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魔導物語A・R・S - (2011/12/18 (日) 20:19:19) の編集履歴(バックアップ)


魔導物語A・R・S

【まどうものがたりえー・あーる・えす】

ジャンル RPG
対応機種 PC-9801
発売・開発元 コンパイル
発売日 1993年12月10日
定価 10,290円
魔導物語・ぷよぷよシリーズ関連作品リンク

概要

3Dダンジョン型ロールプレイングの魔導シリーズの5作目。PC-9801用ソフトとして発売された作品。 今までの魔導シリーズは『1-2-3』のリメイク作のみであったが本作は完全オリジナルストーリーであり、『1-2-3』より過去の話になっている。 ディスクは7枚収録されており、1枚がOPデモ用で残りの6枚はアルル・ルルー・シェゾ編(各2枚使用)のゲームディスクになっている。 タイトルのA・R・Sは、アルル、ルルー、シェゾの頭文字を意味している。

ストーリー

  • アルル編
    • 来春から魔導幼稚園に通うことになる、4歳のアルル。今日は初めてのおつかい。森の向こうのおばあちゃんの家まで、お薬を届けに行きます。すると突然、森の中から現れた不思議な生き物(カーバンクル)が! 「きゃっ!」っと驚いたアルルでしたが、生き物はあっという間に茂みの中に隠れてしまいました。「まっまってぇ!」と言いながら夢中で後を追っかけたけれど、転んだ拍子に見失ってしまいます。「……いけない、ボク、お使いの途中なんだった。でも…ここはどこ…?」ザワザワと木の葉が音を立てました。そう、アルルは迷子になってしまったのです。かくしてアルルは泣きながら森から脱出しようとするのでした。
  • ルルー編
    • 16歳のルルーは、ある日の朝、目が覚めると見知らぬ屋敷に居た。「いったいどうして…?」と疑問に思ってるとドアが開いて、背の低い、不気味な男が入ってきた。「申し遅れました、わたくし この城の執事で……」とルルーに近寄ると「きゃーッ! ヤダァ! ちかよんないでぇーッ!!」と思わず男を投げ飛ばしてしまうルルー。気がつくと、男はルルーの足元でばたんきゅ~していた。「…はっ。私ったら、また身体が勝手に! …まぁ、いいか。こんなところからはさっさと帰ろうっと」とルルーはこの屋敷から脱出しようとするのでした。
  • シェゾ編
    • 成績優秀で将来を嘱望されながら、どこかで疑問を感じている、どこにでもいる少年14歳のシェゾ・ウィグィィは学校の修学旅行のために廃都ラーナの遺跡を訪れていた。「早く終わらねぇかな…」と呟いていたら突然、誰かに呼ばれたような感覚を覚えた。そっと列を離れて進むと、その声は遺跡の片隅にある鏡の中から聞こえるようだった。「まさかね…」と思って鏡に触れたとたん、真っ黒い鏡面はシェゾを飲み込んでしまった! 地下迷宮へと落ちてしまったシェゾは声の主を探して疾走するのでした。

特徴

ここでは過去のシリーズで共通する点も挙げていく。

  • 基本システム
    • 1フロアが8×8マスのマップを4方向に移動しながら探索していく3Dダンジョン探索型のRPG。主人公が移動する空間は最初から最後までダンジョンで占められており、買い物もダンジョン内で行う。ダンジョンの中で出現する敵を倒したり、謎を解きながら脱出を目指す。
  • ファジー・パラメーターシステム
    • 魔道シリーズの最大の特徴であるのがこのシステム。主人公の体力や魔力の増減、状態異常が数値では表示されず、言葉や表情、音楽で表現される。例えば体力が十分あるときは「げんきいっぱい」だが、体力がわずかになると「もうすぐ、ばたんきゅ~」などと表現される。このアバウトな表現が戦闘に緊張感を与えており、あとどれくらいで倒れるか・魔力がどれだけ使えるかなどを常に意識しながら戦闘を進める必要がある。
  • 戦闘システム
    • 主人公と敵との1対1の戦いになる。主人公か敵のどちらかが体力が無くなるまで戦闘を続けるのが基本。攻撃は魔法(ルルーは技)を用いて戦い、炎の魔法(ファイヤー、ホットなど)と氷の魔法(アイスストーム、コールドなど)で攻撃を行なう。基本的な魔法で魔導力を消費せずに使えるものもあるが、大半の魔法(技)は上級魔法ということで、使うと魔導力(ルルーは気)を消費する。また、敵ごとに弱点が設定されているので、炎と氷のどちらに弱いかを見抜くことが勝利への早道となる。炎を吐くモンスターや氷の精霊ならば弱点は容易に想像できるが、中には弱点が分かりにくいモンスターもいる。結果として「ノーリスク(または限りなく低リスク)で魔法が使え、常に攻撃方法と敵との相性を考えねばならない」という特徴をもっている。この他、アイテムの中には戦闘中で装備しておくと自動的に攻撃や補助を行ってくれる杖やキャラもいる。
    • なお本作では、ルルーとシェゾは最初から一通りの魔法(技)が使えるがアルルだけは妖精に教えてもらわなければ上位の魔法は使えない。そのかわり、アルルのみ魔導力を消費しない魔法『ホット』『コールド』が使える。
    • 戦闘に勝利した際の経験値もまた数値では表示されない。画面の外周にちりばめられた宝石が埋まっていくという形で経験値量を表している。この宝石を経験球と呼びこれらが全て埋まるとレベルが上がり、同時に体力と魔導力も全て回復する。得られる経験値は主人公と敵とのレベル差によって決まり、主人公のレベルが上がると弱い敵を倒しても経験値が段々少なくなってくる。

評価点

  • 3本のシナリオでボリュームがある。
    • 当時SFCソフトの単品が8,000~9,500円が相場であったことを考えると10,290円でこのボリュームは破格であったと言える。
  • リメイクのみだった魔導シリーズ初めてのオリジナルストーリー。
    • 『2』『3』ではまだまだ謎の多かったルルーとシェゾであったが、ルルーはこの作品から格闘技の使い手であることが明記され、サタンの出会いに関して描かれた。シェゾもこの作品でなぜ闇の魔導師になったかということが明かされた。これ以降の作品に二人のキャラ像に大きな影響を及ぼしたのは、この作品と言っても過言ではないだろう。
  • グラフィックが綺麗。可愛らしく描かれたアルルやルルーの姿は思わず癒されてしまうこと請け合い。
    • またサンプリングプログラムがバージョンアップしたことにより、デモシーンにアニメーションが付いた。スタッフも特にここに力を入れたとコメントしている。
  • 質の高いBGM
    • 中でもアルル編「迷子の森」で最初に使用されている「Fiend Empire」は後のシリーズ『道草異聞』や『わくわくぷよぷよダンジョン(SS版)』でも使われており、知る人ぞ知る名曲である。
  • 歯ごたえのある難易度
    + 各シナリオの大まかな特徴
    アルル編 初期で選択できる魔法がホットとコールドしかない為、最初は辛く強敵のナスグレイブが現れたら逃げないとあっという間にばたんきゅ~してしまう。
    幸い回復アイテムを最初から何個か所持しているのでそれを上手く使って切り抜ける必要がある。
    ラスボスも特定の手順を踏まないと倒せないことから戦闘の難易度は最も高い。
    ルルー編 最初から一通りの技がつかえる上、最強技の女王乱舞もあるので戦闘は他の二人に比べると楽に進める。
    ただしルルーの技は気の消費量が大きめなので、レベルがある程度上がるまでは配分に注意が必要。
    また後半で手に入るお助けキャラ、カーバンクルも非常に強力。
    反面、謎解きの難易度は高く、どんぱうんぱの使い道や雲樹育てのイベントでは頭を捻させられる。
    シェゾ編 最初から一通りの魔法が使えるが、敵も強いのでやはりすんなりとはいかない。
    マップの地形がかなり複雑であるため非常に迷いやすい。
    またキーアイテムの入手に運絡みの要素があるためとにかく長い探索になるシナリオである。

難点

  • オートマッピング機能は相変わらず階段の位置を記録してくれない。
    • 一度忘れると確実に迷うことになるので自分でメモした方が無難。
  • エンカウント率が高い。一歩、あるいてすぐ出現することも。但し「逃げる」は結構な確率で成功する。
  • メッセージに誤字が多い(例:「きみはには」など)。
  • ルルー編のEDだけ何故かBGMがない
    • 仕様なのか入れ忘れなのかは不明だが、他の二人に比べると非常に寂しい…。

総評

 難度が高く、多少作りこみの甘さがあるものの、リメイクでも移植でもない始めてのオリジナルストーリーであることは大きく、後のシリーズでも少なからず影響を与えることとなった名作。しかし当時PCがそこまで普及していなかったためプレイできなかった魔導ファンが多いのが悲しいところ。魔導ファンには是非プレイして欲しい作品であるが、コンパイルが倒産してしまった現在では入手は非常に困難。D4エンタープライズによる「魔導物語復刻プロジェクト」でMSX版魔導1-2-3の復刻版が出たので本作の復刻を望むファンは多い。

その他

  • 本作を題材にした小説「新☆魔導物語」1「アルルとおとぎの国」・2「ルルーと愛の日々」・3「シェゾと悪の華」の3巻が角川書店から角川スニーカー文庫として刊行されている。執筆は前作『魔導物語1~3』に引き続き山本剛氏が担当。
    • アルル編は本作と異なるアレンジされたオリジナルストーリーになっており、ルルー編とシェゾ編は本作の後日談的な内容になっている。ファンならこちらもおススメ。
  • 後にゲームギアで『魔導物語A ドキドキばけ~しょん』が発売されたが、これは本作のアルル編の移植ではなく、新たな別のストーリーになっている。