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シムシティ - (2012/11/01 (木) 01:49:44) の編集履歴(バックアップ)


SimCity

【しむしてぃ】

ジャンル SLG
対応機種 Macintosh、Amiga、IBM PC、Commodore 64、Atari ST、
PC-9800VM/UV以降、FM TOWNS、X68000、Windows 3.1、
ゲームボーイアドバンス他
開発元 MAXIS
発売元【北米PC版】 MAXIS、Brøderbund他
日本発売元 【PC98/X68】イマジニア
【TOWNS】富士通
発売日 【北米PC版】1989年
定価 【PC98】9,800円
シムシティシリーズリンク

概要

  • 所謂、箱庭ゲームを確立した作品。箱庭要素のあるゲームはすでに「A列車でいこう」シリーズなどがあったが、一つのSLG形態として認識されるようになったのは本作から。
  • プレイヤーは市長となり、様々な問題を解決しながら都市の発展を目指す。実際の行政よりも簡略化されているため、システムは非常にシンプル。

特徴

 トップビューのSLG。税収で得られる予算内で様々な建築物を建造しながら都市を発展させる。建築できる建造物は11種類で、これらを都市問題がなるべく発生しないように配置していく。一部経費を設定する部分もあるが、もっぱらこの都市造りが本作の中心。

  • ある程度しっかりとした街づくりができると、都市は勝手に発達していく。小さな一戸建てばかりの住宅地や平屋の郊外店だけだった商業地が、やがて見栄えのするビル街へと変貌していく。その様子を眺めるのも本作の醍醐味の一つ。
  • ゲームは一年を単位に区切りがつき、町の収支(設定した税率による税収と特別収入、警察署や消防署、交通網の維持費など)が提示され、税率や各機関への経費を決定し次の年を迎える。ただし、無計画な都市計画により、資金が尽きてしまった場合はゲームオーバーになる。
  • プレイ形態は二種類。何もない荒野に町を作り上げるモードと、様々な問題を抱えた町を問題解決しながら発達させるシナリオモードの二つがある。シナリオは全部で8つある。
  • 建造物一覧
    • 発電所
      • 町のインフラの基本。これがなくては始まらない。火力発電所と原子力発電所を選べ、前者はコストが安い代わりに出力が低く、公害も発生させる。後者は公害を全く発生させず出力も高いが、極々まれにメルトダウンする事がある。メルトダウンを起こすと広範囲に放射能をまき散らし、汚染された地域には建物を建てられない。しかもその影響はまず消えない。
      • 電力は発電所から建物に電線を引くことで供給できる(隣接する建物には自動的に供給される)。発電所の種類によって、電力の供給可能な限界が違う。
    • 住宅地、商業地、工場地
      • 市民が住む場所や働く場所である。ただし直接建造物を作るのではなく、建造予定地を作る。予定地にはやがて勝手に人が集まり、建物が建って発達していく。この発達具合に影響を与えるのが地価。地価が高いほど発達が早い。ただし工場だけは地価の影響を受けない。
    • 道路と鉄道
      • 住民の移動手段。道路の方が建設及び維持にかかるコストが安いが、公害や渋滞を発生させる。鉄道はコストが道路の数倍にも膨れ上がる代わりに悪影響を与えない。そのため引き方を考える必要がある。
    • 警察署、消防署
      • 警察署は周囲の治安の悪化を防ぎ、消防署は火災を早く鎮火する。どちらも維持コストがかかる。
    • 公園
      • 周囲の地価を上昇させる。また、公害を緩和する効果もある。
    • スタジアム、港、空港
      • これらの施設は都市の発展に伴い住民から建設要望が出てくる。これを作らないと商業や工業の発展に制限がかかってしまうため、いずれは作らなければならない建造物。ただし建設にかかるコストは非常に高い。
    • 整地
      • 建造物ではないが、すでにある建築物を一旦取り壊したり、災害にあった土地を整備しなおすために欠かせない行動。
  • 都市には都市問題がつきもの。町の発展を阻害するこれらを解決するのも、市長の役目である。
    • 公害。道路や工場地周辺で発生する。住宅地や商業区に悪影響をあたえにくいように配置したり、公園を作って緩和することで対応する。
    • 渋滞。公害も誘発する都市問題。渋滞が起きにくい様な経路に変更したり、鉄道へと交通手段を切り替えることで対応する。
    • 犯罪。もっぱら工場地に多い。警察署を建てて取り締まってもらう。ただし警察署は維持費がかかるので、考えなしに建てまくると維持費で首が回らなくなってしまう。その点は考慮。
  • 時には予想だにしない災害が起こる。それは大きな被害を生む事もある。
    • 火災。早めに鎮火しないとどんどん広がっていく。しかも、一旦火災が起こった所は整地しないと発展しない。消防署があると鎮火が早い。
    • 洪水。水際で起こる。これは過ぎ去るのを待つしかない。
    • 飛行機事故。飛行機が墜落、落ちた場所に火災を起こす。
    • 竜巻。通った場所を破壊していく。火災を誘発する場合もある。これまた過ぎるのを待つしかない。
    • 地震。M7クラスの大地震で、広範囲に火災を起こし町に甚大な被害を及ぼす災害。
    • 怪獣。ゴジラによく似た巨大生物が現れ、辺りを破壊しつくす。
    • メルトダウン。原子力発電所で事故が起こると発生。広範囲に除去不可能な「放射能」をまき散らす。
    • 座礁。船が橋や海沿いの建物に激突し、火災が起こる。

難点

  • PC日本版は操作系が今一歩。ウインドウタイプのプレイ画面なのだが、画面スクロールがないなどややプレイしずらい面がある。マウスかキーボードの操作かどちらかしか選べないのも、この点を助長している。
  • 消防署の存在意義がイマイチ。消防署には「鎮火を早める効果」しかなく、肝要である「防災効果」がない。火災が起こると延焼回避と鎮火後の再開発のため、火災現場や周囲を整地をする必要がでてしまい、鎮火が整地で代替される面がある。
    • 停電すると効果がなくなるというシステムは消防署にも適用される。つまり、飛行機事故や地震のような送電設備に甚大な被害を出す災害(いずれも火災を伴う)だと、消防署はあっても何の役にも立たなくなる。場合によっては延焼を防ぐために消防署をつぶすしかないという事態まで起きる。
  • パイオニア的存在のゲームにありがちなことではあるが、常識的に考えて疑問を感じる点は多い。
    • 交通手段は道路か鉄道のどちらかがあれば問題が起こらない。つまり、道路が全くなくても何の問題も発生しないという現実的にあり得ない状況が起きる。
      • しかも、道路には渋滞と公害のデメリットがあることからこのゲームにおいては道路を作らないのが半ば常識化している。
    • 空港を停電させたら飛行機が飛ばず、飛行機事故も起きないというのはさすがに…。
    • 火力発電所・原子力発電所ともに現実では水際にしか作れない施設だが、当ゲームではそんなことお構いなしにどこにでも建設できてしまう。

総評

 閉じた空間の中で、建造物を配置しながら町の成長を楽しむ。どこか動物飼育でもしてるかのような楽しみは、それまでに見られなかったもの。手塩にかけた町には愛着も沸き、いつまでも行く末を見たくなる中毒性がある。システムもシンプルで取っ付きやすい。さらにシナリオモードは、少しばかり変わった遊びができるいいアクセント。
 その斬新なゲーム性は、今でも続く長くシリーズ礎となった。

余談

  • 本作の生みの親は、バンゲリングベイの開発者であるウィル・ライト氏。この発想はバンゲリングベイの開発中に思いついたという。
  • 本作は様々なハードに移植され、現在でも続編が作られている息の長いゲームとなった。
    • SFC版は任天堂によるアレンジが光る良移植として高い評価を受けている。
    • FM TOWNS版は建物が年代によって変わるなど、独特な雰囲気がある。
  • 本作は現在、オープンソースソフトウェアとして公開されている。一部のLinuxディストリビューションでは、パッケージ管理ソフトから手軽にインストールできるものもある。ただ、さすがに名前は「Micropolis」に変えられている。「シムシティ」の名は現在もブランド名として使われ続けており、EAが商標を有しているためだ。