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biohazard 0 - (2012/07/31 (火) 19:52:07) の編集履歴(バックアップ)
biohazard 0
【ばいおはざーど ぜろ】
ジャンル
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サバイバルホラー
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対応機種
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ニンテンドーゲームキューブ Wii
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発売元
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カプコン
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開発元
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トーセ ニューロン・エイジ
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発売日
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【GC】2002年11月21日 【Wii】2008年7月10日
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定価
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【GC】7,800円 【Wii】4,190円
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バイオハザードシリーズリンク
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概要
シリーズ第1作である『BIOHAZARD』の直前の出来事を描いた作品。
基本的なゲームシステムやカメラワークは『BIOHAZARD』以降の作品をほぼ踏襲している。
主人公は『BIOHAZARD』でパートナー役として登場したレベッカ・チェンバースと、新キャラクターである元海兵隊の囚人ビリー・コーエン。
操作キャラクターを任意交代できる「パートナーザッピングシステム」を中心に従来とは一味違ったゲームシステムが盛り込まれている。
また、シナリオ面においてもシリーズ他作品の登場人物の関係性や大企業「アンブレラ」の黎明を描写しており、シリーズ全体に関する数々の真実が明かされている。
Wii版は対応コントローラーが増えた点以外は追加要素のない純粋な移植作品だが、媒体容量の増加によりディスクの入れ替えが必要なくなっている。
ストーリー
1998年7月・・・
アメリカ中西部に位置するラクーンシティ郊外のアークレイ山地。ここでは最近、人が食い殺されるという猟奇殺人事件が頻発していた。
事態を重く見たラクーン市警は、特殊捜査部隊S.T.A.R.S.ブラヴォーチームの投入を決定、現地へと急行させるが、一行を乗せたヘリは現場近くの森で謎のエンジントラブルを起こし、墜落してしまう・・・。
脱出にこそ成功したものの、全ての装備を失ったブラヴォーチーム。そこで彼らが見たものは、大破した軍の囚人護送車と、惨殺された海兵隊員たちだった。
S.T.A.R.S.ブラヴォーチーム隊長エンリコ・マリーニは、護送車から脱走したと見られる元海兵隊員ビリー・コーエンの行方を追うよう、隊員たちに指示、事態の解決に乗り出した。
・・・この時、今回の事件がやがてラクーン全土を巻き込む大惨事にまで発展することを誰一人予想していなかった・・・。
(公式サイトより)
特徴・評価点
パートナーザッピングシステム
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本作最大の特徴。プレイヤーはレベッカとビリーの2人の主人公を任意選択して操作できる。
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両者は体力、移動速度、武器の反動、アイテムの使用・調合の可否、COM操作時の攻撃頻度などに違いがあり、状況によって使い分けが求められる。
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両者が近くにいれば所有アイテムの交換や組み合わせが可能。そのためか、本作のアイテム最高所持数は2人とも従来最低数の6つである。
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両者を切り替えて操作しないと解けない仕掛けが数多く盛り込まれており、謎解きに奥行きが増している。
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操作しない側のキャラクターには「追従」「待機」の命令を出せる。このためCOM操作によって煩わされることも少ない。
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操作しない側のキャラクターは過度に敵に突出する事も無く、装備した武器の弾数消費も常識の範囲内。ある程度敵が近づかないと反応しないものの、単純に火力が2倍になるので頼りになる。
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操作しない側のキャラクターでも移動させることだけはできるため、上級者になるとこれを用いて時間短縮や敵のいる部屋から無傷で脱出することも可能。
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操作しない側のキャラクターを敵中で待機させていると、敵を捌き切れずに無線で助けを求めてくる事がある。そのため常に両者の状況を考慮する必要がある。
アイテムボックスの廃止
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本作にはそれまでのシリーズ作品には必ず登場していた「アイテムボックス」が存在しない。
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持ち切れないアイテムはその場に「置く」システムになっている。
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回復アイテムの大量ストックが難しくなり、アイテムの置き場も工夫しなければならないので、謎解きの際の戦略性が向上している。
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このシステムは『OUTBREAK』でも採用されている。
恐怖演出
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探索箇所となる建物内は美麗なグラフィックによってより恐怖を煽るように表現されており、今でも見劣りしない。
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序盤から登場する人型ヒル(擬態マーカス)は、専用BGMと共に各所で突然登場する。
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『3』における「ネメシス」や『biohazard』における「リサ」と並び、多くのプレイヤーにトラウマを植え付けた敵として挙がりやすい。
シリーズファンには嬉しい数々の演出
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シナリオ内において、初代からのシリーズファンなら必ず知っている人物が登場したり、その設定補完が多数なされている。
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中盤には旧作に探索場所として登場した場所が再度登場し、ニヤリとさせてくれる。
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ボスとして登場するある常連B.O.W.(生物兵器)も、コードナンバーを見ると初代の設定補完であることがうかがえる。
シリーズ定番のミニゲーム
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ゲームクリア後にはシリーズ定番のミニゲームとして「リーチハンター」がプレイできる。ここでもパートナーザッピングシステムが活かされている。
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各所に配置された「ヒルのオブジェ」を可能な限り入手して脱出を図るというもの。「ヒルのオブジェ」は2色あり、レベッカとビリーで入手できる色は異なる。
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制限時間は無いが、途中で体力が尽きるとそれまでの入手数は全てチャラとなる。また、一部のエリアは入手数に応じて敵が再配置される。
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クリア時の入手数に応じて本編で使用可能な隠し武器が手に入る。
不評・賛否両論点
好みが分かれる新システム
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新要素の宿命ではあるが、パートナーザッピングシステムは好みが分かれるシステムである。
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常に新しいものを求めるプレイヤーや、より深いパズル的な謎解きが好きなプレイヤーにとっては楽しめるシステムといえる。
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後作の『4?』のように戦闘メインのテンポの良いゲームが好みのプレイヤーには面倒に感じてしまうだろう。
難易度の高さ
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本シリーズは全体的に難易度が高めだが、今作は大部分でパートナーと共に行動を行えるせいかその中でも屈指の高難度を誇る。その要因は以下の通り。
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入手可能な弾薬数が旧作より少なめ。一方で排除しなくてはならない敵は多く、消費は激しい。
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列車内は通路が狭く敵をかわすことが難しいため、最序盤から不可避もしくは回避が難しい戦闘が連続する。
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ゾンビの攻撃力が高い。体力が低いレベッカだと4回も噛まれればゲームオーバーとなる。
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強敵が多い。耐久力が高い上に特定の攻撃以外で倒すと大ダメージの自爆をする「人型ヒル(擬態マーカス)」、的が小さく複数で素早い攻撃を仕掛けてくる上ほとんどのけぞらない「エリミネーター」、武器が整っていない序盤に現れるボス格の「スティンガー」などは多くのプレイヤーを苦しめた。
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即死攻撃をしてくる敵が多い。ボスクラスの敵だけでなく、「ケルベロス(ゾンビ犬)」ですら使ってくる。
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パートナー制が活きるための調整なのか、敵の攻撃を受けた時の主人公達の動きがもっさりしていて追撃を受けやすい。具体的にはゾンビを振りほどく時の動作が小さかったり、ハンターに足を攻撃されると数秒動けなくなったりなど。
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共同探索時、パートナーが敵の攻撃を受けている状態で扉に入るとパートナーが置き去りになってしまう。そのため敵を避けて進むことが困難。
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後述するパートナーの唐突な離脱によって、強力な武器や弾薬を使えなくなることがある。
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おまけにクリア後のミニゲームについても、戦闘だけでなく頭も使うためシリーズ他作品と比べ難易度が高い。
初見殺しな唐突のパートナー離脱
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敵に捕らわれたり、襲撃を受けて離れ離れになるなどして、強制的に一方しか操作できなくなる場面が多々ある。
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特に序盤、パートナーと出会ったばかりの際に操作キャラクター側が閉じ込められるイベントがある。説明書に戦闘に有利なのはビリーと書かれていることもあってビリーで操作していたプレイヤーは、戦闘面で弱いレベッカで多数の敵とボスに挑むことになってしまった。
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強力な武器や弾薬を使えなくなる方のキャラクターに渡してしまっていると、場合によっては詰みに近い状況となる。
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そうでなくともただでさえ少ないアイテム所持可能数が半分になるので、アイテムのやりくりに悩まされることになる。
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特に強力なボスとは独りで戦う事の方が多い。戦闘直前で別れるパターンが多いのが救いか。
アイテムボックス廃止による煩わしさ
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「謎解きの際の戦略性が向上している」と言うと聞こえはいいが、実際は煩わしさが大幅に増したことの方が大きい。
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同じ建物内を探索しているならまだいいが、違う建物に移る際は引越屋よろしく何度もルートを往復してアイテムを運ぶ必要がある。
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回復アイテムを諦めて進めばそのような面倒もほとんど無くなるが、難易度は当然跳ね上がる。
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特にフックショットの存在に苦しめられたプレイヤーは多いはず。要所要所で使う上にアイテム欄を2つ消費するからである。
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アイテムを「置く」場所は必然的に安全な部屋に集中するため、床に無数のアイテムが散らばる結果となり、拾いたいアイテムが拾えずイライラさせられる。
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しかもひとつの部屋におけるアイテム数が限られているため、様々な部屋にアイテムが散らばり結果的に場所が解らなくなることも多い。
敵のデザインがやや大味
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敵の大半はパッと見ただ大きいだけの動物。ただ大きいだけのクモ、サソリ、ムカデ、コウモリ、カエルなど。
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「エリミネーター」にいたってはサイズ的にもただのサル。さながら動物園といった感じである。
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同年に発売された『biohazard』には「クリムゾンヘッド」「リサ」という非常にインパクトの強い敵が登場したこともあって、余計際立つ。
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ただし登場する敵のほとんどが「B.O.W.としては初期作かつ失敗作」or「二次感染により変態」という設定があるため、あえて外観に大きな変化がないデザインにしたともいえる。
総評
同年発売された『biohazard』において、ハードによって強化された恐怖演出の優秀さは証明された。
しかし本作ではそれに甘んじることなく、意欲的に新システムと従来仕様の変更を取り入れている。
結果的に前者は好みの分かれる点ではあるものの本作の強烈な個性として受け取られているが、後者はそれに泥を塗る形となってしまった。
難易度の高さも手伝って、『0』の名を冠するのとは逆に、シリーズ未経験者の受け口としては不適な作品と言える。
しかしシリーズ経験者にとっては新鮮な気持ちで臨める異色の作品であり、そのシビアさもある種「原点(ゼロ)回帰」として肯定的に受け取れるとも考えられる。
バグなどの致命的な欠陥もなく、肝心のホラー要素も十分味わえるはずだ。
余談
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本作のクリアランクには、他作品のような回復アイテム使用回数、セーブ回数などが一切影響がない。とはいえ上述の難易度の高さから高ランク取得は困難。
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本作は元々N64で発売する予定であったが、諸の事情でGCに持ち越すこととなった。64版のプレイ動画は公開されており、アイテムボックスの廃止などはこの時から採用されていた。またレベッカが白いベレー帽を着用しているなどの違いもある。
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本格的なパートナーザッピングを売りにしている本作だが、ザッピングの概念自体は『2』から受け継がれたものである。
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あまり評判が良くないアイテムボックス廃止だが、『4』などの後作で入手アイテムの取り扱いが大きく変わったことを考えると、従来のアイテムの扱いに一石を投じた先駆的システムともいえる。そういう意味では意欲的な改革は間違っていなかっただろう。
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なお、アイテムを床において必要に応じて持ち替えて進んでいくと言う点は、シリーズの礎となったファミコンホラーRPG『スウィートホーム』で既に存在していた要素でもあり、仲間を切り替えつつ進んでいくと言う点も含め、原点に近づけた作品と言う見方も出来るだろう。
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「パートナーと協力して進む」ことに重点を置いている点では、『5』の先駆的存在ともいえる。
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主人公の1人ビリーは元海兵隊のイカつい男だが、そこからは想像できない意外な特技を持っており、作中の仕掛けを解く際に発揮してくれる。ちなみに『BIOHAZARD』『biohazard』にも同様の仕掛けが存在し、レベッカに任せると練習時間が必要だった。
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投擲武器(火炎ビン)が登場したのはシリーズでは本作が初。後作では手榴弾(『4』)、薬ビン、棒きれ(『OUTBREAK』)などが登場している。