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ファイアーエムブレム 新・紋章の謎 ~光と影の英雄~ - (2014/01/08 (水) 20:54:20) の編集履歴(バックアップ)


ファイアーエムブレム 新・紋章の謎 ~光と影の英雄~

【ふぁいあーえむぶれむ しんもんしょうのなぞ ひかりとかげのえいゆう】

ジャンル ロールプレイングシミュレーション
対応機種 ニンテンドーDS
発売元 任天堂
開発元 インテリジェントシステムズ
発売日 2010年7月15日
価格 4800円(税込)
分類 良作
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概要

  • シリーズ20周年記念作品。『ファイアーエムブレム 紋章の謎』のリメイクだが、収録されているのは第2部「英雄戦争編」のみ。
    • SFC版2部は1部のプレイを前提とした構成となっていたが、本作では単品でパッケージされているため、1部をプレイしていなくても入り込めるように調整・配慮がなされている。
  • その代わり、サテラビュー用のゲームとして配信された『BS ファイアーエムブレム アカネイア戦記』をリメイクした『新・アカネイア戦記』も収録されている。

新システム・その是非

本作の突然の発表の直後に公開されたのがこの二つのシステム。

  • マイユニット:自由に性別・容姿やある程度の能力・クラスを設定したキャラが、ロードであるマルスと対になる主人公ユニットとして登場し戦闘に参加する。
    • 一般的な「プレイヤーの分身となるキャラ」、および「烈火の剣」のそれとは異なりよく喋る上、ストーリーへの絡みも多い。
    • パラメーターも相まって本来の主人公であるマルスを食うような役回りになっているとする意見もあるが、直接的に活躍した場面を考えると、本作で挿入された序章と外伝、章前後の会話パートを除けば一部しかない。
    • 原作「紋章の謎・第二部」でのあらすじに殆ど干渉はしない、立場上はあくまでも「光の英雄」であるマルスを支える「影の英雄」である。
    • 登場理由は『スマブラ』に登場してはいるものの、それでもマルスを知らないユーザーがいる、と言う任天堂の注文の為。
  • カジュアルモード:マップ攻略中に主人公以外のユニットのHPが0になっても次のマップで復活する。復帰時のデメリットなどもなく、難易度ノーマルでは他一部の仕様にさらなる緩和が入る。
    • ただしエンディングでの生存評価にはきっちり影響するので、従来のやり込みプレイヤーにとってクラシックを選択するという意義は大きい。
    • この仕様も任天堂の「1人でも多くのお客に楽しんで頂く為に」「初心者への敷居を下げるため」と言う注文を受けて導入されている。
  • 「FEのアイデンティティ崩壊」として発表当初から強い賛否を呼んでいたが、どちらも使わない選択が可能。発売後は以前ほどの論争はない。
    • マイユニットは強制加入であり、主人公のため倒されるとゲームオーバーだが、チュートリアルパートをクリアすれば以降は(外伝一つを除けば)強制出撃ではない。
      • チュートリアルはストーリー仕立てになっており、新入騎士団員であるマイユニットの同僚たちとの交流を絡めながら八章に渡るマップを攻略し、操作・戦術の基本や前作キャラクター、原作から変更された本作独自の新設定などをプレイヤーに紹介してゆく形になっている。
    • カジュアルモードは難易度と区別され、従来どおりHP0でロストするクラシックモードとの選択性。
  • 前作にも「兵種変更」「何度でもロードできるマップポイントセーブ」という同じくFEらしさを揺るがすような新システムを追加した(本作にも続けて搭載)が、製作側の新システム導入の姿勢は本作まで一貫して「嫌なら使うな」であり、良く言えば遊びの幅が広がった、悪く言えば無責任な構成となっている。
    • 本作のCMは久しぶりの経験者と初めてのビギナーに扮した芸能人がプレイ中に対談するという形式だが、経験者側にはマイユニットとカジュアルモード、どちらにも否定的な意見を言わせている。賛否両論を容認する証左であろう。
    • ちなみに前作で非常に不評だった「味方人数の減少で出現する外伝マップ」は削除。従来のようなターン数または固有条件によるものに戻った。
    • 補充志願兵についても、カジュアルモードの導入に加え、味方キャラの頻繁な加入によって存在感は非常に薄くなっている。

評価点

  • 前作で不評だったマルスをはじめ、幾人かの顔グラが描き直された。
    • 使い回しのものやユニットアイコンなども前作と比較して色調が明るめになっており、「目が死んでいる」「顔色が悪い」と感じる人はほとんどいなくなった。思い入れや趣向による好き嫌いは相変わらずあるが。
  • 『新・暗黒竜』で評価されていたインターフェースの良さはしっかり引き継いでいる。今作で導入された『アドバンスモード』の操作性はよろしくないが、従来のインターフェイスも選択可能である。アドバンスモードスタイルの操作法は次作『覚醒』で完成を見ることになる。
  • 『新・アカネイア戦記』の収録は概ね好評。
    • シチュエーションごとにクリアした際の評価点を競うスコアアタックモード。原作は放送番組であったため時間制限があったが、そちらはカット。
    • テキストは原作のものをそのまま使用している。
    • ハードがハードだっただけに原作は「幻の作品」とさえ言われるほど、旧来のファンですらプレイした人が殆どいない作品だったので喜びの声は非常に大きかった。
  • アカネイア大陸編に登場した自軍ユニットを殆ど網羅している。その数実に75人。
    • FC版・原作第ニ部未登場キャラやアカネイア戦記のキャラのほか、新・暗黒竜初出のキャラまでもが全て仲間として登場する。また、原作では最後まで和解する事ができなかったり、シナリオ上絶対に命を落としてしまうキャラクターすらもその殆どを仲間に加えられるオールスター仕様となった*1。ただし、シューターだったベック、ジェイクは他の兵種での出演となってしまっている*2
    • 地味ながらも人気を博していたタリスの義勇兵「サジ」、「マジ」、「バーツ」も、上記の例に漏れず仲間入りを果たすのだが、なんと彼らにも、ペガサス三姉妹の戦法「トライアングルアタック*3」が使えるようになった。
      3人が集まるのも早いため実用性は非常に高く、単なるネタ要素に終わっていない。「ルナティックモード」ではラスボス打倒の切り札にさえ成り得る。
    • なお、『新・紋章』初出の味方キャラは前述のマイユニット含め2人しかいない。
  • 準備画面にて「支援会話」が導入。特定の組み合わせのほか、マイユニットは全てのキャラに支援効果を与えることができる。
    • 原作ではほぼ空気だった新入りの騎士団員(今作では第7小隊と呼称されている)は新たにキャラ付けがなされ、新たなファンを獲得するに至っている。
  • 幅広い難易度選択、それに応じた手応えのあるゲームバランス。「ノーマル」「ハード」「マニアック」「ルナティック」の4種類から選択でき、それぞれのプレイヤー層を考慮した難易度調整がなされている。
    • 「ノーマル」はシミュレーションゲームやファイアーエムブレムを初めて遊ぶ人向けの難易度。「ハード」や「マニアック」はそれぞれSFC版原作や他作の「マニアック」より手ごわい程度の調整。
    • シリーズ初登場となる頂点の難易度「ルナティック」は、「マイユニットの選択を間違えるとプロローグで詰む」「兵種変更や武器錬成などシステムをフル活用しないと進軍すらままならない」「敵将をとどめを刺さない程度に攻撃した経験値が有限になる」など、解法からの逸脱を許さない苛烈な詰め将棋を想起させるゲームバランスに設計されている。
      • 更にはワープの杖など有用なアイテムが入手不可になったり、ルナティック限定の増援も登場するなど難しいなりに非常に凝った作りになっている。しかし序章の山を越えれば決して完全な無理ゲーではなく、FEを極めた人にもやり応え十分。
      • さらに「ルナティック」をクリアすると、同じ内容ながら自分から攻撃しても敵が先制する「ルナティック'」という難易度まで登場。なお今作はルナ'を除いた各難易度のクリアによって様々な特典が用意されている。
    • 難易度選択と「カジュアル」「クラシック」は別個に選択でき、高難易度への挑戦についてもある程度間口を広げている。
    • ただし、「ルナティック'」をクラシックモードで遊ぶには、元のルナティックをクラシックモードでかつ真エンドを見ないと遊ぶことができないようになっている。もっとも、それ程の実力がないとあっさり詰んでしまうモードではあるのだが。
    • 敵ターンを丸ごとスキップできたり、移動だけスキップしたりなど様々なプレイスタイルに対応している。
  • 金を払ってユニットを育成する訓練場の導入。
    • 出撃前の調整や低レベル加入ユニットの育成に使える。闘技場とは異なり賞金は得られないため、バランスブレイカーにもならない。
      なお、闘技場も引き続き存在するが、こちらの存在があるからか、賞金を稼ぎつつレベルを上げるのは非常に困難*4
  • 『紋章の謎』の「乗り物系ユニットの歩兵化」(騎馬ナイト系の「おりる」)というシステムが廃止された代わりに、一部の移動できない地形が緩和された。

問題点

  • 原作『紋章の謎』で語られたアカネイア王国の成り立ちにまつわるある”秘密”が今作では伏せられている。気になる人は原作をプレイしてみよう。
  • 戦闘アニメは全体的に地味で不評な前作からほぼ使いまわされている。
  • 新規に作られたアニメも評判は良くないが、「皇帝」だけはやけによく動くといわれる。
  • 『烈火』では可能だったマイキャラクターのオフや、高難易度でのチュートリアルステージスキップができない。
    • 練習用のシンプルな地形ゆえ、策を練る余地もなく強化された敵ユニットとの対峙を迫られることになる。ロストこそしないが高難易度になるほど本編よりもはるかに困難な地獄の鉄壁が立ちふさがる
    • 次作『覚醒』ではマイユニットの台詞カットが可能になった。
  • 本作でもWi-Fi対戦が実装されているが、相変わらずのチート祭りでマッチングは機能しない。
  • 武器の「重さ」が廃止され、所謂「攻速落ち」の概念が無くなった。
    • 鋼などの武器を弱いキャラが気兼ねなく使用できるなどの利点もあるものの、命中率に加え攻速という問題を克服した斧が相対的に強くなりすぎているとされる。
    • 斧自体は一応素の命中値が剣槍より低いとはいえ、60~80%。SFC版準拠の数値だがこれにGBA版からの実効確率補正が加わったため、実際の命中率は当時と比べて非常に高くなっており、『新・暗黒竜』同様超のつく受けゲー調整となっている。
    • 『蒼炎』~『新・暗黒竜』での攻速式(重さによる攻速のマイナスを力で軽減する)も、敵味方の力が高くなる後半では意味がなくなるため評価は高くないが、それでも序盤は(魔法に関しては終盤でも)ゲームバランスの1つとしてしっかり機能していた。
  • 元であるSFC版より全体的に出撃人数が減少している(ほとんどのマップで、最大12人程度)。
    • これに加えて今作は前作のキャラなどが統合追加された結果、シリーズ史上最多の味方ユニット数となっている。にもかかわらず肝心の出撃枠が紋章より減少してしまったことで、後述の問題点もあり多くの味方ユニットが二軍落ちの憂き目に遭ってしまっている。
  • 高難易度になるほど新規加入のキャラクターの使用は厳しくなってくる。
    • これ自体は珍しいことではないのだが、最高難易度のルナティックとなると上級職で加入するメンバーの殆どがいたずらに難易度を上げるためだけの存在、お荷物要因と化してしまう。
      前述のとおり経験値の取得に制限が入り敵のステータスが凄まじいことになるので、初期加入かつ良成長率のユニットに経験値を集中的に与え、早期に一軍を張れるキャラを育て上げるのが正解であるのが原因。
    • 過去作でも高難易度モードほど初期上級が使いづらくなるという事は多かったが、それでも育てれば1軍レベルではないとはいえそれなりの活躍はするため完全に使えないレベルではなかった。しかし今作の場合はせっかく貴重な経験値を分け与えて育てても敵の能力インフレについていけないキャラが非常に多いのである。良くも悪くも詰め将棋的である。
  • 概要の通り、本作は原作における二部構成の物語の後半部分しか収録していない。第1部、ないし前作『新・暗黒竜と光の剣』未プレイのための違和感は、当然起こりうる。
    • 第1部のあらすじ・人間関係をまとめたキャラクターガイドや、キャラが仲間になるときなどで「マイユニットがマルスに質問する」という形で紹介が入るなど、それに対する配慮が無いわけではないが、完全には解決できていないとする声もある。
  • エクストラモード(おまけ要素)に入っている「新・アカネイア戦記」にボイスは再録されなかった。

総評

  • 『新・暗黒竜』の方向性を継承しつつ反省を生かして改良を行った痕跡は確かに見て取れる。
    • 新規客を含む様々なプレイヤーの力量を考慮した難易度の調整や外伝マップ到達の条件の緩和など、前作で特に尖っていた部分を上手く削ぎ落している。多くのファンの悲願であった『アカネイア戦記』の復刻も今作の極めて大きな評価点である。
  • その一方で、カジュアル、マイユニットと言った新システムの導入や一部設定の重大改変、戦闘における計算式の変更などの要素はやはり賛否の分かれるものとなった。
    • 実際、公式側でも本作をリメイクではなくリニューアルと表現したり、前述のようなCMを制作、放映するなど、賛否両論あることを予測していたようである。
  • 現スタッフのカラーが全面に出た良くも悪くも癖のあるリメイクとなった本作だが、独立した一本のソフトとしての出来は良作と呼びうる水準を十分満たしている。

余談

  • FE20周年を飾る作品ということで、宣伝にかなり力が入れられている。
    • 今作のTVCMは芸能人の麒麟の川島明、仲里依紗を起用し、『暁の女神』以来の4バージョン(+みんなのニンテンドーチャンネル・店頭用プロモーション用のバージョン)も作られている。
    • 過去の歴代のFEのCMに起用された芸能人の人数は1人のみでバージョンも1種類だけだった。
    • みんなのニンテンドーチャンネルでは『ゲームセンターCX』の有野晋哉を起用。公式ガイドブック*5には子安武人も登場する。
    • 更に作品単体の大きなパンフレットまで用意している。宣伝費は歴代FE至上最高額であろう。*6
  • 『烈火の剣』から始まり、前作『新・暗黒竜』や次作『覚醒』でもされた海外での発売は、今作では残念ながらされなかった。