったことも不幸だったと言えよう。
現在では1,000円以下で、店に依ってはワンコインで入手可能なので、入手困難になる前に是非手にとって頂きたい。