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SIMPLE2000シリーズ Vol.104 THE ロボットつくろうぜっ! 激闘!ロボットファイト - (2012/07/17 (火) 14:13:46) の編集履歴(バックアップ)


SIMPLE2000シリーズ Vol.104 THE ロボットつくろうぜっ! 激闘!ロボットファイト

【しんぷるにせんしりーず ぼりゅーむ104 ざ ろぼっとつくろうぜっ げきとうろぼっとふぁいと】

ジャンル シミュレーション、アクション
対応機種 プレイステーション2
発売元 D3パブリッシャー
開発元 ヒューネックス
発売日 2006年8月10日
価格 2,100円
SIMPLEシリーズリンク


概要

D3パブリッシャーによる廉価版ゲームシリーズ『SIMPLE2000』の1作。
ROBO-ONE』に代表される、2足歩行のラジコンロボットによるレスリングを題材にしたゲーム。
高等専門学校のロボット研究会のメンバーが主人公。ストーリーモードの他、2人プレイ可能のフリー対戦モードも存在する。

ゲームの流れ

ストーリーモードは、4月の初めから翌年の3月の1週目までを舞台とし、1週間単位で進行する。4人の部員に、その週における作業を割り振る。週末には他の相手のロボットとの試合が待ち受けている。

  • ロボットは胴体・腕・足・頭の4つのパーツを組み合わせる事で完成する。試合は殴る・蹴る・押し出すといった格闘攻撃のみで行われる。手持ち武器や飛び道具は存在しない。超能力など非現実的な技も無い。
    • 通常攻撃は弱パンチ・強パンチの2種類のみだが、1度に4種類まで「攻撃技」を持たせることもできる。技の使用にはバッテリー値を消費する。消費したバッテリーは「チャージ」という行動で回復できる。
    • 試合は3分以内に3本先に取った方が勝ちとなる。相手のHPを0にするか、リング外に押し出すと1本となる。双方が3本取れないまま3分経つと、2分だけ時間が延長される。それでも3本取れなかった場合は判定勝負となり、取得本数の多い方が勝利となる。
      • HPとは別に、各パーツには「耐久度」が存在し、その部分に攻撃を受けるか、特定の技を使う事で減少する。パーツのどれか1つでも耐久度が0になると「マシントラブル」と見なされ、それまでの取得本数に関係無く敗北となる。HPはどちらかが1本取る度に双方共全快するが、耐久度は回復しない。
  • 作業は、パーツを作る「開発」・ロボットの技を生み出す「プログラム」・パーツの耐久度を回復させる「修理」・パーツの能力値を底上げする「強化」の4種類。部員達には、各作業に対応した能力値が設定されており、その作業を行うとアップする。また、能力値だけを高める「勉強」というコマンドもある*1
    • コマンドの成功率や成長度に影響する「テンション」という能力値もあり、これは試合の勝敗によって上下する。
  • 試合は毎月4回行われる*2。予算は毎月初めに入金されるが、前月の勝利回数に応じて金額が上乗せされる。これ以外に資金の入手方法は存在しない。

特徴

本作の開発元はSIMPLEシリーズで多数のソフトを生み出してきたヒューネックスだが、「ヒューネックスの新体制による初作品」と銘打たれており、「SIMPLE2000でどこまでできるか可能性に挑戦する」というテーマの元、力の入った開発が行われた。

  • モノローグ以外の台詞はフルボイス。主要キャストは神谷浩史・野島健児・杉田智和と、実力派が揃っている。
    • ロボットバトル時の台詞パターンも豊富で、勝ち台詞・負け台詞も複数用意されている。
  • OPデモは子供向けホビーの販促アニメを意識したもの。映像の殆どは本編中のイベントCGを切り張り加工したものなのだが、演出が巧みで手抜き臭が感じられない。
    • 画面左上に「5:30」という時刻表示があり、更に途中で「5:31」に変わるという拘りぶりである。
      • EDデモは途中でニュース速報の字幕まで入るという悪ノリぶり
  • ストーリーは、これまた『月刊コロコロコミック』で連載されているホビー漫画のノリ*3で、「女目当てで部活を始めた主人公が、仲間やライバルを通して次第に成長して行っているようでだけどやっぱり女目当て。でも少しは成長する」というもの。基本はバカだが、涙あり、熱血あり、対戦で芽生える友情ありという盛沢山のものとなっている。
    • 毎週イベントが必ず発生する為、ストーリーの分量はSIMPLEシリーズとは思えない程である。ボイスはドラマCDの10枚分もあろうかという量。スキップしなければ1周に十数時間は掛かる
      • メッセージの高速表示、スキップ、ボイスOFFといった機能も完備されている。
  • ストーリーのバカ度とは裏腹に、ロボットバトルは堅実そのもの。動きはもっさりしておりジャンプもステップもできないが、現実のラジコンロボの動きを忠実に再現している。
    • ロボットのパーツも豊富で、アニメのロボットのパロディの様なデザインのものも多数存在する。
  • エンディングはバッドも含めると3種類。能力値・資金・ロボパーツの全てを引き継いで周回プレイを行う事もできる。
    • 1度クリアすると、CG閲覧モードとサウンドテストが追加される。 SIMPLE2000でも内容の濃さで知られる『THE地球防衛軍シリーズ』ですら、既存のソフトのデータを流用した上での完成度だったのに対し、本作は完全新作にも関わらず充実した内容で、開発元の本気度を感じ取る事ができるだろう。
      単純に「ラジコンロボによる現実的なバトル」というソフト自体、家庭用ゲーム界ではあまり例を見ないので、希少性も高い。

問題点

システム面

  • パーツ開発は、重量・出力などの能力値に任意でポイントを割り振った上で行うのだが、どのパーツができるかは完成させてみないとわからない。
    • 割り振りを少し変えた程度では、まったく同じパーツができてしまう事も多い*4。逆に、同じ割り振りをしても突然変異的に全く違うパーツが誕生する事もある。明らかに割り振った通りの能力値ではないパーツも存在する。
    • 「開発」のレベルは一度に割り振れるポイントの数に影響するのみで、キャラ毎に作れるパーツが違うという事はない。
    • パーツにはS・M・Lの3つのサイズが存在するが、大きさが違うだけでパーツの外見は同じ。また、違うサイズのパーツを組み合わせる事もできない。
    • これらの事から「自分の好きなロボットを組んで戦う」と触れ込みは、ストーリーモードではほぼ通用しないと言って良い。またパーツは部位毎に60種類以上あるという触れ込みだが、ストーリーモードではどの部位も20個までしか所有できないのでコンプリートも不可能である。
    • 「店で売られているロボキットを組み立てている」という設定なのだから、パーツの外見だけでも選択できたら違っていたのでは?
  • 敵ロボは、パイロット毎に外見も使用技も異なっており、また同一の機体でもストーリーが進むごとに能力値が底上げされていくのだが、思考パターンはどれも同一で、パイロットごとに傾向が変わったりはしない。
    • また自分のフィールド上における位置は考慮できないらしく、突然ライン間際に走って行き、敵のいない外側に回転技を使い投身自殺するという奇行をしでかしたりもする。
  • 技は「プログラム」のレベルによって開発できるものが変わるのだが、同ランクの技であっても性能差が激しい。
    • 特に押し出しが強くスーパーアーマー付きの「ゾンビアタック」は、最高ランクの技でもないのに異常に強力である。
    • 逆に多くの蹴り技は自分にもダメージが来るため役に立たない。回転技も隙が大きい上に距離を見誤るとラインアウトになってしまうので使いにくい。
  • 「バッテリーチャージ」を行うと、自分のあらゆる行動がキャンセルできる。これと上記のゾンビアタックを組み合わせるだけで大抵の敵はゴリ押しで倒せてしまう。後半の敵はHPが異常に高くなるので、ダメージを与えるよりも押し出しを狙った方が遥かに手っ取り早いのである。
  • 「強化」のコマンドは殆ど役に立たない。パーツの任意の能力を底上げできるのだが失敗率が異様に高い。特にどの能力値かは関係無く、3回以上強化済みのパーツは高確率で失敗する。部員自身のレベルやテンションが最高でも変わらず。
    • 失敗しても強化費用は失われる上、パーツ自体が破損したとして修理代まで払わされる。踏んだり蹴ったりである。もっとも、強化をしなくても前述のゴリ押しでラスボスでも倒せるのだが…。
  • 所有できる資金の上限が低い。所有パーツ数や強化コマンドのダメぶり故に、やがて使い道が無くなってカンストし、無駄に失われてしまう。

シナリオ面

スタッフロールによれば、シナリオライターは1人のみらしいのだが、整合性が取れていない所が多々存在する。

  • 「ROBO-X」という専門用語が頻出するが、これが何を指しているのかがあやふやである。
    • 冒頭で、ヒロインは「ロボットを使ったレスリングの競技名」と説明している。
    • ところが中盤から、複数の登場人物が「ロボットの商品名」として呼び始める。
    • そして終盤、ナレーターが「ロボットバトルの最高峰である大会の名前」と明言し、以後この扱いで定着する。
  • 敵の1人が、自分のチーム名とロボット名を明らかに混同して呼んでいる場面がある。
  • あるキャラの所属が、台詞ごとに「電気工学科」になったり「電子工学科」になったりする。
    • 句読点が無いセリフが度々登場する。
  • ストーリーはエンディング以外1本道。ラスボス以外の戦闘は、勝っても負けてもその直後の会話が少し変わるだけ。その為、負けたはずなのに「○○を倒した奴」と呼ばれたり、勝ったのに「奴らには勝てない」と言い出したりする。

キャラクター面

  • 試合前に対戦相手の紹介文が表示されるが、なぜかこれが本編の設定とは食い違ってばかり。企画段階の設定書でも書き起こしたのだろうか?
  • キャラの学年に関する設定は基本的に信用できない
  • 主要キャラの1人・「手塚トオル」の設定が明らかにおかしい。
    • 悪役との会話によると、元はロボット研究会の普通の部員だったが、部を衰退させる事件が起こった事で「こんな部潰れちゃえ」と暴言を吐いて幽霊部員になったらしい。「あの頃みたいな部に戻るのは嫌だ」とも発言している。
      しかしその事件以前から部のマネージャーをしていた筈のヒロインとはまったく面識が無い。他の元部員達とは普通に面識が有るのに。
      • ヒロインがかつての部の様子や事件について語るシーンでも、なぜかトオルだけは何も発言しない。「そうだった」とも「知らなかった」とも言わない。
      • 彼が登場してくる以前、ヒロインは「今この部は私と主人公の2人しかいない」と言っているし、顧問も「3人いないと廃部になるから誰か探して来い」と言うばかりで、幽霊部員のトオルの事には触れもしない。もしかしてトオルの存在自体が後付け設定なのだろうか?
  • 序盤から主人公達に嫌がらせをしていた悪役の1人が、中盤で唐突に改心し、別人のようにおとなしくなってしまう。そして終盤でフェードアウトする。何があった?
  • 部の衰退の原因となった放火事件に関しても、再三に渡って語られた割りに、最後は顧問が容疑者の事を「彼がやるわけないって解ったでしょ?」の一言で片付けてしまい、その容疑者もまた最後はフェードアウトし、有耶無耶のままで終わってしまう。

その他

  • 特定の台詞だけ、ボリュームが低くなる事がある。
  • 回想シーンの台詞にはエコー加工がされているのだが、なぜか普通の会話なのにエコーがかかる部分がある。設定ミスか?
  • 圧縮の都合か、女性キャラのボイスがカスレ気味になる事が度々ある。
  • 対戦モードでしか戦えないキャラが2人いるのが惜しまれる。ストーリーモードでも敵として戦えるように組み込めなかったものか。
  • パッケージデザインが異様に地味。シナリオやキャラクター性に力を入れているはずなのに、なぜかイラストはパッケージの裏面に小さく1枚載っているだけ。画面写真の扱いも小さい。声優名の記述も皆無。
    • 裏面にはロボットバトルに関する紹介ばかり書かれており、表面にはアニメのパロディデザインであるロボット達の写真が整然と並んでいるだけ。これではパチモン臭いロボットを作って戦わせるだけの地味ゲーにしか見えない。逆に前情報なしに購入して内容に驚いた人もいるのでは?
    • 内容は方向性はともかく気合が入っているし、開発元のサイトには特設コーナーまで用意されたというのに、なぜパッケージだけは売り込む気が無いのだろうか?キャラデザ担当者によると、没になったパッケージ用イラストがあるとの事だが、どうして使わなかったのか?

その後

  • 発売元のD3パブリッシャー公認(主催ではない)の元、本ソフトによる対戦大会イベントが行われた。キャラデザ担当者のサイン色紙などの賞品が用意されたが、事前エントリー者は12組しかいなかったらしい
  • 「ヒューネックス新体制第1弾」であったはずだが、結局同社は以後SIMPLE2000において新作を出す事はなかった。
    • 後に同社サイトにおいて「同時発売の『THEメイド服と機関銃』に売り上げで負けた。続編やDS版の構想もあったが、実現しなかった」と語られた(現在は削除)。もっとも、その本作より売れた『メイド服』も、「人気があれば続編を作りたい」と言いつつ実現しなかったのだが。
  • 後にキャラデザ担当者が、本作のイラスト集を同人誌という形で2種類世に出している。
    • 因みに『メイド服』は公式でムックが発売された。しかもSIMPLEシリーズ初。色々な意味で因縁のある2作である…。